JPH0753215A - 二酸化チタン微粉末およびその製造方法 - Google Patents

二酸化チタン微粉末およびその製造方法

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JPH0753215A
JPH0753215A JP20325593A JP20325593A JPH0753215A JP H0753215 A JPH0753215 A JP H0753215A JP 20325593 A JP20325593 A JP 20325593A JP 20325593 A JP20325593 A JP 20325593A JP H0753215 A JPH0753215 A JP H0753215A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 分散性および耐光性に優れたジルコニウム固
溶二酸化チタン微粉末であって、食品包装材料、紫外線
劣化防止剤、紫外線遮蔽シートおよびフィルム、日焼け
防止用化粧料等に有用である、新規な易分散性ジルコニ
ウム固溶二酸化チタン微粉末を提供すること。 【構成】 0.01〜0.1μmの範囲内の大きさであ
り、かつ結晶構造中にジルコニウムが固溶したことを特
徴とする二酸化チタン微粉末、および粒子表面に被覆層
を有することを特徴とする前記の二酸化チタン微粉末、
並びにそれらの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】産業上の利用分野 本発明は、分散性および耐光性に優れたジルコニウム固
溶二酸化チタン微粉末に関し、更に詳しくは、食品包装
材料、紫外線劣化防止剤、紫外線遮蔽シートおよびフィ
ルム、日焼け防止用化粧料等に有用な易分散性ジルコニ
ウム固溶二酸化チタン微粉末に関する。
【0002】従来の技術 0.1μm以下の粒子径を有する二酸化チタン微粉末
は、例えば樹脂に配合された時可視光線を透過させ、一
方、紫外線を遮蔽して紫外線によって変色、変質する物
質を保護するので、食品や医薬品などのプラスチックス
包装材、農園芸用プラスチックス被覆材、化粧品などに
利用されている。このような二酸化チタン微粉末は、微
粒子であるが故に凝集力が極めて強く樹脂への分散が難
しい。従って樹脂に添加混合した場合に未分散の凝集粒
子が分散媒樹脂中に残存する為、前記の大きさの二酸化
チタン微粉末が有する本来の可視光線高透過能および紫
外線遮蔽能を実質的には利用できていないのが実状であ
る。更に、上記の大きさの二酸化チタンの微粉末は光活
性が強い為分散媒樹脂を酸化、劣化させるとの問題点を
も有している。
【0003】上記の問題点を解決するため、二酸化チタ
ンの表面を被覆処理し、分散性を改善する方法が提案さ
れていた。たとえば、特公昭63−51974は実質的
に0.01〜0.1μmの範囲内の大きさの微細な二酸
化チタンの粒子表面をケイ素および/又はアルミニウム
の酸化物で処理した二酸化チタン組成物を開示してい
る。また、特開平2−194063は分散性及び耐候性
に優れた微粒子二酸化チタン粉末として、中核となる最
大粒子径が0.1μm以下である微粒子二酸化チタン表
面に、微粒子二酸化チタンの重量に対してSnO2とし
て0.1〜5%のスズの含水酸化物および/又はZrO
2として0.1〜5%のジルコニウムの含水酸化物を最
内層に被覆し、次に微粒子二酸化チタンの重量に対して
SiO2として0.1〜8%のケイ素の含水酸化物を中
間層に被覆し、最後に該粒子二酸化チタンの重量に対し
Al23として0.1〜10%の含水酸化物を最外層に
被覆してなる微粒子二酸化チタン粉末を開示している。
【0004】その他にも表面処理により分散性の改良を
図るいくつかの出願があるが、いずれの場合にも二酸化
チタン粉末の表面に被覆層を設けるに際し、まず二酸化
チタン微粉末を一次粒子に分散させることが必要とな
る。しかし、従来の二酸化チタン微粉末は水中での分散
性に問題があり、二酸化チタンを一次粒子に分散させる
操作自体が難しく、そのため分散性に優れた二酸化チタ
ン微粉末を工業的に安定して製造することは困難であっ
た。
【0005】ジルコニウム固溶二酸化チタン微粒子の製
造に関しては、Suyamaらが気相法により合成でき
たと報告している(Y.Suyama,M.Tanak
a,A.Kato:Ceramurgia Inter
n.,Vol.5,No.2,pp.84〜88(19
79))。しかしながら彼らの合成したジルコニウム固
溶二酸化チタン微粒子は0.3μm以上の大きさの粗大
粒子を混在しており、可視光線高透過能および紫外線遮
蔽能において劣るものである。
【0006】発明が解決しようとする課題 このように従来の二酸化チタン微粉末は、分散性が悪
い光活性が強い工業的に安定して被覆を設けること
が容易ではない等の問題を有していた。そこで、優れた
分散性と耐光性を有し、かつ工業的に容易に且つ安定し
て製造できる新規な二酸化チタン微粉末の出現が望まれ
ていた。また、ジルコニウム固溶二酸化チタンについて
は、0.1μm以下の大きさの微粉末の合成例はなかっ
た。
【0007】本発明は二酸化チタン微粉末が持つ、上記
の欠点を改良した新規なジルコニウム固溶二酸化チタン
微粉末およびその製造法を提供することを目的とする。
【0008】課題を解決する手段 本発明者らは上記の課題を解決する為鋭意研究を行った
結果、結晶構造中にジルコニウムを固溶させることによ
り分散性と耐光性が改善されることを見いだし本発明を
完成した。すなわち、本発明は0.01〜0.1μmの
範囲内の大きさであり、かつ結晶構造中にジルコニウム
が固溶したことを特徴とする二酸化チタン微粉末を提供
するものである。さらに、本発明は前記粒子表面に被覆
層、好ましくはケイ素の含水酸化物およびアルミニウム
の含水酸化物からなる群より選ばれた少なくとも1種の
含水酸化物の被覆層を設けた前記二酸化チタン、および
結晶形がアナタース型である前記二酸化チタンを提供す
るものである。
【0009】上記粒子の製造方法は、チタニアゾルに水
溶性のジルコニウム化合物を添加後、アルカリを添加し
て中和し、濾過水洗した後400〜1000℃で焼成す
ればよく、上記のケイ素および/またはアルミニウムの
被覆層を設ける場合には、上記の焼成後、焼成物を水中
に分散して水性スラリーとし、このスラリーに水溶性
の、ケイ素化合物および/又はアルミニウム化合物を、
好ましくはケイ素の含水酸化物および/またはアルミニ
ウムの含水酸化物の被覆量がTiO2に対しSiO2及び
Al23に換算してそれぞれ1〜20重量%となるよう
な量で添加後、中和する方法により製造できる。
【0010】本発明にかかる二酸化チタンの粒径は0.
01〜0.1μmの範囲内であればよいが、0.01〜
0.07μmの範囲内がより好ましい。また、ジルコニ
ウムの量は、TiO2に対して、ZrO2として0.5〜
25重量%、望ましくは1〜15重量%が適当である。
ZrO2の添加割合がこの範囲よりも少ないと分散性や
耐光性の改善効果が得られ難く、また、多すぎる場合に
は、耐光性に関しては特に特性差は生じないものの、分
散性が悪くなる。また、二酸化チタンの結晶形は非晶質
のものやX線回折による測定でアナタース型あるいはル
チル型の結晶構造を示すもののいずれも使用できるが、
アナタース型のものが最も好ましく使用できる。
【0011】本発明のジルコニウム固溶二酸化チタン微
粉末は水中での分散性および分散安定性に優れているの
で、各種の水溶性樹脂に混合して容易に塗膜化でき、ま
た、化粧用基剤或は他の化粧料成分への分散混合が容易
である。更に、粗大な凝集粒子を実質的に含まないの
で、塗料、プラスチックスの粘度調整剤、高温時の物性
低下防止の為のシリコンゴム充填剤、顔料、トナーなど
の表面被覆剤、アルミニウム・メタリック塗料のフロス
トカラー顔料、繊維、フィルムなどの固体潤滑剤等とし
て好適に使用し得る。特に、従来の二酸化チタンよりも
ウレタンとの親和性が良好であり、且つ光活性が小さい
ので、紫外線に弱いとされるポリウレタン弾性系の繊維
に好適に使用される。
【0012】本発明にかかるジルコニウム固溶二酸化チ
タン微粉末は、水中での分散性に優れており容易に一次
粒子に分散できるので、樹脂中での分散性を改善する為
の含水酸化物などによる表面処理を容易かつ均一に行う
ことができ、樹脂中での優れた分散性と耐光性を有す
る、被覆層を有する二酸化チタン微粉末を工業的に容易
に安定して製造することができる。
【0013】本発明のジルコニウム固溶二酸化チタン微
粉末は代表的には以下の方法で製造される。即ち、硫酸
チタニル水溶液を加熱加水分解して生成する凝集沈澱物
を洗浄後解膠して得られるチタニアゾル、あるいはチタ
ンの塩酸酸性水溶液を加熱加水分解後解膠して得られた
チタニアゾルに、水溶性のジルコニウム化合物を添加
後、アルカリを加えて中和した後、洗浄、乾燥、焼成す
ればよい。
【0014】チタニアゾルの成分であるチタニア微粒子
は、含水酸化チタンを意味する。本発明においては、硫
酸チタニル水溶液を加熱加水分解して生成する凝集沈澱
物からのチタニアゾルは、凝集沈澱物を洗浄した後スラ
リー状とし、水酸化ナトリウム水溶液やアンモニア水等
のアルカリで中和し、濾過、洗浄して硫酸根を除去す
る。この後、スラリー化し、塩酸や硝酸等の一塩基酸を
加えて、該スラリーのpHを3以下、望ましくは2〜1
に調整して解膠することで得られる。また、チタンの塩
酸酸性水溶液を加熱加水分解して生成する凝集沈澱物か
らのチタニアゾルは、濾過、洗浄後、スラリー化し、塩
酸や硝酸等の一塩基酸を加えて、該スラリーのpHを3
以下、望ましくは2〜1に調整することで容易に得られ
る。
【0015】チタニアゾルに添加する水溶性のジルコニ
ウム化合物としては、オキシ塩化ジルコニウム、塩化ジ
ルコニウムおよび硫酸ジルコニウム等が使用できる。
【0016】ジルコニウム化合物を添加する時のチタニ
アゾルの濃度は、TiO2として50〜250g/l、
望ましくは80〜200g/lが適当である。ジルコニ
ウムの量は、前記の適当な範囲の生成物が得られるよう
な範囲で添加することが望ましい。添加したジルコニウ
ムの大部分は、二酸化チタンの結晶格子中に存在する
が、その全量が結晶格子中に存在する必要はなく、本発
明の効果が損なわれない程度でその一部が、チタン酸ジ
ルコニウム(ZrTiO4)や含水酸化ジルコニウムと
して存在していても何ら差し支えない。
【0017】焼成温度は、400〜1000℃の範囲、
好ましくは600〜950℃、最も好ましくは800〜
950℃の範囲が適当である。即ち、焼成温度がこの範
囲よりも低くなると、吸着水分量が多くなって、例え
ば、樹脂に混合する際に分散が難しくなるなど好ましく
ない影響を与える。一方、高くなると、二酸化チタン粒
子同士が固着したり、あるいは焼結したりして0.1μ
mよりも大きい粗大粒子が生成するので好ましくない。
【0018】本発明のジルコニウム固溶二酸化チタン微
粉末は、水分散性に優れたものではあるが、塗料中での
分散性や分散安定性については分散媒樹脂や溶剤との馴
染みが問題となり、樹脂や溶剤の種類によっては分散安
定性に問題が生じる場合がある。このような場合には公
知の方法で、粒子表面をケイ素やアルミニウムの含水酸
化物などで被覆処理して馴染みを改善することが好まし
い。本発明のジルコニウム固溶二酸化チタン微粉末は水
分散性に優れているので、このような被覆処理が特に有
効に活用される。被覆材の種類は特に限定するものでは
なく、使用される樹脂や溶剤の種類に応じて公知の物質
により処理することができる。たとえば、前述のケイ素
および/又はアルミニウムの酸化物による処理をしても
よいし、スズの含水酸化物および/又はジルコニウムの
含水酸化物を最内層に被覆し、次にケイ素の含水酸化物
を中間層に被覆し、最後にアルミニウムの含水酸化物で
被覆してもよい。その他、チタニウム、セリウムまたは
亜鉛等の含水酸化物で被覆することもできる。さらに、
公知の有機被覆材、たとえばステアリン酸アルミニウ
ム、ドデシルベンゼンスルホン酸、アルカノールアミン
のような界面活性剤、多価アルコール、オルガノシロキ
サン化合物、シラン系、チタネート系およびアルミニウ
ム系のカップリング剤なども使用できる。一般的には、
ケイ素および/又はアルミニウムの酸化物による処理が
好適に行われる。
【0019】この被覆処理は公知の方法で行うことがで
きる。例えば、ケイ素および/又はアルミニウムの酸化
物により処理をする場合には、前記の焼成工程で得られ
たジルコニウム固溶二酸化チタンを、TiO2として10
0〜400g/l、望ましくは200〜300g/lの
濃度となるよう水中に分散させて水性スラリーとし、こ
れに水溶性のケイ酸塩やアルミニウム化合物を添加後、
アルカリや酸を添加して中和することでなされる。即
ち、水溶性のケイ酸塩として、ケイ酸ナトリウムを使用
した場合には、硫酸、硝酸、塩酸等の酸を上記水性スラ
リーに添加して、該スラリーのpHを7に調整する。ま
た、水溶性のアルミニウム化合物として硫酸アルミニウ
ムを使用した場合には、水酸化ナトリウムや水酸化カリ
ウム等のアルカリを添加してジルコニウム固溶二酸化チ
タンを分散させた水性スラリーのpHを7に調整する。
【0020】ケイ素やアルミニウムの含水酸化物の処理
量は、SiO2及びAl23に換算してTiO2に対して
それぞれ1〜20重量%が適当である。処理量がこれよ
り少ないと充分な分散性改善効果が得られず、また、こ
の量が多すぎると紫外線遮蔽効果が低下するので好まし
くない。
【0021】また、有機被覆材による処理方法も公知で
あり、必要に応じ適当な方法により処理することができ
る。
【0022】尚、天然産のルチル型酸化チタンやイルメ
ナイト等の鉱石をTiO2源として合成したチタニアゾ
ルは、ニオブ、タンタル、鉄等を始めとする鉱石に由来
する各種の不純物を含んでいるが、顔料用途で許容され
ている程度の量を不純物として含有していても何ら問題
はない。
【0023】以下に実施例を挙げて本発明を更に詳細に
説明する。以下の実施例は単に例示の為に記すものであ
り、発明の範囲がこれらによって制限されるものではな
い。実施例1 硫酸チタニル水溶液を加水分解して得た含水酸化チタン
を上澄み液の電気伝導度が1100μS/cmになるま
で純水で洗浄した後、水酸化ナトリウム水溶液を添加し
て、該スラリーのpHを9に調整し、1時間撹拌を続け
た。その後、塩酸を滴下して、該スラリーのpHを7に
調整した後、上澄み液の電気伝導度が250μS/cm
になるまで純水を用いて洗浄した。
【0024】この後、該スラリーに塩酸を添加してスラ
リーのpHを1.5に調整して、TiO2として120
g/lのアナタース型の結晶構造を有するチタニアゾル
1リットルを得た。ZrO2として250g/lのオキ
シ塩化ジルコニウム水溶液を24ml添加後、1時間撹
拌した。その後、水酸化ナトリウム水溶液を添加して、
スラリーのpHを7に調整した。上澄み液の電気伝導度
が60μS/cmになるまで純水で洗浄した後、濾過、
乾燥した。この乾燥物を900℃で1時間焼成して0.
01〜0.05μmの粒子径を持つ微粉末を得た。
【0025】この微粉末をX線回折により調べたとこ
ろ、アナタース型二酸化チタンと同様な回折パターンを
示したものの、回折線の位置はアナタース型二酸化チタ
ンのそれよりも低角度側にシフトしていた。高純度ケイ
素粉末(99.9%)を内部標準としてアナタース型二
酸化チタンの(101)面に対応する格子面間隔dを求
めたところ、3.530Åであった。
【0026】比較例 1 実施例1で使用したチタニアゾル1リットルに水酸化ナ
トリウム水溶液を添加して、スラリーのpHを7に調整
した。上澄み液の電気伝導度が60μS/cmになるま
で純水で洗浄した後、濾過、乾燥した。この乾燥物を9
00℃で1時間焼成したところ、0.04〜0.18μ
mの粒子径を持つ微粉末が得られた。
【0027】この微粉末をX線回折により調べたところ
アナタース型二酸化チタンの単一相であることが分かっ
た。高純度ケイ素粉末(99.9%)を内部標準として
(101)格子面間隔dを求めたところ3.520Åで
あった。この値は、前述した、実施例1の微粉末のそれ
よりも小さい値である。このことから、実施例1の微粉
末は、アナタース型二酸化チタン結晶格子のTi4+の位
置にZr4+が置換固溶した結晶であることが分かる。
【0028】比較例 2 比較例1において、焼成条件を750℃で1時間とした
他はすべて同じ条件で処理したところ、0.01〜0.
05μmの粒子径を持つアナタース型二酸化チタンの微
粉末が得られた。
【0029】実施例 2 実施例1で使用したチタニアゾル1リットルにZrO2
として250g/lのオキシ塩化ジルコニウム水溶液を
50ml添加後、1時間撹拌した。その後、水酸化ナト
リウム水溶液を添加して、スラリーのpHを7に調整し
た。上澄み液の電気伝導度が50μS/cmになるまで
純水で洗浄した後、濾過、乾燥した。この乾燥物を80
0℃で1時間焼成して0.01〜0.04μmの粒子径
を持つ微粉末を得た。
【0030】この微粉末をX線回折により調べたところ
アナタース型二酸化チタンと同様な回折パターンを示
し、回折線の位置は実施例1のそれよりも更に低角度側
にシフトしていた。高純度ケイ素粉末(99.9%)を
内部標準としてアナタース型二酸化チタンの(101)
面に対応する格子面間隔dを求めたところ、3.536
Åであり、アナタース型二酸化チタン結晶格子中へのジ
ルコニウムの固溶量は実施例1のそれよりも多かった。
【0031】実施例 3 実施例2で得られた乾燥物を700℃で焼成して0.0
1〜0.05μmの粒子径を持つ微粉末を得た。
【0032】この微粉末をX線回折により調べたところ
ジルコニウムが固溶したアナタース型二酸化チタンの単
一相であることが分かった。
【0033】実施例 4 実施例1で使用したチタニアゾル1リットルにZrO2
として250g/lのオキシ塩化ジルコニウム水溶液を
65ml添加後、1時間撹拌した。その後、水酸化ナト
リウム水溶液を添加して、スラリーのpHを7に調整し
た。上澄み液の電気伝導度が50μS/cmになるまで
純水で洗浄した後、濾過、乾燥した。この乾燥物を91
0℃で1時間焼成して0.01〜0.04μmの粒子径
を持つ微粉末を得た。
【0034】この微粉末をX線回折により調べたところ
ジルコニウムが固溶したアナタース型二酸化チタンと少
量のチタン酸ジルコニウムとの2相混合物であることが
分かった。高純度ケイ素粉末(99.9%)を内部標準
としてアナタース型二酸化チタンの(101)面に対応
する格子面間隔dを求めたところ、3.537Åであっ
た。
【0035】実施例 5 硫酸チタニル水溶液を加水分解して得た含水酸化チタン
を上澄み液の電気伝導度が1100μS/cmになるま
で純水で洗浄した後、水酸化ナトリウム水溶液を添加し
て、該スラリーのpHを9に調整後、1時間撹拌を続け
た。その後、塩酸を滴下して、該スラリーのpHを7に
調整した後、上澄み液の電気伝導度が150μS/cm
になるまで純水を用いて洗浄した。
【0036】この後、該スラリーに塩酸を添加してスラ
リーのpHを1.0に調整して、TiO2として110
g/lのチタニアゾル1リットルとし、この後更に、1
5時間撹拌続けた。ZrO2として200g/lのオキ
シ塩化ジルコニウム水溶液を35ml添加後、1時間撹
拌した。その後、水酸化ナトリウム水溶液を添加して、
スラリーのpHを7に調整した。上澄み液の電気伝導度
が60μS/cmになるまで純水で洗浄した後、濾過、
乾燥した。この乾燥物を900℃で1時間焼成して0.
01〜0.04μmの粒子径を持つ微粉末を得た。
【0037】この微粉末をX線回折により調べたところ
ジルコニウムが固溶したアナタース型二酸化チタンとジ
ルコニウムが固溶したルチル型二酸化チタンとの2相混
合物であり、主回折線の強度比から求めた2相の量的割
合は、ジルコニウムが固溶したアナタース型二酸化チタ
ンが約90重量%、ジルコニウムが固溶したルチル型二
酸化チタンが約10重量%であった。
【0038】高純度ケイ素粉末(99.9%)を内部標
準としてアナタース型二酸化チタンの(101)面に対
応する格子面間隔dを求めたところ、3.530Åであ
り、ルチル型二酸化チタンの(110)面に対応する格
子面間隔dを求めたところ、3.259Åであった。
【0039】比較例 3 実施例5で使用したアナタース型の結晶構造を有するチ
タニアゾルを、実施例5と同様に15時間撹拌を続けた
後、水酸化ナトリウム水溶液を添加して、スラリーのp
Hを7に調整した。上澄み液の電気伝導度が60μS/
cmになるまで純水で洗浄した後、濾過、乾燥した。こ
の乾燥物を900℃で1時間焼成して0.05〜0.2
5μmの粒子径を持つ微粉末を得た。
【0040】この微粉末をX線回折により調べたとこ
ろ、ルチル型二酸化チタンとアナタース型二酸化チタン
の2相混合物であり、主回折線の強度比から求めた2相
の量的割合は、ルチル型二酸化チタンが約85重量%、
アナタース型二酸化チタンが約15重量%であった。
【0041】高純度ケイ素粉末(99.9%)内部標準
としてアナタース型二酸化チタンの(101)格子面間
隔dを求めたところ、3.521Åであり、ルチル型二
酸化チタンの(110)格子面間隔dを求めたところ、
3.249Åであった。実施例5および比較例3の結果
より、二酸化チタンの結晶格子にジルコニウムが固溶す
ることでアナタースからルチルへの転移が阻害されるこ
とが分かる。
【0042】実施例 6 TiO2として150g/lのルチル型の結晶構造を有
するチタニアゾル1リットルに、ZrO2として250
g/lのオキシ塩化ジルコニウム水溶液を45ml添加
後、1時間撹拌した。その後、水酸化ナトリウム水溶液
を添加して、スラリーのpHを6に調整した。上澄み液
の電気伝導度が40μS/cmになるまで純水で洗浄し
た後、濾過、乾燥した。この乾燥物を850℃で1時間
焼成して0.01〜0.04μmの粒子径を持つ微粉末
を得た。
【0043】この微粉末をX線回折により調べたとこ
ろ、ルチル型二酸化チタンと同様な回折パターンを示し
た。高純度ケイ素粉末(99.9%)を内部標準として
ルチル型二酸化チタンの(110)面に対応する格子面
間隔dを求めたところ、3.261Åであった。
【0044】比較例 4 実施例6で使用したチタニアゾル1リットルに、水酸化
ナトリウム水溶液を添加して、スラリーのpHを6に調
整した。上澄み液の電気伝導度が40μS/cmになる
まで純水で洗浄した後、濾過、乾燥した。この乾燥物を
850℃で1時間焼成して0.04〜0.15μmの粒
子径を持つ微粉末を得た。
【0045】この微粉末をX線回折により調べたとこ
ろ、ルチル型二酸化チタンの単一相であった。高純度ケ
イ素粉末(99.9%)を内部標準として(110)格
子面間隔dを求めたところ、3.250Åであった。
【0046】実施例 7 実施例1で得られた微粉末300gを200g/lの水
性スラリーとし、Al23として210g/lのアルミ
ン酸ナトリウム水溶液135mlを添加した後、塩酸を
滴下して、該スラリーのpHを6.5に調整した。濾
過、乾燥して110℃で乾燥した。
【0047】実施例 8 実施例1で得られた微粉末500gを150g/lの水
性スラリーとし、SiO2として85g/lケイ酸ナト
リウム水溶液300mlを添加した後、更にAl23
して107g/lの硫酸アルミニウム水溶液を249m
lを添加した。該スラリーに水酸化ナトリウム水溶液を
滴下してpHを7.5に調整した。濾過、洗浄して11
0℃で乾燥した。
【0048】実施例1〜8および比較例1〜3で得られ
た微粉末を太陽光に8時間暴露したところ、比較例の微
粉末の色調はいずれも青黒く変色したのに対し、実施例
の微粉末のそれは特に変色しなかった。
【0049】また、実施例1〜6および比較例1〜4の
微粉末を0.01重量%濃度になるように水中に分散
し、10mm厚の石英セルに入れ、可視光線(550n
m)及び紫外線(320nm)の透過率を、日本分光製
分光光度計Ubest−50型で測定した結果を第1表
に示す。この表より、本発明の微粉末の分散液は、高い
可視光線透過率を有していることが分かる。また、実施
例1〜6および比較例2の分散液を3日間放置した後の
上記特性を測定したところ、比較例2の微粉末の分散液
については可視光線および紫外線透過率ともに大きくな
ったのに対し、実施例の微粉末のそれは特に変化せず、
本発明の微粉末は水中での分散安定性に優れていた。
【0050】実施例7および8の微粉末をニトロセルロ
ース溶液に配合してニトロセルロース塗料を作製する際
の塗料を5分毎にグラインドゲージで調べたところ、1
0μm以下になるまでの分散時間はいずれも15〜20
分であり、分散性に優れているものであった。
【0051】
【表1】

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 0.01〜0.1μmの範囲内の大きさ
    であり、かつ結晶構造中にジルコニウムが固溶したこと
    を特徴とする二酸化チタン微粉末。
  2. 【請求項2】 粒子表面に被覆層を有することを特徴と
    する請求項1記載の二酸化チタン微粉末。
  3. 【請求項3】 被覆層が、ケイ素の含水酸化物およびア
    ルミニウムの含水酸化物からなる群より選ばれた少なく
    とも1種の含水酸化物であることを特徴とする請求項2
    記載の二酸化チタン微粉末。
  4. 【請求項4】 結晶形がアナタース型である、請求項1
    から3のいずれか1項記載の二酸化チタン微粉末。
  5. 【請求項5】 チタニアゾルに水溶性のジルコニウム化
    合物を添加後、アルカリを添加して中和し、濾過水洗し
    た後400〜1000℃で焼成することを特徴とする請
    求項1記載の二酸化チタン微粉末の製造方法。
  6. 【請求項6】 チタニアゾルに水溶性のジルコニウム化
    合物を添加後、アルカリを添加して中和し、濾過水洗し
    た後400〜1000℃で焼成し、この後該焼成物を水
    中に分散して水性スラリーとし、このスラリーに水溶性
    の、ケイ素化合物およびアルミニウム化合物からなる群
    より選ばれる少なくとも1種の化合物を添加後中和する
    ことを特徴とする請求項3記載の二酸化チタン微粉末の
    製造方法。
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