JPH0748301A - 希土類アルコキサイドの製造方法 - Google Patents

希土類アルコキサイドの製造方法

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JPH0748301A
JPH0748301A JP19371093A JP19371093A JPH0748301A JP H0748301 A JPH0748301 A JP H0748301A JP 19371093 A JP19371093 A JP 19371093A JP 19371093 A JP19371093 A JP 19371093A JP H0748301 A JPH0748301 A JP H0748301A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 MX3 で示される希土類ハロゲン化物とアル
カリ金属アルコキサイドROM’とのスラリー反応にお
いて、研磨攪拌を行い且つ反応系の溶剤としてトルエン
を使用すると共に、反応原料モル比においてMX3 1モ
ルに対してアルコキサイドの量が3 モル未満とすること
により希土類アルコキサイドM(OR)3を製造する。 【効果】 本発明の方法により反応時間において従来の
1/2以下に短縮出来ると共に収率の向上、純度の向上
が可能となった。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は超電導材や触媒の原料と
して有用なランタンアルコキサイドの製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】希土類塩化物とナトリウムアルコキサイ
ドから希土類アルコキサイドを合成する反応は公知であ
る。(Chemistry and Industry 1963, 120)
【化4】 MCl3 +3RONa → M(OR)3 +3NaCl {M:La,Pr,Nd} 上記反応において、反応溶剤は各種アルコールを使用、
試薬は当量で使用することが記載されているが、反応時
間と収率については全く開示されていない。
【0003】一方特公昭62−6694の比較例1から16に各
種の希土類元素塩化物(MCl3 )とアルカリ金属アル
コキシド(ROM’)の反応が記載されている。反応溶
剤はイソプロピルアルコール(IPA)とテトラヒドロ
フラン(THF)を混合して使用し、試薬はROM’を
過剰に使用することが示されている。収率は33.1%から
57.1%までで低く純度の記載は無い。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記の従来技術は本発
明者らの知見によれば、何れも収率が低い上に反応時間
も数時間から数十時間と長時間を要し、工業的には未だ
有利なものではなく、より短い反応時間でしかも高い収
率と純度の得られる反応方法が望まれていた。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記問題を
解決するため、鋭意研究を行った結果、本発明を完成し
た。
【0006】すなわち、本発明の希土類アルコキサイド
の製造方法は、一般式(化5)で示される希土類ハロゲ
ン化物
【化5】MX3 (式中、Mは希土類元素、Xはハロゲン基)と一般式
(化6)で示されるアルコキサイド)
【化6】ROM’ (ROはアルコキシ基、M’はアルカリ金属原子)を溶
剤の存在下スラリー反応により一般式(化7)で示され
る希土類アルコキサイド
【化7】M(OR)3 を製造する方法において、溶剤に芳香族炭化水素を用
い、反応系に硬質の研磨媒体を存在せしめると共に、反
応物を研磨攪拌しながら反応を行うことを特徴とするも
のであり、MX3 とROM’を原料とし、溶剤を加えス
ラリー反応を行い、その際にMX3 の新しい表面が絶え
ず現れるように研磨攪拌を行うことを特徴とする方法で
ある。
【0007】また、反応系の原料比において、MX3
で示される希土類ハロゲン化物1モルに対してROM’
式で示されるアルコキサイドの量が3 モル未満であるこ
とさらに好ましくはアルコキサイドの量が2.7モル以
上3 モル未満であることを特徴とするものである。
【0008】以下、本発明についてさらに詳細に説明す
る。本発明の反応は次の反応式で表される。 MX3 +3ROM’→ M(OR)3 +3M’X (式中、Mは希土類金属元素(ただし、ランタンを除
く)、すなわち、スカンジウム(Sc)、イットリウム
(Y)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネ
オジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユウロビウム
(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(T
b)、ディスプロシウム(Dy)、ホルミウム(H
o)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテ
ルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)を示し、XはC
l、Br等のハロゲン基であり、Rはアルキル基、M’
はリチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属で
ある。)
【0009】希土類ハロゲン化物MX3 は微粒子状であ
ることが好ましい。アルカリ金属アルコキサイドである
ROM’はアルカリ金属とアルコールから公知の方法で
合成され、アルコールとしてはメタノール、エタノー
ル、n−プロパノール、イソプロパノール(IPA)、
n−ブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノー
ル、ヘキサノール、オクタノール等が挙げられる。
【0010】本発明における反応原料の使用量は、MX
3 1モルに対しROM’は3モル未満が好ましく、特に
2.7 モル以上3.0 モル未満の範囲で使用することが好ま
しい。
【0011】本発明の特徴であるところの反応に使用す
る溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳
香族炭化水素が挙げられるが、中でも安価で安全性の高
いトルエン(TL)において最も良好な結果が得られ
る。これは従来知られている溶剤である、アルコール又
はアルコールとエーテルの混合溶剤に比べてTL等の芳
香族炭化水素の場合の副生物の生成量は劇的に少なく、
その結果、収率は飛躍的に向上できるからである。この
ようなことは従来においては知られていなかったことで
あり、本発明者等の新規な発見である。
【0012】しかしながら、単に2種の原料を本発明の
特徴の1つである芳香族炭化水素溶剤に懸濁させて攪拌
しても、たとえそれが長時間の攪拌であっても反応は殆
ど進行しない。本発明者らはこの低収率の原因が、溶剤
に懸濁している原料の表面が、副生したNaClで被覆
されるためではないかと推定し、反応中絶えず新しい表
面が得られるように研磨を行いつつ攪拌をするように工
夫することによって、極めて短時間の反応時間で、しか
も満足すべき収率で反応を完結させることが出来たので
ある。以上まとめて言えば、第1の特徴である芳香族溶
剤を使用すること、第2の特徴である反応原料の表面が
たえず新しく更新されるように研磨を行いつつ攪拌する
ように工夫することの2つの組合せによるものである。
【0013】上記の研磨操作の例としては、高速攪拌機
もしくはタービンミキサーにより、あるいは不活性な硬
質物質、例えばガラス、鉄、セラミックスなどの研磨媒
体の球状物あるいは棒状物等と共に攪拌粉砕することに
より生じさせ得る衝撃力及び/又は剪断力を用いて行う
方法が挙げられる。またポンプ循環により摩砕を行う場
合、スラリーポンプ例えばスキャッター(三和特殊製鋼
製)等を用いることができる。高速攪拌機またはタービ
ンミキサー等を用いる場合、得られる効果は回転速度が
大きい程大きくなる。この場合適当な回転速度としては
2000〜30000 回転/ 分程度である。しかし低速の攪拌機
により硬質の研磨媒体を加えて攪拌する方法が特に効果
的である。例えばガラスビーズ(2〜3mmφ)を用いた
200 〜2000回転/分程度での攪拌で充分な効果を得るこ
とが出来る。なお研磨媒体は反応系中に10〜30 vol%程
度を添加することが好ましい。以上の研磨攪拌によって
反応時間は大幅に短縮できる。この効果は以下の様に推
論することが出来る。
【0014】例えば3塩化イットリウムとナトリウムイ
ソプロポキサイドをトルエン溶剤中で反応させる場合を
考える。トルエンに不溶な3塩化イットリウムの表面で
トルエンに溶解するナトリウムイソプロポキサイドが反
応し、トルエンに可溶なイットリウムイソプロポキサイ
ドは表面から遊離する。しかし副生したNaClはトル
エンに全く不溶であり、これが3塩化ランタン表面に層
を形成し、反応を阻害しているものと推定される。通常
の攪拌操作ではその層は破壊できず、反応の進行と共に
厚くなり、これが長時間攪拌し反応させても満足すべき
収率に到達しない原因となっていると思われる。本発明
の方法における研磨攪拌によれば、そのNaClの層を
破壊できて、溶剤に不溶な原料(ここでは3塩化イット
リウム)の表層を絶えず新しくできるので、反応時間を
短くして、かつ高収率が得られるものと推定される。
【0015】反応終了後は、副生したNaClと微量の
未反応物を不溶物として濾過により分離する。濾液より
溶剤を除去すると粗イットリウムアルコキサイドの粉末
が得られる。不純物が含まれている場合は、トルエン等
の適当な溶剤を用いて再結晶等の操作を行い、さらに精
製することが出来る。本発明者らの実験によれば、アル
コールを溶剤として使用すると大量の副生物が生成する
ことが判った。またアルコール溶剤を用いた場合、RO
M’もMX3 もアルコールに少量溶解するので、通常の
反応完結方法である一方の試薬を過剰に用いる方法を行
うと、過剰の試薬が生成物であるM(OR)3 中に残存
して製品純度を下げる。そしてこの分離を再結晶法で行
おうとしても、非常に困難である。そのため反応原料を
等モルで行うと、通常の攪拌方法では反応時間を非常に
長くしても反応は完結せず、結局は両試薬が残り、生成
物であるM(OR)3 中に残存して製品純度を下げてし
まう。
【0016】本願においては反応系に硬質の研磨媒体を
存在せしめて攪拌する方法により反応時間を短縮すると
ともにさらに、反応溶剤に芳香族炭化水素特にトルエン
を用いることにより、アルコールを溶剤に用いた場合に
生成する副生物を大幅に減少させることが出来、この結
果収率は飛躍的に向上する。このことは従来の希土類ハ
ロゲン化物の反応においては知られていなかったことで
ある。次にMX3 をROM’との化学量論関係よりやや
過剰に用いることについても従来知られておらず、文献
等にも記載がない。従来の報文はいずれもROM’であ
るナトリウムアルコキサイドが過剰か又は等量である。
【0017】この関係は公知の溶剤であるアルコール、
テトラヒドロフランではなく、本発明の溶剤である芳香
族溶剤についても生じる。例えばトルエンを溶剤として
ナトリウムアルコキサイドを用いた反応においても、ナ
トリウムアルコキサイドが過剰であると過剰分は全量が
生成物であるM(OR)3 中に取り込まれる。そしてそ
れはトルエンで何度再結晶しても分離出来ない。したが
って、製品M(OR) 3 中のナトリウム分を低下させる
ことが困難である。ところが、MX3 の方を少し過剰に
用いることにより、未反応ナトリウムアルコキサイドが
無くなり、MX3 はトルエンに不溶なので、反応生成物
M(OR) 3 中のナトリウム分が無くなり、反応完結ま
での時間を極めて効果的に短縮することができる。
【0018】本発明の方法における反応系においてはM
3 はトルエンに懸濁するだけであり、ナトリウムアル
コキサイドはトルエンに僅かしか溶けないので、反応を
進行させるためには、本発明の方法が最も有効な方法で
ある。トルエンを使用する効果は本願発明の研磨攪拌方
法と組み合わせることにより最大の効果を得ることがで
きる。
【0019】以上の方法において、アルカリ金属M’は
希土類ハロゲン化物MX3 に対してアルカリ金属アルコ
キサイドとしても、アルカリ金属とアルコールの混合物
としても使用することができる。
【化10】 MX3 +3ROM’→M(OR)3 +3M’X (化10)式の場合は、既に述べたようにROM’を別
に合成しておく必要があり、これをトルエン溶媒中で希
土類ハロゲン化物と反応させる。
【化11】MX3 +3M’+3ROH→M(OR)3
3M’X+H2 O (化11)式の場合は、ROM’を合成しておく必要は
無く、トルエン溶媒中で希土類ハロゲン化物とアルコー
ルとアルカリ金属とを反応させるので好ましいが、M’
とROHの反応を完結させるために一方を過剰に用いる
必要がある。M’を過剰に用いると経済的でなく、又、
反応残査の処理が面倒になる。ROHを過剰に用いると
反応後、溶剤トルエン中の極少量のアルコールを除去す
るため、トルエンとアルコールを全量除去する必要があ
る。
【0020】アルコールの過剰量は一般にM’の2モル
倍以下、好ましくは1.5 モル倍以下で良い。(化11)
式において、MX3 とM’をアルコール添加前に前もっ
てトルエン中で混合攪拌しておくことは、ROM’形成
前、あるいはM(OR)3 生成物にMX3 の脱水が出来
て、副反応を防止出来る点で好ましい。
【0021】
【実施例】以下実施例により、本発明を更に具体的に説
明する。
【0022】実施例1 還流器と攪拌装置を取り付けた内容積2リットルのステ
ンレス製オートクレーブに直径3mmのガラスビーズを20
0 ml装入して窒素置換した。ついで3塩化イットリウム
41.0g(0.210 モル)を装入し、次に公知の方法で合成
したナトリウムイソプロポキサイド49.2g(0.600 モ
ル)をトルエン500 gに懸濁して30分で装入した。つい
で昇温し、還流下5時間攪拌しながら反応を行ったとこ
ろで、溶液中のナトリウムイソプロポキサイド分が無く
なった。反応液を冷却し、濾過して副生物のNaClと
未反応の3塩化イットリウムを濾別した。濾液は最高15
0 ℃、1mmHgまでの減圧下にロータリーエバポレーター
で溶剤を除去し、白色の固体49.5gが得られた。金属分
はキレート滴定と原子吸光で測定した。イソプロポキシ
ド分は加水分解後イソプロパノールとしてガスクロ分析
により定量した。塩素は、硝酸銀法で滴定した。Y(O
iPr)3 の理論収率はイットリウム基準で89%であっ
た。そして不純物としてCl分を含有していたが、これ
を未反応YCl3 と仮定すると0.8 wt%であった。これ
は過剰に存在する3塩化イットリウムのCl分の20%に
相当する量が残存していることになる。残りは溶剤に用
いたトルエンにより除去されたものと思われる。
【0023】実施例2〜10 実施例1の原料であるYCl3 とNaOiPrのかわり
に、表1に示す各種希土類ハロゲン化物と各種アルカリ
金属アルコキサイドを用いて実験を行った。結果を表1
に示す。いずれも、収率は80〜90%程度と高く、不純物
も低い。
【0024】
【表1】
【0025】実施例11 還流器と攪拌装置を取り付けた内容積2リットルのステ
ンレス製オートクレーブに直径3mmのガラスビーズを20
0 ミリリットル装入して窒素置換した。ついで3臭化イ
ットリウム34.5g(0.105 モル)と粒状金属ナトリウム
6.9 g(0.3 モル)をトルエン500 gに懸濁し、装入し
た。1時間攪拌した後40℃で、IPA溶媒24.0g(0.4
モル)を2時間費やして滴下した。ついで昇温し還流下
6時間攪拌し反応させたところ、溶液中の金属ナトリウ
ム分が無くなった。その後溶剤を最高160 ℃、3mmHgま
での減圧で除去し、白色の固体を得た。ついで、トルエ
ン抽出による精製を行うために、上で得られた白色固体
を砕き、2リットルの四つ口フラスコに入れて、500 g
のトルエンを装入して還流下2時間攪拌した。抽出後、
抽出液をセライトを用いて濾過し、濾液を得た。セライ
ト上に残った残差を使用して、この抽出操作をもう1度
繰り返した。二つの濾液を一緒に合わせてその溶剤を最
高150 ℃、1mmHgまでの減圧により除去し、白色固体2
4.5gが得られた。これは、Y(OiPr)3 であり、
イットリウムを基準にした収率は88%であった。そして
不純物としてBr分を含有していたが、これを未反応原
料YBr3と仮定すると0.8 wt%含有していた。これは
過剰に存在するBr分の10%に相当する量が残存してい
ることになる。
【0026】比較例1 ガラスビーズを使用しないで、実施例1と同様に合成を
行った。溶液中のナトリウムイソプロポキシド分が無く
なるまで、36時間を要した。この時間はガラスビーズを
使用した場合の7倍であった。得られた白色固体は43.4
gであった。これは、Y(OiPr)3 であり、イット
リウムを基準にした収率は78%であった。そして不純物
としてCl分を含有していたが、これをYCl3と仮定
すると0.9 wt%含有していた。このClは、過剰に存在
するCl分の20%に相当する量が残存していることにな
る。溶剤にトルエンを使用しても、ガラスビーズを使用
しない場合は、反応時間が非常に長くなり、かつ収率も
良くないことがわかる。
【0027】比較例2 実施例と同じ装置と試薬を用いて出来るだけ公知の方法
に合わせて合成を行った。即ちガラス玉は装入せず、又
反応溶剤としてトルエンのかわりに公知のイソプロパノ
ールIPAとテトラヒドロフランTHFの混合溶剤を用
いた。3塩化イットリウム41.0g(0.210 モル)をIP
A150 gに懸濁装入した。ナトリウムイソプロポキサイ
ド49.2(0.600 モル)をTHF450 gに予め溶解してお
き、1時間30分かけて攪拌しつつ滴下した。次いでTH
Fの加熱還流温度で5時間攪拌したところ液中の塩素分
が無くなった。冷却後、塩化ナトリウムを主成分とする
固体をセライトを用いて濾過し分離した。濾液はロータ
リーエバポレータを用いて150 ℃、2mmHgで溶媒を除去
し白色固体を得た。次いで白色固体を2リットルの四つ
口フラスコに入れて350 gのトルエンを用いてトルエン
の沸点で2時間攪拌し、次に濾過して濾液を得た。この
抽出操作をもう1度繰り返した。2回の濾液はそれぞれ
同様にロータリーエバポレーターで濃縮し、最後に135
℃、2mmHgにて2時間乾燥した。1回目の濾液からは2
1.0g、2回目の濾液から1.4 gの白色固体が得られ、
両方の固体を合わせて分析を行った。これはY(OiP
r)3 であり、イットリウムを基準にした収率は41%で
あった。そして不純物としてCl分を含有していたがこ
れをYCl3 と仮定すると、3.6 wt%含有していた。こ
のClは、過剰に存在するCl分の30%に相当する量が
残存していることになる。本発明の方法に比較して、収
率は悪く、不純物は多く好ましくなかった。Cl分は最
初の反応溶剤には全量溶解していた。トルエンによる抽
出で大幅に減少したが、やはりかなりの量が残存した。
【0028】比較例3 比較例1および2は、ナトリウムがイットリウムに対し
化学量論的に少ない場合であった。比較例3はナトリウ
ムがイットリウムに対し、化学量論的に多い場合であ
る。具体的には、3塩化イットリウム39.1g(0.20モ
ル)に対し、ナトリウムイソプロポキサイド54.1g(0.
66モル)を用いた。ナトリウムイソプロポキサイドのT
HF溶液を滴下後、反応液中の Cl 分が無くなるまで、
4時間半を必要とした。2回のTL抽出により白色結晶
22.6gが得られた。これはY(OiPr)3 であり、イ
ットリウムを基準にした収率は39%であった。そして不
純物としてNaを含んでいたが、これを未反応原料Na
OiPrと仮定すると8.4 wt%含有していた。本発明の
方法に比較して収率も低く、不純物も多かった。又この
Na分は以後再結晶しても全く減少しなかった。
【0029】
【発明の効果】本発明により、希土類アルコキサイドを
合成するにおいて、高収率、高純度でしかも従来より格
段に短時間の反応で工業的に有利に製品を得ることが可
能になり、産業に利するところ極めて大である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07F 5/00 F 7457−4H

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(化1)で示される希土類ハロゲ
    ン化物 【化1】MX3 (式中、Mは希土類元素、Xはハロゲン基)と一般式
    (化2)で示されるアルコキサイド 【化2】ROM’ (ROはアルキコシ基、M’はアルカリ金属原子)を溶
    剤の存在下スラリー反応により一般式(化3)で示され
    る希土類アルコキサイド 【化3】M(OR)3 を製造する方法において、溶剤に芳香族炭化水素を用
    い、反応系に硬質の研磨媒体を存在せしめると共に、反
    応物を研磨攪拌しながら反応を行うことを特徴とする希
    土類アルコキサイドの製造方法。
  2. 【請求項2】 反応系の原料比において、(化1)式で
    示される希土類ハロゲン化物1モルに対して(化2)式
    で示されるアルコキサイドの量が3 モル未満である請求
    項1記載の希土類アルコキサイドの製造方法。
  3. 【請求項3】 反応系の原料比において、(化1)式で
    示される希土類ハロゲン化物1モルに対して(化2)式
    で示されるアルコキサイドの量が2.7モル以上3 モル
    未満である請求項1記載の希土類アルコキサイドの製造
    方法。
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