JPH0733276A - 紙葉類繰出し自動調整機構 - Google Patents

紙葉類繰出し自動調整機構

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JPH0733276A
JPH0733276A JP5176487A JP17648793A JPH0733276A JP H0733276 A JPH0733276 A JP H0733276A JP 5176487 A JP5176487 A JP 5176487A JP 17648793 A JP17648793 A JP 17648793A JP H0733276 A JPH0733276 A JP H0733276A
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JP
Japan
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signal
fuzzy
bill
roller
feeding
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JP5176487A
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English (en)
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Masayasu Sato
正康 佐藤
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Oki Electric Industry Co Ltd
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Oki Electric Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 紙葉類の安定した高速繰り出しを可能とし、
しかも作業員による保守点検や再調整をなくした紙葉類
繰出し自動調整機構を提供する。 【構成】 搬送状態検出手段10、11により、搬送さ
れる紙葉類の繰り出しピッチや斜行量などの搬送状態を
検出し、この検出データをもとに第1のファジィ演算手
段15により対向状態調整手段9の適正状態からのズレ
を補正するための制御信号を求めると共に、紙幣処理枚
数の累積値をもとに、機構部材の経年変化によるフィー
ドローラ4とゲートローラ5の対向状態の最適値の変動
を修正する修正信号を第2のファジィ演算手段19によ
り求め、制御信号と修正信号とを加算することによって
対向状態調整手段9の駆動信号を得るようにしたもので
ある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、金融機関などで利用さ
れ、紙幣(以下、紙葉類と称することもある)を1枚ず
つ繰り出し、走行させながらその通過枚数、真偽及び金
種などを検出するための複数の光学センサ及び磁気セン
サを備えた紙幣自動取扱い装置における紙幣繰り出し機
構に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、銀行等の金融機関の窓口業務合理
化のため自動入金機や自動出金機あるいは自動入出金機
(以下、これらの機器を総称して紙幣自動取扱い装置と
呼ぶ)が使用されている。一般に、紙幣自動取扱い装置
は、紙幣を1枚ずつ分離し、繰り出す紙幣繰り出し機構
と、繰り出された紙幣を、ベルトやローラなどで所定の
場所へ搬送する紙幣搬送系と、さらに搬送中の紙幣の通
過枚数、真偽及び金種などを認識判別するために不可欠
な情報である光学的パターン、磁気量パターンを検出す
る複数のセンサが配置されている紙幣認識部と、認識部
で正規紙幣と判断された紙幣を金種ごとに保管しておく
紙幣収納部と正規紙幣と判断されずリジェクトされた紙
幣を保管しておくリジェクトプールとを備えている。
【0003】紙幣自動取扱い装置においては、従来よ
り、高速で、正確に紙幣の真偽、金種、枚数、折れ曲が
り状態などを判別でき、しかも紙幣が途中で折れ曲がっ
たり、破損したりせず、紙づまりによる機能の停止がな
い高信頼、高安定で、小型、低価格の装置が要求されて
いる。特に、金融機関における営業時間(運用時間)の
延長、完全週休2日制の実施による休日運用や無人化運
用にともない故障による機能停止ができるだけ少ない高
安定、高信頼な装置が望まれている。このような紙幣自
動取扱い装置の紙幣処理能力や安定性は、紙幣の分離、
搬送状態に大きく左右される。
【0004】紙幣の分離搬送には、一般に、紙幣の集積
体を紙幣集積板を介してバネ力によりピックアップロー
ラ及びフィードローラに押圧し、該ピックアップローラ
及びフィードローラを回転させることによりローラと紙
幣表面の摩擦を利用して紙幣を1枚ずつ順にフィードロ
ーラとフィードローラに対設して設けられているゲート
ローラとの隙間から繰り出すように構成された、いわゆ
る摩擦分離型紙幣繰り出し機構が用いられているが、隙
間のバラツキや、環境変化、経年変化により隙間が変化
すると、積載された紙幣を分離搬送する際に、紙幣が斜
めに送られたり(以下、斜行と言う)、紙幣の搬送間隔
(以下、繰り出しピッチと言う)が極端に狭まったり、
広がったり、あるいは一度に複数枚の紙幣が繰り出され
たり(以下、重走と言う)することがあった。
【0005】紙幣が斜行したままで搬送されると、斜行
した紙幣のかどが搬送中に装置匡体と接触したり、搬送
系内の分岐点を通過する際に、紙幣のかどが搬送ローラ
やベルトに異常に衝突したりして斜行量が増大したり、
紙幣が折れ曲がったり、さらには破損したりすることが
あるため紙づまりが発生しやすくなる。また、繰り出し
ピッチの異常は、紙幣処理速度に大きな影響を与える
し、重走が起こった場合には、搬送経路内のゲート部や
分岐点などで紙づまりが非常に発生しやすくなる。
【0006】このため、紙幣認識精度の低下、あるいは
認識不能さらには搬送経路内での紙づまりによる機能停
止が起こりやすくなる。そこで、紙幣の斜行や繰り出し
ピッチ異常、重走の発生を抑圧するために、隙間を調整
する機構を設けた紙幣繰り出し機構が主流となってい
る。
【0007】このような調整機構を有した紙幣繰り出し
機構としては、例えば、特公平2−46993で提案さ
れているものがある。この従来の紙幣繰出し機構は、紙
幣が送り出される搬送路の幅方向に対して間隔を以て設
けられ、紙幣に対して抵抗を与える少なくとも一対の抵
抗ローラ(例えば、フィードローラとゲートローラ)
と、この抵抗ローラの抵抗(例えば、フィードローラと
ゲートローラ間の隙間量あるいはフィードローラとゲー
トローラの圧接力)をそれぞれ調整して、紙幣の斜行及
び繰り出しピッチを補正する補正機構を有する紙幣自動
取扱い装置において、通常の現金処理を行うための現金
処理モードと抵抗ローラの調整を行うための調整モード
とを切り替えるモード切り替えスイッチと、搬送路の幅
方向に対して間隔を以て設けられ紙幣の通過の有無を検
知する複数の検知器と、これら検知器の出力信号に基づ
いて紙幣の搬送状態を検知し、紙幣の搬送状態に関する
データを出力する判別部と前記モード切り替えスイッチ
が調整モードを選択している時に、所定枚数の紙幣を搬
送路上に搬送させて、前記判別部から出力されたデータ
を予め設定しておいた基準データと比較することによ
り、紙幣の搬送状態を判断するとともに、その判断結果
を表示部に表示させる制御部とを設けたものである。
【0008】これにより、判別部において、検知器から
の出力信号に基づき紙幣の搬送状態、例えば、各紙幣の
斜行量、繰り出しピッチなどが判別され、さらに、制御
部において、判別部から出力された搬送状態に関するデ
ータを基準データと比較することにより、斜行の有無、
繰り出しピッチの良否などの情報が表示部に表示される
ので、操作者が表示部に表示された情報を参照すること
によって、補正装置を操作して紙幣に対して抵抗を与え
る抵抗ローラの調整を容易かつ確実に行おうというもの
である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記構
成の従来の紙幣繰り出し機構では、以下の(1)、
(2)に示すような問題点があった。 (1) 斜行、紙幣繰り出しピッチのデータが表示され
ても、そのデータをもとに抵抗ローラの調整を最適に行
うのは非常に難しく、熟練者の経験や勘に頼るところが
多く、しかも熟練者でさえ何回もの試行錯誤を行わない
と良好な調整が行えないため調整作業の効率が悪い。 (2) 抵抗ローラの調整は、使用初期(出荷時)にお
いて調整されるが環境状態の変化や経年変化などで抵抗
ローラによる抵抗値が変化し、繰出し状態が初期設定か
らズレてくるため定期的に保守点検して再調整する必要
があるが、保守点検は期間を短く設定しないと有効性が
得られないので、管理作業がたいへん煩わしい。
【0010】本発明は、このような摩擦分離型紙幣繰り
出し機構における問題点を解決すること、すなわち、通
過紙幣の搬送状態を検出することにより、紙幣繰り出し
状態に変化が生じた時は、これを自動的に調整し、さら
に装置の累積稼働時間や紙幣処理枚数の累積値などをも
とにローラ等の機構部材の経時変化による摩擦係数変動
の影響を考慮して微調整することにより紙幣繰り出し状
態を常に適正状態に保ち、紙幣繰り出しピッチの異常変
動や斜行、複数枚繰り出しの無い、常に安定した高速繰
り出しを可能とし、しかも作業員による保守点検や再調
整をなくした紙葉類繰出し自動調整機構を提供すること
を目的とする。
【0011】
【課題を解決する為の手段】本発明の紙葉類繰出し自動
調整機構は前記課題を解決する為に、紙葉類の集積体を
紙葉類集積板を介してピックアップローラ及びフィード
ローラに押圧し、該ピックアップローラ及びフィードロ
ーラを回転させることによりローラと紙葉類表面の摩擦
を利用して前記紙葉類を1枚ずつ分離し、前記フィード
ローラとフィードローラに対向し、紙葉類の複数枚繰出
しを防止するために設けられたゲートローラとの隙間か
ら順に紙葉類を繰り出すように構成された紙葉類繰出し
機構において、前記フィードローラとゲートローラとの
対向状態を可変調整する対向状態調整手段と、繰り出さ
れた紙葉類の搬送状態を検知する搬送状態検知手段と、
該搬送状態検知手段の出力を統計処理し、通過紙葉類の
搬送状態の平均値あるいは平均値と標準偏差値を求める
統計処理手段と、該統計処理手段の出力をもとにファジ
ィ推論により前記対向状態調整手段を駆動制御するため
の制御信号を生成する第1のファジィ演算手段と、紙葉
類の処理枚数を計数し累積する処理枚数計数手段と、該
処理枚数計数手段からの信号をもとに経年変化による前
記フィードローラとゲートローラの対向状態の最適値の
変動を修正するように対向状態調整手段を微調整するた
めの修正信号をファジィ推論により生成する第2のファ
ジィ演算手段と、前記第1のファジィ演算手段からの制
御信号と前記第2のファジィ演算手段からの修正信号を
加算する信号加算手段とを設け、該信号加算手段から出
力される加算信号に基づいて前記対向状態調整手段を駆
動することを特徴とする。
【0012】
【作用】この発明によれば、搬送状態検出手段により、
搬送される紙葉類の繰り出しピッチや斜行量などの搬送
状態を検出し、この検出データをもとに第1のファジィ
演算手段により対向状態調整手段の適正状態からのズレ
を補正するための制御信号を求めると共に、紙幣処理枚
数の累積値をもとに、機構部材の経年変化によるフィー
ドローラとゲートローラの対向状態の最適値の変動を修
正する修正信号を第2のファジィ演算手段により求め、
制御信号と修正信号とを加算することによって対向状態
調整手段の駆動信号を得るようにしたので、紙幣繰り出
し状態を常に適正状態に保つことができ、紙幣繰り出し
ピッチの異常変動や斜行、複数枚繰り出しの無い、常に
安定した高速繰り出しが可能となり、作業員による保守
点検や再調整をなくした紙葉類繰出し自動調整機構を提
供することが可能となる。
【0013】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面を参照して詳
細に説明する。図1は、本発明の紙葉類繰出し自動調整
機構を示すブロック図である。図2は図1をA方向から
見た図で図1と同じものには同一番号が付してあるが、
同じものが左右1つずつあるものに対しては、区別する
ためaとbの記号をさらに付した。なお、図中のS1〜
S9は信号を示している。
【0014】図1、図2において、紙幣Bは、集積さ
れ、紙幣集積板1を介して第1のバネ2によりピックア
ップローラ3に押圧されいる。紙幣Bが繰り出される方
向にはフィードローラ4a、4bが設けられ、このフィ
ードローラ4a、4bに対向してゲートローラ5a、5
bが設けられている。このゲートローラ5a、5bは図
示していないが反繰り出し方向に回動を許容する一方向
クッラチを介してアーム6a、6bにそれぞれ軸支持さ
れており、また、アーム6a、6bは軸7(7a、7
b)に枢着して、揺動可能に設けられている。アーム6
a、6bの下部には、フィードローラ4aとゲートロー
ラ5a、フィードローラ4bとゲートローラ5bとの対
向状態(隙間量あるいは圧接力、以下、本文では、隙間
量として説明を行う)を調整するための調整用モータ9
a、9bが設けてあり、この隙間量調整用モータ9a、
9bの回転軸の先端は、アーム6a、6bの下面にそれ
ぞれ接するようにしてある。さらに、アーム6a、6b
は、第2のバネ8(8a、8b)で調整用モータ9a、
9b側に付勢されている。
【0015】紙幣が送り出される搬送路中には、搬送路
の幅方向に対して間隔をおいて発光素子10a、10b
が設けられ、それぞれの発光素子10a、10bに対向
して受光素子11a、11bが同様に搬送路の幅方向に
対して間隔をおいて設けられている。受光素子11a、
11bからの信号は、信号処理回路12a、12bを介
し、データ処理部13で処理され、統計処理部14、第
1のファジィ演算部15、信号加算部16a、16b、
駆動回路17a、17bを介して調整用モータ9a、9
bにそれぞれ供給されている。また、データ処理部13
の出力は、紙幣処理枚数計数部18、第2のファジィ演
算部19を介して、信号加算部16a、16bに供給さ
れている。
【0016】このように、本発明の紙葉類繰出し自動調
整機構においては、フィードローラ4a、4bとゲート
ローラ5a、5bで構成される紙幣繰出しゲート部から
繰り出された紙幣Bの搬送状態を搬送経路内に設けた発
光、受光素子10a−11a、10b−11bで検出
し、この検出信号S1a、S1bを信号処理回路12a、1
2bで各々処理し、信号S2a、S2bとしてデータ処理部
13に出力する。
【0017】データ処理部13では、信号処理回路12
a、12bの出力信号S2a、S2bから通過紙幣の繰り出
しピッチと斜行量を求めて、信号S3として統計処理部
14と紙幣処理枚数計数部18に出力する。
【0018】統計処理部14では、発光、受光素子10
−11間を紙幣が通過する毎にデータ処理部13から送
られてくる紙幣繰り出しピッチと斜行量データを蓄積
し、蓄積データの個数(言い換えれば、通過紙幣枚数)
がある値以上、例えば、千個(枚)あるいは1万個
(枚)以上になったら紙幣繰り出しピッチ、斜行量それ
ぞれの平均値あるいは平均値と標準偏差値を求め、この
結果を信号S4として第1のファジィ演算部15に出力
する。
【0019】第1のファジィ演算部15では、通過紙幣
の紙幣繰り出しピッチ、斜行量の平均値(あるいは、平
均値と標準偏差値)の目標値(初期設定値)からのズレ
量(以下、それぞれ繰り出しピッチ誤差平均値、斜行量
誤差平均値と言う。)から紙幣繰出しゲート部のフィー
ドローラ4a、4bとゲートローラ5a、5bの対向状
態(隙間量)が最適状態からズレたことを検知し、対向
状態を最適状態に復帰させるように左右の調整用モータ
9a、9bへの制御量をファジィ推論によりそれぞれ推
定し、この結果を制御信号S5a、S5bとして信号加算部
16a、16bに出力する。
【0020】また、紙幣処理枚数計数部18では、デー
タ処理部13の出力信号S3より通過紙幣の累積枚数を
計数し、その値S6を第2のファジィ演算部19に出力
する。第2のファジィ演算部19では紙幣処理枚数累積
値(通過紙幣枚数累積値)S6をもとに、経年変化よる
ローラ表面の汚れや磨耗での摩擦係数の変動によるフィ
ードローラ4a、4bとゲートローラ5a、5bの対向
状態の最適値の変動を修正するための修正値S7をファ
ジィ推論により算出し、信号加算部16a、16bに出
力する。
【0021】信号加算部16a、16bは、第1のファ
ジィ推論部15からの制御信号S5a、S5bと第2のファ
ジィ演算部19からの経年変化に対応した修正信号S7
を加算し駆動信号 S8a、S8bとして、駆動回路17
a、17bに各々出力する。
【0022】駆動回路17a、17bは、信号加算部1
6a、16bからの駆動信号S8a、S8bをもとに、左右
の調整用モータ9a、9bを独立に駆動制御し、左右の
隙間量XL、XRを 経年変化や環境変動に対しても最適
状態になるように調整する。
【0023】このように、本発明の紙葉類繰出し自動調
整機構においては、搬送紙幣の搬送状態から機構部など
の経年変化による、隙間量の最適状態からのズレを検知
し、修正し、さらに、経年変化による隙間量最適値自体
の微調整をも行うようにしたため、経年変化や環境変化
による紙幣繰り出しピッチの異常や斜行、重走の少な
い、安定な紙葉類の搬送が実現できる。つまり、本発明
の紙葉類繰出し自動調整機構では、紙幣繰出しゲート部
から繰り出された紙幣の走行状態を搬送経路内に設けた
検知器で検知し、通過紙幣の紙幣繰り出しピッチと斜行
量を算出し、それぞれの平均値あるいは平均値と標準偏
差値を求め、これらの値の目標値からのズレ量(繰り出
しピッチ誤差平均値と斜行量誤差平均値)の大きさをも
とにファジィ推論によりフィードローラ4a、4bと左
右のゲートローラ5a、5bの隙間量が最適になるよう
な制御信号を生成し、さらに、経年変化によるローラの
摩擦係数の変動により最適値がズレるのを抑制するため
の修正値をファジィ推論により算出し、この修正信号を
制御信号に加算して、経年変化、環境変動などの影響に
よる紙幣繰り出しピッチ異常や大きな斜行の発生を抑制
するように左右の隙間量を独立にファジィ制御する様に
構成したことを特徴とする。
【0024】さらに、本発明の紙葉類繰出し自動調整機
構の動作を詳しく説明する。フィードローラ4a、4b
とゲートローラ5a、5b等で構成される紙幣繰出しゲ
ート部から繰り出された紙幣は、既知の速度vで搬送さ
れていく途中、搬送経路の中心線に対して左右に等間隔
ずつ離して設けられた2組の発光、受光素子(10a−
11a、10b−11b)間を通過する際に、光路を遮
ぎる。受光素子11a、11bからの信号S1a、S1bを
それぞれ処理する信号処理回路12a、12bの出力信
号S2a、S2bは、紙幣が通過していない時、つまり、発
光素子10a、10bからの光が遮られず直接それぞれ
の受光素子11a、11bに入射する時は、Lレベル
(例えば、0V)を示し、搬送紙幣により11a、11
bへの光が遮られている時は、Hレベル(例えば、5
V)を示す様になっている。
【0025】紙幣が斜行なく搬送されていれば、2組の
発光、受光素子の光路が紙幣によって遮られるのは同時
であるが、紙幣が右先行か左先行に斜行して搬送されて
いると、左右の発光、受光素子の光路が紙幣によって遮
られるのに時間差が発生する。例えば、紙幣が斜行し、
右先行で搬送されていると、右側の発光、受光素子(1
0a−11a)の光路の方が、左側の発光、受光素子
(10b−11b)の光路よりも早く搬送紙幣によって
遮光されるため、信号処理回路12aの出力S2aが、先
ずL→Hに変わり、次に信号処理回路12bの出力S2b
がL→Hに変わり、紙幣が通過し終る時は、右側の発
光、受光素子(10a−11a)の方が、やはり、先に
紙幣により遮光されなくなるため、信号処理回路12a
の出力S2aがH→Lに変わり、次に信号処理回路12b
の出力S2bがH→Lに変わる。
【0026】逆に、左先行で紙幣が搬送されれば、左側
の発光、受光素子(10b−11b)の光路の方が、右
側の光路(10a−11a)より先に遮光されるめ、先
ず信号処理回路12bの出力S2bがL→Hに変わり、続
いて、右側の光路(10a−11a)が遮光されると、
信号処理回路12aの出力S2aがL→Hに変わる。ま
た、紙幣が通過し終る時は、左側の発光、受光素子(1
0b−11b)の光路の方が右側の発光、受光素子(1
0a−11a)の光路よりも先に、遮光されなくなるた
め、まず信号処理回路12bの出力S2bがH→Lに変わ
り、次に信号処理回路12aの出力S2aがH→Lに変わ
る。
【0027】従って、信号処理回路12aの出力S2aと
信号処理回路12bの出力S2bより、紙幣が斜行して搬
送されているか、否か、また、紙幣が斜行されて搬送さ
れているとすれば、左右どちらに斜行しているか、さら
に、斜行量は何度か(何度斜行しているか)が測定でき
るし、通過紙幣間の紙幣繰り出しピッチも検出できる。
この検出方法を図3を用いて説明する。
【0028】図3(a)は、先頭の紙幣(B1)が右に
斜行(右先行)し、次の紙幣(B2)が左に斜行(左先
行)して2組の発光、受光素子間を通過して行った様子
を示し、(b)はその時の信号処理回路12a、12bか
らのそれぞれの出力信号S2a、S2bの時系列波形であ
る。紙幣B1〜B3 は、速度vで、例えば、図3に示す
様に右から左に搬送されており、その中の紙幣B1、B2
は、すでに、発光、受光素子(10a−11a、10b
−11b)間を通過したものである。
【0029】また、発光、受光素子は、搬送経路の中心
線に対して、左右等間隔に離してあり、左右の発光素子
(10a−11a)あるいは受光素子(11a−11
b)同士の間隔は、既知でdmmである。
【0030】紙幣が左右どちらに斜行しているかは、信
号S2a、S2bのどちらが先にL→Hに変わるかで判断で
きる。例えば、図3(b)においては、最初は、信号S
2aの立ち上がりが 信号S2bより速く、次は、信号S2b
の立ち上がりの方が信号S2aの立ち上がりより速いため
最初の紙幣は、右先行で搬送されており、次に通過した
紙幣は、左先行で搬送されていたことが分かる。
【0031】また、紙幣搬送速度vは一定であるため、
斜行量と左右の発光、受光素子が遮光される時間差は比
例関係にあるので、信号S2aのL→Hの立ち上がりと信
号S2bのL→Hへの 立ち上がりの時間差Δt(sec)
より、搬送速度v(m/sec)と右側と左側の受光素子1
1a、11b同士(あるいは発光素子10a、10b同
士)の間隔(図3上ではdmm)が既知であるため、斜行
量θ(゜)は、 θ=tan-1(Δt×v)/d で求まる。また、紙幣繰り出しピッチP(msec)は、信
号S2aとS2bのNAND信号ΔT(msec)である。
【0032】このように、信号処理回路12a、信号処
理回路12bからの信号S2a、S2bから紙幣繰り出しピ
ッチや斜行方向、斜行量を求めるのがデータ処理部13
である。データ処理部13では、通過紙幣1枚毎の斜行
量、斜行方向および通過紙幣間の紙幣繰り出しピッチを
算出し、次段の統計処理部14に出力する。
【0033】統計処理部14では、データ処理部13か
ら出力される通過紙幣の斜行状態データ(斜行量、斜行
方向)および繰り出しピッチデータを蓄積し、データの
個数(通過紙幣枚数)Nが、ある値(例えば、1000
個あるいは10000個)以上になると、このN個のデ
ータから斜行量、繰り出しピッチの平均値及び標準偏差
をそれぞれ算出し、第1のファジィ処理部15に出力す
る。
【0034】第1のファジィ演算部15では、統計処理
部14からの斜行量及び繰り出しピッチのそれぞれの平
均値、標準偏差が、目標値からどの程度離れているか、
例えば、斜行量の平均値が目標値とほぼ同じなのか(殆
ど斜行していないのか)、少し右(あるいは、左)に斜
行しているのか、中ぐらい右(あるいは、左)に斜行し
ているのか、それとも、大きく右(あるいは、左)に斜
行しているのか、さらに、繰り出しピッチの平均値が目
標値からどのくらいズレているか、例えば、目標値とほ
ぼ同じなのか、それとも、目標値より長いのか(あるい
は、短いのか)、そして、その程度は、少しなのか、中
ぐらいなのか、大きいのかを判断し、斜行量や紙幣繰り
出しピッチの平均値が目標値に近づく様に、紙幣繰出し
ゲート部の左右の隙間を調整するための調整用モータ9
a、9bへのそれぞれの制御量をファジィ推論(例え
ば、Min−Max−重心法)により求め、信号加算部
16a、16bに出力する。
【0035】この統計処理部14と第1のファジィ演算
部15での処理手順を図を用いて説明する。図4は、通
過紙幣の斜行量と紙幣繰り出しピッチをそれぞれ統計処
理した結果をヒストグラムで表わしたものである。図4
(a),(b)の上側の図は、紙幣繰り出しピッチのヒ
ストグラムであり、横軸は紙幣繰り出しピッチを表わし
ており、中心線は紙幣繰り出しピッチの初期設定値(目
標値)を示し、中心線より右へ行くほど紙幣繰り出しピ
ッチが長くなったことを、左ヘ行くほど紙幣繰り出しピ
ッチが短くなったことを示している。また、縦軸は、発
生頻度を表わしている。図4(a),(b)の下側の図
は、斜行量のヒストグラムであり、横軸は斜行量を表わ
しており、中心線は斜行量が0゜を示し、中心線より右
ヘ行くほど右先行で斜行量が増大し、左ヘ行くほど左先
行で斜行量が増大することを示している。縦軸は、上図
と同様に発生頻度を表わしている。
【0036】図4(a)は、フィードローラ4aとゲー
トローラ5aとの隙間XLと、フィードローラ4bとゲ
ートローラ5bとの隙間XRが共に最適値に調整されて
いる時のヒストグラムであり、図4(b)は左右の隙間
量が最適値から大きくズレている時のヒストグラムを表
わしている。紙幣繰出しゲート部の左右の隙間が最適に
調整されていると、紙幣走行状態検出部を通過した紙幣
の紙幣繰り出しピッチと斜行量を統計処理し、ヒストグ
ラムにして表わすと図4(a)の様になり、紙幣繰り出
しピッチの平均値、斜行量の平均値ともに目標値
(P0、θ0)になり、データのバラツキも少ない(標準
偏差が小さい)が、左右の隙間量がズレている時、例え
ば、右の隙間量が最適値より大きく狭まっており、左の
隙間量が中程度に狭まっている時は、同図(b)の様な
ヒストグラムになり紙幣繰り出しピッチ、斜行量の平均
値は、それぞれ、目標値から大きくズレるばかりか、デ
ータのバラツキも大きくなる。
【0037】図5は、ファジィ演算部15で用いるメン
バーシップ関数の1例である。図5(a)、(b)は前
件部の2つのファジィ変数に対応するメンバーシップ関
数であり、(a)は、例えば、紙幣繰り出しピッチPに
対応するものであり、(b)は 、斜行量θに対応する
ものである。さらに、図5(c)は、後件部の調整用モ
ータ9a、9bへの制御量に対するメンバーシップ関数
を示している。
【0038】図5の各図においては、縦軸は、メンバー
シップ値を示し、横軸はファジィ変数値を示している。
つまり、本説明では、図5(a)の横軸は、紙幣繰り出
しピッチ(Pmsec)、(b)の横軸は斜行量(θ゜)、
(c)の横軸は、調整用モータ9への制御量(S5)で
ある。ここに、示しているメンバーシップ関数は、1例
であり、例えば、斜行量に関しては、図5(d)で示す
ようなメンバーシップ関数を用いても構わない。また、
メンバーシップ関数の形状も、ここで用いた〈三角型+
S字型〉形状のものだけでなく、釣鐘型や台形型などの
他の任意の形状のを用いても構わない。なお、本説明で
は、前件部のメンバーシップ関数を2つ示しているが、
前件部のファジィ変数が増えれば、メンバーシップ関数
もその分増える。
【0039】また、図5中の記号NL、NM、・・・、
PLはラベルであり、各ラベルの意味は下記の通りであ
る。 [紙幣繰り出しピッチ(P)について] NL:紙幣繰り出しピッチが目標値よりかなり 短い。 NM: 〃 〃 中程度に短い。 NS: 〃 〃 少し 短い。 ZR: 〃 目標値とほとんど同じであ
る。 PS: 〃 目標値より少し 長い。 PM: 〃 〃 中程度に長い。 PL: 〃 〃 かなり 長い。
【0040】[斜行量(θ)について] NL:左に 大きく斜行している。 NM: 〃 中程度に斜行している。 NS: 〃 少し斜行している。 ZR:ほとんど斜行していない。 PS:右に 少し斜行している。 PM: 〃 中程度に斜行している。 PL: 〃 大きく斜行している。
【0041】[調整用モータの制御量(S5)につい
て] NL:繰出しゲート部の隙間が大きく狭まる方向に調整
用モータを駆動する。 NM:繰出しゲート部の隙間が中程度に狭まる方向に調
整用モータを駆動する。 NS:繰出しゲート部の隙間が少し狭まる方向に調整用
モータを駆動する。 ZR:調整用モータをほとんど動かさない。 PS:繰出しゲート部の隙間が少し広がる方向に調整用
モータを駆動する。 PM:繰出しゲート部の隙間が中程度に広がる方向に調
整用モータを駆動する。 PL:繰出しゲート部の隙間が大きく広がる方向に調整
用モータを駆動する。
【0042】このようなメンバーシップ関数をもとに、
第1のファジィ演算部15では、例えば以下の様に設定
される制御ルールを用いて推論が行われる。 (ルール1) もし(if)、 紙幣繰り出しピッチが目標値よりかなり長くなっており
(P=PL)、かつ(and)左に大きく斜行して搬送
されている(θ=NL)。 ならば(then)、 左の調整用モータ9aは、ほとんど動かさず(S5a=Z
R)、右の調整用モータ9bは、大きく正方向に動かす
(S5b=PL)。
【0043】上記メンバーシップ関数と制御ルールを用
いて第1のファジィ演算部15での演算処理を説明す
る。統計処理部14から出力される紙幣繰り出しピッ
チ、斜行量のそれぞれの平均値をPm 、θmとし、前件
部の紙幣繰り出しピッチに対応するメンバーシップ関数
をfi(P)、斜行量に対応するメンバーシップ関数を
i(θ)とし、後件部のモータの制御量に対応するメ
ンバーシップ関数をhi(S5)とする。また、i=1、
2、3、・・・、7はラベルのNL、NM、NS、・・
・、PLに順に対応している。つまり、前件部の紙幣繰
り出しピッチに対応するメンバーシップ関数のNLはf
1(P)、NMはf2(P)、・・・、PLはf7(P)
で表わし、斜行量に対応するメンバーシップ関数のNL
はg1(θ)、NMはg2(θ)、・・・、PLはg
7(θ)で表わす。後件部に関しても同様である。
【0044】今、統計処理部14から第1のファジィ演
算部15に繰り出しピッチの平均値(Pm)と斜行量の
平均値(θm)が入力されると、第1のファジィ演算部
15では、以下の手順により調整用モータ9a、9bへ
の制御量を推定し、信号加算部16a、16bを介して
そえぞれのモータ駆動回路17a、17bに出力する。
この手順を図6、図7を用いて説明する。
【0045】(ファジィ演算手順) (1)先ず、ルール1での出力を求める。 a)ルール1は、 if P=PL and θ=NL the
n S5b=PL であるから、実際に、P=Pm、θ=θmが入力された時
の値(適合度)をそれぞれα1 、β 1とすると、α1
7(Pm)、β1=g1(θm)で求まる。 b)適合度α1、β1を比較し、小さい方の値で後件部の
7(S5)を頭切りする。 本説明では図7に示すように、α1<β1なのでα1の値
で後件部のh7(S5)を頭切りし、同図の斜線部で示す
ような台形部C1を得る。 (2)ルール2での出力を求める。 c)ルール2は、 if P=PM and θ=NM the
n S5b=PM であるから、α2=f6(Pm)、β2=g2(θm)で求ま
る。 d)今度は、α2>β2なので、β2の値で後件部h2(S
5)を頭切りし、台形部 C2を得る。 (3)この操作を各ルールに対して行い、各ルール毎に
出力された台形部を論理和し、その論理和した部分(図
7)の重心(記号G)を推論の確定値として出力する。
この方法は、Min−Max−重心法と呼ばれている。
なお、本説明では、右の調整用モータ9bへの制御量を
求める手順のみを示したが、左の調整用モータ9aに対
する出力も同様の手順で求まる。このようにして求めら
れた制御量は、制御信号S5a、S5bとして信号加算部1
6a、16bにそれぞれ出力される。
【0046】ところで、摩擦分離方法では、紙幣とロー
ラ間の摩擦力で紙幣の分離搬送を行うため、ローラ表面
の摩擦係数の変動が、分離搬送性能に大きく影響する。
紙幣の処理枚数が増えるにしたがってローラ表面には、
紙幣からの紙幣粉、手垢汚れ、印刷インク、油のシミな
どの汚れが付着したり、また、ローラ自身の磨耗により
摩擦係数が、変動する。このため、装置出荷時と同じ値
を用いて左右の隙間XL、XRを調整し続けていると、
調整誤差が生じてくる。つまり、摩擦係数の変動によ
り、出荷時と同量隙間を可変しても、出荷時と同じ摩擦
力(抵抗力)が得られないためである。搬送紙幣の繰り
出しピッチの平均値と斜行量の平均値をもとにファジィ
推論により紙幣搬送状態が最適になる(繰り出しピッチ
異常や斜行、重送の無い)ように左右の隙間を調整しよ
うとしても、この様な経年変化による影響で最適値自体
が変動するため、調整誤差が生じたり、制御回数が増加
したりする。
【0047】このため、このような経年変化による影響
を紙幣処理枚数を計数し、累積することにより推測し、
隙間の最適値自体の変動を修正するための修正信号を求
め、経年変化に対する隙間量の微調整を行う。
【0048】この手順を図を用いて説明する。図8は、
第2のファジィ演算部19で用いるメンバーシップ関数
の1例である。図8(a)は、前件部のメンバーシップ
関数であり、紙幣処理枚数に対応するものであり、図8
(b)は後件部の修正信号(S7)に対するメンバーシ
ップ関数を示している。なお、各メンバーシップ関数に
関しては、前述した第1のファジィ演算部15で用いた
メンバーシップ関数の説明と同様に、形状などは自由で
ある。また、ラベルは、紙幣処理枚数(BV)に関して
は、 ZR:紙幣処理枚数は、少なく摩擦係数の変化は少な
い。 PS:紙幣処理枚数が、少し多く、摩擦係数の変化が少
しある。 PM:紙幣処理枚数が中低度に多く、摩擦係数の変化が
中低度ある。 PB:紙幣処理枚数が非常に多く、摩擦係数の変化がか
なりある。 修正信号(S7)に関しては、 ZR:ほとんど修正しない。 PS:正方向に小さく修正する。 PM:正方向に中程度に修正する。 PB:正方向に大きく修正する。
【0049】次に、第2のファジィ演算部19で設定さ
れる推論ルールの1例を以下に示す。 (ルール1) もし(if)、 紙幣処理枚数が少なく、摩擦係数の変化がすくない(B
V=ZR) ならば(then) 修正信号はほとんど0である(S7=ZR) (ルール2) if BV=PS then S7=PS (ルール3) if BV=PM then S7=PM ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ である。
【0050】このように設定されるメンバーシップ関数
とルールを用いて、第2のファジィ演算部19では、前
述のMin−Max−重心法により経年変化を考慮した
隙間量微調整の修正信号S7を生成する。なお、ファジ
ィ演算処理方法は、前述した第1のファジィ演算部15
と同様の処理手順であるため説明は省略する。
【0051】第2のファジィ演算部19で生成された修
正信号S7は、信号加算部16a、16bに出力され
る。信号加算部16aでは、第1のファジィ演算部15
からの制御信号S5aと修正信号S7を、信号加算部16
bでは制御信号S5bと修正信号S7をそれぞれ加算し、
駆動信号S8a、S8bとして、駆動回路17a、17bに
出力する。
【0052】駆動回路17a、17bは、この駆動信号
8a、S8bにより左右の調整用モータ9a、9bをそれ
ぞれ独立に駆動制御する。これにより、紙幣繰出しゲー
ト部の左右の隙間 XL、XRは、独立に最適値に調整さ
れる。このように、累積された通過紙幣の搬送状態デー
タから、隙間量が最適状態になるように制御するための
制御信号と,経年変化による隙間量の最適値の変動を抑
制するように、隙間量を微調整するための修正信号とを
ファジィ推論により推定し、それぞれの推定値を加算し
て、駆動回路17を介して調整用モータ9a、9bを独
立に制御し、紙幣繰出しゲート部の左右の隙間量を調整
する。
【0053】つまり、本発明の紙葉類繰出し自動調整機
構においては、紙幣走行状態を検出するために搬送経路
に設けられた検出手段で、通過紙幣の紙幣繰り出しピッ
チや斜行量を検出し、これらの検出データを統計処理
し、統計処理結果(例えば、通過紙幣の紙幣繰り出しピ
ッチ、斜行量のそれぞれの平均値あるいは平均値と標準
偏差値)をもとに前述した様なファジィ推論(ファジィ
演算)により紙幣繰り出しピッチ、斜行量とも目標値に
近づくよう左右の調整用モータへの制御信号を生成し、
さらに、紙幣処理枚数を計数し、その累積値より経年変
化による機構部材の摩擦係数の変動を推論して、隙間量
の最適値の変動を修正するための修正信号をファジィ推
論により推定し、制御信号と修正信号の加算信号を最終
的なモータ駆動信号としているため、経年変化や環境変
化の影響による隙間量のわずかなズレをも修正できるた
め、紙幣繰り出しピッチ異常や斜行、重走のほとんど無
いきわめて安定な紙幣搬送が実現できる。
【0054】特に、紙幣の分離、搬送時の特性は、環境
変化や経年変化などにより変化するため定性的には把握
できても定量的に把握するのは非常に難しく、制御のた
めのモデル化は、現実的には、ほとんど不可能である
し、紙幣などの紙葉類は、温湿度等の環境条件やその流
通過程での状態の変化などにより、特性が一意に決まら
ないため、紙葉類の分離、搬送制御を従来の制御方法、
例えばPID制御などで代表される古典制御理論や状態
空間で議論される現代制御理論の方法を用いて行うこと
は非常に難しく、大きな労力を必要とするが、ファジィ
理論を用いることにより、装置の物理モデルを求めるこ
となく、特性を言語表現により記述し処理できるため、
比較的容易に、しかも安定な制御系を実現できる。
【0055】また、本発明の実施例の説明では、第1の
ファジィ演算部15において、前件部のファジィ変数を
紙幣繰り出しピッチの平均値と斜行量の平均値の2つと
したが、さらに、それぞれの標準偏差を用いて4つのフ
ァジィ変数で処理を行うことも考えられる。
【0056】また、紙幣処理枚数を計数するための信号
は、本説明では、データ処理部13から得たが、信号処
理部12aの出力信号S2aあるいは12bの出力信号S
2bから得ても構わない。これらは、信号の立ち上がり
(立ちさがり)をカウンタなどでカウントすればよい。
【0057】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように本発明で
は、紙幣繰出し部から繰り出された紙幣の走行状態を紙
幣搬送経路内に設けられた複数の検出器で検出し、この
検出信号から、通過紙幣1枚毎の紙幣繰り出しピッチ及
び斜行量を求め、それらのデータを蓄積し、定期的(例
えば、千枚単位 あるいは、1万枚単位)に統計処理を
行ない、処理結果である紙幣繰り出しピッチと斜行量の
平均値あるいは平均値と標準偏差の目標値からの誤差量
をもとに、紙幣繰出しゲート部の左右の隙間量が最適な
状態になるように、ファジィ推論により隙間量調整用モ
ータへの制御信号を算出し、さらに、紙幣が検出器を通
過する毎に、通過紙幣の枚数を計数し、累積することに
より経年変化による機構部材の特性の変動による隙間量
最適値の変動を修正するための修正信号をファジィ推論
により算出し、制御信号と修正信号の加算信号により隙
間量調整モータを駆動する様に構成したため、経年変化
などで機構部材の特性が変わり紙幣繰出し状態が初期設
定値(目標値)からズレてきても、隙間量の自動調整を
正確に行うため、紙幣繰り出しピッチ異常や斜行、重走
の無い安定な搬送が実現できる。従って、 (1) 紙幣繰り出しピッチ異常や斜行、重走による紙
幣認識精度の低下や紙づまりによる機能停止がなくな
る。 (2) 保守点検を頻繁に行わなくても高信頼性、高安
定性が確保できるため、保守点検期間を長く設定でき管
理作業が楽になる。 (3) 熟練者による何回もの試行錯誤を行なって最適
状態を求めなくても、ある程度調整されていれば、後
は、自動的に最適値になるため熟練者の経験や勘に頼ら
なくても調整が簡単に行えるので、工数が削減でき、効
率も上がるため、コスト削減できる。 (4) 個人差による調整差がなくなるため製品間のバ
ラツキの少ない均一な特性の装置を提供できる。などの
効果がある。このため、休日運用や無人化運用にも充分
耐えらる故障による機能停止の少ない(稼働率の高い)
装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の紙葉類繰出し自動調整機構の一実施例
の概略構成図である。
【図2】図1をA方向から見た時の図である。
【図3】紙幣繰り出しピッチと斜行量の検出方法の説明
図である。
【図4】通過紙幣の繰り出しピッチと斜行量を統計処理
しヒストグラムで示した図である。
【図5】第1のファジイ演算部で用いるメンバーシップ
関数を示す図である。
【図6】Min−Max−重心法によるファジイ推論方
法の説明図である。
【図7】Min−Max−重心法によるファジイ推論方
法の説明図である。
【図8】第2のファジイ演算部で用いるメンバーシップ
関数を示す図である。
【符号の説明】
1 紙幣集積板 2 バネ 3 ピックアップローラ 4a,4b フィードローラ 5a,5b ゲートローラ 6a,6b アーム 7a,7b 軸 8 バネ 9a,9b 調整用モータ 10a,10b 発光素子 11a,11b 受光素子 12a,12b 信号処理回路 13 データ処理部 14 統計処理部 15 第1のファジイ演算部 16a,16b 信号加算部 17a,17b 駆動回路 18 紙幣処理枚数統計部 19 第2のファジイ演算部

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 紙葉類の集積体を紙葉類集積板を介して
    ピックアップローラ及びフィードローラに押圧し、該ピ
    ックアップローラ及びフィードローラを回転させること
    によりローラと紙葉類表面の摩擦を利用して前記紙葉類
    を1枚ずつ分離し、前記フィードローラとフィードロー
    ラに対向し、紙葉類の複数枚繰出しを防止するために設
    けられたゲートローラとの隙間から順に紙葉類を繰り出
    すように構成された紙葉類繰出し機構において、 前記フィードローラとゲートローラとの対向状態を可変
    調整する対向状態調整手段と、 繰り出された紙葉類の搬送状態を検知する搬送状態検知
    手段と、 該搬送状態検知手段の出力を統計処理し、通過紙葉類の
    搬送状態の平均値あるいは平均値と標準偏差値を求める
    統計処理手段と、 該統計処理手段の出力をもとにファジィ推論により前記
    対向状態調整手段を駆動制御するための制御信号を生成
    する第1のファジィ演算手段と、 紙葉類の処理枚数を計数し累積する処理枚数計数手段
    と、 該処理枚数計数手段からの信号をもとに経年変化による
    前記フィードローラとゲートローラの対向状態の最適値
    の変動を修正するように対向状態調整手段を微調整する
    ための修正信号をファジィ推論により生成する第2のフ
    ァジィ演算手段と、 前記第1のファジィ演算手段からの制御信号と前記第2
    のファジィ演算手段からの修正信号を加算する信号加算
    手段とを設け、 該信号加算手段から出力される加算信号に基づいて前記
    対向状態調整手段を駆動することを特徴とする紙葉類繰
    出し自動調整機構。
JP5176487A 1993-07-16 1993-07-16 紙葉類繰出し自動調整機構 Pending JPH0733276A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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