JPH0739302A - 高度不飽和脂肪酸含有油脂組成物及び高度不飽和 脂肪酸含有水系食品 - Google Patents
高度不飽和脂肪酸含有油脂組成物及び高度不飽和 脂肪酸含有水系食品Info
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- JPH0739302A JPH0739302A JP4354631A JP35463192A JPH0739302A JP H0739302 A JPH0739302 A JP H0739302A JP 4354631 A JP4354631 A JP 4354631A JP 35463192 A JP35463192 A JP 35463192A JP H0739302 A JPH0739302 A JP H0739302A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】高度不飽和脂肪酸含有油脂(PUFA) を乳化剤や
強力な乳化手段を使用せずに水系食品中へ添加する手段
を開発することにより、生理活性を有する機能性油脂成
分としてPUFAを利用する技術を提供すること。 【構成】本発明油脂組成物は、構成油脂としてモノグリ
セリドを含む高度不飽和脂肪酸を含有する。組成物中の
モノグリセリドの含有量が 0.1%(重量比)以上であ
り、かつこれを利用した油脂含有水系食品中の上記組成
物の含量は、0.1 %以上であることが望ましい。PUFAと
しては、α−リノレン酸、γ−リノレン酸、ジホモ−γ
−リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸及
びドコサヘキサエン酸が好適に選択される。
強力な乳化手段を使用せずに水系食品中へ添加する手段
を開発することにより、生理活性を有する機能性油脂成
分としてPUFAを利用する技術を提供すること。 【構成】本発明油脂組成物は、構成油脂としてモノグリ
セリドを含む高度不飽和脂肪酸を含有する。組成物中の
モノグリセリドの含有量が 0.1%(重量比)以上であ
り、かつこれを利用した油脂含有水系食品中の上記組成
物の含量は、0.1 %以上であることが望ましい。PUFAと
しては、α−リノレン酸、γ−リノレン酸、ジホモ−γ
−リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸及
びドコサヘキサエン酸が好適に選択される。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はモノグリセリドを含む高
度不飽和脂肪酸(以後、PUFA-MG と略記)含有油脂組成
物、及び該組成物を含む水系食品に関する。
度不飽和脂肪酸(以後、PUFA-MG と略記)含有油脂組成
物、及び該組成物を含む水系食品に関する。
【0002】
(1) 背景 モノグリセリド(以後、MGと略記)は、従来から乳化
剤として広範な産業分野で利用されており、食品分野に
おいてもグリセリン脂肪酸エステルとして大量に使用さ
れている(「食品用乳化剤と乳化技術」、衛生技術会、
1979)。
剤として広範な産業分野で利用されており、食品分野に
おいてもグリセリン脂肪酸エステルとして大量に使用さ
れている(「食品用乳化剤と乳化技術」、衛生技術会、
1979)。
【0003】 一
方、高度不飽和脂肪酸(以後、PUFAと略記)はω-6系
(γ−リノレン酸、ジホモ−γ−リノレン酸、アラキド
ン酸等)、ω-3系(α−リノレン酸、エイコサペンタエ
ン酸(以後、EPAと略記)、ドコサヘキサエン酸(以
後、DHAと略記)等)を中心にその生理活性が注目さ
れており、特にEPA及びDHAは、血栓形成抑制作用
を有することが疫学的に確かめられているので、医薬用
のみならず健康食品(特定保健用食品)の素材としても
関心が持たれている。しかし、これらの高度不飽和脂肪
酸類は多数の不飽和結合を有するため、酸化に対して極
めて弱いという欠点がある。
方、高度不飽和脂肪酸(以後、PUFAと略記)はω-6系
(γ−リノレン酸、ジホモ−γ−リノレン酸、アラキド
ン酸等)、ω-3系(α−リノレン酸、エイコサペンタエ
ン酸(以後、EPAと略記)、ドコサヘキサエン酸(以
後、DHAと略記)等)を中心にその生理活性が注目さ
れており、特にEPA及びDHAは、血栓形成抑制作用
を有することが疫学的に確かめられているので、医薬用
のみならず健康食品(特定保健用食品)の素材としても
関心が持たれている。しかし、これらの高度不飽和脂肪
酸類は多数の不飽和結合を有するため、酸化に対して極
めて弱いという欠点がある。
【0004】しかもこれらのPUFAは、通常トリグリセリ
ド(以後、TGと略記)の形でグリセリン分子とエステ
ル結合しているので親水性に乏しく、このため、これを
水系食品(水を含む食品)にそのまま混合すると油脂分
の分離が避けられない。そこでこれを水系食品中に配合
するためには、グリセリンモノ脂肪酸エステル(略称
“モノグリ”)、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソル
ビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エ
ステル、ショ糖脂肪酸エステル、大豆リン脂質(通称
“大豆レシチン”)等の食品用乳化剤を併用すると共
に、ホモミキサー(登録商標)、ホモジナイザー、コロ
イドミル等の強力な乳化装置を必要とする。
ド(以後、TGと略記)の形でグリセリン分子とエステ
ル結合しているので親水性に乏しく、このため、これを
水系食品(水を含む食品)にそのまま混合すると油脂分
の分離が避けられない。そこでこれを水系食品中に配合
するためには、グリセリンモノ脂肪酸エステル(略称
“モノグリ”)、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソル
ビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エ
ステル、ショ糖脂肪酸エステル、大豆リン脂質(通称
“大豆レシチン”)等の食品用乳化剤を併用すると共
に、ホモミキサー(登録商標)、ホモジナイザー、コロ
イドミル等の強力な乳化装置を必要とする。
【0005】(2) 従来技術の問題点 しかしこのような強力な乳化処理を行うには、先ず相当
の機械的設備を必要とする。しかも乳化処理に際しては
発熱や空気(酸素)との接触を伴うため、PUFAが変質
し、魚臭や毒性のある酸化物乃至過酸化物を生じさせ易
いので、ゼラチン皮膜や糖衣で包んだ医薬的形態にする
ような場合を除き、これを広く機能性食品素材として活
用するのは困難であった。
の機械的設備を必要とする。しかも乳化処理に際しては
発熱や空気(酸素)との接触を伴うため、PUFAが変質
し、魚臭や毒性のある酸化物乃至過酸化物を生じさせ易
いので、ゼラチン皮膜や糖衣で包んだ医薬的形態にする
ような場合を除き、これを広く機能性食品素材として活
用するのは困難であった。
【0006】一方、MGを酵素的に又は非酵素的に調製
するための試みはこれまでに数多く発表されており、例
えば、リパーゼを触媒としたTGの加水分解法(特開昭
60-102192 、特開昭62-228289 、特開平3-187385、特開
平3-108489、特開平3-103499など)、エステル交換(合
成)法(特開昭61-257192 、特開昭62-201591 、特開昭
59-118094 、特開昭59-118095 、特開昭63-296698 、特
開平3-262492など)等々幾多もの方法が公知となってい
る。また、MGを非酵素的に調製するために、「食品用
乳化剤と乳化技術、衛生技術会(1979)」、特開平1-26
8663等に述べられた方法を始めとして幾多の方法が公知
となっている。しかし、これらの方法は、いずれも乳化
剤としてのMGそのものの製造方法、あるいは魚油等PU
FA含有TG中のPUFAの濃縮、分離、精製に係わるもので
あり、PUFA-MG 自体をその生理活性に基づく機能性油脂
として水系食品に使用することは考慮されていない。
するための試みはこれまでに数多く発表されており、例
えば、リパーゼを触媒としたTGの加水分解法(特開昭
60-102192 、特開昭62-228289 、特開平3-187385、特開
平3-108489、特開平3-103499など)、エステル交換(合
成)法(特開昭61-257192 、特開昭62-201591 、特開昭
59-118094 、特開昭59-118095 、特開昭63-296698 、特
開平3-262492など)等々幾多もの方法が公知となってい
る。また、MGを非酵素的に調製するために、「食品用
乳化剤と乳化技術、衛生技術会(1979)」、特開平1-26
8663等に述べられた方法を始めとして幾多の方法が公知
となっている。しかし、これらの方法は、いずれも乳化
剤としてのMGそのものの製造方法、あるいは魚油等PU
FA含有TG中のPUFAの濃縮、分離、精製に係わるもので
あり、PUFA-MG 自体をその生理活性に基づく機能性油脂
として水系食品に使用することは考慮されていない。
【0007】
また、MGの食品への利用方法に関するものと
して、特開昭50-129767(特公昭52-20536) 、特開昭59-4
5860( 特公昭62-31902) 、特開昭60-43347、特開昭60-4
3348、特開昭63-248430 等々幾多の方法が公知となって
いるが、これらの方法はいずれもPUFA-MG の利用に係わ
るものでなかったり、又は、MGを用いた食品用乳化物
に関するものであり、PUFA-MG そのものを、その生理活
性に基づく機能性油脂として水系食品に使用することは
考慮されていない。
また、MGの食品への利用方法に関するものと
して、特開昭50-129767(特公昭52-20536) 、特開昭59-4
5860( 特公昭62-31902) 、特開昭60-43347、特開昭60-4
3348、特開昭63-248430 等々幾多の方法が公知となって
いるが、これらの方法はいずれもPUFA-MG の利用に係わ
るものでなかったり、又は、MGを用いた食品用乳化物
に関するものであり、PUFA-MG そのものを、その生理活
性に基づく機能性油脂として水系食品に使用することは
考慮されていない。
【0008】更にPUFA-MG の利用に関して、特開昭63-4
4843はその油中水中油型乳化油脂組成物の製造方法につ
き述べており、また特開平1-174342には、魚類、甲殻類
等に対する摂餌促進剤の製造方法が述べられているが、
PUFA-MG 自体をその生理活性に基づく機能性油脂として
水系食品に使用することは考慮されていない。従って、
PUFAをその生理活性に基づく機能性油脂として水系食品
に利用するには、設備に加えて、乳化剤の併用を必要と
すること、及び特に製造工程中における劣化問題を解決
することが重要な課題であった。なお、乳化剤の併用
は、食品衛生法による表示上の問題も残っている。
4843はその油中水中油型乳化油脂組成物の製造方法につ
き述べており、また特開平1-174342には、魚類、甲殻類
等に対する摂餌促進剤の製造方法が述べられているが、
PUFA-MG 自体をその生理活性に基づく機能性油脂として
水系食品に使用することは考慮されていない。従って、
PUFAをその生理活性に基づく機能性油脂として水系食品
に利用するには、設備に加えて、乳化剤の併用を必要と
すること、及び特に製造工程中における劣化問題を解決
することが重要な課題であった。なお、乳化剤の併用
は、食品衛生法による表示上の問題も残っている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】以上の実情に鑑み、本
発明は、PUFAを乳化剤を使用せずに水系食品中へ添加す
る手段を開発することにより、生理活性を有する機能性
油脂成分としてPUFAを利用する技術を提供すること、延
いては、それにより特別な乳化設備や乳化工程を不必要
とする技術を提供すことを目的とする。
発明は、PUFAを乳化剤を使用せずに水系食品中へ添加す
る手段を開発することにより、生理活性を有する機能性
油脂成分としてPUFAを利用する技術を提供すること、延
いては、それにより特別な乳化設備や乳化工程を不必要
とする技術を提供すことを目的とする。
【0010】
(1) 概念 本発明者らは上記の技術的背景を踏まえ、生理活性を有
する機能性油脂成分としてPUFAを水系食品に添加、利用
するための手段につき鋭意研究を重ねた結果、酵素的に
又は非酵素的に調製されたPUFA-MG を含む油脂組成物を
そのままの形で水系食品に添加、利用することにより、
媒質との混合及び乳化を容易かつ完全に行うことができ
ることを見出し、本発明に到達した。
する機能性油脂成分としてPUFAを水系食品に添加、利用
するための手段につき鋭意研究を重ねた結果、酵素的に
又は非酵素的に調製されたPUFA-MG を含む油脂組成物を
そのままの形で水系食品に添加、利用することにより、
媒質との混合及び乳化を容易かつ完全に行うことができ
ることを見出し、本発明に到達した。
【0011】(2) 概要 即ち、本発明は、構成油脂として PUFA-MGを含有するこ
とを特徴とする高度不飽和脂肪酸含有油脂組成物、及び
該組成物を0.01%以上(重量比)以上含むことを特徴と
する高度不飽和脂肪酸含有水系食品を要旨とするもので
ある。以下、その詳細を述べる。
とを特徴とする高度不飽和脂肪酸含有油脂組成物、及び
該組成物を0.01%以上(重量比)以上含むことを特徴と
する高度不飽和脂肪酸含有水系食品を要旨とするもので
ある。以下、その詳細を述べる。
【0012】(3) 油脂原料 生理活性を有するPUFA原料としては、α−リノレン酸、
γ−リノレン酸、ジホモ−γ−リノレン酸、アラキドン
酸、EPA、DHA等のPUFAを1分子以上その構成脂肪
酸として有する全てのグリセロ脂質が含まれる。例え
ば、アマニ油、シソ油( α−リノレン酸原料)、糸状菌
等の菌体脂質(γ−リノレン酸、ジホモ−γ−リノレン
酸、アラキドン酸、EPAの原料)、魚油(EPA、D
HA原料)などがあげられるが、これらの機能性PUFAを
構成脂肪酸中 5.0%(重量比)以上含むグリセロ脂質で
あれば全て本発明で用いられるPUFA原料として好適であ
る。
γ−リノレン酸、ジホモ−γ−リノレン酸、アラキドン
酸、EPA、DHA等のPUFAを1分子以上その構成脂肪
酸として有する全てのグリセロ脂質が含まれる。例え
ば、アマニ油、シソ油( α−リノレン酸原料)、糸状菌
等の菌体脂質(γ−リノレン酸、ジホモ−γ−リノレン
酸、アラキドン酸、EPAの原料)、魚油(EPA、D
HA原料)などがあげられるが、これらの機能性PUFAを
構成脂肪酸中 5.0%(重量比)以上含むグリセロ脂質で
あれば全て本発明で用いられるPUFA原料として好適であ
る。
【0013】(4) PUFA-MG 含有油脂組成物 PUFA-MG を含む油脂組成物は、上記油脂原料から酵素的
に又は非酵素的に調製される。酵素的調製方法として、
例えば、グリセロ脂質としてTGを用いる場合、触媒と
してリパーゼを用いるのが一般的であり、その手段は前
述の通り公知である。処理方法として、バッチ式、連続
式(バイオリアクター式)等幾多の方法が知られてい
る。
に又は非酵素的に調製される。酵素的調製方法として、
例えば、グリセロ脂質としてTGを用いる場合、触媒と
してリパーゼを用いるのが一般的であり、その手段は前
述の通り公知である。処理方法として、バッチ式、連続
式(バイオリアクター式)等幾多の方法が知られてい
る。
【0014】またPUFA-MG を含む油脂組成物の非酵素的
調製方法としては、例えばTGを原料とした場合、(部
分)加水分解法に基づく幾多の方法(「新版脂肪酸化
学」稲葉恵一他編、幸書房(1981))があげられる。ま
た、グリセリンとPUFA(及びそのエステル)を原料とし
た場合、その合成法として、例えば、前述(特開平1-26
8663)の如く公知の手段が知られている。
調製方法としては、例えばTGを原料とした場合、(部
分)加水分解法に基づく幾多の方法(「新版脂肪酸化
学」稲葉恵一他編、幸書房(1981))があげられる。ま
た、グリセリンとPUFA(及びそのエステル)を原料とし
た場合、その合成法として、例えば、前述(特開平1-26
8663)の如く公知の手段が知られている。
【0015】PUFA-MG の調製手段として上記酵素的又は
非酵素的の方法のいずれが採用されるにせよ、本発明に
おいてはいかなる非酵素的手段であれ、製品となる油脂
組成物中に0.1 %以上のMGが含有されていれば目的を
達することが出来る。
非酵素的の方法のいずれが採用されるにせよ、本発明に
おいてはいかなる非酵素的手段であれ、製品となる油脂
組成物中に0.1 %以上のMGが含有されていれば目的を
達することが出来る。
【0016】以上の如くにして調製された0.1 %以上の
PUFA-MG を含む油脂組成物は、必要に応じて脱酸、脱
臭、脱色等の諸工程を経て精製する。所望により、製品
油脂組成物中のMG含有量を高めるための濃縮工程を加
えても良い。これらの方法は、成書(「食用油脂製造の
実際」宮川高明著、幸書房(1988);「総合脂質科
学」、鹿山光編、恒星社厚生閣(1989))に詳しく述べら
れている通りである。いずれにしても、0.1 %以上のPU
FA-MG を含む油脂組成物を用いることが本発明の基本的
要件の一つであり、食品としての条件を満たす限りにお
いては、精製や濃縮工程が必ずしも常に必要な訳ではな
い。
PUFA-MG を含む油脂組成物は、必要に応じて脱酸、脱
臭、脱色等の諸工程を経て精製する。所望により、製品
油脂組成物中のMG含有量を高めるための濃縮工程を加
えても良い。これらの方法は、成書(「食用油脂製造の
実際」宮川高明著、幸書房(1988);「総合脂質科
学」、鹿山光編、恒星社厚生閣(1989))に詳しく述べら
れている通りである。いずれにしても、0.1 %以上のPU
FA-MG を含む油脂組成物を用いることが本発明の基本的
要件の一つであり、食品としての条件を満たす限りにお
いては、精製や濃縮工程が必ずしも常に必要な訳ではな
い。
【0017】(5) 抗酸化剤 この様にして調製された0.1 %以上のPUFA-MG を含む油
脂組成物は、酸化劣化を防ぐため必要に応じて抗酸化剤
を加え、使用するまで冷暗所に保管することが望まし
い。抗酸化剤としては、BHT、DHA、NDGA、ビ
タミンE、アスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビ
ル、レシチン、カテキン類、例えばローズマリー(Rosma
rinus officinalis L.) その他の香辛料抽出物など、数
多くの種類が知られている。本発明では、これら抗酸化
剤の種類、用量などを適宜選択できる。
脂組成物は、酸化劣化を防ぐため必要に応じて抗酸化剤
を加え、使用するまで冷暗所に保管することが望まし
い。抗酸化剤としては、BHT、DHA、NDGA、ビ
タミンE、アスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビ
ル、レシチン、カテキン類、例えばローズマリー(Rosma
rinus officinalis L.) その他の香辛料抽出物など、数
多くの種類が知られている。本発明では、これら抗酸化
剤の種類、用量などを適宜選択できる。
【0018】(6) 対象食品 以上の如く調製した0.1 %以上のPUFA-MG を含む油脂組
成物を水系食品に対し0.01%以上(重量比)加えること
により、生理活性を有する機能性油脂として本発明の基
本的要件を満足することになる。従って、該油脂組成物
が最終的に食品中で水分と良く混合された状態で維持さ
れることが重要であり、延いては対象水系食品中の水分
量が重要な因子となる。因に、ここにいう水系食品とし
ては、例えば農産食品(麺類、マーガリン、ドレッシン
グ類、飲料、菓子類等を含む)、醗酵食品(酒類、醤
油、ソース類、味噌も含む)、畜産食品(乳製品、ハ
ム、ソーセージなどの肉製品、缶詰類、卵製品等を含
む)、水産食品(練製品、缶詰類を含む)及びその他の
加工食品(インスタント食品、ベビーフード、レトルト
食品、冷凍食品、チルド食品等を含む)などが例示され
る。これら食品中の水分含量は、少なくとも30%(重量
比)以上であることが好ましいが、本発明の対象食品が
必ずしもこの範囲に限定されるわけではない。
成物を水系食品に対し0.01%以上(重量比)加えること
により、生理活性を有する機能性油脂として本発明の基
本的要件を満足することになる。従って、該油脂組成物
が最終的に食品中で水分と良く混合された状態で維持さ
れることが重要であり、延いては対象水系食品中の水分
量が重要な因子となる。因に、ここにいう水系食品とし
ては、例えば農産食品(麺類、マーガリン、ドレッシン
グ類、飲料、菓子類等を含む)、醗酵食品(酒類、醤
油、ソース類、味噌も含む)、畜産食品(乳製品、ハ
ム、ソーセージなどの肉製品、缶詰類、卵製品等を含
む)、水産食品(練製品、缶詰類を含む)及びその他の
加工食品(インスタント食品、ベビーフード、レトルト
食品、冷凍食品、チルド食品等を含む)などが例示され
る。これら食品中の水分含量は、少なくとも30%(重量
比)以上であることが好ましいが、本発明の対象食品が
必ずしもこの範囲に限定されるわけではない。
【0019】(7) 添加法 上記0.1 %以上のPUFA-MG を含む油脂組成物を対象とす
る食品に添加するに当たっては、その食品そのものに直
接混合しても、又はその食品を構成する原料素材中に混
合してもよい。後者の場合、混合によって0.1 %以上の
PUFA-MG を含む油脂組成物の乳化過程を含むため、その
食品そのものに直接混合して用いる場合と同様に、原料
素材中の水分量が少なくとも30%(重量比)以上含むこ
とが望ましい。
る食品に添加するに当たっては、その食品そのものに直
接混合しても、又はその食品を構成する原料素材中に混
合してもよい。後者の場合、混合によって0.1 %以上の
PUFA-MG を含む油脂組成物の乳化過程を含むため、その
食品そのものに直接混合して用いる場合と同様に、原料
素材中の水分量が少なくとも30%(重量比)以上含むこ
とが望ましい。
【0020】0.1 %以上のPUFA-MG を含む油脂組成物を
対象とする食品に混合するに当たっては、水分量が比較
的に少なく、かつ、油脂組成物の水中における乳化・分
散状態又は水分の油脂組成物中における乳化・分散状態
が保持されるに充分な粘度、密度が適当であれば、単に
撹拌機による撹拌のみでも充分に目的を達することがで
きる。また、水分量の割合が比較的に大きく、乳化・分
散状態を保持するのに必要な粘度や密度が不足している
場合は、望ましいことではないが、ホモミキサー等によ
る強力な機械的乳化を必要とする場合も有りうる。ここ
で、食品中の水分量の範囲と混合手段の関係は、その対
象とする食品の成分組成、物性、形状、加工工程、保存
流通形態、消費形態等々により異なるため厳密な限定は
出来ないが、一般的には、乳化・分散状態を作るのに必
要な機械的条件に依存している。また、本発明の趣旨か
ら言って望ましい事ではないが、前述した公知の乳化剤
を新たに加えて乳化安定性をより高めることも可能であ
る。
対象とする食品に混合するに当たっては、水分量が比較
的に少なく、かつ、油脂組成物の水中における乳化・分
散状態又は水分の油脂組成物中における乳化・分散状態
が保持されるに充分な粘度、密度が適当であれば、単に
撹拌機による撹拌のみでも充分に目的を達することがで
きる。また、水分量の割合が比較的に大きく、乳化・分
散状態を保持するのに必要な粘度や密度が不足している
場合は、望ましいことではないが、ホモミキサー等によ
る強力な機械的乳化を必要とする場合も有りうる。ここ
で、食品中の水分量の範囲と混合手段の関係は、その対
象とする食品の成分組成、物性、形状、加工工程、保存
流通形態、消費形態等々により異なるため厳密な限定は
出来ないが、一般的には、乳化・分散状態を作るのに必
要な機械的条件に依存している。また、本発明の趣旨か
ら言って望ましい事ではないが、前述した公知の乳化剤
を新たに加えて乳化安定性をより高めることも可能であ
る。
【0021】なお、本発明の基本的要件である PUFA-MG
に含まれるMG含有量(0.1 %以上)、PUFA-MG の水系
食品への使用量(0.01%以上) 、PUFA-MG に含まれるPU
FA含有量(5.0 %以上)等の条件を満たした食品(原
料)を他食品原料と任意の割合で混合して新たに食品を
製造した場合、又は両者のいずれかをさらに別の方法
で、再加工処理した場合なども本発明の技術的思想内に
内包される。かつ、上記基本的要件のもとで、PUFA-MG
の使用による酸化安定性の向上などの品質改良目的での
利用も同様である。
に含まれるMG含有量(0.1 %以上)、PUFA-MG の水系
食品への使用量(0.01%以上) 、PUFA-MG に含まれるPU
FA含有量(5.0 %以上)等の条件を満たした食品(原
料)を他食品原料と任意の割合で混合して新たに食品を
製造した場合、又は両者のいずれかをさらに別の方法
で、再加工処理した場合なども本発明の技術的思想内に
内包される。かつ、上記基本的要件のもとで、PUFA-MG
の使用による酸化安定性の向上などの品質改良目的での
利用も同様である。
【0022】
【作用】本発明に係る0.1 %以上のPUFA-MG を含む油脂
組成物を添加した食品、又は該食品を構成する原料素材
は長期間にわたり乳化・分散状態が安定で、しかも、酸
化安定性が高く、かつ、魚臭発現の程度が低いものとな
った。殊に 5.0%以上のPUFAを含有する原料から前項の
方法によって調製された0.1 %以上のPUFA-MG を含む油
脂組成物を、水系食品に対し0.01%以上添加し、前項の
方法によって混合、乳化する事により長期間にわたり乳
化・分散状態が安定で、しかも酸化安定性が高く、かつ
魚臭の発現の程度が低い製品が得られる。この理由は不
明であるが、PUFA-MG が乳化安定性を有することが一因
であろうと想像される。
組成物を添加した食品、又は該食品を構成する原料素材
は長期間にわたり乳化・分散状態が安定で、しかも、酸
化安定性が高く、かつ、魚臭発現の程度が低いものとな
った。殊に 5.0%以上のPUFAを含有する原料から前項の
方法によって調製された0.1 %以上のPUFA-MG を含む油
脂組成物を、水系食品に対し0.01%以上添加し、前項の
方法によって混合、乳化する事により長期間にわたり乳
化・分散状態が安定で、しかも酸化安定性が高く、かつ
魚臭の発現の程度が低い製品が得られる。この理由は不
明であるが、PUFA-MG が乳化安定性を有することが一因
であろうと想像される。
【0023】
【実施例】次に、実施例により本発明を更に具体的に説
明するが、これらの例示は説明用のものであって、発明
思想の限定を意図するものではない。
明するが、これらの例示は説明用のものであって、発明
思想の限定を意図するものではない。
【0024】実施例1(PUFA-MG 含有油脂組成物の調
製) 以下、0.1 %以上のPUFA-MG を含む油脂組成物の調製方
法を例に選び、魚油からの0.1 %以上のPUFA-MG を含む
油脂組成物の酵素的調製方法に関して述べる。
製) 以下、0.1 %以上のPUFA-MG を含む油脂組成物の調製方
法を例に選び、魚油からの0.1 %以上のPUFA-MG を含む
油脂組成物の酵素的調製方法に関して述べる。
【0025】 原料油脂 MG調製のための原料油脂として、EPA20(商品
名;池田糖化工業株式会社製)より大豆レシチン、天然
ビタミンEなどの配合成分を全て除いた後、使用した。
本原料油脂は、イワシ油より脱酸、脱色、濃縮、脱臭等
の工程にて精製された食用魚油で、下記性状を有してい
た。 MG含量(総脂質組成中) 不検出(TLC/FID
法) EPA含量(総脂肪酸組成中) 21.4%(ガスクロマ
トグラフィー法) 酸価(AV) 0.1(日本油化学協
会法) 過酸化物価(POV) 0.2meq/kg(日本油
化学協会法) 色調 淡黄色透明 風味 僅かに特有の風味
(魚臭)を有する。 上記分析結果から、本原料油脂は殆どがTGから構成さ
れているものと推定される。本原料油脂に品質保持のた
め、天然ビタミンEを0.5 %添加した製品を以後、EP
A20(VE)と称する。
名;池田糖化工業株式会社製)より大豆レシチン、天然
ビタミンEなどの配合成分を全て除いた後、使用した。
本原料油脂は、イワシ油より脱酸、脱色、濃縮、脱臭等
の工程にて精製された食用魚油で、下記性状を有してい
た。 MG含量(総脂質組成中) 不検出(TLC/FID
法) EPA含量(総脂肪酸組成中) 21.4%(ガスクロマ
トグラフィー法) 酸価(AV) 0.1(日本油化学協
会法) 過酸化物価(POV) 0.2meq/kg(日本油
化学協会法) 色調 淡黄色透明 風味 僅かに特有の風味
(魚臭)を有する。 上記分析結果から、本原料油脂は殆どがTGから構成さ
れているものと推定される。本原料油脂に品質保持のた
め、天然ビタミンEを0.5 %添加した製品を以後、EP
A20(VE)と称する。
【0026】 MGの酵素的調製方法 上記原料油脂を酵素により部分加水分解し、MG含有量
0.1 %以上の「5.0 %以上のPUFAを含む油脂組成物」を
調製するに当たり、下記方法を用いた。酵素はRhizops
niveus由来のリパーゼを使用した。反応溶液の組成(反
応開始前のpH7.0 前後)は下記の通りであった(部は重
量基準;以下同じ)。
0.1 %以上の「5.0 %以上のPUFAを含む油脂組成物」を
調製するに当たり、下記方法を用いた。酵素はRhizops
niveus由来のリパーゼを使用した。反応溶液の組成(反
応開始前のpH7.0 前後)は下記の通りであった(部は重
量基準;以下同じ)。
【0027】 (以下
余白) 原料油脂(EPA含有) 49.5部 リパーゼ 0.5部 水 50.0部 ──────────────────── 合計 100.0部
余白) 原料油脂(EPA含有) 49.5部 リパーゼ 0.5部 水 50.0部 ──────────────────── 合計 100.0部
【0028】反応を40℃、3時間行い、90〜95℃、10分
間加熱処理して酵素を失活させ反応を終了させた。この
間、pH調整は行わなかった。反応終了後の溶液から遠心
分離法(3000r.p.m/10分間)により水分を除いた後、油
脂分を更に水蒸気蒸留、分子蒸留及び酸性白土処理等に
より精製し、脱臭、脱色された精製油を得た。この精製
油の品質保持のため天然ビタミンEを0.5 %添加し、下
記性状の製品を得た。
間加熱処理して酵素を失活させ反応を終了させた。この
間、pH調整は行わなかった。反応終了後の溶液から遠心
分離法(3000r.p.m/10分間)により水分を除いた後、油
脂分を更に水蒸気蒸留、分子蒸留及び酸性白土処理等に
より精製し、脱臭、脱色された精製油を得た。この精製
油の品質保持のため天然ビタミンEを0.5 %添加し、下
記性状の製品を得た。
【0029】MG含量(総脂質組成中) 5.5%
(TLC/FID 法) EPA含量(総脂肪酸組成中) 21.2%(ガスクロマト
グラフィー法) 過酸化物価(POV) 0.2meq/Kg(日本油化
学協会法) 酸価(AV) 42.9(日本油化学協会
法) 色調 淡黄色透明 風味 僅かに特有の風味(魚
臭)を有する。 本品を以後、EPA20E(未脱酸油)と称する。この
もののMG含有量は本発明で規定しているMG含有量
(0.1 %以上)、PUFA含有量(5.0 %以上)を共に満足
するものである。
(TLC/FID 法) EPA含量(総脂肪酸組成中) 21.2%(ガスクロマト
グラフィー法) 過酸化物価(POV) 0.2meq/Kg(日本油化
学協会法) 酸価(AV) 42.9(日本油化学協会
法) 色調 淡黄色透明 風味 僅かに特有の風味(魚
臭)を有する。 本品を以後、EPA20E(未脱酸油)と称する。この
もののMG含有量は本発明で規定しているMG含有量
(0.1 %以上)、PUFA含有量(5.0 %以上)を共に満足
するものである。
【0030】上記EPA20E(未脱酸油)は、酵素反
応の際にTGの加水分解により生じた遊離脂肪酸がその
まま残っているためAVが高く、食品への利用範囲を限
定する場合もあるため、これを更にアルカリ脱酸法、分
子蒸留法、真空蒸留法等により繰り返し処理し、遊離脂
肪酸を除きAVを低下させた精製油を得た。この精製油
の品質保持のためビタミンE含有量が0.5 %となる様に
調整し、下記性状の製品を得た。
応の際にTGの加水分解により生じた遊離脂肪酸がその
まま残っているためAVが高く、食品への利用範囲を限
定する場合もあるため、これを更にアルカリ脱酸法、分
子蒸留法、真空蒸留法等により繰り返し処理し、遊離脂
肪酸を除きAVを低下させた精製油を得た。この精製油
の品質保持のためビタミンE含有量が0.5 %となる様に
調整し、下記性状の製品を得た。
【0031】MG含量(総脂質組成中) 5.8%
(TLC/FID 法) EPA含量(総脂肪酸組成中) 21.6%(ガスクロマト
グラフィー法) 過酸化物価(POV) 0.1meq/Kg(日本油化
学協会法) 酸価(AV) 0.3(日本油化学協会
法) 色調 淡黄色透明 風味 僅かに特有の風味(魚
臭)を有する。 本品を以後、EPA20E(脱酸済油)と称する。この
もののMG含有量は本発明で規定しているMG含有量
(0.1 %以上)、PUFA含有量(5.0 %以上)を共に満足
するものであった。この様にして得られたEPA20E
(未脱酸油)、EPA20E(脱酸済油)を使用目的
(用途)によって使い分けながら、EPA20(VE )
を対照として以後の実施例に示す試作を行った。なお、
本実施例においてはEPAをPUFA-MG の例に用いている
が、他のPUFA(本文中に記載)の場合も同様のプロセス
によって、それぞれのPUFA-MG を調製できる。
(TLC/FID 法) EPA含量(総脂肪酸組成中) 21.6%(ガスクロマト
グラフィー法) 過酸化物価(POV) 0.1meq/Kg(日本油化
学協会法) 酸価(AV) 0.3(日本油化学協会
法) 色調 淡黄色透明 風味 僅かに特有の風味(魚
臭)を有する。 本品を以後、EPA20E(脱酸済油)と称する。この
もののMG含有量は本発明で規定しているMG含有量
(0.1 %以上)、PUFA含有量(5.0 %以上)を共に満足
するものであった。この様にして得られたEPA20E
(未脱酸油)、EPA20E(脱酸済油)を使用目的
(用途)によって使い分けながら、EPA20(VE )
を対照として以後の実施例に示す試作を行った。なお、
本実施例においてはEPAをPUFA-MG の例に用いている
が、他のPUFA(本文中に記載)の場合も同様のプロセス
によって、それぞれのPUFA-MG を調製できる。
【0032】実施例2(PUFA-MG の「かまぼこ」への利
用) 表1の配合でEPA含有「かまぼこ」の試作を行い、品
質の比較を行った。 (以下余白)
用) 表1の配合でEPA含有「かまぼこ」の試作を行い、品
質の比較を行った。 (以下余白)
【0033】上記配合中の材料を全て混合し、サイレン
トカッターにて混合後、板上に成形後20分間(40℃)静
置して座らせた。続いて、25分間蒸し、直ちに冷却し製
品を得た。配合中のPUFA-MG としてのEPA20E(未
脱酸油)添加量は3%であり、本発明で規定している水
系食品へのPUFA-MG 使用量(0.01% 以上)に関する条
件を満足している。サイレントカッターでの混合工程
中、EPA20E(未脱酸油)区では他2試験区と比較
して遥かに油脂分の分散状態が良好であることを観察し
た。得られた製品の品質を比較評価し表2の結果を得
た。
トカッターにて混合後、板上に成形後20分間(40℃)静
置して座らせた。続いて、25分間蒸し、直ちに冷却し製
品を得た。配合中のPUFA-MG としてのEPA20E(未
脱酸油)添加量は3%であり、本発明で規定している水
系食品へのPUFA-MG 使用量(0.01% 以上)に関する条
件を満足している。サイレントカッターでの混合工程
中、EPA20E(未脱酸油)区では他2試験区と比較
して遥かに油脂分の分散状態が良好であることを観察し
た。得られた製品の品質を比較評価し表2の結果を得
た。
【0034】なお、かまぼこ中の脂質は Bligh & Dyer
の方法 (E.G.BLIGH and W.J.DYER,Can. J.Biochem. Phy
siol.,37,911(1959) )に準拠して抽出した。脂質分析
は実施例1と同様に行った。なお、製品中の水分量(乾
燥減量法)は 72.1 〜73.0%で、本発明の所望水系食品
(水分量30%以上) の条件を満足している。官能評価
は、池田食研株式会社研究所員(5名)をパネルとし、
平均的な言語表現で示した。
の方法 (E.G.BLIGH and W.J.DYER,Can. J.Biochem. Phy
siol.,37,911(1959) )に準拠して抽出した。脂質分析
は実施例1と同様に行った。なお、製品中の水分量(乾
燥減量法)は 72.1 〜73.0%で、本発明の所望水系食品
(水分量30%以上) の条件を満足している。官能評価
は、池田食研株式会社研究所員(5名)をパネルとし、
平均的な言語表現で示した。
【0035】
【0036】上表記載の通り、製造工程中の油脂成分の
劣化は認められず、色調、風味、食感に各区間で差が認
められなかった。しかし、かまぼこ中の油脂の分散状態
は、EPA20E(未脱酸油)区が他2区と比較して大
変良好であり、本発明の意図している「乳化、混合を容
易かつ完全に行う」ためにPUFA-MG を含む油脂をそのま
ま使用することの目的が達成されたことを確認した。
劣化は認められず、色調、風味、食感に各区間で差が認
められなかった。しかし、かまぼこ中の油脂の分散状態
は、EPA20E(未脱酸油)区が他2区と比較して大
変良好であり、本発明の意図している「乳化、混合を容
易かつ完全に行う」ためにPUFA-MG を含む油脂をそのま
ま使用することの目的が達成されたことを確認した。
【0037】実施例3(PUFA-MG の「コーンスープ」へ
の利用) 下記(表3)配合にてEPA含有「コーンスープ」の試
作を行い、品質の比較を行った。
の利用) 下記(表3)配合にてEPA含有「コーンスープ」の試
作を行い、品質の比較を行った。
【0038】(以下余白) *:だし汁は市販固形ブイヨン1個(4g/個)を300mL
の温湯に溶解させて調製
の温湯に溶解させて調製
【0039】タマネギをバターと共に炒め、さらに小麦
粉を加えながら炒めた。これに、牛乳、だし汁を加えて
炒めながら、粉砕済みのスィートコーンに続いて生クリ
ームを加え、食塩、胡椒で味付けしたものをベースの
「コーンスープ」とした。これに、所定量の大豆油、E
PA20(VE )、EPA20E(脱酸済油)を加え、
撹拌機にて撹拌、混合( 500 rpm,1分間)したものを
試料とし、以下の分析及び官能評価(共に、実施例1,
2に述べた方法と同様)に用いた。官能評価は試作5分
後に行った。コーンスープ試作品の品質を比較評価し、
表4に示す結果を得た。
粉を加えながら炒めた。これに、牛乳、だし汁を加えて
炒めながら、粉砕済みのスィートコーンに続いて生クリ
ームを加え、食塩、胡椒で味付けしたものをベースの
「コーンスープ」とした。これに、所定量の大豆油、E
PA20(VE )、EPA20E(脱酸済油)を加え、
撹拌機にて撹拌、混合( 500 rpm,1分間)したものを
試料とし、以下の分析及び官能評価(共に、実施例1,
2に述べた方法と同様)に用いた。官能評価は試作5分
後に行った。コーンスープ試作品の品質を比較評価し、
表4に示す結果を得た。
【0040】(以下余白)
【0041】上表が示すように、製造工程中の油脂成分
の劣化は認められず、色調、食感に各区間で差が認めら
れなかった。しかし、コーンスープ中の油脂の分散状態
は、EPA20E(脱酸済油)区では他2区と比較して
大変良好であり、本発明の意図している「乳化、混合を
容易かつ完全に行う」ためにPUFA-MG を含む油脂組成物
をそのまま使用するという目的の達成されたことを確認
した。また、EPA20(VE )区では油脂分の分離に
伴い微弱な魚臭が感知されることから、食品としての品
質の低下が窺える。これに反して、EPA20E(脱酸
済油)区においては、魚臭は感知出来ない程極く微弱で
あり、PUFA-MG を含む油脂組成物を使用することにより
魚臭の減弱化が可能であることを示している。
の劣化は認められず、色調、食感に各区間で差が認めら
れなかった。しかし、コーンスープ中の油脂の分散状態
は、EPA20E(脱酸済油)区では他2区と比較して
大変良好であり、本発明の意図している「乳化、混合を
容易かつ完全に行う」ためにPUFA-MG を含む油脂組成物
をそのまま使用するという目的の達成されたことを確認
した。また、EPA20(VE )区では油脂分の分離に
伴い微弱な魚臭が感知されることから、食品としての品
質の低下が窺える。これに反して、EPA20E(脱酸
済油)区においては、魚臭は感知出来ない程極く微弱で
あり、PUFA-MG を含む油脂組成物を使用することにより
魚臭の減弱化が可能であることを示している。
【0042】続いて、上記方法によって調製されたコー
ンスープをフリーズドライ(FD)法により常法に従っ
て乾燥し、その品質を比較した結果、表5に示す結果を
得た。なお、乾燥後の製品中の水分量は 3.0〜4.2 %で
あった。 (以下余白)
ンスープをフリーズドライ(FD)法により常法に従っ
て乾燥し、その品質を比較した結果、表5に示す結果を
得た。なお、乾燥後の製品中の水分量は 3.0〜4.2 %で
あった。 (以下余白)
【0043】 *単位:meq/Kg (参考:上記粉末を6倍量の熱湯に溶解させて5分後に
官能評価を行い、コーンスープ中の油脂の分散状態をみ
た。)
官能評価を行い、コーンスープ中の油脂の分散状態をみ
た。)
【0044】上表の示す通り、FD直後のコーンスープ
粉末及び湯に戻したコーンスープの品質は、粉末化前の
ものと比較して各区共よく類似していたが、過酸化物価
(POV) に関しては EPA20E(脱酸済油)区のみ他区より低
い傾向が認められた。このことは、PUFA-MG を含む油脂
組成物を用いることにより酸化が抑制される傾向のある
ことを示している。さらに、上記コーンスープ粉末を40
℃、開放条件下で10日間保存した後、品質を比較したと
ころ、表6の結果が得られた。
粉末及び湯に戻したコーンスープの品質は、粉末化前の
ものと比較して各区共よく類似していたが、過酸化物価
(POV) に関しては EPA20E(脱酸済油)区のみ他区より低
い傾向が認められた。このことは、PUFA-MG を含む油脂
組成物を用いることにより酸化が抑制される傾向のある
ことを示している。さらに、上記コーンスープ粉末を40
℃、開放条件下で10日間保存した後、品質を比較したと
ころ、表6の結果が得られた。
【0045】(以下余白) *単位:meq/Kg (参考:上記粉末を6倍量の熱湯に溶解させて5分後、
官能評価を行い、コンスープ中の油脂の分散状態をみ
た。)
官能評価を行い、コンスープ中の油脂の分散状態をみ
た。)
【0046】以上の結果から、コーンスープをFDによ
り加工し粉末化する際、PUFA-MG を含む油脂組成物を用
いることにより保存性に優れた品質のPUFA含有製品の得
られることが証明され、本発明が粉末食品にも適用可能
なことが実証された。
り加工し粉末化する際、PUFA-MG を含む油脂組成物を用
いることにより保存性に優れた品質のPUFA含有製品の得
られることが証明され、本発明が粉末食品にも適用可能
なことが実証された。
【0047】実施例4(PUFA-MG の「ラーメン用スープ
(別添タイプ)」への利用) 下記配合(表7)にてEPA含有「ラーメン用スープ
(別添タイプ)」の試作を行い品質の比較を行った。
(別添タイプ)」への利用) 下記配合(表7)にてEPA含有「ラーメン用スープ
(別添タイプ)」の試作を行い品質の比較を行った。
【0048】(以下余白)
【0049】上記配合中、大豆油(日清製油製)、EP
A20(VE)、EPA20E(脱酸済油)等の油脂成分
以外の原料を混合、加熱し、ラーメン用スープを調製
後、前記油脂成分を加え、撹拌機にて混合、撹拌(500
r.p.m/1分間)したものを試料とし、以下の分析、官
能評価(共に、実施例1,2,3に述べた方法と同様)
に用いた。試作品は24時間冷蔵庫(4℃)に保管後、10
倍量の熱湯にて希釈し、官能評価に供した。各スープの
品質評価の比較結果を表8に示す。
A20(VE)、EPA20E(脱酸済油)等の油脂成分
以外の原料を混合、加熱し、ラーメン用スープを調製
後、前記油脂成分を加え、撹拌機にて混合、撹拌(500
r.p.m/1分間)したものを試料とし、以下の分析、官
能評価(共に、実施例1,2,3に述べた方法と同様)
に用いた。試作品は24時間冷蔵庫(4℃)に保管後、10
倍量の熱湯にて希釈し、官能評価に供した。各スープの
品質評価の比較結果を表8に示す。
【0050】
【0051】 上記結果より、PUFA-MG を用いる事
により簡単な撹拌操作で油脂成分を分散させることが可
能となり、酸化が抑制されると共に、官能的にも良好な
製品の得られる事が実証された。なお、ラーメンスープ
は単独で喫食されるものではなく、別に、麺、具材等と
の混合により食品としての価値が生じるものである。従
って本実施例は、本発明の基本的要件である「PUFA-MG
に含まれるMG含有量(0.1%以上)、PUFA-MG の水系
食品への使用量(0.01%以上) 、PUFA-MG に含まれるPU
FA含有量(5.0 %以上)等の条件を満たした食品(原
料)を他食品原料と任意の割合で混合して新たに食品を
製造する場合(両者のいずれかをさらに別の方法で再加
工処理する場合を含む)」の一例を示すものである。
により簡単な撹拌操作で油脂成分を分散させることが可
能となり、酸化が抑制されると共に、官能的にも良好な
製品の得られる事が実証された。なお、ラーメンスープ
は単独で喫食されるものではなく、別に、麺、具材等と
の混合により食品としての価値が生じるものである。従
って本実施例は、本発明の基本的要件である「PUFA-MG
に含まれるMG含有量(0.1%以上)、PUFA-MG の水系
食品への使用量(0.01%以上) 、PUFA-MG に含まれるPU
FA含有量(5.0 %以上)等の条件を満たした食品(原
料)を他食品原料と任意の割合で混合して新たに食品を
製造する場合(両者のいずれかをさらに別の方法で再加
工処理する場合を含む)」の一例を示すものである。
【0052】
【発明の効果】以上説明し、かつ実証した通り、本発明
は、高度不飽和脂肪酸を含む油脂組成物を食用油脂とし
て含有する安定な水系食品を提供できたことを通じて健
康の維持、向上に寄与する。
は、高度不飽和脂肪酸を含む油脂組成物を食用油脂とし
て含有する安定な水系食品を提供できたことを通じて健
康の維持、向上に寄与する。
Claims (5)
- 【請求項1】構成油脂として、モノグリセリドを含む高
度不飽和脂肪酸を含有することを特徴とする高度不飽和
脂肪酸含有油脂組成物。 - 【請求項2】組成物中のモノグリセリドの含有量が 0.1
%(重量比)以上である請求項1の組成物。 - 【請求項3】高度不飽和脂肪酸がα−リノレン酸、γ−
リノレン酸、ジホモ−γ−リノレン酸、アラキドン酸、
エイコサペンタエン酸及びドコサヘキサエン酸からなる
群から選択されたものである請求項1又は2のいずれか
の組成物。 - 【請求項4】高度不飽和脂肪酸を5.0 %(重量比)以上
含有する請求項1から3のいずれかの組成物。 - 【請求項5】請求項1から4を満たす組成物を0.01%
(重量比)以上含むことを特徴とする高度不飽和脂肪酸
含有水系食品。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4354631A JPH0739302A (ja) | 1992-12-15 | 1992-12-15 | 高度不飽和脂肪酸含有油脂組成物及び高度不飽和 脂肪酸含有水系食品 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4354631A JPH0739302A (ja) | 1992-12-15 | 1992-12-15 | 高度不飽和脂肪酸含有油脂組成物及び高度不飽和 脂肪酸含有水系食品 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0739302A true JPH0739302A (ja) | 1995-02-10 |
Family
ID=18438862
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4354631A Pending JPH0739302A (ja) | 1992-12-15 | 1992-12-15 | 高度不飽和脂肪酸含有油脂組成物及び高度不飽和 脂肪酸含有水系食品 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0739302A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2007148889A1 (en) * | 2006-06-22 | 2007-12-27 | E.S.Biotech. Co., Ltd. | Edible plant oils from which saturated fatty acids were removed and manufacturing process thereof |
US8133518B2 (en) | 2006-06-22 | 2012-03-13 | E. S. Biotech. Co., Ltd. | Edible plant oils from which saturated fatty acids were removed and manufacturing process thereof |
-
1992
- 1992-12-15 JP JP4354631A patent/JPH0739302A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2007148889A1 (en) * | 2006-06-22 | 2007-12-27 | E.S.Biotech. Co., Ltd. | Edible plant oils from which saturated fatty acids were removed and manufacturing process thereof |
US8133518B2 (en) | 2006-06-22 | 2012-03-13 | E. S. Biotech. Co., Ltd. | Edible plant oils from which saturated fatty acids were removed and manufacturing process thereof |
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