JPH0735694Y2 - 工作機械の刃物軸装着確認装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【産業上の利用分野】 この考案はモータの回転軸に直接刃物軸を装着するよう
に構成した工作機械の刃物軸装着確認装置に関するもの
である。

【従来の技術】

第３図は従来の刃物軸装着確認装置を設けた工作機械の
回動軸に直接刃物軸を装着する工作機械を示す断面図で
あり、図において、１はモータで、そのケーシング1a内
に、ステータ1bと、ベアリング2a,2bで軸支された回転
軸３と一体のロータ1cとからなっている。 回転軸３は中空軸で、その中には同芯的にテンションロ
ッド４が軸方向摺動自在に挿入されている。この回転軸
３の一方の端部（図中で右方）には刃物軸５を装着する
ためのテーパ部3aを設け、テンションロッド４と一体の
刃物脱着部4aの円筒孔4b内に、刃物軸５に小径部5aを介
して一体に設けたプルスタッド5bを挿入して、この刃物
脱着部4aとプルスタッド5bとをボール６を介して係脱が
なされるようになっている。即ち、テンションロッド４
を図中で左方に引くときは、ボール６が大径部3bから小
径の摺動孔3dに移動して内方によせられて刃物脱着部4a
とプルスタッド5bを係合するから刃物軸５をテーパ部3a
に装着し、このような状態のもとで逆にテンションロッ
ド４を右方に押圧するときは、ボール６が大径部3bに移
動して外方によせられて離脱するから装置が解放され
て、刃物軸５を回転軸３から取り外すことができる。 テンションロッド４の他方の端部（図中左方）には、ボ
ルト７で係止されたシール円筒８と、回転軸３の中間の
段部3cとに弾着させて皿ばね９を設け、この皿ばね９に
より、回転軸３に対して図中で左方への押圧力がテンシ
ョンロッド４に与えられる。この左方への押圧力がテン
ションロッド４を介して刃物軸５を引いて回転軸３のテ
ーパ部3aに刃物軸５を装着する。 又、回転軸３の他方の端部にはシリンダ10が支持円筒11
を介してケーシング1aに支持されている。 このシリンダ10はピストン12で２つのピストン室13a,13
bに分割され、ピストン室13a又は13bに作動流体を切換
えて供給することによってピストン12と一体に軸方向に
摺動するピストンロッド12aを、シリンダ10から両端を
突出させて支持し、このピストンロッド12aに同芯的に
貫通させて調整ねじ14を螺合し、この調整ねじ14の一方
の突出端部14aが、これと同軸のテンションロッド４の
突出端部4cに当接するようになっている。 そして、刃物軸５を取り付けた状態にしてシリンダ室13
bに作動流体を供給すると、ピストン12は図中で左方に
摺動されるので、これと一体の調整ねじ14も左方に移動
され、一方の突出端14aとテンションロッド４の突出端4
cとの当接が開放される。 従って、テンションロッド４は皿ばね９の押圧力を受け
て回転軸３に対して左方に摺動して、刃物軸５をテーパ
部3aに装着する。又、ピストン室13aに作動流体を供給
してピストン12を右方に移動して調整ねじ14の一方の突
端部14aがテンションロッド４の突端部4cに当接して、
皿ばね９の押圧力に抗してテンションロッド４を右方に
摺動して、刃物軸５の装着を解放して取り外しを可能に
する。 ピストンロッド12aと一体の調整ねじ14の他方の突出端
部14bには刃物軸装着確認装置として、シリンダ10に固
着したブラケット24に２個のリミットスイッチ25,26を
軸方向に並列させて取り付け、調整ねじ14の他方の突端
部14bにリミットスイッチ25,26のそれぞれの検出端25a,
26aに摺動して接触するナット27,28が並列して螺合され
て設けられている。 このように構成されている従来の刃物軸装着確認装置の
作動について説明する。 まず、この上記したように、ピストン室13bに作動流体
が供給されると、上記したように作動して回転軸３に刃
物軸５を装着するように、ピストンロッド12aを左方に
摺動して、調整ねじ14の一方の突端部14aとテンション
ロッド４の突端部4cとの当接を開放状態にすると同時
に、調整ねじ14の他方の突端部14bに螺合した一方のナ
ット27が一方のリミットスイッチ25の検知端25aと接触
するように位置する。このようにしてリミットスイッチ
25がONすると、刃物軸５の装着が確認されたことにな
る。次に、ピストン室13aに作動流体が供給されると、
刃物軸５の装着を解放するように、ピストンロッド12a
を右方に摺動して、調整ねじ14の一方の突端部14aとテ
ンションロッド４の突端部4cとを当接すると同時に、調
整ねじ14の他方の突端部14bに螺合した他方のナット28
が他方のリミットスイッチ26の検知端26aと接触するよ
うに位置する。 このようにして、リミットスイッチ26がONすると、刃物
軸５の装着を解放したことが確認されたことになる。

【考案が解決しようとする課題】

従来の刃物軸装着確認装置は上記したようにシリンダ10
のピストンロッド12aの摺動位置を検出することによっ
て刃物軸５の装着を確認していた。ところが、ピストン
ロッド12aと、刃物軸５を回転軸３に装着するテンショ
ンロッド４とは一体に構成されていないので、回転軸３
に刃物の装着が完全になされたかどうか確認できなかっ
た。そのために装着が不完全のままで回転軸が回転する
と、刃物軸が抜けて刃物が接線方向に飛び出したり、回
転軸を破損したり、又、加工材料をだめにしてしまうこ
とがあって大変危険であるなどの課題があった。 この考案は上記のような課題を解消するためになされた
もので、刃物軸５の回転軸３への完全な装着を確認でき
る装置を得ることを目的とする。

【課題を解決するための手段】

この考案に係る工作機械の刃物軸装着確認装置は、テン
ションロッドの突出した端部に設けられた鍔部と、この
鍔部のテーパ部側の側面に一方の端部が当接し、中央部
で回動自在に軸支されたレバーと、このレバーの他方の
端部にピンを介して一方の端部が連結されて軸方向摺動
自在に支持されたロッドと、このロッドに上記レバーが
上記鍔部の側面を押圧する方向に回動されるように取り
付けられた弾性体と、上記テンションロッドの押引きに
応じた上記ロッドの軸方向の摺動に応じて、そのロッド
の他方の端部が当接され上記刃物軸の装着及び装置解除
を検出するリミットスイッチと、上記ばねによって上記
テンションロッドが引かれる際に、上記鍔部と上記レバ
ーの一方の端部とに上記リミットスイッチによる上記刃
物軸の装着が検出可能な程度の僅かな隙間を保持する隙
間保持機構とを設けたものである。

【作用】

この考案における工作機械の刃物軸装着確認装置は、刃
物軸を回転軸に装着するテンションロッドの移動を、こ
のテンションロッドの突出端部に連動させて設けたレバ
ー、及びロッドを介して、直接、リミットスイッチで検
知するので、刃物軸の装着が確実になされたかどうかが
容易にわかる。

【実施例】

以下この考案の実施例を、従来例と重複する部分を省略
して、図について説明する。 第１図において、15は回転軸３に同芯に軸方向摺動自在
に挿入され、刃物軸５を装着するテンションロッド４の
突端部4cにボルト７で固定された鍔部で、17はこの鍔部
15の側面15aに一方の端部17aが当接し、支持円筒11に設
けた球面軸受16でその中央部が回動自在に軸支されたレ
バーで、20はこのレバー17の他方の端部17bにピン18を
介して回動自在に一方の端部に連結し、シリンダ10に固
定された支持部19の摺動孔19aに軸方向摺動自在に挿入
されたロッドで、レバー17の端部17aが鍔部15の側面15a
を押圧する方向にロッド20にスナップリング21aで固定
したばね受21bと支持部19とに弾着させて外挿した弾性
体としてのコイルばね21によって回動され、シリンダ10
に固着したブラケット22にロッド20の他方の端部である
頭部20aに当接する検知部23aを有するリミットスイッチ
23が固定されている。 このように構成されているこの考案の刃物軸装着確認装
置の作動について説明する。 まず、シリンダ10のピストン室13bに作動流体を供給す
ると、ピストン12が左端まで移動してピストンロッド12
aを図中で左方に摺動するから調整ねじ14の突端部14aと
テンションロッド４の突端部4cとの当接を開放する。そ
の結果、テンションロッド４が皿ばね９の押圧力を受け
て左方に移動してボール６を介して刃物脱着部4aとプル
スタッド5bとが係合し、刃物軸５を回転軸３に装着する
とともに、鍔部15も左方に移動されることから、この鍔
部15に端部17aがコイルばね21の押圧力をロッド20から
ピン18を介して受けて、常に当接されるように押圧され
ているレバー17が球面軸受16を中心にして反時計方向に
回転すると共に、ロッド20も右方に摺動する。このよう
にしてロッド20が右方に摺動されると、これまで接触状
態にあったロッド20の頭部20aとリミットスイッチ23の
検知端23aとの接触が開放されてリミットスイッチ23がO
FFの信号を出力して刃物軸５が回転軸３に装着されたこ
とを知らせる。この際、レバー17の端部17aと鍔部15の
内側15aとの間には回転時の摩擦をさけるため、接触を
断つように僅かな隙間を保持する機構が備えられてい
る。第２図は、この機構の一例を示すもので、一端をブ
ラケット22のねじ20cに螺合し、他端を頭部20aの孔20b
を貫通し、かつ、頭部20aに当接するフランジ（隙間保
持機構）20dを有するボルト20eが挿入されている。 このような構成のもとで、刃物軸５が装着されてロッド
20が図中で右方に摺動すると、これと一体の頭部20aが
ボルト20e上を右方に摺動し、フランジ20dに当接して停
止する。その結果、レバー17の回動も停止され、その後
もテンションロッド４の移動が続くと、これと一体の鍔
部15とレバー17の突端部17aとの接触が断たれることに
なる。刃物の装着を確実に検出するためには、このとき
の鍔部15と突端部17aの間隔ができるだけ小さくするこ
とが望ましい。この間隔は、ブラケット22に対してボル
ト20eを回動してフランジ20dの位置を調整することによ
ってなされる。又、ナット20fがボルト20eのブラケット
22への固定を確実にするため取り付けられている。 次に、ピストン室13aに作動流体を供給すると、ピスト
ン12を右端まで移動してピストンロッド12aを右方に摺
動するから調整ねじ14の突端部14aとテンションロッド
４の突端部4cとが当接し、皿ばね９の押圧力に抗してテ
ンションロッド４を右方に移動する。その結果、テンシ
ョンロッド４と一体の刃物脱着部4aが右方に移動して刃
物軸５と一体のプルスタッド5bと刃物脱着部4aとを係合
していたボール６が大径部3b内に落ち込み、プルスタッ
ド5bが刃物脱着部4aから抜け出し、刃物軸５の装着が解
放されるとともに鍔部15も右方に移動されることから、
レバー17が球面軸受16を中心に時計方向に回転して、ロ
ッド20をコイルばね21の押圧力に抗して左方に摺動す
る。このようにしてロッド20が左方に摺動されると、こ
れまで開放状態にあったロッド20の頭部20aとリミット
スイッチ23の検知端23aとが接触して、リミットスイッ
チ23がONの信号を出力して刃物軸５と回転軸３との装着
が解放されたことを知らせる。 工作機械のモータの起動スイッチに、上記のリミットス
イッチのOFFのときに閉じる作動をするスイッチを直列
に設けるならば、刃物軸５が回転軸３のテーパ部3aに完
全に装着されてロッド20が所定の位置まで移動して、リ
ミットスイッチ23の検出端23aと、ロッド20の頭部20aと
の接触が断たれないかぎり、リミットスイッチ23がOFF
されないので、起動スイッチを投入してもモータを駆動
しないから誤作動が防止される。 尚、この実施例では、リミットスイッチ23のOFF,リミッ
トスイッチ25のONで刃物軸５の装着確認をしているが、
各リミットスイッチ23,25を逆のON,OFF信号で装着確認
をしてもよい。

【考案の効果】

以上のように、この考案によれば、テンションロッドの
押引きに応じたロッドの軸方向の摺動に応じて、刃物軸
の装着及び装着解除を検出するリミットスイッチと、ば
ねによって上記テンションロッドが引かれる際に、鍔部
とレバーの一方の端部とに上記リミットスイッチによる
上記刃物軸の装着が検出可能な程度の僅かな隙間を保持
する隙間保持機構とを備えるように構成したので、テン
ションロッドが実際に押引きの動作を行わない限り、そ
のテンションロッドに連動されたリミットスイッチは動
作せず、よって、リミットスイッチによる刃物軸の装着
及び装着解除の検出が確実に行われ、装着ミスによる破
損及び事故を防止できる。また、ばねによってテンショ
ンロッドが引かれる際に、即ち、刃物軸の装着の際に、
鍔部とレバーの一方の端部と僅かな隙間を保持するよう
にしたので、刃物軸の装着後にテンションロッド及び鍔
部が回転しても、回転しないレバーの一方の端部との間
に摩擦が生じることなく、部材の破損及び回転エネルギ
ーの損失を防ぐことができる効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の一実施例による刃物軸装着確認装置
を設けた工作機械の断面図、第２図はこの刃物軸装着確
認装置の調整機構を示す図であり、第１図の矢視図、第
３図は従来の刃物軸装着確認装置を設けた工作機械の断
面図である。 15は鍔部、17はレバー、20はロッド、21はコイルばね、
23はリミットスイッチ。 なお、図中、同一符号は同一、または相当部分を示す。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】回転軸（３）の一方の端部に設けられたテ
   ーパ部（3a）と、上記回転軸（３）に同芯で軸方向摺動
   自在に挿入されたテンションロッド（４）と、このテン
   ションロッド（４）と上記回転軸（３）との間に弾着さ
   れて設けられたばね（９）によってそのテンションロッ
   ド（４）を引くときは上記テーパ部（3a）に刃物軸
   （５）を装着し、上記回転軸（３）の他方の端部に突出
   されたそのテンションロッド（４）をピストン（12）で
   押圧するときはその刃物軸（５）の装着を解除する工作
   機械の刃物軸装着確認装置において、上記テンションロ
   ッド（４）の突出した端部に設けられた鍔部（15）と、
   この鍔部（15）の上記テーパ部（3a）側の側面に一方の
   端部が当接し、中央部で回動自在に軸支されたレバー
   （17）と、このレバー（17）の他方の端部にピンを介し
   て一方の端部が連結されて軸方向摺動自在に支持された
   ロッド（20）と、このロッド（20）に上記レバー（17）
   が上記鍔部（15）の側面を押圧する方向に回動されるよ
   うに取り付けられた弾性体（21）と、上記テンションロ
   ッド（４）の押引きに応じた上記ロッド（20）の軸方向
   の摺動に応じて、そのロッド（20）の他方の端部が当接
   され上記刃物軸（５）の装着及び装置解除を検出するリ
   ミットスイッチ（23）と、上記ばね（９）によって上記
   テンションロッド（４）が引かれる際に、上記鍔部（1
   5）と上記レバー（17）の一方の端部とに上記リミット
   スイッチ（23）による上記刃物軸（５）の装着が検出可
   能な程度の僅かな隙間を保持する隙間保持機構とを備え
   たことを特徴とする工作機械の刃物軸装着確認装置。