JPH0741842Y2 - スクロール型流体機械 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は圧縮機、膨張機等として用いられるスクロール
型流体機械に関する。

（従来の技術） 従来のスクロール型圧縮機の１例が第７図ないし第９図
に示されている。

第９図に示すように、密閉ハウジング８内上部にはスク
ロール型圧縮機構Ｃが、下部には電動モータ４が配設さ
れ、これらは回転シヤフト５によって互いに連動連結さ
れている。

スクロール型圧縮機構Ｃは固定スクロール１、旋回スク
ロール２、旋回スクロール２の公転旋回運動を許容する
がその自転を阻止するオルダムリンク３、固定スクロー
ル１及び電動モータ４が係止されるフレーム６、回転シ
ヤフト５を軸支する上部軸受71及び下部軸受72、旋回ス
クロール２を支持する旋回軸受73及びスラスト軸受74等
を具えている。

固定スクロール１は端板11とこの内面に立設されたうず
巻状ラップ12によりなり、端板11には吐出ポート13とこ
れを開閉する吐出弁17が設けられている。

旋回スクロール２は端板21とその内面に立設されたうず
巻状ラップ22と端板11の外面中央部に突出されたボス23
によりなり、このボス23内にはドライブブッシュ54が嵌
装され、旋回軸受73を介して回転自在に軸承されてい
る。そして、このドライブブッシュ54には、第７図及び
第８図に明示したように、スライド溝55が穿設され、こ
のスライド溝55内にはその長手方向に沿って矢印方向に
スライド可能に偏心駆動ピン53が嵌合されている。この
偏心駆動ピン53は回転シャフト５の上端面に突設されて
上方に伸びその中心O₂は回転シヤフト５の軸芯0₁から距
離ｒだけ偏心せしめられている。そして、ドライブブッ
シュ54には旋回スクロール２の公転旋回運動による動的
アンバランスを平衡させるためのバランスウェイト84が
固定され、これらドライブブッシュ54及びバランスウェ
イト84の下端面は回転シヤフト５の上端面と摺接するよ
うになっている。

ハウジング８内底部に貯溜された潤滑油81は回転シヤフ
ト５の回転による遠心力によって入口孔51から吸い上げ
られ、給油孔52を通って下部軸受72、上部軸受71等を潤
滑した後、室61、排油孔62を経てハウジング８の底部に
排出される。

電動モータ４を駆動すると、回転シヤフト５は第８図に
矢印で示す方向に回転し、この回転トルクは偏心駆動ピ
ン53の負荷面53aからスライド溝55の負荷面55aを経てド
ライブブッシュ54に伝達され、次いで、旋回軸受73を介
して旋回スクロール２に伝達される。

かくして、旋回スクロール２はオルダムリンク３によっ
てその自転を阻止されながら公転旋回運動する。

すると、ガスが吸入管82を経てハウジング８内に入り、
電動モータ４を冷却した後、吸入通路15から吸入室16を
経て固定スクロール１と旋回スクロール２とを噛み合わ
せることによって限界された複数の密閉空間24内に吸入
される。そして、旋回スクロール２の公転旋回運動によ
り密閉空間24の容積が減少するのに伴って圧縮されなが
ら中央部に至り、吐出ポート13を通り吐出弁17を押し上
げて吐出キャビティ14に吐出され、更に、仕切壁31に穿
設された穴18を経て第２の吐出キャビティ19内に入り、
ここから吐出管83を経て外部に吐出される。

一方、旋回スクロール２の公転旋回運動時、旋回スクロ
ール２にはその偏心方向に向かう遠心力と密閉空間24内
に圧縮ガスによるガス力が作用し、これらの合成力によ
って旋回スクロール２はその旋回半径が増加する方向に
移動して、そのラップ22の側壁が固定スクロール１のラ
ップ12の側壁と密接して密閉空間24内のガスの漏洩を阻
止している。旋回スクロール２の移動に伴って偏心駆動
ピン53はスライド溝55内をその長手方向に移動し、か
つ、ドライブブッシュ54及びバランスウェイト84の下端
面は回転シヤフト５の上端面と摺動する。

（考案が解決しようとする課題） 上記スクロール型圧縮機においては、旋回スクロール２
がその旋回半径を増減する方向に移動すると、ドライブ
ブッシュ54及びバランスウェイト84の下端面は回転シヤ
フト５の上端面と摺動するが、これら摺動面に十分な給
油が行われないため、摺動面が焼付く等の不具合を生ず
るおそれがあった。

（課題を解決するための手段） 本考案は上記課題を解決するために提案されたものであ
って、第１の考案の要旨とするところは、それぞれ端板
の内面にうず巻状ラップを立設してなる固定スクロール
と旋回スクロールとを互いに噛み合わせ、上記旋回スク
ロールの端板の外面中央部に突設されたボス内にドライ
ブブッシュを回転自在に嵌装し、このドライブブッシュ
に穿設されたスライド溝内に回転シャフトの端面から突
出する偏心駆動ピンをスライド可能に嵌合するとともに
このドライブブッシュに旋回スクロールの公転旋回運動
による動的アンバランスを平衡させるためのバランスウ
ェイトを設けてなるスクロール型流体機械において、上
記回転シャフトの端部にシャフト径より大径の鍔部を設
け、同鍔部の端面とこの端面と摺接する上記ドライブブ
ッシュ及びバランスウェイトの端面のいずれか一方に給
油溝を穿設したことを特徴とするスクロール型流体機械
にある。

第２の考案の要旨とするところは、それぞれ端板内面に
うず巻状ラップを立設してなる固定スクロールと旋回ス
クロールとを互いに噛み合わせ、上記旋回スクロールの
端板の外面中央部に突設されたボス内にドライブブッシ
ュを回転自在に嵌装し、このドライブブッシュに穿設さ
れたスライド溝内に回転シャフトの端面から突出する偏
心駆動ピンをスライド可能に嵌合するとともにこのドラ
イブブッシュに旋回スクロールの公転旋回運動による動
的アンバランスを平衡させるためのバランスウェイトを
設けてなるスクロール型流体機械において、上記回転シ
ャフトの端部にシャフト径より大径の鍔府を設けるとと
もに上記バランスウェイトにこれを軸方向に貫通して上
記回転シャフトの鍔部端面と摺接する端面に開口する給
油穴を穿設したことを特徴とするスクロール型流体機械
にある。

（作用） 第１の考案においては、潤滑油が給油溝を通って回転シ
ヤフトの端面並びにこれと摺接するドライブブッシュ及
びバランスウェイトの端面に供給される。

第２の考案においては、潤滑油は給油穴を通って回転シ
ヤフトの鍔部端面並びにこれと摺接するドライブブッシ
ュ及びバランスウェイトの端面に供給される。

（実施例） 本考案の第１の実施例が第１図及び第２図に示されてい
る。

第１図において、１は固定スクロールで、端板11の内面
にうず巻状ラップ12を立設してなる。この端板11の中央
には吐出ポート13が設けられている。２は旋回スクロー
ルで、端板21の内面にうず巻状ラップ22を立設してな
る。これら固定スクロール１と旋回スクロール２を互い
に噛み合わせることによって複数の密閉空間24が限界さ
れている。

旋回スクロール２の端板21の外面中央部に突設されたボ
ス23内には旋回軸受73を介してドライブブッシュ54が回
転自在に嵌装され、このドライブブッシュ54に穿設され
たスライド溝55内には回転シャフト５から突出する偏心
駆動ピン53がスライド可能に嵌合されている。

このドライブブッシュ54には旋回スクロール２の公転旋
回運動による動的アンバランスを平衡させるためのバラ
ンスウェイト84が取り付けられている。

しかして、回転シャフト５を回転駆動すると、旋回スク
ロール２は自転を阻止されながら公転旋回運動し、複数
の密閉空間24内に吸入されたガスが圧縮されて吐出ポー
ト13から吐出される。

回転シャフト５の上端部にはシャフト径より大径の鍔部
70が設けられ、この鍔部70の上端面にはその外周からス
ライド溝55に至る給油溝56が穿設されている。

しかして、回転シヤフト５の周辺に飛散する潤滑油のミ
ストが給油溝56に入り、ここから鍔部70の上端面並びに
これと摺接するドライブブッシュ54及びバランスウェイ
ト84の下端面に供給されてこれら摺動面を潤滑する。そ
して、給油溝56を流過した潤滑油はスライド溝55内に入
り、スライド溝55と偏心駆動ピン53との摺動面を潤滑す
る。

第３図及び第４図には本考案の第２の実施例が示されて
いる。

この第２の実施例においては、バランスウェイト84の下
端面に給油溝57が穿設され、この給油溝57と一直線上に
整合するようにドライブブッシュ54の下端面に給油溝58
が穿設されている。

しかして、回転シヤフト５の周辺に飛散する潤滑油のミ
ストは給油溝57及び58を通ってスライド溝55内に入ると
同時に給油溝57及び58を流過する過程でここから鍔部70
の上端面並びにこれに摺接するドライブブッシュ54の下
端面及びドライブブッシュ54の下端面に供給され、これ
ら摺動面を潤滑する。

第５図及び第６図には本考案の第３の実施例が示されて
いる。

この第３の実施例においては、バランスウェイト84を軸
方向に貫通する複数個の給油穴59が穿設され、これら給
油穴59の上端は上方に開口し、下端は下端面、即ち、鍔
部70の上端面と摺接する面に開口している。

しかして、バランスウェイト84の周辺の潤滑油のミスト
は複数個の給油穴59を経て鍔部70の上端面並びにこれと
摺接するドライブブッシュ54及びバランスウェイト84の
下端面に供給されてこれらを潤滑する。

上記第１ないし第３の実施例において、他の構成及び作
用は第７図ないし第９図に示す従来のものと同様であ
り、対応する部材に同じ符号を付してその説明を省略す
る。

（考案の効果） 本考案においては、潤滑油が給油溝又は給油穴を通って
回転シャフトの端部に設けられたシャフト径より大径の
鍔部の端面並びにこれと摺接するドライブブッシュ及び
バランスウェイトの端面に供給され、これら摺動面を潤
滑するので、その異常摩耗や焼き付き等の不具合を防止
できる。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は本考案の第１の実施例を示し、第１
図は要部の縦断面図、第２図は部分的平面図である。第
３図及び第４図は本考案の第２の実施例を示し、第３図
は要部の縦断面図、第４図は要部の部分的平面図であ
る。第５図及び第６図は本考案の第３の実施例を示し、
第５図は要部の縦断面図、第６図は要部の部分的平面図
である。第７図ないし第９図は従来のスクロール型圧縮
機の１例を示し、第７図は要部の縦断面図、第８図は要
部の部分的平面図、第９図は全体の縦断面図である。 固定スクロール…１、端板…11、ラップ…12、旋回スク
ロール…２、端板…21、ラップ…22、ボス…23、ドライ
ブブッシュ…54、スライド溝…55、回転シヤフト…５、
偏心駆動ピン…53、バランスウェイト…84、給油溝…5
6、57、58、給油穴…59、鍔部…70

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】それぞれ端板の内面にうず巻状ラップを立
   設してなる固定スクロールと旋回スクロールとを互いに
   噛み合わせ、上記旋回スクロールの端板の外面中央部に
   突設されたボス内にドライブブッシュを回転自在に嵌装
   し、このドライブブッシュに穿設されたスライド溝内に
   回転シャフトの端面から突出する偏心駆動ピンをスライ
   ド可能に嵌合するとともにこのドライブブッシュに旋回
   スクロールの公転旋回運動による動的アンバランスを平
   衡させるためのバランスウェイトを設けてなるスクロー
   ル型流体機械において、上記回転シャフトの端部にシャ
   フト径より大径の鍔部を設け、同鍔部の端面とこの端面
   と摺接する上記ドライブブッシュ及びバランスウェイト
   の端面のいずれか一方に給油溝を穿設したことを特徴と
   するスクロール型流体機械。
2. 【請求項２】それぞれ端板内面にうず巻状ラップを立設
   してなる固定スクロールと旋回スクロールとを互いに噛
   み合わせ、上記旋回スクロールの端板の外面中央部に突
   設されたボス内にドライブブッシュを回転自在に嵌装
   し、このドライブブッシュに穿設されたスライド溝内に
   回転シャフトの端面から突出する偏心駆動ピンをスライ
   ド可能に嵌合するとともにこのドライブブッシュに旋回
   スクロールの公転旋回運動による動的アンバランスを平
   衡させるためのバランスウェイトを設けてなるスクロー
   ル型流体機械において、上記回転シャフトの端部にシャ
   フト径より大径の鍔部を設けるとともに上記バランスウ
   ェイトにこれを軸方向に貫通して上記回転シャフトの鍔
   部端面と摺接する端面に開口する給油穴を穿設したこと
   を特徴とするスクロール型流体機械。