JP4291680B2 - 穴加工装置 - Google Patents
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Description
そのために、ボーリングバーと共には回転しない外部の固定配管からチップ部分の軌跡円に向けて切削油を吐出する外部配管方式と、穴加工装置の主軸内部から供給された切削油を、ボーリングバーの本体内部の回転軸線上に設けられた主供給孔に導き、さらにボーリングバー本体の径方向外方に向けて設けられた複数の分岐供給孔を介して各チップ部分に切削油を分配供給する内部給油方式とがある。
外部給油方式は、複雑な多段の穴形状を加工する複数のチップを持つボーリングバーでは、十分に切削油をチップ部分に供給することが困難なため内部給油方式にすることが多い。
そのため穴加工装置の設備費用が高くなる、穴加工装置の稼動開始後は回転継ぎ手の定期的なメンテナンスが必要となるなどの問題があった。
さらに、加工対象物に応じて転回やシフトする多軸の治具ヘッドを有する穴加工装置においては、主軸の干渉、ギアレイアウトなどの穴加工装置の制約により物理的に主軸から切削油をボーリングバーに供給できない場合もある。
本発明は、上記の問題点を解決するために、主軸内部の切削油供給路や回転継ぎ手などを設けずに、簡易な方法でボーリングバーの本体内部の主供給孔から分岐供給孔を経て各チップ部分に切削油を供給する穴加工装置を提供することを目的とする。
また、回転継ぎ手の定期的な点検の必要が無くなり、穴加工装置の主軸側での切削油の漏れの恐れも無くなる。
さらに、給油ノズルは、その先端と給油口との距離を保って、ボーリングバーの回転軸方向の動きに合わせて並行移動するので、切削加工の進行に従ってボーリングバーが回転軸方向に移動するとき、確実に切削油を給油口から主供給孔に注入することができ、切削油のチップ部分への適切な供給が維持できる。
本ボーリングバー1は加工対象物8に形成された下穴を所定の内径形状に仕上げるために用いられるものである。このボーリングバー1は、本体2の外周面に複数のカートリッジ3(3a、3b、3c、3d)が取付けられ、それぞれのカートリッジ3の先端に切刃を有するチップ7(7a、7b、7c、7d)が取り付けられている。
本体2の外周面には、複数のカートリッジ3を各々取付け可能とする複数の取付け部13が形成されており、この取付け部13には、カートリッジ3を固定するための図示しないネジ穴が形成されている。
カートリッジ3の先端部には機械的に着脱可能なチップ7が取り付けられており、このチップ7は超硬合金等の硬質材料により形成されている。このチップ7の先端には切刃が形成されており、この切刃により加工対象物8に形成された下穴22の内周面が切削される。
主供給孔5は、本体2の先端14に給油口15を開口しており、給油口15の中心は本体2の回転軸と一致している。給油口15の口径は主供給孔5の孔径よりも小さく絞られている。
分岐供給孔6は、主供給孔5から取付け部13の壁面まで貫通されており、取付け部13の壁面上の分岐供給孔6の開口位置は、チップ7の取付けられている位置の回転方向手前側である。なお、分岐供給孔6の孔径は主供給孔5の孔径よりも小さくしてある。
穴加工装置10は、主軸24を支持する主軸台25の前方に、加工対象物8を固定する治具23を配置し、主軸台25と治具23とは主軸24の軸方向に沿って相対的に矢印A方向、B方向に移動可能となっている。
治具23を挟んで主軸台25と反対側には、給油ノズル16が図示しない可動テーブルに固定して配置されている。給油ノズル16は、その吐出口をボーリングバー1の本体2の先端に向けて、切削油の吐出方向が水平に回転軸線上の本体2の給油口15になるように固定されている。
給油ノズル16には、図示しない切削油の供給ポンプまたは供給バルブが接続し、主軸24の回転数が所定の値以上のときに、切削油を給油ノズル16から吐出させ、回転数が所定値以下の場合は吐出させないように制御される。
給油口15から主供給孔5に注入された切削油は、遠心力により分岐供給孔6に送られ、それぞれのチップ7の部分に分配供給される。
ボーリングバー1を矢印A方向に移動することにより、加工対象物8の被切削面にチップ7の切刃を当接させ、切削加工が行われる。
また、遠心力によって分岐供給孔6へ切削油を送り込むので、従来の主軸24を通して切削油に圧をかけて各チップ7に分配する場合と同じ量を供給するためには、分岐供給孔6の孔径を従来の場合より大きくすることが望ましい。
多軸の治具ヘッドを有する穴加工装置において、穴加工装置の制約により物理的に主軸から切削油をボーリングバーの本体に供給できない場合でも、給油ノズルから本体先端に開口した主供給孔へ切削油を注入し、本体内部の分岐供給孔を介してチップ部分に十分な切削油を供給できる。(請求項3に対応)
また、主軸へ切削油を供給する回転継ぎ手も無く、穴加工装置の主軸側での切削油の漏れが無くなり、設備を清浄に保ちやすい。その結果、メンテナンス費用が低減できる。(請求項1に対応)
さらに、主軸の回転速度が所定値以上になったとき、給油ノズルは切削油の吐出を始めるので、主供給孔に注入された切削油は、遠心力により分岐供給孔を介してチップ部分へ供給することができる。(請求項2に対応)
さらに、給油口から主供給孔に給油された切削油を、ボーリングバーの回転に伴う遠心力によって分岐供給孔を介してチップ部分に供給するので、ボーリングバーの切削油供給孔は従来と同様な簡単な構成とできる。(請求項5に対応)
2 本体(ボーリングバーの本体)
3a、3b、3c、3d カートリッジ
4 切削油供給孔
5 主供給孔
6a、6b、6c、6d 分岐供給孔
7a、7b、7c、7d チップ
8 加工対象物
10 穴加工装置
11 嵌合部
12 フランジ
13 取付け部
14 先端
15 給油口
16 給油ノズル
21 孔
22 下穴
23 治具
24 主軸
25 主軸台
Claims (5)
- 外周面にチップを取付けられたボーリングバーを主軸に取付けて、加工対象物の下穴の内周面を加工する穴加工装置において、
前記ボーリングバーの本体は、前記チップ部分に切削油を供給するための切削油供給孔を有するとともに、該切削油供給孔は回転軸の先端に給油口を備え、
さらに、前記給油口に対向して配置され、前記給油口に向けて切削油を吐出する給油ノズルを備え、
該給油ノズルは、その先端と前記給油口との距離を保って、前記ボーリングバーの回転軸方向の動きに合わせて、前記回転軸方向に並行移動可能とすることを特徴とする穴加工装置。 - 前記主軸の回転速度が所定値以上になったとき、前記給油ノズルは切削油の吐出を始めることを特徴とする請求項1に記載の穴加工装置。
- 前記ボーリングバーの切削油供給孔は、前記給油口に連なり本体の回転軸線上に位置する主供給孔と、前記給油口に受けた切削油を前記主供給孔から前記チップ部分に分配する分岐供給孔とから形成されることを特徴とする請求項1または2に記載の穴加工装置。
- 前記ボーリングバーの主供給孔は、前記給油口の口径よりも大きな孔径に設定されて、袋状の形状であることを特徴とする請求項3に記載の穴加工装置。
- 前記給油口から前記主供給孔に給油された切削油を、前記ボーリングバーの回転に伴う遠心力によって前記分岐供給孔を介して前記チップ部分に供給することを特徴とする請求項3または4に記載の穴加工装置。
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