JPH0738401Y2 - 浚渫物排送装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、海底などに堆積したヘドロや軟泥など（以下
ヘドロと略称する）を、混気圧送により遠距離排送する
ために利用される排送装置に関するものである。

［従来の技術］ 従来、浚渫船で浚渫されたヘドロは、浚渫船に配備した
バージ・バッカン（鉄製の槽）などに一旦積載した後、
水上輸送され、岸壁においてトラッククレーンなどを用
いて陸揚げを行なっていた。

［考案が解決しようとする課題］ しかしながら、上述した従来の浚渫物排送装置を用いた
方式では、間欠的で効率の悪い搬送しかできなかった。
また、ヘドロをバージ・バッカンへ送入する時、あるい
は、バージ・バッカンからの排出時には、ヘドロが搬送
途中で落下または飛散し、周辺を汚染していた。

［課題を解決するための手段］ 上記の技術的課題を解決するために、本考案の浚渫物搬
送装置においては、スクリュ羽根が固設されたスクリュ
軸が筒状ケーシングに内装されると共に、該筒状ケーシ
ングの先端側方に開設された開口を有する竪型スクリュ
コンベアと、該竪型スクリュコンベアの先端に回転可能
に設けられたインレット装置と、前記竪型スクリュコン
ベアの吐出口に排送用ポンプを備えてなり、該インレッ
ト装置は、該筒体と同軸的かつ軸心周りに回転可能に取
り付けられた筒状体と、該筒状体の側面に設けられた泥
土を該筒状体の外側から該筒状体の内側に取り込むため
の開口と、該筒状体の外周面のうち該筒状体の周方向に
おける該開口の近傍部分から放射方向に突設された翼体
とを具備してなる台船上の貯泥槽に積載された浚渫装置
であって、前記浚渫装置に傾動手段を設けたものであ
る。さらに、前記傾動手段が、該筒状ケーシングの中央
部両端に直角に固設されたスイング軸を軸支するスイン
グ用トラニオンと、これに連結した油圧用シリンダから
構成されたものである。

［作用］ 本考案における基本的な排送フローは下記に示すとおり
の工程によって処理される。

本考案において、海底などに堆積したヘドロを、台船上
の貯泥槽に一旦揚泥した後、竪型スクリュコンベアの先
端に取付けられたインレット装置で取込みやすいように
攪拌した後、竪型スクリュコンベアで揚泥し、浚渫装置
より排出されたヘドロをさらに遠心ポンプにより加圧
し、遠心ポンプより吐出されたヘドロを、エジェクタよ
り導入された圧縮空気により混気圧送されて遠距離まで
連続して排送し、浚渫装置、特にインレット装置やスク
リュコンベアに故障があったり、ヘドロの閉塞事故が起
った際には、浚渫装置の補修を容易に行なえるように、
竪型スクリュコンベアのスイング用軸に係合したスイン
グ用シリンダにより浚渫装置を例えば90°にまで回転し
得るよう構成した。

［実施例］ 以下、図に示す実施例を用いて本考案を詳細に説明す
る。

第１図は本考案に係る浚渫物排送装置の１実施例を示す
概略構成図、第２図は浚渫装置の拡大断面図、第３図は
浚渫装置の要部斜視図である。

第１図において、浚渫装置１は竪型スクリュコンベア2,
インレット駆動装置３およびインレット装置７を組合せ
たものであり、竪型スクリュコンベア２はヘドロ52など
の軟泥を、台船51に設けられた貯泥槽50から揚泥し得る
ような構造になっており、該竪型スクリュコンベア２の
先端には、掘削機能および攪拌機能を持つインレット装
置７が設けられている。インレット駆動装置３は、筒状
ケーシング21の側面にスクリュコンベア軸22と平行に回
転筒32が沿設され、回転筒駆動用モータ31aにより駆動
されるピニオンギア33およびラックギア34を介して回転
筒32を回転駆動すると共に、回転筒32の先端部に固設さ
れたインレット装置７のプロペラ71およびインレット72
でヘドロ52を攪拌した後、竪型スクリュコンベア２に取
込む。回転筒32は、竪型スクリュコンベア２のスクリュ
軸22とは反対方向に回転させる。また、浚渫装置１の修
理・補修を容易に行なうため、竪型スクリュコンベア２
の中央部の両側面に直角に固設されたスイング用軸41に
係合して浚渫装置１を前後自在に垂直状態から水平状態
に傾動できるようなピストン47とシリンダ48を有してい
る。

竪型スクリュコンベア２上部に配設された排出口60から
遠心ポンプ吸込口61までは浚渫物排送管路62が付設され
ており、特に、フレキシブルチューブ63を竪型スクリュ
コンベア２の排出口60から遠心ポンプ64間の垂直管路間
に挿入して、浚渫装置１を垂直状態から水平状態に傾動
する場合、容易に従動できるように配設されている。さ
らに、遠心ポンプ64はモータ68に連結して回転され、遠
心ポンプの吐出側69には仕切弁67が配設されている。ま
た、該仕切弁67の下流側には排出されるヘドロ52と混気
圧送するための圧縮空気導入口を有したエジェクタ65が
配されている。すなわち、遠心ポンプ64により加圧し吐
出されたヘドロ52は、エジェクタ65より導入された圧縮
空気と排送管66内で混合され、集泥池まで混気圧送が可
能な構造となっている。

つぎに、第２図，第３図によって浚渫装置１の構造を詳
細に説明する。

符号２は竪型スクリュコンベアであり、上部には、該竪
型スクリュコンベア２に内装されたスクリュ軸22に接続
され、該スクリュ軸22を回転させるためのコンベア駆動
用油圧モータ29が配設されている。また、筒状ケーシン
グ21の側面に、同軸と同方向に回転筒駆動用モータ31a
と係合した回転筒32が沿設され、ピニオンギア33および
ラックギア34を介して回転筒32を回転駆動させられるよ
うになっている。該ピニオンギア33および該ラックギア
34の外周面上には保護用カバー35が取付けられ、筒状ケ
ーシング21の中央部両側に、スイング用軸41が直角に固
設され、さらに、該スイング用軸41の両端は、竪型スク
リュコンベア２の両側に配設された竪型スクリュコンベ
ア用支持脚42上にスイング用トラニオン43で傾動自在に
軸支されている。

さらに、軸支された一方の該スイング用軸41は、スイン
グ用アーム44の一端に固着され、スイング用シリンダ48
のピストン47の先端に固着された連結杆とはピン枢支部
46で回動自在に連結されている。固定されて回動しない
筒状ケシング21と、該筒状ケーシング21内に内装され、
かつ正送りスクリュ羽根23と逆送りスクリュ羽根24が軸
着されたスクリュ軸22が配設され、該スクリュ軸22は竪
型スクリュコンベア２の上，下の両側をそれぞれ軸受2
5,26で軸支されている。

また、スクリュ羽根23は、ヘドロ52を貯泥槽50から揚泥
するための正送りスクリュ羽根23と、揚泥されたヘドロ
52を筒状ケーシング21上部で横方向に設けられた排出口
60へ排送させるために、スクリュ軸22端の一部に逆送り
スクリュ羽根24を取付けた旺盛となっている。前記筒状
ケーシング21は、その先端にヘドロ52を取込むための開
口27が設けられており、この開口27は、筒状ケーシング
21の軸線方向に長くなるよう略長方形状に開設され、か
つ円周方向に一定間隔おきに複数設けられている。

竪型スクリュコンベア２の先端にはヘドロ52かき込み用
のインレット装置７が設けられている。このインレット
装置７は、回転筒32の下端に固設されたテーパ付の天蓋
部材73と、該天蓋部材73から垂設されたヘドロかき込み
用のインレット72およびプロペラ71は、バースクリーン
74aとブレード75で構成されており、上下に多段に配設
されたバースクリーン74aは、ブレード75に溶接などに
より固着されている。

回転筒32は、竪型スクリュコンベア２の中程の高さの部
分に設けられた回転筒駆動用モータ31aによって回転駆
動可能なように軸受31d,31eで受けて回転しており、回
転筒32を回転することにより、天蓋部材73を介して各ブ
レード75,バースクリーン74aが一体的に回転する。

バースクリーン74aの先端はレーキ部74bとなっており、
該バースクリーン74aを回転させると周囲のヘドロ52が
かき崩される。そして、ブレード75により筒状ケーシン
グ21の先端の開口27から内部にとり込まれる。なお、該
バースクリーン74aは大きな岩石や異物が竪型スクリュ
コンベア２に取込まれるのを防止している。これらイン
レット72の下端はブロック28に固着され、該ブロック28
はスクリュ軸22の先端と軸受26を介して係合している。
また、回転筒32は竪型スクリュコンベア２の筒状ケーシ
ング21と同軸的かつ軸心周りに回転可能に取付けられて
いる。この回転筒32の上部にはラックギア33が周設され
ていると共に、該ラックギア33にはピニオンギア34と常
時噛合した状態にある。このピニオンギア34は、筒状ケ
ーシング21の側面に沿設された回転筒駆動用シャフト31
bの下端に固着されている。また、該回転筒駆動用シャ
フト31bの上端は、回転筒駆動用モータ31aに接続されて
おり、該回転筒駆動用モータ31aの駆動により回転筒駆
動用シャフト31b,ピニオンギア33およびラックギア34を
介して回転筒32が回転駆動させられるようになってい
る。

つぎに、以上のように構成された浚渫物排送装置の作動
について説明する。

浚渫船51の駆動装置を作動させて竪型スクリュコンベア
２の先端に位置するインレット装置７を貯泥槽50のヘド
ロ52中に差込み、竪型スクリュコンベア２上部に配設さ
れたコンベア駆動用油圧モータ29を回転させると同時に
回転筒駆動用モータ31aおよび遠心ポンプ用モータ68を
回転させる。この時、遠心ポンプ吐出側69に設けられた
仕切弁67は閉めておき、エジェクタ65には所定量の圧縮
空気を導入しておく。該回転筒駆動用モータ31aの回転
により回転筒32を介してインレット装置７も回転させら
れ、このインレット装置７の回転により取込部周辺のヘ
ドロ52を攪拌し、流動化させながら、プロペラ71および
インレット72により、開口27を介して筒状ケーシング21
内にヘドロ52を取込む。この際、ヘドロ52に混入してい
る異物はバースクリーン74aにより開口27からの侵入を
防止され、レーキ74b面に沿って外側へ排出される。一
方、開口27から筒状ケーシング21内に導入されたヘドロ
52は、スクリュ軸22の回転により筒状ケーシング21内を
上昇し、排出口60から管路62を通って遠心ポンプ側へ排
送される。

ここで、該仕切弁67を徐々に開いた後、遠心ポンプ64よ
り吐き出されたヘドロ52は、エジェクタ65より導入され
た圧縮空気と排送管66内で混合され、集泥池まで圧送さ
れる。

本考案に用いられる浚渫物排送装置は、台船51上にコン
パクトに配置でき、装置を分割構造にすることによりト
ラック輸送などが可能となる。また、浚渫物排送装置か
ら集泥池までが長距離の場合は、中継ポンプを要所，要
所に配置し、中継ポンプを排送管で連結することにより
可能となる。

［考案の効果］ 以上のような状況下において、本浚渫物排送装置を使用
して連続運転によりヘドロを集泥池まで排送している途
中に、浚渫装置が故障するか、または補修が必要になっ
た場合、スイング用シリンダを作動するだけで、簡単に
浚渫装置を垂直状態から水平状態に90°スイングでき、
修理または補修コストの大幅な低減が可能となった。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る浚渫物排送装置の１実施例を示す
概略構成図、第２図は浚渫装置の拡大断面図、第３図は
浚渫装置の要部斜視図である。 １……浚渫装置、２……竪型スクリュコンベア、21……
竪型スクリュコンベア２の筒状ケーシング、22……竪型
スクリュコンベア２のスクリュ軸、23……竪型スクリュ
コンベア２のスクリュ羽根、27……竪型スクリュコンベ
ア２の開口、３……インレット駆動装置、４……スイン
グ装置、41……スイング装置４のスイング用軸、43……
スイング装置４のスイング用トラニオン、44……スイン
グ装置４のスイング用アーム、47……スイング装置４の
ピストン、48……スイング装置４のシリンダ、７……イ
ンレット装置。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特公 昭49−45495（ＪＰ，Ｂ２) 特公 昭52−39253（ＪＰ，Ｂ２)

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】スクリュ羽根が固設されたスクリュ軸が筒
   状ケーシングに内装されると共に、該筒状ケーシングの
   先端側方に開設された開口を有する竪型スクリュコンベ
   アと、該竪型スクリュコンベアの先端に回転可能に設け
   られたインレット装置と、前記竪型スクリュコンベアの
   吐出口に排送用ポンプを備えてなり、該インレット装置
   は、該筒体と同軸的かつ軸心周りに回転可能に取り付け
   られた筒状体と、該筒状体の側面に設けられた泥土を該
   筒状体の外側から該筒状体の内側に取り込むための開口
   と、該筒状体の外周面のうち該筒状体の周方向における
   該開口の近傍部分から放射方向に突設された翼体とを具
   備してなる台船上の貯泥槽に積載された浚渫装置であっ
   て、前記浚渫装置に傾動手段を設けたことを特徴とする
   浚渫物排送装置。
2. 【請求項２】請求項１記載の傾動手段が、該筒状ケーシ
   ングの中央部両端に直角に固設されたスイング軸を軸支
   するスイング用トラニオンと、これに連結した油圧用シ
   リンダからなる浚渫物排送装置。