JPH0737526A - プロジエクタ用陰極線管装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明は、例えば陰極線管のパネル内面が凸状
に形成されたプロジエクタ用陰極線管装置に関し、ラス
タ歪及びスポツト歪の双方を改善する。 【構成】本発明は、偏向磁界等のレンズ効果に対して逆
特性のレンズ効果を有する補正磁界を形成し、電磁偏向
して劣化するビームスポツト形状を補うように、該補正
磁界で電子ビームのビームスポツト形状を予め変形させ
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【目次】以下の順序で本発明を説明する。 産業上の利用分野 従来の技術（図６〜図８） 発明が解決しようとする課題（図６〜図１２） 課題を解決するための手段（図１及び図５） 作用（図１及び図５） 実施例 （１）実施例の構成（図１〜図５） （２）実施例の効果 （３）他の実施例 発明の効果

【０００２】

【産業上の利用分野】本発明はプロジエクタ用陰極線管
装置に関し、例えば陰極線管のパネル内面が凸状に形成
されたプロジエクタ用陰極線管装置に適用し得る。

【０００３】

【従来の技術】従来、プロジエクタ用陰極線管装置にお
いては、陰極線管のパネル内面を凸状に形成することに
より、光学系の集光性を向上して表示画面の明るさを向
上し得るようになされたものがある。

【０００４】すなわち図６に示すように、この種のプロ
ジエクタ用陰極線管装置を適用するるプロジエクタ装置
１においては、３つのプロジエクタ用陰極線管装置２
Ｒ、２Ｇ、２Ｂでそれぞれ赤色、緑色、青色のラスタ画
像を形成し、所定距離だけ離間して配置したスクリーン
にこのラスタ画像を拡大投影する。このときプロジエク
タ装置１は、中央のプロジエクタ用陰極線管装置２Ｇに
対して、左右のプロジエクタ用陰極線管装置２Ｒ、２Ｂ
を所定のあおり角度θだけ傾けて配置し、これにより３
つのラスタ画像を重合わせて投影してカラー画像を形成
する。

【０００５】さらにこのように中央のプロジエクタ用陰
極線管装置２Ｇに対して、左右のプロジエクタ用陰極線
管装置２Ｒ、２Ｂを傾けて配置すると、キーストン歪が
発生することにより、図７に示すようにプロジエクタ装
置１は、プロジエクタ用陰極線管装置２Ｒ、２Ｂを傾け
て発生するキーストン歪を補うように、左右のプロジエ
クタ用陰極線管装置２Ｒ、２Ｂのラスタ画像に予めキー
ストン歪を形成する。さらによりプロジエクタ装置１
は、レジストレーシヨンの劣化を有効に回避してカラー
画像を形成し得るようになされている。

【０００６】このプロジエクタ用陰極線管装置２Ｒ、２
Ｇ、２Ｂは、図８に示すように、ラスタ画像を形成する
陰極線管４と、このラスタ画像を拡大投影する光学系５
とで形成される。ここで陰極線管４は、カソード６から
電子ビームを射出し、収束電極７でこの電子ビームを収
束する。このとき陰極線管４は、この陰極線管４のネツ
クに保持されたアライメントマグネツト８で電子ビーム
の射出位置を等化的に補正し得るようになされ、これに
よりラスタ画像の表示位置等を調整し得るようになされ
ている。

【０００７】さらに陰極線管４は、このネツクにサブコ
イル９及び偏向ヨーク１０を装着するようになされ、こ
の偏向ヨーク１０で電子ビームを電磁偏向すると共に、
サブコイル９でラスタ歪を補正し、さらにキーストン歪
を形成する。これにより陰極線管４は、電磁偏向した電
子ビームをフエースガラス１１に向けて射出し、このフ
エースガラス１１の内面に塗布した蛍光体を発光させて
ラスタ画像を形成し得るようになされている。

【０００８】これに対して光学系５は、球面レンズ１
２、１３、１４、非球面レンズ１５、１６を組み合わせ
て形成され、これによりフエースガラス１１の内面に形
成されたラスタ画像を所定のスクリーンに拡大投影す
る。このときプロジエクタ用陰極線管装置２Ｒ、２Ｇ、
２Ｂは、第１のレンズ１２と陰極線管４との間を封止部
材１７で封止して所定の液体１８を充填するようになさ
れ、これにより陰極線管４を冷却し得るようになされて
いる。

【０００９】このようにしてラスタ画像を拡大投影する
プロジエクタ装置１において、プロジエクタ用陰極線管
装置２Ｒ、２Ｇ、２Ｂは、フエースガラス１１の内面を
凸状に形成する（従つてこの場合フエースプレート外面
は凹状になる）。これによりプロジエクタ用陰極線管装
置２Ｒ、２Ｇ、２Ｂは、フエースガラス１１で光学系５
の一部を形成し、蛍光体の光を効率良く続くレンズ１２
に導き得るようになされ、その分拡大投影したカラー画
像の明るさを向上し得るようになされている。

【００１０】

【発明が解決しようとする課題】ところでこの種のプロ
ジエクタ用陰極線管装置２Ｒ、２Ｇ、２Ｂは、ラスタ画
像を拡大投影することにより、スポツト歪を低減するこ
とが望まれる。すなわちプロジエクタ用陰極線管装置２
Ｒ、２Ｇ、２Ｂは、ラスタ画像を拡大投影することによ
り、少しでもスポツト歪が発生すると、その分拡大投影
したラスタ画像の解像度が劣化する。

【００１１】この場合陰極線管においては、斉一磁界で
電磁偏向すれば、スポツト歪を最も小さくすることがで
きる。すなわち図９に示すように、陰極線管の表示画面
中央を原点Ｏとおいてそれぞれ表示画面の水平及び垂直
偏向方向をｘ及びｙ方向で表すと、斉一磁界で電磁偏向
した場合、ｘ及びｙ方向に電磁偏向した際のスポツト歪
を小さく保持することができる。

【００１２】ところがこのように斉一磁界で電磁偏向す
る場合、図１０に示すように、ラスタ歪が発生する欠点
がある。このラスタ歪は、フエースガラス１１の内面を
凸状に形成すると、その分歪量も大きくなる欠点があ
り、斉一磁界に代えて非斉一磁界で電磁偏向することに
より、図１１に示すように改善し得る特徴がある。

【００１３】ところがこのように非斉一磁界で電磁偏向
してラスタ歪を改善すると、図１２に示すように、偏向
磁界のレンズ効果によりラスタ歪とは逆にスポツト歪が
大きくなる問題がある。すなわち偏向磁界に対してラス
タ歪とスポツト歪とは相反して変化する特徴がある。

【００１４】このためフエースガラス１１の内面を凸状
に形成する従来のプロジエクタ用陰極線管装置２Ｒ、２
Ｇ、２Ｂは、ラスタ歪を改善しようとすると、その分ス
ポツト歪が大きく劣化する問題があつた。

【００１５】この問題を解決するための１つの方法とし
て収束電極及び偏向磁界で非点収差を形成する方法もあ
るが、この方法でもスポツト歪を充分に低減し得ない問
題があり、また補正のために消費電力が増大する問題も
ある。

【００１６】本発明は以上の点を考慮してなされたもの
で、ラスタ歪及びスポツト歪の双方を改善することがで
きるプロジエクタ用陰極線管装置を提案しようとするも
のである。

【００１７】

【課題を解決するための手段】かかる課題を解決するた
め本発明においては、電子銃から射出された電子ビーム
を偏向ヨーク２１で電磁偏向してラスタ画像を形成する
プロジエクタ用陰極線管装置２０において、偏向ヨーク
２１の電子銃側に、所定の補正磁界を形成する補正磁界
形成手段２７を有し、補正磁界形成手段２７は、電磁偏
向して劣化するビームスポツト形状を補うように、補正
磁界で電子ビームのビームスポツト形状を予め変形させ
る。

【００１８】さらに第２の発明において、補正磁界形成
手段２７は、４極のマグネツトで形成される。

【００１９】

【作用】補正磁界形成手段２７で、電磁偏向して劣化す
るビームスポツト形状を補うように、該補正磁界で電子
ビームのビームスポツト形状を予め変形させれば、その
分ラスタ歪を補正して劣化するスポツト歪を改善するこ
とができる。

【００２０】

【実施例】以下図面について、本発明の一実施例を詳述
する。

【００２１】（１）実施例の構成 図１において、２０は全体としてプロジエクタ用陰極線
管装置を示し、ラスタ歪及びスポツト歪を改善して所望
のラスタ画像を形成する。すなわち偏向ヨーク２１は、
所定のコイルボビン２２に水平偏向コイル２３及び垂直
偏向コイル２４を保持し、このコイルボビン２２の根元
に装着されたバンドＢで陰極線管４に保持される。

【００２２】さらにこの偏向ヨーク２１は、水平偏向コ
イル２３及び垂直偏向コイル２４で非斉一磁界でなるピ
ン磁界の偏向磁界を形成し、この偏向磁界で電子ビーム
を電磁偏向する。さらに偏向ヨーク２１は、この水平偏
向コイル２３及び垂直偏向コイル２４に隣接して電子銃
側にサブコイル２５を配置し、このサブコイル２５でラ
スタ歪を補正し、さらにラスタ画像に所定のキーストン
歪を形成するようになされている。

【００２３】すなわちこの種のプロジエクタ用陰極線管
装置２０は、上下のラスタ歪については、水平偏向コイ
ル２３が形成する水平偏向磁界をピン磁界に形成してラ
スタ歪を改善し得る。これに対してプロジエクタ用陰極
線管装置２０は、左右のラスタ歪については、垂直偏向
コイル２４が形成する垂直偏向磁界をピン磁界に形成し
てラスタ歪を改善し得る。

【００２４】この補正原理に基づいてプロジエクタ用陰
極線管装置２０は、非斉一磁界でなるピン磁界の偏向磁
界を形成してラスタ歪を改善し、さらにサブコイル２５
を駆動してラスタ歪を充分に補正する。

【００２５】さらにプロジエクタ用陰極線管装置２０
は、このようにしてラスタ歪を改善して劣化するスポツ
ト歪をスポツト歪補正用マグネツト２７で補正する。す
なわち偏向ヨーク２１は、サブコイル２５をコイルボビ
ン２２で保持するようになされ、サブコイル２５の内
側、コイルボビン２２と陰極線管４のネツクとの間に所
定の空隙を形成するようになされている。

【００２６】偏向ヨーク２１は、この空隙にスポツト歪
補正用マグネツト２７を配置し、このスポツト歪補正用
マグネツト２７を用いて、偏向磁界のレンズ効果に対し
て逆特性のレンズ効果を有する補正磁界を形成する。こ
れによりプロジエクタ用陰極線管装置２０は、電磁偏向
して劣化するスポツト歪を補正し得るように、偏向磁界
に入射する電子ビームのスポツト形状を予め変形するよ
うになされている。

【００２７】すなわち図２に示すように、この種の非斉
一磁界で電磁偏向する場合において垂直方向ｙに偏向し
た場合、ビームスポツトは、偏向磁界のレンズ効果によ
り、上下方向に細長く変形する（図２において破線で示
す）。従つてスポツト歪補正用マグネツト２７を用い
て、偏向磁界のレンズ効果を補うように、ビームスポツ
トＳＰをこの変形分だけ予め横長に変形すれば、フエー
スガラス１１の内面におけるスポツト形状の劣化を低減
することができ、その分スポツト歪を改善することがで
きる。

【００２８】これに対して図３に示すように、非斉一磁
界で電磁偏向する場合において水平方向ｘに偏向した場
合、ビームスポツトは、同様に偏向磁界のレンズ効果に
より、破線で示すように左右方向に細長く変形する。従
つてこの場合もスポツト歪補正用マグネツト２７を用い
て、同様に偏向磁界のレンズ効果を補うように、ビーム
スポツトＳＰをこの変形分だけ予め縦長に変形すれば、
フエースガラス１１の内面におけるスポツト形状の劣化
を低減することができ、その分スポツト歪を改善するこ
とができる。

【００２９】このためプロジエクタ用陰極線管装置２０
は、図４に示すように樹脂性の弾性部材で形成されたシ
ート状マグネツトをコイルボビン２２の内側所定位置に
２枚貼る付けるようになされ、これによりコイルボビン
２２と陰極線管４のネツクとの間に形成された空隙を利
用してスポツト歪補正用マグネツト２７を配置する。

【００３０】図５に示すように、このスポツト歪補正用
マグネツト２７は、陰極線管のネツクを挟むように上下
に対向して配置され、これによりプロジエクタ用陰極線
管装置２０は、陰極線管のネツクを取り囲む４極のマグ
ネツトを形成し、図２及び図３について上述した偏向磁
界のレンズ効果を補うように補正用の磁界を形成する。
これによりプロジエクタ用陰極線管装置２０は、スポツ
ト歪補正用マグネツト２７を用いて、偏向磁界のレンズ
効果に対して逆特性のレンズ効果を有する補正磁界を形
成し、これにより電磁偏向して劣化するビームスポツト
形状を補うように電子ビームのビームスポツト形状を予
め変形する。

【００３１】従つてプロジエクタ用陰極線管装置２０に
おいては、偏向磁界をピン磁界に形成してラスタ歪を充
分に改善し得、さらにこの改善に伴うスポツト歪の劣化
を充分に改善することができる。さらにこのときプロジ
エクタ用陰極線管装置２０においては、水平偏向コイル
２３及び垂直偏向コイル２４の電子銃側、水平偏向コイ
ル２３及び垂直偏向コイル２４に隣接したサブコイル２
５の内側にこのスポツト歪補正用マグネツト２７を配置
したことにより、偏向ヨーク２１の像倍率を有効に利用
して効率良くスポツト歪を低減することができる。

【００３２】（２）実施例の効果 以上の構成によれば、偏向コイルに近接して偏向コイル
の電子銃側にスポツト歪補正用マグネツト２７を配置
し、偏向磁界のレンズ効果を補うように、予め電子ビー
ムの形状を変形させることにより、偏向磁界をピン磁界
に形成してラスタ歪を充分に改善し得、さらにこの改善
に伴うスポツト歪の劣化を充分に改善することができ、
これによりラスタ歪及びスポツト歪の双方を改善するこ
とができる。

【００３３】（３）他の実施例 なお上述の実施例においては、シート状マグネツトを２
枚用いて補正用磁界を形成する場合について述べたが、
本発明はこれに限らず、要は陰極線管のネツクを取り囲
むように４極の補正用磁界を形成すれば良く、例えばリ
ング状の磁石を用いて補正磁界を形成してもよい。さら
に磁石に代えて電磁石を用いて補正用磁界を形成しても
よく、この場合この電磁石の電流を偏向電流に追従する
ように可変して、補正量を可変するようにしてもよい。

【００３４】さらに上述の実施例においては、シート状
マグネツトをサブコイルの内側に配置することにより、
補正磁界形成手段をサブコイルの位置に形成した場合に
ついて述べたが、本発明はこれに限らず、補正磁界形成
手段を偏向コイルの電子銃側の種々の位置に配置するこ
とができる。

【００３５】さらに上述の実施例においては、偏向磁界
をピン磁界に選定してラスタ歪を改善する場合について
述べたが、本発明はこれに限らず、マグネツト等を用い
てラスタ歪を改善する場合等に広く適用することができ
る。この場合補正磁界形成手段においては、偏向磁界の
レンズ効果とラスタ歪補正手段のレンズ効果に対して、
逆特性のレンズ効果を発生するように、磁界強度等を選
定する必要がある。

【００３６】さらに上述の実施例においては、フエース
ガラス内面を凸状に形成した陰極線管を駆動する場合に
ついて述べたが、本発明はこれに限らず、フエースガラ
ス内面を平坦に形成した陰極線管を駆動する場合等に広
く適用することができる。

【００３７】

【発明の効果】上述のように本発明によれば、電磁偏向
して劣化するビームスポツト形状を補うように、補正磁
界で電子ビームのビームスポツト形状を予め変形するこ
とにより、ラスタ歪及びスポツト歪の双方を改善するこ
とができるプロジエクタ用陰極線管装置を得ることがで
きる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例によるプロジエクタ用陰極線
管装置を示す断面図である。

【図２】その垂直方向のスポツト歪の補正原理の説明に
供する略線図である。

【図３】その水平方向のスポツト歪の補正原理の説明に
供する略線図である。

【図４】スポツト歪を補正する補正用マグネツトを示す
斜視図である。

【図５】その配置を示す略線図である。

【図６】プロジエクタ装置の概略構成を示す略線図であ
る。

【図７】そのキーストン歪の説明に供する略線図であ
る。

【図８】従来のプロジエクタ用陰極線管装置を示す断面
図である。

【図９】斉一磁界によるスポツト歪を示す略線図であ
る。

【図１０】斉一磁界によりラスタ歪を示す略線図であ
る。

【図１１】非斉一磁界によるラスタ歪を示す略線図であ
る。

【図１２】斉一磁界によりスポツト歪を示す略線図であ
る。

【符号の説明】

１……プロジエクタ装置、２Ｒ、２Ｇ、２Ｂ、２０……
プロジエクタ用陰極線管装置、４……陰極線管、１０、
２１……偏向ヨーク、９、２５……サブコイル、２３…
…水平偏向コイル、２４……垂直偏向コイル、２７……
スポツト歪補正用マグネツト。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】電子銃から射出された電子ビームを偏向ヨ
   ークで電磁偏向してラスタ画像を形成するプロジエクタ
   用陰極線管装置において、 上記偏向ヨークの上記電子銃側に、所定の補正磁界を形
   成する補正磁界形成手段を有し、 上記補正磁界形成手段は、上記電磁偏向して劣化するビ
   ームスポツト形状を補うように、上記補正磁界で上記電
   子ビームのビームスポツト形状を予め変形させることを
   特徴とするプロジエクタ用陰極線管装置。
2. 【請求項２】上記補正磁界形成手段は、４極のマグネツ
   トで形成されたことを特徴とする請求項１に記載のプロ
   ジエクタ用陰極線管装置。