JPH0740717Y2 - 遠心送風機の羽根車 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、動力散布機等に使用される遠心送風機の羽
根車に係り、詳しくは騒音を低下させることができる遠
心送風機の羽根車に関するものである。

〔従来の技術〕 第８図及び第９図は遠心送風機10の従来の羽根車12にお
ける空気流（矢印で図示）を遠心送風機10の軸方向に対
して直角方向及び軸方向からそれぞれ示している。この
考案の後述の実施例と同一の要素については、同符号で
指示して、説明は省略し、主要点についてのみ説明す
る。

第８図において、吸入口30から軸方向へ吸入された空気
は、羽根車12の半径方向へ向きを変え、渦通路16へ放出
される。羽根車12のブレード22の半径方向内側縁部にお
ける空気流の方向変換は急激であるため、渦40が、ブレ
ード22の半径方向内側縁部の吸入口30側の端部近傍に生
成される。

第９図において、ブレード22は、羽根車12の回転方向前
側が凹部となるように、湾曲しており、羽根車12の回転
中、ブレード22の凸部側の気圧が凹部側に比して低下
し、渦40がブレード22の凸部側の吐出側部分に生成され
る。

実開昭56-124290号公報は、遠心送風機において、吸音
材より成る円筒部を軸方向吸入側に羽根車に固設するこ
とを開示する。

また、特開昭55-98700号公報の遠心送風機では、静止的
な遮蔽物を羽根車のブレードの半径方向内側に設け、舌
部に風が衝突しないようにしている。

〔考案が解決しようとする課題〕

第８図及び第９図の場合は、渦40がそれぞれブレード22
の半径方向内側及び外側に生成され、騒音が増大してい
る。

実開昭56-124290号公報の従来技術では、円筒部を羽根
車に取付けるために、オーバハング量が増加し、強度上
の配慮が必要となるとともに、渦自体の発生を抑制する
ことができない。

特開昭55-98700号公報の従来技術では、ブレードの形
状、枚数、回転速度によっては、騒音効果の低い場合が
ある。また、個々のブレードにおいて生成される渦を抑
制することは困難である。

この考案の目的は、上述の問題点を克服して、渦の生成
を抑制し、騒音を低下することができる遠心送風機の羽
根車を提供することである。

〔課題を解決するための手段〕

この考案を、実施例に対応する図面の符号を使用して説
明する。

この考案の前提となる遠心送風機の羽根車では、吸入空
気を整流する整流部材（24）を具える複数個のブレード
（22）が回転方向へ適宜間隔でかつ円板部（20）と一体
的に回転可能に前記円板部（20）に固設されている遠心
送風機の羽根車において、前記整流部材（24又は24a-24
d）は前記遠心送風機の吸入口に臨ませるとともに、前
記ブレード（22）の半径方向基端部前面を被覆可能に前
記円板部（20）に着脱自在とされてなる。

〔作用〕

整流部材（24又は24a-24d）は、円板部（20）と一体的
に回転し、ブレード（22）の半径方向内側からブレード
（22）の方へ吸い込まれていく空気を整流する。整流さ
れた空気は、場所による気圧差を抑制され、ブレード
（22）の半径方向外側へ吐出される。

〔実施例〕

以下、この考案を第１図〜第７図の実施例について説明
する。

第１図は遠心送風機10の構造を軸方向から見た図であ
る。羽根車12はケーシング14内に収容され、渦通路16
が、羽根車12の外周側とケーシング14の内面との間に形
成され、吐出口18へ至っている。羽根車12は、円板部20
と、回転方向へ等間隔に円板部20に固設されるブレード
22とを有している。各ブレード22は、羽根車12の回転方
向へ前側及び後ろ側にそれぞれ凹面側及び凸面側を向け
ている。整流部材24は、鍋状であり、ブレード22の半径
方向内側縁部の内側に共通に区画される凹所に嵌挿さ
れ、ボルト26により円板部20の中心部に固定される。整
流部材24の筒壁部には、ブレード22の枚数より十分に多
い多数の整流孔32が穿設される。

第２図は遠心送風機10の構造を軸方向に対して直角方向
から見た図である。駆動軸28は、円板部20の中心に結合
し、ケーシング14の端面部を貫通し、原動機（図示せ
ず）からの回転動力を羽根車12へ伝達する。吸入口30は
整流部材24に対峙する位置に形成され、ケーシング14の
外部の空気は、羽根車12の回転に伴って、吸入口30より
ケーシング14内へ吸入される。

第３図は整流部材24の軸方向断面図である。整流孔32
は、筒壁の内外を連通するように、鍋状の整流部材24の
筒壁部に穿設されている。

第４図は第１図の羽根車12の整流孔32の種々の例を示し
ている。整流部材24a（第４図（ａ））の整流孔32aは円
形のパンチ穴となっている。整流部材24b（第４図
（ｂ））の整流孔32bは、半径方向へ長いスリットであ
り、回転方向へ等間隔で配列されている。整流部材24c
（第４図（ｃ））の整流孔32cは、回転方向長いスリッ
トであり、半径方向及び回転方向へ配列されている。

第５図は整流孔32による整流作用を示す図である。矢印
は羽根車12における空気流を示す。第５図を参照して、
整流孔32の作用について説明する。ケーシング14の外部
の空気は、羽根車12の回転に伴って、吸入口30よりケー
シング14内へ羽根車12の軸方向へ吸入され、半径方向外
側へ向きを転換して、ブレード22の方へ吸い込まれる。
整流部材24に穿設されている整流孔32は、ブレード22の
方へ吸い込まれる空気を整流する。これにより、空気
は、ブレード22を通過中、羽根車12の軸方向には整流状
態に維持され、渦の生成が抑制される。

第６図は整流板34を備える整流部材24dを示し、第７図
は整流板34による整流作用を示している。整流板34は、
第６図に示されるように、第３図の整流孔32の代わりに
鍋状の整流部材24dの筒壁部に形成され、第７図に示さ
れるように、ブレード22のピッチより小さいピッチで回
転方向へ等間隔に配列され、ブレード22とは逆に羽根車
12の回転方向前側へ凸に湾曲している。羽根車12の回転
に伴って、半径方向内側からブレード22の方へ吸い込ま
れる空気は、各整流板34の凹面側に衝突して、回転方向
後ろ側へ曲げられて、整流される。これにより、回転方
向におけるブレード22,22間の空気流の圧力が均等化さ
れ、各ブレード22の凸面側の圧力も上昇し、ブレード22
の凸面側の半径方向外側縁部における渦の生成が抑制さ
れる。

〔考案の効果〕

この考案では、遠心送風機の羽根車において、整流部材
が、円板部と一体的に回転するように、ブレードの半径
方向内側に配設され、半径方向内側よりブレードの方へ
吸い込まれる空気を整流するので、羽根車における渦の
生成が抑制され、騒音を低下させることができる。

この考案では、整流部材が、羽根車の軸方向先端側に取
付けられず、ブレードの半径方向内側に取付けられるの
で、オーバハング量の増加を回避でき、強度に支障を生
じることなく、整流部材を取付けることができる。

この考案では、整流部材はブレードと一体的に回転する
ので、羽根車の回転速度の変化に関係なく、渦の生成を
抑制して、騒音を低下させることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図〜第７図はこの考案の実施例に関し、第１図は遠
心送風機の構造を軸方向から見た図、第２図は遠心送風
機の構造を軸方向に対して直角方向から見た図、第３図
は整流部材の軸方向断面図、第４図は第１図の羽根車の
整流孔の種々の例を示す図、第５図は整流孔による整流
作用を示す図、第６図は整流板を備える整流部材を示す
図、第７図は整流板による整流作用を示す図、第８図及
び第９図は遠心送風機の従来の羽根車における空気流を
遠心送風機の軸方向に対して直角方向及び軸方向からそ
れぞれ示す図である。 10……遠心送風機、12……羽根車、20……円板部、22…
…ブレード、24,24a-24d……整流部材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】吸入空気を整流する整流部材（24）を具え
   る複数個のブレード（22）が回転方向へ適宜間隔でかつ
   円板部（20）と一体的に回転可能に前記円板部（20）に
   固設されている遠心送風機の羽根車において、前記整流
   部材（24又は24a-24d）は前記遠心送風機の吸入口に臨
   ませるとともに、前記ブレード（22）の半径方向基端部
   前面を被覆可能に前記円板部（20）に着脱自在とされて
   なる遠心送風機の羽根車。