JPH0751905A - 丸チップ回転バイト - Google Patents

丸チップ回転バイト

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JPH0751905A
JPH0751905A JP19957493A JP19957493A JPH0751905A JP H0751905 A JPH0751905 A JP H0751905A JP 19957493 A JP19957493 A JP 19957493A JP 19957493 A JP19957493 A JP 19957493A JP H0751905 A JPH0751905 A JP H0751905A
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JP
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round
tip
rotation
cutting
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JP19957493A
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Riichi Otani
利一 大谷
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Nissan Motor Co Ltd
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Nissan Motor Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 丸チップ回転バイトを円滑に回転させて工具
の寿命を延長させる。 【構成】 丸チップ1をホルダ3で回転自在に軸支し、
軸2を挿通する丸チップ1の貫通孔の内径と丸チップ1
の外径の同軸度を3μm以下に形成するとともに、丸チ
ップ1を16度乃至36度の所定の角度の作用すくい角
に支持する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、旋削加工に使用される
丸チップ回転バイトの改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】旋削加工に使用されるクランプバイトの
一つとして、円形のチップを回転自在に軸支した丸チッ
プ回転バイトが知られており、例えば、特開昭61−2
79402号公報にも開示されている。
【0003】これは、図9に示すように丸チップ91を
小ねじ92により保持部品93に締結し、この保持部品
93をセットスクリュー94、ナット95、96を介し
てバイトホルダ97に取り付ける。保持部品93はバイ
トホルダ97との間の軸方向に所定の間隙を備えて丸チ
ップ91を回転自在に支持するとともに、丸チップ91
のすくい面91A(被削物からの切屑が当接する面)は
バイトホルダ97の底面に対して所定の角度(すくい
角)を与えられる。
【0004】この丸チップ91を用いた旋削について説
明すると、図10(A)、(B)にも示すように、いま
丸棒部材で形成されたワーク9を図示しない旋盤の主軸
と共に回転させ、丸チップ91を図中矢印の方向へ送っ
てワーク9の外丸削りを行うとき、図10(B)に示す
側面図のように、丸チップ91のすくい面91Aは旋盤
の主軸に対して傾斜した所定の作用すくい角αを与えら
れて切削を行う。なお、作用すくい角αとはJIS B
0107−4007にも定義されるバイトのすくい面と
被削物の回転軸(旋盤の主軸)がなす角である。
【0005】この切削中において、丸チップ91の切刃
(すくい面の周縁の一部)には図10(B)に示すよう
に、切削抵抗の主分力Fpの分力Frが加わり、この分力
rが丸チップ91の外周の接線方向に加わるために丸
チップ91は回転し、ワーク9を切削する丸チップ91
の切刃は位相を自動的に変更して切刃を均等に摩耗させ
ることで工具の寿命を延ばそうとするものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の丸チップ回転バイトにおいては、丸チップ91の作
用すくい角によっては回転数が不安定な領域、または丸
チップ91が回転しない領域が存在する場合がある。こ
れらの領域について本願出願人が行った切削実験によれ
ば、作用すくい角αと丸チップ91の回転数の関係は、
図11に示すように丸チップ91の回転数が不安定また
は回転しない領域が明らかとなった。
【0007】なお、このときの切削条件は、切削速度1
000m/min、送り0.2mm/rev、切り込み0.5mm、
ワーク9として機械構造用炭素鋼S40Cの丸棒部材
を、セラミック製の丸チップ91で切削した。
【0008】図11においては、丸チップ91の作用す
くい角αを6度(一般的なバイトの作用すくい角)から
5度ずつ変化させた結果、作用すくい角αが6度から1
6度の間では丸チップ91は回転せず、同じく16度か
ら36度の間では丸チップ91が不規則に回転又は停止
するなど作用すくい角αと回転数との関係は不定とな
り、丸チップ91に加わる回転方向の分力Frが丸チッ
プ91の回転抵抗力に対して充分に大きくなる角度領
域、すなわち、36度を越えてから初めて丸チップ91
は18rpmで安定した回転を開始し、以降丸チップ91
の回転数は作用すくい角αに比例して増大するのであ
る。
【0009】したがって、上記従来の丸チップ回転バイ
トにおいては、通常の作用すくい角である6度付近では
丸チップ91が回転しないため、切刃を変更するには従
来の丸こまバイトなどと同様に人為的に回動させる必要
があり、また、作用すくい角αを36度以上に設定しな
いと安定した回転が得られず、かつ、丸チップ91の回
転数を18rpm未満の低回転域に設定することができな
いという問題があった。
【0010】ところで、上記図11の実験結果におい
て、作用すくい角αが36度以上のときの丸チップ91
の回転数は18rpm以上で安定したが、本願出願人は丸
チップ91の回転数と工具寿命(すなわち、逃げ面の摩
耗幅)との関係を実験により求めた結果、図12に示す
とうりとなった。なお、被削材及び切削条件は上記図1
1の切削実験と同様であり、作用すくい角αは36度に
固定したものである。
【0011】図12の図中Aで示すグラフは丸チップ9
1を回転数18rpmで回転させたときの逃げ面の摩耗幅
を所定の時間おきに計測したものであるが、約10分ま
では正常に摩耗が進行するとともに摩耗幅も小さかった
が、10分を経過した直後に丸チップ91の刃先が欠損
して寿命に至る。このことから、丸チップ91の回転数
18rpmというのは、丸チップ91の耐久性の点からは
高速すぎることが分かる。
【0012】この欠損した刃先には図示しないクラック
が多数発生しており、これらクラックは丸チップ91の
回転によって刃先が周期的に加熱、冷却される熱衝撃が
欠損の起因となったと考察できる。なお、熱衝撃による
工具の欠損については、「1990年度精密工学会秋季
大会学術講演会講演論文集」375頁の「ロータリー工
具による難削材切削の工具摩耗」にも開示されている。
【0013】さらに、本願出願人は上記熱衝撃の影響を
検証するため、図9に示す丸チップ91の回転軸である
小ネジ92に潤滑油を塗布することで丸チップ91の回
転数を2450rpmに増大させて切削実験を行った。こ
のときの丸チップ91の摩耗幅が図12の図中Bで示さ
れるグラフであり、切削開始から約1分ほどで丸チップ
91は欠損して工具寿命に至ってしまった。これら、回
転数と工具寿命との関係からも明らかなように、丸チッ
プ91の回転数が低いほど熱衝撃を緩和して工具寿命を
延長させることができ、したがって、上記従来の丸チッ
プ回転バイトにおいては18rpm未満での低回転域で安
定した回転が実現できないために、工具寿命の延長が望
めないという問題点もあった。
【0014】また、上記従来例においては、図9に示す
丸チップ91と保持部品93または小ネジ92との間に
切りくず、ゴミ等の異物が侵入して丸チップ91の回転
を阻害する場合があった。
【0015】そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなさ
れたもので、所定の作用すくい角において円滑に回転さ
せるとともに異物の侵入を防止可能な丸チップ回転バイ
トを提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明は、丸チップを工
具本体で回転自在に軸支した丸チップ回転バイトにおい
て、前記軸を挿通する前記丸チップに設けた貫通孔の内
径と丸チップの外径の同軸度を3μm以下に形成すると
ともに、前記丸チップを16度乃至36度の作用すくい
角で支持する。
【0017】また、前記工具本体の内部に形成した流体
通路の一端を前記工具本体の基端に開口する一方、他端
を前記丸チップの端面に対向する所定の位置に開口し、
前記基端に開口した流体通路に加圧流体供給手段を接続
する。
【0018】また、前記工具本体に前記丸チップの端面
と摺接する平面を形成するとともに、この平面に所定の
凹部を形成し、前記丸チップに設けた貫通孔の内周と軸
との間に所定の間隙を設ける一方、前記丸チップを軸方
向の所定の範囲で変位可能に支持し、前記凹部に前記流
体通路の他端を開口させる。
【0019】
【作用】丸チップの内径と外径の同軸度を3μm以下に
形成したため、丸チップは支軸に対する偏心量が抑制さ
れるため切り込み量の変動が抑制され、前記図10
(B)に示す丸チップの外周に加わる分力Frがほぼ均
一となって安定して回転する。丸チップの回転に伴い支
軸を中心とする回転半径が変動し、丸チップを回転させ
る分力Frが丸チップの回転半径によって変化する。同
時に切り込み量の変化に対応して働く切削抵抗が丸チッ
プの回転を妨げる力として働く。しかし、このように丸
チップの同軸度を3μm以下にすることで、回転に伴っ
て生じる切削抵抗の変動が実用上極めて小さくなり、丸
チップは安定して回転することができる。
【0020】同時に、丸チップを16度乃至36度の作
用すくい角で支持したため、丸チップを安定して回転さ
せるのに必要な半径方向の分力Frとして、回転に伴う
切削抵抗の変動が抑制された丸チップに対して、必要か
つ十分な駆動力が発生する。このため、図5の本願出願
人の実験結果に示すように丸チップを確実に回転させる
とともに、回転数の上昇を抑制することができ、4rpm
未満の安定回転領域で丸チップの回転を持続することが
でき、回転に伴う加熱、冷却の反復による熱衝撃を緩和
することができる。
【0021】また、丸チップの端面に面して開口した流
体通路から加圧流体を噴射することにより丸チップに切
くずなどの異物の付着を防ぐことができる。
【0022】また、丸チップを軸方向及び半径方向でそ
れぞれ微小変位可能に支持するとともに、丸チップが摺
接する平面に設けた凹部から加圧流体を噴射すること
で、丸チップの内周と軸の間または丸チップの端面と工
具本体の間へ切くずなどの異物が侵入することを防止で
きる。
【0023】
【実施例】以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて
説明する。
【0024】図1〜図2に示すように、棒状部材で形成
された工具本体としてのホルダ3の基端には円柱状に形
成されて図示しない旋盤の刃物台に取り付けられるシャ
ンク4が形成される一方、他端にはホルダ3の軸に対し
て所定の角度を備えた平面で構成された段部3Aがホル
ダ3の上端面3Bから所定の深さに形成され、この段部
3Aからホルダ3の底辺3Lに向けて貫通孔5が設けら
れ、この貫通孔5には丸チップ1を軸支する軸2が嵌合
する。なお、軸2を嵌合支持する貫通孔5はホルダ3の
軸に対して所定の角度が与えられる。
【0025】ホルダ3の上端面3Bにはボルト8を介し
て所定の厚さの固定板7が締結され、軸2の他端は固定
板7に設けられた貫通孔7Aに嵌合し、軸2はホルダ3
及び固定板7にそれぞれ設けた貫通孔5、7Aに上端及
び下端を支持される。
【0026】固定板7と段部3Aの間には回転バイトと
しての丸チップ1が軸2により回転自在に支持される。
【0027】丸チップ1は図3に示すように、軸2を挿
通する貫通孔1Aを備えた円筒状部材により形成され
て、内周の貫通孔1Aと外径との同軸度は3μm以下の
所定の値、例えば2.9μmに設定される。この同軸度
は外径を基準として貫通孔1Aを形成することにより達
成される。なお、丸チップ1は例えばセラミック等の素
材により構成される。
【0028】軸2によりホルダ3に支持された丸チップ
1は、図2において固定板7側の端面がすくい面1Bに
なる一方、丸チップ1の外周は逃げ面となり、すくい面
1Bの外周縁部が切刃に相当し、この丸チップ1のすく
い面1Bと図示しない旋盤の主軸がなす角である作用す
くい角αが16度〜36度の所定の角度となるようシャ
ンク4が図示しない旋盤の刃物台に固定される。
【0029】さらに、この丸チップ1と固定板7との間
の軸2には円筒状部材で形成された所定の厚さのスペー
サ6が介装され、丸チップ1はスペーサ6の厚さに基づ
いて軸2の軸方向へ所定の間隙を備えて回転自在に支持
される。
【0030】以上のように構成され、次に作用について
説明する。
【0031】16度〜36度の間の所定の作用すくい角
αに設定された丸チップ1が丸棒部材のワーク9を切削
する様子を図4(A)、(B)に示す。
【0032】このとき、丸チップ1は外径と貫通孔1A
の内径との同軸度を3μm以下の所定の値に設定される
が、図4に示すように丸チップ1は軸2の中心から同軸
度に応じて偏心しており、丸チップ1と軸2の偏心量を
γとする。
【0033】図4(A)は丸チップ1の中心がワーク9
の軸から最も離れた位置にある状態を示し、このとき丸
チップ1の実際の切り込みは最小のdAとなる。
【0034】一方、丸チップ1の中心がワーク9の軸に
最も接近した位置にある状態を示したのが図4(B)
で、このとき丸チップ1の実際の切り込みは最大のdB
となり、この切り込みdBは dB=dA+2γ で表すことができ。丸チップ1が1回転すると切り込み
は2γだけ変化する。
【0035】したがって、最小の切り込みdAのときの
切削抵抗の分力をFrA、このときの丸チップ1の回転数
をRAとし、最大の切り込みdBのときの切削抵抗の分力
をFrB、このときの丸チップ1の回転数をRBとする
と、 FrA<FrB となり、図10(B)の従来例にも示したように所定の
作用すくい角αに設定された丸チップ1の回転は切削抵
抗の主分力FPの分力Frに基づいて発生するため、 RA<RB となって丸チップ1の回転数は変動する。
【0036】ここで、前記図9に示した従来例の丸チッ
プ91について、本願出願人が外径の真円度、外径及び
内径の同軸度を計測したところ、真円度数μm程度、内
径及び外径の同軸度は20〜30μm程度であった。
【0037】このため、従来例の丸チップ91では軸の
偏心量γに起因する切り込み量の変動=dB−dAが増大
し、上記切削抵抗の分力FrA、FrBの変動も大きいため
に上記回転数RA、RBが変動して回転数が安定しない領
域が発生し、さらに、丸チップ1が回転するのに伴って
上記図4(A)、(B)に示す最小切り込みdA、から
最大切り込みdBへ移行する際に切り込み量が増大する
のに対し、分力FrA及び丸チップ91の回転力が切り込
み量の増大により反回転方向に働く切削抵抗に負け、丸
チップ91の回転が停止または逆転することがある。こ
のため、図11において、丸チップ91の回転数が安定
しないだけでなく回転を停止することもある回転数不安
定領域が生じてしまう。
【0038】これに対して本願実施例においては、丸チ
ップ1の外径と内径の同軸度を3μm以下の2.9μm
(上記従来例に比して約1/10〜1/7)に形成した
ため、丸チップ1が1回転する際の切り込み量の変動d
B−dAが抑制されるため切削抵抗の最小分力FrAと最大
分力FrBの変動幅が非常に小さくなり、丸チップ1の回
転に伴う切削抵抗の変動が抑制され、安定した回転を得
ることが可能となるのである。
【0039】この丸チップ1の安定した好ましい回転
は、図5の本願出願人による実験結果に示すように、丸
チップ1に回転トルクを付与する作用すくい角αが16
度以上になると開始され、作用すくい角αが36度の点
で約4rpmとなり、作用すくい角αが36度を越えると
急激に回転数は増大する。
【0040】なお、この切削実験は、前記図11に示し
た従来例と同様にしてシャンク4の取り付け角度を5度
づつ変化させて丸チップ1の作用すくい角αを6度から
5度ずつ変化させたもので、切削条件は、前記図11に
示した従来例と同様でる。
【0041】この実験結果から、作用すくい角αが16
〜36度の領域においては、作用すくい角αの増大に比
例して丸チップ1の回転数が約4rpmまで微増する安定
した領域が得られることを実証し、作用すくい角αが3
6度における最大回転数は約4rpmとなって、前記図1
1に示した従来例の18rpmに比して約5分の1の回転
数に低減することができる。
【0042】すなわち、同軸度を3μm以下に形成した
丸チップ1の作用すくい角αを16度〜36度の所定の
角度で支持することにより、丸チップ1の回転数を0<
rpm<4の安定回転領域に設定することが可能となるの
である。
【0043】丸チップ1を回転させて切削を行う際に、
前記図12に示す従来例からも明らかなように、可能な
限り低い回転数で丸チップ1を回転させることが工具寿
命を延ばす点で重要であり、この安定回転領域において
は、最大回転数を約4rpmに抑制することが可能となる
ため、丸チップ1の一部がワークを切削して加熱された
後に空気中で冷却される熱サイクルを緩やかに進行させ
ることができ、このため、丸チップ1に発生する熱衝撃
を緩和して工具寿命を従来に比して延ばすことができる
のである。
【0044】この工具寿命について実験を行った結果が
図6に示すグラフであり、この実験は前記図12に示す
従来例と同様の切削条件のもとで行ったものである。
【0045】作用すくい角αを36度に設定した状態で
は、丸チップ1は約4rpmで安定して回転しながら切削
を行い、このとき、工具寿命を示す丸チップ1の逃げ面
の摩耗幅は切削時間に比例して約0.008mm/minの
速度で増大するが、切削開始後25分を経過しても刃先
に欠損などの障害を発生することなく円滑に切削を継続
することが可能となる。
【0046】一方、前記図12に示す従来例において
は、丸チップ91の回転数が18rpmのときは約10分
で工具欠損が発生して切削不能となり、さらに2450
rpmでは約1分で工具が欠損しており、本願実施例の丸
チップ1においては、回転数を安定回転領域の最大値で
ある約4rpmとしてもこれら従来例に比して2.5倍以
上の工具寿命を容易に得ることができるのである。
【0047】このように、丸チップ1の貫通孔1Aの内
径と外径の同軸度を外径に基づいて3μm以下に形成す
るとともに、作用すくい角αを16度から36度の間の
所定の角度に設定したため、丸チップ1の偏心量の低減
によって切り込み量の変動を抑制して回転数を安定させ
たことに加えて、作用すくい角の最適化により図5に示
す安定回転領域で切削を行うことが可能となり、この丸
チップ1の回転数を従来に比して約5分の1に低減する
ことができ、切削中の回転に伴う熱衝撃を緩和して工具
寿命を従来に比して2倍以上に延長することが可能とな
り、工具交換の間隔を延長することにより旋盤の稼働率
を向上させることができるのである。
【0048】図7、図8は他の実施例を示し、棒状部材
で形成されたホルダ30の基端には円柱状に形成されて
図示しないシャンクが形成される一方、他端にはホルダ
30の軸に平行な平面で形成された段部30Aがホルダ
30の上端面30Bから所定の深さに形成され、この段
部30Aからホルダ30の底面30Lに向けた鉛直方向
には所定の深さの孔50が設けられ、この孔50には丸
チップ1を軸支する軸2が嵌合する。なお、丸チップ1
は前記第1の実施例と同様に形成されて16度から36
度の間の所定の作用すくい角が与えられる。
【0049】ホルダ30の上端面30Bにはボルト8を
介して所定の厚さの固定板70が締結され、軸2の他端
は固定板70に設けられた孔51に嵌合し、軸2はホル
ダ30及び固定板70にそれぞれ設けた孔50、51に
支持され、軸2に貫通孔1Aを挿通した丸チップ1が回
転自在に支持される。
【0050】丸チップ1の端面と固定板70との間には
軸2の軸方向に所定の間隙t1を備える一方、丸チップ
1の貫通孔1Aと軸2との間には所定の間隙t2が設け
られ、丸チップ1はこれら間隙t1、t2に応じて微小変
位可能に軸支される。さらに、丸チップ1の外周とホル
ダ30との間には所定の間隙を備えて円弧状に形成され
た逃げ30Cが形成される。
【0051】軸2を嵌合支持する孔50が開口する段部
30Aの端面には所定の凹部としてのテーパー状の座ぐ
り部31が所定の深さに形成される一方、同じく軸2を
嵌合支持する孔51が開口する固定板70にも凹部とし
てのテーパー状の座ぐり部71が所定の深さに形成され
る。
【0052】ホルダ30の軸線に沿った内部には図示し
ないシャンク側から流体通路としての所定の内径の通孔
41が上端面30Bのほぼ直下まで形成され、この通孔
41は図示しないシャンク側に開口すると共に、図示し
ない加圧流体供給手段に接続される。
【0053】さらにホルダ30の内部には、この通孔4
1の端部と座ぐり部31とを連通する通孔42と、同じ
く通孔41の端部とホルダ30の上端面30Bとを連通
する通孔43が形成される。
【0054】通孔43の開口位置に対応する固定板70
には、固定板70が当接した上端面30Bと座ぐり部7
1とを連通する通孔44が形成される。
【0055】以上のように構成された丸チップ回転バイ
トを図示しない旋盤の刃物台で支持するとともに、通孔
41を図示しない加圧流体供給手段に接続してから切削
を行う。
【0056】通孔41へ加圧流体として所定の圧力の空
気、例えば4kgf/cm2の加圧空気を圧送しながら切削を
行うと、加圧空気は通孔41のホルダ30の内部の端部
から通孔42、43へそれぞれ分流し、通孔42からは
丸チップ1の下端面の座ぐり部31へ、通孔43からは
通孔44を介して丸チップ1の上端面の座ぐり部71へ
それぞれ加圧空気が圧送される。
【0057】切削中においては切削抵抗によって丸チッ
プ1の下端面が段部30Aと摺接するため、座ぐり部3
1に圧送された加圧空気は丸チップ1と軸2との間に設
けられた間隙t2を通過して丸チップ1の上端面と固定
板70との間の間隙t1へ流入する一方、座ぐり部71
へ圧送された加圧空気も間隙t1へ流入する。
【0058】こうして、軸2に沿って間隙t1へ流入し
た加圧空気は、丸チップ1の上端面に沿ってホルダ30
の外部へ噴出し、または、間隙t1から丸チップ1と逃
げ30Cの間隙へ流入するとともに丸チップ1の外周に
沿ってホルダ30の側方へ噴出する。
【0059】丸チップ1の内周及び周囲に設けた上記間
隙t1、t2または逃げ30Cとの間の間隙を加圧空気が
通過することにより、これら間隙に切りくず等の異物の
侵入を防止することができ、丸チップ1の回転を円滑に
行うことができる。
【0060】一方、切削を行わない待機状態などにおい
ても通孔41へ加圧空気を供給してもよく、この場合、
丸チップ1には切削抵抗が加わっていないため、座ぐり
部31に圧送された加圧空気は軸方向へ間隙t1だけ変
位可能な丸チップ1を図8において上方へ微小変位さ
せ、丸チップ1と段部30Aとの間からもホルダ30の
外部に向けて加圧空気を噴出するため、丸チップ1が摺
接する段部30Aとの間への異物の侵入を防ぐことがで
きる。
【0061】
【発明の効果】以上説明したように本発明は、丸チップ
の内径と外径の同軸度を3μm以下に形成するととも
に、丸チップを16度乃至36度の所定の角度の作用す
くい角で支持したため、丸チップの回転に伴う切り込み
の変動量を抑制し、かつ適切な回転力を付与することが
でき、丸チップの回転数を従来に比して約5分の1の安
定回転域に保持することができ、熱衝撃を緩和して工具
寿命を従来に比して2倍以上延長することが可能とな
り、工具交換の間隔を延長することにより旋盤の稼働率
を向上させることができる。
【0062】また、丸チップの端面に面して開口した流
体通路から加圧流体を噴出することにより切くずなどの
異物の付着を防ぐことができ、これら異物による回転不
良または回転停止を防止して丸チップの回転を保持する
ことができる。
【0063】また、丸チップを軸方向及び半径方向でそ
れぞれ微小変位可能に支持するとともに、丸チップが摺
接する平面に設けた凹部から加圧流体を噴出すること
で、丸チップの内周と軸の間または丸チップの端面と工
具本体の間へ切くずなどの異物が侵入することを防い
で、丸チップの回転不良を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示す丸チップ回転バイトの平
面図である。
【図2】同じく側面図である。
【図3】同じく丸チップの平面及び断面図である。
【図5】作用すくい角とチップの回転数との関係を示す
グラフである。
【図4】切削状況を示す平面図である。
【図6】切削時間と逃げ面の摩耗幅との関係を示すグラ
フである。
【図7】他の実施例を示す丸チップバイトの平面図であ
る。
【図8】同じく断面図である。
【図9】従来の例を示す丸チップバイトの断面図であ
る。
【図10】切削状況を示す平面図及び側面図である。
【図11】作用すくい角αと丸チップの回転数との関係
を示すグラフである。
【図12】切削時間と逃げ面の摩耗幅との関係を示すグ
ラフである。
【符号の説明】
1 丸チップ 1A 貫通孔 2 軸 3A 段部 3 ホルダ 5 貫通孔 30 ホルダ 31 座ぐり部 41〜44 通孔 71 座ぐり部

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 丸チップを工具本体で回転自在に軸支し
    た丸チップ回転バイトにおいて、前記軸を挿通する前記
    丸チップの貫通孔の内径と丸チップの外径の同軸度を3
    μm以下に形成するとともに、前記丸チップを16度乃
    至36度の作用すくい角で支持したことを特徴とする丸
    チップ回転バイト。
  2. 【請求項2】 前記工具本体の内部に形成した流体通路
    の一端を前記工具本体の基端に開口する一方、他端を前
    記丸チップの端面に対向する所定の位置に開口し、前記
    基端に開口した流体通路に加圧流体供給手段を接続した
    ことを特徴とする請求項1に記載の丸チップ回転バイ
    ト。
  3. 【請求項3】 前記工具本体に前記丸チップの端面と摺
    接する平面を形成するとともに、この平面に所定の凹部
    を形成し、前記丸チップに設けた貫通孔の内周と軸との
    間に所定の間隙を設ける一方、丸チップを軸方向の所定
    の範囲で変位可能に支持し、前記凹部に前記流体通路の
    他端が開口したことを特徴とする請求項2に記載の丸チ
    ップ回転バイト。
JP19957493A 1993-08-11 1993-08-11 丸チップ回転バイト Pending JPH0751905A (ja)

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