JPH0748675Y2 - 紡機のクリヤラー装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 この考案は精紡機、粗紡機、練条機等の紡機のドラフト
ローラをクリーニングする紡機のクリヤラー装置に関す
るものである。

従来の技術 従来のクリヤラー装置として、実開昭63-24279号公報に
示されているように、クリーニングパット支持枠をパッ
トを挾むように２つに折り曲げたスタッフ長さの支持枠
で構成し、該支持枠の折り曲げ側にはパット取付部に対
応してパット突出用の切欠窓を形成し、支持枠の折り曲
げ開口端側から挿入するクリーニングパット（クリヤラ
ーパット）はその両側縁にそれぞれ耳部を形成して切欠
窓から突出する長さを規制するように構成し、支持枠の
開口端側には、挿入パットのほぼ中央部を支えるように
支持枠の一方側に形成した溝穴に折曲突縁を係合挿入す
ると共に支持枠の他側外面に嵌装する舌片部を形成した
弾性止め具を嵌装して構成したものが知られている。

考案が解決しようとする課題 上記従来のクリヤラー装置にあっては、クリーニングパ
ットの保持の為に弾性止め具を支持枠に組付けてその弾
性止め具の折曲突縁を溝穴に係合挿入しているので、ク
リーニングパットの数と同じ数だけ弾性止め具を要して
その管理や組付が面倒であり、また弾性止め具の弾力に
よってパットの中央部を強く挾んでパットを保持してい
るので、弾性止め具の支持枠への着脱の際に大きな力を
要する上にパットの取外しの際には何らかの取外し具を
必要とし、クリーニングパットの分解組付作業が煩雑で
作業性の点で満足なものではなかった。本考案の課題は
上記問題点を解決することにある。

課題を解決するための手段 本考案は上記従来装置の問題点を解決するために、パッ
ト支持枠を、金属板を折曲げてクリヤラーパットを挾む
ように対向させた一対の支持板と、上記一対の支持板を
連結している金属板の折曲部から成る連結部と、金属板
を折曲げて一方の支持板の先端部から他方の支持板側へ
突出させた受止片とで構成し、その連結部に各クリヤラ
ーパットを突出可能な切欠窓を夫々設け、他方の支持板
の先端部と受止片の先端部との間に他方の支持板の幅を
一方の支持板の幅より小さくして所定幅のパット出入口
を形成し、クリヤラーパットを、上記支持板間に挾まれ
る挾持板と、挾持板の一端から上記切欠窓を貫通してド
ラフト部外周面に当接可能に突出するパット片と、挾持
板の両側縁から夫々連結部に当接可能に突出する一対の
当接片と、挾持板の他端から上記受止片に係合可能に突
出する係合片とで構成して成ることを特徴としている。

作用 パット支持枠にクリヤラーパットを保持させる時は、パ
ット支持枠のパット出入口からクリヤラーパットを弾性
変形させることによって一対の支持枠間に挿入し、クリ
ヤラーパットのパット片を切欠窓から突出させて一対の
当接片をパット支持枠の連結部に当接させると共に、ク
リヤラーパットの弾性変形を無くしてクリヤラーパット
の係合片をクリヤラー支持枠の受止片に係合させ、クリ
ヤラーパットをパット支持枠に固定的に保持させる。パ
ット支持枠からクリヤラーパットを取外すときは、クリ
ヤラーパットを弾性変形させて係合片を受止片から外し
た後、クリヤラーパットをパット出入口から引き抜くだ
けで取外すことができる。

実施例 第１図は精紡機のドラフト装置を示し、図面中、１はロ
ーラビーム、２はローラビーム１上に止着してあるロー
ラスタンドで、周知のように所定スピンドルピッチ毎
（例えば６スピンドルピッチ毎）に設けられている。３
はミドルスライド、４はバックスライドで、夫々ローラ
スタンド２に位置調整自在に止着されている。6,6aは一
対のフロントローラ、7,7aは一対のミドルローラ、8,8a
は一対のバックローラで、夫々がドラフトローラを構成
しており、ボットム側の各ローラ6,7,8は周知のように
ローラスタンド２、ミドルスライド３、バックスライド
４によって夫々回転自在に支持され、トップ側の各ロー
ラ6a,7a,8aはトップアーム９によって回転自在に支持さ
れている。

10はボットム側のバックローラ８をクリーニングする為
のクリヤラー装置で、次にこのクリヤラー装置10につい
て説明する。先ず、11はバックスライド４に取付ボルト
12によって止着されている支持ブラケットで、ローラス
タンド２の両側に位置する部分に夫々バックローラ８の
回転中心に向けて開口している保持溝13が形成されてい
る。15は両端部が夫々隣り合う支持ブラケット11の対向
側の保持溝13に着脱自在に嵌合されているパット支持枠
で、隣り合うローラスタンド2,2間の長さ寸法に形成さ
れ、バックローラ８と平行に配置されている。このパッ
ト支持枠15は第２図、第３図に示すように金属板を２つ
に折曲げて後述のクリヤラーパットを挾むように所定の
間隔をあけて対向させた一対の支持板17,18と、これら
の一対の支持板17,18を連結している金属板の折曲部か
ら成る連結部20と、上記金属板の側縁部を折曲げて上記
一方の支持板17の先端部から他方の支持板18側へ略直角
に突出させた受止片22とで構成されている。上記パット
支持枠15の連結部20にはバックローラ８の各ドラフト部
周面8eと対向する部に夫々切欠窓24がプレス加工又は切
削加工により形成されている。この切欠窓24の横幅はド
ラフト部周面8eの幅寸法より大きく設定し、後述のクリ
ヤラーパットのパット片と突出させ得るようにしてあ
る。上記一方の支持板17は第２図、第３図に示すように
他方の支持板18の幅Ｑよりも小さい幅Ｐに形成され、こ
の支持板17の先端部と上記受止片22の先端部との間にク
リヤラーパットを出し入れ可能なパット出入口25を形成
している。上記受止片22の突出量は先端部が他方の支持
板18の外面の同一面上になる大きさに設定してあるが、
上記クリヤラーパットと係合して抜止めし得るものであ
ればこの寸法に限定されるものではない。

30はパット支持枠15に保持されているクリヤラーパット
で、耐摩耗性の合成ゴム等の弾性材料によって形成さ
れ、各切欠窓24と対応する位置に夫々保持されている。
このクリヤラーパット20は一対の支持板17,18間に挾ま
れる挾持板31と、挾持板31の一端から切欠窓24に貫通可
能に突出しているパット片32と、挾持板31の両側縁から
夫々切欠窓24の両側の連結部20に当接可能に突出してい
る一対の当接片33,33と、挾持板31の他端から受止片22
に係合可能に突出している係合片34とで構成されてい
る。当接片33,33の当接部33a,33aと係合片34の係合部34
aとの間の距離はパット支持枠15の連結部20と受止片22
との間隔の大きさに略一致させてあり、挾持板31と係合
片34を支持板17,18に沿わせた状態で当接部33a,33aと係
合部34aを夫々連結部20と受止片22に当接させ得るよう
にしてある。上記パット片32の横幅はバックローラ８の
ドラフト部外周面8aの幅に略一致させてあり、クリヤラ
ーパット30を第１図のようにパット支持枠15に保持させ
た状態では、パット片32の先端がドラフト部外周面8aに
弾力的に当接するようにしてある。上記クリヤラーパッ
ト30は各切欠窓24と対応する部分に夫々保持されてい
る。

上記構成のパット支持枠15にクリヤラーパット30を装着
する場合には、パット支持枠15を支持ブラケット11から
取外した状態で、パット支持枠15のパット出入口25から
一対の支持板17,18間にクリヤラーパット30のパット片3
2、挾持板31及び当接片33,33を自体を弾性変形によって
湾曲させながら挿入し、パット片32を切欠窓24から突出
させ、当接片33,33の当接部33a,33aを連結部20に当接さ
せると共に係合片34をパット出入口25内に完全に押込ん
で支持板17に沿わせ、係合部34aを受止片22に係合させ
る。その結果、クリヤラーパット30は支持板17,18間に
移動不能に保持される。以上のクリヤラーパット30の取
付けは人手のみによって簡易、迅速に行うことができ
る。パット支持枠15に所要数のクリヤラーパット30を取
付けた後、パット支持枠15の両端部を夫々支持ブラケッ
ト11の保持溝13に嵌合させて保持させる。これにより、
各クリヤラーパット30のパット片32の先端部がバックロ
ーラ８のドラフト部外周面8aに圧接し、そのドラフト部
外周面8aをクリーニングする。

次に、バックローラ８のクリーニング作業によってパッ
ト片32の先端部が摩耗したとき等に、パット支持枠15か
らクリヤラーパット30を取外す場合には、パット支持枠
15を支持ブラケット11から取外した状態で、クリヤラー
パット30の係合片34を人手によって弾性変形させること
によって引上げてパット出入口25から出し、その係合片
34をパット出入口25から引き出すことでクリヤラーパッ
ト30をパット支持枠15から取外すことができる。このよ
うにクリヤラーパット30を取外し具を用いることなく人
手のみによって簡易、迅速に取外すことができる。クリ
ヤラーパット30を取外した後はそのクリヤラーパット30
を裏返して再び取付けることによってクリヤラーパット
30を２回使用でき、２回使用後は上記と同様にして新た
なクリヤラーパット30を取付ける。

第４図、第５図は本願の異なる実施例を示すもので、パ
ット支持枠15Aの受止片22Aに切欠窓24Aと対向する切欠
窓40を夫々設け、クリヤラーパット30Aには係合片34Aの
先端にパット片32Aと対称なパット片41を一体に設け、
このパット片41を切欠部40に嵌合させて係合片34Aの係
合部34aAを受止片22Aに係合させている。この実施例に
あっては、クリヤラーパット30Aをパット支持枠15Aから
取外した後、そのクリヤラーパット30Aを180度向きを変
えてパット片41を切欠窓24Aから突出させると共に係合
片34Aの係合部34aAを連結部20Aに当接させ、またパット
片32Aを切欠部40に嵌め込んで当接片33A,33Aを受止片22
Aに係合させることができ、その結果クリヤラーパット3
0Aを４回使用できて便利である。またクリヤラーパット
30Aの取外しはパット片41又は32Aを持って引上げること
でより簡易、迅速に取外すことができる。なお、上記実
施例と同一構成部分には同一符号にアルファベットのＡ
を符して重複説明を省略する。

考案の効果 以上のように本考案にあっては、パット支持枠のパット
出入口からクリヤラーパットを弾性変形させながら挿入
した後、クリヤラーパットの係合片をパット支持枠の支
持板に沿わせて係合片の係合部をパット支持枠の受止片
に係合させるようにしたので、パット支持枠へのクリヤ
ラーパットの装着を人手のみによって簡易、迅速に行う
ことができ、またクリヤラーパットを弾性変形させてパ
ット出入口から引き抜くことによって人手のみによって
クリヤラーパットを簡易、迅速に取外すことができ、ク
リヤラーパットの交換を簡易、迅速にできる効果があ
る。しかもパット支持枠へクリヤラーパットを弾性変形
させることで着脱できるので、クリヤラーパットを止着
する為の止具を不要にできて装置全体を簡易なものにで
き、製造コストや部品管理費用を低減できる効果があ
る。

【図面の簡単な説明】

図面は本願の実施例を示すもので、第１図は精紡機のド
ラフト装置を示す断面図、第２図はクリヤラー装置の正
面図、第３図は第２図のIII-III線断面図、第４図は本
願の異なる例を示すクリヤラー装置の正面図、第５図は
第４図のV-V線断面図である。 ８……バックローラ（ドラフトローラ）、15……パット
支持枠、17,18……支持板、20……連結部、22……受止
片、24……切欠窓、25……パット出入口、30……クリヤ
ラーパット、31……挾持板、32……パット片、33……当
接片、34……係合片

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ドラフトローラと平行に配設するパット支
   持枠に、ドラフトローラの各ドラフト部周面に当接する
   弾性変形可能な複数のクリヤラーパットを保持させて成
   る紡機のクリヤラー装置において、上記パット支持枠
   は、金属板を折曲げてクリヤラーパットを挾むように対
   向させた一対の支持板と、上記一対の支持板を連結して
   いる金属板の折曲部から成る連結部と、金属板を折曲げ
   て一方の支持板の先端部から他方の支持板側へ突出させ
   た受止片とを備え、その連結部に各クリヤラーパットを
   突出可能な切欠窓を夫々設け、他方の支持板の先端部と
   受止片の先端部との間に他方の支持板の幅を一方の支持
   板の幅より小さくして所定幅のパット出入口を形成し、
   上記クリヤラーパットは上記支持板間に挾まれる挾持板
   と、挾持板の一端から上記切欠窓を貫通してドラフト部
   外周面に当接可能に突出するパット片と、挾持板の両側
   縁から夫々連結部に当接可能に突出する一対の当接片
   と、挾持板の他端から上記受止片に係合可能に突出する
   係合片とを備えて成る紡機のクリヤラー装置。