JPH073420B2 - 分析素子 - Google Patents

分析素子

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JPH073420B2
JPH073420B2 JP60104776A JP10477685A JPH073420B2 JP H073420 B2 JPH073420 B2 JP H073420B2 JP 60104776 A JP60104776 A JP 60104776A JP 10477685 A JP10477685 A JP 10477685A JP H073420 B2 JPH073420 B2 JP H073420B2
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和巳 荒井
誠司 日高
政一 須加尾
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  • Investigating Or Analyzing Non-Biological Materials By The Use Of Chemical Means (AREA)
  • Investigating Or Analysing Biological Materials (AREA)
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は分析素子、特に流体中の特定成分を分析する分
析素子に関し、更に詳しくは、生物学的流体試料中の特
定成分を還元型補酵素を介して分析する乾式の分析素子
に関する。
[発明の背景] 従来、流体試料中の特定成分を分析する方法は多数開発
がなされてきたが、これらは大別して、溶液内で反応が
行なわれる反応系と、固相担体内で行なわれる反応系と
の2種類に分けることができる。溶液系における分析反
応(以下、ウエット・ケミストリーという。)は、用手
法と呼ばれる全く機械を用いない方法から、自動分析機
器まで幅広く知られている。特に臨床化学の分野ではそ
の進歩が著しく、近年種々の臨床検査用自動定量分析機
器が病院の臨床検査室などに導入されている。
しかしながら、上述の方法は基本的には水溶液の形で反
応を行なわしむるために、種々の欠点を有している。即
ち、その分析過程で大量の水、特に精製された純水ある
いは蒸留水を必要とすることからエネルギー消費の増大
を招く。また、種々の自動分析機器はそれ自体著しく高
価であり、かつその操作に多大の熟練を必要とし、莫大
な時間と労力を必要とするばかりでなく、その廃液は必
然的に環境汚染を引き起こすという欠点を有している。
これに対して固相系における分析反応(以下、ドライ・
ケミストリーという。)を用いる分析方法も広範に用い
られているが、これらは濾紙等に試薬を含浸させた形で
行なわれる。
上記の濾紙は、例えば米国特許第3,050,373号あるいは
同3,061,523号各明細書等に記載されているように濾紙
の如き吸水性繊維質担体に試薬溶液を含浸させ、乾燥さ
せて作られるものである。これらは一般に分析試験紙ま
たは単に試験片と呼ばれるもので、試験片に流体試料を
滴下するか、または流体試料中へ試験片を浸漬させ、試
験片の色変化または濃度変化を肉眼判定か、または反射
濃度計により測定し、流体試料中の特定成分の濃度レベ
ルを決定するものである。
これらの試験片は、その取り扱いが簡便であり、かつ直
ちに結果が得られるので有用ではあるが、その構成上か
ら半定量または定性分析の領域にとどまっている。
一方、上述の如き従来の分析方法に対して操作性の簡便
なドライ・ケミストリーを用い、その上高い定量性を有
する多層分析素子が知られている。例えば、特公昭53-2
1677号、特開昭55-164356号、同57-125847号、特願昭56
-65446号ならびに同56-189784号等に多層分析素子が記
載されている。
これらに記載の素子によれば、分析反応に用いられる一
切の試薬類を一枚の分析素子中に含有しており、血清ま
たは全血液を一定容量上記素子上に滴下し、一定温度で
一定時間保温した後、支持体側から反射濃度の測定を行
ない、この反射濃度から物質濃度を決定することが可能
である。
上記方法は、従来の試験紙型のものに対して飛躍的な分
析精度を有し、かつ予め試薬を調製することなくウエッ
ト・ケミストリーと同等以上の性能を有するものであ
る。
特に、還元型補酵素、即ち還元型ニコチンアミドアデニ
ンジヌクレオチドあるいは還元型ニコチンアミドアデニ
ンジヌクレオチドリン酸の増加または減少によって流体
試料中の成分を測定する方法は、その適用範囲が広く有
用な方法であることが知られている。
これら還元型補酵素はウエット・ケミストリーにおいて
は応用されており、試料中の特定成分を一定の所望の反
応経路を介在せしめた後、上記の還元型補酵素の減少反
応に導き還元型補酵素の紫外部領域を初速度法により測
定することで検出する方法、あるいは還元型補酵素の変
化を電子伝達剤を介して色素形成性前駆物質に伝えるこ
とで、色素を形成せしめ、この色素の濃度を比色法によ
り定量する方法が知られている。
前者の方法は、ウエット・ケミストリーにおいては一般
的に用いられている方法であるが、前述のドライ・ケミ
ストリーの分析素子に導入するためにはいくつかの致命
的な問題点がある。即ち測定対象物とされる還元型補酵
素の変化は、340nmの紫外部の吸収を測定する必要があ
り、かつその分子吸光係数は著しく小さいものであるこ
とが知られている。それ故、紫外部の微小な吸光度の変
化を測定する必要があり、また分析素子の構造上、反射
測光を行なわねばならないために、より高度な測定機器
を必要とし、著しく高価な測定機器を用いなければなら
ない。更に紫外部を測定するために、全ての素材につい
て340nm付近に吸収を有しないものを用いなければなら
ないという困難さを伴う。
後者の方法は、電子伝達剤を介して色素を形成させ、こ
れを可視部において比色法により定量できるため、前者
の方法に比べてはるかに有利であるばかりでなく、初速
度法、反応終点法の両方を用いることが可能であるため
極めて有利である。
この様に有利な面を有しながら、後者の方法はウエット
・ケミストリーにおいては多用されなかった。というの
は、前述の電子伝達剤および色素形成前駆体は、両者が
溶液系内で共存するとこれらの安定性が非常に低下し、
不所望の色素の形成を誘発するという重大な欠点を有す
るだけでなく、両者の混合時における精度の低下や、色
素形成前駆体から誘導される色素が水に不溶性である場
合が多く、色素が水溶液中で沈澱を起こし、この沈澱に
基づく精度の低下、再現性の劣化等が問題となる。
従って、後者の方法を単に多層分析素子に適用した場
合、本来多層分析素子自体が有している有用性を発揮で
きないばかりか、更に試薬の安定性および測定精度等の
点で充分に満足し得るものではないことは明白である。
このため、多層分析素子の有用性を維持しつつ、かつ上
記後者の方法を適用した分析素子が特開昭59-44658号公
報に提案されている。
しかしながら、同上公報に開示されている分析素子は保
存安定性及び発色領域内での呈色均一性が十分とはいい
がたい。
[発明の目的] 従って、本発明の目的は、試薬の安定性および測定精度
に優れ、生物学的流体試料中の特定成分を還元型補酵素
を介して簡便に分析するための分析素子を提供すること
にある。
[発明の構成] 即ち本発明の上記目的は、光透過性かつ液体不浸透性の
支持体上に第1の試薬層、第2の試薬層及び多孔性展開
層から成り、電子伝達剤、少なくとも一種の色素形成前
駆物質、少なくとも一種の酸化型補酵素、少なくとも一
種の緩衝剤及び液体試料中の特定成分を介して、前記酸
化型補酵素を還元型補酵素に変換し得る少なくとも一種
の試薬を含有し、かつ前記緩衝剤と色素形成前駆物質を
異なる層に配置した液体試料中の特定成分を分析するた
めの分析素子において、上記緩衝剤を含有する層が下記
一般式(I)および(II)から選ばれる少なくとも1つ
のバインダーを用いる事によって達成される。
一般式(I) [式中、R1はメチル基又はエチル基を表わし、x1は20か
ら95モルパーセント、y1は5から80モルパーセントを示
す。] 一般式(II) [式中、R2は水素原子又はメチル基を表わし、Xはフェ
ニル基、シアノ基又は−COOR3基を表わし、R3はメチル
基、エチル基又はブチル基を表わす。x2は50から95モル
パーセント、y2は50から5モルパーセントを示す。] [発明の具体的構成] 本発明に係る電子伝達剤は、生物学的流体試料中の特定
成分が介在して、本発明に係る試薬の少なくとも1種と
酸化型補酵素が反応して生成する還元型補酵素の存在下
で還元され、更に還元された該電子伝達剤は、色素形成
性前駆物質を還元し、可視部に吸収を有する色素を形成
せしめるものである。
本発明において測定し得る流体試料中の特定成分として
は、例えば乳酸脱水素酵素(LDH)、グルタミン酸オキ
ザロ酢酸トランスアミナーゼ(GOT)、グルタミン酸ピ
ルビン酸トランスアミナーゼ(GPT)、アミラーゼ(AM
Y)、クレアチンホスホキナーゼ(CPK)、およびトリグ
リセリド(TG)等が挙げられる。
本発明に係る試薬には、酵素、色素形成性前駆物質、緩
衝剤、補酵素、必要に応じて基質が包含される。
これらの試薬は、測定すべき生物学的流体試料中の特定
成分によって適宜選ばれ、例えばLDHを測定する場合は
乳酸、GOTの場合はアスパラギン酸、α−ケトグルタル
酸およびグルタミン酸脱水素酵素(GlDH)、GPTの場合
はアラニン、α−ケトグルタル酸およびグルタミン酸脱
水素酵素(GlDH)、AMYの場合はマルトペントース、オ
ルトリン酸、β−ホスフォグルコムターゼ(β−PG
M)、グルコースオキシダーゼ(GOD)およびマルトース
ホスフォリラーゼ(MP)、CPKの場合はクレアチン、ア
デノシン三リン酸(ATP)、ヘキソキナーゼ(HK)およ
びグルコース−6−リン酸脱水素酵素(G−6−PD
H)、TGの場合はリポプロテインリバーゼ(LPL)、グリ
セロキナーゼ(GK)、グリセロリン酸脱水素酵素(GPD
H)およびアデノシン三リン酸(ATP)である。
本発明に係る酸化型補酵素とは、酸化型ニコチンアミド
アデニンジヌクレオチド(NAD+)、および酸化型ニコチ
ンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADP+)等を
いう。還元型補酵素とは、前記酸化型補酵素の還元型を
いう。NAD+の還元型はNADHで、NADP+の還元型はNADPHで
ある。
以下に本発明に係る生物学的流体試料中の特定成分が介
在して、本発明に係る試薬の少なくとも1種と酸化型補
酵素との反応によって、還元型補酵素が生成される反応
式を示す。
LDH GOT GPT AMY CPK TG 本発明に用いられる電子伝達剤としては、N−メチルフ
ェナジン・メトサルフェート類(例えばN−メチルフェ
ナジン・メトサルフェート、1−メトキシ−5−メチル
フェナジンメトサルフェート等)、メルドラブルー、メ
チレンブルーおよびジアホラーゼなどを使用することが
でき、好ましい電子伝達剤としては、N−メチルフェナ
ジンメトサルフェート類及びジアホラーゼを挙げること
ができる。
一方、本発明に係る色素形成性前駆物質としては、テト
ラゾリウム塩類が通常用いられる。本発明において用い
られる上記テトラゾリウム塩類は、色素形成後は殆どが
水に対して難溶ないしは不溶性になり、通常ウエット・
ケミストリー法では使用が難しいものの、形成される色
素が耐拡散性であり、不所望のリンギングを防止し、測
定の定量性を向上せしめる点で、好ましく使用すること
ができる。
本発明において有用とされる上記テトラゾリウム塩とし
ては、例えば3,3′−(3,3′−ジメトキシ−4,4′−ビ
フェニレン)−ビス[2−(p−ニトロフェニル)−5
−フェニルテトラゾリウムクロリド、3,3′−(3,3′−
ジメトキシ−4,4′−ビフェニレン)−ビス[2,5−ジフ
ェニルテトラゾリウムクロリド]、3−(4′5′−ジ
メチル−2−チアゾリル)−2,4−ジフェニルテトラゾ
リウムブロミド、3−(p−ヨードフェニル)−2−
(p−ニトロフェニル)−5−フェニル−テトラゾリウ
ムクロリド、2,2′,5,5′−テトラ−(p−ニトロフェ
ニル)−3,3′−(3−ジメトキシ−4−ジフェニレ
ン)−ジテトラゾリウムクロリド、2,3,5−トリフェニ
ルテトラゾリウムクロリド、3,3′−(3,3′−ジメトキ
シ−4,4′−ビフェニレン)−ビス−[2,5−ビス(p−
ニトロフェニル)テトラゾリウムクロリドおよび3,3′
−(4,4′−ビフェニレン)−ビス[2,5−ジフェニルテ
トラゾリウムクロリド]等を挙げることができる。
上記テトラゾリウム塩の中で好ましく用いられるものと
しては、3,3′−(3,3′−ジメトキシ−4,4′−ビフェ
ニレン)−ビス[2−(p−ニトロフェニル)−5−フ
ェニルテトラゾリウムクロリド]及び3,3′−(4,4′−
ビフェニレン)−ビス[2,5−ジフェニルテトラゾリウ
ムクロリド]を挙げることができ、本発明に係る第1の
試薬層に含有させることが好ましい。
本発明に用いられる緩衝剤としては、前記反応における
至適pHによって適宜選択される。例えば、トリス緩衝剤
(トリスヒドロキシメチルアミノメタン及び塩酸トリス
ヒドロキシアミノメタンの組み合わせとして知られるも
の)、グッドの緩衝剤として知られるもの、炭酸塩緩衝
剤、等が好ましく用いられることができる。
上記緩衝剤は、前述の色素形成性前駆物質と別異の層に
含有することが好ましい。これらは、製造時及び試料適
用時に混合されない状態で、積層されていることはいう
までもない。この為に、上記緩衝剤がバインダー中に分
散されていることが好ましい。
本発明に係るバインダーとしては、下記一般式で示され
る共重合体を用いることができる。
一般式(I) [式中、R1はメチル基又はエチル基を表わし、x1は20か
ら90モルパーセント、y1は5から80モルパーセントを示
す。] 一般式(II) [式中、R2は水素原子又はメチル基を表わし、Xは置換
又は未置換のフェニル基、シアノ基又は−COOR3基を表
わす。R3はメチル基、エチル基、ブチル基を表わし、x2
は50から95モルパーセント、y2は50から5モルパーセン
トを表わす。
以下に本発明に係る共重合体の代表的な具体例を示す
が、これによって本発明が限定されるものではない。
例示重合体 (1)N−ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体(モ
ル比95:5) (2)N−ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体(モ
ル比80:20) (3)N−ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体(モ
ル比70:30) (4)N−ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体(モ
ル比60:40) (5)N−ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体(モ
ル比50:50) (6)N−ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体(モ
ル比40:60) (7)N−ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体(モ
ル比30:70) (8)N−ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体(モ
ル比20:80) (9)N−ビニルピロリドン−アクリル酸メチル共重合
体(モル比95:5) (10)N−ビニルピロリドン−アクリル酸メチル共重合
体(モル比90:10) (11)N−ビニルピロリドン−アクリル酸メチル共重合
体(モル比75:25) (12)N−ビニルピロリドン−メタアクリル酸メチル共
重合体(モル比90:10) (13)N−ビニルピロリドン−アクリル酸−n−ブチル
共重合体(モル比90:10) (14)N−ビニルピロリドン−アクリロニトリル共重合
体(モル比85:15) (15)N−ビニルピロリドン−スチレン共重合体(モル
比90:10) (16)N−ビニルピロリドン−スチレン共重合体(モル
比75:25) (17)N−ビニルピロリドン−スチレン共重合体(モル
比50:50) 本発明に係る重合体は、公知の重合法を用いて容易に得
ることができる。
上記本発明の共重合体を前記緩衝剤と組み合わせて層に
することにより、例えば保存安定性を向上させるばかり
でなく、発色領域内の呈色の均一度を向上させ、結果と
して同時再現性の著しい向上をもたらすことができる。
本発明の分析素子に含有される本発明に係る試薬および
酸化型補酵素は、それぞれ少なくとも1層の試薬層およ
び少なくとも1層の展開層の何れに含有されても良い。
また、電子伝達剤および色素形成前駆物質も、それぞ
れ、少なくとも1層の試薬層および少なくとも1層の展
開層のうちの何れの層に含有されても良い。しかし、電
子伝達剤がジアホラーゼ以外の場合には、流体試料が適
用されるまではこれらの電子伝達剤および色素形成性前
駆物質は、不所望の色素を形成することがないように互
いに反応しない状態で含有されていることが必要であ
る。従って、ジアホラーゼ以外の電子伝達剤および色素
形成性前駆物質が、少なくとも1層の試薬層および少な
くとも1層の展開層のうちの別異の層に含有されている
ことが好ましい。あるいは少なくとも1層の試薬層およ
び少なくとも1層の展開層のうちの同一の層に含有され
る場合においても、これらの電子伝達剤および色素形成
性前駆物質は、それぞれ別々の粒子として含有されてい
ることが好ましい。
但し、電子伝達剤としてジアホラーゼを用いる場合には
この限りではなく、例えばジアホラーゼと色素形成性前
駆物質を同一の層内に含有することが可能である。
電子伝達剤および色素形成性前駆物質が別異の層に含有
され、少なくとも1層の試薬層および少なくとも1層の
展開層の何れか1層以上に電子伝達剤を含み、電子伝達
剤を含まない層の何れか1層以上に色素形成性前駆物質
を含有する分析素子においては、電子伝達剤が展開層の
何れか1層に含有され、色素形成性前駆物質が試薬層に
含有されていても良く、その逆の状態で含有されていて
も良いが、好ましくは前者の状態である。この場合、電
子伝達剤を含む展開層と色素形成性前駆物質を含む試薬
層の間にこれらの電子伝達剤および色素形成性前駆物質
を含まない層が介在していることが、より好ましい。
ジアホラーゼ以外の電子伝達剤を展開層に含有する場
合、一般的に分散又は溶解によって含有することができ
るが、電子伝達剤の含有量は極微量の為、分散を用いた
場合十分に均一に展開層中に含有することがむずかし
い。又溶解の場合、製造過程で多層へ移行する可能性が
あり、その結果電子伝達剤との共存が好ましくない化合
物と接触することにより性能の劣化を引き起こす可能性
がある。この場合、特開昭57-197466号明細書に開示さ
れた繊維構造展開層が有利に用いることができる。即
ち、前記電子伝達剤溶液をキシレン等の塗布溶媒に添加
した後、ばらばらの繊維を加え繊維の中に上記電子伝達
剤を含浸し、濾過乾燥したものを用いることで微量の電
子伝達剤を正確に、かつ多層への移行を防止しつつ含有
することが可能である。
電子伝達剤および色素形成性前駆物質を別異の層に含有
させる場合、これらの含有層を設ける方法としては、電
子伝達剤または色素形成性前駆物質をバインダー水溶液
に溶解させ、更に具体的には水に溶解させた後、この溶
液を水に溶解させたバインダー中に加えて溶解させたも
のを塗設する方法が挙げられる。
少なくとも1層の試薬層および少なくとも1層の展開層
のうちの同一層に、電子伝達剤および色素形成性前駆物
質が別々の粒子として含有されているとき、これらの電
子伝達剤および色素形成性前駆物質の粒径がそれぞれ0.
1μ以上となっていることが好ましい。
更に電子伝達剤およひ色素形成性前駆物質が別異の層に
含有されている場合にも、これら電子伝達剤および/ま
たは色素形成性前駆物質は粒子状とすることもできる。
電子伝達剤および色素形成性前駆物質を粒子として含有
する層を設ける方法としては、予め微粉砕した電子伝達
剤および色素形成性前駆物質をそれぞれ有機溶媒中に懸
濁させ、同一の有機溶媒に溶解させたバインダー中に得
られた懸濁物を加えて均一に分散させたものを塗設する
方法、あるいは、電子伝達剤および色素形成性前駆物質
をそれぞれ有機溶媒中に懸濁させて微粉砕し、同一の有
機溶媒に溶解させたバインダー中に加えて均一に分散さ
せたものを塗布する方法、ないしは、電子伝達剤および
色素形成性前駆物質を、バインダーを含む有機溶媒中で
微粉砕した後、均一したものを塗設する方法などが挙げ
られる。
また展開層が濾紙の如き繊維質多孔物質で構成される場
合は、バインダーを含む有機溶媒中に電子伝達剤および
色素形成性前駆物質を加えた後、多孔質物質を加えて均
一に分散させて塗布する方法が挙げられる。
本発明に用いられる電子伝達剤を本発明の分析素子に含
有させる量は、前記特定成分の量に応じて変わるが、ジ
アホラーゼ以外の電子伝達剤の場合、通常は1mg/m2
1g/m2、好ましくは10〜500mg/m2である。
更に、ジアホラーゼを電子伝達剤として用いる場合、前
記特定成分の量に応じて変るだけでなく、ジアホラーゼ
の由来及び活性値の測定法に応じて変わる、通常は100U
/m2〜100,000U/m2、好ましくは500U/m2〜50,000U/m2
含有させることができる。
また、本発明に係る色素形成性前駆物質を本発明の分析
素子に含有させる量は、通常は10mg/m2〜10g/m2、好ま
しくは50mg/m2〜3g/m2である。更に、本発明に係る酸
化型補酵素を本発明の分析素子に含有させる量は、通常
は10mg/m2〜50g/m2、好ましくは50mg/m2〜10g/m2であ
る。
前記電子伝達剤を含有する層および色素形成性前駆物質
を含有する層を形成するために用いられるバインダー
は、特に制限されないが親水性コロイド物質を用いる事
が好ましい。例えばゼラチン、及びその誘導体、ポリア
クリルアミド及びその共重合体、ポリメタアクリルアミ
ド及びその共重合体、ポリヒドロキシ、エチル、アクリ
レート及びその共重合体、ポリビニルアルコール、アガ
ロース、カルボキシ、メチル、セルロースナトリウム
塩、ヒドロキシエチル、セルロース等の親水性セルロー
ス誘導体等が挙げられる。好ましくは、ゼラチン及びそ
の誘導体が上記目的に対して用いられる。層を形成させ
る方法は特に制限されない。
この様にして構成された本発明の分析素子は、分析素子
のカブリ濃度をはじめとして、作製した素子の保存安定
性が飛躍的に向上し、高い識別能を得ることが可能とな
った。
本発明に係る展開層は、(1)一定容量の流体試料を、
単位面積あたり一定容量を試薬層に均一に配布する機能
を有するものである。その上、更に、特公昭53-21677号
公報に記載された性能、即ち、(2)流体試料中の分析
反応を阻害する物質または要因を除去する機能、および
/または(3)分光光度分析を行なうときに支持体を経
て透過する測定光を反射するバックグラウンド作用を行
なう機能を有するものであれば好ましい。従って、本発
明に係る展開層は、上記(1)の機能のみを有する層、
(1)に加えて(2)およひ/または(3)の機能を併
せて有する層の何れかとすることができ、あるいは
(1)を包含する複数の機能を適宜分離し、各機能毎に
別の層を使用することも可能である。更に(1)、
(2)および(3)の機能のうち、2つの機能を有する
層と、残りの1つの機能を有する層を組み合わせて使用
することもできる。例えば、前述の特公昭53-21677号公
報に記載された二酸化チタンおよび二酢酸セルロースか
ら成るブラッシュポリマーと呼称される非繊維多孔質媒
体の展開層、特開昭56-24576号、同57-125847号および
同57-197466号明細書などに記載された繊維構造展開層
が挙げられる。特に上記繊維構造展開層は、血球部分も
速やかに移送することが可能な素材として特に有用であ
り、更に本発明の目的の1つである酵素の如き巨大分子
の展開移送に有用なものである。本発明の分析素子にお
ける展開層の膜厚は、その空隙率によって決定されるべ
きであるが、好ましくは約100〜約500ミクロン、更に好
ましくは約150〜350ミクロンである。また、空隙率は好
ましくは約20〜約85%である。
本発明に係る試薬層は、流体試料中の特定物質が、選択
された反応により最終的に電子伝達剤を介し、色素形成
性前駆物質が色素に変化する際、該色素形成性前駆物質
が該試薬層内で色素に変化するか、あるいは少なくとも
色素形成性前駆物質から変化した色素を受容し、分光学
的観測量の変化として検知するための場とする目的で設
けられるものであり、この目的に反しない限りにおいて
種々の試薬類および各種の付加的な添加剤を含有するこ
とが可能である。
また他の付加的な添加剤として、例えば保恒剤、界面活
性剤等、種々の添加剤も所望に応じて添加することが出
来る。
特に界面活性剤は、流体試料を本発明の素子に適用した
際の浸透速度の調節等有効に用いることができる。
使用可能な界面活性剤としては、イオン性(アニオン性
またはカチオン性)、非イオン性を問わず使用すること
が可能であるが、非イオン性界面活性剤が有効である。
非イオン性界面活性剤の例としては、例えば2,5−ジ−
t−ブチルフェノキシポリエチレングリコール、p−オ
クチルフェノキシポリエチレングリコール、p−イソノ
ニルフェノキシポリエチレングリコール等のアルキル置
換フェノールのポリアルキレングリコール誘導体、高級
脂肪酸のポリアルキレングリコールエステルなどが挙げ
られる。これらの界面活性剤は流体試料の試薬層への浸
透速度を調節し、同時に好ましからざる「クロマトグラ
フィ現象」発生を抑制する効果を有する。
上記界面活性剤は広範に選択された量を用いることが可
能であるが、塗布液の重量に対して25重量パーセント乃
至0.005重量パーセント、好ましくは15重量パーセント
乃至0.05重量パーセント用いることができる。
本発明の分析素子に係る前記の液体不浸透性の光透過性
支持体(以下、本発明に係る支持体と略す。)は、液体
不浸透性で、かつ光透過性であればその種類を問わない
が、例えば酢酸セルロース、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリカーボネートまたはポリスチレンのような種々
の重合体材料が、この使用目的に適する。更には上記重
合体材料のみならず、ガラスの如き無機材料も同様に用
いることが可能である。本発明に係る支持体の厚さは任
意であるが、好ましくは約50〜約250ミクロンである。
また、本発明に係る支持体の観測側の一側面は、その目
体に応じて任意に加工することが可能である。更に試薬
層を積層する側の支持体面に、場合によっては光透過性
の下塗り層を使用して試薬層と支持体との接着性を改良
することができる。
本発明の分析素子は必要に応じて、例えば米国特許第3,
992,158号記載の反射層、下塗り層、米国特許第4,042,3
35号記載の放射線ブロッキング層、米国特許第4,066,40
3号記載のバリヤー層、米国特許第4,166,093号記載のマ
イグレーション阻止層、特開昭55-90859号記載のスカベ
ンジャー層、および米国特許第4,110,079号記載の破壊
性ポッド状部材等を任意に組み合せて本発明の目的に合
わせた任意の構成とすることができる。
これら分析素子の種々の層は、本発明に係る支持体上に
所望の構成に従い、従来写真工業において公知のスライ
ドホッパー塗布法、押出し塗布法、浸漬塗布法等を適宜
選択して用い、順次積層することで任意の厚みの層を塗
設することができる。
本発明の分析素子を用いて、流体試料中の特定成分の量
を、本発明に係る支持体側から反射スペクトロフォトメ
トリーにより初速度法または反応終点法に従って測定す
ることができる。このようにして得られた測定値は、予
め作成しておいた検量線に当てはめることで特定成分の
量を決定することができる。
本発明の分析素子に適用される流体試料の量は任意に定
めることができるが、好ましくは約5μlから約50μl
であり、更に好ましくは5μlから20μlである。通常
10μlの流体試料を適用するのが好ましい。
本発明の分析素子は全血液、血清および血漿のいずれの
分析にも不都合なく用いることができる。更には尿、リ
ンパ液、髄液等の他の体液も不都合なく用いられる。全
血液を用いる場合には、必要に応じて検出のための放射
線が血球により妨害を受けるのをさけるために、前述の
放射線ブロッキング層または他の隠蔽層を設けることが
できる。本発明の分析素子に用いられる分析反応は、そ
の目的により任意に定めることができるが、例えば臨床
化学の分野に有用であり、特に生物学的液体試料、すな
わち血液(血清、血等を含む)または尿中の成分の分析
に用いられる。
以上詳述したように、本発明の分析素子によれば、流体
試料を適用するまでは、電子伝達剤と色素形成性前駆物
質とが互いに反応し得ない状態で構成層中に含有せしめ
ることができたので試薬の保存、安定性が改良され、カ
ブリ濃度が低減し、発色性に優れているだけでなく、不
均一濃度の発生や、クロマトグラフィ現象もほとんど見
られず、可視光を使用して通常の分光光度計により、簡
便かつ迅速に流体試料、特に生物学的流体試料中の成分
の高精度乾式定量分析に用いることが可能となり、極め
て実用的に有利である。
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する
が、これによって本発明の実施態様が限定されるもので
はない。
実施例−1 180μmの下引き済の透明なポリエチレンテレフタレー
ト支持体上に、下記組成の層を順次塗布して、分析素子
とした。
第1の試薬層 ゼラチン 18.9g/m2 グルタミン酸脱水素酵素 19,000U/m2 ジアホラーゼ 1,900U/m2 3,3′−(3,3′−ジメトキシ−4,4′−ビフェニレン)
−ビス[2,5−ジフェニルテトラゾリウムクロリド]0.9
4g/m2 1,2−ビス(ビニルスルフォニル)エタン 0.1g/m2 トライトンX−100(Rohm&Hass社) 0.1g/m2 から成る乾燥膜厚約23μmの第1の試薬層 第2の試薬層 トリスヒドロキシメチルアミノメタン 3.87g/m2 塩酸トリスヒドロキシメチルアミノメタン 0.83g/m2 トライトン(Triton)X−100 0.1g/m2 バインダー(表−1参照) 1.35g/m2 から成る乾燥膜厚約15μmの第2の試薬層 展開層 粉末濾紙C[東洋濾紙(製)300メッシュ以上]8.92g/m
2 アラニン 2.9g/m2 酸化型ニコチンアミドジヌクレオチド 5.3g/m2 α−ケトグルタール酸 0.2g/m2 スチレン−グリシジルメタアクリレート共重合体(重量
比9:1) 15g/m2 トライトン(Triton)X−100 5g/m2 から成る乾燥膜厚約250μmの展開層 第2の試薬層のバインダーとして、下記の表−1に示す
ものを用いた。
上記比較分析素子及び、本発明の分析素子I〜IVに各種
GPT活性のヒト血清を10μl滴下した後、37℃にインキ
ュベーションし、滴下後、2分後及び4分後の反射濃度
を反射分光光度計で546nmのフィルターを通して測定
し、この反射濃度の差と、標準法で検定したヒト血清の
GPT活性値からあらかじめ検量線を作成した。
更に、ヒト血清の中から正常値(25カルメン単位)及び
異常値(98カルメン単位)のものを各々15回滴下し、同
様の操作を行ない反射濃度の差を出し、あらかじめ作成
した検量線にあてはめ、活性値をだした後、標準偏差及
びCVを出した。結果を表−2に示す。
以上表−2からも明らかな如く、本発明の分析素子は、
良好な同時再現性を示すのみならず、呈色領域内の発色
は均一であった。一方比較の分析素子は、本発明の分析
素子に比較して同時再現性は劣り、かつ呈色領域内の均
一性も劣るものであった。
実施例−2 前記本発明の分析素子(I)〜(IV)及び比較分析素子
を、40℃、55%相対湿度で7日間保存した後に、正常値
(25カルメン単位)および異常値(98カルメン単位)の
ヒト血清を滴下し、同様の操作を行ない、反射濃度の差
を算出した後、即日の検量線にあてはめ、活性値に変換
し、変動率を出した。結果は表−3に示す。
以上表−3から明らかな如く、本発明の分析素子は、比
較分析素子に比べ良好な保存安定性を有している事が明
らかである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 日高 誠司 東京都日野市さくら町1番地 小西六写真 工業株式会社内 (72)発明者 須加尾 政一 東京都日野市さくら町1番地 小西六写真 工業株式会社内 (56)参考文献 特開 昭58−171668(JP,A) 特開 昭57−50660(JP,A)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】光透過性かつ液体不浸透性の支持体上に第
    1の試薬層、第2の試薬層及び多孔性展開層から成り、
    電子伝達剤、少なくとも一種の色素形成前駆物質、少な
    くとも一種の酸化型補酵素、少なくとも一種の緩衝剤及
    び液体試料中の特定成分を介して、前記酸化型補酵素を
    還元型補酵素に変換し得る少なくとも一種の試薬を含有
    し、かつ前記緩衝剤と色素形成前駆物質を異なる層に配
    置した液体試料中の特定成分を分析するための分析素子
    において、上記緩衝剤を含有する層が下記一般式(I)
    および(II)から選ばれる少なくとも1つのバインダー
    を用いる事を特徴とする液体試料中の特定成分を分析す
    るための分析素子。 一般式(I) [式中、R1はメチル基又はエチル基を表わし、x1は20か
    ら95モルパーセント、y1は5から80モルパーセントを示
    す。] 一般式(II) [式中、R2は水素原子又はメチル基を表わし、Xはフェ
    ニル基、シアノ基又は−COOR3基を表わし、R3はメチル
    基、エチル基又はブチル基を表わす。x2は50から95モル
    パーセント、y2は50から5モルパーセントを示す。]
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