JPH0744437Y2 - 内面研削盤における環状ワークの搬入排出装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、主に環状ワークの外周を２つのローラとシ
ューとで支持し、そのワークの内面を回転砥石で研削す
る内面研削盤の搬入排出装置に関し、特に加工済ワーク
の排出と未加工ワークの供給とを確実に行なえるように
したものである。

〔従来の技術〕

この種の内面研削盤の構造を、第11図と第12図及びこの
考案の実施例を示す第１図と第２図を参考にして説明す
ると、第１図に示すごとくこの内面研削盤は、主軸台13
に２つのローラ１、２を上下に対向配置し、この両ロー
ル１、２の間にワーク受けシュー３の先端を臨ませてお
り、上ロール１を下ロール２に対して接近離反可能に取
付けている。

上記シュー３の上部には、第11図に示すように、ワーク
プッシャー４が移動可能に設けられ、このプッシャー４
が摺動するプッシャー挿通溝５に、上下に多数の環状ワ
ーク（未加工ワーク）ａが収納される供給シュート６が
連結されている。上記シュー３の先端と下ロール２の頂
部0₁との間には、プッシャー４によりシュー３先端に押
し出された未加工ワークａが嵌まり込む係止部7aが形成
されている。

また、両ロール１、２間の両側には、第２図に示すよう
に、係止部7aに嵌合したワークａの両側面を押圧するプ
ッシャーロータ８とフロントプレート９が設けられてお
り、このフロントプレート９には、砥石11の先端が挿通
する孔9aが設けられている。一方、上記プッシャーロー
タ８は、フロントプレート９に向かって進退するシリン
ダ10先端に回転可能に取付けられており、シュー３先端
の係止部7aにワークａが嵌合すると、シリンダ10が前進
してプッシャーロータ８がワークａをフロントプレート
９に押し付け、ワークａと共に回転するようになってい
る。

また、下ロール２のシュー３と反対側の側部には、加工
済ワークを排出する搬出シュート12の一端が臨んでい
る。

上記のような構造で成る内面研削盤においては、プッシ
ャー４からシュー３先端に押し出した未加工ワークａの
外周を上下の両ロール１、２とシュー３先端とで支持
し、そのワークａの両端面をプッシャーロータ８とフロ
ントプレート９の間で押圧保持した状態で、両ロール
１、２と共にワークａを回転させ、そのワークａの内周
面に回転駆動させた砥石11を当接して研削を行なう。こ
の研削加工の際はプッシャー４は後退して、その前方に
供給シュート６から次の未加工ワークが供給された状態
にある。

研削加工が終了すると、第11図に示すように、先ず、上
ロール１が上昇して下ロール２との間でのワーク支持を
解き、次にプッシャー４が前進して未加工ワークａをシ
ュー３先端に押し出す。このシュー３先端に押し出され
た未加工ワークａは、加工済ワークｂを押し出して係止
部7aに嵌まり込むと共に、この押された加工済ワーク
は、下ロール３の周面上をすべって搬出シュート12に送
り出され、排出される。

〔考案が解決しようとする課題〕 ところで、上記構造の内面研削盤において、ワークのロ
ーディング時間を短縮するために、プッシャー４のワー
ク押出しの動きを早くした場合、未加工ワークａの移動
速度が大きくなり、この勢いにより加工済ワークｂと共
に排出されることが多く生じる。このような不都合は、
プッシャー４の動きを遅くすれば解消できるが、これで
はワークローディング時間が長くなり作業時間の短縮が
図れない欠点がある。

また、供給シュート６のワーク案内溝が摩耗した場合、
２個又はそれ以上の未加工ワークａが同時にプッシャー
挿通溝５内に落下し、これがプッシャー４によりシュー
３先端に押し出されることが生じる。しかし、上述した
従来の構造では、下ロール２上に押し出されたワークを
止める構造がないため、排出された未加工ワークがその
まま加工済ワークと共に排出されてしまう欠点がある。

この考案は、上記の欠点に鑑みてなされたもので、プッ
シャーによるワークの押し出し速度に関係なく環状ワー
クをシュー先端の係止部に確実に係止することができ、
未加工ワークの排出を防止しうるようにした内面研削盤
の環状ワークの搬入排出装置を提供しようとするもので
ある。

〔課題を解決するための手段〕

上記の課題を解決するため、この考案は、上下に接近離
反する上ロールと下ロールの間にシューの先端を臨ま
せ、そのシューに対向してシューに向かって水平方向に
接近離反するワークストッパを設け、このワークストッ
パがシューに最も接近した時にワークストッパとシュー
先端との間に、上記下ロールの周面に沿ってシュー先端
から順に未加工ワークと加工済ワークが並列しかつ互い
に接触した状態で同時に嵌まり込む間隙を設け、その間
隙に２個のワークが嵌合した状態でワークストッパと当
接する加工済ワークの中心を下ロールの頂部よりワーク
ストッパ側に偏って位置するように設定すると共に、シ
ュー先端と当接する未加工ワークの中心を下ロールの頂
部とシュー先端の間に位置するように設定し、上記シュ
ーの上面に、上記間隙に向かって未加工ワークを順に押
し出すプッシャーを移動可能に設け、かつ上記ワークス
トッパには、上記プッシャーが未加工ワークを間隙に押
し出した後ワークストッパをシューから離反させる駆動
機を連結したのである。

また、シュー先端とワークストッパ間の間隙に３個以上
のワークが嵌合した際のワークストッパの位置変化を検
知する位置検知器を設け、この検知器の検知信号を機械
の異常信号としてもよい。

〔作用〕

上記構造においては、プッシャーにより未加工ワークが
シュー先端に押し出されると、この未加工ワークと、未
加工ワークで押されて移動する加工済ワークは、ワーク
ストッパで止められ、ワークストッパとシュー先端の間
の間隙に嵌め込まれた状態になる。

次に、駆動機を作動させてワークストッパを後退させる
と、加工済ワークの中心が下ロールの頂部よりワークス
トッパ側に寄っているため、加工済ワークは自重により
下ロール上をすべって排出される。一方、未加工ワーク
は、下ロールの頂部とシュー先端の間に嵌合した状態と
なり、そのまま残されることになる。

また、ワークストッパの位置検知器を設けると、未加工
ワークが２個以上同時に押し出された場合、余分な未加
工ワークで押されて変化するワークストッパの位置変化
を位置検知器で検知し、この検知信号により機械の動き
を止めて未加工ワークの排出を防止することができる。

〔実施例〕

以下、この考案の実施例を添付図面に基づいて説明す
る。

内面研削盤の基本構造は従来技術の項で説明したので、
ここでは本考案に係る特徴部分について説明する。

第１図及び第３図に示すように、主軸台13の側方に設け
られたテーブル14上に、適当な間隔をあけて２個の支持
板15、16が配置され、この両支持板15、16に支持された
ワークストッパ17がロール１、２間のすき間に向かって
移動可能に取付けられている。

上記ワークストッパ17の中央にはフランジ19が設けら
れ、このフランジ19と後側支持板16との間にコイルバネ
18が介設されており、このコイルバネ18の弾性により、
ワークストッパ17は常に両ロール１、２に向かう方向に
付勢されている。

また、上記ワークストッパ17の先端は、第４図に示すよ
うに、フランジ19が前側支持板15に当接した状態で、接
近した両ロール１、２間のすき間に入り込んでシュー３
の先端と対向するようになっており、この状態で、ワー
クストッパ17先端とシュー３先端との間に２個のワーク
（ａ、ｂ）が嵌まり込む間隙７が設けられている。

この間隙７は、右半分、すなわち下ロール２の頂部0₁と
シュー３先端との間が未加工ワークが嵌まり込む係止部
7aとなり、この係止部7aの横に加工済ワーク１個分が嵌
め込まれる空間が形成されている。また、この空間に嵌
合した加工済ワークｂの中心0₂は、下ロール頂部0₁から
ワークストッパ17側に片寄って位置するように設定され
ている。これにより、間隙７に加工済ワークｂと未加工
ワークａが嵌合した状態でストッパ17が後退すると、加
工済ワークはその自重により下ロール２の図面をすべっ
て落下するが、未加工ワークａは、係止部7aに嵌まり込
んでそのまま残留する。

一方、テーブル14の後部には、ワークストッパ17の移動
方向に沿って水平方向に伸長収縮するシリンダ21が取付
けられており、このシリンダ21のピストン杆先端に取付
けたフランジ板22が、ワークストッパ17の後端に取付け
た係止板20に係合するようになっている。

また、第１図に示すように前側支持板15には、ワークス
トッパ17のフランジ19の位置を検知する位置検知器23が
取付けられている。

この検知器23は、シリンダ21が第１図のように伸長状態
にあるとき、フランジ19が前側支持板15から離れると、
それを検知して異常信号を研削盤の制御装置に送り、作
動を停止するようになっている。この検知器23の作動
は、シリンダ21の作動と連動して切換わるようになって
おり、シリンダ21が作動している間は作動せず、研削装
置の制御部に異常信号を出さないように制御されてい
る。

また、この実施例では搬出シュート12の先端を下ロール
２の中心より下側に位置させており、これにより、搬出
シュート12先端と下ロール２の間のすき間にワークが引
掛かる現象が防止できる効果がある。

この考案の実施例は、上記のような構造でなっており、
次にその作用を第５図乃至第９図に基づいて説明する。

第５図は研削終了直後の状態を示し、研削が終了すると
上ロール１が上方に移動し、加工済ワークｂの支持を外
す。次に、第６図に示すようにプッシャー４が移動して
未加工ワークａをシュー先端へ押し出すと、この未加工
ワークａは加工済ワークｂを前方に押しやって係止部7a
に嵌まり込むと共に、加工済ワークｂはワークストッパ
17先端に当接して動きが止められる。このためストッパ
17とシュー３先端の間の間隙７には２つのワークａ、ｂ
が並列した状態になる。

プッシャー４は、その後第７図に示すように後退し、そ
のプッシャー４の前側に供給シュート６から次の未加工
ワークａが落下する。

次に、加工開始スイッチが入ると、第８図に示すように
上ロール１が下降して下ロール２とシュー３先端との間
で未加工ワークａを支持すると共に、シリンダ21が収縮
し、フランジ板22が係止板20を引いてワークストッパ17
を後方に移動させる。これにより、加工済ワークｂは下
ロール２の周面に沿って落下して搬出シュート12上に排
出される。同時に、両ロール１、２が回転して係止部7a
に嵌合した未加工ワークａが回転し、回転駆動された砥
石11の先端がフロントプレート９の孔9aからワーク内面
に挿通して研削加工を行なう。

一方、供給シュート６が摩耗するなどして第10図に示す
ように、ワークストッパ17とシュー３間の間隙７に、２
個以上の未加工ワークａがプッシャー４により同時に押
し出されると、余分な未加工ワークａ′がコイルバネ18
の弾性に抗してワークストッパ17を押し後退させる。

この場合、ワークストッパ17のフランジ19の移動を位置
検知器23が検知し、異常信号が制御装置に出されて研削
盤の動きを停止させる。これにより、間隙７には、加工
済ワークｂと未加工ワークａ、ａ′が保持されたままの
状態になり、未加工ワークの搬出シュート12への排出が
防止される。

〔考案の効果〕

以上説明したように、この考案は、シューに対向してワ
ークストッパを設け、そのワークストッパとシュー先端
との間に、一旦加工済ワークと未加工ワークを並列さ
せ、次に加工済ワークだけを排出するようにしたので、
未加工ワークの押し出し速度に関係なく加工済ワークの
排出と未加工ワークの供給とを確実に行なうことができ
る。また、プッシャーにより未加工ワークを押し出した
後、ワークストッパをシューから離反させて加工済ワー
クを排出するため、プッシャーとワークストッパの動き
を厳密にタイミングを合せて連動させる必要がなく、プ
ッシャーの移動速度や移動のタイミングを独立して自由
に設定することができる。このため、プッシャーのワー
ク押し出し速度を高くすることが可能になり、ローディ
ング時間が短縮できて作業能率の向上を図れる効果があ
る。加えて、上記の構造では、通常時ワークストッパが
未加工ワークに接触しないため、ワークストッパの干渉
なしにワークを回転させて加工することができ、スムー
ズで安定した内面研削が行なえる利点がある。

また、ワークストッパの位置を検知する検知器を設ける
と、シュー先端の間隙に未加工ワークが２個以上供給さ
れた場合、余分なワークに押されて変化するワークスト
ッパの動きを検知して機械の作動を止めることにより、
未加工ワークが加工済ワークと共に排出される不都合を
防止することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案に係る内面研削盤を示す正面図、第２
図は同上の要部を示す一部縦断側面図、第３図は同上の
要部を示す一部横断平面図、第４図はワークストッパと
シュー先端間の間隙を示す図、第５図乃至第10図はそれ
ぞれこの考案に係る搬入排出装置の作用を示す図、第11
図及び第12図はそれぞれ従来の搬入排出装置の作用を示
す図である。 １……上ロール、２……下ロール、３……ワーク受けシ
ュー、４……ワークプッシャー、7a……係止部、８……
プッシャーロータ、９……フロントプレート、10…砥
石、12……搬出シュート、17……ワークストッパ、18…
…コイルバネ、19……フランジ、21……シリンダ、23…
…位置検知器、ａ、ａ′……未加工ワーク、ｂ……加工
済ワーク。

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】上下に接近離反する上ロールと下ロールの
   間にシューの先端を臨ませ、そのシューに対向してシュ
   ーに向かって水平方向に接近離反するワークストッパを
   設け、このワークストッパがシューに最も接近した時に
   ワークストッパとシュー先端との間に、上記下ロールの
   周面に沿ってシュー先端から順に未加工ワークと加工済
   ワークが並列しかつ互いに接触した状態で同時に嵌まり
   込む間隙を設け、その間隙に２個のワークが嵌合した状
   態でワークストッパと当接する加工済ワークの中心を下
   ロールの頂部よりワークストッパ側に偏って位置するよ
   うに設定すると共に、シュー先端と当接する未加工ワー
   クの中心を下ロールの頂部とシュー先端の間に位置する
   ように設定し、上記シューの上面に、上記間隙に向かっ
   て未加工ワークを順に押し出すプッシャーを移動可能に
   設け、かつ上記ワークストッパには、上記プッシャーが
   未加工ワークを間隙に押し出した後ワークストッパをシ
   ューから離反させる駆動機を連結したことを特徴とする
   内面研削盤における環状ワークの搬入排出装置。
2. 【請求項２】上記間隙に３個以上のワークが嵌合した際
   のワークストッパの位置変化を検知する位置検知器を設
   け、この検知器の検知信号を機械の異常信号としたこと
   を特徴とする請求項１記載の内面研削盤における環状ワ
   ークの搬入排出装置。