JPH0740184Y2 - 常開型感温スイッチ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、自動車の排気ガスを浄化するための触媒式の
浄化装置に装着し、浄化装置が異常昇温したとき異常を
検知する用途に好適な温度センサに関する。

［従来の技術］ 粉末絶縁体100を詰めた金属管200内に、可溶溶線材300
を収容して（第４図に示す）なる常開型感温スイッチＣ
（特開昭57-73640号公報）では、可溶溶線材300が、金
属管200と可溶溶線材300との熱膨張率の違いにより断線
した場合、作動不良となるので、常開型感温スイッチＢ
（第５図に示す）では、一方の可溶溶線材300を電極400
に変更している（実開昭59-35842号公報）。

［考案が解決しようとする課題］ しかるに、常開型感温スイッチＢにおいても、つぎの欠
点がある。

ア.2つの別々の部材を金属管200に挿設しているので製
造する際、手間がかかりコスト高を招く。

イ．可溶溶線材300が断線し易いという問題は解決され
ておらず、断線したり接合部310が外れると、作動不良
が起きたり、電気導通路の形成に多量の可溶溶線材300
が必要になるため、応答性の低下が起きたりする。

本考案の目的は、信頼性に優れるとともに、構造が簡単
な常開型感温スイッチの提供にある。

［課題を解決するための手段］ 本考案は上記目的を達成するため、先端閉塞の耐熱金属
管と、該耐熱金属管内に充填される絶縁性セラミック粉
末と、電極材を可溶金属で包囲してなり、前記耐熱金属
管内に該耐熱金属管と電気絶縁を図って挿設される棒状
または板状のクラッド電極とを備え、設定温度以上にな
ると、前記可溶金属が溶融して前記絶縁性セラミック粉
末中を進んで、前記電極材と前記耐熱金属管との間に電
気導電路を形成する。

［作用および考案の効果］ （作用） 電極材と可溶金属との複合化を図っているので、可溶金
属は電極材の伸縮に追従するように一体的に伸び縮みす
る。このため、温度変化による可溶金属の断線は極めて
起こり難い。

設定温度以上になると、可溶金属が溶融して絶縁性セラ
ミック粉末中を放射状に進み、耐熱金属管内壁に達す
る。こうして、耐熱金属管と電極材との間に電気導通路
が形成される。

（効果） 絶縁性セラミック粉末を充填した耐熱金属管内にクラッ
ド電極１本を挿設するという構成であるので、製造が容
易であるとともに、管を径小にできる。

溶融した可溶金属の基端は、確実に電極材と電気的導通
が取れるので、作動時に電気導通路が確実に形成され信
頼性に優れる。

［実施例］ 本考案の一実施例を第１図〜第３図に基づき説明する。

第１図に示すごとく、常開型感温スイッチＡは、絶縁性
セラミック粉末１を充填した耐熱金属管２内に、電極材
３を可溶金属４で包囲したクラッド電極５を挿設してな
る。

絶縁性セラミック粉末１は、酸化マグネシウム粉末であ
る。

耐熱金属管２は、SUS310Sで形成され、先端閉塞の略試
験管形状（厚み0.3mm〜1mm;内径2.5mm〜6mm）を呈す
る。

電極材３は、ニッケルで形成され、直径0.1mm〜1.5mmの
ワイヤーである。なお、耐熱金属管２に近似した熱膨張
係数を有するか、強度や延性が大きい導電性金属材料
（例えばステンレス鋼）であればニッケル以外も可であ
る。

可溶金属４は、銅−マンガン合金（例えば77Cu−23Mn）
で形成されている。触媒式浄化装置（図示せず）が異常
発熱し、可溶金属４が設定温度（700℃〜1000℃）以上
となると可溶金属４は溶融する。そして、絶縁性セラミ
ック粉末１中を放射状に進んで耐熱金属管２内壁21に達
する。

クラッド電極５は、直径0.3mm〜3.5mmの丸棒状を呈し、
電気絶縁性のシール材20（酸化硼素、酸化亜鉛、シリ
カ）でもって耐熱金属管２の開口の中心に固定されてい
る。また、第３図に示すクラッド構造であっても良い。

つぎに、常開型感温スイッチＡの製造方法を簡単に述べ
る。

（１）48メッシュ〜300メッシュの酸化マグネシウム粉
末を焼成して製造した１つ穴成形パイプを先端閉塞した
耐熱金属管内に挿入する。

（２）クラッド電極５を、冷間圧接法、熱間圧接法等に
より製造し、成形パイプの穴に入れる。

（３）シール材で開口を塞ぐ。

（４）スエージング加工により、成形パイプを粉砕する
とともに、先端閉塞した耐熱金属管の径を15％〜40％絞
る。

（５）洗浄した後、熱処理（690℃）を行ってシール材
を溶かし、密封する。

本実施例の常開型感温スイッチＡは、つぎの効果を奏す
る。

あ．温度変化に伴う耐熱金属管２の伸縮による影響をク
ラッド電極５が受けても、電極材３と可溶金属４との複
合化を図っているので、可溶金属４は電極材３の伸縮に
追従するように一体的に伸び縮みする。このため、可溶
金属４の断線は極めて起こり難く、断線に起因する作動
不良も防止できる。

い．電極材３を可溶金属４で包囲したクラッド電極５
を、絶縁性セラミック粉末１を充填した耐熱金属管２に
挿設した構成であるので、小型化した常開型感温スイッ
チＡ（耐熱金属管２の内径が2.5mm程度）が容易に製造
できる。

う．スエージング加工の際、可溶金属４は電極材３に保
持されるので変形（潰れ、偏心、切れ）が極めて少な
い。よって、特性の揃った均一的な製品が容易に製造で
きる。

え．耐熱金属管２の軸線を通るようにクラッド電極５を
配設しているので、触媒式の浄化装置への装着の際、向
きにより特性がばらつかない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案にかかる常開型感温スイッチの一実施例
を示す断面図、第２図、第３図はそれぞれ、そのスイッ
チに用いたクラッド電極、クラッド電極の他の例を示す
構造説明図である。 第４図、第５図は、従来の常開型感温スイッチの断面図
である。 図中、１……絶縁性セラミック粉末、２……耐熱金属
管、３……電極材、４……可溶金属、５……クラッド電
極、Ａ……常開型感温スイッチ

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】先端閉塞の耐熱金属管と、 該耐熱金属管内に充填される絶縁性セラミック粉末と、 電極材を可溶金属で包囲してなり、前記耐熱金属管内に
   該耐熱金属管と電気絶縁を図って挿設される棒状または
   板状のクラッド電極とを備え、 設定温度以上になると、前記可溶金属が溶融して前記絶
   縁性セラミック粉末中を進んで、前記電極材と前記耐熱
   金属管との間に電気導電路を形成する常開型感温スイッ
   チ。