JPH0743053B2 - 湯水混合装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は湯と水の混合比率を調節
して適温を得る湯水混合装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来この種の湯水混合装置には図３に示
すようなものがあった。

【０００３】図３において湯入口１、水入口２及び混合
湯出口３を有する弁框体４の内部には、湯側弁体５及び
水側弁体６が一体的に設けられており、湯と水の混合比
率を調節している。この湯側弁体５及び水側弁体６は、
一端が止め輪７で規制されバネ８で付勢されたワックス
サーモ９に取り付けられて設けられている。ワックスサ
ーモ９は混合湯温に応じピストン１０が伸縮して湯側弁
体５及び水側弁体６の位置を変える。混合湯温の設定は
温度設定つまみ１１によって行なわれるが、予め組立段
階で混合湯温と初期位置の関係が調整されており、手で
温度設定つまみ１１を回し混合湯温レベルを選定するこ
とができる。通常の動作時は湯側弁体５と水側弁体６経
て来た湯と水は混合され、ワックスサーモ９の感温部を
経て混合湯出口から温度設定つまみ１１で設定された混
合湯温で給湯対象に給湯される。水圧，湯圧の変動や給
湯湯量の変動に伴ない湯と水の混合比率がそれ迄の値と
異なって来ると、混合湯温の変動としてワックスサーモ
９が変化を捉え、湯水の混合比率を修正して設定値にほ
ぼ等しい混合湯を供給する。混合湯温を変更したい時は
前述のように温度設定つまみ１１を回し設定値を変更す
ることにより混合湯温レベルを変更することが可能であ
る。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】従来の湯水混合装置は
以上述べたように構成されていたため、混合湯温の設定
は温度設定つまみ１１を直接手で操作する必要があり、
湯水混合装置として設置場所が限定され、操作も温度設
定つまみ１１が経年変化で固くなったりして操作感が良
くないという問題点を有していた。また湯水混合装置と
しては上記のもの以外に、モータで弁を駆動する型式の
ものもあったが、このモータ駆動方式の湯水混合装置は
サーミスタ等の温度検出器で混合湯温を検出し、温度設
定器で設定された混合湯温の得られる位置に弁をモータ
で駆動するため、前述のような問題点は解消できる。と
ころが、水圧変動，湯圧変動や混合湯量の急激な変動に
伴ない混合湯温が設定値をはずれた場合は、温度検出器
で検出した混合湯温を温度設定器の設定温度と比較し演
算処理してモータを駆動する迄の時間がかかり、モータ
の慣性による時間遅れ等があるため、混合湯温変動を検
出して直接弁体を駆動する前述のワックスサーモ方式に
比較して過渡的な温度変動が大きく、混合湯温が熱くな
りすぎたり冷くなりすぎるという課題を有していた。

【０００５】本発明はこのような従来の課題を解消する
ものであり、遠隔制御が可能で操作性が良く、混合湯温
の安定性に優れた湯水混合装置を提供することを目的と
する。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに本発明の湯水混合装置は、湯と水の混合比率を調節
する混合弁体と、温度に応じて変化する変位を利用して
この混合弁体を駆動する混合湯流路に設けた感温体と、
混合弁体と感温体の位置調節を行なう電気的駆動手段
と、混合湯温の設定を行なう混合湯温設定器と、この混
合湯温設定器の信号に基づいて予め設定した位置に電気
的駆動手段を介して混合弁体と感温体を移動するととも
に、給湯の停止中に湯側流路を閉成する位置に前記混合
弁体を臨ませる制御を行なう制御器とを備えて構成する
ものである。

【０００７】

【作用】上記した構成により本発明の給湯装置は、混合
湯温設定器から電気的駆動手段に信号を送ることにより
遠隔制御を可能にすると共に、湯圧変動や水圧変動、ま
た流量急変時等により混合湯温が急変した場合は、感温
体で直接混合弁体の位置修正を行ない、かつ給湯の停止
中に湯側流路を閉成する位置に混合弁体を臨ませること
により、再給湯時に混合湯温がオーバシュートすること
を防止するものである。

【０００８】

【実施例】以下本発明の実施例を図１，図２を用いて説
明する。図２は本発明の実施例の湯水混合装置を用いた
給湯装置の系統図を示し、給水管１２より給水された水
はボイラー１３で加熱昇温されて給湯管１４を経て混合
弁１５に湯として供給される。混合弁１５には給湯管１
４の他給水管１６も接続されており、ここで湯水は混合
されて混合湯管１７を通って蛇口１８あるいは蛇口１９
に混合湯が供給される。蛇口１８，１９の近傍には混合
湯温設定器２０，２１が設けられており、ここでの設定
信号に従って制御器２２を経て混合弁１５は駆動制御さ
れる。

【０００９】なお混合湯温設定器２０と混合湯温設定器
２１の間には優先，従属の関係が予め定められており、
この場合混合湯温設定器２１が優先、混合湯温設定器２
０が従属となっている。混合弁１５は図１に示すように
構成されている。給湯管１４と給水管１６から供給され
る湯と水は、湯側弁座２３と水側弁座２４との距離を、
湯側弁体２５、水側弁体２６を有した混合弁体２７によ
って反比例的に変えて混合比率を調節している。混合弁
体２７は湯と水が周囲から内側に流入する筒状弁体とな
っている。また混合弁体２７はスプリング２８にて図に
おいて右側方向に付勢されており、混合湯流路２９に設
けた感温体であるワックスサーモ３０に外筒３１を介し
て当接されている。このワックスサーモ３０は温度に応
じてピストン３２が伸縮し、外周部で固定された外筒３
１を介して混合弁体２７を駆動する。またワックスサー
モ３０は感温部に螺旋状のフイン３３を有しており、フ
イン３３には多数の細孔３４があけられていて、流れを
旋回させるとともに、その一部が細孔を通って流れるこ
とにより、熱伝達の促進と混合の促進を図っているもの
である。ワックスサーモ３０のピストン３２は外周部に
設けた雌ねじ３５の内部をローレット部で嵌合された軸
３６の回転によって進退する遊動型の雄ねじ３７に当接
されており、軸３６は外部に設けたモータ３８により減
速機構３９を介して駆動される。結果的にワックスサー
モ３０と混合弁体２７はモータ３８によって駆動され、
位置検出を行なうモータ３８に設けられたポテンシオメ
ータ４０により位置確認がなされ位置調節が行なわれ
る。この場合モータ３８、ポテンシオメータ４０が電気
的駆動手段を構成している。電気的駆動手段としてはソ
レノイド等も考えられるが、モータの方が動作が緩慢で
ウォータハンマが起りにくい。なお４１は湯側弁座２３
を付勢する付勢スプリングであり、混合弁体２７が湯側
弁座２３に当接してもまだワックスサーモ３０が伸びよ
うとする場合の逃げであり各部が破損することを防止し
ている。

【００１０】次に本実施例の動作を示す。仮に混合湯温
設定器２０で欲しい温度を指示し、蛇口１８を開成した
状態を想定する。混合湯温設定器２０の設定信号は制御
器２２に送られ、予め記憶されている位置までモータ３
８がポテンショメータ４０で位置を確認しつつ、ワック
スサーモ３０及び混合弁体２７を移動させる。この動作
により大よそ混合湯温設定器２０での設定値に近い混合
湯温が得られる。ワックスサーモ３０は更に微妙な温度
の高低をとらえて伸縮し、設定値どおりの湯水の混合比
率に混合弁体２７を調節する。混合弁体２７は湯と水と
も周囲から内側に流入する筒状弁体で構成されているた
め、水圧や湯圧の高低にかかわらず一定の力で駆動でき
るものであり、特性のばらつきを生じにくい構造となっ
ている。ここでもし混合湯温設定器２１と蛇口１９が操
作され給湯が開始されると、混合湯温設定器２０に対し
て優先となっているため、混合湯温設定器２１の設定値
になるように混合比率が修正調節される。また蛇口１
８，１９の一方を開成したり閉成したりすることにより
混合弁１５からの混合湯量は急変する。これに伴ない湯
量と水量の混合比率が変化し混合湯温は上昇、あるいは
下降を始める。同様に湯圧、水圧が元圧の変動に伴ない
変化した場合も混合湯温は変化を開始する。これらの場
合、混合湯温の変化は直ちにワックスサーモ３０で捉え
られ、ワックスサーモ３０が膨張、収縮することにより
ピストン３２が伸縮し、混合湯温を元の設定値どおりの
温度に引き戻す。この場合温度変化は直ちにワックスサ
ーモ３０で駆動される混合弁体２７の動きとして現われ
混合比率を修正するため、応答性が速く混合湯の上昇や
下降のレベルが小さくてすむ。またワックスサーモ３０
はバイメタル等他の感温体よりも駆動力が大きく取れる
ため混合弁体２７の摺動抵抗が増しても安定して動作が
行なえるものである。蛇口１８，１９の双方が締められ
て給湯が停止した場合は、混合湯温設定器２０，２１を
「オフ」にすると自動的にモータ３８が回転し湯側弁座
２３に湯側弁体２５が当接して湯側を閉成する。

【００１１】これは通常、給湯停止後放置しておくと自
然冷却によりワックスサーモ３０が収縮し、湯側を開成
し水側を閉成する動作をするが、再給湯時に一時的に熱
い湯が出て危険であるため、これを防止する目的で設け
られているものであり、上記の制御は制御器２２により
行なわれる。この場合も混合弁体２７の位置はポテンシ
オメータ４０の出力として検出され確実に閉止を行なっ
ている。なお万が一、制御器２２やモータ３８が故障し
てもワックスサーモ３０で混合湯温の調節が行なわれる
ため熱湯が供給されることはない。

【００１２】なお、混合弁体２７で湯側を閉成する動作
は、給湯の開始が指示されてから実際に給湯が行なわれ
るまでの間に行なってもよい。また、給湯の停止は流量
センサによる信号検出や、給湯停止手段や開始手段の操
作スイッチ信号を利用して検出する方法等、各種の方法
が考えられる。

【００１３】

【発明の効果】以上で説明したように本発明の給湯装置
は、感温体の位置変化を利用して混合弁体を駆動すると
ともに、電気的駆動手段を用いて混合弁体と感温体を駆
動し、混合湯温設定器の信号に基づいて予め設定した位
置に混合弁体と感温体を移動し、混合湯温の微調整や外
乱による混合湯温の修正を感温体を利用して行ない、給
湯の停止中に湯側流路を閉成する位置に混合弁体を臨ま
せているため、次のような効果を有している。

【００１４】（１）混合湯温の設定が混合湯温設定器か
ら電気的駆動手段へ遠隔操作が可能であり設置の自由度
が増すとともに、混合湯温設定器の操作性も電気的操作
部に成し得るため操作性が良い。

【００１５】（２）湯圧、水圧変動や混合湯量の急変に
伴なう混合湯温の変動を感温体が捉え直接混合弁体を駆
動するため応答が早く、混合湯温の上昇や下降のレベル
が小さくてすむ。

【００１６】（３）万が一電気的駆動部が故障しても感
温体で混合湯温の調節が行なわれるため熱湯が供給され
るようなことを防止できる。

【００１７】（４）給湯の停止中に混合弁体で湯側を閉
成できるため、感温部周辺の自然冷却が原因となる再給
湯時のオーバシュートが防止できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例における湯水混合装置を示す
一部切欠断面図

【図２】同実施例の湯水混合装置を用いた給湯系統図

【図３】従来の湯水混合装置を示す断面図

【符号の説明】

２０，２１ 混合湯温設定器 ２２ 制御器 ２７ 混合弁体 ３０ ワックスサーモ（感温体） ３８ モータ（電気的駆動手段）

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭60−3722（ＪＰ，Ａ) 特開 昭59−72527（ＪＰ，Ａ) 特開 昭58−60136（ＪＰ，Ａ)

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】湯と水の混合比率を調節する混合弁体と、
   温度に応じて変化する変位を利用してこの混合弁体を駆
   動する混合湯流路に設けた感温体と、前記混合弁体と前
   記感温体の位置調節を行なう電気的駆動手段と、混合湯
   温の設定を行なう混合湯温設定器と、この混合湯温設定
   器の信号に基づいて予め設定した位置に前記電気的駆動
   手段を介して前記混合弁体と感温体を移動するととも
   に、給湯の停止中に湯側流路を閉成する位置に前記混合
   弁体を臨ませる制御を行なう制御器とを備えた湯水混合
   装置。