JPH0739978Y2 - 老人用浴槽のオーバーフロー装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、寝たきり老人を入浴させる省力化を図った入
浴装置に関し、この入浴装置の浴槽部分の改良に関す
る。

〔従来の技術〕

従来の寝たきり老人等の肢体不自由者の入浴装置の一例
として、特公昭60-38138号公報に記載される入力装置が
ある。この様な従来の入浴装置においては、入浴者の足
が位置する浴槽の足方部が床面に立設された支持枠に取
着されていた。

このような浴槽では配管を好都合にする上と外観を良く
する上で、給水管、給湯管、排水管、溢水口及び溢水管
等は、浴槽足方部及びその下部に集中して設けられてい
た。

〔考案が解決しようとする課題〕

上記に述べた従来の浴槽には、配管の都合上及び美観の
都合上、浴槽足方部にのみ溢水口が開設されていた。

即ち、一般に介助をやり易くした浴槽では、その浴槽の
上方開口部面積は人体容積に比してあまり大きくないの
で、入浴する時には溢水口から大量に湯が流出するた
め、この流出する排水湯を導く管体は大口径とする必要
がある。溢水口を浴槽頭方部に位置させた場合、溢水を
導く管体は浴槽頭方部から足方部にわたって浴槽側壁外
面に添設されるから、浴槽側壁外面の配管が大掛りとな
り美観を損なうことから、溢水口を浴槽足方部へ設けて
いた。

また、頭側での給湯は入浴者への熱湯の飛散を防止する
意味で避けるべきことであつた。

溢水口の近くに混合湯口があると、浴槽内の湯の移動が
適切に行われず、入浴者の加温能率が悪い。さらに、入
浴者の頭が位置する浴槽頭方部にゴミや垢等が長らく浮
遊し不快であった。

そこで、混合湯口からの増し湯が流動し、かつ、増し湯
及びゴミや垢等が適当に流出するための溢水口を浴槽頭
方部に設け、かつ配管が簡素で美観の良い浴槽が望まれ
ている。

〔課題を解決するための手段〕

本考案は従来の浴槽に存していた課題を解決したもの
で、浴槽内の湯の循環を効果的に行い、浮遊物の除去も
適切に行える老人用浴槽のオーバーフロー装置を提供す
ることを目的としている。

すなわち本考案は、入浴者を仰臥位にして入浴させる入
浴装置の浴槽１において、浴槽１へ給湯する給湯部２
を、入浴者の足が位置する浴槽１足方部の外部に設け、
浴槽１足方部の上端部に溢水用の足側オーバーフロー口
６を設け、入浴者の上半身が位置する浴槽１頭方部には
前記足側オーバーフロー口６より僅か低い位置に頭側オ
ーバーフロー口８を設け、浴槽１の外面に頭側オーバー
フロー口８に連設され頭側オーバーフロー口８から浴槽
１足方部に向けて僅か下降傾斜状に頭側オーバーフロー
管９が添設されてなる老人用浴槽のオーバーフロー装置
である。

オーバーフロー口を、入浴者の入水時の溢水を排水する
大口径の足側オーバーフロー口６と、増し湯に係る溢水
を排水する小口径の頭側オーバーフロー口８とに分離
し、前記浴槽１は一重槽でなり、該浴槽１には外方折り
曲げ片16を有する縁部17が形成され、小口径の細管でな
る頭側オーバーフロー管９が外方折り曲げ片16で覆い隠
されている。

〔作用〕

次に本考案の作用を述べる。

本考案の浴槽に入浴者を仰臥姿勢で入れる。

入浴者の足が位置する浴槽１足方部の浴槽１の長手辺の
側壁５の上端部にある溢水用の足側オーバーフロー口６
からは、浴槽１に入浴者が入る際に頭側オーバーフロー
口８で排水しきれない大量の溢水を排水する。

上記入浴時の溢水を排水すると共に入浴中に浴槽１に常
時少量注ぎ込む湯即ち増し湯を足側オーバーフロー口６
より低位に設けた頭側オーバーフロー口８から排水す
る。

増し湯の補給量に相当する湯量が頭側オーバーフロー口
８を通過して排水され、この排水は、浴槽１の側壁５の
外部に添設される頭側オーバーフロー管９を通って足側
オーバーフロー口６の受け箱７に合流し、受け箱７から
足側オーバーフロー管12を通って浴槽１の排水管14に合
流し排水される。

頭側オーバーフロー口８からは増し湯に相当する量の湯
と共に湯面に浮遊するゴミや垢も排出される。

頭側オーバーフロー口８及び頭側オーバーフロー管９は
縁部17の外方折り曲げ片18に覆い隠されている。

〔実施例〕

本考案の実施例を添付の図面に基づいて詳述する。

入浴装置は一重曹でなる浴槽１と給湯部２と昇降ストレ
ッチャー３とからなっている。

浴槽１には入浴者が仰臥姿勢で入浴できるよう、平面視
長方形に形成されている。

入浴時に入浴者の足が位置する浴槽１足方部の外側に
は、浴槽１に給湯を行う給湯部２が設けられており、給
湯部２の上部には浴槽１内に適宜温度の湯を注ぐ逆Ｕ字
形の混合湯管４が取着される。

浴槽１の長手辺の側壁５において、その上端部の浴槽１
足方部方向の部位には大口径の足側オーバーフロー口６
が貫通開設されている。この足側オーバーフロー口６の
在る側壁５外面には足側オーバーフロー口６から排水さ
れる湯を受け入れる受け箱７が覆設される。

側壁５にあって、入浴時の入浴者の頭が位置する浴槽１
頭方部の方向の部位には、前記足側オーバーフロー口６
より僅か低い位置に小口径の頭側オーバーフロー口８が
貫通開設され、この頭側オーバーフロー口８の在る側壁
５外面には小口径の管体でなる頭側オーバーフロー管９
が頭側オーバーフロー口８を覆って添設されており、こ
の頭側オーバーフロー管９は浴槽１頭方部から浴槽１足
方部に向かって僅か下降傾斜して側壁５外面に添設され
ている。

頭側オーバーフロー管９の下端は前記受け箱７の一側壁
10に連通接続され、受け箱７の他側壁11には大口径の足
側オーバーフロー管12が接続され、足側オーバーフロー
管12の下端は浴槽１の底壁13から床の排水溝に垂下され
た排水管14に連通接続される。

浴槽１の四方側壁の上端部には側壁を外方に折り曲げて
なる縁部17が形成され、この縁部17の外方折れ曲がり片
18にて前記頭側オーバーフロー管９は覆い隠されてい
る。

前記給湯部２には床から立ち上がった給水管19、給湯管
20及びコンジットパイプ21が接続されている。

給湯部２の上面には水と湯を混合するミキシングバルブ
23が設けられ、前記混合湯管４はミキシングバルブ23の
出力口に接続されている。

昇降ストレッチャー３は、下部にキャスター24を取着し
昇降ストレッチャー３を移動自在とする脚22と、脚22に
立設され伸縮する伸縮支柱25と、伸縮支柱25の一側に取
着され担架15を保持するアーム26と、アーム26の延出中
途部に水平状に突設される把持棒27と、伸縮支柱25を伸
縮作動させるハンドル16とから構成される。

尚、第一図中28は浴槽１を支持する支持脚である。

入浴にあたっては、昇降ストレッシャー３で担架15上の
入浴者を運搬移動し、浴槽１上面に位置させる。昇降ス
トレッチャー３のハンドル16を回し入浴者を降下させ浴
槽１内に満たした適温の湯に漬ける。入浴の際、湯面が
急上昇し溢れようとする湯を、足側オーバーフロー口６
を通して排水する。

入浴者が湯中に浸かった後、湯を適温に維持し、湯の清
潔を促進するため混合湯管４から少量の増し湯を連続的
に補給する。増し湯の量に相当する湯量が頭側オーバー
フロー口８から排水される。

浴槽１足方部にある混合湯管４から補給される増し湯が
入浴者の足側から頭側に向かって除除に移動する。

浴槽１内の湯及び増し湯が入浴者を適宜に加温すると共
に、この移動する湯により湯面に浮いたゴミや垢等を頭
側オーバーフロー口８から流し出す。

入浴を終了する時には、ハンドル16を回して入浴者を上
昇させ、しかる後に、昇降ストレッチャー３を浴槽１か
ら離間移動し入浴を終わる。

〔考案の効果〕

本考案は、浴槽足方部に足側オーバーフロー口及び混合
湯管が設けられ、浴槽頭方部に足側オーバーフロー口よ
り低位に頭側オーバーフロー口が設けられ、頭側オーバ
ーフロー口に連通される小口径の頭側オーバーフロー管
は浴槽頭方部から浴槽足方部に向かって下降傾斜状に浴
槽の側壁外面に添設されてなるものである。

頭側オーバーフロー口に連通する頭側オーバーフロー管
は増し湯相当量の湯を通すだけであるから、小口径の管
体を僅かの下降傾斜をもって浴槽の側壁上部に添設して
構成すればよい。管体を小口径にできるゆえに、この頭
側オーバーフロー管は縁部にて隠蔽することができる。
従って、機能的には頭側オーバーフロー管を下降傾斜し
て、頭側オーバーフロー口から排水される排水湯の流動
を促進して逆流を無くし、美観的には縁部内に隠蔽し、
浴槽の側壁を簡素且つ優美にすることができたのであ
る。

また、オーバーフロー口に高低差をつけて二箇所に分離
して設け、入浴する時の溢水を主として足側オーバーフ
ロー口から排水し、増し湯を頭側オーバーフロー口から
排水している。この構成により、常時補給する増し湯を
入浴者の足側から行い安全を確保すると共に、増し湯及
び浴槽内の湯を、入浴者の足側から頭側に向かって好適
に移動させることができ、入浴者に局部的な熱さを感じ
させることなく、入浴者に快適感を与えながら、十分に
加温することができるものとなった。

また湯面に浮遊するゴミや垢が、浴槽頭方側に長らく漂
うということはなく順次速やかに頭側オーバーフロー口
から排出でき、入浴者に不快感を感じさせない。

また、給水管、給湯管、オーバーフロー管、コンジット
パイプ等は、浴槽の足方部に集中して設けているので、
設置工事を簡素化できると共に、浴槽下方の床との間に
存在する部材を簡素化し、浴槽下に潜る昇降ストレッチ
ャーの脚と床から立ち上がる管体との衝突を無くし昇降
ストレッチャーの移動の制限を減らしたので、昇降スト
レッチャーの移動操作がやり易くなったのである。

【図面の簡単な説明】

添付の図面は本考案の実施例を示しており、第１図は側
断面図、第２図は浴槽の側面図、第３図は平面図を示し
ている。 １……浴槽、４……給湯管、５……側壁、６……足側オ
ーバーフロー口、８……頭側オーバーフロー口、９……
頭側オーバーフロー管

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】入浴者を仰臥位にして入浴させる入浴装置
   の浴槽１において、浴槽１へ供給する給湯部２を、入浴
   者の足が位置する浴槽１足方部の外部に設け、浴槽１足
   方部の上端部に溢水用の足側オーバーフロー口６を設
   け、入浴者の上半身が位置する浴槽１頭方部には前記足
   側オーバーフロー口６より僅か低い位置に頭側オーバー
   フロー口８を設け、浴槽１の外面に頭側オーバーフロー
   口８に連設され頭側オーバーフロー口８から浴槽１足方
   部に向けて僅か下降傾斜状に頭側オーバーフロー管９が
   添設され、オーバーフロー口を、入浴者の入水時の溢水
   を排水する大口径の足側オーバーフロー口６と、増し湯
   に係る溢水を排水する小口径の頭側オーバーフロー口８
   とに分離し、前記浴槽１は一重槽でなり、該浴槽１には
   外方折り曲げ片18を有する縁部17が形成され、小口径の
   細管でなる頭側オーバーフロー管９が外方折り曲げ片18
   で覆い隠されてなる老人用浴槽のオーバーフロー装置。