JPH0746130Y2 - 組立式温室 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は組立式温室、詳しくは組立および解体を簡単に
行うことのできる組立式温室に関する。

〔従来の技術〕

温室には畑地などに設置される大規模のものから各種の
蘭やサボテンなどの小型植物を栽培したり家庭園芸用に
適した小規模のものまで様々な規模のものがある。これ
らの温室のなかで小規模のものは庭先やベランダなどの
室外は勿論、室内に設置されることもある。

このような小規模の温室には使用者が組立や解体を行な
えるようになっているものがあった。

〔考案が解決しようとする課題〕

しかし、従来はその組立作業や解体作業に手間と時間が
かかりすぎ、一旦組み立てて設置してしまうと、その解
体が面倒であるために夏場の気温の高い時期のように植
物にとって温室内の諸条件などが好ましくないような時
期でも温室を解体せずに植物をその中にいれたまま放置
するということが多々あり、植物が高温障害でいたんだ
り、ひどい場合には植物が枯死してしまうといった事態
も生じていた。このような夏期の高温障害を回避するた
めに温室に換気設備や冷房設備を取り付けると、その設
備費や維持費が余分に必要になって一般向けしないもの
となる。また、植物がいつも温室にいれたままに放置さ
れていたため、梅雨時期のような自然の降雨に恵まれる
時期であっても灌水が必要になるという不便さがあっ
た。

本考案は以上の事情に鑑みてなされたもので、組立や解
体を誰もがきわめて簡単に行うことができるようにして
必要時には直ちに組み立てることができる一方、不要時
には直ちに解体することができ、しかも解体後にはそれ
を整然とした形で保管することが可能な組立式温室を提
供することを目的とする。

〔課題を解決するための手段〕

本考案の組立式温室は、硬質の合成樹脂発泡体よりなる
複数の矩形の枠体が可撓性を具備するシート状素材によ
りつなぎ合わされて形成され、上記シート状素材を折り
曲げることにより複数の上記枠体が折畳状態に積み重ね
られる状態と多角環状の温室外枠を形成する状態とに変
形可能な外枠構成部材と、上記枠体に張設されてその開
口を塞ぐ合成樹脂製のシート材と、外枠構成部材により
形成された多角環状の温室外枠の上部開口を覆うパネル
材と、外枠構成部材により多角環状の温室外枠を形成さ
せたときに相隣接する枠体に端面とそれらの枠体をつな
いでいるシート状素材との間に形成される空間に挿入さ
れる杭体とを備えているものである。

〔作用〕

この構成の組立式温室は次のようにして組み立てられ
る。すなわち、外枠構成部材を形成している複数の矩形
の枠体を多角環状に並べることによって温室外枠を形成
すること、こうして形成された温室外枠において、相隣
接する枠体の端面とそれらの枠体をつないでいるシート
状素材との間に形成される空間に杭体を挿入すること、
必要に応じてその杭体を温室外枠の設置面に突き刺して
温室外枠をその設置面に固定すること、複数の上記枠体
の開口を合成樹脂シート材によって塞ぐこと、上記温室
外枠の上部開口をパネル材で覆うこと、とを行うことに
より組み立てられる。こうして組み立てる場合、シート
材は枠体に貼り付けるなどの方法であらかじめ枠体に張
設しておいてもよく、そうしておくとシート材を組立時
に張設する必要がなくなる。

また、解体は次のようにして行われる。すなわち、温室
外枠からのパネル材を取り外すこと、相隣接する枠体の
端面とそれらの枠体をつないでいるシート状素材との間
に形成される空間から枠体を引き抜くこと、シート材を
枠体から取り外すこと、温室外枠を形成している多角環
状に並べられた複数の枠体を展開すること、とを行うこ
とによって解体される。この場合に、シート材が枠体に
あらかじめ張設されているとシート材を解体時に取り外
す必要がなくなる。こうして解体された温室は、外枠構
成部材の複数の枠体が折畳状態に積み重ねられ、パネル
材や杭体とともに整然とした形で保管される。

〔実施例〕

第１図は本考案の実施例による組立式温室を説明的に示
した斜視図、第２図は上記温室のパネル材を省略して示
した平面図である。

１は温室の外壁を形成している温室外枠で、これは次に
説明する外枠構成部材Ａを矩形環状に変形させることに
よって形成されている。外枠構成部材Ａは八枚の枠体2
a,2b,2c…2hが板ゴムや厚手の合成樹脂シートなどによ
って作られた可撓性を具備するシート状素材3b,3c…3h
でつなぎ合わされて形成されている。そして、シート状
素材3a,3b,3c…3hはそれらが対応する枠体2a,2b,2c…2h
の端部にビスや釘などの止着具７や接着剤によって固着
されているが、一枚目の枠体2aの端部に設けられたシー
ト状素材3aにはホックやスナップなどの着脱手段71が設
けられているのに対し、八枚目の枠体2hの端部にはその
着脱手段71の着脱される係合部が設けられている。

外枠構成部材Ａを形成している八枚の枠体2a,2b,2c…2h
は、第１図および第２図のように多角環状に並べて温室
外枠１を形成させることも、枠体2a,2b,2c…2hを展開し
て平坦に並べることも、第３図のようにそれらの枠体2
a,2b,2c…2hを折畳状態に積み重ねることも可能であ
る。

八枚の枠体2a,2b,2c…2hで第１図のような温室外枠１を
形成させる場合は、シート状素材3cでつなぎ合わされて
いる二枚目の枠体2bと三枚目の枠体2cのつなぎ部分、シ
ート状素材3eでつなぎ合わされている四枚目の枠体2dと
五枚目の枠体2eのつなぎ部分、シート状素材3gでつなぎ
合わされている六枚目の枠体2fと七枚目の枠体2gのつな
ぎ部分のそれぞれを直角に曲げ、かつ一枚目の枠体2aと
八枚目の枠体2hとを直角に突き合わせる一方、シート状
素材3bでつなぎ合わされている一枚目の枠体2aと二枚目
の枠体2b、シート状素材3dでつなぎ合わされている三枚
目の枠体2cと四枚目の枠体2d、シート状素材3fでつなぎ
合わされている五枚目の枠体2eと六枚目の枠体2f、シー
ト状素材3hでつなぎ合わされている七枚目の枠体2gと八
枚目の枠体2hとを平板状に並べ、八枚目の枠体2hに一枚
目の枠体2aに設けられたシート状素材3aを上記着脱手段
71を介して固定する。

つなぎ部分で直角に曲げられる枠体2b,2cをつなぎ合わ
せているシート状素材3cは第６図に拡大して示したよう
に枠体2b,2cに対する取付部分3c′,3c′を除く部分3c″
の幅寸法が枠体2bと枠体2cの各厚み寸法t₁,t₂よりも長
くなっていて、枠体2b,2cを直角に曲げたときには枠体2
b,2cの端面とシート状素材3cとの間に後述する矩形断面
形状の杭体８を挿入することができる程度の広さを有す
る空間が形成されるようになっている。なお、シート状
素材3cの枠体2b,2cに対する取付部分3c′,3c′を除く部
分3c″の幅寸法は杭体８の太さや断面形状に応じて適宜
定められればよく、要するに上記空間の広さが杭体８を
挿入することができる程度に設定されればよい。他のシ
ート状素材3a,3e,3gについても同様である。

八枚の枠体2a,2b,2c…2hを第３図のように折畳状態に重
ねる場合は、シート状素材3b,3d,3f,3hでつながれてい
る枠体2a,2b、2c,2d、2e,2f、2g,2hの表面同士を重ね合
わせると共に、シート状素材3c,3e,3gでつながれている
枠体2b,2c、2d,2e、2f,2gの裏面同士を重ね合わせる。
このように八枚の枠体2a,2b,2c…2hを折畳状態に積み重
ねることができると、温室を解体してその外枠構成部材
Ａを保管するときにその枠体2a,2b,2c…2hを整然と積み
重ねて保管することができる利便がある。

枠体2a,2b,2c…2hはいずれも上下一対の横部材と左右一
対の縦部材とを一体成形または接合などの公知の方法で
矩形環状に配設したもので、その材質は硬質の合成樹脂
発泡体である。これらの枠体2a,2b,2c…2hについては、
第４図に枠体2aについて代表的に示したように、その表
面と裏面とに塩化ビニル樹脂シート（たとえば農業用塩
ビシート）などの合成樹脂製のシート材4,4がブチルゴ
ム系接着剤などの接着剤で貼り付けられることにより張
設されてその開口がそれらのシート材4,4によって塞が
れている。シート材４は必ずしも第４図のように二重に
張設する必要はないが、二重にしておくとシート材4,4
の間に形成される空気層５が優れた断熱作用を発揮し、
第１図のように温室を組み立てたときにはその室内の保
温作用が向上する。また、シート材４は個々の枠体2a,2
b,2c…2hについて各別に張設しても、上記外枠構成部材
Ａを形成しているすべての枠体2a,2b,2c…2hに対して一
枚の共通のシート材４を張設しても、あるいはすべての
枠体2a,2b,2c…2hに対して二枚以上の複数枚のシート材
を並べて張設してもよい。さらに、隣接する枠体の相互
間に亘ってシート材４を張設し、そのシート材４によっ
て上記シート状素材3a,3b,3c…3hを代用してもよく、そ
の場合には、隣接する枠体の相互間に亘る部分でシート
材４を弛ませ、その弛み部分を利用して隣接する枠体を
直角に曲げられるようにしておく。シート状素材3a,3b,
3c…3hをシート材４によって代用する場合、シート材４
には0.5mm厚程度のポリエチレンテレフタレート樹脂シ
ートや0.5〜1mm厚程度のポリカーボネートが好適に用い
られる。なお、透光性を有するシート材４を用いれば温
室を組み立てた場合に室内への採光が可能となり、しか
も室内を外部から観察することができるようになる。さ
らに、シート材４は温室外枠１を形成した後に、それを
形成している枠体2a,2b,2c…2hの開口を塞ぐように張設
されてもよい。

外枠構成部材Ａで形成された矩形環状の温室外枠１にお
いて、つなぎ部分で直角に曲げられた枠体2b,2cの端面
とそれらをつなぎ合わせているシート状素材3cとの間に
は空間が形成され、この空間には杭体８が挿入される。
他のつなぎ部分で直角に曲げられた枠体の端面とそれら
をつなぎ合わせているシート状素材との間に形成された
空間にも同様に杭体８が挿入される。これらの杭体８は
木製であっても、合成樹脂発泡体で作られていても、金
属製であってもよいが、合成樹脂発泡体で作っておくと
軽量になって取扱性が向上する。また、杭体８の断面形
状は第６図に明示した矩形以外に、円形であっても三角
形などの他の形状であってもよい。矩形環状に形成され
た温室外枠１の四つのコーナ部に第１図および第２図の
ように杭体８が挿入されていると、この杭体８が温室外
枠１を矩形に保形するための隅柱として機能し、温室外
枠１が風圧などによって容易に型崩れすることがなく、
室外での強風にも十分に耐えられる程度の強度を有する
ようになる。また、これらの杭体８を温室外枠１が設置
されている面（たとえば地面）に突き刺しておくと、そ
れらの杭体８によって温室外枠１が一層強固に支持され
る。この杭体８は温室を解体するとき引き抜かれる。

第１図において、９はパネル材で、これは温室の屋根材
として機能する。すなわち、パネル材９は温室外枠１の
上部開口を覆うようにその温室外枠１の上に被せられ
る。図例では、パネル材９の端縁部裏面に凸条91,91が
形成されている一方、枠体2a,2b、2e,2fの上端に凹条9
2,92が形成されており、パネル材９を温室外枠１の上に
被せたときに凸条91と凹条92とが第５図のように嵌合し
てパネル材９の位置決めがなされるようになっている。
パネル材９は矩形の外枠に農業用塩ビシートなどのシー
ト材を張設したものでも、一枚の合成樹脂板によって構
成されたものでも、同じ大きさの二枚の合成樹脂板によ
って構成されたものでもよく、また、同じ大きさの二枚
のパネル材９をシート状素材で連結したものでもよい。
このパネル材９は温室を解体するとき取り外される。

以上説明した組立式温室において、枠体2a,2b,2c…2hの
個々の横幅を400〜800mm、縦幅を80〜160mm程度に設定
しておくと、一般家庭の庭先やベランダ、あるいは室内
などに設置して使用される温室として手頃で取扱性のよ
いものとなり、しかも第３図のように外枠構成部材Ａを
折り畳んで保管するときにそれほど大きな場所をとらな
い利点がある。

図示例の組立式温室に用いられている枠体2a,2b,2c…2h
はすべて同じ大きさになっているため、第３図のように
それらを積み重ねたときには全部の枠体2a,2b,2c…2hに
端部がきれいに揃う。また、パネル材９に同じ大きさの
二枚のパネル材をシート状素材で連結したものが用いら
れている場合には、そのパネル材９を折り畳んで上記枠
体2a,2b,2c…2hと重ねて保管することができる利便があ
る。なお、上記枠体2a,2b,2c…2hをすべて同じ大きさに
しておく必要は必ずしもなく、組み立てられる温室を縦
長にしたり横長にしたりする場合には、それらの枠体の
横幅が必然的に異なってくるので、その場合には枠体2
a,2b,2c…2hを積み重ねたときにそれらの端部が揃わな
い場合が生じる。

〔考案の効果〕

以上のように本考案の組立式温室は、外枠構成部材を形
成している複数の枠体を多角環状に並べたりそれを展開
したり、パネル材を所定箇所にかぶせたりそれを取り外
したりするきわめて簡単な作業を行うだけで組立や解体
が行われ、組立や解体に困難な操作が伴わない。加え
て、上記枠体は強固な割りに軽量な硬質の合成樹脂発泡
体で作られるため、取扱性に富み、そのことによって組
立や解体をいっそう簡単に行えるようになり、誰もが必
要に応じて迅速かつ簡単に組立や解体を行うことがで
き、植物の栽培に温室が必要なときや温室が不要なとき
など、その時々の要望にかなった条件で植物を栽培する
ことができる。その結果、従来のように余分に換気設備
や冷房設備を設けて温室内を植物の栽培に適した条件に
管理する必要がなくなる。

また、温室を組み立てたときには杭体を温室外枠の設置
面に突き刺しておけば、その杭体を介して温室が強固に
設置面に保持され、温室が強風にも十分に耐えられるよ
うになる。

解体した後は、外枠構成部材の複数の枠体を折畳状態に
積み重ねて整然した形で保管できるようになり、保管に
場所をとらない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例による組立式温室を説明的に示
した斜視図、第２図は上記温室のパネル材を省略して示
した平面図、第３図は外枠構成部材を折り畳んだ状態の
説明図、第４図は枠体の断面図、第５図は温室外枠とパ
ネル材との位置決め機構を示す要部断面図、第６図は第
２図のＸ部を拡大した平面図である。 １……温室外枠、2a,2b,2c〜2h……枠体、3a,3b,3c…3h
……シート状素材、４……シート材、９……パネル材、
８……杭体、Ａ……外枠構成部材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】硬質の合成樹脂発泡体よりなる複数の矩形
   の枠体が可撓性を具備するシート状素材によりつなぎ合
   わされて形成され、上記シート状素材を折り曲げること
   により複数の上記枠体が折畳状態に積み重ねられる状態
   と多角環状の温室外枠を形成する状態とに変形可能な外
   枠構成部材と、 上記枠体に張設されてその開口を塞ぐ合成樹脂製のシー
   ト材と、 外枠構成部材により形成された多角環状の温室外枠の上
   部開口を覆うパネル材と、 外枠構成部材により多角環状の温室外枠を形成させたと
   きに相隣接する枠体の端面とそれらの枠体をつないでい
   るシート状素材との間に形成される空間に挿入される杭
   体と、 を備えている組立式温室。