JPH0752067B2 - 既設プッシャ式加熱炉の改造方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、既設プッシャ式加熱炉
の改造方法、詳しくは、既設プッシャ式加熱炉をウォー
キングビーム式加熱炉に改造する改造方法に関するもの
である。

【０００２】

【従来の技術と発明が解決しようとする課題】従来、既
設プッシャ式加熱炉をウォーキングビーム式加熱炉に改
造する場合、既設炉を全て解体し、その後、基礎改修を
行ない、全て新規な部材でウォーキングビーム式加熱炉
を構築していた。したがって、この改造は工期が長く
（約１０ケ月）なるばかりか、改造費が大巾に高くなる
という課題を有していた。本発明は、既設プッシャ式加
熱炉をウォーキングビーム式加熱炉に改造するにあた
り、改造前の加熱炉の本体部分および基礎部分の一部が
利用できることに着目し、これらを最大限利用すること
により、工期を短くし、かつ、それだけ安価な改造方法
を提供することを目的とする。

【０００３】

【課題を解決するための手段】本発明にかかる既設プッ
シャ式加熱炉の改造方法は、前記目的を達成するため
に、既設プッシャ式加熱炉をウォーキングビーム式加熱
炉に改造するに際し、既設炉の装入部分、装入部の炉下
金物および均熱帯天井部を解体撤去する工程と、既設炉
内に、吊上げ装置を備えた移動台車を設置する工程と、
固定スキッド、耐火物および炉床金物を解体して前記移
動台車を利用して解体物を炉外へ搬出する工程と、前記
移動台車により偏心輪を炉内の所定位置に設置する工程
と、ウォーキングビームの移動フレームを炉の装入側か
ら順次設置して組立てる工程と、前記移動台車によりウ
ォーキングビームの固定フレームおよび炉床金物を炉の
装入側より順次設置する工程と、炉内スキッドを組立て
るとともに、均熱帯天井部および炉床等の耐火物を構築
する工程と、前記移動台車を炉内から搬出する工程と、
から構成したものである。

【０００４】

【実施例】つぎに、本発明の一実施例を図面にしたがっ
て説明する。図１は、改造前のプッシャ式加熱炉を示
し、１は予熱帯、２は加熱帯、３は均熱帯で、予熱帯１
と加熱帯２には軸流バーナ５，５が、均熱帯３にはルー
フバーナ７を有する。炉床４は支柱８に支持され、炉床
耐火物４ａにはクロスパイプ１０ａを支持する水冷ポス
ト１０が立設され、前記クロスパイプ１０ａ上にスキッ
ドレール９が敷設されている。なお、１１ａは装入口に
設けた装入扉で、該装入扉１１ａの前方には、装入ロー
ラテーブル１２によって搬送されてきた処理材をプッシ
ャ１３で前記スキッドレール９上に移載するエントリレ
ール１４を備えている。その他、１５はガスあるいは熱
風の配管、１６は煙道、１７は装入前板で、１１ｂは抽
出扉である。

【０００５】前記プッシャ式加熱炉を改造するには、ま
ず、図１に斜線で示すように、エントリーレール１４，
装入側スキッド９ａ，装入前板１７、および一部の支柱
８等の装入部分と、ガス管等の配管１５等の炉床金物
と、天井部の配管，天井金物およびルーフバーナ７等の
均熱帯３の天井部４ｃとを解体除去する（図２参照）。

【０００６】つぎに、図３に示すように、炉内両側壁４
ｂに沿ってレール２０を敷設し、このレール２０上に、
各々チェーンブロック等の吊上げ装置２２を備えた２台
の門型移動台車２１を設置し、この移動台車２１を使用
して、まず、前記スキッドレール９の残りを解体して炉
外に搬出し、つづいて炉床耐火物４ａから上方および側
壁４ｂ近傍で切断した冷却ポスト１０を炉外に搬出す
る。なお、２１ａは前記門型移動台車２１を移動させる
足場である。その後、図４に示すように、炉床４の耐火
物４ａ上にパワーショベル２３を前記均熱帯３の天井部
開口３ａから入れ、耐火物４ａを解体するとともに、残
りの炉床金物６および支柱８を移動台車２１を使用して
炉外に搬出する（図５参照）。また、軸流バーナ５を撤
去する。

【０００７】前記のようにして、不必要な炉内部材をす
べて除去したのち、炉内ピットに仮設ステージ２３を設
置し、天井クレーン２４にて均熱帯３の天井部開口３ａ
から偏心輪ブロック２５を前記仮設ステージ２３上に一
旦載置したのち、前記移動台車２１のチェーンブロック
２２を利用して偏心輪ブロック２５およびウォーム減速
機２６（図７参照）を所定位置に据え付ける（図６参
照）。なお、３０ａ，３０ｂおよび３０ｃは新設基礎
で、均熱帯３の天井部４ｃの解体と平行して施工され
る。ついで、炉床支柱２７を立設して、ポストパイプ３
０、ウォータトラフ３１等を備えた分割ウォーキングビ
ームの移動フレーム２９を、前記支柱２７上に敷設した
引込レール２８上に、コロ手段３２を介して載置し、図
示しないウインチにより炉の装入口側に順次引込み、ジ
ャッキアップして仮受支柱３３上に載置して、適宜連結
して組立てる（図７〜９参照）。

【０００８】その後、炉内に支柱３４を立設した後、前
記ウォーキングビームの移動フレーム２９の正規駆動に
よるポストパイプ３０の移動を許容する貫通孔３６を有
するとともに、前記ウォータトラフ３１内に位置して前
記貫通孔３６をシールするシールボックス３７を備えた
固定炉床金物３５を、前記移動台車２１のチェーンブロ
ック２２で吊下げ移動し、その縦梁３８を前記支柱３４
の頂部に溶接等にて固定する（図１０参照）。そして、
前記固定炉床金物３５上に耐火物３９を張設する（図１
１参照）。

【０００９】ついで、前記ポストパイプ３０および固定
炉床金物３５に、先端にスキッドパイプ４０ａ，４１ａ
を備えた移動ポスト４０および固定ポスト４１を、前記
移動台車２１を利用して取り付ける（図１１，１２参
照）。その後、前記改造にあたって取り外した均熱帯３
の天井部６を元の状態に復元したうえで、移動台車２
１、レール２０を撤去して改造工事を終了する。

【００１０】

【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明に
おいては、プッシャ式加熱炉の炉本体の大部分を占める
側壁、予熱帯および加熱帯を流用し、しかも、炉内部品
の解体、撤去および新部品の取り込みを、炉内に仮設し
た移動台車で行なうため、工期は、従来約１０ケ月必要
であったものが、約４ケ月と短縮でき、かつ、資材も改
造前の炉本体の一部を流用するため建設費もそれだけ安
価にすることが可能となった。

【図面の簡単な説明】

【図１】 改造前の既設プッシャ式加熱炉のの断面図で
ある。

【図２】 図１における装入部分、装入部の炉下金物お
よび均熱帯天井部を解体撤去した状態を示す断面図であ
る。

【図３】 冷却ポストを切断して炉外に搬出する工程を
示す断面図である。

【図４】 図３における炉床耐火物を解体する工程を示
す断面図である。

【図５】 残りの炉床金物および支柱を移動台車により
炉外に搬出する工程を示す断面図である。

【図６】 偏心輪ブロック，ウォーム減速機の据え付け
工程を示す断面図である。

【図７】 分割ウォーキングビームの移動フレームを支
柱に載置する工程を示す断面図である。

【図８】 分割ウォーキングビームの移動フレームを装
入口側に順次引込んだ後、連結した状態の断面図であ
る。

【図９】 図８の一部拡大断面図である。

【図１０】 図９における移動フレームの上方に固定炉
床金物を設置する工程を示す断面図である。

【図１１】 図１０におけるポストパイプおよび固定炉
床金物上に移動ポストおよび固定ポストを取り付ける工
程を示す断面図である。

【図１２】 図１１の長手方向断面図である。

【図１３】 改造前のウォーキングビーム式加熱炉の断
面図である。

【符号の説明】

１…予熱帯、２…加熱帯、３…均熱帯、３ａ…天井部開
口、４…炉床、４ａ…炉床耐火物、４ｃ…天井部、６…
炉床金物、８…支柱、９…スキッドレール、１０…水冷
ポスト、９ａ…装入側スキッド、１７…装入前板、２０
…レール、２１…移動台車、２２…吊上げ装置、２３…
パワーショベル、２４…天井クレーン、２５…偏心輪ブ
ロック、２６…ウォーム減速機、２９…移動フレーム、
３０…ポストパイプ、３５…固定炉床金物、４０…移動
ポスト、４１…固定ポスト。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 既設プッシャ式加熱炉をウォーキングビ
   ーム式加熱炉に改造するに際し、 既設炉の装入部分、装入部の炉下金物および均熱帯天井
   部を解体撤去する工程と、 既設炉内に、吊上げ装置を備えた移動台車を設置する工
   程と、 固定スキッド、耐火物および炉床金物を解体して前記移
   動台車を利用して解体物を炉外へ搬出する工程と、 前記移動台車により偏心輪を炉内の所定位置に設置する
   工程と、 ウォーキングビームの移動フレームを炉の装入側から順
   次設置して組立てる工程と、 前記移動台車によりウォーキングビームの固定フレーム
   および炉床金物を炉の装入側より順次設置する工程と、 炉内スキッドを組立てるとともに、均熱帯天井部および
   炉床等の耐火物を構築する工程と、 前記移動台車を炉内から搬出する工程と、 からなる既設プッシャ式加熱炉の改造方法。