JPH074170A - 建設機械用掘削刃 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 各方向からの荷重をホルダとビットの嵌合面
の各部で分担して受けるようにして局部への荷重集中を
無くし、これによりコンパクト化を実現してアースドリ
ル等への利用を可能ならしめた着脱式の掘削刃を提供す
る。 【構成】 ホルダ１に凹部２、２と、隔壁３と、拡幅し
た延長突起５を設ける。また、掘削ビット６に凹部２に
収まる尾板７、７と、隔壁３を挿入する溝８を設ける。
さらに、尾板７と隔壁３に対応した軸穴１０を設け、ホ
ルダとビットを差込み嵌合させてボルト１１等で連結す
る。この構造ではビットを厚み方向に回転させようとす
る力が延長突起５と溝８の嵌合部によって受けられるの
で尾板７やボルト１１に荷重が加わらず、尾板の増厚、
ボルトの増径が不要になって全体のコンパクト化が実現
される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、建設機械用の掘削刃、
特にアースドリルバケットやリバーズサーキュレーショ
ンドリルに用いる掘削刃に関する。

【０００２】

【従来の技術】アースドリルのバケット底部に取付ける
掘削刃は、掘削バケットの底板（底蓋）に溶接等で直接
固着する方法が採られている。これは、従来のアースド
リルは比較的低出力であり、土砂などの軟質地層の掘削
を主としていたため刃の頻繁な交換を必要としなかった
からである。

【０００３】ところが、最近では、深く径の大きい基礎
杭の施工、ビルの建替等に伴う既設地下埋設物の掘削を
目的とした大出力アースドリル機が出現して刃先負荷が
大きい状態での掘削が行われ出し、刃先の欠損、早期摩
耗が多くなって掘削刃の交換頻度が高まってきた。

【０００４】溶接等による直接固着では、１回の掘削刃
交換に要する時間が長くなるため、交換頻度が高まると
掘削機の稼働率が大きく低下してしまう。

【０００５】そこで、この種の掘削刃についてもオール
ケーシング工法等で利用されている着脱方式を採用する
ことを検討した。

【０００６】この着脱式の掘削刃としては、例えば、図
６に示すものが考えられる。この構造は、ホルダ１に凹
部２、２を、また、掘削ビット６には凹部２、２に収ま
る尾板７、７と、凹部２、２間の隔壁３を受け入れる溝
８を各々設け、その両者を差込み嵌合させてボルト１１
で締結するものである。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】掘削刃の掘削時負荷
は、図５に示す回転力Ｑ、押付力Ｆその両者の合成力Ｐ
及び掘削孔壁面から加わる横荷重Ｓの４つである。

【０００８】図６の着脱構造を用いた掘削刃の場合、上
述した４つの力のうち、回転力Ｑ、押付力Ｆに対して
は、ホルダの前面４とビットの肩部９との接触部（図７
のＡ又はＡ’部）が支点となって尾板７の先端内面が隔
壁３に当たるところまでビットが回転し、この位置で荷
重を受ける。ところが、この荷重の受け方によると尾板
７の根元部に曲げ力が集中して加わり、図６の線ａの位
置で尾板が破損し易い。また、前述の曲げ力により溝８
が口を開こうとするのでボルト１１も荷重を受けて傷み
易い。

【０００９】掘削刃は土砂の取込口に設けられるのでで
きるだけコンパクトにして土砂の流れを阻害しない設計
にすべきであるが、前述の尾板破損、ボルト損傷を無く
すためには尾板厚みを厚くし、ボルトも太くして強度を
持たせる必要があるので、コンパクト化を図り難い。

【００１０】本発明は、各方向からの荷重をホルダとビ
ットの嵌合面の各部で分担して受けることにより局部へ
の荷重集中を無くし、これによって着脱式掘削刃のコン
パクト化を実現することを課題としている。

【００１１】

【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、本発明においては、図６に示す構造の掘削刃に以下
の工夫を加えた。即ち、図６に示すホルダの隔壁３に対
し、ホルダ前面から前方に突出する拡幅した延長突起
（図１、図５の５）を付加し、掘削ビット側の溝８は上
記延長突起の部分までを受け入れる深さにした。

【００１２】

【作用】図６の掘削刃は、前述の横荷重Ｓを、ホルダ前
面とビット肩部の接触部｛図５（ａ）のＢ、Ｂ’｝及び
尾板側面と凹部内面の接触部｛図５（ａ）のＣ、Ｃ’｝
によって受ける。

【００１３】また、掘削合成力Ｐに対しては、ビット肩
部がホルダ前面に接してこの接触部｛図５（ｂ）及び図
７のＡ、Ａ’｝で受ける。

【００１４】この点に関しては本発明の掘削ビットも同
じである。

【００１５】一方、回転力Ｑと押付力Ｆは、図６の構造
の場合、図７のＡ、Ａ’及びＤ、Ｄ’の部分で受けるの
に対し、本発明では、図５に示すように、隔壁３の延長
突起５が溝に嵌合している部分｛図５（ｂ）のＥ、
Ｅ’｝で受ける。延長突起５は尾板７に比べて幅が広
い。また、この延長突起７と溝８の嵌合部は、Ｑ、Ｆの
力でビットが回転するときの回転支点Ａ、Ａ’部よりも
荷重の印加点に近いので、ビット回転力がテコの原理で
増幅されて加わる図６の構造と違って荷重の増幅伝達が
起こらない。従って、延長突起を厚くしなくてもその突
起の破損を防止できる。

【００１６】また、Ｑ、Ｆの力を延長突起の嵌合部で受
けるため、ビットの尾板、ビットとホルダの連結軸には
力が加わらず、尾板の増厚が不要となり、連結軸も径の
細いボルトやスプリングピンでも充分に間に合う。

【００１７】これ等のことが有効に働いて着脱式掘削刃
のコンパクト化が実現されるのである。

【００１８】

【実施例】図１に本発明の実施例を示す。図の１はホル
ダ、２は上面と前面、下面と前面に開放してホルダの上
下面に設けた凹部、３は上下の凹部間に残された隔壁で
あり、この凹部と隔壁の設置でホルダのビット装着部は
Ｈ形の断面をなしている。５はホルダの前面４から突出
して隔壁先端に設けたホルダ幅と同一幅の延長突起であ
る。

【００１９】また、６は先端に超硬刃を固着した掘削ビ
ット、７は凹部２に収める尾板、８は隔壁３を差込む
溝、９はホルダ前面に接触させる肩部、１０は隔壁３と
尾板７に対応して設けた軸穴である。ビット側の軸穴１
０は、上側の尾板７に設けるものがボルト頭部を落し込
む座付き穴、下側の尾板に設けるものがねじ孔となって
おり、この軸穴１０に通してねじ込むボルト１１でホル
ダ１に差込み嵌合させた掘削ビット６を外れ止めする。

【００２０】ビットの連結軸には、掘削荷重が伝わらな
いので、図２に示すようなスプリングピンを用いてもよ
い。図のそれは、軸穴に圧入する大径スプリングピン１
２とこのピンの内側に圧入する小径スプリングピン１３
（これは通常の中実ピンでもよい）とから成っている。

【００２１】図３及び図４は、例示の掘削刃のバケット
底板に対する取付例である。このように、バケット底板
２０の上面又は下面にホルダ１を溶接するなどして固着
しておき、このホルダに掘削ビット６を差込み嵌合させ
て着脱自在の軸で両者を連結する。なお、図３及び図４
の１４は硬化肉盛である。バケットの径方向外端部に配
置する掘削刃は掘削孔壁面との擦過が避けられないので
硬化肉盛して強化するとよい。

【００２２】また、ここでは掘削刃を掘削バケットの底
板に取付けることを例に挙げたが、本発明の掘削刃は掘
削翼の翼端に取付ける場合にも有効である。

【００２３】

【発明の効果】以上述べたように、本発明では、ホルダ
の隔壁に拡幅した延長突起を設けて掘削回転力と押付力
をこの延長突起のビット側溝との嵌合部で受け、ビット
の尾板と連結軸に荷重が加わらないようにしたので、破
損防止のためのサイズアップが不要になって全体のコン
パクト化が図れ、これにより、これまでは土砂の流出性
の面から固着方式の採用を余儀なくされていた大出力の
アースドリルやリバースサーキュレーション掘削機につ
いても着脱式掘削刃の採用が可能となり、刃先交換の迅
速化、交換労力の減少、機械稼働率の向上等に寄与する
ことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の掘削刃の一例を示す分解斜視図

【図２】連結軸の他の例（スプリングピン）を示す斜視
図

【図３】掘削刃の取付例を示す斜視図

【図４】掘削刃の取付例を示す斜視図

【図５】（ａ）：使用状態の平面図 （ｂ）：使用状態の側面図

【図６】従来の嵌合構造を用いた掘削刃の斜視図

【図７】同上の断面図

【符号の説明】

１ ホルダ ２ 凹部 ３ 隔壁 ４ 前面 ５ 延長突起 ６ 掘削ビット ７ 尾板 ８ 溝 ９ 肩部 １０ 軸穴 １１ ボルト １２、１３ スプリングピン

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 掘削翼の翼端又は掘削バケット底板に固
   着するホルダとこのホルダに着脱自在に取付ける掘削ビ
   ットとから成り、 ホルダのビット装着部は上面と前面に開放する第１凹
   部、下面と前面に開放する第２凹部及びそれ等の凹部間
   に残される隔壁とを備えていて断面がＨ形をなし、 前記隔壁はホルダ前面から前方に突出する拡幅した延長
   突起を有し、 掘削ビットは、前記第１、第２凹部に収まる尾板と、前
   記隔壁が嵌まり込む溝と、ホルダ前面に突き当てる肩部
   を有し、 さらに、前記隔壁とビットの尾板は対応した位置に貫通
   軸穴を有し、 前記掘削ビットを前記ホルダに差込み嵌合させて前記軸
   穴に通す着脱自在の軸でホルダに連結する構造にしてあ
   る建設機械用掘削刃。