JPH0738029Y2 - 車両用シート - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本考案は、据付場所にシートクッションを略水平な着座
姿勢と、シートクッションの後端部を跳ね上げた前傾姿
勢とに揺動可能に支持し、シートクッションを前記着座
姿勢に拘束可能なロック機構を備えるとともに、シート
クッションにシートベルトの基端部を支持した車両用シ
ートに関する。

「従来の技術」 従来の車両用シートとしては、例えば、第３図に示すよ
うなものがある。

すなわち、据付場所１にシートクッション２が４リンク
機構３を介して略水平な着座姿勢と、シートクッション
２の後端部を跳ね上げた跳上げ姿勢と揺動可能に枢支さ
れ、座席の後方への乗降性等を高めるようになってい
て、シートクッション２に揺動可能に枢軸５により枢支
したラッチ部材４が、据付場所１側のストライカ６に係
脱してシートクッション２を着座姿勢に拘束かつ拘束解
除するものである。

近年、車両用シートにおいて、シートベルトの装着性を
向上するため、第３図において想像線で示すように、シ
ートクッション２にシートベルト７の基端部を支持する
ものがあり、シートクッション２の前後移動にともなっ
てシートベルト７の基端部が前後移動してシートベルト
７が着座者を適切な力で巻き付いて拘束するようにして
いる。

「考案が解決しようとする課題」 しかしながら、このような従来の車両用シートでは、シ
ートベルト７の基端部をシートクッション２に単に支持
すると、シートベルト７に過大な荷重がかかった際に、
ラッチ部材４とストライカ６との係合部位と、枢軸５の
部位とにそれぞれ剪断荷重がかかるとともに、枢軸５を
中心にしてラッチ部材４を揺動しようとするモーメント
荷重がかかる。その荷重に耐えるよう、ラッチ部材４や
ストライカ６を大型にすると、製品重量が重くなった
り、コストが嵩むという問題点があった。

本考案は、このような従来の問題点に着目してなされた
もので、ストライカと枢軸とをシートベルトに過大な荷
重がかかった際に、ラッチ部材にモーメント荷重がかか
らず、また、ラッチ部材等にかかる荷重が大きくならな
いようにして、ラッチ部材等にかかる全体的な荷重を小
さくして、ラッチ部材やストライカを小型にし、製品を
軽量にするとともに、コストを低減することができる車
両用シートを提供することを目的としている。

「課題を解決するための手段」 かかる目的を達成するための本考案の要旨とするところ
は、 据付場所にシートクッションを略水平な着座姿勢と、シ
ートクッションの後端部を跳ね上げた跳上げ姿勢とに揺
動可能に支持し、シートクッションを前記着座姿勢に拘
束可能なロック機構を備えるとともに、シートクッショ
ンにシートベルトの基端部を支持した車両用シートであ
って、 シートクッションは、車体フロアに固設されるロアベー
ス部材と、シートクッションに固設されるアッパベース
部材とを備え、両ベース部材を前リンク部材と後リンク
部材とにより、前後位置でそれぞれ回動可能に連結した
４リンク機構により支持されるとともに、シートクッシ
ョンが略水平な着座姿勢と、シートクッションの後端部
を跳ね上げた跳上げ姿勢とに揺動すべく、着座姿勢にお
いて前リンク部材がほぼ垂直に立った起立状態に、後リ
ンク部材がやや後方へ倒れた後傾状態になるよう配設さ
れ、 前記ロック機構は、シートクッションと据付場所との一
方に配されるストライカと、他方の部位に枢軸により揺
動可能に枢支され、前記ストライカに係脱してシートク
ッションを拘束可能かつ拘束解除可能なラッチ部材とを
備え、 前記ストライカと前記枢軸とを、シートベルトに過大な
荷重がかかった際にシートベルトの基端部が引かれる作
用方向線上であって、シートクッションが跳ね上がろう
としたときの前記４リンク機構による変位方向に沿う方
向に配したことを特徴とする車両用シートに存する。

「作用」 ロック機構のラッチ部材がストライカに係合していて、
シートクッションを着座姿勢に拘束している状態におい
て、ラッチ部材を揺動してストライカから外すと、シー
トクッションの後端部が跳ね上げ可能となる。

着座姿勢において、シートベルトに過大な荷重がかかる
と、シートベルトの基端部が引かれる。その引っ張り荷
重が枢軸と、ラッチ部材を介してストライカとにかか
り、引っ張り荷重の作用方向線上には枢軸とストライカ
とが位置しているため、枢軸を中心にしてラッチ部材を
回動させるモーメント荷重は働かず、ラッチ部材やスト
ライカにかかる荷重が全体的に小さくなる。また、荷重
のかかる方向がシートクッションが跳ね上がろうとした
ときの前記４リンク機構による変位方向に沿っているの
で、ロック機構の保持力は跳ね上がりに対する最も効果
的な抵抗荷重となり、強い衝撃荷重に耐える。

「実施例」 以下、図面に基づき本考案の一実施例を説明する。

第１図および第２図は本考案の一実施例を示している。

第２図に示すように、据付場所である車体フロア10に
は、シートクッション20が４リンク機構30を介して支持
されている。

４リンク機構30は、車体フロア10に固設されたロアベー
ス部材11と、シートクッション20に固設されたアッパベ
ース部材21とを備え、両ベース部材11,21を前リンク部
材31と後リンク部材32とにより、前後位置でそれぞれ回
動可能に連結したものである。

シートクッション20が略水平な着座姿勢と、シートクッ
ション20の後端部22を跳ね上げた跳上げ姿勢とに揺動す
べく、着座姿勢において前リンク部材31がほぼ垂直に立
った起立状態に、後リンク部材32がやや後方へ倒れた後
傾状態になっている。

シートクッション20の側端部23にはシートベルトＢの基
端部B1が支持されている。その基端部B1には、着座者に
巻き掛るシートベルトＢの先端が延びていて、その先端
に固設された図示省略したタング部材を係脱可能なバッ
クルB2が基端部B1の先に固着されている。シートベルト
Ｂの基端部B1がいわゆるアンカーポイントになってい
る。

シートクッション20の後端部22の下方には、シートクッ
ション20を着座姿勢に拘束可能なロック機構40が配設さ
れている。

ロック機構40は、車体フロア10に形成した段部12にその
脚部13が固設されるストライカ14と、ストライカ14の略
水平な軸部15に係脱してシートクッション20を着座姿勢
に拘束可能かつ拘束解除可能なラッチ部材44とを有して
いる。

第１図および第２図に示すように、シートクッション20
の後端部22には、アッパベース部材21の外側に並んで後
方へ延びる延設ブラケット46が設けられ、延設ブラケッ
ト46には支持ブラケット47が固設されている。

支持ブラケット47にはラッチ部材44が枢軸45により揺動
可能に枢支され、枢軸45と、ストライカ14の略水平な軸
部15とがシートベルトＢに前面衝突の際のような過大な
荷重がかかったときにシートベルトＢの基端部B1が引か
れる第１図において想像線で示す作用方向線Ａ上に配さ
れている。また、作用方向線Ａはシートクッション20が
跳ね上がろうとしたときの４リンク機構30による変位方
向に沿う方向でもある。

次に作用を説明する。

第１図において、シートクッション20は着座姿勢にあっ
て、ラッチ部材44がストライカ14の略水平な軸部15に係
合していて、シートクッション20を着座姿勢に拘束して
いる。

ラッチ部材44を枢軸45を中心にして揺動すると、ラッチ
部材44がストライカ14から外れ、シートクッション20の
後端部22が跳ね上げ可能になる。

着座姿勢において、シートベルトＢに過大な荷重がかか
ると、図示省略したタング部材〜バックルB2を介してシ
ートベルトＢの基端部B1が引かれる。その引っ張り荷重
が枢軸45〜ラッチ部材44を介してストライカ14にかか
る。

引っ張り荷重の作用方向線Ａは、枢軸45とストライカ14
の略水平な軸部15とを通るため、ラッチ部材44にはモー
メント荷重がかからないで、ラッチ部材44やストライカ
14にかかる荷重は全体的に小さくなる。また、荷重のか
かる方向がシートクッション20が跳ね上がろうとしたと
きの４リンク機構30による変位方向に沿っているので、
ロック機構40の保持力は跳ね上がりに対する最も効果的
な抵抗荷重となり、強い衝撃荷重に耐えることができ
る。

前記実施例においては、シートクッション20側にラッチ
部材44を設け、車体フロア10側にストライカ14を設けた
もの示したが、逆の態様であってもよく、その際におい
ても、ラッチ部材を支持する枢軸と、ストライカとは引
っ張り荷重の作用方向線上に配置することはいうまでも
ない。

「考案の効果」 本考案に係る車両用シートによれば、ラッチ部材を揺動
可能に枢支する枢軸と、ラッチ部材が揺動して係脱する
ストライカとをシートベルトに過大な荷重がかかった際
に、シートベルトが引かれる作用方向線上であってシー
トクッションが跳ね上がろうとしたときの前記４リンク
機構による変位方向に配したので、ラッチ部材にモーメ
ント荷重がかからず、また、ロック機構の保持力は跳ね
上がりに対する最も効果的な抵抗荷重となり、ラッチ部
材等にかかる全体的な荷重が小さくなって、ラッチ部材
やストライカが小型になり、コストを低減することがで
きる。

【図面の簡単な説明】

第１図および第２図は本考案の一実施例を示しており、
第１図は車両用シートの側面図、第２図は同じく斜視
図、第３は従来例を示しており、車両用シートの側面図
である。 10……車体フロア（据付場所） 14……ストライカ 20……シートクッション 30……４リンク機構 40……ロック機構 44……ラッチ部材 45……枢軸

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】据付場所にシートクッションを略水平な着
   座姿勢と、シートクッションの後端部を跳ね上げた跳上
   げ姿勢とに揺動可能に支持し、シートクッションを前記
   着座姿勢に拘束可能なロック機構を備えるとともに、シ
   ートクッションにシートベルトの基端部を支持した車両
   用シートであって、 シートクッションは、車体フロアに固設されるロアベー
   ス部材と、シートクッションに固設されるアッパベース
   部材とを備え、両ベース部材を前リンク部材と後リンク
   部材とにより、前後位置でそれぞれ回動可能に連結した
   ４リンク機構により支持されるとともに、シートクッシ
   ョンが略水平な着座姿勢と、シートクッションの後端部
   を跳ね上げた跳上げ姿勢とに揺動すべく、着座姿勢にお
   いて前リンク部材がほぼ垂直に立った起立状態に、後リ
   ンク部材がやや後方へ倒れた後傾状態になるよう配設さ
   れ、 前記ロック機構は、シートクッションと据付場所との一
   方に配されるストライカと、他方の部位に枢軸により揺
   動可能に枢支され、前記ストライカに係脱してシートク
   ッションを拘束可能かつ拘束解除可能なラッチ部材とを
   備え、 前記ストライカと前記枢軸とを、シートベルトに過大な
   荷重がかかった際にシートベルトの基端部が引かれる作
   用方向線上であって、シートクッションが跳ね上がろう
   としたときの前記４リンク機構による変位方向に沿う方
   向に配したことを特徴とする車両用シート。