JPH0737098Y2 - 温水循環式浴槽装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【産業上の利用分野】 この考案は、温水をフィルターで濾過して清澄に保ち、
温水温度を加熱手段で一定値に保持する温水循環式浴槽
装置に関し、特に、循環ポンプに簡単に給水して運転で
きる温水循環式浴槽装置に関する。

【従来の技術並びにその課題】

浴槽の温水を一定の温度に保持すると共に、温水を清澄
に保持する温水循環式浴槽装置は開発されている。この
温水循環式浴槽装置は、温水の温度を一定に保持する加
熱手段と、温水を濾過するフィルターとを備えている。 加熱手段は、温水温度を一定の温度に保持し、フィルタ
ーは、温水を連続的に濾過して、垢等の異物を除去して
清澄に保持する。 従って、この構造の温水循環式浴槽装置は、浴槽内の温
水を毎日交換することなく、24時間いつでも入浴でき、
極めて便利で、しかも節水効果が高い特長がある。 温水濾過用のフィルターとして、一般的に、天然石が使
用されている。天然石は、微細な異物を除去すると共
に、温水中に含まれる細菌を殺菌する作用がある。天然
石のフィルターは、多孔質の石、例えば、「麦飯石」
や、あるいは、石を粉砕して多孔質の状態に焼結した石
が使用されている。 天然石のフィルターは、人体から出るアンモニア（汗）
や、タンパク質（垢）等を吸着する。天然石フィルター
が、温水に含まれるアンモニアやタンパク質を吸着する
のは、次の状態によることが解明されている。 即ち、温水が循環する天然石のフィルターは、微生物の
繁殖に快適な環境となり、ここに微生物が寄生する。微
生物は、温水に含まれるアンモニアやタンパク質を餌と
して食べて分解する。従って、温水中の汗や垢が、微生
物で効果的に天然石フィルターに吸着される。 本発明者は、最初、屋外設置用の温水循環式浴槽装置を
開発して商品化した。この装置は、浴槽の壁を貫通する
２本のホースで浴槽に連結した。この温水循環式浴槽装
置は、取付工事に手間がかかる欠点があった。浴槽の壁
に貫通孔をあけて設置することが理由である。また、浴
槽に接近して建物外にスペースがないと設置できない欠
点もあった。 この欠点を解消する温水循環式浴槽装置として、浴室内
設置用の装置を開発した。この装置は、浴室の壁に孔を
あけることなく設置できるので、簡単に取り付けでき
る。 ところが、この構造の温水循環式浴槽装置は、最初に運
転する時、あるいは、温水循環式浴槽装置のフィルター
を洗浄して循環ポンプから排水した時には、循環ポンプ
に迎え水を補給する必要があった。それは、循環ポンプ
が温水面よりも高い位置に配設され、あるいは、サイホ
ン状の循環管７を介して浴槽に連結されるからである。
通常の水ポンプは、インペラが内蔵されたケーシングに
迎え水を補給している。 しかしながら、温水循環式浴槽装置に使用される循環ポ
ンプは、簡単には開くことが出来ないケーシングに内蔵
されている。従って、インペラのケーシングに給水でき
ない。特に、漏電による感電事故を防止するために、循
環ポンプは、完全に密閉されたケーシングに内蔵されて
いる。 この構造の循環ポンプは、循環管７から給水する必要が
ある。すなわち、循環管７の浴槽内開口端に、水道ホー
スを連結し、ここから水道水を給水して循環ポンプに補
給している。ところで、水道ホースは、両端を水密状態
に連結しない限り、途中で水漏れして循環ポンプに給水
できない。水道ホースは、一端を浴槽内の蛇口に、他端
を循環管７の開口端に水密に連結する。ところが、この
作業には著しく手間がかかる欠点がある。とくに、蛇口
の形状がまちまちで、簡単に水道ホースを水密に連結で
きない。

【この考案の目的】

この考案は、さらにこの欠点を解決することを目的に開
発されたもので、この考案の重要な目的は、循環ポンプ
２に簡単に給水できる温水循環式浴槽装置を提供するに
ある。

【従来の課題を解決する為の手段】

この考案の温水循環式浴槽装置は、下記の構成を備えて
いる。 （ａ）温水循環式浴槽装置は、循環ポンプ２と、フィル
ター３と、加熱手段４と、温度センサー５と、循環管７
と、補給水部材１とを備える。 （ｂ）循環ポンプ２と、フィルター３と、循環管７とは
直列に連結されており、循環ポンプ２が浴槽６から吸入
した温水をフィルター３に循環させる。 （ｃ）加熱手段４は、循環ポンプ２で循環される温水の
通路に配設されて温水を一定の温度に加熱して、温水を
一定温度に保持する。 （ｄ）温度センサー５は、温水温度を検出して加熱手段
４を制御する。 （ｅ）補給水部材１は、循環ポンプ２に給水するもの
で、可撓性のシート材で筒状に作られている。 （ｆ）補給水部材１の筒状部分は、蛇腹状に作られてい
る。 （ｇ）蛇腹の先端には、循環管７の浴槽６内開口部に、
脱着自在に、しかも水密に連結される連結部材９を備え
ている。 （ｈ）補給水部材１の一部には、温水の吸入口10が開口
されている。 （ｉ）循環ポンプ２の吸入側、あるいは、循環ポンプ２
の吸入側に連結された循環管７には、吸入側逆止弁11が
連結されている。 （ｊ）吸入側逆止弁11は、循環ポンプ２に向かってのみ
水が移動できる方向性を有する。

【作用効果】

この考案の温水循環式浴槽装置は、下記の状態で使用す
る。 浴槽６に一定量の水を給水する。この状態では、循環
ポンプ２の吸入側には水がなく、循環ポンプ２を運転す
ると空転して、水を移送できない。 補給水部材１の先端の連結部材９を、吸入側の循環管
７の先端、すなわち、浴槽内の開口端に挿入する。 蛇腹状の補給水部材１を押して圧縮すると、内部に蓄
えられた水を循環管７から循環ポンプ２に供給する。蛇
腹状の補給水部材１を膨張させて、内部に浴槽６内の水
を吸入させる。この時、環境管７内の水の逆流は、循環
ポンプ２の吸入側に連結された吸入側逆止弁11で阻止さ
れる。 補給水部材１の蛇腹を圧縮、膨張させて、所定量の水
を循環ポンプ２に供給する。 循環ポンプ２に一定量の水が供給された後、補給水部
材１の連結部材９を循環管７の吸入端から外す。 その後、循環ポンプ２を運転して、浴槽６内の水を循
環ポンプ２に吸入させる。 この考案の温水循環式浴槽装置は、このように、補給水
部材１を循環管７の吸入端に挿入し、これを何回か圧
縮、膨張させて循環ポンプ２に給水できるので、極めて
簡単かつ容易に、しかも迅速に循環ポンプ２を運転でき
る特長がある。 また、補給水部材１全体を水中で圧縮して、循環ポンプ
２に補給するので、多少水漏れしても確実に給水でき
る。このため、専門の技術者でなくとも、間違いなく循
環ポンプ２に給水して、循環ポンプ２の空転を極減でき
る特長がある。 従って、温水循環式浴槽装置を最初に設置した場合、あ
るいは、フィルター３を洗浄して、循環ポンプ２から排
水した場合、安心して循環ポンプ２を運転できる。

【好ましい実施例】

以下、この考案の一実施例を図面に基づいて説明する。 但し、以下に示す実施例は、この発明の技術思想を具体
化する為の温水循環式浴槽装置を例示するものであっ
て、この発明の温水循環式浴槽装置は、構成部品の材
質、形状、構造、配置を下記の構造に特定するものでな
い。この発明の温水循環式浴槽装置は、特許請求の範囲
に記載の範囲に於て、種々の変更が加えられる。 更に、この明細書は、特許請求の範囲が理解し易いよう
に、実施例に示される部材に対応する番号を、「特許請
求の範囲の欄」、「従来の問題点を解決する為の手段の
欄」および「作用効果の欄」に示される部材に付記して
いる。ただ、特許請求の範囲に記述される部材を、実施
例に示す部材に特定するものでは決してない。 第１図に示す洗浄手段を備えた温水循環式浴槽装置は、
循環ポンプ２と、フィルター３と、加熱手段４と、温度
センサー５と、循環管７と、補給水部材１とを備えてい
る。 循環ポンプ２は、浴槽６から温水を吸入してフィルター
３に供給する。従って、循環ポンプ２の吸入側は、循環
管７と１次フィルター８を介して浴槽６の底部に連結さ
れており、循環ポンプ２の吐出側はフィルター３に連結
されている。 循環ポンプ２は、本体ケース12に収納されている。本体
ケース12の前面には、操作パネル（図示せず）が設けら
れている。操作パネルには、温水の設定温度を調整する
ダイアルが設けられている。 １次フィルター８は、温水に含まれる毛髪等の異物を除
去する。これは、吸入側の循環管７の浴槽内開口端に、
脱着自在に取り付けられている。１次フィルター８のフ
ィルター素材には、例えば、連続気泡を有する合成樹脂
発泡体、耐水性の濾紙、不織布、網材等が使用でき、例
えば、網目が0.3〜5mm程度のものが使用できる。 フィルター３は、ケーシング3A内に、濾材である天然石
3Bが充填されている。濾材には、天然石に代わって温水
を濾過できる全てのものが使用できる。 フィルター３は、ヒータが内蔵される以外、内部構造が
同一であるものを直列に連結して濾過能力を向上させて
いる。 フィルター３の断面形状を第２図に示す。このフィルタ
ー３は、細高い筒状のケーシング3Aと、ケーシング3A内
に取り出し自在に収納されている内側ケース3Cと、この
内側ケース3Cに充填されている天然石3Bとを備えてい
る。 ケーシング3Aは、図示しないが、外表面が断熱材で断熱
処理される。内側ケース3Cは、ケーシング3Aに収納され
た天然石3Bを簡単に取り出すものである。ケーシング3A
は、内側ケース3Cを簡単に取り出しできるように、上端
が開閉自在な蓋13で閉塞されている。蓋13は、これを固
定した状態で、内筒の上端を水密に密閉する。 蓋13には空気抜弁14が連結され、空気抜弁14でもつて、
内筒の上部に溜る空気を外部に排出する。 ケーシング3Aは、上部と下部とに温水の流入口と流出口
が開口されている。温水は、ケーシング3A内を、上から
下に、あるいは、下から上に向かって移動する。温水が
下から上に移動する場合、下側が流入口に、上側が流出
口になる。 内側ケース3Cは、ケーシング3Aに引き出し自在に装着さ
れている。上方から流入した温水は、流下することによ
って、温水が粒状の天然石3Bで濾過される。反対に、ケ
ーシング3Aの下側に流入する温水は、天然石3Bを下から
上に通過して濾過される。 天然石3Bは、温水を透過させることによって、ここに微
生物が生息できるように、多孔質である天然石、例え
ば、「麦飯石」等が使用できる。また、この天然石に
は、天然石をそのままの状態で使用せず、これを粉砕し
て所定の外形に焼結した多孔質のものも使用できる。 第１図に示される２段連結フィルター３は、加熱手段４
であるヒータと、温度センサー５とが配設されている。
温度センサー５は、ヒータ通過前の温水温度が測定でき
るように、ヒータよりも浴槽６側に配設されている。ヒ
ータが温度センサー５に制御されて循環される温水を一
定の温度に加温する。 この考案は、加熱手段４を設ける位置と形状とを特定し
ない。加熱手段４、温水循環路の何処に連結することも
可能である。 フィルター３の排出側と、循環管７の吸入側とは、循環
管７を介して浴槽６に連結されている。すなわち、浴槽
内の温水、吸入側の循環管７、循環ポンプ２、フィルタ
ー３、排出側の循環管７を通過して、浴槽６に還流され
る。 補給水部材１は、循環ポンプ２の運転を開始する前に、
循環ポンプ２に給水する。第３図に示す補給水部材１
は、可撓性で透明の合成樹脂シートで筒状に成形されて
いる。筒状部分は、簡単に、圧縮、膨張できるように、
蛇腹状に成形されている。 補給水部材１の内容積は、１回の給水量を考慮して、膨
張状態で、50〜500cc程度に決定される。 蛇腹の先端には、連結部材９が固定されている。連結部
材９は、循環管７の浴槽内開口部に、脱着自在に、しか
も水密に連結される。従って、連結部材９は、ゴム状弾
性体でもって、外周が先細りテーパー状の筒状に成形さ
れている。連結部材９は中心を貫通して孔が設けられて
いる。一方、蛇腹の先端には、連結部材９の環状溝に挿
入できるパイプ部15が設けられている。パイプ部15を溝
に嵌入して、蛇腹部を連結部材９に連結している。 蛇腹の後端には、温水の吸入孔10が開口されている。こ
のように、後端に吸入孔10が開口された補給水部材１
は、第３図に示すように、後端に手の平を当ててこれを
圧縮すると、吸入孔10を塞いで蛇腹部を圧縮できるの
で、簡単に使用できる特長がある。 ただ、この吸入孔10には、図示しないが逆止弁を設ける
と、さらに、便利に使用できる。逆止弁は、蛇腹内に向
かってのみ水が通過する状態で吸入孔に設けられる。 吸入孔10に逆止弁が設けられた補給水部材１は、蛇腹部
の側面に吸入孔を設けることもできる。蛇腹部を圧縮す
るときに、吸入孔を手で閉塞する必要がないからであ
る。ただ、逆止弁のない吸入孔を蛇腹部に設けることも
可能である。この場合、吸入孔を閉塞して、蛇腹を圧縮
できるように、例えば第３図の鎖線で示すように、吸入
孔10を蛇腹から突出して設ける必要がある。 吸入側逆止弁11は、循環ポンプ２の吸入側、あるいは、
循環ポンプ２の吸入側に連結された循環管７に連結され
る。吸入側逆止弁11は、補給水部材１から循環管７と循
環ポンプ２とに供給された水の逆流を阻止して、流出さ
せいなものである。 第１図の温水循環式浴槽装置は、循環管７の吸入端に吸
入側逆止弁11が連結されている。ここに吸入側逆止弁11
を連結したものは、最も効率よく、補給水部材１から供
給された水の逆流が防止できる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の一実施例を示す温水循環式浴槽装置
の概略断面図、第２図はフィルターの断面図、第３図は
補給水部材の断面図である。 １……補給水部材、２……循環ポンプ、３……フィルタ
ー、3A……ケーシング、3B……天然石、3C……内側ケー
ス、４……加熱手段、５……温度センサー、６……浴
槽、７……循環管、８……１次フィルター、９……連結
部材、10……吸入孔、11……吸入側逆止弁、12……本体
ケース、13……蓋、14……空気抜弁、15……パイプ部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】下記の（ａ）〜（ｄ）の構成を有する装置
   において、下記の（ｅ）〜（ｊ）の構成を有することを
   特長とするフィルターを備える温水循環式浴槽装置。 （ａ）温水循環式浴槽装置は、循環ポンプ２と、フィル
   ター３と、加熱手段４と、温度センサー５と、循環管７
   と、補給水部材１とを備える。 （ｂ）循環ポンプ２と、フィルター３と、循環管７とは
   直列に連結されており、循環ポンプ２が浴槽６から吸入
   した温水をフィルター３に循環させる。 （ｃ）加熱手段４は、循環ポンプ２で循環される温水の
   通路に配設されて温水を一定の温度に加熱する。 （ｄ）温度センサー５は、温水温度を検出して加熱手段
   ４を制御する。 （ｅ）補給水部材１は、可撓性のシート材で筒状に作ら
   れている。 （ｆ）補給水部材１の筒状部分は、蛇腹状に作られてい
   る。 （ｇ）蛇腹の先端には、循環管７の浴槽内開口部に、脱
   着自在に、しかも水密に連結される連結部材９を備えて
   いる。 （ｈ）補給水部材１の一部には、温水の吸入口10が開口
   されている。 （ｉ）循環ポンプ２の吸入側、あるいは、循環ポンプ２
   の吸入側に連結された循環管７には、吸入側逆止弁11が
   連結されている。 （ｊ）吸入側逆止弁11は、循環ポンプ２に向かってのみ
   水が移動できる方向性を有する。