JPH074261Y2 - 壁面施工用金具 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、タイル，石板，陶磁器板，コンクリートパネ
ル等の壁面構成体を用いて壁面を構築するための施工用
金具に関するものであって、特に大型の壁面構成体を用
いる場合に適しており、作業の簡略化と工期の短縮を図
るものである。

〔従来の技術〕

壁面構成体として大型のタイルを用いた壁面を構築する
ための施工構造として、従来広く採用されている方式
を、第４図乃至第６図を用いて説明する。

タイル壁面を構築するには、まず、躯体10等の取付面20
に打ち込んだアンカーボルト13に、Ｌ字形固定金具11の
垂直部11aをナット12で固定する。次いで、該固定金具1
1の水平部11bにボルト16,ナット21を用いて平板状の支
持金具15を取着する。該支持金具15の先端側には挿通孔
17が穿設されている。

各タイル30は次のようにして取りつけられる。支持金具
15の下位に配置されるタイル30（31）の上部は、前記挿
通孔17に支持ピン14を挿通し、これを下位タイル31の上
端面18に設けられている挿入穴19に挿入せしめることで
支持される。また支持金具15の上位に配置されるタイル
30（32）は、支持金具15の上面に載置されると共に、該
タイル32の下端面22に設けられている挿入穴23に前記支
持ピン14を挿入せしめることで支持される。

このようにして、第５図に示す如く、タイル30の上下端
面それぞれにつき少なくとも二個所、即ち、タイル一個
につき四個所が支持ピン14で支持されて、タイル壁面が
構築される。

なお、前記固定金具11及び支持金具15に形成されている
ボルト挿通孔24,25,26は、いずれも調整可能なように長
孔にされている（第４図参照）。また所望により、各タ
イル30間には、目地材40が充填される（第６図（ａ）及
び（ｂ）参照）。

〔考案が解決しようとする問題点〕

ところで、上記従来の施工構造においては、壁面を構築
するに際して、固定金具11及び支持金具15の位置決めが
大変煩わしく難しいという問題があった。

例えば水平レベルの調整は、取付面20の手前に糸を水平
に張り渡し、この糸に合わせて固定金具11を一個ずつ固
定して行うので大変手間がかかる。また、面の出入り調
整も、支持金具15の一個ずつについて行わなくてはなら
ないので、同様に煩わしいものであった。

また、タイルの寸法誤差などの理由により、施工途中で
目地間隔を変更する必要が生じることがある。この場
合、固定金具11を固定しているナット12を一旦緩めて高
さ位置を再調整することになるが、固定金具11は壁面構
築上の基準となっているものであるから、これを一旦緩
めると、面の出入りや鉛直性等について狂いが生じるお
それがある。もし狂いが生じたならば、固定金具11及び
支持金具15の全部について再調整しなくてはならない。

このように、従来の施工構造は、固定金具11及び支持金
具15の各々について調整作業を行う必要があり、それ
故、作業能率が悪く、工期の長期化を招いていた。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案は上記問題点に鑑みて創案されたものであり、作
業の簡略化と工期の大幅短縮をもたらすことを目的とし
ている。本考案に係る壁面施工用金具の特徴は、躯体壁
面等の取付面にタイル，石板，陶磁器板，コンクリート
パネル等の壁面構成体を用いて壁面を構築するための金
具であって、前記取付面へ縦横に配列固定される断面コ
字形の固定具と、該固定具内へ出入り調整可能に嵌着さ
れる長尺の横桟具と、該横桟具へ取付位置の調整が可能
なように取着される支持具と、前記壁面構成体の支持に
供する支持ピンとからなり、前記支持具は、前記横桟具
の表面へ取り付けられる取着部と、該取着部の表面に対
し直角に設けられ先端側に前記支持ピンを挿通させる挿
通孔が穿設された構成体受載部と、前記取着部における
前記構成体受載部の上下に位置する側縁部に表面側へ突
出するように形成したフランジとを有し、前記構成体受
載部の上下に配設され且つ前記挿通孔に挿通した支持ピ
ンが端面に挿入される壁面構成体の裏面に前記フランジ
が当接するように設定されている点にある。

〔作用〕

上記構成に係る壁面施工用金具を用いて壁面を構築すれ
ば、取付面に配列固定されたコ字形の固定具に、長尺の
横桟具が出入り調整可能に嵌着され、該横桟具に取付位
置の調整が可能なように支持具が取着されるから、壁面
構成体の面出しは横桟具において、また水平出しは支持
具においてそれぞれ調整作業を行うことができる。つま
り、最初に固定具の位置決めを精確に行えば、該固定具
を再調整することはないから、壁面構築上の基準が確保
される。横桟具は長尺部材であるから、面の出入りを、
横桟具の適当な左右二個所において面レベルを調整する
ことにより決めることができる。従って、面出し作業は
極めて簡略になる。また支持具は横桟具へ取付位置の調
整が可能なように取着されるので、壁面構成体の高さ調
整及び水平調整は、該支持具の横桟具への取付位置を調
整すればよく、従って位置の変更や微調整等が容易であ
る。また、高さ位置を変更するにあたり固定具及び横桟
具の再調整は不要なので、面の出入り等に狂いが生じる
ことはない。さらに、支持具と固定具との間に横桟具を
介在させる構造としたので、固定具の配列間隔は、壁面
構成体の割付寸法や目地位置等に制約されない。なお、
支持具に形成したフランジを壁面構成体の裏面へ当接さ
せる構成としたことにより、壁面構成体の裏面が支承さ
れるので、該壁面構成体の表面が同一面レベルに揃えら
れると共に、壁面強度が向上する。従って、面一で堅固
な壁面を確実に構築することができる。

〔実施例〕

以下、本考案の詳細を、実施例を示す図面を用いて説明
する。

第１図は、本考案に係る施工用金具の一例を示すもので
ある。図面において、１は固定具、２は横桟具、３は支
持具、４は該支持具に設けられた構成体受載部、５は支
持ピンを示している。

固定具１は、取付面へ固定される固定部1bと該固定部1b
の上下縁部それぞれに垂直に連設された取付部1a,1cと
からなる断面コ字形の部材である。横桟具２は、本実施
例では、長手方向に連続する開口部2aを備えた断面略Ｃ
字形の長尺部材であって、前記固定具１の取付部1a,1c
の間へ嵌着される。支持具３は、前記横桟具２へ取りつ
けられる取着部3bと、該取着部3bの上下縁部にそれぞれ
折曲形成された上部フランジ3a及び下部フランジ3cと、
上記取着部3bの表面に垂直に切り起こし形成された構成
体受載部４とからなっている。そして、該構成体受載部
４の先端側には支持ピン５を挿通させる挿通孔4aが設け
られている。

次に、上述の施工用金具を用いて壁面を構築する手順
を、第１図，第２図及び第３図を参照しつつ説明する。
まず始めに、躯体10等の取付面20へ、所要個数のコ字形
固定具１を配列固定する。この固定は、例えば躯体10に
打ち込んだアンカーボルト34に、固定具１の固定部1bを
ナット33で締付固定することによりなされる。このと
き、各固定具１の取付部1a,1cが水平に揃うように、固
定位置を調節する。次いで、前記固定具１の取付部1a,1
cの間へ開口部2aが正面側となるように横桟具２を嵌着
し、該横桟具の面出し調整をしたのち、両者をボルト3
5,ナット36を用いて固定する。なお、縦桟具２の左右端
側の固定具１を先に固定して予め面レベルを確保した
後、中間部を固定するようにしてもよい。このようにし
て、複数の横桟具２を上下に所定間隔を設けて取付面20
へ水平に固定する。続いて支持具３を、壁面構成体の割
付寸法に応じ左右に所定間隔を設けて、上記横桟具へ仮
固定する。本実施例では、横桟具２の内側に平板状の保
持片６を配設し、ボルト８をワッシャー７を貫通させて
支持具３のボルト挿通孔3dに挿通し、前記保持片６の螺
子孔6aに螺挿することにより、支持具を取着している。
上記構造によれば、支持具３の取着位置が、横桟具２の
長手方向に沿って変更自在である。更に、この実施例で
は、支持具３の取着部3bにおいて構成体受載部４を切り
起こし形成した際に生じる貫通孔をボルト挿通孔3dとし
て利用している。引き続き、上記のようにして仮固定さ
れた支持具３に、壁面構成体30を下方から順に取りつけ
る。支持具３は、下位の壁面構成体30（31）の配設位置
に従って位置決めされたのち、ボルト８を締め付けて本
固定される。次いで第３図に示す如く、支持具３の構成
体受載部４に支持ピン５を挿通し、該支持ピン５を下位
の壁面構成体30（31）の上端面に設けられた挿入穴19に
挿入せしめる。続いて別の壁面構成体30（32）を、上記
構成体受載部４の上面に載置すると共に、下端面に設け
られた挿入穴23に前記支持ピン５を挿入せしめる。なお
支持具３の上部フランジ3a及び下部フランジ3cは、それ
ぞれ壁面構成体30（31,32）の裏面に当接するように設
定されているので、壁面の面一性を確保すると共に、壁
面強度の向上に寄与している。

ところで本実施例における支持具３は、横桟具２の長手
方向に沿って移動自在であるから取着位置の変更が簡単
であり、縦目地の左右幅寸法や、壁面構成体30の割付寸
法を変更する場合に容易に対応することができる。

さらに本考案に係る壁面施工用金具は、固定具１の固定
位置が、壁面構成体の割付寸法に制約されない。従っ
て、必要な強度が得られる範囲内において、固定具１の
使用個数を節約することが可能である。第２図の実施例
では、壁面構成体30一個につき一個の固定具１を使用し
ており、条件によっては、もっと使用個数を減らすこと
ができる。

また、横桟具２の長さは、壁面の横方向のほぼ全長にわ
たる長さ寸法を有するものでもよく、或いは壁面の横幅
寸法を等分割した長さ寸法を有するものとし、これを横
方向に連接して使用することも可能である。

なお、壁面構成用の素材としては、タイルが代表的であ
るが、その他の壁面構成体、例えば、石板，陶磁器板，
コンクリートパネル，施釉セメント板等を用いることも
勿論可能である。

〔考案の効果〕

以上の説明から明らかなように、本考案に係る壁面施工
用金具によれば、壁面構成体の面出し調整を、横桟具の
適当な二個所において行えば足り、中間部の調整を省略
することができるので、施工能率が極めて良い。また、
上記調整作業に際して、壁面構築上の基準となる固定具
の再調整は不要であるから、水平レベル等に狂いが生じ
るおそれがない。従って、施工途中でも調整作業を迅速
かつ確実に行える。更に、固定具の固定位置は、壁面構
成体の割付寸法に制約されないから、部材点数を強度上
必要な最小個数とすることができる。従って、コスト的
にも施工能率的にも大幅な改善がもたらされる。

要するに、本考案は、簡略な作業によって能率良く、仕
上がりの美麗な壁面を構築し得るものである。

【図面の簡単な説明】

第１図乃至第３図は本考案に係るものであって、第１図
は本考案に係る壁面施工用金具の一例を示す一部省略斜
視図、第２図は本考案に係る壁面施工構造の一部を示す
正面図、第３図は同壁面施工構造の要部を拡大して示す
側面断面図である。第４図乃至第６図は従来例に係るも
のであって、第４図は従来の壁面施工構造の要部を示す
分解斜視図、第５図は壁面の一部を示す正面図、第６図
（ａ）は第５図のＡ−Ａ線における側面断面図、第６図
（ｂ）は第５図のＢ−Ｂ線において上位壁面構成体を取
り外して見た状態を示す平面図である。 １……固定具、1a,1c……取付部、1b……固定部 ２……横桟具、３……支持具、3a,3c……フランジ 3b……取着部、４……構成体受載部、4a……挿通孔 ５……支持ピン、10……躯体、20……取付面 30（31,32）……壁面構成体

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】躯体壁面等の取付面にタイル，石板，陶磁
   器板，コンクリートパネル等の壁面構成体を用いて壁面
   を構築するための金具であって、前記取付面へ縦横に配
   列固定される断面コ字形の固定具と、該固定具内へ出入
   り調整可能に嵌着される長尺の横桟具と、該横桟具へ取
   付位置の調整が可能なように取着される支持具と、前記
   壁面構成体の支持に供する支持ピンとからなり、前記支
   持具は、前記横桟具の表面へ取り付けられる取着部と、
   該取着部の表面に対し直角に設けられ先端側に前記支持
   ピンを挿通させる挿通孔が穿設された構成体受載部と、
   前記取着部における前記構成体受載部の上下に位置する
   側縁部に表面側へ突出するように形成したフランジとを
   有し、前記構成体受載部の上下に配設され且つ前記挿通
   孔に挿通した支持ピンが端面に挿入される壁面構成体の
   裏面に前記フランジが当接するように設定されているこ
   とを特徴とする壁面施工用金具。