JPH0741611A

JPH0741611A - 難燃性樹脂組成物

Info

Publication number: JPH0741611A
Application number: JP18786893A
Authority: JP
Inventors: Shin Yoshida; 伸吉田; Fumio Aida; 二三夫会田
Original assignee: Showa Electric Wire and Cable Co
Current assignee: SWCC Corp
Priority date: 1993-07-29
Filing date: 1993-07-29
Publication date: 1995-02-10

Abstract

(57)【要約】【目的】赤リンを配合することなく難燃性と機械特性
を向上させたノンハロゲンの難燃性樹脂組成物を提供す
る。【構成】ポリオレフィン 100重量部に対し、水酸化ア
ルミニウムおよび／または水酸化マグネシウム50〜200
重量部と、硼酸亜鉛 1〜50重量部と、シロキサン変成ア
クリル系ポリマー 0.1〜10重量部を配合する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ポリオレフィンをベー
スとしたノンハロゲン系の難燃性樹脂組成物に関する。

【０００２】

【従来の技術】近年、火災時の安全性の面から、難燃電
線、難燃ケーブルのノンハロゲン化、すなわち、煙の発
生が少なく、ハロゲン化水素ガスなどの有害ガスが発生
しない電線・ケーブルの開発が進められ、最近は、材料
のリサイクルを含む環境保護対策の面からも、このよう
なノンハロゲン化への期待が高まっている。

【０００３】このため、ハロゲンを含まない有機ポリマ
ーをベースとしたノンハロゲン難燃性樹脂組成物の開発
が盛んに行われており、その代表的なものとして、可燃
性のポリオレフィンに水酸化アルミニウムや水酸化マグ
ネシウムなどの金属水和物を多量に添加して難燃化した
ものが知られている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな組成物は、金属水和物の多量の添加によってポリオ
レフィン本来の優れた特性が損なわれ、従来から知られ
るハロゲン系難燃性樹脂組成物に比べて、機械特性、特
に引張強さに乏しいという難点があった。

【０００５】この対策として、少量の添加で難燃性向上
に効果のある難燃助剤を添加することにより、金属水和
物の添加量を減らして、引張強さの低下を抑えることが
行われており、難燃助剤として赤リンが一般に使用され
ている。

【０００６】しかしながら、赤リンを配合した組成物
は、吸湿しやすく押出加工性が低くなるうえ、鮮明な着
色が困難になるという難点があった。さらに、加工時や
火災時の熱で有害なホスフィンを発生するおそれがあ
り、最近は、ハロゲンに加え、この赤リンも非含有とす
る要望が高まっている。

【０００７】本発明はこのような従来の事情に対処して
なされたもので、難燃性および機械特性がともに良好
で、かつ、赤リンを配合した場合のような不都合のない
ノンハロゲンの難燃性樹脂組成物を提供することを目的
とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明者らはこのような
ノンハロゲン樹脂組成物を得るべく鋭意研究を重ねた結
果、金属水和物に、ほう酸亜鉛と特定のシロキサン変性
ポリマーを併用することにより、上記目的が達成される
ことを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち本
発明の難燃性樹脂組成物は、ポリオレフィン 100重量部
に対し、（イ）水酸化アルミニウムおよび／または水酸
化マグネシウム50〜200 重量部と、（ロ）硼酸亜鉛 1〜
50重量部と、（ハ）シロキサン変成アクリル系ポリマー
0.1〜10重量部とを含有することを特徴とするものであ
る。

【０００９】本発明に使用されるポリオレフィンとして
は、低密度ポリエチレン（ＬＤＰＥ）、中密度ポリエチ
レン（ＭＤＰＥ）、高密度ポリエチレン（ＨＤＰＥ）、
超低密度ポリエチレン（ＶＬＤＰＥ）、直鎖状低密度ポ
リエチレン（ＬＬＤＰＥ）、エチレン・プロピレン共重
合体、エチレン・プロピレン・ジエン三元共重合体、エ
チレン・酢酸ビニル共重合体（ＥＶＡ）、エチレン・ア
クリル酸エチル共重合体（ＥＥＡ）、エチレン・アクリ
ル酸メチル共重合体などがあげられ、これらは単独もし
くは混合して使用することができる。

【００１０】本発明に使用される（イ）の水酸化アルミ
ニウムとしては、たとえば、ハイジライトH42M（昭和電
工社製商品名）などがあげられ、また、水酸化マグネ
シウムとしては、たとえばキスマ 5A （協和化学工業社
製商品名）などがあげられる。また、本発明に使用さ
れる（ロ）の硼酸亜鉛は、4ZnＯ・ 6Ｂ₂Ｏ₃・ 7Ｈ₂
Ｏで表される白色非晶質の粉末で、市販品を例示する
と、たとえば、Zinc Borate ZB-467（米国アマックス社
製商品名）などがあげられる。これらの金属水和物や
硼酸亜鉛は、火災時の高温により分子中の水分子が気化
する際の吸熱効果により昇温を抑制する作用をするもの
であるが、併用によって、それぞれの効果が相加相乗さ
れ、特に、下方からの接炎による垂直燃焼試験において
極めて優れた耐延焼性を発揮する。なお、これは、金属
水和物と硼酸亜鉛の併用によって、不燃性の殻が形成さ
れるとともに酸素が効果的に遮断されるからと考えられ
る。

【００１１】これら（イ）および（ロ）の成分のポリオ
レフィン 100重量部に対する配合量は、（イ）の水酸化
アルミニウムなどが50〜200 重量部、（ロ）の硼酸亜鉛
が 1〜50重量部である。（イ）の水酸化アルミニウムな
どが50重量部未満であるか、または（ロ）の硼酸亜鉛が
1重量部未満である場合には、併用による効果が十分得
られず難燃性が低くなる。逆に、（イ）の水酸化アルミ
ニウムなどが 200重量部を越えるか、あるいは（ロ）の
硼酸亜鉛が50重量部を越えると、機械特性や押出加工性
が低下するようになる。

【００１２】本発明に使用される（ハ）のシロキサン変
成アクリル系ポリマーとしては、ポリ（メタ）アクリル
酸ブチルやポリ（メタ）アクリル酸エチルなどのアクリ
ル系ポリマーに、トリエトキシシランなどの有機シラン
を 1〜30重量％程度グラフトさせたガラス転移温度（Ｔ
g ） -50〜50℃のものが適しており、具体的には、日本
触媒社製の一連の CX-SP（商品名）などが好適に使用さ
れる。

【００１３】このようなシロキサン変成アクリル系ポリ
マーは、シランカップリング剤などに比較して、無機化
合物および有機化合物に対する反応活性点が共に多く、
上記（イ）の水酸化アルミニウムなどや（ロ）の硼酸亜
鉛が有する優れた難燃性付与効果を低下させることな
く、組成物の引張強さなどの機械特性を向上させる効果
を有する。なお、この（ハ）のシロキサン変成アクリル
系ポリマーのポリオレフィン 100重量部に対する配合量
は、 0.1〜10重量部である。配合量が 0.1重量部未満で
は、機械特性向上効果が小さく、逆に10重量部を越える
と難燃性が低下するようになる。

【００１４】なお、本発明の組成物には、必要に応じ
て、本発明の効果を阻害しない範囲で、着色剤、酸化防
止剤、紫外線吸収剤、加工助剤、滑剤、安定剤その他の
添加剤を配合することができる。本発明の難燃性樹脂組
成物は、以上の各成分をミキシングローラやバンバリー
ミキサーなどの通常の混練機を用いて均一に混合するこ
とにより容易に製造することができる。

【００１５】

【作用】本発明の難燃性樹脂組成物は、ハロゲンを非含
有のポリオレフィンをベースに、同じくハロゲン非含有
の特定の数種の難燃剤と、それらの難燃効果を損なうこ
となく組成物の機械特性を向上し得る特定のシロキサン
変性ポリマーを併用しているので、ノンハロゲンであっ
て、かつ優れた難燃性と機械特性を兼備したものとな
る。また、赤リンを用いていないので、かかる赤リンの
配合による不都合が生じることもない。

【００１６】

【実施例】以下、本発明の実施例を記載する。実施例１超低密度ポリエチレン（ＶＬＤＰＥ）のVL-200（住友化
学社製商品名）と、水酸化アルミニウムのキスマ 5A
と、硼酸亜鉛のZinc Borate ZB-467と、シロキサン変成
アクリル系ポリマーの CX-SP-Aとを、表１に示す配合で
均一に混練して難燃性樹脂組成物を得た。

【００１７】実施例２〜４配合成分および配合量を表１に示すように変えた以外
は、実施例１と同様にして難燃性樹脂組成物を得た。各
実施例で得られた難燃性樹脂組成物の特性を表１に併せ
示す。

【００１８】比較例１〜５また、本発明との比較のために、硼酸亜鉛およびシロキ
サン変性アクリル系ポリマーの少なくとも一方を未配合
とした例について、実施例と同様の特性評価を行った結
果を、組成とともに表１に併せ示す。

【００１９】

【表１】表１からも明らかなように、実施例の難燃性樹脂組成物
は、難燃性に優れ、かつ機械特性も良好であった。

【００２０】

【発明の効果】以上の実施例からも明らかなように、本
発明の難燃性樹脂組成物は、ポリオレフィンをベース
に、ハロゲン非含有の特定の数種の難燃剤を組み合わせ
て配合するとともに、特定のシロキサン変性ポリマーを
併用するようにしたので、ノンハロゲンであって、かつ
優れた難燃性と機械特性を有しており、また、赤リンの
配合による不都合もない。したがって、ノンハロゲンの
難燃電線・難燃ケーブルの被覆材料としてのみならず、
防災シートや防災テープなどの材料としても極めて有用
である。

【００２１】

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】ポリオレフィン 100重量部に対し、
（イ）水酸化アルミニウムおよび／または水酸化マグネ
シウム50〜200 重量部と、（ロ）硼酸亜鉛 1〜50重量部
と、（ハ）シロキサン変成アクリル系ポリマー 0.1〜10
重量部とを含有することを特徴とする難燃性樹脂組成
物。