JPH0742189B2 - 結晶成長方法およびその装置 - Google Patents

結晶成長方法およびその装置

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JPH0742189B2
JPH0742189B2 JP1310014A JP31001489A JPH0742189B2 JP H0742189 B2 JPH0742189 B2 JP H0742189B2 JP 1310014 A JP1310014 A JP 1310014A JP 31001489 A JP31001489 A JP 31001489A JP H0742189 B2 JPH0742189 B2 JP H0742189B2
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清蔵 宮田
猛 八月朔日
敏夫 鈴木
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、無機および有機質の固体物質を結晶として析
出成長させるための方法とその装置に関し、特にSAWデ
バイス、圧電・焦電デバイス、バブルメモリー、シンチ
レーター、光変調・逓倍などの非線形光学効果デバイ
ス、固体レーザーのような工業材料として多様な分野で
用いられる単結晶エレクトロニクスデバイスの材料作製
に有用な各種結晶の成長方法および結晶を成長させるた
めの装置に関する。
〔従来の技術〕
無機および有機物質の結晶を成長させるにあたっては、
それぞれの目的に応じて生成しようとする結晶の物理
的、化学的、結晶学的あるいは鉱物的な性質の大要を知
る必要があり、その目的に適合した結晶化の方法および
装置の開発が必要となる。
実際の結晶育成方法は極めて多種多様であるが、これを
結晶化の機構からみると、融体からの固化、溶液からの
析出、気相からの析出および固相粒子成長の態様に大別
することができる。このうち最も一般的な結晶化方法は
溶液からの析出である。該溶液析出法には溶媒蒸発法と
溶液冷却法とがあるが、いずれの方法を適用する場合に
も良質で大型の結晶を得るためには、極めて精密な条件
制御と複雑で大きな装置が必要である。
〔発明が解決しようとする課題〕
上記のとおり従来の結晶化手段では、最も簡便とされて
いる溶媒蒸発法や溶液冷却法においても精密なコントロ
ールが困難な蒸発または冷却速度等の条件制御が要求さ
れ、そのほか例えば用いる溶媒の蒸気圧が高くなければ
ならないとか、溶解度が温度によって大きく異なるなど
の制約条件が多く、その装置構造も複雑かつ大型化する
問題点がある。
このような実情から、容易な条件制御により良質で大型
結晶の析出が可能な結晶成長方法および構造が簡単でコ
ンパクトな結晶成長装置の開発が重要な課題となってい
る。
発明者らは溶媒蒸発法および溶液冷却法の改良について
鋭意研究を重ねた結果、対象物質の飽和溶液の温度差に
よる溶液密度ならびに溶解度の差を利用すると良質の結
果成長が可能となる事実を確認して本発明の開発に至っ
たものである。
したがって、本発明の目的は、結晶化条件のコントロー
ル性が良く、簡単でコンパクトな装置により良質で多様
性のある大型単結晶を得るための結晶成長方法およびそ
の装置を提供しようとするところにある。
〔課題を解決するための手段〕
上記の目的を達成するための本発明による結晶成長方法
は、固体物質を溶媒に溶解させて飽和溶液とする溶解工
程と前記飽和溶液から固体物質を結晶として溶液中の種
結晶上に析出する成長工程からなり、これら2工程の液
相を単一の移送ルートを介して上下に配置させると共に
液相間の温度水準に差を設け、該温度差により生じる固
体物質の溶液密度差を利用して液変動を伴うことなしに
溶解工程の飽和溶液を成長工程に移送し、成長工程にお
いて溶解度の差から固体物質を結晶として種結晶上に析
出成長させることを構成上の特徴とする。
従来の溶媒蒸発法は等温プロセスである。このため、温
度を降下させる溶液冷却法に比べて組成変化を起こし難
い利点はあるものの、蒸気圧の低い溶媒を使用した場合
には、温度を高くしたり、減圧してやる必要がある。温
度制御の点からは一定温度に保持する工程を採ることが
条件的に温度の安定性が得られ易い。
本発明の結晶成長法においては、工程を溶解工程と成長
工程に分離し、それぞれの工程において一定の温度水準
に保持するだけで足りるから、温度管理が極めて簡単に
おこなわれる。
上記の方法に使用される本発明の結晶成長装置は、固体
物質を溶媒に溶解して飽和溶液を形成するための溶解槽
と前記飽和溶液から固体物質を結晶として溶液中の種結
晶上に析出成長させるための成長槽を、各独立して温度
制御できる機構形態で上下に配置し、前記溶解槽と成長
槽とを、溶解槽の中心底部から下方に延伸し、先端部が
成長槽内の種結晶の上部に位置する一本の溶液移送管を
介して連結してなる密閉構造のものである。
図は本発明装置の1例を示した断面図で、1は素結晶か
らなる固体物質を溶媒に溶解して飽和溶液を形成するた
めの溶解槽、2は飽和溶液から固体物質を結晶として溶
液中の種結晶上に析出成長させるための成長槽である。
溶解槽1は本体部分が恒温水を流通するジャケット3で
構成された独立の恒温槽形態を呈しており、上部に蓋体
4が載置され、また溶解槽1の中心底部には下方に延伸
し、その先端部が成長槽内の種結晶10の上部に位置する
一本の溶液移送管5が設置されている。成長槽2は溶解
槽1と同様に本体部分が恒温水を流通するジャケット
3′で構成された独立の恒温槽形態を備え、上部に内圧
調整コック6を付設した蓋体4′が載置されている。そ
して、溶液槽1と成長槽2は前記蓋体4′に設けられた
上下槽連結部7によって密閉状に連結配置した構造とな
っている。
実施にあたっては、溶解槽1および成長槽2を一定温度
に保温し、素結晶8を円筒濾紙9に入れて溶解槽1の内
部にセットしたのち、溶解槽1に所定量の溶媒を流入
し、この状態で飽和溶液になるまで放置する。ついで、
成長槽2に種結晶10を入れ、溶解槽1の温度を成長槽2
より昇温させて上下槽間に温度差を設けると溶液密度が
上昇した飽和溶液は重力により溶液移送管5を通って自
動的に流下し、温度の低い種結晶10上に結晶として析出
成長する。
上記の態様は、溶解度の温度係数が正であり、溶解度が
大きくなるとその飽和溶液の溶液密度が高くなるケース
についての例であるが、溶解度の温度係数が負の場合に
は、溶解槽1の温度を成長槽2より低い一定水準に保て
ばよい。また、溶解度が大きくなると飽和溶液の溶液密
度が低下するケースでは、溶解槽1と成長槽2の上下を
逆にし、上槽側に種結晶を置き、上槽部で結晶成長をさ
せる。
このような機構を介して、成長工程における溶解度の差
から対象となる固体物質は良質で大型の結晶として効率
的に析出成長する。
〔作用〕
本発明による結晶成長は、溶解工程と成長工程の液相を
単一の移送ルートを介して上下に配置させると共に液相
相互間に温度水準差を設け、この温度差により生じる固
体物質の溶液密度差を利用して溶解工程の飽和溶液を成
長工程に移送し、移送された飽和溶液を溶解度の差を利
用して種結晶上に結晶として析出成長させる機構を介し
て進行する。この物質移送の機構は、液相温度差で生じ
る溶液の濃度差に起因する単純な対流作用に基づくもの
ではなく、温度差による溶解度の度合、すなわち溶液密
度の差(比重差)によって液変動を伴うことなしに結晶
前駆体として移送するものである。例えば、結晶が成長
するにあたっては、過飽和状態によって生じるある大き
さの分子集合体を基にして成長するものと考えられる
が、この際、飽和溶液中の分子集合体が溶液の密度と異
なる場合に密度差による移送が進行するものと推測され
る。このような特異な移送機構により、静止状態の液相
系において、良質かつ大型の結晶を効率よく生成させる
ことが可能となる。
一般に、溶媒蒸発法または溶液冷却法による結晶成長に
おいては溶液温度および溶液量の減少を伴うため、結晶
成長過程での溶液条件は常に変化し、良質の結晶を成長
させるための制御が難しくなる。これに対し、本発明の
結晶成長装置によれば、各独立して温度制御可能な溶解
槽と成長槽を上下に配置し、溶解槽と成長槽との間を一
本の溶液移送管を介して連結した密閉構造として構成さ
れているから、溶液温度、溶液量ともに変動のない一定
水準に保持することができ、温度調整も独立した上下槽
について円滑におこなうことができるから制御管理が容
易である。そのうえ、溶液移送管の先端が成長槽内の種
結晶の上部に位置するように設置されているため結晶の
成長速度が早く、また装置構造が密閉系であるので、異
物の混入のない高純度の結晶が得られる。
〔実施例〕
以下、本発明を実施例に基づいて説明する。
実施例1 図示構造の装置を用い、溶解槽1および成長槽2を共に
目的成長温度の25℃に保持して溶液槽2に溶媒として水
を充満(約200g)した。円筒濾紙9に固体物質としてリ
ン酸2水素アンモニウム(ADP)の素結晶8約100gを入
れ、溶解槽1内に浸漬し、蓋体4を被せた。
この状態で1週間放置し、飽和溶液を作成した。
ついで、成長槽2に種結晶10(長さ3mm)を投入したの
ち溶解槽1の温度を28℃まで昇温し、その温度水準に保
って種結晶面に結晶を析出成長させた。
得られたリン酸2水素アンモニウム(ADP)の結晶は、
長さ70mm程度の良質な棒状単結晶であった。
実施例2 実施例1と同一の条件により、円筒濾紙内にリン酸2水
素カリウム(KDP)100gを入れて種結晶(形状2×2×1
mm)を成長させたところ、20×20×30mm程に成長した良
質の単結晶が得られた。
実施例3 溶媒としてアセトン(約200g)を用い、素結晶としてm
−クロロニトロベンゼン約150gを円筒濾紙に入れたほか
は実施例1と同様にして種結晶を成長させた。その結
果、良質な14面体の単結晶が得られた。
実施例4 溶媒としてアセトン(約200g)を用い、素結晶としてカ
ルコン約50gを円筒濾紙に入れたほかは実施例1と同様
にして種結晶を成長させたところ、良質な板状単結晶が
得られた。
実施例5 溶媒としてアセトン(約200g)を用い、素結晶としてp
−アミノ酸安息香酸エチルエステル約100gを入れたほか
は実施例1と同様にして種結晶を成長させたところ、良
質な板状単結晶が得られた。
実施例6 溶媒としてテトラヒドロフラン(約200g)を用い、素結
晶としてN−メトキシメチル−4−ニトロアニリン約20
0gを入れたほかは実施例1と同様にして種結晶を成長さ
せたところ、良質な棒状単結晶が得られた。
比較例 実施例1〜6の固体物質につき従来の溶媒蒸発法を用い
て結晶成長をさせたところ、いずれのサンプルにおいて
も本発明により析出成長させた結晶を上廻る質および大
きさの単結晶は得られなかった。
〔発明の効果〕
以上のとおり、温度差による飽和溶液の密度差を利用す
る機構の本発明に係る結晶成長方法によれば、溶解工程
と成長工程それぞれの溶液温度を一定水準に保つだけで
良質の結晶を容易に析出成長させることができる。ま
た、従来の溶媒蒸発法や溶液冷却法では飽和溶液の初期
条件に制約を受ける関係で大型槽が必要になるのに対
し、本発明によれば素結晶の追加のみで連続的に結晶の
析出成長が可能となるから装置がコンパクトで簡易な構
造となる。
【図面の簡単な説明】
図は本発明の結晶成長装置を例示した断面図である。 1……溶解槽、2……成長槽 3、3′……ジャケット、4、4′……蓋体 5……溶液移送管、6……内圧調整コック 7……上下槽連結部、8……素結晶 9……円筒濾紙、10……種結晶
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 八月朔日 猛 東京都千代田区内幸町1丁目2番2号 住 友ベークライト株式会社内 (72)発明者 鈴木 敏夫 東京都千代田区内幸町1丁目2番2号 住 友ベークライト株式会社内 (56)参考文献 特開 昭52−91800(JP,A) 特公 昭31−719(JP,B1) 特公 昭33−9119(JP,B1)

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】固体物質を溶媒に溶解させて飽和溶液とす
    る溶解工程と前記飽和溶液から固体物質を結晶として溶
    液中の種結晶上に析出する成長工程からなり、これら2
    工程の液相を単一の移送ルートを介して上下に配置させ
    ると共に液相間の温度水準に差を設け、該温度差により
    生じる固体物質の溶液密度差を利用して液変動を伴うこ
    となしに溶解工程の飽和溶液を成長工程に移送し、成長
    工程において溶解度の差から固体物質を結晶として種結
    晶上に析出成長させることを特徴とする結晶成長方法。
  2. 【請求項2】固体物質を溶媒に溶解して飽和溶液を形成
    するための溶解槽と前記飽和溶液から固体物質を結晶と
    して溶液中の種結晶上に析出成長させるための成長槽
    を、各独立して温度制御できる機構形態で上下に配置
    し、前記溶解槽と成長槽とを、溶解槽の中心底部から下
    方に延伸し、先端部が成長槽内の種結晶の上部に位置す
    る一本の溶液移送管を介して連結してなる密閉構造の結
    晶成長装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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FR2338742A1 (fr) * 1976-01-26 1977-08-19 Commissariat Energie Atomique Procede de fabrication de monocristaux d'iodure mercurique alpha

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