JPH0751619B2 - 全芳香族ポリエステル化合物 - Google Patents

全芳香族ポリエステル化合物

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JPH0751619B2
JPH0751619B2 JP15898287A JP15898287A JPH0751619B2 JP H0751619 B2 JPH0751619 B2 JP H0751619B2 JP 15898287 A JP15898287 A JP 15898287A JP 15898287 A JP15898287 A JP 15898287A JP H0751619 B2 JPH0751619 B2 JP H0751619B2
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一夫 前島
外志夫 上坂
寅之助 斉藤
博記 角町
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Sekisui Chemical Co Ltd
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【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は,成形性が良好であり,かつ機械的強度および
耐熱性に優れた全芳香族ポリエステル化合物に関する。
(従来の技術) 全芳香族ポリエステル化合物とは,二塩基酸と,芳香族
ジヒドロキシ化合物との重縮合体を指す。二塩基酸に
は,例えば,テレフタル酸,イソフタル酸,炭酸があ
る。芳香族ジヒドロキシ化合物としては,ビスフェノー
ルA(2,2′−プロピリデン−4,4′−ビスフェノー
ル),ビスフェノールS(4,4′−ジヒドロキシ−ジフ
ェニルスルホン),パラヒドロキシ安息香酸などが挙げ
られる。
これら全芳香族ポリエステル化合物は,優れた物性を有
するため,塗料,接着剤,繊維,フィルム,各種成形材
料に有用である。特に,パラヒドロキシ安息香酸でなる
全芳香族ポリエステル化合物は,耐熱性および機械的強
度に優れるため,好ましい。しかし,この全芳香族ポリ
エステル化合物は,成形性が劣る。そのために,この化
合物は,成形材料としては用いられない。
このような欠点を解決するために,上記全芳香族ポリエ
ステル化合物の構造単位として,パラヒドロキシ安息香
酸の融点を低下させる成分(例えば,2−ヒドロキシ−6
−カルボキシナフタリン)を含有させることが提案され
ている。こうして得られた化合物は,溶融異方性(サー
モトロピック液晶性)を有するため,溶融温度および溶
融粘度が低く,成形性が良好である。しかも,この化合
物は,高分子鎖が溶融物の流動方向に配向する傾向があ
るために,配向方向に高い弾性率および機械的強度を有
する。成形収縮率も著しく小さい。しかし,パラヒドロ
キシ安息香酸に,テレフタル酸およびエチレングリコー
ルを含有させた化合物は,弾性率および機械的強度には
優れるが,耐熱性に欠ける。耐熱性を改善するために,
この化合物の成形体を長時間熱処理して結晶領域を増す
方法もある。しかし,熱処理には多大なエネルギーを要
し,生産効率が低下する。他方,化学物中のパラヒドロ
キシ安息香酸成分を多くして,結晶性を上げ耐熱性を高
める方法もあるものの,この方法では,成形性がかえっ
て低下する。
(発明が解決しようとする問題点) 本発明は,上記従来の問題点を解決するものであり,そ
の目的とするところは,成形性が良好であり,機械的強
度および耐熱性に優れた全芳香族ポリエステル化合物を
提供することにある。本発明の他の目的は,容易に加工
され得る全芳香族ポリエステル化合物を提供することに
ある。
(問題点を解決するための手段) 本発明は,(1)式または(2)式で示される芳香族ジ
ヒドロキシ化合物と芳香族ジカルボン酸(塩)化合物と
の重縮合体は,耐熱性および機械的強度に優れるうえに
成形性が良好である,これらの化合物に,さらに芳香族
ヒドロキシカルボン酸化合物を含有させて重縮合体を形
成すれば,上記物性がより向上する,との発明者の知見
に基づいて完成された。
本発明の全芳香族ポリエステル化合物は,芳香族ジヒド
ロキシ化合物および芳香族ジカルボン酸(塩)化合物,
および必要に応じて芳香族ヒドロキシカルボン酸化合物
を主体とし,該芳香族ジヒドロキシ化合物が,下記
(1)式または下記(2)式で示され、平均分子量が20
00〜50000の範囲であり,そのことにより上記目的が達
成される。
ここで,Rは低級アルキル基または低級アルコキシ基,そ
してnは0〜3の整数である。
このような全芳香族ポリエステル化合物の平均分子量
は,2000〜50000,好ましくは,5000〜40000の範囲とされ
る。2000を下まわると,全芳香族ポリエステル化合物の
機械的強度や耐熱性が低下する。50000を上まわると,
全芳香族ポリエステル化合物の成形性が不良となる。
(1)式または(2)式で示される化合物には,例え
ば,2,5−ジヒドロキシジフェニルスルホン〔別名2−ベ
ンゼンスルホニルハイドロキノン,融点201℃〕,2,5−
ジヒドロキシ−4′−メチルジフェニルスルホン〔別名
2−(4−トルエンスルホニル)ハイドロキノン,融点
219℃〕,2,5−ジヒドロキシ−4′−エチルジフェニル
スルホン〔別名2−(4−エチルベンゼンスルホニル)
ハイドロキノン,融点187℃〕,2,5−ジヒドロキシ−
4′−メトキシジフェニルスルホン〔別名2−(4−ア
ニソールスルホニル)ハイドロキノン,融点193℃〕,2,
5−ジヒドロキシ−2′,4′−ジメチルジフェニルスル
ホン〔別名2−(2,4−キシレンスルホニル)ハイドロ
キノン,融点182℃〕,2,5−ジヒドロキシ−2′,5′−
ジメチルジフェニルスルホン〔別名2−(2,5−キシレ
ンスルホニル)ハイドロキノン,融点146℃〕,2,5−ジ
ヒドロキシ−3′,4′−ジメチルジフェニルスルホン
〔別名2−(3,4−キシレンスルホニル)ハイドロキノ
ン,融点246℃〕,2,5−ジヒドロキシ−2′−メトキシ
−5′−メチルジフェニルスルホン〔融点242℃〕,2−
(2−テトラリンスルホニル)ハイドロキノン〔融点18
7℃〕,2,5−ジヒドロキシ−2′,4′,6′−トリメチル
ジフェニルスルホン〔別名2−(2−メシチレンスルホ
ニル)ハイドロキノン,融点207℃〕,1,4−ジヒドロキ
シ−2−ベンゼンスルホニルナフタリン〔融点208℃〕,
1,4−ジヒドロキシ−2−(4−トルエンスルホニル)
ナフタリン〔融点184℃〕,1,4−ジヒドロキシ−2−
(4−エチルベンゼンスルホニル)ナフタリン〔融点15
5℃〕,1,4−ジヒドロキシ−2−(4−アニソ−ルスル
ホニル)ナフタリン〔融点162℃〕,1,4−ジヒドロキシ
−2−(2,4,−キシレンスルホニル)ナフタリン〔融点
187℃〕,1,4−ジヒドロキシ−2−(2,5−キシレンスル
ホニル)ナフタリン〔融点223℃〕,1,4−ジヒドロキシ
−2−(3,4−キシレンスルホニル)ナフタリン〔融点1
76℃〕,1,4−ジヒドロキシ−2−(2−メトキシ−5−
メチルベンゼンスルホニル)ナフタリン〔融点187℃〕,
1,4−ジヒドロキシ−2−(2−テトラリンスルホニ
ル)ナフタリン〔融点174℃〕,1,4−ジヒドロキシ−2
−(2−メシチレンスルホニル)ナフタリン〔融点237
℃〕がある。
これらの化合物のうち,(1)式で示される化合物は,
対応するスルフィン酸とパラベンゾキノンとの付加反応
により製造され,また(2)式で示される化合物は,対
応するスルフィン酸と1,4−ナフトキノンとの付加反応
により製造される。
芳香族ジカルボン酸(塩)化合物には,例えば,イソフ
タル酸,5−スルホイソフタル酸の金属塩,テレフタル
酸,4,4′−ジカルボキシビフェニル,4,4′−ジカルボキ
シジフェニルエーテル,4,4′−ジカルボキシジフェニル
サルファイド,4,4′−ジカルボキシジフェニルスルホ
ン,3,3′−ジカルボキシベンゾフェノン,4,4′−ジカル
ボキジベンゾフェノン,1,2−ビス(4−カルボキシフェ
ノキシ)エタン,1,4−ジカルボキシナフタリン,2,6−ジ
カルボキシナフタリンがある。テレフタル酸,4,4′−ジ
カルボキシジフェニルエーテル,4,4′−ジカルボキシベ
ンゾフェノン,1,2−ビス(4−カルボキシフェノキシ)
エタン,2,6−ジカルボキシナフタリンが好ましい。
芳香族ヒドロキシカルボン酸化合物には,例えば,サリ
チル酸,メタヒドロキシ安息香酸,パラヒドロキシ安息
香酸,3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸,3−ブロモ−
4−ヒドロキシ安息香酸,3−メチル−4−ヒドロキシ安
息香酸,3−フェニル−4−ヒドロキシ安息香酸,3−メト
キシ−4−ヒドロキシ安息香酸,4−ヒドロキシ−4′−
カルボキシフェニル,2−ヒドロキシ−6−カルボキシナ
フタリがある。パラヒドロキシ安息香酸,4−ヒドロキシ
−4′−カルボキシビフェニルが好ましい。
本発明の全芳香族ポリエステル化合物には,これら各化
合物以外に,他の芳香族ジヒドロキシ化合物が含有され
てもよい。この芳香族ジヒドロキシ化合物には,例え
ば,レゾルシン,4−アセチルレゾルシン,ハイドロキノ
ン,クロロハイドロキノン,ブロモハイドロキノン,メ
チルハイドロキノン,フェニルハイドロキノン〔別名2,
5−ジヒドロキシビフェニル〕,メトキシハイドロキノ
ン,フェノキシハイドロキノン,4,4′−ジヒドロキシビ
フェニル,3,3′−ジフェニル−4,4′−ジヒドロキシビ
ニフェル,4,4′−ジヒドロキシジフェニルエーテル,4,
4′−ジヒドロキシジフェニルサルファイド,4,4′−ジ
ヒドロキシジフェニルスルホン,3,3′−ジフェニル−4,
4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン,4,4′−ジヒド
ロキシベンゾフェノン,4,4′−ジヒドロキシジフェニル
メタン,ビスフェノールA,1,1−ジ(4−ヒドロキシフ
ェニル)シクロヘキサン,1,2−ビス(4−ヒドロキシフ
ェノキシ)エタン,1,4−ジヒドロキシナフタリン,2,6−
ジヒドロキシナフタリンがある。ハイドロキノン,4,4′
−ジヒドロキシビフェニル,4,4′−ジヒドロキシジフェ
ニルエーテル,4,4′−ジヒドロキシジフェニルサルファ
イドが好ましい。
本発明の全芳香族ポリエステル化合物は,上記芳香族系
化合物の重縮合体で構成される。
重縮合体のような高分子化合物では,一般に,高弾性率
を示す温度範囲(これは,耐熱性の指標となる)は,非
結晶領域のガラス転移温度に依存する。非結晶領域のガ
ラス移転温度が高いほど,化合物の耐熱性が向上する。
従って,本発明の全芳香族ポリエステル化合物の耐熱性
も,非結晶領域のガラス転移温度に関係している。さら
に,高分子化合物のガラス転移温度は,その化合物の化
学構造,特に分子の剛直性にかかわっている。(1)式
または(2)式で示される芳香族ジヒドロキシ化合物
は,自由回転部分の少ない剛直な化学構造を有し,かつ
対称性に欠けるため,ガラス転移温度の高い非結晶性の
セグメントを形成することから,耐熱性に優れている。
特に,この芳香族ジヒドロキシ化合物は,イオウ原子を
含有しているので,難燃性も備えている。しかし,これ
らの芳香族ジヒドロキシ化合物は,全く結晶性を有しな
いため,所望の機械的強度を得るには,溶融粘度の高い
重縮合体とする必要がある。溶融粘度が上昇すれば,重
縮合体の成形性の低下は避けられない。従って,この芳
香族ジヒドロキシ化合物に芳香族ジカルボン酸(塩)化
合物を加えて,結晶性,好ましくは溶融異方性を付与し
溶融粘度を低下させることにより,耐熱性や機械的強度
を維持しつつ,成形性を改良することを考えた。(1)
式または(2)式で示される芳香族ジヒドロキシ化合物
は,芳香族ジカルボン酸(塩)化合物による溶融異方性
の付与を妨げない。
本発明の全芳香族ポリエステル化合物において,芳香族
ジヒドロキシ化合物と芳香族ジカルボン酸(塩)化合物
とは,ほぼ等モル量で含有される。芳香族ジヒドロキシ
化合物と芳香族ジカルボン酸(塩)化合物とが,ほぼ等
モル量でなくなると,得られた全芳香族ポリエステル化
合物の分子量が低下する。芳香族ヒドロキシカルボン酸
化合物は,芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対し,1〜
7モルの範囲で含有されるのが好ましい。
これら芳香族ジヒドロキシ化合物および芳香族ヒドロキ
シカルボン酸化合物は,通常,ヒドロキシル基をアセチ
ル化した後,酢酸を除去しつつ,重縮合反応に供され
る。アセチル化は,芳香族ジヒドロキシ化合物および芳
香族ヒドロキシカルボン酸化合物を無水酢酸と加熱する
ことにより,容易に進行し,ヒドロキシル基がアセトキ
シ基に変化する。このアセチル化された芳香族ジヒドロ
キシ化合物および芳香族ヒドロキシカルボン酸化合物
は,芳香族ジカルボン酸(塩)化合物とともに,重縮合
反応に供される。重縮合反応は,通応,200〜350℃に加
熱してなされる。反応触媒は,必要としない場合が多い
ものの,必要に応じて,金属酸化物,金属水酸化物,金
属塩などが用いられる。重縮合反応により生成する酢酸
は,反応初期には常圧で,次いで減圧で除去されるのが
好ましい。特に,反応系が結晶化して不均一となりやす
い場合には,反応初期には加圧し,そして反応後期には
減圧して酢酸を除去すると,反応温度が高められ,反応
系が均一となるため,好ましい。重縮合反応は,化合物
の酸化反応を制御するため,窒素ガスや炭酸ガスなどの
不活性ガス雰囲気下でなされるのが好ましい。
重縮合体の分子量は,芳香族ジヒドロキシ化合物と芳香
族ジカルボン酸(塩)化合物とのモル比が等モルであれ
ば最大となる。従って,分子量の高い重縮合体を得る場
合には,上記モル比を等モルとし,重縮合体の溶融粘度
を基準として,分子量が調節される。重縮合体の分子量
を低くするには,芳香族ヒドロキシ化合物と芳香族ジカ
ルボン酸(塩)化合物とのモル比を等モル量からずらし
て,分子量調節がなされる。特に高分子量の重縮合体を
要する場合には,重縮合体がゲル化しない範囲内にて,
多官能性化合物が添加される。多官能性化合物として
は,例えば,トリメリット酸,ピロメリット酸,5−ヒド
ロキシイソフタル酸が挙げられる。得られた重縮合体の
分子量の測定には,可溶性の重縮合体では,ゲルパーミ
エーションクロマトグラフィー,溶液粘度法,沸点上昇
性,融点降下法が,そして不溶性の重縮合体では,末端
基定量法,溶融粘度法が用いられる。
(実施例) 以下に本発明を実施例について述べる。
実験例 芳香族ジヒドロキシ化合物のアセトキシ化 撹拌機,温度計および還流冷却器を備えた内容積2000ミ
リリットルのガラス製三ツ口フラスコに,2,5−ジヒドロ
キシジフェニルスルホン(融点201℃)500g(2モ
ル),無水酢酸613g(6モル)およびトルエン800gを仕
込んだ。このフラスコを撹拌しながら120℃にまで加熱
した。加熱中にて,内容物をサンプリングし,高速液体
クロマトグラフィーにより,反応の進行を追跡した。
約16時間反応させた後,2,5−ジヒドロキシジフェニルス
ルホン,およびそのモノアセテートである2−ヒドロキ
シ−5−アセトキシジフェニルスルホンがほとんどなく
なるため,反応を停止した。
反応混合物から不純物を除去するために,反応混合物が
熱いうちに濾過した。瀘液を10℃までゆっくり冷却し,
液晶を析出させた。この結晶を乾燥したところ,融点13
1℃,分子量334(理論分子量,334.347),そしてイオウ
含量9.67%(理論値9.59%)の白色結晶約580gが得られ
た。この結晶は,核磁気共鳴スペクトルおよび赤外吸収
スペクトルにより,2,5−ジアセトキシジフェニルスルホ
ンと確認された。
上記と同様の方法により,2,5−ジヒドロキシ−4′−メ
チルジフェニルスルホンからは,2,5−ジアセトキシ−
4′−メチルジフェニルスルホン(融点145℃,分子量3
48(理論分子量,348.374),そしてイオウ含量9.10%
(理論値9.20%)),2,5−ジヒドロキシ−2′,5′−ジ
メチルジフェニルスルホンからは,2,5−ジアセトキシ−
2′,5′−ジメチルジフェニルスルホン(融点170℃,
分子量362(理論分子量,362.401),そしてイオウ含量
8.80%(理論値8.85%)),1,4−ジヒドロキシ−2−ベ
ンゼンスルホニルナフタリンからは,1,4−ジアセトキシ
−2−ベンゼンスルホニルナフタリン(融点165℃,分
子量384(理論分子量,384.407),そしてイオウ含量8.3
0%(理論値8.34%)),1,4−ジヒドロキシ−2−(4
−トルエンスルホニル)ナフタリンからは,1,4−ジアセ
トキシ−2−(4−トルエンスルホニル)ナフタリン
(融点175℃,分子量398(理論分子量,398.434),そし
てイオウ含量8.00%(理論値8.05%)),が得られた。
実施例1 温度計,ガス吹き込み口および蒸留口を備えた内容積10
0ミリリットルの硬質ガラス製三ツ口フラスコに,実験
例で得た2,5−ジアセトキシ−ジフェニルスルホン40.1g
(0.12モル),およびイソフタル酸19.9g(0.12モル)
を仕込んだ。このフラスコをシリコーンオイルバスに入
れ,ガス吹き込み口から窒素ガスを吹き込みながら,オ
イルバスの温度を上げた。オイルバスの温度が上昇し,
内容物の温度が約280℃になると,重縮合反応が開始
し,生成した酢酸が蒸留口から留出した。さらに,30分
間かけて,内容物の温度を310℃まで昇温した。310℃に
て30分間保持した後,蒸留口を真空器に接続し,ガス吹
き込み口に毛細管を設置して,この毛細管を反応混合物
中に突き刺した。真空器により,フラスコ内を1トール
まで減圧にし,この状態で120分間保持したところ,粘
稠な液状生成物が得られた。フラスコをオイルバスから
はずし,冷却した後,フラスコを破壊して生成物を取り
出した。得られた生成物は淡褐色の透明な固体であり,
軟化点は163℃であった。この生成物をテトラヒドロフ
ランに溶解して,ゲルパーミエーションクロマトグラフ
ィー(GPC)により分子量を測定したところ,平均分子
量は約7500であった。
実施例2 実験例により,2,5−ジアセトキシジフェニルスルホンを
合成した。
スパイラル型撹拌機,温度計,ガス吹き込み口,蒸留
口,および下部取り出し口を備えた耐圧10気圧,内容積
600ミリリットルのステンレススチール製オートクレー
ブに,2,5−ジアセトキシジフェニルスルホン167.2g(0.
5モル),テレフタル酸83.1g(0.5モル)およびパラア
セトキシ安息香酸90.1g(0.5モル)を仕込んだ。ガス吹
き込み口から窒素ガスを少しずつ吹き込みながら,オー
トクレーブを昇温した。オートクレーブの温度が150℃
になった時点で撹拌を始め,2時間かけて310℃まで昇温
した。昇温中に重縮合反応が開始し,生成した酢酸が蒸
留口から留出した。オートクレーブの温度が310℃にな
った後,窒素ガスを止め,蒸留口を真空器に接続して,1
トールまで減圧した。オートクレーブ内が1トールにな
ってから120分後,真空器のバルブを閉じ,ガス吹き込
み口から窒素ガスを再び吹き込み,オートクレーブ内の
ゲージ圧を5kg/cm2にした。次いで,オートクレーブ下
部の取り出し口を開いて,生成物を圧出させた。得られ
た生成物は,溶融異方性であって,有機溶媒に難溶性で
あった。この生成物の分子量を,末端基(ヒドロキシル
基,カルボキシル基,およびアセチル基)定量法により
測定したところ,数平均分子量は,12200であった。
得られた全芳香族ポリエステル化合物を,約300℃に溶
融した後,直径0.1〜0.15mmの糸にして引き出した。こ
の糸の先端に50gのおもりをぶら下げ,他端を固定して
エアーバス中に入れた。このエアーバスを3℃/分の割
合で昇温し,糸が急に伸び始める温度および切れる温度
を測定した。この温度を全芳香族ポリエステル化合物の
耐熱温度とした。その結果,この化合物の耐熱温度は16
5℃であった。
実施例3 実験例により,2,5−ジアセトキシジフェニルスルホンを
合成した。
実施例2と同じオートクレーブに,2,5−ジアセトキシジ
フェニルスルホン100.3g(0.3モル),テレフタル酸49.
8g(0.3モル)およびパラアセトキシ安息香酸162.2g
(0.9モル)を仕込んだ。ガス吹き込み口から炭酸ガス
を少しずつ吹き込みながら,蒸留口のバルブを調節して
オートクレーブ内のゲージ圧を6kg/cm2にした。オート
クレーブを昇温して,オートクレーブの温度が150℃に
なった時点で撹拌を始め,2時間かけて310℃まで昇温し
た。昇温により,オートクレーブ内の内圧が上昇するも
のの,蒸留口のバルブを調節して内圧を一定にした。昇
温中に重縮合反応が開始し,生成した酢酸が蒸留口から
留出した。オートクレーブの温度が310℃になった後,
蒸留口のバルブを調節してオートクレーブ内を大気圧に
した。次いで,蒸留口を真空器に接続して,オートクレ
ーブ内を1トールまで減圧した。オートクレーブ内が1
トールになってから120分後,真空器のバルブを閉じ,
ガス吹き込み口から窒素ガスを再び吹き込み,オートク
レーブ内のゲージ圧を5kg/cm2にした。次いで,オート
クレーブ下部の取り出し口を開いて,生成物を圧出させ
た。得られた生成物は,溶融異方性であって,溶融状態
でも完全には透明でなく,冷却するとわずかに褐色がか
った不透明な固体となった。この生成物の分子量を,末
端基(ヒドロキシル基,カルボキシル基,およびアセチ
ル基)定量法により測定したところ,数平均分子量は,1
3700であった。
得られた全芳香族ポリエステル化合物は耐熱温度を,実
施例2と同様の方法により測定したところ,耐熱温度は
175℃であった。また,JIS K−7201により化合物の燃焼
の酸素指数を測定したところ,酸素指数は35以上であっ
た。それゆえ,この化合物は難燃性に優れていた。
実施例4 実験例により,2,5−ジアセトキシジフェニルスルホンを
合成した。
実施例2と同じオートクレーブに,2,5−ジアセトキシジ
フェニルスルホン100.3g(0.3モル),イソフタル酸16,
6g(0.1モル),テレフタル酸33.2g(0.2モル)および
パラアセトキシ安息香酸162.2g(0.9モル)を仕込んだ
こと以外は,実施例3と同様の方法により全芳香族ポリ
エステル化合物を合成したところ,溶融異方性のあるわ
ずかに褐色がかった不透明な固体を得た。この生成物の
分子量を,末端基(ヒドロキシル基,カルボキシル基,
およびアセチル基)定量法により測定したところ,数平
均分子量は,11500であった。
得られた全芳香族ポリエステル化合物の耐熱温度を,実
施例2と同様の方法により測定したところ,耐熱温度は
178℃であった。
実施例5 実験例により,2,5−ジアセトキシ−4′−メチルジフェ
ニルスルホンを合成した。
実施例2と同じオートクレーブに,2,5−ジアセトキシ−
4′−メチルジフェニルスルホン87.1g(0.25モル),
テレフタル酸41,5g(0.25モル),およびパラアセトキ
シ安息香酸135.1g(0.75モル)を仕込んだこと以外は,
実施例3と同様の方法により全芳香族ポリエステル化合
物を合成したところ,溶融異方性のあるわずかに褐色が
かった不透明な固体を得た。この生成物の分子量を,末
端基(ビドロキシル基,カルボキシル基,およびアセチ
ル基)定量法により測定したところ,数平均分子量は,1
0600であった。
得られた全芳香族ポリエステル化合物の耐熱温度を,実
施例2と同様の方法により測定したところ,耐熱温度は
158℃であった。
実施例6 実験例により,2,5−ジアセトキシ−2′,5′−ジメチル
ジフェニルスルホンを合成した。
実施例2と同じオートクレーブに,2,5−ジアセトキシ−
2′,5′−ジメチルジフェニルスルホン(融点170℃)9
0.6g(0.25モル),テレフタル酸41.5g(0.25モル)お
よびパラアセトキシ安息香酸135.1g(0.75モル)を仕込
んだこと以外は,実施例3と同様の方法により全芳香族
ポリエステル化合物を合成したところ,溶融異方性のあ
るわずかに褐色がかった不透明な固体を得た。この生成
物の分子量を,末端基(ヒドロキシル基,カルボキシル
基,およびアセチル基)定量法により測定したところ,
数平均分子量は,12000であった。得られた全芳香族ポリ
エステル化合物の耐熱温度を,実施例2と同様の方法に
より測定したところ,耐熱温度は152℃であった。
(発明の効果) 本発明の全芳香族ポリエステル化合物は,このように,
特定の構造の芳香族ジヒドロキシ化合物に,芳香族ジカ
ルボン酸(塩)化合物(および芳香族ヒドロキシカルボ
ン酸化合物)を重縮合させて得られるため,形成性が良
好であり,耐熱性および機械的強度に優れている。しか
も,この化合物でなる成形体は簡単に加工され得る。従
来のように,化合物に耐熱性を付与するべく,長時間に
わたって熱処理する必要はない。それゆえ,本発明の全
芳香族ポリエステル化合物は,塗料,接着剤,繊維,フ
ィルム,各種成形材料などに有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 角町 博記 大阪府茨木市大手町7番20号

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】芳香族ジヒドロキシ化合物および芳香族ジ
    カルボン酸(塩)化合物,および必要に応じて芳香族ヒ
    ドロキシカルボン酸化合物を主たる構成成分とし, 該芳香族ジヒドロキシ化合物が,下記(1)式または下
    記(2)式で示され,平均分子量が2000〜50000の範囲
    である全芳香族ポリエステル化合物。 ここで,Rは低級アルキル基または低級アルコキシ基,そ
    してnは0〜3の整数である。
  2. 【請求項2】前記芳香族ジヒドロキシ化合物が,2,5−ジ
    ヒドロキシジフェニルスルホン,2,5−ジヒドロキシ−
    4′−メチルジフェニルスルホン,2,5−ジヒドロキシ−
    4′−エチルジフェニルスルホン,2,5−ジヒドロキシ−
    4′−メトキシジフェニルスルホン,2,5−ジヒドロキシ
    −2′,4′−ジメチルジフェニルスルホン,2,5−ジヒド
    ロキシ−2′,5′−ジメチルジフェニルスルホン,2,5−
    ジヒドロキシ−3′,4′−ジメチルジフェニルスルホ
    ン,2,5−ジヒドロキシ−2′−メトキシ−5′−メチル
    ジフェニルスルホン,2−(2−テトラリンスルホニル)
    ハイドロキノン,2,5−ジヒドロキシ−2′,4′,6′−ト
    リメチルジフェニルスルホン,1,4−ジヒドロキシ−2−
    ベンゼンスルホニルナフタリン,1,4−ジヒドロキシ−2
    −(4−トルエンスルホニル)ナフタリン,1,4−ジヒド
    ロキシ−2−(4−エチルベンゼンスルホニル)ナフタ
    リン,1,4−ジヒドロキシ−2−(4−アニソールスルホ
    ニル)ナフタリン,1,4−ジヒドロキシ−2−(2,4−キ
    シレンスルホニル)ナフタリン,1,4−ジヒドロキシ−2
    −(2,5−キシレンスルホニル)ナフタリン,1,4−ジヒ
    ドロキシ−2−(3,4−キシレンスルホニル)ナフタリ
    ン,1,4−ジヒドロキシ−2−(2−メトキシ−5−メチ
    ルベンゼンスルホニル)ナフタリン,1,4−ジヒドロキシ
    −2−(2−テトラリンスルホニル)ナフタリンおよび
    1,4−ジヒドロキシ−2−(2−メシチレンスルホニ
    ル)ナフタリンのうちの少なくとも一種である特許請求
    の範囲第1項に記載の全芳香族ポリエステル化合物。
  3. 【請求項3】前記芳香族ジカルボン酸(塩)化合物が,
    イソフタル酸,5−スルホイソフタル酸の金属塩,テレフ
    タル酸,4,4′−ジカルボキシビフェニル,4,4′−ジカル
    ボキシジフェニルエーテル,4,4′−ジカルボキシジフェ
    ニルサルファイド,4,4′−ジカルボキシジフェニルスル
    ホン,3,3′−ジカルボキシベンゾフェノン,4,4′−ジカ
    ルボキシベンゾフェノン,1,2−ビス(4−カルボキシフ
    ェノキシ)エタン,1,4−ジカルボキシナフタリンおよび
    2,6−ジカルボキシナフタリンのうちの少なくとも一種
    である特許請求の範囲第1項に記載の全芳香族ポリエス
    テル化合物。
  4. 【請求項4】前記芳香族ヒドロキシカルボン酸化合物
    が,サリチル酸,メタヒドロキシ安息香酸,パラヒドロ
    キシ安息香酸,3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸,3−
    ブロモ−4−ヒドロキシ安息香酸,3−メチル−4−ヒド
    ロキシ安息香酸,3−フェニル−4−ヒドロキシ安息香
    酸,3−メトキシ−4−ヒドロキシ安息香酸,4−ヒドロキ
    シ−4′−カルボキシビフェニルおよび2−ヒドロキシ
    −6−カルボキシナフタリンのうちの少なくとも一種で
    ある特許請求の範囲第1項に記載の全芳香族ポリエステ
    ル化合物。
  5. 【請求項5】前記芳香族ジヒドロキシ化合物と前記芳香
    族ジカルボン酸化合物とが,ほぼ等モル量で含有された
    特許請求の範囲第1項に記載の全芳香族ポリエステル化
    合物。
  6. 【請求項6】前記芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対
    し,前記芳香族ヒドロキシカルボン酸化合物が1〜7モ
    ルの範囲で含有された特許請求の範囲第1項に記載の全
    芳香族ポリエステル化合物。
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