JPH0733967U - 炉間シール装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 金属帯を加熱する連続焼鈍炉での炉間におい
て、片方の炉の変動の影響が他方の炉に及ぼすことを防
ぐことにより、金属帯表面を清浄に保つ。 【構成】 雰囲気又は炉圧の異なる二つの炉２、３を接
続するロール室４内に設けられる炉間シール装置であっ
て、ロール室４内に設けられた搬送ロール７に対向して
設けられたシールロール８と、ロール室４の炉への出入
口から搬送ロール７およびシールロール８に向かって箱
状に延設されその先端部が両ロールと微小な間隔をもっ
てその周縁に沿うように形成されたシールボックス６を
有してなり、シールボックス６の先端部が可撓性を有す
るシール材５で形成されていることを特徴とする炉間シ
ール装置。これにより、二つの炉間のガスの出入りを遮
断することができ、各炉の雰囲気、炉圧が保持され金属
帯表面を清浄に保つことができる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は金属帯を加熱する連続熱処理炉の炉間シール装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来、金属帯を加熱する連続熱処理炉においては、各炉内の雰囲気ガスの圧力 、温度、組成等をその目的に応じて一定に保持する必要があるので、隣接する炉 間のガスの移動を極力少なくする必要があり、このために隣接する炉との境界部 にシール装置が設置されている。特に隣接する炉との間に大きな圧力差が生じた 場合には、境界部の隙間を通じて大量の雰囲気ガスの流れがあるので、雰囲気ガ スの条件保持が困難となり、金属帯の酸化等の問題が生じるので、シール性能の 良いシール装置が要求されている。

【０００３】 図５はこの様な従来の直火加熱炉と間接加熱炉を持つ鋼帯の連続焼鈍炉の炉間 シール装置を示している。図５において、１は鋼帯、２は直火加熱炉、３は間接 加熱炉、４はロール室、６はシールボックス、７は搬送ロール、８はシールロー ルである。図５に示す様に、ロール室４により直火加熱炉２及び間接加熱炉３を 下部で相互に連通し、鋼帯１の搬送路を外気から遮断すると共に、ロール室４の 中に設けられた搬送ロール７と、搬送ロール７に対向して設けられたシールロー ル８とに向かって、直火加熱炉２の出口から箱状に延設されたシールボックス６ を設置し、直火加熱炉２から間接加熱炉３に及ぶ影響を少なくしている。この場 合にシールボックス６、搬送ロール７、及びシールロール８の熱膨張を考慮して 、シールボックス６の据付時にそれぞれの隙間を十分にとってある。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら上記の従来の技術には以下の様な問題点があった。 従来の炉間シール装置は、シールボックスを搬送ロールやシールロールに近づ け過ぎると、シールボックスが各ロールと接触してしまい、ロールに疵をつけ、 鋼帯にも疵をつけてしまうという問題点があった。このため、シールボックスと 各ロールの隙間はある程度の間隔が必要であった。従来の炉間シール装置は以上 のことから、シール性能が不十分で直火加熱炉の炉圧変動が間接加熱炉に伝わり 易く、直火加熱炉の炉圧急増時には直火加熱炉の酸化性燃焼排ガスが間接加熱炉 へ流れ込み、鋼帯を酸化させてしまった。また直火加熱炉の炉圧が急減した場合 は間接加熱炉の炉圧も下がり、炉体各シール部からの外気侵入を招いて、鋼帯を 酸化させていた。

【０００５】 また、従来の炉間シール装置は搬送ロールの最大径に合わせてシールボックス を作成していたので、搬送ロール径が小さく変更されるとロールとシールボック スとの隙間がそれだけ拡がり、シール性が低下していた。

【０００６】 本考案は上記課題を解決するためになされたもので、直火加熱炉側の変動の影 響が間接加熱炉側へ及ぶのを防止するなど、雰囲気又は炉圧の異なる二つの炉間 の雰囲気の混合を防止することができるシール装置を提供することを目的として いる。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

上記課題は以下の手段により解決される。 雰囲気又は炉圧の異なる二つの炉を接続するロール室内に設けられる炉間シ ール装置であって、ロール室内に設けられた搬送ロールに対向して設けられたシ ールロールと、ロール室の炉への出入口から搬送ロールおよびシールロールに向 って箱状に延設されその先端部が両ロールと微小な間隔をもってその周縁に沿う ように形成されたシールボックスを有してなり、シールボックスの先端部が可撓 性を有するシール材で形成されていることを特徴とする炉間シール装置。

【０００８】 前記の炉間シール装置において、シールボックスの各面に設けられるシール 材を各面ずつ別々に取付け可能とし、かつ各面の位置調整が別々にできる調整金 具を設けたことを特徴とする炉間シール装置。

【０００９】

【作用】

本考案における炉間シール装置においては、シールボックスの先端に設けた、 可撓性を有するシール材により、各ロールや金属帯との間隔を微小に設置でき、 万一シール材がロールや金属帯と接触しても、ロールや金属帯に疵がつくことは ない。またシールロールとシールボックスとの合わせた効果により、ロール室の 炉への出入口と搬送ロールとの間の隙間をほぼ完全にシールでき、炉からのロー ル室へのガスの流入を防いでいる。

【００１０】 また、シール材をシールボックスの各面ごとに別々に取付け可能とし、各々上 下左右に調整金具で位置調整ができる様にしているので、シールボックスと各ロ ールとのセッティングによって生じた微妙な隙間のずれをシールできる。

【００１１】 更には、シールロールを搬送ロールと共に熱変動の少ないロール室内に設けた ので、両者の熱変形が安定しており、シール性の安定があると共に金属帯の蛇行 も低減できる。

【００１２】

【実施例】

以下本考案を図面により説明する。図１〜図４において、図５と同一部分につ いては同一符号を付し、説明を省略する。図１〜図４において、５は本考案のシ ール材（例えば耐熱ファイバー、シリカクロス、アルミナファイバクロス等）、 ９はシール材５の位置調整を行なう調整金具（例えばボルト等）である。

【００１３】 図１は本考案の実施例を示すもので、直火加熱炉２と間接加熱炉３を下部で連 通しているロール室４の中に設けられた搬送ロール７と、搬送ロール７に対向し て設けられたシールロール８とに向かって、直火加熱炉２の出口からシールボッ クス６が箱状に延設されており、シールボックス６の先端に、本考案のシール材 ５が設置されている。

【００１４】 図２はシールボックス６及びシール材５の斜視図であり、図３はシール材５を 用いたシール部分の拡大図である。これらの図においてシール材５は、シールボ ックス６をロール室４内に据付後、搬送ロール７、シールロール８との隙間を測 定し、各部材の熱膨張や振動等を考慮した上で、シールボックス６の各面ごとに 隙間が最小となるように取付けている。なお、万一鋼帯１や各ロールにシール材 ５が接触しても、疵のつく心配がほとんどない。そして、一旦シール材５を取り 付けてしまえば、操業時十分なシール性を発揮する。また、ロール径を変更する 場合はシール材５の取付け位置を変更するだけでよい。

【００１５】 図４は本考案の他の実施例を示すもので、ロール室４内の搬送ロール７、シー ルロール８、シールボックス６の取付位置を変えて鋼帯１の搬送方向を変えたも のである。

【００１６】 図６は従来のシール装置を使用した時の直火加熱炉と間接加熱炉での炉圧の変 化を示した図であり、図のＡ部において、直火加熱炉の炉圧が急増した時には直 火加熱炉内より排ガスが間接加熱炉内に流入し、間接加熱炉の炉圧が増大して鋼 帯の酸化を生じている。これに対し、図７は本考案を使用した時の直火加熱炉と 間接加熱炉での炉圧の変化を示した図であるが、図のＢ部において直火加熱炉で 炉圧が急増しても、シール装置の効果により、直火加熱炉の雰囲気の流入がほと んどなく、これによる鋼帯の酸化および間接加熱炉の炉圧にはほとんど影響を与 えていないので、間接加熱炉の炉圧が大きく変動することに伴う他の炉帯域との 雰囲気ガスの置換もなく、この結果、鋼帯の酸化の発生は無く、鋼帯表面を清浄 に保つことができる。

【００１７】

【考案の効果】

以上のように、本考案によれば、直火加熱炉と間接加熱炉などの異なる雰囲気 を遮断すること、あるいは炉圧の異なる炉のシールの強化に有効で雰囲気の置換 、外気の侵入を防止でき、金属帯表面を清浄に保つことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例を示した断面図である。

【図２】本考案におけるシールボックス及びシール材の
斜視図である。

【図３】本考案におけるシール材を用いたシール部分の
拡大図である。

【図４】本考案の他の実施例を示した断面図である。

【図５】従来例を示した断面図である。

【図６】従来のシール装置を使用した時の連続熱処理炉
の炉圧を示した図である。

【図７】本考案を使用した時の連続熱処理炉の炉圧を示
した図である。

【符号の説明】

１ 鋼帯 ４ ロール室 ５ シール材 ６ シールボックス ７ 搬送ロール ８ シールロール ９ 調整金具

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 雰囲気又は炉圧の異なる二つの炉を接続
   するロール室内に設けられる炉間シール装置であって、
   ロール室内に設けられた搬送ロールに対向して設けられ
   たシールロールと、ロール室の炉への出入口から搬送ロ
   ールおよびシールロールに向って箱状に延設されその先
   端部が両ロールと微小な間隔をもってその周縁に沿うよ
   うに形成されたシールボックスを有してなり、シールボ
   ックスの先端部が可撓性を有するシール材で形成されて
   いることを特徴とする炉間シール装置。
2. 【請求項２】 請求項１の炉間シール装置において、シ
   ールボックスの各面に設けられるシール材を各面ずつ別
   々に取付け可能とし、かつ各面の位置調整が別々にでき
   る調整金具を設けたことを特徴とする炉間シール装置。