JPH0752357Y2 - エンジンヘッドカバーのプラグチューブガスケット - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案はたとえば自動車エンジン等のヘッドカバーに取
付けられるプラグチューブガスケットに関するものであ
る。

（従来の技術） 従来のこの種のエンジンヘッドカバーのプラグチューブ
ガスケットとしては、たとえば第２図に示すようなもの
がある。すなわち、100はプラグチューブガスケットを
示しており、ヘッドカバー101に設けられた孔102内周に
嵌合装着され、この孔102内に装着されるプラグチュー
ブ103外周と孔102内周との隙間をシールしている。

一方、ヘッドカバー101には、上記プラグチューブガス
ケット100の下側にヘッドカバー101内周に形成された凹
溝104との間にオイル通路105を形成するためのバッフル
プレート106がボルト締めあるいは通電カシメ等により
固定されている。バッフルプレート106とヘッドカバー1
01との接合面には液状パッキン107が塗布されている。

そして、プラグチューブガスケット100の取付は、液状
パッキン107を塗布してバッフルプレート106をヘッドカ
バー101に取付け、その後プラグチューブガスケット100
をヘッドカバー101の孔102内周に嵌合固定している。

（考案が解決しようとする課題） しかしながら上記した従来技術の場合には、高温時にお
けるヘッドカバー101とプラグチューブガスケット100と
の熱膨張差によって、プラグチューブガスケット100が
脱落するおそれがあった。

また、ヘッドカバー101の軽量化にともない、ヘッドカ
バー101の肉厚を薄くする傾向があり、プラグチューブ
ガスケット100嵌合時にヘッドカバー101が変形してしま
う可能性がある。

さらに、軽量化等を図るためにヘッドカバー101の樹脂
化が検討されており、従来のプラグチューブガスケット
100を嵌合装着する方法がとれなくなってきた。すなわ
ち、樹脂の場合は熱膨張量が大きく、さらに剛性も小さ
いために、上記した脱落の問題および変形の問題が大き
くなってしまう。

本考案は上記した従来技術の課題を解決するためになさ
れたもので、その目的とするところは、高温時のヘッド
カバーからの脱落を防止でき、しかもヘッドカバー変形
の問題も解消し得るエンジンヘッドカバーのプラグチュ
ーブガスケットを提供することにある。

（課題を解決するための手段） 上記目的を達成するために、本考案にあってはヘッドカ
バーに形成された孔内周と、該孔に挿入されるプラグチ
ューブ外周との隙間を、前記ヘッドカバーに装着される
ガスケット本体にてシールするエンジンヘッドカバーの
プラグチューブガスケットにおいて、前記ガスケット本
体を前記ヘッドカバー内周に固定されるオイル通路形成
用のバッフルプレートと一体成形し、ガスケット本体を
バッフルプレートを介してヘッドカバーに固定して成る
ことを特徴とする。

ガスケット本体の外周側にはヘッドカバーの孔内周に密
封状態で接触するシールリップを設けるようにしてもよ
い。

（作用） 上記構成のエンジンヘッドカバーのプラグチューブガス
ケットにあっては、ガスケット本体がバッフルプレート
を介してヘッドカバーに固定されているので、高温下に
おいてヘッドカバーの孔内周とガスケット本体外周との
間に熱膨張差が生じてもガスケット本体が脱落するおそ
れはない。

また、取付時にガスケット本体をヘッドカバーの孔に圧
入する必要はないので、ヘッドカバーが変形するおそれ
もない。

さらに、ガスケット本体外周にシールリップを設けれ
ば、外周側のシールが確実になる。また、シールリップ
の変形によってヘッドカバーとガスケット本体の熱膨張
差を吸収でき、高温下におけるシール性も向上する。

（実施例） 以下に本考案を図示の実施例に基づいて説明する。本考
案の一実施例に係るエンジンヘッドカバーのプラグチュ
ーブガスケットを示す第１図において、１はガスケット
本体であり、ヘッドカバー２に設けられた孔３内周と、
この孔３に挿入されるプラグチューブ４外周との隙間に
装着されると共に、バッフルプレート５と一体的に焼付
成形されている。

ヘッドカバー２は下方が開いた中空の部材で、天壁21
と、この天壁21の周縁から全周的に垂下して延びる周壁
22とから構成され、天壁21と周壁22との隅角部に下方に
開いた凹溝23が形成されている。一方プラグチューブ４
が挿入される孔３は天壁21の中央部に貫通形成されてい
る。この孔３は天壁21上面側の小径部31と下面側の大径
部32との段付構成となっていて、ガスケット本体１は孔
３の大径部32側に装着される。

バッフルプレート５は板状部材で、上記ヘッドカバー２
の天壁21裏面に形成された凹溝23の開口縁の左右両端面
に接合され、従来例と同様にボルト締めあるいは通電か
しめによりヘッドカバー２に固定される。この凹溝23と
バッフルプレート５によってオイル通路24が構成されて
いる。そして、バッフルプレート５とヘッドカバー２と
の接合面は液状パッキン６にてシールされる。

ガスケット本体１はゴム状弾性体製で、孔３の外側に向
って開いた断面略Ｖ字状の環状部材で、内径側の脚部が
プラグチューブ４の外周に密封状態にて接触するメイン
シールリップ11となっており、外径側の脚部12がバッフ
ルプレート５の内径端縁に一体的に焼付け固定されてい
る。

さらに、バッフルプレート５の内径端部には孔３の大径
部32内周に密接するように延びるシールリップ13が設け
られている。このシールリップ13は上記外径側の脚部12
の延長線上に延び、孔３の外側に向って径が徐々に大き
くなるように傾斜しており、リップ先端が大径部32内周
に密接している。

上記構成のエンジンヘッドカバーのプラグチューブガス
ケットにあっては、ガスケット本体１がバッフルプレー
ト５を介してヘッドカバー２に固定されているので、高
温下においてヘッドカバー２の孔３とガスケット本体１
の熱膨張差が生じてもガスケット本体１が脱落するおそ
れはない。

一方、このガスケット本体１の取付けは、バッフルプレ
ート５と一体化してあるので、バッフルプレート５をヘ
ッドカバー２に取付け固定するだけでよく、一工程で行
なうことができる。

そして、ガスケット本体１の内周側はプラグチューブ４
に接触するメインシールリップ11によってシールされ、
一方外周側は孔３の大径部32内周に密接するシールリッ
プ13によってシールされる。さらに、外周側において
は、バッフルプレート５の液状パッキン６によってもシ
ールされる。

そして、外周側にシールリップ13を設けることによっ
て、このシールリップ13の変形によりヘッドカバー２の
孔３とガスケット本体１の熱膨張差が吸収され、高温下
においても良好なシール性が得られる。

（考案の効果） 本考案は以上の構成および作用を有するもので、ガスケ
ット本体をバッフルプレートと一体成形し、このバッフ
ルプレートを介してヘッドカバーに固定するようにした
ので、高温時にヘッドカバーの孔とガスケット本体間に
熱膨張差が生じてもガスケット本体が脱落することがな
い。

また、ガスケット本体をヘッドカバーの孔に圧入する必
要が無いので、ヘッドカバーが変形するおそれがなくな
り、ヘッドカバーの薄肉化、樹脂化等を実現することが
できる。

さらに、バッフルプレートを取付けると同時にガスケッ
ト本体を装着することができるので、従来のガスケット
装着工程を廃止でき、また装着に必要としていた装置も
不要となる。

また、ガスケットの内周側にシールリップを設けておけ
ば、バッフルプレートの接合部のシールと２重のシール
構造となり完全なシールが可能となる。

さらに、シールリップであるため、小さな荷重でシール
可能となり、ヘッドカバーを変形させるおそれがない。

さらにまた、つぶし量を大きくすることができ、ヘッド
カバーの熱膨張が大きくてもシール可能である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例に係るエンジンヘッドカバー
のプラグチューブガスケットを示す要部縦断面図、第２
図は従来のエンジンヘッドカバーのプラグチューブガス
ケットを示す要部縦断面図である。 符号の説明 １……ガスケット本体、11……メインシールリップ、12
……外径側脚部、13……シールリップ、２……ヘッドカ
バー、21……天壁、22……周壁、23……凹溝、24……オ
イル通路、３……孔、４……プラグチューブ、５……バ
ッフルプレート、６……液状パッキン

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ヘッドカバーに形成された孔内周と、該孔
   に挿入されるプラグチューブ外周との隙間を、前記ヘッ
   ドカバーに装着されるガスケット本体にてシールするエ
   ンジンヘッドカバーのプラグチューブガスケットにおい
   て、 前記ガスケット本体を前記ヘッドカバー内周に固定され
   るオイル通路形成用のバッフルプレートと一体成形し、
   ガスケット本体をバッフルプレートを介してヘッドカバ
   ーに固定して成ることを特徴とするエンジンヘッドカバ
   ーのプラグチューブガスケット。
2. 【請求項２】ガスケット本体の外周側にはヘッドカバー
   の孔内周に密封状態で接触するシールリップを設けた請
   求項１に記載のエンジンヘッドカバーのプラグチューブ
   ガスケット。