JPH07329613A - 車両変速装置 - Google Patents

車両変速装置

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Publication number
JPH07329613A
JPH07329613A JP6155197A JP15519794A JPH07329613A JP H07329613 A JPH07329613 A JP H07329613A JP 6155197 A JP6155197 A JP 6155197A JP 15519794 A JP15519794 A JP 15519794A JP H07329613 A JPH07329613 A JP H07329613A
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JP
Japan
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clutch
side member
transmission
driven
gear
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Application number
JP6155197A
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English (en)
Inventor
Yoshiharu Isaka
義治 井坂
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Yamaha Motor Co Ltd
Original Assignee
Yamaha Motor Co Ltd
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Publication date
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  • Control Of Driving Devices And Active Controlling Of Vehicle (AREA)
  • Gear-Shifting Mechanisms (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 車両における変速操作が容易にできるように
する。また、変速操作をした際に、エンジン側と車輪側
のいずれか一方側から他方側に向って動力が衝撃的に伝
達されないようにする。更に、変速装置の構成を簡単に
し、かつ、これの組み立て作業が容易にできるようにす
る。 【構成】 変速機12を変速操作する変速操作機構29
を設ける。上記変速機12と車輪8との間に第2クラッ
チ38を介設する。この第2クラッチ38を駆動側部材
39と、従動側部材40とで構成する。上記駆動側部材
39と従動側部材40とを互いに分断可能とするクラッ
チ分断機構61を設ける。変速操作機構29への操作が
開始されたことを検出する操作検出センサ77を設け
る。この操作検出センサ77からの検出信号を入力して
上記第2クラッチ38の駆動側部材39と従動側部材4
0とを所定期間分断させるようクラッチ分断機構61を
作動させる変速制御装置78を設ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、自動二輪車や自動車
などの車両変速装置に関する。
【0002】
【従来の技術】自動二輪車の車両変速装置には、従来、
次のように構成されたものがある。
【0003】即ち、エンジンからの動力が入力されて、
この動力を車輪側に伝達する歯車式変速機と、上記エン
ジンと変速機との間に介設される手動操作式のクラッチ
と、上記変速機を変速操作する変速操作機構とが備えら
れ、上記クラッチは手動操作式とされ、変速操作機構は
踏動式とされている。
【0004】そして、上記エンジンからの動力が、上記
クラッチと変速機とを介して車輪側に伝えられ、これに
より車両が走行可能とされている。
【0005】上記走行時に、上記変速操作機構への操作
により、変速機における歯車組の噛合状態を変更して所
望の減速比を得ようとするときには、まず、この操作に
先立って、手動操作により上記クラッチにおける駆動側
部材と従動側部材とを分断(以下、これをクラッチの
「分断動作」といい、これとは逆に、接続させることを
「接続動作」という)させ、次に、上記変速操作機構へ
の操作を行う。
【0006】これを、より具体的に説明すると、変速操
作機構への操作のときに、変速機において互いに噛合等
係合している両歯車が大きな動力を伝達中であれば、そ
の係合部で両歯車は互いに大きい力で圧接していて、こ
の係合の解除は容易ではなく、また、この係合を無理に
解除させると、これにより、大きい衝撃が生じることと
なる。
【0007】そこで、上記変速操作機構への操作時に
は、前記したように、これに先立ってクラッチを一旦
「分断動作」させて動力伝達を中断させ、もって、上記
係合部における伝達動力を小さくさせてから、上記係合
を解除させることが行われる。
【0008】一方、上記係合の解除後に、所望の対応す
る両歯車を互いに係合させようとする際、これら両歯車
の回転速度の差があまり大きいと、上記係合は容易でな
く、また、仮にこの係合を無理にさせると、この係合に
よる急激な動力伝達で、その係合部に大きい衝撃が生じ
るおそれもある。
【0009】そこで、対応する両歯車の回転速度の差が
ある程度小さくなるのを待ってから、上記係合をさせる
ことが行われる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記したよう
に変速操作機構への操作をしようとする毎に、クラッチ
を「分断動作」させるという変速操作は煩雑である。
【0011】また、所望の対応する両歯車を係合させよ
うとするとき、これら両歯車の回転速度の差が小さくな
ったか否かの判断には熟練が要ることから、このような
変速操作も煩雑なものである。
【0012】
【発明の目的】この発明は、上記のような事情に注目し
てなされたもので、車両における変速操作が容易にでき
るようにすることを目的とする。
【0013】また、変速操作をした際に、エンジン側と
車輪側のいずれか一方側から他方側に向って動力が衝撃
的に伝達されるというような衝撃が生じないようにする
ことを目的とする。
【0014】更に、変速装置の構成を簡単にし、かつ、
これの組み立て作業が容易にできるようにすることを目
的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
のこの発明の車両変速装置は、エンジン3と変速機12
との間に介設される手動もしくは踏動操作式の第1クラ
ッチ4と、上記変速機12を変速操作する変速操作機構
29とを備えた車両変速装置において、上記変速機12
と車輪8との間に第2クラッチ38を介設し、この第2
クラッチ38を上記変速機12側に連結される駆動側部
材39と、上記車輪8側に連結される従動側部材40
と、これら駆動側部材39と従動側部材40とを互いに
接続させるように付勢するスプリング41とで構成し、
このスプリング41の付勢力に抗して上記駆動側部材3
9と従動側部材40とを互いに分断可能とするクラッチ
分断機構61を設け、上記変速操作機構29への操作が
開始されたことを検出する操作検出センサ77を設け、
この操作検出センサ77からの検出信号を入力して上記
第2クラッチ38の駆動側部材39と従動側部材40と
を所定期間分断させるようクラッチ分断機構61を作動
させる変速制御装置78を設けたものである。
【0016】上記の場合、変速機12における減速比を
大きくさせるための操作が変速操作機構29に対してな
されるとき、この操作が開始されたことを操作検出セン
サ77が検出するようにしてもよい。
【0017】また、第2クラッチ38の駆動側部材39
と従動側部材40とを分断させる所定期間の長さを可変
とし、一方、車両1の運転状態を検出する運転状態検出
センサ73を設け、この運転状態検出センサ73の検出
信号を入力した変速制御装置78が、上記検出信号の入
力に基づき上記所定期間の長さを変更させるようにして
もよい。
【0018】また、第2クラッチ38とクラッチ分断機
構61とを油圧式とし、このクラッチ分断機構61から
上記第2クラッチ38への圧油64の供給で、スプリン
グ41の付勢力に抗して駆動側部材39と従動側部材4
0とが分断される一方、上記第2クラッチ38からの圧
油64の排出と同上スプリング41の付勢力とで同上駆
動側部材39と従動側部材40とが接続されるようにし
てもよい。
【0019】また、第2クラッチ38からの圧油64の
排出用油路70に絞り71を設けてもよい。
【0020】また、変速機12を構成する変速軸である
出力軸15に第2クラッチ38を取り付け、この第2ク
ラッチ38に連通する圧油64の油路67を上記変速軸
である出力軸15に形成してもよい。
【0021】また、第2クラッチ38自体を一体的な構
造にして、この第2クラッチ38を変速軸である出力軸
15に対し着脱自在に取り付けてもよい。
【0022】
【作 用】上記構成による作用は次の如くである。
【0023】第1クラッチ4と第2クラッチ38とがそ
れぞれ「接続動作」して、これら第1クラッチ4と第2
クラッチ38とを介しエンジン3側から車輪8側に動力
が伝達されている車両1の「通常走行時」や、この「通
常走行時」とは逆に、「接続動作」した第1クラッチ4
や第2クラッチ38と、変速機12とを介し車輪8側か
らエンジン3側に向って大きな動力が伝達され、いわゆ
るエンジンブレーキにより車両1が制動されている「エ
ンジンブレーキ走行時」において、変速操作をしようと
して、変速操作機構29への操作を開始すると、この操
作の初期段階で、変速操作の開始されたことが操作検出
センサ77によって検出される。
【0024】すると、この操作検出センサ77の検出信
号が直ちに変速制御装置78に入力され、この変速制御
装置78によって、クラッチ分断機構61が作動させら
れて、第2クラッチ38が所定期間「分断動作」し、エ
ンジン3側と、車輪8側との間の伝達動力が減少させら
れる。
【0025】これにより、変速機12において互いに係
合している両歯車間の伝達動力も減少して、これらの互
いの圧接力が減少する。このため、変速操作機構29へ
の上記操作開始に後続する操作により、上記両歯車の係
合が円滑に解除される。
【0026】よって、上記変速操作によれば、変速操作
機構29への操作だけで、第2クラッチ38が自動的に
「分断動作」させられることから、変速操作において従
来必要とされた第1クラッチ4の「分断動作」のための
操作はしなくても足りることとなる。
【0027】しかも、上記したように第2クラッチ38
は変速機12と車輪8との間に介設されているため、次
の作用が生じる。即ち、特に、上記「エンジンブレーキ
走行時」には、一般に、上記変速機12において互いに
係合している両歯車間の伝達動力は大きくて、これらは
互いに大きい圧接力で圧接する。この際、仮に、第1ク
ラッチ4が「分断動作」させられたとすれば、上記圧接
力は弱められるが、車輪8から上記第1クラッチ4の従
動側部材までには変速機12を介して動力が伝達される
ことから、この変速機12では歯車の噛合等により動力
損失が生じ、その動力損失分で、上記変速機12におけ
る両歯車は互いに圧接しようとする。
【0028】しかし、上記したように第2クラッチ38
は変速機12よりも車輪8側に位置しているため、上記
変速操作機構29への操作の開始に伴って、上記第2ク
ラッチ38が「分断動作」させられると、上記車輪8側
から変速機12に動力が伝達されることは確実に抑制さ
れる。よって、上記両歯車の互いの圧接力は確実に減少
させられて、これら両歯車の係合の解除はより円滑にな
される。
【0029】ところで、上記「通常走行時」に変速操作
をしようとするときには、一般に、スロットル開度を一
旦閉じるなどの操作により、エンジン3を一時的に減速
させることが行われる。このため、このエンジン3側の
回転数が車輪8側の回転数に接近することから、変速操
作時において、第1クラッチ4や第2クラッチ38の
「分断操作」をしなくても、変速機12における両歯車
の係合の解除や、次の噛合が円滑にできることがある。
しかし、「エンジンブレーキ走行時」には、上記したよ
うに回転数が接近することはなく、つまり、前記したよ
うに変速機12における両歯車は一般に大きい圧接力で
係合したままになるため、変速操作時には、通常、第1
クラッチ4や第2クラッチ38を「分断動作」させるこ
とが必要となる。
【0030】そこで、上記構成において、変速機12に
おける減速比を大きくさせるための変速操作(いわゆる
シフトダウン操作)が変速操作機構29に対してなされ
るとき、この操作が開始されたことを操作検出センサ7
7が検出して、第2クラッチ38を自動的に「分断動
作」させるようにしてもよい。
【0031】即ち、このようなシフトダウン操作は、通
常、上記「エンジンブレーキ走行時」に行われるため、
上記シフトダウン操作があるときには、上記したように
変速機12における両歯車が大きい圧接力で係合してい
て、第2クラッチ38の「分断動作」が必要であること
が一般的に予測されることから、この第2クラッチ38
を自動的に「分断動作」させるようにしてもよく、この
ようにすれば、「エンジンブレーキ走行時」において、
上記したように変速機12における両歯車の係合の円滑
な解除がより確実になされる。
【0032】また、第2クラッチ38の駆動側部材39
と従動側部材40とを分断させる所定期間の長さを可変
とし、一方、車両1の運転状態を検出する運転状態検出
センサ73を設け、この運転状態検出センサ73の検出
信号を入力した変速制御装置78が、上記検出信号の入
力に基づき上記所定期間の長さを変更させるようにして
もよい。
【0033】このようにすれば、次の作用が生じる。即
ち、運転状態検出センサ73の検出信号により、係合さ
せようとする両歯車の回転速度の差が小さいものである
と変速制御装置78によって判断されれば、このときの
上記両歯車の係合は円滑、かつ、迅速にできると予想さ
れる。そこで、この場合には、変速制御装置78により
第2クラッチ38の「分断動作」の所定期間が短くなる
よう設定されて、この「分断動作」後の上記両歯車の係
合と、この後の第2クラッチ38の「接続動作」とを含
む変速操作が短時間で、完了できることとされる。
【0034】一方、同上運転状態検出センサ73の検出
信号により、係合させようとする両歯車の回転速度の差
が大きいものであると同上変速制御装置78によって判
断されれば、このときの上記両歯車の円滑な係合は迅速
にはできないと予想される。そこで、この場合には、変
速制御装置78により第2クラッチ38の「分断動作」
の所定期間がより長くなるよう設定される。このように
すれば、例えば、上記長い期間によって、車速が低下す
るまで待たされ、つまり、上記回転速度の差がある程度
小さくなるまで待たされることとなる。よって、上記両
歯車の係合が円滑になされる。
【0035】また、第2クラッチ38とクラッチ分断機
構61とを油圧式とし、このクラッチ分断機構61から
上記第2クラッチ38への圧油64の供給で、スプリン
グ41の付勢力に抗して駆動側部材39と従動側部材4
0とが分断される一方、上記第2クラッチ38からの圧
油64の排出と同上スプリング41の付勢力とで同上駆
動側部材39と従動側部材40とが接続されるようにし
てもよい。
【0036】このようにすれば、クラッチ分断機構61
を、リンク等を用いた機械式に構成するよりも、上記ク
ラッチ分断機構61の油路67,70など各構成部品の
配置の自由度が向上する。
【0037】また、第2クラッチ38からの圧油64の
排出用油路70に絞り71を設けてもよい。
【0038】このようにすれば、第2クラッチ38から
の圧油の排出が絞り71によって抑制されるため、この
排出に時間がかかり、その分、第2クラッチ38の「接
続動作」に時間がかかり、つまり、この第2クラッチ3
8の「接続動作」が短時間で衝撃的になされることが防
止されて、この「接続動作」が円滑に行われる。
【0039】また、変速機12を構成する変速軸である
出力軸15に第2クラッチ38を取り付け、この第2ク
ラッチ38に連通する圧油64の油路67を上記変速軸
である出力軸15に形成してもよい。
【0040】このようにすれば、圧油64の油路67の
ために別途の圧油管を設けなくて済む。
【0041】また、第2クラッチ38自体を一体的な構
造にして、この第2クラッチ38を変速軸である出力軸
15に対し着脱自在に取り付けてもよい。
【0042】このようにすれば、変速軸である出力軸1
5に対し第2クラッチ38を取り付ける際には、この第
2クラッチ38を予め作業空間の広いところで組み立て
た後に、この第2クラッチ38を上記変速軸である出力
軸15に組み付ければよい。
【0043】
【実施例】以下、この発明の実施例を図面により説明す
る。
【0044】図1において、符号1は自動二輪車で例示
される車両である。この車両1の動力装置2は、内燃機
関であるエンジン3、第1クラッチ4、変速装置5、お
よび動力伝達装置6を有し、これらはこの順序で互いに
連結されて、それぞれ車体フレーム側である車体静止側
7に支持されている。また、この車体静止側7には後輪
である車輪8が支承され、この車輪8には上記動力伝達
装置6から動力が伝達される。なお、上記符号7で示し
た部分は、この車体静止側の一部を構成するクランクケ
ースカバーである。
【0045】上記第1クラッチ4はエンジン3から車輪
8側に伝達される動力を断接可能とさせるものである。
より具体的には、上記第1クラッチ4は多板クラッチ
で、エンジン3側に連結される駆動側部材と、上記変速
装置5等を介して車輪8側に連結される従動側部材と、
これら駆動側部材と従動側部材とを互いに接続させるよ
う、つまり、第1クラッチ4を「接続動作」させるよう
に弾性的に付勢するスプリングとで構成されている。ま
た、上記スプリングの付勢力に抗して上記駆動側部材と
従動側部材とを互いに分断可能とさせる、つまり、第1
クラッチ4を「分断動作」させる手動式のクラッチ分断
機構11が設けられている。なお、このクラッチ分断機
構11は踏動式であってもよい。
【0046】上記変速装置5は、上記エンジン3からの
動力を上記第1クラッチ4を介して入力し、この動力を
上記車輪8側に伝達する歯車式の変速機12を有してい
る。
【0047】上記変速機12はケーシング13を有し、
このケーシング13内に第1の変速軸である入力軸14
と、第2の変速軸である出力軸15とが互いに平行に収
容されている。これら入力軸14と出力軸15は、それ
ぞれその軸心16,17回りに回転自在となるようそれ
ぞれ軸受18,19を介して上記ケーシング13に支承
されている。
【0048】上記入力軸14にはその軸心16上で第1
歯車21が固着され、また、第2歯車22が遊転自在に
支承されている。一方、上記出力軸15にはその軸心1
7上で第3歯車23が遊転自在に支承され、第4歯車2
4が軸方向にのみ摺動自在にスプライン嵌合している。
そして、上記第1歯車21と第2歯車22とが互いに噛
合し、第2歯車22と第4歯車24とが互いに噛合して
いる。
【0049】上記第3歯車23の側面には係合凹部であ
る被係合部26が形成され、第4歯車24の側面には、
この第4歯車24の軸方向の摺動で上記被係合部26に
係脱自在とされる係合突起である係合部27が形成され
ている。
【0050】上記変速機12を変速操作する変速操作機
構29が設けられている。この変速操作機構29は、車
体静止側7に回動自在に枢支される足踏み式のペダル
と、このペダルに連動するフォーク30を有し、このフ
ォーク30は上記第4歯車24に係合している。
【0051】そして、上記ペダルを足踏み操作すれば、
この操作に連動する上記フォーク30により、上記第4
歯車24が出力軸15上をその軸方向に摺動し、もっ
て、被係合部26と係合部27とを、図で示すように互
いに離脱した離脱状態と、互いに係合した係合状態のい
ずれかにさせることができる。そして、これにより、各
歯車の噛合状態が変化して、所望の減速比が得られるよ
うになっている。
【0052】前記第1クラッチ4の駆動側部材と従動側
部材とは、共に上記入力軸14上に位置してこの入力軸
14の一端側に支承されている。また、上記入力軸14
の軸心16上には貫通孔32が形成されている。
【0053】前記クラッチ分断機構11は、上記貫通孔
32を貫通する操作軸33を備えている。この操作軸3
3に係合するアーム34が上記車体静止側7に枢支軸3
5により回動自在に枢支され、上記アーム34はスプリ
ング36により一方向に付勢されている。一方、車両1
のバーハンドルの左グリップ側にはクラッチレバーが枢
支され、このクラッチレバーは上記アーム34に連結さ
れている。
【0054】そして、上記クラッチレバーを握れば、上
記アーム34が回動し(図1中矢印A)、このように回
動するアーム34に上記操作軸33が押され(図1中矢
印B)、これに連動して、上記第1クラッチ4が「分断
動作」させられる。また、上記クラッチレバーの握りを
解除すれば、上記操作軸33とアーム34は図示する元
の位置に戻って、上記第1クラッチ4が自動的に「接続
動作」させられる。
【0055】上記変速装置5は、上記エンジン3側から
車輪8側に伝達される動力を断接可能にする油圧式の第
2クラッチ38を有している。この第2クラッチ38は
上記エンジン3側である変速機12の出力軸15に連結
される駆動側部材39と、上記車輪8側に連結される従
動側部材40と、これら駆動側部材39と従動側部材4
0とを互いに接続させるよう、つまり、第2クラッチ3
8を「接続動作」させるように弾性的に付勢するスプリ
ング41とで構成されている。
【0056】上記第2クラッチ38をより詳しく説明す
る。この第2クラッチ38はトルクリミット式のワンウ
ェイクラッチである。上記駆動側部材39は軸心17上
に位置する円筒体43と、この円筒体43の外周面に周
方向等間隔に配設される多数のローラ44を備え、これ
ら各ローラ44は上記軸心17に対し少し傾斜してい
る。上記円筒体43は上記出力軸15に嵌脱自在にスプ
ライン嵌合し、かつ、上記円筒体43は同上出力軸15
に対し、締結具45により着脱自在に固着されている。
【0057】上記の場合、第2クラッチ38はそれ自体
が一体的な構造とされており、上記締結具45を出力軸
15に脱着させることにより、上記第2クラッチ38は
上記出力軸15に一体的に着脱自在とされている。
【0058】上記従動側部材40は上記円筒体43に嵌
脱自在に外嵌するケーシング47を有し、このケーシン
グ47は出力軸15の軸心17に沿った方向で二つに分
割され、つまり、互いに嵌脱自在に嵌合する第1ケース
48と第2ケース49とで構成されている。
【0059】上記軸心17上で、上記ケーシング47内
に収容される円筒状の押圧体51が設けられている。こ
の押圧体51は上記ケーシング47に対し上記出力軸1
5の軸方向に摺動しながら移動自在とされている。同上
押圧体51は上記ローラ44群に外嵌し、上記押圧体5
1の軸方向における一方向への摺動で(図1中矢印
C)、各ローラ44は、駆動側部材39の円筒体43の
外周面と、押圧体51の内周面との間に挟圧されるよう
になっている。前記スプリング41は皿ばねで、スラス
トローラ52を介し上記押圧体51を上記一方向に弾性
的に付勢している。これにより、各ローラ44が円筒体
43と押圧体51の間に弾性的に挟圧されて空転が抑制
され、第2クラッチ38が「接続動作」させられた状態
となる。
【0060】上記の場合、駆動側部材39が図1中矢印
Eの方向に回転して、この駆動側部材39から従動側部
材40に動力が伝達される場合には、各ローラ44の傾
斜方向により、上記駆動側部材39から従動側部材40
に対し、動力のほぼ100%が伝えられるようになって
いる。
【0061】一方、上記と回転方向は同じであるが、上
記とは逆に従動側部材40から駆動側部材39に動力が
伝達されるときには、それが所定の大きさのトルクに至
るまでは、ほぼ100%が伝達されるが、上記所定の大
きさのトルクを越えると、上記各ローラ44が空転し
て、駆動側部材39には、上記ほぼ100%を越えた分
については動力が伝達されず、つまり、第2クラッチ3
8がトルクリミットの働きをすることとなっている。
【0062】上記ケーシング47の第1ケース48と、
押圧体51とで囲まれた空間は圧油を導入させる圧油室
54となっている。この圧油室54に圧油を供給する
と、上記押圧体51がピストンとしての機能を有して、
上記スプリング41の付勢力に抗し、他方向に摺動し
(図1中矢印D)、上記各ローラ44の挟圧が解除され
て、各ローラ44の空転が許容され、つまり、第2クラ
ッチ38が「分断動作」させられるようになっている。
【0063】また、上記ケーシング47の第2ケース4
9と、押圧体51とは係合溝50と係合体53とで構成
される係合手段により互いに連結されて、一体的に回転
することとされている。
【0064】即ち、上記第2ケース49と押圧体51に
は、それぞれ出力軸15の軸方向に延びる係合溝50,
50が形成されている。これら両係合溝50,50の各
開口は同上出力軸15の径方向で対面し、これら両係合
溝50,50に跨るように球状の係合体53,53が嵌
入されている。そして、これら係合溝50と係合体53
とによって、上記ケーシング47と押圧体51とが互い
に連結され、これらは同上出力軸15の軸心17回りに
一体的に回転するようになっている。
【0065】上記の場合、押圧体51はケーシング47
に対し前記したように同上出力軸15の軸方向で相対的
に移動するが、上記係合体53は球状であるため、上記
ケーシング47に対する押圧体51の移動時には、上記
係合体53が係合溝50の内面を転動して、上記押圧体
51の移動が円滑になされる。
【0066】前記動力伝達装置6はチェーン巻掛装置で
あって、上記出力軸15に遊転自在に支承される駆動鎖
車55と、車輪8側に設けられる従動鎖車と、これら両
鎖車に巻き掛けられる伝動チェーン56とで構成されて
いる。
【0067】上記ケーシング47の第2ケース49には
係合部57が突設され、一方、上記駆動鎖車55には上
記係合部57と係合する被係合部58が貫設されてい
る。これら係合部57と被係合部58とは係脱自在に係
合しており、この係合により、上記ケーシング47と駆
動鎖車55とが軸心17回りに一体的に回転するように
なっている。
【0068】ところで、従来では、ケーシング47と駆
動鎖車55とが一体成形されていたため、上記駆動鎖車
55が伝動チェーン56との噛み合いで早期に摩耗した
場合には、この駆動鎖車55をケーシング47と共に新
しいものに交換する必要があった。しかし、上記したよ
うにケーシング47と駆動鎖車55とは上記係合部57
と被係合部58との係合により連結されているため、駆
動鎖車55が摩耗したときには、ケーシング47はその
まま使用し、駆動鎖車55のみを新しいものに交換すれ
ばよいこととされている。
【0069】上記エンジン3を駆動させる際には、ま
ず、第1クラッチ4を「分断動作」させる。そして、上
記エンジン3の駆動後に、第1クラッチ4を「接続動
作」させれば、上記エンジン3の動力が、前記した変速
機12における歯車組の噛合状態に合致する減速比で、
この変速機12の出力軸15にまで伝えられ、この出力
軸15が図1中矢印Eの方向に回転する。
【0070】そして、この場合には、前記したように第
2クラッチ38は「接続動作」して、上記駆動側部材3
9に伝えられた動力は、そのほぼ100%が上記従動側
部材40の押圧体51に伝えられる。そして、この動力
は係合体53、ケーシング47、係合部57、被係合部
58、駆動鎖車55、伝動チェーン56等を介して車輪
8に伝えられ、車両1が「通常走行時」の状態で走行す
ることとなる。
【0071】上記「通常走行時」において、エンジン3
を高速から急に低速とした場合において、変速機12の
減速比が大きい場合には、上記とは逆に、車輪8側から
上記動力伝達装置6、第2クラッチ38、および変速機
12等を介してエンジン3側に動力が伝達され、いわゆ
るエンジンブレーキにより車両1が制動されている「エ
ンジンブレーキ走行時」の状態となる。
【0072】上記状態で、第2クラッチ38において
は、従動側部材40から駆動側部材39に動力が伝達さ
れる。そして、この場合には、前記したように第2クラ
ッチ38がトルクリミットの働きをして、上記従動側部
材40に伝えられた動力は、所定の大きさのトルクに至
るまでは、そのほぼ100%が上記駆動側部材39に伝
達され、上記所定の大きさのトルクを越えると、上記各
ローラ44が空転して、駆動側部材39には、上記ほぼ
100%を越えた分については動力が伝達されないこと
となる。
【0073】図1と図2において、上記第2クラッチ3
8を「分断動作」可能とするクラッチ分断機構61が設
けられている。
【0074】上記クラッチ分断機構61は油圧式で、エ
ンジン3のオイルパン62と、このオイルパン62に溜
められた潤滑油63を吸入する一方、圧油64を吐出す
る油圧ポンプ65を備えている。なお、上記圧油64の
ほとんどは、エンジン3の潤滑用に用いられ、その一部
が上記クラッチ分断機構61に用いられる。
【0075】上記出力軸15の軸方向一端側には、その
軸心17上に上記圧油64の油路67が形成され、この
油路67の一端は前記第2クラッチ38の圧油室54に
連通している。また、上記油路67の他端は、上記出力
軸15の軸方向端面に開口している。
【0076】上記出力軸15の軸方向の一端には、ロー
タリージョイント68が軸心17回りに相対回転自在に
支承され、上記ロータリージョイント68は前記クラン
クケースカバーである車体静止側7に支持されている。
なお、上記ロータリージョイント68は、従来、駆動鎖
車55用のカバーが設けられていた代わりに設けられて
いる。
【0077】上記油圧ポンプ65の吐出口は、3ポート
2ポジションの電磁式の油圧制御弁69、上記ロータリ
ージョイント68、および上記油路67を介して圧油室
54に連通している。
【0078】そして、上記制御弁69を電気的にオンさ
せれば(図2中仮想線図示)、上記油圧ポンプ65から
の圧油64は上記制御弁69等を介して圧油室54に供
給される(各図中矢印F)。すると、前記したように、
第2クラッチ38が「分断動作」させられ、変速機12
側と、車輪8側のいずれか一方側から他方側に向っての
動力の伝達が切断される。
【0079】一方、同上制御弁69を電気的にオフさせ
れば(図2中実線図示)、上記圧油室54に供給されて
いた圧油64が、上記制御弁69と、この制御弁69か
ら延びた排出用の油路70を介し上記オイルパン62に
戻される(各図中矢印G)。また、この油路70には絞
り71が設けられている。
【0080】上記車両1の運転状態を検出する運転状態
検出センサ73が設けられる。この運転状態検出センサ
73は、エンジン3の回転数を検出する回転数検出セン
サ74と、上記エンジン3の補機であるスロットル開度
を検出するスロットル開度検出センサ75と、変速操作
機構29の操作状態を検出する変速状態検出センサ76
とで構成されている。また、上記変速操作機構29のペ
ダルへの踏動操作をその初期段階で検出する操作検出セ
ンサ77が設けられている。
【0081】上記各センサ73〜77の検出信号を入力
して、上記クラッチ分断機構61の制御弁69を作動さ
せ、これにより上記第2クラッチ38を所定期間「分断
動作」させる電子的な変速制御装置78が設けられてい
る。また、この変速制御装置78には、電源79がメイ
ンスイッチ80を介して接続されている。
【0082】上記車両1の通常走行中に、変速操作をし
ようとして、変速操作機構29のペダルへ踏動操作を開
始すると、この操作の初期段階で、変速操作の開始され
たことが操作検出センサ77によって検出される。
【0083】すると、この操作検出センサ77の検出信
号が直ちに変速制御装置78に入力され、この変速制御
装置78によって、クラッチ分断機構61が作動させら
れて制御弁69がオンし、圧油64が第2クラッチ38
の圧油室54に供給されて、第2クラッチ38が所定期
間「分断動作」し、エンジン3側と、車輪8側との間の
伝達動力が減少させられる。
【0084】これにより、変速機12において互いに係
合している第3歯車23と第4歯車24の互いの圧接力
が減少し、変速操作機構29への上記初期段階の操作に
続く操作により、上記第3歯車23と第4歯車24の係
合の解除が円滑になされる。
【0085】つまり、変速操作機構29への操作だけ
で、第2クラッチ38が自動的に「分断動作」させられ
ることから、変速操作において従来必要とされた第1ク
ラッチ4の「分断動作」のための操作はしなくても足り
ることとなる。
【0086】上記の場合、スロットル開度検出センサ7
5も操作検出センサとされている。つまり、このスロッ
トル開度検出センサ75により、スロットル開度を小さ
くさせるときの速度(角速度)が検出させられる。そし
て、このようにスロットル開度を小さくさせる操作があ
り、かつ、この速度が速いときには、通常、これに続い
て変速機12が操作されることから、このような検出信
号が入力されたときには、クラッチ分断機構61が作動
させられて第2クラッチ38が所定期間「分断動作」さ
せられるようになっている。
【0087】なお、上記スロットル開度検出センサ75
と操作検出センサ77とはいずれか一方を用いてもよ
い。
【0088】前記したように、第2クラッチ38は変速
機12と車輪8との間に介設されている。このため、次
の作用が生じる。即ち、「エンジンブレーキ走行時」に
は、一般に、上記変速機12において互いに係合してい
る第3歯車23と第4歯車24との間の伝達動力は大き
く、これらは互いに大きい圧接力で圧接する。この際、
仮に、第1クラッチ4が「分断動作」させられたとすれ
ば、上記圧接力は弱められるが、車輪8から上記第1ク
ラッチ4の従動側部材までには変速機12を介して動力
が伝達されることから、この変速機12では歯車の噛合
等により動力損失が生じ、その動力損失分で、上記変速
機12における両歯車は互いに圧接しようとする。
【0089】しかし、上記したように第2クラッチ38
は変速機12よりも車輪8側に位置しているため、上記
変速操作機構29への操作の開始に伴って、上記第2ク
ラッチ38が「分断動作」させられると、上記車輪8側
から変速機12に動力が伝達されることは確実に抑制さ
れる。よって、上記第3歯車23と第4歯車24の互い
の圧接力が確実に減少させられて、これら第3歯車23
と第4歯車24の係合の解除はより円滑になされる。
【0090】ところで、上記「通常走行時」に変速操作
をしようとするときには、一般に、スロットル開度を一
旦閉じるなどの操作により、エンジン3を一時的に減速
させることが行われる。このため、このエンジン3側の
回転数が車輪8側の回転数に接近することから、変速操
作時において、第1クラッチ4や第2クラッチ38の
「分断操作」をしなくても、変速機12における両歯車
の係合の解除や、次の噛合が円滑にできることがある。
しかし、「エンジンブレーキ走行時」には、上記したよ
うに回転数が接近することはなく、つまり、前記したよ
うに変速機12における両歯車は一般に大きい圧接力で
係合したままになるため、変速操作時には、通常、第1
クラッチ4や第2クラッチ38を「分断動作」させるこ
とが必要となる。
【0091】そこで、上記構成において、変速機12に
おける減速比を大きくさせるための変速操作(いわゆる
シフトダウン操作)が変速操作機構29に対してなされ
るとき、この操作が開始されたことを操作検出センサ7
7が検出して、第2クラッチ38を自動的に「分断動
作」させるようになっている。
【0092】即ち、このようなシフトダウン操作は、通
常、上記「エンジンブレーキ走行時」に行われるため、
上記シフトダウン操作があるときには、上記したように
変速機12における両歯車が大きい圧接力で係合してい
て、第2クラッチ38の「分断動作」が必要であること
が一般的に予測されることから、この第2クラッチ38
を自動的に「分断動作」させるようになっている。この
ため、「エンジンブレーキ走行時」において、上記した
ように変速機12における両歯車の係合の円滑な解除が
より確実になされる。
【0093】上記変速制御装置78において、第2クラ
ッチ38を「分断動作」させる所定期間の長さは可変と
されている。そして、前記運転状態検出センサ73の検
出信号を入力した上記変速制御装置78が、これに予め
設定されたプログラムと、上記検出信号の入力とに基づ
き、上記所定期間の長さを変更させる。
【0094】そして、上記運転状態検出センサ73の検
出信号により、係合させようとする第3歯車23と第4
歯車24の回転速度の差が小さいものであると変速制御
装置78によって判断されれば、このときの上記第3歯
車23と第4歯車24との係合は円滑、かつ、迅速にで
きると予想される。そこで、この場合には、変速制御装
置78により第2クラッチ38の「分断動作」の所定期
間が短くなるよう設定されて、この「分断動作」後の上
記両歯車の係合と、この後の第2クラッチ38の「接続
動作」とを含む変速操作が短時間で、完了できることと
される。
【0095】一方、同上運転状態検出センサ73の検出
信号により、係合させようとする第3歯車23と第4歯
車24の回転速度の差が大きいものであると同上変速制
御装置78によって判断されれば、このときの上記第3
歯車23と第4歯車24との円滑な係合は迅速にはでき
ないと予想される。そこで、この場合には、変速制御装
置78により第2クラッチ38の「分断動作」の所定期
間がより長くなるよう設定される。このようにすれば、
例えば、上記長い期間によって、車速が低下するまで待
たされ、つまり、上記回転速度の差がある程度小さくな
るまで待たされることとなる。よって、上記第3歯車2
3と第4歯車24との係合が円滑になされる。
【0096】また、前記したように、第2クラッチ38
からの圧油64の排出用油路70に絞り71が設けられ
ている。
【0097】このため、第2クラッチ38からの圧油の
排出が絞り71によって抑制され、この排出に時間がか
かる分、第2クラッチ38の「接続動作」に時間がかか
り、つまり、この第2クラッチ38の「接続動作」が短
時間で衝撃的になされることが防止されて、この「接続
動作」が円滑に行われる。
【0098】なお、以上は図示の例によるが、絞り71
は絞り量を可変とする可変式であってもよい。
【0099】
【発明の効果】この発明によれば、エンジンと変速機と
の間に介設される手動もしくは踏動操作式の第1クラッ
チと、上記変速機を変速操作する変速操作機構とを備え
た車両変速装置において、上記変速機と車輪との間に第
2クラッチを介設し、この第2クラッチを上記変速機側
に連結される駆動側部材と、上記車輪側に連結される従
動側部材と、これら駆動側部材と従動側部材とを互いに
接続させるように付勢するスプリングとで構成し、この
スプリングの付勢力に抗して上記駆動側部材と従動側部
材とを互いに分断可能とするクラッチ分断機構を設け、
上記変速操作機構への操作が開始されたことを検出する
操作検出センサを設け、この操作検出センサからの検出
信号を入力して、上記第2クラッチの駆動側部材と従動
側部材とを所定期間分断させるよう、クラッチ分断機構
を作動させる変速制御装置を設けてある。
【0100】このため、車両の「通常走行時」や、「エ
ンジンブレーキ走行時」において、変速操作をしようと
して、変速操作機構への操作を開始すると、この変速操
作の開始されたことが操作検出センサによって検出され
る。
【0101】すると、この操作検出センサの検出信号が
直ちに変速制御装置に入力され、この変速制御装置によ
って、クラッチ分断機構が作動させられて、第2クラッ
チが所定期間「分断動作」し、エンジン側と、車輪側と
の間の伝達動力が減少させられる。
【0102】これにより、変速機において互いに係合し
ている両歯車間の伝達動力も減少して、これらの互いの
圧接力が減少する。このため、変速操作機構への上記操
作開始に後続する操作により、上記両歯車の係合が円滑
に解除される。
【0103】よって、上記変速操作によれば、変速操作
機構への操作だけで、第2クラッチが自動的に「分断動
作」させられることから、変速操作において従来必要と
された第1クラッチの「分断動作」のための操作はしな
くても足りることとなる。よって、その分、変速装置に
おける変速操作が容易となる。
【0104】しかも、上記したように第2クラッチは変
速機と車輪との間に介設されているため、「エンジンブ
レーキ走行時」には、一般的に、上記変速機において互
いに係合している両歯車間の伝達動力は大きくてこれら
は互いに大きい圧接力で圧接する。この際、仮に、第1
クラッチが「分断動作」させられたとすれば、上記圧接
力は弱められるが、車輪から上記第1クラッチの従動側
部材までには変速機を介して動力が伝達されることか
ら、この変速機では歯車の噛合等により動力損失が生
じ、その動力損失分で、上記変速機における両歯車は互
いに圧接しようとする。
【0105】しかし、上記したように第2クラッチは変
速機よりも車輪側に位置しているため、上記変速操作機
構への操作の開始に伴って、上記第2クラッチが「分断
動作」させられると、上記車輪側から変速機に動力が伝
達されることは確実に抑制される。よって、上記両歯車
の互いの圧接力は確実に減少させられて、上記両歯車の
係合の解除はより円滑になされて、変速操作が容易にで
きることとなる。
【0106】ところで、上記「通常走行時」に変速操作
をしようとするときには、一般に、スロットル開度を一
旦閉じるなどの操作により、エンジンを一時的に減速さ
せることが行われる。このため、このエンジン側の回転
数が車輪側の回転数に接近することから、変速操作時に
おいて、第1クラッチや第2クラッチの「分断操作」を
しなくても、変速機における両歯車の係合の解除や、次
の噛合が円滑にできることがある。しかし、「エンジン
ブレーキ走行時」には、上記したように回転数が接近す
ることはなく、つまり、前記したように変速機における
両歯車は一般に大きい圧接力で係合したままになるた
め、変速操作時には、通常、第1クラッチや第2クラッ
チを「分断動作」させることが必要となる。
【0107】そこで、上記構成において、変速機におけ
る減速比を大きくさせるための変速操作(いわゆるシフ
トダウン操作)が変速操作機構に対してなされるとき、
この操作が開始されたことを操作検出センサが検出し
て、第2クラッチを自動的に「分断動作」させるように
してもよい。
【0108】即ち、このようなシフトダウン操作は、通
常、上記「エンジンブレーキ走行時」に行われるため、
上記シフトダウン操作があるときには、上記したように
変速機における両歯車が大きい圧接力で係合していて、
第2クラッチの「分断動作」が必要であることが一般的
に予測されることから、この第2クラッチを自動的に
「分断動作」させるようにしてもよく、このようにすれ
ば、「エンジンブレーキ走行時」において、上記したよ
うに変速機における両歯車の係合の円滑な解除がより確
実になされ、これにより、上記変速操作が更に容易にで
きることとなる。
【0109】また、第2クラッチの駆動側部材と従動側
部材とを分断させる所定期間の長さを可変とし、一方、
車両の運転状態を検出する運転状態検出センサを設け、
この運転状態検出センサの検出信号を入力した変速制御
装置が、上記検出信号の入力に基づき上記所定期間の長
さを変更させるようにしてもよい。
【0110】このようにした場合において、係合させよ
うとする両歯車の回転速度の差が小さいものであると変
速制御装置によって判断されれば、このときの上記両歯
車の係合は円滑、かつ、迅速にできると予想されるた
め、この場合には、変速制御装置により第2クラッチの
「分断動作」の所定期間が短くなるよう設定されて、こ
の「分断動作」後の上記両歯車の係合と、この後の第2
クラッチの「接続動作」とを含む変速操作が短時間で、
完了できることとされ、よって、変速操作が迅速にでき
ることとなる。
【0111】一方、同上運転状態検出センサの検出信号
により、係合させようとする両歯車の回転速度の差が大
きいものであると同上変速制御装置によって判断されれ
ば、このときの上記両歯車の円滑な係合は迅速にはでき
ないと予想されるため、この場合には、変速制御装置に
より第2クラッチの「分断動作」の所定期間がより長く
なるよう設定されて、上記長い期間によって、上記回転
速度の差がある程度小さくなるまで待たされることとな
る。
【0112】よって、上記両歯車の係合が円滑になさ
れ、この場合にも、変速操作が容易になると共に、第2
クラッチの「接続動作」の状態における両歯車の無理な
係合が回避されて、エンジン側と車輪側のいずれか一方
側から他方側に向って動力が衝撃的に伝達されるという
ことが防止される。
【0113】また、第2クラッチとクラッチ分断機構と
を油圧式とし、このクラッチ分断機構から上記第2クラ
ッチへの圧油の供給で、スプリングの付勢力に抗して駆
動側部材と従動側部材とが分断される一方、上記第2ク
ラッチからの圧油の排出と同上スプリングの付勢力とで
同上駆動側部材と従動側部材とが接続されるようにして
もよい。
【0114】このようにすれば、クラッチ分断機構を、
リンク等を用いた機械式に構成するよりも、上記クラッ
チ分断機構の油路など各構成部品の配置の自由度が向上
し、よって、限りある狭い余剰空間しか有しない車両に
とって、上記第2クラッチやクラッチ分断機構の配置が
容易にできることとなる。
【0115】また、第2クラッチからの圧油の排出用油
路に絞りを設けてもよい。
【0116】このようにすれば、第2クラッチからの圧
油の排出が絞りによって抑制されるため、この排出に時
間がかかり、その分、第2クラッチの「接続動作」に時
間がかかり、つまり、この第2クラッチの「接続動作」
が短時間で衝撃的になされることが防止される。よっ
て、この「接続動作」が円滑に行われ、つまり、変速操
作が円滑に行われ、かつ、「接続動作」時に、動力伝達
が衝撃的になることが防止される。
【0117】また、変速機を構成する変速軸に第2クラ
ッチを取り付け、この第2クラッチに連通する圧油の油
路を上記変速軸に形成してもよい。
【0118】このようにすれば、圧油の油路のために別
途の圧油管を設けなくて済む分、部品点数の増加が抑制
されて変速装置の構成が簡単になる。
【0119】また、第2クラッチ自体を一体的な構造に
して、この第2クラッチを変速軸に対し、第2クラッチ
を一体的に着脱自在に取り付けてもよい。
【0120】このようにすれば、変速軸に対し第2クラ
ッチを取り付ける際には、このクラッチを予め作業空間
の広いところで組み立てた後に、この第2クラッチを上
記変速軸に組み付ければよい。よって、第2クラッチの
構成部品を上記変速軸に次々と個別に組み付けることに
比べて、上記第2クラッチの組み立て作業が容易にでき
ることとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】動力装置の全体側面断面図である。
【図2】クラッチ分断機構を示す簡略線図である。
【符号の説明】
1 車両 2 動力装置 3 エンジン 4 第1クラッチ 5 変速装置 7 車体静止側 8 車輪 12 変速機 13 ケーシング 14 入力軸 15 出力軸(変速軸) 29 変速操作機構 38 第2クラッチ 39 駆動側部材 40 従動側部材 41 スプリング 54 圧油室 61 クラッチ分断機構 64 圧油 65 油圧ポンプ 67 油路 69 制御弁 70 油路 71 絞り 73 運転状態検出センサ 77 操作検出センサ 78 変速制御装置

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エンジンからの動力を入力して、この動
    力を車輪側に伝達する歯車式変速機と、上記エンジンと
    変速機との間に介設される手動もしくは踏動操作式の第
    1クラッチと、上記変速機を変速操作する変速操作機構
    とを備えた車両変速装置において、 上記変速機と車輪との間に第2クラッチを介設し、この
    第2クラッチを上記変速機側に連結される駆動側部材
    と、上記車輪側に連結される従動側部材と、これら駆動
    側部材と従動側部材とを互いに接続させるように付勢す
    るスプリングとで構成し、このスプリングの付勢力に抗
    して上記駆動側部材と従動側部材とを互いに分断可能と
    するクラッチ分断機構を設け、上記変速操作機構への操
    作が開始されたことを検出する操作検出センサを設け、
    この操作検出センサからの検出信号を入力して上記第2
    クラッチの駆動側部材と従動側部材とを所定期間分断さ
    せるよう上記クラッチ分断機構を作動させる変速制御装
    置を設けた車両変速装置。
  2. 【請求項2】 変速機における減速比を大きくさせるた
    めの操作が変速操作機構に対してなされるとき、この操
    作が開始されたことを操作検出センサが検出するように
    した請求項1に記載の車両変速装置。
  3. 【請求項3】 第2クラッチの駆動側部材と従動側部材
    とを分断させる所定期間の長さを可変とし、一方、車両
    の運転状態を検出する運転状態検出センサを設け、この
    運転状態検出センサの検出信号を入力した変速制御装置
    が、上記検出信号の入力に基づき上記所定期間の長さを
    変更させるようにした請求項1、もしくは2に記載の車
    両変速装置。
  4. 【請求項4】 第2クラッチとクラッチ分断機構とを油
    圧式とし、このクラッチ分断機構から上記第2クラッチ
    への圧油の供給で、スプリングの付勢力に抗して駆動側
    部材と従動側部材とが分断される一方、上記第2クラッ
    チからの圧油の排出と同上スプリングの付勢力とで同上
    駆動側部材と従動側部材とが接続されるようにした請求
    項1から3のうちいずれか1つに記載の車両変速装置。
  5. 【請求項5】 第2クラッチからの圧油の排出用油路に
    絞りを設けた請求項4に記載の車両変速装置。
  6. 【請求項6】 変速機を構成する変速軸に第2クラッチ
    を取り付け、この第2クラッチに連通する圧油の油路を
    上記変速軸に形成した請求項4、もしくは5に記載の車
    両変速装置。
  7. 【請求項7】 第2クラッチ自体を一体的な構造にし
    て、この第2クラッチを変速軸に対し着脱自在に取り付
    けた請求項6に記載の車両変速装置。
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