JPH0735496B2 - 合成漆塗料 - Google Patents

合成漆塗料

Info

Publication number
JPH0735496B2
JPH0735496B2 JP12470688A JP12470688A JPH0735496B2 JP H0735496 B2 JPH0735496 B2 JP H0735496B2 JP 12470688 A JP12470688 A JP 12470688A JP 12470688 A JP12470688 A JP 12470688A JP H0735496 B2 JPH0735496 B2 JP H0735496B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
lacquer
catechol
tung oil
reaction product
addition reaction
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP12470688A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH01294777A (ja
Inventor
雅弘 野本
幸雄 吉村
恭三 中村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Showa Denko Materials Co Ltd
Original Assignee
Hitachi Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Chemical Co Ltd filed Critical Hitachi Chemical Co Ltd
Priority to JP12470688A priority Critical patent/JPH0735496B2/ja
Publication of JPH01294777A publication Critical patent/JPH01294777A/ja
Publication of JPH0735496B2 publication Critical patent/JPH0735496B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は常温で乾燥、硬化して天然産漆の塗膜に匹敵す
る光沢や耐久性を示す合成漆塗料に関する。
〔従来の技術〕
精製漆は漆科植物の樹幹から採取した原料漆液を、濾
過、なやしあるいはくろめ等の処理加工したもの、場合
によってはこれに色材を添加したものを言い、生漆、な
しじ漆、透ろいろ漆、透つや漆、透つや消漆、黒つや
漆、黒ろいろ漆、黒つや消漆等の種類が有る。
この天然産の精製漆は常温乾燥性を有し、その塗膜は靱
性に富む優雅な光沢を持ち、耐薬品性で付着性・耐久性
が良いため、工芸品、屋内装飾塗装に広く用いられてい
る。
天然産の原料漆液の組成は、日本産漆を例にとると、次
に示す通りである。
ウルシオール 60〜65重量% ゴム質 5重量% 含窒素物 2重量% ラッカーゼ 0.2重量% 水 20〜30重量% 天然産漆の主成分はウルシオールであり、このウルシオ
ールが酵素であるラッカーゼの触媒作用により酸化重合
して塗膜を形成する。
また、酵素活性を持つ人工ウルシオールの合成も試みら
れており、特公昭57−10856号公報及び特開昭53−85889
号公報ではブタジエンオリゴマーとカテコールの反応生
成物を天然産漆に添加して用いている。
また、4−(9′,12′,15′−オクタデカトリエニル)
−カテコールを工業的に合成し、これに酵素ラッカーゼ
を加えることにより、塗膜の形成に成功した例が報告さ
れている。(1986年度色材研究発表会要旨集34ページ) 〔発明が解決しようとする課題〕 天然産漆はその塗膜の優美さ、堅牢な点で塗料の中で抜
きんでた存在であるが、天然品であるため生産量が限定
され、生産も人手によるところが多く、他の塗料に比べ
て著しく高価である。
さらに、天然産漆は産地、樹液の採取時期、気候等によ
り成分の組成が変わり、乾燥性や塗膜の硬度、光沢等の
特性が異なるため品質の均一なものが得られにくい。
しかも、生漆を精製漆にするための「なやし」及び「く
ろめ」の工程は経験的な勘に頼ることが多く、品質の安
定化を困難とする要素でもある。
また、合成漆に関しては、天然漆と同様な常温乾燥性な
らびに塗膜の光沢及び硬度を有した上に均一な品質と低
コストで工業的に生産されているものはない。
本発明は酵素活性を有する新規な合成ウルシオールを用
いて乾燥性に優れ、塗膜の光沢及び硬度が天然産漆に匹
敵する合成漆塗料を提供するものである。
〔課題を解決するための手段〕
すなわち、本発明は、桐油とカテコールの付加反応生成
物に天然漆のアセトン不溶成分を乾燥重量で2〜20重量
%配合して得られる合成漆塗料に関する。
例えば天然産漆のウルシオールの化学構造は次式に示す
通りであり、 カテコールのフェニル核に不飽和二重結合を有する脂肪
族炭化水素基が結合した形である。
天然産漆では、ウルシオールの組成や構造が異なるた
め、台湾、ベトナム、タイ、ビルマ産の漆は、日本産の
漆に比べて乾燥性、硬化性、塗膜の硬度及び光沢におい
て劣り、商品価値が低い。
本発明の桐油とカテコールの付加反応生成物としては次
式に示すように 天然ウルシオールと類似の構造を有する化合物が好適に
用いられる。しかも、工業的に合成が可能であるため、
その組成は一定となり、合成漆塗料の品質の安定化が図
れる。
さらに、当該付加反応生成物の原材料である桐油とカテ
コールは工業的に広く利用されているものであり、当該
付加反応生成物は天然ウルシオールに比べて極めて安価
に製造できる。
桐油とカテコールの付加反応生成物は、反応溶剤中に溶
解させてカテコールに桐油を添加し触媒の存在下で反応
させて得られる。
反応溶剤としてはメチルアルコール、エチルアルコー
ル、プロピルアルコール、アセトン、メチルエチルケト
ン、ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサノ
ン、ジオキサン等が用いられる。
触媒としてはパラトルエンスルホン酸、硫酸、リン酸、
フッ化水素等の酸及び塩化アルミニウム、塩化亜鉛、ア
ルミナ、オキシ塩化ジルコニウム、四塩化ジルコニウム
及びテトラアルキルジルコニウム等が単独あるいは組み
合わせて用いられる。
カテコールは1/5〜2重量倍のメチルアルコール等の反
応溶剤に溶解させ、次いでカテコール1モルに対して1/
10〜1/200モルの桐油と桐油に対して0.05〜2重量%の
パラトルエンスルホン酸等の触媒を添加し60〜100℃で
2〜20時間反応させる。
得られた付加反応生成物は未反応カテコールとの混合物
であるので、減圧下で反応溶剤を留出後、水蒸気蒸留あ
るいは水洗でカテコールを除去する。次いで減圧乾燥に
より水を除去することで前記式で表される油状の桐油と
カテコールの付加反応生成物を得る。
次に、本発明において用いられる天然漆のアセトン不溶
成分は酸化酵素ラッカーゼ、多糖類からなるゴム質、糖
蛋白からなる含窒素物を成分としているが、このアセト
ン不溶成分は漆科植物の樹幹から採取した漆原液に2〜
4重量倍のアセトンを加えて撹拌して生成する沈澱物を
濾過後、減圧乾燥等により乾燥することにより得ること
ができる。
得られた漆のアセトン不溶成分を水に溶解したものを桐
油とカテコールの付加反応生成物に2〜20重量%を添加
し、均一になるまで混合して本発明の合成漆塗料が得ら
れる。天然漆のアセトン不溶成分が2重量%未満では塗
料の乾燥・硬化が遅く、20重量%を超えると塗膜の光沢
が低下する。
本発明の合成漆塗料は「なやし」「くろめ」工程を行わ
ずに使用でき、天然産の精製漆と同様に漆器、工芸品、
屋内装飾塗装等に用いられる。
〔作用〕
本発明の漆塗料に用いる桐油とカテコールの付加反応生
成物は天然ウルシオールと類似な化学構造をもつため、
ラッカーゼに対して酵素活性を示す。
また、当該付加反応生成物は工業的に合成されるため、
本発明の漆塗料は乾燥性、硬化性、塗膜の硬度及び光沢
等の特性において安定した品質を示す。
〔実施例〕
(桐油とカテコールの付加反応生成物の合成) カテコール600g、パラトルエンスルホン酸0.2g、メチル
アルコール250gを混合し60℃に加熱してカテコールを溶
解する。この混合物に桐油120gを添加して80℃で5時間
反応を行った。減圧により反応液からメチルアルコール
を除去した後、水蒸気蒸留で未反応カテコールを除去す
る。次に減圧乾燥によって水を除いて、油状の桐油とカ
テコールの付加反応生成物を得た。
(桐油とカテコールの付加反応生成物の分析) 第1図は桐油とカテコールの付加反応生成物及び原料で
あるカテコール、桐油の液体クロマトグラフィーのチャ
ートであり、横軸は分子量を示す。なお、分子量の目盛
は分子量既知の各種標準物質により校正したものであ
る。
第2図は桐油とカテコールの付加反応生成物及び常法に
よりアセチル化した桐油とカテコールの付加反応生成物
の該磁気共鳴測定チャートを比較したものである。
第3図は桐油及び桐油とカテコール付加反応生成物の赤
外分光測定チャートを比較したものである。
符号についての説明は次のとおりである。
1はカテコールのピーク、2は桐油のピーク、3は桐油
とカテコールの付加反応生成物のピーク、4は桐油とカ
テコールの付加反応生成物の核磁気共鳴チャート、5は
アセチル化した桐油とカテコールの付加反応生成物の核
磁気共鳴チャート、6はカテコールの−OHプロトンのシ
グナル、7はカテコールの−OCOCH3プロトンのシグナ
ル、8は桐油の−CH3プロトンのシグナル、9はテトラ
メチルシランのプロトンのシグナル、10は桐油の赤外吸
収スペクトル、11は桐油とカテコールの付加反応生成物
の赤外吸収スペクトル、12は桐油の二重結合による吸
収、13はベンゼン環水素によるピークである。
第1図の液体クロマトチャートより桐油とカテコールの
付加反応生成物の分子量が1100程度であることがわかっ
た。桐油1モルにカテコール2モルが反応した場合、反
応生成物の平均分子量は1092であるので、桐油とカテコ
ールの付加反応生成物の平均構造は桐油1分子にカテコ
ールが2分子結合した構造と推定した。
次に第2図の核磁気共鳴チャートの比較を行った。桐油
とカテコールの付加反応生成物にはフェノール性−OHの
シグナルが観察されたが、アセチル化後は−OHのシグナ
ルは消失し新たに−OCOCH3のシグナルが生じることによ
り、カテコールの−OH基は桐油との反応に関与していな
いことが確認された。さらに桐油の−CH3のプロトン
(桐油1モルに9モル存在)とアセチル化後のカテコー
ルの−OCOCH3のプロトン(アセチル化カテコール1モル
に6モル存在)の積分比か3:4であり、桐油1モルに対
してカテコールが平均2モル反応していることが確認さ
れた。
また第3図の赤外分光スペクトルにより桐油の共役二重
結合が桐油とカテコールの付加反応生成物では約7/9に
減少していること、カテコールのベンゼン核に置換が起
こっていることがわかった。
以上の分析結果から、ここで得た桐油とカテコールの付
加反応生成物の構造は次式であることが確認された。
(天然漆のアセトン不溶成分の調整) 台湾産漆原液100gにアセトン200mlを加え、撹拌後静置
して生じたアセトン不溶成分を濾別し、減圧乾燥して漆
のアセトン不溶成分16gを得た。
(実施例) 桐油とカテコールの付加反応生成物にメタノール10重量
%を添加して粘度を調整したものにアセトン不溶成分50
重量%水溶液をそれぞれ5重量%、10重量%、20重量%
添加して合成漆塗料を得た。
(比較例) 日本産生漆及び台湾産生漆を用いた。
得られた合成漆塗料、日本産生漆及び台湾産生漆をアプ
リケーターでガラス板に塗布し、常温、湿度70〜80%の
漆風呂にて乾燥し、指触及び硬化時間、鉛筆硬度、光沢
度を測定した。結果を表1に示した。
なお、液体クロマト、核磁気共鳴、赤外吸収の測定条件
は次の通りである。
液体クロマト:東洋曹達製HLC−801型を使い、G3000
2本、G2000 4本なるカラム配列でテトラヒドロフラ
ンを移動相に用いて測定した。なお試料濃度は2%、流
速1.5ml/minで測定した。
核磁気共鳴:日立製R−24型を用い重クロロホルムを溶
媒として試料濃度30%、掃引速度2HZ/sec、標準物質に
テトラメチルシランを用いて測定した。
赤外分光:日立製285型を用い塗膜法で測定した。
〔発明の効果〕 本発明により得られた合成漆塗料はラッカーゼに対する
酵素活性を示し、天然産生漆と同様に乾燥硬化した。
また、本発明の合成漆塗料は台湾産漆のアセトン不溶成
分を使用しているが、台湾産生漆に比べて、塗膜の光沢
度及び鉛筆硬度において優れており、その特性レベルは
高級品である日本産生漆と比べて遜色ないものであっ
た。
【図面の簡単な説明】
第1図は合成ウルシオールの液体クロマトチャート、第
2図は合成ウルシオール及びアセチル化合成ウルシオー
ルの核磁気共鳴チャート、第3図は合成ウルシオールの
赤外分光チャートである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中村 恭三 千葉県野田市中里字光浄寺3078―14 斉藤 株式会社技術研究所内 (56)参考文献 特開 昭63−221167(JP,A)

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】桐油とカテコールの付加反応生成物に、天
    然漆のアセトン不溶成分を乾燥重量で2〜20重量%配合
    したことを特徴とする合成漆塗料。
  2. 【請求項2】桐油とカテコールの反応生成物が次式に示
    す構造の化合物である請求項1記載の合成漆塗料。
JP12470688A 1988-05-20 1988-05-20 合成漆塗料 Expired - Lifetime JPH0735496B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP12470688A JPH0735496B2 (ja) 1988-05-20 1988-05-20 合成漆塗料

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP12470688A JPH0735496B2 (ja) 1988-05-20 1988-05-20 合成漆塗料

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH01294777A JPH01294777A (ja) 1989-11-28
JPH0735496B2 true JPH0735496B2 (ja) 1995-04-19

Family

ID=14892085

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP12470688A Expired - Lifetime JPH0735496B2 (ja) 1988-05-20 1988-05-20 合成漆塗料

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0735496B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100934388B1 (ko) * 2009-05-29 2009-12-30 조봉주 옻칠과 천연염료를 이용한 염색방법 및 그 제품
KR20160060394A (ko) * 2014-11-20 2016-05-30 주식회사 더나인칼라 규격화 옻칠 및 그의 제조방법

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20030078237A (ko) * 2002-03-28 2003-10-08 학교법인조선대학교 자외선 경화형 옻칠 조성물 및 이를 이용한 옻칠도막의제조방법

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100934388B1 (ko) * 2009-05-29 2009-12-30 조봉주 옻칠과 천연염료를 이용한 염색방법 및 그 제품
KR20160060394A (ko) * 2014-11-20 2016-05-30 주식회사 더나인칼라 규격화 옻칠 및 그의 제조방법

Also Published As

Publication number Publication date
JPH01294777A (ja) 1989-11-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4658049A (en) Carboxyl group-containing siloxane compound
EP0387304B1 (en) Radiation-polymerizable cellulose esters
JP3297954B2 (ja) ポリイソシアネート硬化剤、これを用いた塗料組成物および接着剤組成物
EP0781290B1 (de) Hydrolysierbare und polymerisierbare bzw. polyaddierbare silane
WO1993003063A1 (en) Cellulose acetoacetates
Ikeda et al. Preparation of artificial urushi via an environmentally benign process
EP0354145A1 (fr) Diorganopolysiloxane à fonction benzotriazole
US7038001B2 (en) Method for preparing silicone oils by hydrosilylation with polyorganohydrogenosiloxanes and units containing at least one hydrocarbon ring including an oxygen atom, in the presence of a heterogeneous catalytic composition
JPH0735496B2 (ja) 合成漆塗料
US3634321A (en) Methods of making solid organopolysiloxanes
US2605243A (en) Modified alkyd resins from an alkyd resin and an alkoxy hydrocarbon silane
JPS5934719B2 (ja) ヒドロキシペンタヒドロパ−フルオルアルキルアミノアルキルシランの製造方法
US2169363A (en) Olefin-sulphur dioxide reaction products
US2701246A (en) Method of preparing a cyclic carbamate
JP2020050858A (ja) 3−グリシジルオキシプロピルアルコキシシランオリゴマーを含有する組成物、その製造方法及びその使用
US4438246A (en) 4-Vinyl-2-methylene butanedioic acid compounds
US4400531A (en) 4-Vinyl-2-methylene butanedioic acid compounds
US2553677A (en) Synthetic rsin from furfuryl alcohol with boron trifluoride catalyst
RU2563037C1 (ru) Способ получения полиорганосилоксанов на основе органоалкоксисиланов
RU2779206C1 (ru) Способ получения олигоорганосилоксанов различного строения
JPS61171702A (ja) 弗素含有セルロ−スエ−テル誘導体
CN110698643B (zh) 一种高耐候性酮醛缩水甘油醚类环氧树脂及其制备方法
US3405105A (en) Polymerization of tetrahydrofuran and derivatives thereof with organic sulfonic acids
RU2100384C1 (ru) Органосилсесквиоксаны кубического строения и способ их получения
JPS61106568A (ja) ヒドロキシ基含有環状アセタ−ル化合物およびその製造法