JPH0733386A - クレーンの過負荷防止装置 - Google Patents

クレーンの過負荷防止装置

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JPH0733386A
JPH0733386A JP17685093A JP17685093A JPH0733386A JP H0733386 A JPH0733386 A JP H0733386A JP 17685093 A JP17685093 A JP 17685093A JP 17685093 A JP17685093 A JP 17685093A JP H0733386 A JPH0733386 A JP H0733386A
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booms
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splicing
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JP17685093A
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Kenju Fujita
健樹 藤田
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Hitachi Construction Machinery Co Ltd
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Hitachi Construction Machinery Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 継ぎブームの組立ての際、その組合せや連結
順序がメーカの指定どおりに遵守されるようにして、ク
レーンの過負荷防止装置の誤動作を防ぐ。 【構成】 少なくとも長さ及び重量のうちの一方が異な
る複数種類の継ぎブーム2,3を規定の組合せと連結順
序で連結して所望の長さのブーム22を現場で組立て設
置するクレーンに用いる過負荷防止装置において、継ぎ
ブーム2,3の各記憶装置10に記憶している継ぎブー
ムの長さや重量に関するデータを、対応する各ケーブル
10を通じて演算装置8の演算部に送り、これにより得
られる継ぎブームの組合せと連結順序に関するデータ
を、基準データ演算装置8の基準データ記憶部に記憶し
ている継ぎブームを連結するための継ぎブームの規定の
組合せと連結順序に関する基準データと比較し、両デー
タが合致していないときに安全装置を作動させるように
することにより、ブーム22の組立ての際、継ぎブーム
の組合せや連結順序に誤りが生じないようにする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、各種規格の継ぎブーム
を適当数、連結することによりブームの全長を所望の長
さに伸長できるようにしたクレーンの過負荷防止装置に
関する発明で、安全性の向上を図るようにしたものであ
る。
【0002】
【従来の技術】都市開発及び地域開発の進展に伴ってク
レーンを使用する作業現場も多様化し、より大きな作業
範囲を確保することができるクレーンへの需要が高まっ
ている。そのため、クレーンについては、そのブームを
必要に応じて可能な限り長くできるようにすることがユ
ーザサイドから要求されている。このような要求に応え
られるクレーンとして、現在、ブームをテレスコピック
に伸縮できるようにした伸縮ブーム方式のクローラクレ
ーンや継ぎブーム方式のクローラクレーンが存在する。
継ぎブーム方式のクローラクレーンとは、端的にいう
と、継ぎブームと称する長さや重量等の異なる各種規格
の単位ブーム片を多数取り揃えておき、これら各種規格
の単位ブーム片を取捨選択して作業現場で継ぎ足すこと
により、ブームの全長を所望の長さに伸長できるように
したものである。本発明は、これら二種のタイプのクレ
ーンのうち継ぎブーム方式のクローラクレーンについ
て、安全性を高めるようにその過負荷防止装置を改良し
ようとするものである。
【0003】そこで、この継ぎブーム方式のクローラク
レーンについて、従来から用いられていた一般的なもの
の技術内容を、図4乃至図10に基づいて説明する。図
4は、従来の一般的なクローラクレーンの全体像を表す
側面図、図5は、継ぎブームに関する図4のA−A線断
面図、図6は、クローラクレーンの作業半径Rと定格荷
重WRの関係をグラフに表した図,図7は、ブーム水平
起立能力について説明するためのクローラクレーンの概
略側面図、図8は、ブームに吊り荷重WLを加えた場合
に作用する圧縮力Pを求めるための力の多角形を示す
図、図9は、ブームを圧縮力Pを受ける単純支持柱にモ
デル化した図、図10は、継ぎブームについて二種類の
連結方式を例示した概略図である。
【0004】図4を中心にして、クローラクレーンの基
本的な構成について説明すると、21は車輪の周りを回
転する一対のエンドレス軌道に搭載された自走クレーン
であるクローラクレーンの本体、22は本体21の前部
に俯仰可能に取り付けられた継ぎブーム方式のブーム、
23はこのブーム22の頂部に連結されブーム22を起
立させて支持するための起伏ロープで、ウインチ24で
巻き取ることによりブーム22を所定の角度で起立させ
て支持することができる。25はブーム22の頂部の滑
車を介して掛け回された吊り荷5を吊るための巻上げロ
ープ、26はこの巻上げロープ25の先端に設けた吊り
荷5を引っ掛けるためのフック、27は巻上げロープ2
5を巻き取ったり巻き戻したりするためのウインチで、
これを駆動することによりフック26に引っ掛けた吊り
荷5を上下に移送する。
【0005】次に、図4、図5を中心にして、継ぎブー
ム方式のブーム22の構成について説明すると、1は本
体21の前部に予め俯仰可能に取り付けられ継ぎブーム
を連結できるようにした下ブーム、2は第1の規格の継
ぎブーム、3はこれとは異なる規格の第2の規格の継ぎ
ブーム、4は頂部に滑車が取り付けられブーム22の最
上部をなす部材である上ブームである。これら下ブーム
1、継ぎブーム2、継ぎブーム3、上ブーム4は,連結
点n1,n2,n3,n4,の個所で順次連結されており、
その連結はピン又はボルト等で行われる。図4では、継
ぎブームについて、二種類のものしか図示していない
が、勿論、多種類のものを備え付けておくことができ
る。また、継ぎブームは、互換性さえあれば、他のクロ
ーラクレーンのものを共用できる。これらユニット部品
としての継ぎブーム2,3及び上ブーム4や下ブーム1
の構造についてみると、これらのブーム1,2,3,4
は、図4及び図5から明らかなように、ブーム22の長
さ方向に延びその四隅を形成する主材間距離がaの4個
の主材と、相対向する主材11間に斜めに掛け渡される
多数の斜材12とでボックス形に構成されており、この
種の構造のブームを通称ラチスブームと呼んでいる。
【0006】安全性が徹底的に要求されるクローラクレ
ーンにおいては、以上のような構成に加え、作業中に過
大な吊り荷が吊られるのを防ぐために過負荷防止装置を
不可欠の構成として備えている。この従来のクレーンに
おける過負荷防止装置について言及すると、クローラク
レーンに過大な吊り荷重を加えた場合には、本体21を
支点としてその機体を傾けるようなモーメントすなわち
転倒モーメントが作用して機体の安定度に問題が生じ
る。クローラクレーンにおいては、このような機体の安
定度を考慮してその転倒を防止する観点から、クローラ
クレーンに加え得る吊り荷重WLの限界値が設定されて
おり、このように設定された吊り荷重WLの限界値を定
格荷重と称している。定格荷重は、クローラクレーンの
本体21の寸法、重量やブーム22の傾斜角度が一定で
も、ブーム22の長さL換言すると作業半径Rが変化す
れば、転倒モーメントの値も変わるので、作業半径Rに
応じて異なった値になる。具体的にいうと、図6に示す
ように、クローラクレーンの定格荷重WRは、作業半径
Rが大きいほど小さく、作業半径Rが小さいほど大きく
なり、一義的には定まらない。そして、クローラクレー
ンにおいは、吊り荷を移送する作業時に、この定格荷重
を超えた荷重の吊り荷が吊られると、クローラクレーン
が転倒するというきわめて危険な事態が生じるので、安
全装置としての過負荷防止装置を設けることが不可欠の
こととされている。
【0007】この過負荷防止装置の構成について述べる
と、図4において、6はブーム22の傾斜角度を検出す
るための角度検出器、7はフック26に吊り荷5を引っ
掛けて吊り荷重WLを加えた際に起伏ロープ23に加わ
る張力を検出するための張力検出器で、角度検出器6で
検出されたブーム22の傾斜角度は、ブーム2の長さL
と相俟って作業半径Rを算出するための基礎になり、張
力検出器7で検出された起伏ロープ23に加わる張力
は、吊り荷重WLを算出するための基礎になる。8はこ
のような角度検出器6で検出された傾斜角度や張力検出
器7で検出された張力に基づいて作業半径Rや吊り荷重
WLを演算したり、その演算結果を定格荷重と比較した
りするための過負荷防止装置における演算装置であり、
その比較の結果、吊り荷重WLが定格荷重WRを超えて
いた場合には、警報装置や自動停止機構等の安全装置を
作動させる。過負荷防止装置は、これらの構成のほか、
このように角度検出器6で検出された傾斜角度や張力検
出器7で検出された張力に基づいて吊り荷重WLを演算
できるようにするためのデータやその演算結果と比較さ
れる定格荷重WR等に関するデータを格納している記憶
装置を備えているが、この記憶装置は、適宜別データの
ものと交換して使用できるように、カセットとして備え
付けられている。すなわち、継ぎブーム方式のクローラ
クレーンにおいては、連結に用いる各種規格の継ぎブー
ムの組合せ方によりブーム22の長さLを変えられるよ
うにしており、その長さLを変えれば、後述するよう
に、定格荷重WRも異なる値となるので、その記憶装置
をカセットで各種取り揃えておくことにより、ブーム2
2の長さLに応じて過負荷防止のための必要なソフトが
適宜セットできるようにされている。
【0008】継ぎブーム方式のクローラクレーンは、以
上のような構成を備えており、これを用いて作業を開始
する場合には、所望の作業半径Rが得られるよう各種の
継ぎブーム2,3の中から所定のものを上ブーム4下ブ
ーム1間に所定の順序で連結して所望の長さLのブーム
22を組み立て、しかる後、起伏ロープ23を本体21
内のウインチ24で巻き取ることによりブーム22を図
4に示されているように所定の傾斜角度でを起立させ
る。その場合に、過負荷防止装置の記憶装置をなすカセ
ットのうち、組み立てられたブーム22の長さLに適合
するものをクレーンに装着する。このような準備をした
後、吊り荷5の移送作業を行い、その過程で、吊り荷5
の荷重WLが定格荷重WRを超えた場合には、過負荷防
止装置が働いて、演算装置8からの指令により警報が発
せられたり、クレーンを駆動できなくしたりする等安全
装置が作動する。
【0009】発明の詳細な説明の冒頭で述べたように、
クローラクレーンについては、そのブーム22を可能な
限り長くできるようにすることがユーザサイドから要求
されているが、ブーム22の長さLを長くすると、転倒
モーメントも当然増大するから、その長さLを長くする
にしても、自ずから限界がある。このブーム22の長さ
Lの限界は、本体安定モーメントから求められるブーム
水平起立能力により決定される。この点を分かりやすく
説明するため、クローラクレーンが図7のような姿勢に
置かれていることを想定して、ブーム水平起立能力に関
係するファクタを数式をもって表すと、次式のように表
すことができる。
【0010】 本体安定モーメントMs=l1 ×W ‥‥‥‥‥‥(1) ブーム転倒モーメントMT =l2 ×WF ‥‥‥‥(2) 前(1),(2)式において、 l1 ;本体21の転倒支点B(接地最先端部)からその
重心までの距離 l2 ;本体21の転倒支点Bからブーム22の重心まで
の距離 W;本体21の重量 WF;ブーム22の重量 前(1),(2)式を用いて水平起立条件を表すと、次
の(3)式のとおりになり、ブーム22の長さは、この
(3)式を満たす限度においてしか長くすることができ
ない。
【0011】Ms>MT ‥‥‥‥‥(3) 前(3)式における本体安定モーメントMsは、本体2
1の仕様により一義的に定まる要素であるから、ブーム
22の長さLをできるだけ長くするためには、前(2)
式から明らかなように、ブーム22を、強度に支障の生
じない範囲でできるだけ軽くする必要がある。その強度
について考察するため、ブーム22に吊り荷重WLを加
えた場合に作用する応力をみると、ブーム22には、図
8に示すように圧縮力Pが作用し、これを材料力学的に
モデル化すると、ブーム22は、図9に示すように、両
端に圧縮力Pが作用する単純支持柱にモデル化すること
ができる。このようにモデル化されたブームの座屈荷重
Pcrは、次の(4)式により求めることができる。
【0012】Pcr=π2EI/L2 ‥‥‥‥‥(4) 前(4)式において、 π;円周率 E;縦弾性係数 I;ブーム22の断面二次モーメント L;ブーム22の長さ そして、前(4)式におけるブーム22の断面二次モー
メントIは、次の(5)により求めることができる。
【0013】I=4×i+a2×A ‥‥‥‥‥(5) 前(5)式において i;主材11一本の断面二次モーメント a;主材11間の距離 A;主材11一本の断面積 前(4),(5)式から、ブーム22の座屈荷重Pcr
は、ブーム22の長さが一定なら、主材11の断面積A
に比例することが理解でき、かつ、この主材11の重量
も同様にその断面積Aに比例することは明らかであるか
ら、ブーム22の長さLをできるだけ長くするために
は、定格荷重WRに十分に耐えられる限度内、すなわ
ち、定格荷重WRによる座屈荷重Pcrに耐えられる限
度内で主材11の断面積Aをできるだけ減少させ、これ
によりブーム22の重量を減少させるようにすればよ
い。一方、その定格荷重WRは、図6に示すように、作
業半径Rが大きいほどすなわちブーム22の長さLが長
いほど小さくなるのであるから、このようにブーム22
の長さLを長くしたい場合には、主材11の断面積Aを
減少させる余地がある。
【0014】継ぎブーム方式のクローラクレーンは、こ
のような設計思想のもとに製作されたものであって、主
材の断面や長さが異なる複数種類の継ぎブームを所定数
用意しておき、これらのもの中から適当なものを組み合
わせ上ブームと下ブームとの間に合理的な順序で連結し
て、軽いブームを組み立て得るようにし、これにより、
ブームの長さを必要に応じて長くできるようにしたもの
である。図10は、この継ぎブームの連結方式の例を示
したもので、同図の上方には、下ブーム1と上ブーム4
との間に、主材11の断面の大きいブーム2だけを連結
して短いブームを組み立てた例が示されており、同図の
下方には、このようなブームの上ブーム4の下端と継ぎ
ブーム2の上端との間に主材11の断面の小さいブーム
を継ぎ足して長いブームを組立てた例が示されている。
この後者の例から明らかなように、複数種類の継ぎブー
ムを連結する場合には、下方に大きい応力が作用するた
め、強度の強く重いものが下方にくるようにし、上方に
は、ブーム転倒モーメントMT を小さくするため、強度
が弱く軽量のものがくるようにする。継ぎブーム方式の
クローラクレーンにおいては、このように複数種類の継
ぎブーム中の適当なものを組み合わせて適宜の連結順序
で連結するため、同一長さのブームを組み立てる場合で
も、組み合わせる継ぎブームの種類や連結順序によっ
て、ブーム転倒モーメントMT が変化して定格荷重WR
も変動するとともに、ブームの強度も変動する。その結
果、安全装置としての過負荷防止装置をブームの長さに
対応してカセットで各種取り揃えたとしても、継ぎブー
ムの連結方式如何によっては、安全が確保できなくな
る。また、同一長さのブームを組み立てる場合でも、そ
の幾通りかの連結方式の中には、力学上合理的でないも
のも数多くある。そのため、メーカでは、このようなク
レーンを発売する際、組み立てるブームの長さごとに、
継ぎブームの組合せや連結順序をマニュアルに規定し、
そのマニュアルに規定した継ぎブームの連結方式をユー
ザに遵守させるようにしていた。そして、このマニュア
ルに従ってクレーン作業を行うかぎり過負荷防止装置
は、本来の機能を発揮して安全性が確保されることにな
る。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、継ぎブ
ーム方式のクローラクレーンにおいて、ブームの組立て
がこのようにマニュアルの規定に従って正しく実施され
るか否かは、ユーザの管理体制や作業者個人の資質に委
ねられていたため、それが常に間違いなく実施されると
いう保証はない。例えば、作業現場が立て込んでいてそ
の組立て後の確認が不十分であったり、慣れにより勘違
いが生じたりすることにより、組立てミスが発生する事
態も想定され、このような事態が発生すると、過負荷防
止装置は、作動の前提条件に変動を来して、その本来の
機能が発揮できないことなり、重大な事故を発生する恐
れがある。安全性が限りなく要求されるクレーンにおい
ては、このような事態も想定して、事故の発生を極力回
避するようにすることが肝要である。
【0016】本発明は、このような従来の技術にみられ
る危惧を解消し、継ぎブームを組み立てる際、その組合
せや連結順序がメーカの指定するとおりに遵守されるよ
うにして、本来の機能が常に発揮できるようにしたクレ
ーンの過負荷防止装置を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明のこのような目的
は、「少なくとも長さ及び重量のうちの一方が異なる複
数種類の継ぎブームが備え付けられており、これらの継
ぎブームを適当数、規定の組合せと連結順序で連結して
所望の長さのブームを現場で組立て設置するクレーンに
用いる過負荷防止装置において、各継ぎブームにそれぞ
れ設けられ継ぎブームの種類を識別可能にする識別情報
を記憶している各識別情報記憶装置と、この各識別情報
記憶装置と演算装置とを接続して、各識別情報記憶装置
で記憶している識別情報を、各継ぎブームの連結順序が
識別できるように演算装置に伝達するための情報伝達手
段と、継ぎブームを連結するための継ぎブームの規定の
組合せと連結順序に関する基準データを記憶している基
準データ記憶部とを備え、継ぎブームの連結時に、連結
される継ぎブームの各識別情報記憶装置と演算装置とを
情報伝達手段で接続することにより、その連結される継
ぎブームについて、継ぎブームの組合せ及び連結順序に
関するデータが演算装置で得られるようにし、演算装置
では、この継ぎブームの組合せ及び連結順序に関するデ
ータを、基準データ記憶部から呼び出される継ぎブーム
の規定の組合せと連結順序に関する基準データと比較
し、この基準データに合致していないときに安全装置を
作動させるようにしたことを特徴とする」特許請求の範
囲に記載されているとおりのクレーンの過負荷防止装置
により達成される。
【0018】
【作用】複数種類の継ぎブームが備え付けられており、
これらの継ぎブームの適当数をを連結して所望の長さの
ブームを組み立て設置するクレーンにおいては、そのブ
ームを組立てようとする場合、予め規定されている組合
せと連結順序に従って継ぎブームを連結してブームを組
み立てることが必要であるが、本発明のクレーンの過負
荷防止装置は、前記のような構成を備えているので、そ
の継ぎブームの連結時に、連結される継ぎブームの各識
別情報記憶装置と演算装置とを情報伝達手段で接続する
ことにより、その連結される継ぎブームについて、継ぎ
ブームの組合せ及び連結順序に関するデータが演算装置
で得られることになり、この継ぎブームの組合せ及び連
結順序に関するデータは、基準データ記憶部から呼び出
される継ぎブームの規定の組合せと連結順序に関する基
準データと演算装置で比較され、もし、継ぎブームが規
定された組合せと連結順序に従って連結されていない
と、この基準データと合致しないことになり、このよう
なときには、演算装置が安全装置を作動させて事故発生
を予防する。
【0019】
【実施例】本発明の実施例を図1乃至図3に基づいて説
明する。図1は、本発明の実施例の過負荷防止装置を設
けたクローラクレーンの全体像を表す側面図、図2は、
本発明の実施例のクレーンの過負荷防止装置における継
ぎブームの属性情報に関するデータを記憶させる記憶装
置の斜視図、図3は、本発明の実施例のクレーンの過負
荷防止装置に関するブロック線図である。図1乃至図3
において、すでに説明の図4乃至図10の符号と同一の
符号を付けた部分は、これらの図面と同等の部分を表し
ているので、説明の重複を避けるため詳述しない。
【0020】図1乃至図3において、9は下ブーム1、
継ぎブーム2,3、上ブーム4にそれぞれ取り付けられ
これら各ブーム1,2,3,4の長さや重量のような属
性情報に関するデータを記憶させてその種類を識別可能
にする記憶装置、10はこれらの各記憶装置9と演算装
置8とをそれぞれ接続し各記憶装置9に記憶している属
性情報に関するデータを演算装置8に電気信号として出
力して属性情報を伝達するためのケーブルである。継ぎ
ブーム2,3の長さは、ブーム22の長さLを決定する
要素であり、継ぎブーム2,3の重量は、その長さと相
俟ってブーム転倒モーメントMTを左右する要素であっ
て、何れも、継ぎブームの種類を分ける本質的な要素で
あるので、継ぎブームは、これらの要素の少なくとも一
方が異なれば、別の種類のものとして取り扱われる。従
って、記憶装置9には、継ぎブーム2,3の長さや重量
のような属性情報に関するデータを、継ぎブームの種類
を識別するための識別情報として記憶させているが、要
は、継ぎブームの種類が識別できればよいのであるか
ら、記憶装置には、継ぎブームの種類を直接的に識別す
るこれら長さや重量のようなデータのほか、継ぎブーム
の種類を間接的に識別可能にするための背番号のような
データを識別情報として記憶させてもよい。記憶装置9
は、具体的には図2に示すような態様で各ブーム1,
2,3,4に取り付けられており、この記憶装置9に
は、ケーブル10の分岐路に設けられたコネクタ10a
を装着することによりケーブル10を連結する。なお、
下ブーム1、上ブーム4が別の規格のものに永久的に交
換されない限り、その属性情報は確定していて不変であ
るので、これらのブーム1,4については、このような
記憶装置9を必ずしも設ける必要はない。
【0021】図3は、このような記憶装置9が設けられ
た各ブーム1,2,3,4を多数連結してブーム22を
組み立てた際、各ブーム1,2,3,4の記憶装置9と
演算装置8とがケーブル10により全体としてどのよう
に接続されるのかを容易に理解できるように図示したも
のである。同図には、継ぎブーム2,3を下ブーム1及
び上ブーム4を含めて11個連結してブーム22を組み
立てる際、これらに設けた各記憶装置9を過負荷防止装
置の演算装置8に接続する場合のケーブル10の接続方
式が示されている。下方から上方に順次連結されている
11個のブーム1,2,3,4にそれぞれ設けた各記憶
装置9は、対応するNo1〜No11の各ケーブル10
により上から下へと順番に演算装置8の各端子に接続さ
れていて、各ブーム1,2,3,4の属性情報に関する
データは、各ケーブル10を通じて同演算装置8に出力
されるようになっている。各記憶装置9に記憶されてい
る属性情報に関するデータは、ケーブル10のこのよう
な接続方式により演算装置8に出力するようにされてい
るため、各ブーム2,3,4,5がどのような連結順序
で連結されているのかを演算装置8で識別することがで
きる。したがって、各記憶装置9に対応して設けられて
いるNo1〜No11のケーブル10は、各記憶装置9
に記憶している属性情報を演算装置8に伝達する情報伝
達手段であると同時に、その属性情報を、継ぎブームの
連結順序が識別できるように演算装置に伝達する役割も
果たしている。なお、この図3には、角度検出器6や張
力検出器7が図示されているが、これらの検出器6,7
は、「従来の技術」の項ですでに述べたような働きをす
るものであって、本実施例の装置に直接的に関連する構
成ではないので、これらについては説明を省略する。
【0022】一方、図示はしていないが、演算装置8に
は、演算部のほか、メーカがマニュアルに定めた継ぎブ
ームの連結方式に関するデータを格納する基準データ記
憶部が設けられ、継ぎブームを連結するための継ぎブー
ムの規定の組合せと連結順序に関する基準データが記憶
されている。このような基準データ記憶部は、前述した
カセットとして備え付けられている定格荷重等のデータ
を記憶した記憶装置に設けてもよく、これをどこに設け
るかは、設計上適宜選択できることである。演算装置8
においては、前記したように、11個の記憶装置9が対
応するNo1〜No11のケーブル10により各端子に
接続されているため、連結されている継ぎブームについ
て、継ぎブームの組合せ及び連結順序に関するデータが
得られ、そのデータは、演算装置8の演算部において、
基準データ記憶部から呼び出される継ぎブームの組合せ
と連結順序に関する基準データと比較されて、その基準
データの何れかに合致しているか否かが照合され、その
基準データの何れとも合致していないときには、安全装
置を作動させる信号を出力する。その安全装置は、警報
装置であっても作動停止機構であってもよく、さらに
は、過負荷防止装置の安全装置で兼用してもよい。
【0023】本実施例のクレーンの過負荷防止装置は、
以上のような構成を備えているので、継ぎブーム2,3
を連結して所望の長さのブーム22を組み立てようとす
る場合、その長さのブームを得るためのマニュアルに規
定された継ぎブームの連結方式をみながら、規定の組合
せと連結順序に従って継ぎブーム2,3を連結する。同
時に、各ブーム1,2,3,4に設けられている記憶装
置9に各ケーブル10を、ナンバーの若いものから順番
にその記憶装置の数だけ接続する。そうすると、各ケー
ブル10を通じて継ぎブームの種類を識別するための長
さや重量に関するデータが演算部に送られるが、そのデ
ータとデータが送られるケーブル10のナンバーとから
継ぎブームの組合せと連結順序が特定できるので、演算
部では、その継ぎブームの組合せと連結順序が基準デー
タ記憶部に記憶されている基準データのそれと合致して
いるか否かが比較される。その結果、もし、その継ぎブ
ームの組合せと連結順序が基準データ記憶部に記憶され
ているものの何れとも合致していないときには、ブーム
22がマニュアルに規定された組合せと連結順序で組み
立てられていないことになるので、演算装置8から安全
装置を作動させるための信号を出力して同装置を作動さ
せ、警報を発したり、クレーンの操作を不能にしたりす
る等して警告する。したがって、本実施例の装置によれ
ば、継ぎブーム2,3を連結して所望の長さLのブーム
22を現場で組み立てる場合に、マニュアルに規定さた
とおりの組合せと連結順序で常に組み立てられて組立て
ミスが発生する恐れはなくなる。その結果、過負荷防止
装置は、本来の機能を常に発揮してクレーンの転倒事故
の発生を防止することができる。
【0024】本実施例の装置では、記憶装置に記憶させ
る識別情報として、継ぎブームの種類を分ける本質的な
要素である継ぎブームの長さ及び重量の属性情報を記憶
させるようにしているので、他機種のクレーンの継ぎブ
ームであっても、その記憶装置にこのような属性情報を
記憶させておけば、異なる機種間の継ぎブームを互いに
安心して共用することが可能となり、互換性の良好でか
つ安全性でも優れたクレーンを提供することができる。
本実施例の装置では、基準データ記憶部が演算装置8に
設けられているが、この記憶部を、前述したカセットと
して備え付けられている定格荷重等のデータを記憶した
記憶装置に設けるようにすれば、そのカセットには、定
格荷重等のデータと同様に、所定長さのブーム22に関
するデータだけが記憶されることになり、その所定長さ
以外のブーム22を組み立てるための継ぎブームの連結
方式に関する基準データは記憶されないことになるの
で、組合せや連結順序を間違えた場合だけではなく、組
み立てるブーム22の長さLを間違えた場合でも、安全
装置が作動することとなり、クレーン作業の安全性が一
層向上する。
【0025】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
は、特許請求の範囲に記載されている構成、特に、クレ
ーンの過負荷防止装置に、「各継ぎブームにそれぞれ設
けられ継ぎブームの種類を識別可能にする識別情報を記
憶している各識別情報記憶装置と、この各識別情報記憶
装置と演算装置とを接続して、各識別情報記憶装置で記
憶している識別情報を、各継ぎブームの連結順序が識別
できるように演算装置に伝達するための情報伝達手段
と、継ぎブームを連結するための継ぎブームの規定の組
合せと連結順序に関する基準データを記憶している基準
データ記憶部とを備え」るようにした構成を採用してい
るので、複数種類の継ぎブームが備え付けられているク
レーンにおいて、継ぎブームを適当数、規定の組合せと
連結順序で連結して所望の長さのブームを現場で組み立
て設置しようとする場合に、組立てミスが発生するとい
う従来の技術にみられる危惧は解消され、その組合せや
連結順序がメーカの指定するとおりに常に遵守されて、
本来の機能が常に発揮できるようにしたクレーンの過負
荷防止装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の過負荷防止装置を設けたクロ
ーラクレーンの全体像を表す側面図である。
【図2】本発明の実施例のクレーンの過負荷防止装置に
おける継ぎブームの属性情報に関するデータを記憶させ
る記憶装置の斜視図である。
【図3】本発明の実施例のクレーンの過負荷防止装置に
関するブロック線図である。
【図4】従来の一般的なクローラクレーンの全体像を表
す側面図である。
【図5】継ぎブームに関する図4のA−A線断面図であ
る。
【図6】クローラクレーンの作業半径Rと定格荷重WR
の関係をグラフに表した図である。
【図7】ブーム水平起立能力について説明するためのク
ローラクレーンの概略側面図である。
【図8】ブームに吊り荷重WLを加えた場合に作用する
圧縮力Pを求めるための力の多角形を示す図である。
【図9】ブームを圧縮力Pを受ける単純支持柱にモデル
化した図である。
【図10】継ぎブームについて二種類の連結方式を例示
した概略図である。
【符号の説明】
1 下ブーム 2 継ぎブーム 3 継ぎブーム 4 上ブーム 5 吊り荷 6 角度検出器 7 張力検出器 8 演算装置 9 記憶装置 10 ケーブル 10a コネクタ 11 主材 12 斜材 22 ブーム

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも長さ及び重量のうちの一方が
    異なる複数種類の継ぎブームが備え付けられており、こ
    れらの継ぎブームを適当数、規定の組合せと連結順序で
    連結して所望の長さのブームを現場で組立て設置するク
    レーンに用いる過負荷防止装置において、各継ぎブーム
    にそれぞれ設けられ継ぎブームの種類を識別可能にする
    識別情報を記憶している各識別情報記憶装置と、この各
    識別情報記憶装置と演算装置とを接続して、各識別情報
    記憶装置で記憶している識別情報を、各継ぎブームの連
    結順序が識別できるように演算装置に伝達するための情
    報伝達手段と、継ぎブームを連結するための継ぎブーム
    の規定の組合せと連結順序に関する基準データを記憶し
    ている基準データ記憶部とを備え、継ぎブームの連結時
    に、連結される継ぎブームの各識別情報記憶装置と演算
    装置とを情報伝達手段で接続することにより、その連結
    される継ぎブームについて、継ぎブームの組合せ及び連
    結順序に関するデータが演算装置で得られるようにし、
    演算装置では、この継ぎブームの組合せ及び連結順序に
    関するデータを、基準データ記憶部から呼び出される継
    ぎブームの規定の組合せと連結順序に関する基準データ
    と比較し、この基準データに合致していないときに安全
    装置を作動させるようにしたことを特徴とするクレーン
    の過負荷防止装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2019044500A (ja) * 2017-09-04 2019-03-22 鹿島建設株式会社 ダムの構築方法

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