JPH075232Y2 - スロットル操作装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、刈払機等の携帯形動力作業機などの原動機と
して用いられる内燃機関のスロットル操作装置に関する
ものである。

〔従来の技術〕

従来、この種のスロットル操作装置として、ハンドルな
どの固定部に固定された軸と、所定以上の大きさの力が
加わったときに前記軸に対して回動するように前記軸に
支持され、スロットルケーブルの一端が係止されて内燃
機関を減速せしめる回動方向に付勢されたスロットルレ
バーとから構成された、いわゆるフリクションロック式
スロットル操作装置が提供されている。

この種のスロットル操作装置は、力を加えて前記スロッ
トルレバーを任意の角度まで回動させると、その角度に
応じてスロットルケーブルが引かれ又は戻され、スロッ
トルレバーから手を離しても、スロットルレバーはその
角度位置に保持され、内燃機関の回転を所望の一定値に
保持することができるものであり、操作性に優れたもの
であった。

〔考案が解決しようとする課題〕

しかしながら、前述した従来のスロットル操作装置で
は、内燃機関を最低速に戻す場合にも、前記スロットル
レバーをいちいち回動させなければならなかったので、
その操作に手間取り、危険防止のためなどに必要な場合
でも瞬間的に最低速に戻すことができず、安全性の点で
必ずしも十分ではなかった。

かかる事情に鑑み、本考案は、作業中は手で保持しなく
ても内燃機関の回転を所望の一定に保持することがで
き、しかも、ワンタッチ操作で瞬間的に内燃機関を最低
速にすることができるスロットル操作装置を提供しよう
とするものである。

〔課題を解決するための手段〕

前記課題を解決するため、本考案は、固定された内軸
と、該内軸の軸線に沿って上下に移動自在かつ回動不能
に前記内軸に嵌合されるとともに常時上方に付勢されて
下方に押圧操作し得る中軸と、下面が前記中軸に設けら
れたフランジ部の上面と対面するフランジ部を有して前
記中軸に回動自在に支持された外軸と、所定以上の力が
加わったときに前記外軸に対して回動するように該外軸
に支持されるとともに内燃機関を減速せしめる方向に付
勢されたスロットルケーブルの一端が係止するスロット
ルレバーとを備えてなり、前記中軸のフランジ部の上面
及び前記外軸のフランジ部の下面にそれぞれ係合部を設
けてこれらを互いに前記中軸のその軸線に沿った上下の
移動状態に応じて係脱自在ならしめてなる構成としたも
のである。

〔作用〕

本考案によれば、中軸を下方に押圧操作しない通常の使
用状態においては、中軸が上方に付勢されているので、
中軸のフランジ部の上面の係合部と外軸のフランジ部の
下面の係合部とは互いに係合しており、このため、外軸
の回動が拘束されている。

したがって、この通常の使用状態においては、前記外軸
は、前述した従来のスロットル操作装置における軸と全
く同一の作用を担い、力を加えてスロットルレバーを任
意の角度まで回動させると、その角度に応じてスロット
ルケーブルが引かれ又は戻され、スロットルレバーから
手を離しても、スロットルレバーはその角度位置に保持
され、内燃機関の回転を所望の一定値に保持することが
できる。

一方、危険防止等のために咄嗟に内燃機関の回転を下げ
る必要がある場合には、中軸を押圧すれば、中軸のフラ
ンジ部の上面の係合部と外軸のフランジ部の下面の係合
部との係合が解除され、外軸の中軸に対する回動がフリ
ーとなる。この結果、スロットルレバーはスロットルケ
ーブルの一端が係止されて内燃機関を減速せしめる回動
方向に付勢されているので、スロットルレバーが前記外
軸と一体となったままその方向に自動的に引き戻され、
内燃機関の回転が瞬間的に最低速となり、遠心クラッチ
装置を有する場合には自動的に動力が断たれる。

〔実施例〕

以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明する。

第１図は本考案のスロットル操作装置ａを装備し、空冷
２サイクルガソリンエンジン等の内燃機関ｂを原動機と
する携帯用作業機（刈払機）ｃの一例を示す斜視図、第
２図は前記スロットル操作装置ａの正面図、第３図は第
２図のIII−III線に沿った断面図である。

これらの図面において、１は内軸、２は中軸、３は外
軸、４はスロットルレバーで、これらにより前記スロッ
トル操作装置ａが構成されている。

前記内軸１、中軸２及び外軸３はケース５により覆われ
ている。なお、該ケース５は、上下二つ割り構成とさ
れ、上側ケース5a及び下側ケース5bがねじ６止めにより
一体化されている。

そして、前記内軸１は前記下側ケース5b内に一体的に突
設されるが、該内軸１の下端部分が取付け金具７ととも
に前記下側ケース5bにボルト８止めされ、さらに、該取
付け金具７が前記携帯用作業機ｃのハンドル９の把持部
10の下部にボルト11及びナット12で固定されている。す
なわち、前記内軸１は、ハンドル９に取付け金具７を介
して固定される固定部たる前記ケース５に固定されてい
る。なお、前記内軸１は二面取りが施こされ、前記中軸
２をその軸線の回りに回動不能に支持するようになって
いる。

前記内軸１は、前記下側ケース5bと一体成形することも
できる。

また、前記中軸２には前記内軸１に適合する適合孔13が
設けられ、該適合孔13が前記内軸１に上方から適合さ
れ、これによって、前記中軸２は、その軸線に沿って上
下には移動自在であるが、軸線の周りには回動不能に前
記内軸１に支持されている。また、前記中軸２の下部に
は前記下側ケース5bの内径に摺動自在に嵌合するフラン
ジ部14が形成され、該フランジ部14と前記下側ケース5a
との間に圧縮コイルばね15が介在され、該コイルばね15
により前記中軸２は常時上方に付勢されている。また、
前記中軸２の頭部16は前記上側ケース5aから上方へ押ボ
タン状に突出させられており、該頭部16を押圧操作し得
るようになっている。なお、前記中軸２の前記フランジ
部14より上側の外周面は円筒面とされている。

さらに、前記外軸３には前記中軸２に適合する適合孔17
が設けられ、該適合孔17が前記中軸２の円筒面に適合さ
れ、これによって、前記外軸３は、前記中軸２の軸線の
周りに回動自在に支持されている。また、前記外軸３の
下端部には前記中軸２のフランジ部14と同様のフランジ
部18が形成され、該フランジ部18の下面が前記中軸２の
フランジ部14の上面と対面させられている。なお、前記
外軸３は、その上端部が前記上側ケース5aの天井部に当
接することにより、上方への移動が規制されるととも
に、前記スロットルレバー４の基部19と前記フランジ部
18との間に介在させた座金20が前記下側ケース5bに支持
されることにより、下方への移動が規制されている。

さらにまた、前記スロットルレバー４は、その基部19が
環状に構成されて前記外軸３の外周円筒面部に回動自在
に嵌合されている。そして、前記外軸３にその上端側か
ら螺合されたナット21によって圧縮された皿ばね22によ
って、前記スロットルレバー４の基部19は前記外軸３の
フランジ部18の上面に前記座金20を介して押しつけられ
ている。したがって、その摩擦によって、スロットルレ
バー４に所定以上の力が加わったときに初めて、スロッ
トルレバー４が外軸３に対して回動するようになってい
る。なお、皿ばね22によるスロットルレバー４を保持す
る摩擦力は、後述のスロットルケーブル23による力によ
ってはスロットルレバー４が回動しないように設定さ
れ、具体的には前記ナット21の締付け具合により調整さ
れる。また、前記スロットルレバー４には、内燃機関ｂ
の気化器のスロットルバルブ（図示せず）を閉じる方向
に付勢された前記スロットルケーブル23のインナーワイ
ヤー24の自由端25が係止され、前記スロットルレバー４
は、第２図中反時計方向、すなわち、内燃機関ｂを減速
する方向に常時付勢されている。なお、前記スロットル
ケーブル23のアウターチューブ26の端部は前記ケース５
に固定され、また、前記スロットルケーブル23のインナ
ーワイヤー24は、スロットルレバー４の基部19の外周に
設けた案内溝27により案内されるようになっている。

そして、前記中軸２のフランジ部14の上面及び前記外軸
３のフランジ部18下面にそれぞれ係合部28,29を設け
て、これらを互いに前記中軸２の軸線に沿った上下方向
の移動状態に応じて係合自在ならしめている。前記係合
部28,29は、具体的には図面には示していないが、例え
ば、菊座状に構成することができる。

〔考案の効果〕

本考案によれば、作業中に作業者が常時保持しなくても
内燃機関の回転を一定に保つことができ、しかも、必要
に応じてワンタッチ操作で瞬間的に内燃機関を最低速に
することができ、操作性も良く安全性も向上する等の効
果が得られる。また、内軸、中軸及び外軸を同心的に配
置することもできるので、装置全体を小型化できる等の
効果も得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案のスロットル操作装置を装備した携帯形
動力作業機の一例を示す斜視図、第２図は本考案のスロ
ットル操作装置の一実施例を示す正面図、第３図は第２
図のIII−III線に沿った断面図である。 ａ……スロットル操作装置、ｂ……内燃機関、１……内
軸、２……中軸、３……外軸、４……スロットルレバ
ー、14,18……フランジ部、23……スロットルケーブ
ル、28,29……係合部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】固定された内軸１と、該内軸１の軸線に沿
   って上下に移動自在かつ回動不能に前記内軸１に嵌合さ
   れるとともに常時上方に付勢されて下方に押圧操作し得
   る中軸２と、下面が前記中軸２に設けられたフランジ部
   14の上面と対面するフランジ部18を有して前記中軸２に
   回動自在に支持された外軸３と、所定以上の力が加わっ
   たときに前記外軸３に対して回動するように該外軸３に
   支持されるとともに内燃機関ｂを減速せしめる方向に付
   勢されたスロットルケーブル23の一端が係止するスロッ
   トルレバー４とを備えてなり、前記中軸２のフランジ部
   14の上面及び前記外軸３のフランジ部18の下面にそれぞ
   れ係合部28,29を設けてこれらを互いに前記中軸２のそ
   の軸線に沿った上下の移動状態に応じて係脱自在ならし
   めてなることを特徴とするスロットル操作装置。