JPH07331588A - 紙およびパルプの製造に有用なセルラーゼおよびその利用方法 - Google Patents

紙およびパルプの製造に有用なセルラーゼおよびその利用方法

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JPH07331588A
JPH07331588A JP14532594A JP14532594A JPH07331588A JP H07331588 A JPH07331588 A JP H07331588A JP 14532594 A JP14532594 A JP 14532594A JP 14532594 A JP14532594 A JP 14532594A JP H07331588 A JPH07331588 A JP H07331588A
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JP
Japan
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pulp
cellulase
paper
beating
amount
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JP14532594A
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English (en)
Inventor
Yasuo Ohira
安夫 大平
Makoto Wakai
誠 若井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Honshu Paper Co Ltd
Original Assignee
Honshu Paper Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 製紙工程において、特定の酵素を有効に利用
して紙パルプの改質を目的とした発明である。 【構成】 酵素の至適条件において、晒クラフトパルプ
1kgあたり1000UのCMCaseを作用させた場
合に、1時間後のセロオリゴ糖の生成が対パルプ0.1
%以上0.2%以下で、かつフェノール硫酸法で測定し
た全糖の生成が0.1%以上0.3%以下であるセルラ
ーゼを使用することを特徴とするパルプの改質方法に係
わり、パルプの叩解促進ならびに濾水性の改善をも包含
した構成をもつ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、紙およびパルプの製
造工程において、種々の目的でセルラーゼを使用する場
合、各工程に使用するセルラーゼの有用性を判断する基
準として成されたものである。
【0002】
【従来の技術】近年、パルプの製造工程において酵素を
使用する特許が多数出願され、実施されてきている。従
来例として、特開平2−264087にはキシラナーゼ
を使用したクラフトパルプの漂白方法が、特開平2−1
60997にはリパーゼを利用したピッチトラブル対策
が開示されている。
【0003】また、セルラーゼに関しても、例えば特公
平3−57235にはアルカリ性セルラーゼを使用した
脱墨方法が、特開平2−6681にはセルラーゼを利用
した抄紙速度向上が、特開昭63−135597にはベ
ッセルピック対策が、特公平2−20756には、叩解
電力の削減方法がそれぞれ開示されている。
【0004】セルラーゼは、バイオマスからエネルギー
を得る研究の一環として開発されてきた経緯があり、そ
のため現在市販されているもの若しくは入手可能なセル
ラーゼはセルロースの分解作用が強く、製紙業者がこれ
を製紙工程で利用する場合、セルロース繊維の損傷が著
しく紙製品の紙力低下、歩留り低下その他の反作用が高
く自ずと利用範囲に制限があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】以上の事実から、現在
市販されているもの若しくは入手可能なセルラーゼは、
セルロースの分解性が強いので紙パルプのような、セル
ロース繊維そのものの強度を維持することが不可欠な産
業分野にあってはその使用が制限され、特別の配慮をす
る必要が生じてくる。
【0006】この発明は、前記の状況に鑑みて着目され
たもので、如何にしたらセルロース繊維の分解性を低下
させ、且つセルロース繊維固有の優れた諸性質を改良し
うるセルラーゼを見いだすかを課題として完成されたも
ので、製紙産業に多大の貢献をなす重要な技術となる。
【0007】
【課題を解決するための手段】この発明は下記の構成を
もつ。 1 酵素の至適条件において、晒クラフトパルプ1kg
あたり1000UのCMCaseを作用させた場合に、
1時間後のセロオリゴ糖の生成が対パルプ0.1%以上
0.2%以下で、かつフェノール硫酸法で測定した全糖
の生成が0.1%以上0.3%以下であるセルラーゼを
使用することを特徴とするパルプの改質方法。 2 パルプの改質の目的が、叩解の促進であるセルラー
ゼを使用する前記1記載のパルプの改質方法。 3 パルプの改質の目的が、抄紙ワイヤーパートでの濾
水性の向上であるセルラーゼを使用する前記1記載のパ
ルプの改質方法。
【0008】前記において、CMCaseとは酵素の至
適条件において1分間に1μモルのグルコース相当の還
元末端を生成する酵素量を示す単位である。
【0009】現在のところ、セルラーゼがセルロース繊
維に作用する機構に関しては、十分に解明されていると
は言えないが、酵素類の一般的な作用機構から考察する
と、セルラーゼが直接的にセルロース繊維をアタックす
るとは考えられない。現在の学説では否定的ではある
が、ハイドロゲンボンダーゼ説、膨潤因子説などが提案
された経緯からみても、セルラーゼがセルロース繊維に
作用するためには加水分解する以前に、繊維マスへのア
クションがあると考えらる。
【0010】本発明者等は、セルラーゼについて挙動の
代表的指標となるCMC活性やアビセル活性を等しくし
て、セルロース繊維に各種のセルラーゼを作用させた場
合に、セロオリゴ糖や全糖の生成速度が酵素類によりか
なりの差があることを見出したのである。これは、酵素
が繊維マスに対して何らかの作用を与え、その後に加水
分解を開始すると考えた場合には、繊維マスへのアクシ
ョン必要時間の酵素種による差と考える事が出来る。
【0011】本発明者等は、これら糖生成速度の異なる
セルラーゼをパルプに作用させると、糖生成速度の遅い
酵素ほど紙の列断長、比破裂強さ、比引裂強さ等の力学
的特性の低下が少なくなることを知見し、この発明に至
ったのである。
【0012】即ち、酵素の至適条件において、パルプ1
kgあたり1000UのCMCaseを作用させた場合
に、1時間後のセロオリゴ糖の生成が対パルプ0.1%
以上0.2%以下で、且つフェノール硫酸法で測定した
全糖の生成が0.1%以上0.3%以下であるセルラー
ゼを使用することにより、繊維の力学的強度を低下させ
ることなく、安定してセルロース繊維の改質を行うこと
が出来た。
【0013】セロオリゴ糖や全糖の生成速度がこれより
も速い場合には、繊維の損傷が大きく、繊維の力学的が
低下することになる。このような酵素を使用して力学的
強度を低下させずに繊維の改質を行うことは可能ではあ
るが、そのためには非常に厳密な酵素反応の管理が必要
となるばかりではなく、安定して操業を行う事は非常に
困難となる。
【0014】また、セロオリゴ糖や全糖の生成速度が前
記規定よりも遅い場合には、セルロース繊維の改質にも
長時間を要する事になり、経済的、設備的な観点からも
好ましくない。以下に実施例で具体的に説明する。
【0015】この発明のセルラーゼは、対パルプ0.0
1〜0.2重量部添加することが好ましく、添加場所と
しては叩解前が好ましい。また、セルラーゼをパルプに
作用させる条件としては、温度10℃〜50℃、pH5
〜pH8、時間1〜3時間が好ましい。
【0016】
【実施例1】コンデンサペーパー用の(NUKP)の3
%スラリーを硫酸によりpHを6.5、温度を40℃に
調整し、セルラーゼ(チバガイギー社パーガラーゼA4
0)を対パルプで0.1重量%添加し、2時間攪拌しつ
つ酵素反応させ、その後ビーターにて8時間の叩解を行
った。このパルプを長網抄紙機で米坪15g/m2 のコ
ンデンサペーパーを抄造した。
【0017】
【比較例1】叩解前に酵素処理を行わなかった他は全て
実施例1と同様に処理した。
【0018】
【比較例2】セルラーゼとしてノボ社のセルクラスト
1,5Lを使用した他は全て実施例1と同様に処理し
た。(添加量0.1重量%)
【0019】
【比較例3】セルラーゼとして合同酒精社ベッセレック
スを使用した他は全て実施例1と同様に処理した。(添
加量0.09重量%)
【0020】上記、実施例および比較例に用いたセルラ
ーゼの、酵素活性およびこれらの酵素をパルプに作用さ
せた時の全糖およびセロオリゴ糖の生成速度を表1に示
す。
【0021】
【表1】
【0022】上記表1において、:全糖の測定はフェノ
ール硫酸法により測定した。:セロオリゴ糖の測定はH
PLC(液体クロマト)によりODSカラムを使用して
行った。:%は対パルプ重量%を示す。:酵素活性の測
定はpH5.5、温度40℃、時間は2時間の条件で測
定した。:U/mlとは、上記条件でCMC、キシラ
ン、アビセルを各々基質とし、1分間に1μモルのグル
コース相当の還元末端を生じさせる酵素量を1U(ユニ
ット)と規定し、各酵素1mlが何ユニットに相当する
かを示した。:また、糖の生成量は晒クラフトパルプを
3%スラリーとし、各酵素について対パルプ1kg当り
CMC活性が1000Uとなるように酵素を添加し、4
0℃、pH5.5の条件で1時間の処理を行った時の糖
の生成量を測定したものである。
【0023】なお、実施例、比較例により得られた紙の
裂断長を比較例1(酵素処理なし)を100%として表
2に示す。また、同一フリーネスまで叩解するために要
した叩解時間も比較例1を100%として表2に示す。
【0024】
【表2】
【0025】この結果から、セロオリゴ糖および全糖の
生成速度が特定範囲のものは、紙の裂断長を低下させる
ことなく叩解時間の短縮の効果をもたらすことが判る。
【0026】
【発明の効果】従来、セルラーゼを利用した叩解により
叩解時間が短縮できることは知られていたが、同時に紙
の機械的強度が低下することは不可避であるとされてい
た。しかしながら、この発明のように酵素の条件を特定
したことにより、紙の機械的強度を全く損なうことなく
叩解時間のみを短縮することが出来たという特別顕著な
作用効果を奏することが出来た。
【0027】また、この発明によればコンデンサペーパ
ー、グラシン紙、ライス紙、等のように高度の叩解を必
要とする紙において、特にその効果が顕著であるばかり
でなく、その他一般の薄葉紙、印刷紙等においても機械
的強度を損なうことなく叩解時間の短縮ならびに優れた
叩解作用をもたらす効果がある。このことは、製紙業界
にもたらす多大の技術的進歩となる。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成6年7月8日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正内容】
【0007】
【課題を解決するための手段】この発明は下記の構成を
もつ。 1 酵素の至適条件において、晒クラフトパルプ1kg
あたり1000UのCMCaseを作用させた場合に、
1時間後のセロオリゴ糖の生成が対パルプ0.1%以上
0.2%以下で、かつフェノール硫酸法で測定した全糖
の生成が0.1%以上0.3%以下であるセルラーゼを
使用することを特徴とするパルプの改質方法。 2 パルプの改質の目的が、叩解の促進であるセルラー
ゼを使用する前記1記載のパルプの改質方法。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酵素の至適条件において、晒クラフトパ
    ルプ1kgあたり1000UのCMCaseを作用させ
    た場合に、1時間後のセロオリゴ糖の生成が対パルプ
    0.1%以上0.2%以下で、かつフェノール硫酸法で
    測定した全糖の生成が0.1%以上0.3%以下である
    セルラーゼを使用することを特徴とするパルプの改質方
    法。
  2. 【請求項2】 パルプの改質の目的が、叩解の促進であ
    るセルラーゼを使用する請求項1記載のパルプの改質方
    法。
JP14532594A 1994-06-03 1994-06-03 紙およびパルプの製造に有用なセルラーゼおよびその利用方法 Pending JPH07331588A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6146494A (en) * 1997-06-12 2000-11-14 The Procter & Gamble Company Modified cellulosic fibers and fibrous webs containing these fibers
JPWO2013176033A1 (ja) * 2012-05-21 2016-01-12 王子ホールディングス株式会社 微細繊維の製造方法と微細繊維及び不織布並びに微細繊維状セルロース
CN107414989A (zh) * 2017-07-31 2017-12-01 四川永丰纸业股份有限公司 一种置换蒸煮制取高得率本色竹浆的方法

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