JPH0734019B2 - 車両用速度検出装置 - Google Patents

車両用速度検出装置

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JPH0734019B2
JPH0734019B2 JP23597686A JP23597686A JPH0734019B2 JP H0734019 B2 JPH0734019 B2 JP H0734019B2 JP 23597686 A JP23597686 A JP 23597686A JP 23597686 A JP23597686 A JP 23597686A JP H0734019 B2 JPH0734019 B2 JP H0734019B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は車両用の速度検出装置、特に高精度の速度又は
加速度検出が可能な速度検出装置に関する。
[従来の技術] 車両にとって、速度v及び加速度αは車両走行状態を客
観的に把握する上で極めて重要な要素であり、従って、
各車両の速度検出装置は、前記速度及び加速度を正確に
検出することが要求される。
特に、エレクトロニクス化の進んだ今日の車両におい
て、検出速度v及び加速度αは、例えばオートドアロッ
ク,パワーステアリング,デジタルスピードコントロー
ラ,エンジンの点火時期調整,ナビゲーションコントロ
ーラ等と各種用途に幅広く用いられており、これらのデ
ータを正確に検出することが、ドライバビリティ及び車
室内環境の向上を図る上で極めて重要なこととなる。
とりわけ、エレクトロニック スキッド コントロール
システム(急ブレーキ時に車輪がロックして車体が横
滑りするのを防止するシステム)を搭載した車両では、
速度検出装置を用いて車両の各車輪、すなわち前後左右
の合計4輪の車速,加速度を独自に検出している。そし
て、その検出車速・加速度及びその微妙な変化をコンピ
ュータが記憶している理想的な制御条件と比較し、各車
輪のブレーキ力をコントロールしているため、車速及び
加速度のリアルタイム測定を極めて高い精度で行うこと
が要求される。
しかし、従来の車速検出装置は、前記エレクトロニック
スキッド コントロール システム(以下ESCシステ
ムと記す)から要求される高い精度では車速及び加速度
を低速から高速(例えば2.5Km/hから250Km/h)の広範囲
に渡って必ずしも正確に検出することができなかった。
以下にその理由を詳述する。
速度検出 第18図には、ESCシステムに用いられる車速検出装置の
好適な1例が示されており、車輪又はトランスミッショ
ン等の回転部側に回転被検出体10が設けられ、この被検
出体10と対向するよう車両固定部側にセンサ12が設けら
れている。
このような被検出体10とセンサ12は、被検出体10の回転
を磁気的に検出するよう形成することも可能であり、ま
た光学的に検出するよう形成することも可能である。
図に示す装置においては、被検出体10を磁性体からなる
タイミングギアとして形成し、その表面に多数のタイミ
ング歯10aを等間隔で突設している。
そして、センサ12は、永久磁石とコイル等を用いて形成
し、タイミングギア10の回転を磁気抵抗の変化として検
出している。
従って、車輪が回転し、タイミングギア10が回転する
と、磁気センサ12からは各タイミング歯10aが通過する
毎に交流信号Y1がパルス発生回路14に向け出力される。
そして、パルス発生回路14は、入力された交流信号Y1
を、タイミング歯10aの通過に対応した速度検出パルス
信号Pに変換し、速度演算回路16へ向け出力する。
このようなパルス信号Pは、タイミングギア10の回転数
に比例し、回転数が増大するに従いその出力時間間隔T
が短く、また回転数が減少するに従いその出力時間間隔
Tが長くなる。
そして、速度演算回路16は、パルス信号Pの出力時間間
隔に基づき車速v及び加速度αを演算出力する。
ところで、このようにパルス信号Pの出力時間間隔に基
づき車速v及び加速度αを検出する装置では、パルス発
生回路14から、タイミング歯10aがセンサ12の前方を通
過するタイミングに会わせてパルス信号Pを正確な位相
(タイミング)で出力することが必要となる。
しかし、従来より広く用いられているパルス発生回路14
は、第19図に示すゼロクロス法を用いており、交流信号
Y1が山側ピーク値から谷側ピーク値へと変化する区間内
において、該信号Y1が0点とクロスする際パルス信号P
が出力される。
従って、該車速検出装置では、センサ12から各タイミン
グ歯の通過に対応する基本波のみを交流信号Y1として出
力できれば、前記パルス信号Pの出力も正確な位相で行
われることとなり、車速v及び加速度αを正確に検出す
ることが可能となる。
誤差原因 しかし、現実には、次に述べるような原因により、磁気
センサ12から出力される交流信号Y1中には基本波以外の
成分、すなわち低出波のうねり成分や高い周波数のノイ
ズ成分が混入するため、検出される車速及び加速度に比
較的大きな誤差が含まれてしまうという問題があった。
(イ)うねりの発生 すなわち、被検出体10としてタイミングギアを使用した
場合には、該タイミングギアはプレス品であるために剛
性が少なく、特にこれを車輪に取付けるとベース側及び
タイミングギアの双方に取付け歪みが発生する。
また、このような取付け歪み以外にも、コーナリングフ
ォース等により歪みが発生する。
この結果、被検出体10が1回転する間にその表面に設け
られた各タイミング歯10aと磁気センサ12との間隔cが
前記歪みに対応して変化し、第19図に示すごとく、磁気
センサ12の出力Y1中に低周波のうねりWが含まれ、従来
のゼロクロス法によつては、パルス信号Pの位相にε1,
ε2,…という誤差が含まれることになる。
従って、車両の速度v及び加速度αが一定の場合でも、
第19図に示すようにうねりWが上昇するときにはパルス
信号Pの出力時間間隔が長くなり、またうねりが下降す
るときにはパルスPの出力時間間隔が短くなり、速度v
及び加速度αの検出結果にうねりWに対応した誤差成分
が含まれることになる。
(b)ノイズの発生 また、このような速度検出装置をESCシステムに使用し
た場合には、ブレーキからのビビリやその他の影響によ
り、交流信号Y1中には、第20図に示すごとく、基本波よ
り高い周波数のノイズ成分Nが含まれることになる。
従って、速度v及び加速度αが一定の場合でも、第20図
に示すように、パルス信号Pの位相にε1,ε2という誤
差が発生し、検出速度v及び加速度αに所定の誤差成分
が含まれることになる。
特にノイズ成分Nに起因する誤差は、交流信号Y1中に含
まれる基本波すなわち正弦波成分が小さくなる程大きく
なる。
従って、交流信号Y1中にノイズ成分N以外に大きなうね
り成分Wが含まれると、第21図に示すごとく、うねりに
より波型全体が下がると0レベルとの接続角θが小さく
なり、パルス信号Pの位相誤差は、ε∝1/sinθなる関
係で増加する。
(ハ)以上説明したように、センサ12から出力される交
流信号Y1中には、タイミングギア10の歯型と1対1に対
応する基本波以外に、低周波のうねり成分Wと、高い周
波数のノイズ成分Nとが含まれることが多い。
このため、各タイミング歯10aが通過するタイミング
と、パルス信号Pが出力されるタイミングとがずれてし
まい、検出車速v及び加速度αに比較的大きな誤差が含
まれてしまうという問題があった。
このような測定誤差の発生を抑制するため、従来よりハ
ード、ソフトの両面から各種対策がなされている。
ハード処理による対策 (ハ)第23図には、特開昭55−83647号公報に係る速度
検出装置が示されており、該速度検出装置は、センサ12
の出力側と、制御増幅器20との間に制御増幅器20からの
制御信号によりカットオフ周波数が制御可能なローパス
フィルタ18を設け、基本波より周波数の高い成分を除去
している。
従って、該装置は、センサ12の交流出力Y1から、第20図
に示すような高い周波数のノイズ成分Nを除去すること
ができるが、この半面、該交流出力Y1に含まれる低周波
のうねり成分Wは除去できず、必ずしも正確な速度V,加
速度αの検出を行うことはできなかった。
(ロ)また、このようなうねり成分を除去するため、セ
ンサ12の出力側にハイパスフィルタを設けることも考え
られる。ハイパスフィルターのクロスオーバー周波数以
上の車速では、うねり成分が除去できず、クロスオーバ
ー周波数以下の車速ではうねりの除去と基本波自身も−
6dB減衰が行われる。広範囲な車速(2.5Km/h〜250Km/
h)を相手とするこのシステムではその時の車速に合わ
せてクロスオーバー周波数を変える必要があり、その
上、車速と比例関係にある出力振幅をもったセンサー出
力にハイパスフィルターを付加することは極めてむずか
しい。
従って、このようなフィルタを用いて、低周波のうねり
成分W及び高周波のノイズ成分Nの影響を受けることな
く、速度及び加速度を正確に測定することのできる速度
検出装置の開発は未だ成されていない。
ソフト処理による対策 また、第24図〜第27図には、特開昭57−158564号公報に
係る提案が示され、該提案は、パルス信号を所定のプロ
グラムに従って演算処理することにより、加速度αを求
める加速度検出装置に関するものである。
この加速度検出装置は、速度検出装置から出力される検
出パルス信号Pの周期ずれΔT(主にメカ的な精度の悪
さに起因する)を補償するため、加減速度を検出する期
間を、タイミングギア10のタイミング歯10aの歯数間隔
で逐次n=1,2,4,8,…(第25図に示すモード1,2,3,4,…
に対応)と代えて、相隣る区間の周期差を求める。
そして、その周期差が基準値S以上のとき加速度αを次
式に基づき求める。
α=(1/Tn+1−1/Tn)/{(Tn+1+Tn)/2} また、その周期差がSより小さいとき加速度α=0とし
て求める。
しかし、この従来装置では、Sより小さな周期ずれΔT
に対する機械的精度の悪さは補償できるが、Sより大き
な周期ずれΔTに対してはほとんど効果を発揮すること
ができなかった。
特に、歯数が100前後、ホイルの取付けボルト数が5〜
6本という典型的なタイミングギア10を想定すると、発
生するうねりWの周期はタイミング歯10aの16〜20個分
に相当し、パルス信号の周期ずれのSより極めて大きな
ものとなってしまう。
従って、該装置は、うねり成分Wの周期がnの倍数に近
いときには、前記成分に影響されることなく加速度の演
算を行うことはほとんどできないという問題があった。
[発明の目的] 本発明は、このような従来の課題に鑑みなされたもので
あり、その目的は、センサから出力される交流信号に含
まれるうねり成分およびノイズ成分等に影響されること
なく、速度あるいは加速度をリアルタイムで正確に測定
可能な速度検出装置を提供することある。
[問題点を解決するための手段及び作用] 前記目的を達成するため、本発明は、前記交流信号を矩
形化処理し矩形パルスの立上り又は立下り点を表す矩形
化信号を出力する矩形処理回路と、前記立上り点または
立下り点の時刻を表す時刻カウント信号を出力する時刻
カウンタ装置と、前記時刻カウント信号に基づき山側矩
形パルス又は谷側矩形パルスの中央位置出力時刻信号を
演算する時刻演算回路と、所定の読込み信号に基づき、
前記中央位置出力時刻信号を記憶する記憶回路と、前記
記憶回路に新たな信号データが書込み記憶される毎に、
当該データと前回の書込みデータとを用い、中央位置出
力時刻信号の差に基づいて車速又は加速度を演算出力す
る速度演算回路と、を含み、交流信号に含まれる低周波
のうねり成分に影響されることなく、車速又は加速度を
検出することを特徴とするものである。
[実施例] 次に本発明の好適な実施例を図面に基づき説明する。
ESCシステム 第1図には、本発明にかかる速度検出装置をESCシステ
ムに用いた場合の好適な実施例が示されている。なお、
本実施例において前記18図に示す装置と対応する部材に
は同一符号を付しその説明は省略する。
本実施例の速度検出装置は、センサ12の検出する交流信
号Y1を波形処理演算回路30に入力し、ここで車速v及び
加速度αを演算し、これをESC本体32へ向け出力してい
る。
本発明の第1の特徴的事項は、センサ12の交流信号Y1中
に含まれる低周波のうねり成分W及び高周波のノイズ成
分Nに影響されることなく速度v及び加速度αを正確に
演算出力可能としたことにある。
従って、該車速v及び加速度αをESC本体32へ入力する
ことにより、ESC本体32は、対応する車輪の減速度が一
定以上になると、これをスキッド状態と正確に判断し、
対応するブレーキシリンダ34を緩めるように制御するこ
とができ、また車速vが回復したら再度ブレーキが働く
ようにブレーキシリンダ34へ制御指令を出力することが
できる。
特に、本発明の速度検出装置によれば、従来問題となっ
ていた低周波うねり成分及び高周波ノイズ成分の影響を
ほとんど受けることなく車速v及び加速度αをリアルタ
イム検出することができ、しかも検出データに誤差成分
がほとんど含まれることがないため、ESC本体32は対応
する車輪がスキッド状態であるか否かを誤認することが
ほとんどなく、急ブレーキ時においても、前記ブレーキ
シリンダ34を介して対応する車輪を良好に制動制御する
ことが可能となる。
また、本発明は、各タイミング歯10aがセンサ12の前面
を通過する時間間隔を、主としてカウンタを用いて高速
演算することを第2の特徴とするものであり、これによ
り波形処理演算回路30に用いられるCPUの負担を大幅に
軽減し、例えば一台のCPU52を用いて車速v及び加速度
αの演算を行うとともに、該CPUを他の演算処理又は制
御動作に用いることも可能とし、例えば同一のCPUを前
記ESC本体32を構成するCPUとして兼用することも可能と
なる。
第1実施例 第2図には、前記波形処理演算回路30の好適な第1実施
例が示されており、第3図,第4図にはその回路各部に
おける波形図が示されている。
まず、センサ12から第3図に示すような交流信号Y1が矩
形処理回路40に入力されると、該矩形処理回路40は0Vを
基準として該交流信号Y1を矩形パルスY2に変換出力す
る。
実施例において、この矩形処理回路40は、0レベルを基
準値とするシュミットトリガ回路を用いて形成されてお
り、該矩形パルスY2は第3図に示すように、交流信号Y1
が0V以上となると、山側矩形パルス100Bとして出力さ
れ、0V以下になると、谷側矩形パルス100Aとして出力さ
れることになる。
誤差成分の除去 本発明の第1の特徴的事項は、このようにして相連続し
て出力される矩形パルスY1のパルス時間列に所定の演算
処理を施すことにより、交流信号Y1中に含まれる低周波
のうねり成分及び高周波のノイズ成分に影響されること
なく、各タイミング歯10aがセンサ12の前面を通過する
時間間隔を正確に演算することにある。
このため、本実施例においては(N−1)番目のタイミ
ング歯10aがセンサ12の前面を通過してからN番目のタ
イミング歯10aが同様にして通過するまでの時間間隔TN
を、次のようにして演算している。
すなわち、第3図に示すように、本実施例においてはN
番目のタイミング歯10がセンサー12の前面に入った点を
SAN,センサー12の前面を通過し外れる点をSBNとする
と、タイミング歯12がセンサー12に正対する点tBNは次
式に示すようにその平均として演算される。
tBN=(SAN+SBN)/2=SAN+TBN/2 …(1A) 同様にして(N−1)番目、すなわち1個前のタイミン
グ歯12がセンサー12に正対した点tBN-1は、次式で求め
られる。
tBN-1=(SAN-1+SBN-1)/2 =SAN-1+TBN-1/2 …(1B) 従って、前記TNは次式で求められることとなる。
TN=tBN−tBN-1 =(SAN+SBN)/2−(SAN-1+SBN-1)/2 =TBN-1/2+TAN+TBN/2 =(TBN-1+2・TAN+TBN)/2 …(1C) この(1C)式は、具体的には次のことを意味する。
すなわち、第5図に示すごとく(N−1)番目の山側矩
形パルスと、N番目の谷側矩形パルスのパルス時間列を
求めると、その値は(TBN-1+TAN)として表される。
同様にして、N番目の谷側矩形パルスと山側矩形パルス
のパルス時間列は、(TAN+TBN)として表される。
このようにして、求めた2組のパルス時間列はN番目の
谷側矩形パルス領域(100AN)で互いに重複しており、
したがって、その平均値を前記(1C)を次式に基づき演
算すると、以下の(イ),(ロ)に詳述する理由から交
流信号Y1中に含まれるうねり成分W及びノイズ成分Nの
影響を除去することが可能となる。
(イ)うねり成分Wが除去される理由 すなわち、第6図に示すように、センサ12から出力され
る交流信号の本来の位置がY1であるにもかかわらず、そ
の位置がうねり成分Wの影響により図中点線で示すよう
に上方Y1′の位置にシフトしてしまったような場合を想
定すると、矩形処理回路40から山側矩形パルスが出力さ
れるタイミングはΔt分だけ早くなり、谷側矩形パルス
が出力されるタイミングはΔt分だけ遅くなる。
また、これとは逆に、うねり成分Wの影響により、交流
信号が本来の位置Y1から下方Y1″の位置にシフトする
と、山側矩形パルスの出力がΔt分だけ遅くなり、谷側
矩形パルスの出力がΔt分だけ本来の時間より早くな
る。
これに対し、本発明のように、交流信号Y1の山または谷
の位置を立ち上りと立ち下がりの両者で測定しその両者
の平均値を交流信号T1の山または谷の中央位置として求
めることにより、立ち上りまたは立ち下がりの1方だけ
で処理する場合に比べて時間ずれΔtを相殺し、うねり
成分Wによる影響を受けない状態での交流信号Y1の山又
は谷位置tBN,tANを求めることが可能となる。
(ロ)ノイズ成分Nが除去される理由 また、本発明においては、交流信号Y1中に含まれる高周
波のノイズ成分Nの影響を統計的に低減することが可能
となる。
すなわち、交流信号Y1に基づいて山側矩形パルス100B,
谷側矩形パルス100Aを出力する場合に、その出力時間の
タイミングは共に交流信号Y1中に含まれる高周波ノイズ
成分Nの影響をうける。
しかし本実施例のように、前記第1式に基づいて2個の
演算パルス時間列の平均値を求めるこにより、該ノイズ
成分Nの影響を統計的に に圧縮し、誤差の影響を著しく低減することが可能とな
る。
以上(イ),(ロ)で説明したように、本発明によれ
ば、交流信号Y1の山又は谷位置を挾さむ両スロープ位置
SAN,SBNを計測し、その平均から山または谷の中心tA
N,tBNを演算により求めることで、交流信号Y1中に含ま
れる低周波のうねり成分W及び高周波のノイズ成分Nの
影響を効果的に低減し、各タイミング歯10aがセンサ12
の前面を通過する時間間隔を正確に求めることが可能と
なる。
従って、このようにして求めた平均値TNに基づき、う
ねり成分W及び高周波ノイズ成分Nに影響されることな
く、車速V及び加速度αをリアルタイムで正確に演算可
能であることが理解されよう。
CPUの負担軽減 しかし前記第1式に基づく演算をCPUを用いてソフト的
に行おうとすると、CPU自身が、常に、SAN,SBNの読込
みを行い、該読み込みデータを用い第1C式に基づくTN
の演算を交流信号Y1の1周期毎に繰り返して行われなけ
ればならない。この結果、CPUの仕事の大半は速度v又
は加速度αを演算することに費やされ、該CPUに他の演
算処理動作又は制御動作を行なわせることができなくな
ってしまうという問題が発生する。本発明の第2の特徴
的事項は、前記第1式に基づく演算の大半を主としてカ
ウンタを用いてハードウエア的に行い、 車速v及び加速度αの演算を高速で行うことを可能と
し、 しかも該演算を行うに当り、CPUの負担を大幅に軽減
し、CPUの余力を他の演算又は制御動作に振り向けるこ
とを可能としたことにある。
このため、本実施例の装置では、第2図に示すように矩
形処理回路40の出力Y2をワンショット回路42へ入力して
いる。
このワンショット回路42は、第3図に示すように矩形処
理回路40から山側矩形パルス100Bが出力されると、標準
クロック発生回路44の出力する標準クロツクCLK1に同期
して短冊状のパルス信号Y3を第1のカウンタ46に向け一
発出力する。
この第1のカウンタ46は、第4図に示すごとく、標準ク
ロック発生回路44の出力する標準クロックCLK1を積算カ
ウントする時刻カウンタ装置であり、前記短冊状のパル
ス信号Y3が出力される毎にその積算カウント値C1Nを第
2のカウンタ48へ向け出力する。従って、この積算カウ
ント値C1Nは矩形パルスY2の立上がり点の時刻を表す時
刻カウント信号として機能することとなる。
また、本実施例において、前記第2のカウンタ48は前記
カウンタ48は前記カウント信号C1Nに基づき山側矩形パ
ルス又は谷側矩形パルスの中央位置出力時刻信号を演算
する時刻演算回路であり、前記カウント信号C1N以外に
も分周回路50を用いて標準クロックCLK1を1/2に分周し
た半減化クロックCLK2が入力されている。
すなわち、この第2のカウンタ48は、第4図に示すごと
く、第1のカウンタ46から出力される積算カウント値C
1Nを初期値とし、これに半減化クロックCLK2を積算カウ
ントしていく。そして、矩形処理回路40の出力Y2が山側
矩形パルス100Bから谷側矩形パルス100Aに切り替わると
同時にそのカウントを停止し、そのカウント値C2Nを速
度演算回路52へ向け出力する。
従って、実施例の装置では、(N−1)番目のタイミン
グ歯10aがセンサ12の前面を通過すると、第2のカウン
タ48から第4図に示すように(N−1)番目の交流信号
Y1の山側ピーク値出力時刻tB(N-1)に対応する積算カウ
ント値C2N-1(山側矩形パルス100BN-1の中央部出力時
刻を表す)が出力されることとなる。
そして、実施例の装置は、同様の動作を繰り返して行う
ため、N番目のタイミング歯10aがセンサ12の前面を通
過すると、第4図に示すように、N番目の交流信号Y1の
山側ピーク値出力時点tBNに対応する第2のカウント値
C2Nが出力されることとなる。
従って、速度演算回路52はこのように連続出力される第
2の積算カウント値C2Nを次式に基づき演算することに
より、交流信号Y1の1周期分(実施例ではtB(N-1)〜t
BN)の出力時間間隔TNを求めることができる。
すなわち、前記第1式と第2式とを比較すれば、両者は
まったく同一の演算を行っていることは明らかであり、
本実施例の速度演算回路52は、前記第2式に基づき、
(N−1)番目のタイミング歯10aがセンサ12の前面を
通過してからN番目のタイミングは10が通過するまでの
時間間隔TNを、交流信号Y1中に含まれる低周波うねり
成分W及び高周波ノイズ成分Nの影響を受けることなく
正確に検出することが可能となる。
従って、該速度演算回路52は、このようにして求められ
るタイミング歯10aの通過時間間隔TNに基づき、車速v
及び加速度αを正確に検出することが可能となる。
通常、このような速度演算回路52としてはCPUが用いら
れる。
前述したように、本発明の第2の特徴的事項は車速v及
び加速度αの演算を行うに当り、CPUに対し要求される
負担を大幅に低減し、1台のCPUで速度,加速度の演算
と、これ以外の他の演算処理動作とを実行可能としたこ
とにある。
このため、実施例の装置では待ち指令回路54と、第3の
カウンタ56とが設けられている。
前記待ち指令回路54は、タイマ回路を内蔵するI/O回路
として形成され、山側矩形パルス100Aが出力されている
間は、速度演算回路52へ向け読み込み禁止指令を出力
し、谷側矩形パルスが出力されている期間内は該禁止指
令を解除する。
従って、速度演算回路(CPU)52は、禁止指令が解除さ
れている期間内においてのみ第2のカウンタ48の出力C
2Nを読み込み、これを記憶回路58へ書き込むとともに、
該書き込みデータと前回の書き込みデータとを用いて車
速v及び加速度αの演算を行う。
そして、速度演算回路52は、それ以外の時、すなわち書
込み禁止指令が出力されている期間内は、例えば記憶回
路58内に記憶されている他のデータあるいは他の演算処
理プログラムに従い、車速v及び加速度αの演算動作以
外の処理を行うことが可能となり、速度演算回路52とし
て用いられるCPUの汎用性を高めることが可能となる。
また、本発明においては、CPU(52)の汎用性を更に高
めるために、第3のカウンタ56を用いている。この第3
のカウンタ56は、矩形パルスカウンタ装置として機能す
るものであり、センサ12の前面を通過するタイミング歯
10aの個数Nをカウントするよう形成されている。
実施例において、このカウント動作は、矩形処理回路40
から側矩形パルスが出力される毎にそのカウント値Nを
インクリメントするように行われ、その積算カウント値
Nは速度演算回路52へ入力されている。
従って、速度演算回路52を形成するCPUは、他の演算処
理動作が忙しい場合には、カウンタ48から出力されるカ
ウント値を数回読み飛ばしても、第3のカウンタ56のカ
ウント値Nを用いることにより、次式に基づきタイミン
グ歯10aがセンサ12の前面を通過する時間間隔を数回分
の平均値として正確に求めることが可能となる。
なお、このような演算を行うため、速度演算回路52は、
第2及び第3のカウンタ48,56の出力C2N及びNを1組
のデータとして、記憶回路58へ入力するよう形成されて
いる。
但し、C2N-n,(N−n)は前回読込んだ第2,第3カウ
ンタ48,56の出力。
このようにすることにより、速度演算回路52を形成する
CPUにとって、車速v及び加速度αを演算するための負
担が極めて少なくなり、該CPUは他の演算処理動作を十
分な余裕を持って行うことができ、例えば1台のCPUを
速度演算回路52としてもまた前述したESC本体32として
も用いることが可能となり、装置全体の構成を極めて簡
単かつ安価なものとすることが可能となる。
さらに、本発明によれば、前記第1式に示す平均値処理
の主な演算を2個のカウンタを用いることで解決してい
るため、その演算を極めて高速で行うことが可能とな
り、該演算をソフトウエア的に行うものに比し、演算ス
ピードが著しく向上し、ESCシステムとして要求される
高速演算を充分余裕を持って行うことが可能となる。
なお、本実施例においては、ワンショット回路42,第1
及び第3のカウンタ48,56及び待指令回路54がそれぞれ
矩形処理回路40の出力する谷側矩形パルスに対応して動
作するよう構成し、前記第1式に示す演算を行うよう形
成したが、本発明はこれに限らず、これとは逆にこれら
回路各部を矩形処理回路40の出力する谷側矩形パルスに
対応して動作するよう形成し、次式に示す平均値演算を
行い、該演算値に従い車速v及び加速度αを求めるよう
形成することも可能である。
第7図には、このようにして求められる平均値TNが示
されている。
TN= {(TAN+TBN)+(TBN+TAN+1)}/2 =(TAN+2TBN+TAN+1)/2 …(4) 第2実施例 また、前記実施例においては、第2図に示すように、1/
2分周回路50を用いて半減化クロックCLK2をカウンタ48
へ入力しているが、本発明はこれに限らず、第8図に示
すように、第1のカウンタ46と第2のカウンタ48との間
に積算カウント値C1Nを2倍するシフト回路60を設けて
も良い。
この場合には、標準クロックCLK1を直接第2のカウンタ
48へ入力し、第9図に示すカウント動作を行なわせれば
よく、このようにしても前記実施例と同様にして車速v
及び加速度αを良好に検出することが可能となる。
第3の実施例 第10図には本発明の第3の実施例が示されており、第11
図にはこのカウント動作の好適な1例が示されている。
本実施例において、ワンショットパルス発生回路42は、
矩形パルスY2の立上り及び立下がりの双方の時点におい
てワンショットパルスY3を第1のカウンタ46へ向け出力
するよう形成されている。
そして、第1のカウンタ46は、前記ワンショットパルス
Y3が出力される毎にそれまでの積算カウント値を第1の
カウント信号C1Nとして速度演算回路52へ直接出力する
よう形成されている。
本実施例において、この速度演算回路52は、所定の読み
込み信号に基づき少なくとも相連続して出力される2個
以上の第1のカウント信号CN-1,C1Nを連続して読み込
み、記憶回路58へ書込み記憶する。
そして、実施例の速度演算回路52は、前記実施例の第2
のカウンタ48としても機能し、記憶回路58内へ書き込ん
だデータに基づき、交流信号Y1のピーク値出力時刻tBN
またはtANを表すカウンタ値C2Nをソフト処理により演
算し、該演算値C2Nを第3のカウンタ56の出力するカウ
ンタ値Nと共に記憶回路58内へ書込み記憶する。
従って、速度演算回路52は、このようにして書き込まれ
た演算値C2Nを前記第2のカウンタ−48の出力する第2
のカウント信号C2Nと同様にして扱うことにより、前記
実施例と同様にして速度v及び加速度αを演算出力する
ことが可能となる。
なお、本実施例の装置においては、第2のカウンタ48を
省略したかわりに、第2のカウンタ48の演算動作を速度
演算回路52を形成するCPUに負担させているため、その
分だけ速度v及び加速度αの演算速度が遅くなり、また
CPU自体の負担も増大することは避けられない。しか
し、本実施例の装置も、前記各実施例と同様にして第1
のカウンタ46及び第3のカウンタ56の出力を数回分読み
飛ばしても、車速v及び加速度αを正確に演算出力する
ことができるため、CPU自体の負担を大幅に軽減可能で
あることはいうまでもない。
矩形処理回路の他の実施例 第12図には、第2図に示す矩形処理回路40の第2実施例
が示されており、第13図にはその具体的な回路構成が示
されている。なお、前記実施例と対応する部材には同一
符号を付しその説明は省略する。
本実施例の特徴的事項は、前記実施例が矩形処理のため
の基準値Yrefをゼロレベルに固定しているのに対し、該
矩形処理回路40の基準値Yrefをうねり成分Wに追従さ
せ、交流信号YZの各出力周期毎にその山側ピーク値と谷
側ピーク値との中間値にその都度設定することにある。
このようにすることにより、例えば第14図に示すよう
に、センサ12の交流出力Y1がうねり成分Wの影響により
大きく上下動し、ゼロボルトラインと交わらないという
事態が発生しても、旧基準電圧Yrefと山側または谷側の
ピーク値との間に新たな基準電圧Yrefが設定されるた
め、うねり成分Wの大小にかかわりなく、常に矩形パル
ス100A,100Bを確実に出力し測定を更に正確に行うこと
が可能となる。
以下に、本実施例の矩形処理回路40の具体的な回路構成
について説明する。
まず、センサ12から第14図に示すような交流信号Y1が出
力されると、該交流信号Y1はAGC(自動利得調整)付増
幅回路70へ入力され、ここで後述するAGC信号に従い約
一定幅の交流信号Y1′に増幅され、ピークホールド回路
72a,72bへ入力される。
ピークホールド回路72aは、交流信号Y1′の山側のピー
ク値Ymaxをホールドするものであり、具体的には第13図
に示すようにオペアンプPO2,65ダイオードRE及びコンデ
ンサC1を用いて形成されている。
また、他方のピークホールド回路72bは、交流信号Y1′
の谷側のピーク値Yminをホールドするものであり、具体
的には第13図に示すように、オペアンプOP3Hダイオード
RE及びコンデンサC2を用いて形成されてる。
そして、基準値設定回路74は、前記ピークホールド値Mm
axとロアーホールド値Yminとを加算平均し、その平均値
を基準値Yrefとして設定する。
このような基準値Yrefの設定は、具体的には第13図に示
すように、可変抵抗VR2からなる分圧回路を用いて行わ
れており、必要に応じて適当な値に設定することができ
るが、本実施例においては、ピークホールド値とロアー
ホールド値との中間の値に設定されている。
そして、比較回路76は、このようにして出力される基準
値Yrefと交流信号Y1′とを比較し、Y1′がYrefを上回っ
た時点で山側矩形パルス100Bを出力し、Y1′が基準値Yr
efを下回った時点で谷側矩形パルス100Aを出力する。
また、本実施例の矩形処理回路40は、交流信号Y1の半サ
イクル毎にうねり成分Wに追従した最適基準値Yrefを設
定するように、ワンショットパルスY3をリセットパルス
として各ピークホールド回路72a,72bヘフィードバック
入力している。
このようにすることにより、各ピークホールド回路72a
及び72bのホールド値は、交流信号Y1の1サイクル又は
半サイクルごとにリセットされ、新たな値に更新される
ことになる。
従って、基準値設定回路40は各サイクル毎に新たに設定
されるピークホールド値Ymax及びロアーホールド値Ymin
に基づき最適な基準電圧Yrefをその都度設定することが
できるため、以下(a),(b)に詳述するように、比
較回路76は、交流信号Y1中に含まれる低周波のうねり成
分W及び高周波のノイズ成分Nに影響されることなく、
最適なタイミングで矩形パルス100Aまたは100Bを出力す
ることが可能となる。
(a)うねり成分Wが除去される理由 第22図に示すように、磁気センサ12から本来Y1の位置に
交流信号が出力されるべきにもかかわらず、うねり成分
Wの影響により交流信号がY1′の位置に出力されるよう
な場合を想定する。
この場合に、前記のゼロクロス法では、矩形パルスY2が
本来の位置よりε分だけずれて出力されることになり、
この誤差成分εはうねりが大きくなるに従い増大する。
これに比べて、本実施例の装置では交流信号Y1の各周期
毎に新たに設定されたピークホールド値Ymax,Yminに基
づき、うねり成分Wの変化に追従した最適基準電圧Yre
f、すなわち図中破線で示すいわゆる第2のゼロレベルY
refを各周期毎に設定することができるため、うねり成
分Wにかかわりなく、常に最適な位相で矩形パルスY2を
正確に出力することが可能となる。
(b)ノイズ成分が除去される理由 また交流信号Y1中に含まれるノイズ成分Nの影響は、ゼ
ロレベルで切り出される基本波、すなわち正弦波成分の
大きさにより決定され、ノイズ成分に対する基本波成分
が相対的に大きい程ノイズ成分による影響が小さくな
る。
すなわち、第21図に示すごとく、基本波(正弦波)に対
しノイズ成分が重畳している場合を想定する。
この場合に、基準電圧Yrefが正弦波の正または負のピー
ク値付近に設定されると、ノイズ成分Nによる設定誤差
がεと極めて大きくなるが、基準電圧Yrefを正弦波の傾
きが大きな位置(位相が0,π,2π,…の位置)に設定す
ると、ノイズ成分Nによる誤差はε′と大幅に小さくな
ることが理解される。
従って、ゼロクロス法を用いて矩形パルスY2を出力する
場合には、うねり成分Wの影響により、基準電圧である
ところのゼロ電位と正弦波本来のゼロクロス位置とのず
れ量が大きくなると、矩形パルスY2の出力位相が正規な
位置から大幅にずれてしまうことが理解される。
これに対して、本実施例の装置によれば、基準電圧Yref
を、交流信号Y1の各周期ごとにその正弦波成分の傾きが
最大となる位置にその都度設定することができるため、
交流信号Y1中にノイズ成分Nが含まれている場合や、該
ノイズ成分Nに加えてうねり成分Wが含まれているよう
な場合でも、これらに影響されることなく矩形パルスY2
を正確な位相で出力することができる。
以上(a),(b)で説明したように、本実施例によれ
ば、比較回路76からは、交流信号Y1中に含まれる低周波
のうねり成分W、高周波のノイズ成分Nに影響されるこ
となく、各タイミング歯10aがセンサ12の前面を通過す
る毎に正確な位相で矩形パルス100A及び100Bが出力され
ることになる。
したがって、このような矩形化処理を施されたパルスに
対し、さらに前記第1式に示すような本発明の演算処理
を施すことにより、前述したゼロクロス法を用いる実施
例に比し、うねり成分W及びノイズ成分Nの影響をさら
に大幅に低減し、車速v及び加速度αを検出可能である
ことが理解されよう。
また、本実施例の矩形処理回路40は、ワンショットパル
スY3を差動増幅器78,へ入力し、その差動出力をAGC制御
電圧設定回路78へ入力している。
これら差動増幅器78及びAGC制御電圧設定回路80は、ワ
ンショットパルスY3の出力タイミングに基づき、センサ
12の出力する交流信号Y1の振幅が一定となるよう所定の
AGC信号をAGC付き増幅回路70へ向け出力している。
具体的には、第13図に示すように、反転増幅用オペアン
プOP4によりピークホールド値Ymaxを反転出力し、この
反転出力▲▼とロアーピークホールド値Yminの
中間電圧YDを、アナログスイッチを介して取り込むよう
形成されている。
該アナログスイッチは2個のダイオードREを逆並列に接
続することにより、所定の不感帯幅が制定され、回路自
体の発信を防止し、その高速追従性を向上するよう形成
されている。
そして、このようにして取り込まれた中間電圧YDは、ボ
リュームVR1より設定された比較電圧YEと比較され、そ
の差動電圧に基づき、オペアンプOP5,コンデンサc及び
リミッタ用ツェナーダイオードTDで振幅が制限される積
分回路を用いて積分出力される。
ここにおいて、前述したようにワンショットパルスY3
は、FET1に入力されることにより、前記中間電圧YDの積
分値と積分期間とを制御し、その積分値をAGC信号とし
てAGC付き増幅回路70へ向け出力する。
なお、各ピークホールド回路72a,72bへ入力される信号Y
3′は、差動増幅回路78へ入力される信号Y3に比べ、遅
延回路82を用いて所定の短時間だけ遅れて出力され、前
述したAGC制御動作及び基準電圧Yrefの設定動作のタイ
ミングを調整するよう形成されている。
実測データの検討 次に本発明に係る速度検出装置を用いて実際に測定した
データを従来装置と比較して検討する。
第15図には、被検出体10としてその周囲に100個のタイ
ミング歯10aが突設されたタイミングギヤを用い、該ギ
ヤ10を車軸に対し5本の取付けボルトを用いて取付けた
場合に、センサ12から出力される交流信号Y1の波形図が
示されている。
同図から明らかなように、この交流信号Y1は、取付けボ
ルトが5本であることとの関係から、5回のうねり又は
5回の振幅変化を呈している。
この内、最初の1.75サイクルはうねり、最後の1.75サイ
クルは振幅変化、中間の1.5サイクルは徐変部とした。
このようにすると、最初の1.75サイクル中に含まれる交
流信号Y1が次式で表され、 Y1=−0.5・cos(0.1π・t)−cos(2π・t) 後半の1.75サイクルで出力される交流信号Y1は次式で表
されることになる。
Y1=−(1−0.5・cos(0.1π・t))・cos(2π・
t) このような条件の下において、第2図に示す装置(ゼロ
クロス法)を用いて交流信号Y1を矩形化処理し、交流信
号Y1の1周期分の時間TNを、 単純にTN=TAN+TBNとして求めた場合(従来法)
と、 前記第1式で示すようにして求めた場合(本発明)
と、 では、TNに基づき求めた車速v及び加速度αにどの程
度の誤差が含まれるかを実験により求めた。
第15図には、該実験データが左から順に正規からの誤
差、前後の相対誤差、8波長移動平均誤差として表され
ている。
ここにおいて、正規からの誤差とはタイミングギヤーの
1周期中の正規位置からのずれを表わす。
相対誤差とは歯1山の相対誤差を表わす。
8波長移動平均誤差とは連続した8個のピッチ誤差の平
均値、または正規位置ずれ量の変化分を8で割ったもの
を表わす。
また、第16図には、このようにして得られた各比較デー
タが数値データに変換して表示されている。
この実験結果からも明らかなようによ、本実施例の装置
によれば、単純に矩形波のパルス時間から車速v及び加
速度αを求める場合に比べて、うねり成分Wに起因する
誤差を少なくとも約1/10程度にまで低減することがで
き、しかもノイズ成分Nに起因する誤差もほぼ無視でき
る程度に小さくすることができるという優れた効果を発
揮可能であることが確認される。
また、第17図には、矩形処理回路として第12図に示す回
路を用い、同様な実験を行った場合のデータが示されて
おり、第16図には、この比較データを数字データに変換
した値が表示されている。
同図に示すように、交流信号Y1の山側ピーク値と谷側ピ
ーク値から基準電圧Yrefを各半サイクル毎に設定するこ
とにより、該実験結果からも明らかなように、うねり成
分に起因する誤差を更に大幅に低減し、高精度の車速v
及び加速度αの検出が可能となることが理解される。
また、前記実施例においては、矩形処理回路40としてシ
ュミットトリガ回路を用いた場合や、第12図に示すよう
に、各ピーク値をホールドし矩形処理を施す回路を用い
る場合を例にとり説明したが、本発明はこれに限らず、
交流信号Y1を所定の基準値Yrefと比較し、交流信号Y1が
Y1>YrefであるかY1<Yrefかを検出できれば十分であ
る。したがって、例えば矩形処理回路40は、矩形波パル
スそのものを出力するものではなく、矩形波パルスの立
上がり点と立ち下がり点のみを表す信号を出力するよう
形成することも可能である。
また、該矩形処理回路40は、回路そのものをTTLレベル
で構成した場合、矩形波パルスY2としてLレベルまたは
Hレベルの信号を出力するよう形成すれば十分でありい
ずれにしても基準レベルYrefに対し交流信号Y1がY1<Yr
efかY1>Yrefであるかを検出できるよう形成すれば十分
である。
[発明の効果] 以上説明したように、本発明によれば、センサから出力
される交流信号中に低周波のうねり成分や高周波のノイ
ズ成分が混入しているような場合であっても、これらの
影響を受けることなく、車速Vあるいは加速度αを正確
に検出することが可能であり、従って極めて高い検出制
度が要求される各種車載機器、例えばESCシステム用の
速度検出装置として極めて好適なものとなる。
また、本発明によれば、交流信号中に含まれるうねり成
分の影響を受け難いため、仮にセンサと対向配置される
被検出対として安価なプレス品のタイミングギヤ等を使
用した場合でも、その速度または加速度の検出をリアル
タイムでしかも精度良よく行うことができ、安価でしか
も性能のよい速度検出装置を提供することが可能とな
る。
特に、本発明によれば、矩形処理回路の出力する矩形パ
ルス出力周期の平均値処理を主としてカウンタを用いて
行っているため、車速v及び加速度αを高速で演算する
ことが可能となり、例えばESCシステムのような高速演
算が要求される装置に含まれる車速検出装置として極め
て好適なものとなる。
更に、本発明によれば、前記矩形パルス平均値処理を主
としてカウンタを用いて行うことにより、速度演算回路
の負担を大幅に軽減し、該速度演算回路をCPUを用いて
形成する場合には、負担の軽減により余った余裕分を他
の演算処理又は制御などに振り向けることができるた
め、このような速度検出装置を用いて各種システムを構
成する場合には、システム全体のコストを大幅に低減す
ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
第1図及び第2図は本発明に係る車両用速度検出装置の
好適な実施例を示す回路図、 第3図〜第7図は前記第1図及び第2図に示す回路を用
いて行われる演算動作の説明図、 第8図及び第9図は本発明の好適な第2実施例の説明
図、 第10図及び第11図は本発明の好適な第3実施例の説明
図、 第12図〜第14図は本発明の装置に用いられる矩形処理回
路の他の実施例を示す説明図、 第15図〜第17図は本発明の実験データを示す説明図、 第18図は一般的な速度検出装置のブロック図、 第19図〜第22図はそれぞれ低周波のうねり成分あるいは
高周波のノイズ成分を含んだ交流信号の波型説明図、 第23図〜第27図は従来の速度検出装置の説明図である。 10……回転被検出体 12……センサ 30……波形処理演算回路 32……ESC本体 34……ブレーキシリンダ 40……矩形処理回路 42……ワンショットパルス発生回路 44……標準クロック発生回路 46……時刻カウンタ装置としての第1のカウンタ 48……時刻演算回路として第2のカウンタ 50……分周回路 52……速度演算回路 56……矩形パルスカウンタ装置としての第3のカウンタ 58……記憶回路

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】車両回転側に設けられた回転被検出体と、 この被検出体と対向するよう車両固定部側に設けられ、
    被検出体の通過する毎に交流信号を出力するセンサと、 を含み、前記交流信号に基づき車速又は加速度を演算す
    る車両用速度検出装置において、 前記交流信号を矩形化処理し矩形パルスの立上り又は立
    下り点を表す矩形化信号を出力する矩形処理回路と、 前記立上り点または立下り点の時刻を表す時刻カウント
    信号を出力する時刻カウンタ装置と、 前記時刻カウント信号に基づき山側矩形パルス又は谷側
    矩形パルスの中央位置出力時刻信号を演算する時刻演算
    回路と、 所定の読込み信号に基づき、前記中央位置出力時刻信号
    を記憶する記憶回路と、 前記記憶回路に新たな信号データが書込み記憶される毎
    に、当該データと前回の書込みデータとを用い、中央位
    置出力時刻信号の差に基づいて車速又は加速度を演算出
    力する速度演算回路と、 を含み、交流信号に含まれる低周波のうねり成分に影響
    されることなく、車速又は加速度を検出することを特徴
    とする車両用速度検出装置。
  2. 【請求項2】特許請求の範囲(1)記載の装置におい
    て、 前記時刻演算手段は、 矩形パルスの立上り又は立下り点における時刻カウント
    信号から得られた時刻カウント値を前記記憶回路に書き
    込み、両時刻カウント値の差分平均値を求め、該差分平
    均値を前回の時刻カウント値に加え、この加算結果を矩
    形パルスの中央位置出力時刻信号として出力する、こと
    を特徴とする車両用速度検出装置。
  3. 【請求項3】特許請求の範囲(1)記載の装置におい
    て、 前記時刻演算手段は、 時刻カウンタ装置が出力する時刻カウント信号を初期値
    として読み込み、山側又は谷側の一方の矩形パルスが出
    力されている間、時刻カウンタ装置がカウントする標準
    クロックの半減化パルスを積算カウントし、当該矩形パ
    ルスの中央位置出力時刻信号が出力される時刻を演算す
    るカウンタ、 を含むことを特徴とする車両用速度検出装置。
  4. 【請求項4】特許請求の範囲(3)記載の装置におい
    て、さらに、前記矩形化信号をカウントしてそのカウン
    ト値を矩形パルスの出力個数を表すパルス数カウント信
    号として出力する矩形パルスカウンタ装置を含むととも
    に、前記速度演算回路は、データ読込み信号を出力する
    CPUを含み、 該CPUは、 前記時刻演算回路からの出力データ及び前記矩形パルス
    カウンタ装置からの出力データを前記記憶回路に書込み
    記憶し、該データと前回書き込まれたデータとに基づき
    車速及び加速度の少なくとも一方を演算する、ことを特
    徴とする車両用速度検出装置。
  5. 【請求項5】特許請求の範囲(1)記載の装置におい
    て、 前記矩形処理回路は、 前記交流信号の山側ピーク値及び谷側ピーク値の双方を
    ピークホールドするピークホールド回路と、 両ピークホールド値の平均値に基づき基準信号を設定す
    る基準値設定回路と、 交流信号と基準値とを比較し山側矩形パルス又は谷側矩
    形パルスを出力する比較回路と、 新たな矩形パルスが出力される毎に前記ピークホールド
    回路をリセットし、前記交流信号に含まれる低周波うね
    り成分及び高周波ノイズ成分に影響されない矩形パルス
    を出力するリセット回路と、 を含むことを特徴とする車両用速度検出装置。
  6. 【請求項6】特許請求の範囲(1)記載の装置におい
    て、 前記時刻演算回路は、 前記時刻カウンタ装置から出力された時刻カウント信号
    を二重化するシフト回路と、 二重化された時刻カウント信号を初期値として読み込
    み、山側又は谷側の一方の矩形パルスが出力されている
    間、時刻カウンタ装置がカウントする標準クロックのパ
    ルスを積算カウントし、当該矩形パルスの中央位置出力
    時刻信号が出力される時刻を演算する第2のカウンタ
    と、 を含むことを特徴とする車両用速度検出装置。
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