JPH0739779U - 縁かがりミシンにおける布台支持装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 縁かがりシン機枠に設けた孔部内に止めねじ
によりかん合保持される支軸を介して布台を支持するミ
シンにおいて、ミシン機枠を振源とする布台の振動を低
減する。 【構成】 止めねじと支軸間または孔部内壁と支軸間に
僅少な支軸揺動空隙を形成して支軸が孔部内で上下方
向、傾倒方向に僅かな自由度を有するように構成し、ミ
シン機枠における振動の発生に伴い支軸ないし支軸近傍
の布台等の微細動を可能とすることにより、布台はミシ
ン機枠からの振動の伝達に伴い支軸近傍で細振動してひ
ずみエネルギ−を解放する一方閉止装置周辺の振動を減
殺することのできるミシンにおける布台支持装置であ
る。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、布台の振動を低減させ作業性を向上させたミシンの布台支持構造 に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

オーバーロックミシンあるいはインタ−ロックミシン等の縁かがりミシンでは 一般に図６に示すように、布台１は支軸２を中心に水平方向へ回動可能に支持さ れている。これは、布台１の下方に設けられたル−パ−への糸通しを容易にする ためであり、縫製時には、布台１は図中実線で示す閉塞位置に保持され、糸通し 時には図の一点鎖線の位置まで回動する。

【０００３】 布台１の回動側は、常時は係止部３とフック４等からなる閉止装置によりミシ ン機枠に係止されている。すなわち、フック４は常時は巻ばね５によって係合方 向に付勢されており係合を解除するにはレバー６を回動させてフック４を上方に 起こしておこなうようになっている。

【０００４】 一方、布台１をミシン機枠Ｍに常時保持する支軸２は、図７に示すようにミシ ン機枠に形成した孔部にかん合している。図において、１は布台、２は支軸、７ はミシン機枠Ｍに形成された孔部、８は偏心ブッシュである。支軸２は孔部７に 挿入された偏心ブッシュ８の貫通孔に挿入されている。偏心ブッシュ８の貫通孔 の中心は孔部７の中心に対して偏位しており、この偏心ブッシュ８を回転させる ことにより支軸２、ひいては布台１の位置を微妙に調節することができ、布台１ と針板の位置関係を精妙に修正できるようになっている。９は、支軸２の下端に 固着されたスラストカラ−、１０は偏心ブッシュ８を押さえるための止めねじで ある。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】 しかしながら、上述の図７に示す従来技術にあっては、ミシン機枠において発 生する振動が布台に伝達されて布台に強制振動と自由振動を生起し、これに伴っ て騒音をも発生する。発生する振動は布台の支軸の近傍より閉止装置の周辺にお いて大きくなる。すなわち、布台は支軸地点ではいわば固定されているのに対し て、閉止装置周辺では、ばねの付勢力によって止められていて揺動しやすい状態 にあり、このため閉止部分の近傍で振動がより大きくなるものと考えられる。

【０００６】 このようにして発生する振動、騒音は布台が共振状態となった場合には一層大 きくなり、作業能率の著しい低下をもたらす原因となっている。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

この考案は、ミシン機枠に設けた孔部内に止めねじによりかん合保持される支 軸を介して布台を支持する布台支持構造において、止めねじと支軸間または孔部 内壁と支軸間に僅少な支軸揺動空隙を形成して支軸が孔部内で上下方向、傾倒方 向に僅かな自由度を有するように構成し、ミシン機枠における振動の発生に伴い 支軸ないし支軸近傍の布台等の微細動を可能とすることにより上記従来の課題を 解決しようとするものである。

【０００８】

【考案の作用】

この考案において、支軸揺動空隙が形成されているので、支軸は孔部内で上下 方向、傾倒方向に僅かな自由度を有するため、布台はミシン機枠からの振動の伝 達に伴い支軸近傍で細振動してひずみエネルギ−を解放する一方閉止装置周辺の 振動を減殺する。このため、布台全体の振動は著しく減少する。

【０００９】

【考案の実施例】

図面にもとずいてこの考案の実施例を説明する。図１はこの考案の１実施例を 示す図である。 図において、１は布台、２は支軸、８はその貫通孔に支軸２を挿通した偏心ブ ッシュである。偏心ブッシュ８の側面には断面半球形状の突条８ａが周設され、 この突条８ａのみが孔部７の内壁に接触し、スラストカラ−９も含めたその他の 部分と孔部７の内壁との間には僅かな間隙が設けられ支軸揺動空隙１１が形成さ れている。また、止めねじ１０の先端部分と偏心ブッシュ８との間にも僅かなク リアランスが設けられている。

【００１０】 上述の構成により、該実施例の作用を説明する。ミシン機枠Ｍからの振動が伝 達されると、偏心ブッシュ８は支軸揺動空隙１１の範囲内で上下方向、傾倒方向 に僅少な自由度を有するから前記振動の伝達に伴い微小運動が可能となる。この 微小運動によって従来支軸近傍に生じていたひずみエネルギ−が開放される一方 、布台の閉止装置周辺の振動を減殺する。

【００１１】 図２は、他の実施例を示す図である。この実施例では偏心ブッシュ８に設けた 前記突条８ａは断面三角に形成されている他は、構成、作用とも前述の実施例と 同様である。なお、突条８ａは図３に示すように偏心ブッシュ８の軸まわりに不 連続に設けてもよい。

【００１２】 図４（ａ）は、さらに他の実施例を示す図である。この実施例では、支軸２は 孔部７に直接かん合されており、支軸２の軸部と孔部７の間にはリング２ａが介 装されていて支軸２のの軸部と孔部７の壁面との間には僅かな間隙が形成され支 軸揺動空隙１１を構成している。また、止めねじ１０の先端と支軸２の軸部との 間にも僅かなクリアランスが形成されていて、支軸２の上下方向への自由度を確 保している。なお、前記リング２ａは孔部７の周壁に設けてもよく、また図４（ ｂ）に示すように支軸２の軸部の周設してもよい。

【００１３】 図５は、さらにまた他の実施例を示す図であり、この実施例では支軸揺動空隙 １１は、止めねじ先端部分と支軸の軸部とのクリアランスのみによって構成され ており、したがって支軸２は上下方向にのみ自由度を有するが、この場合でも従 来技術に比較し布台２の振動は低減する。

【００１４】

【考案の効果】

以上説明したように、この考案は、ミシン機枠に設けた孔部内に止めねじによ りかん合保持される支軸を介して布台を支持する布台支持構造において、止めね じと支軸間または孔部内壁と支軸間に僅少な支軸揺動空隙を形成して支軸が孔部 内で上下方向、傾倒方向に僅かな自由度を有するように構成し、ミシン機枠から の振動の伝達に際して、布台は支軸近傍で細振動してひずみエネルギ−を解放し さらに閉止装置周辺の振動を減殺する。このため、布台全体の振動、騒音は著し く減少して作業能率も向上する。

【図面の簡単な説明】

【図１】 この考案の第１実施例を示す一部切欠
断面図である。

【図２】 この考案の第２実施例を示す一部切欠
断面図である。

【図３】 図２において突条を不連続にした例を
示す斜視図である。

【図４】 この考案のさらに第３実施例を示す断
面および斜視図である。

【図５】 この考案の第４実施例を示す一部切欠
断面図である。

【図６】 ミシン本体と布台の関連構成を示す斜
視図である。

【図７】 従来技術を示す一部切欠断面図であ
る。

【符号の説明】

１ 布台 ２ 支軸 ２ａ リング ７ 孔部 ８ 偏心ブッシュ ８ａ 突条 １０ 止めねじ １１ 支軸揺動空隙 Ｍ ミシン機枠

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 縁かがりミシン機枠に設けた孔部内に止
   めねじによりかん合保持される支軸を介して布台を支持
   する布台支持構造において、止めねじと支軸間または孔
   部内壁と支軸間に僅少な支軸揺動空隙を形成して支軸が
   孔部内で上下方向、傾倒方向に自由度を有するように構
   成したことを特徴とするミシンにおける布台支持装置。