JPH0732880A - 自動車ドア用インパクトビ−ムとその製造法 - Google Patents

自動車ドア用インパクトビ−ムとその製造法

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JPH0732880A
JPH0732880A JP20189393A JP20189393A JPH0732880A JP H0732880 A JPH0732880 A JP H0732880A JP 20189393 A JP20189393 A JP 20189393A JP 20189393 A JP20189393 A JP 20189393A JP H0732880 A JPH0732880 A JP H0732880A
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Tube Forming KK
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 軽量かつ強度的にも十分満足できる上、ドア
内への装着性,生産性,経済性等にも優れた自動車ドア
用インパクトビ−ムを手軽に提供する。 【構成】 管状のビ−ム部の両端に板状のブラケット部
を有した鋼製の自動車ドア用インパクトビ−ムを、前記
ブラケット部の少なくとも一方は接合されることなく管
状ビ−ム部から一体成形されて成り、かつ該ブラケット
部は幅が管状ビ−ム部(素材管)の円周長より大きく、
肉厚が管状ビ−ム部のそれよりも薄い寸法に形成する。
また、鋼管の少なくとも一方の端部に口拡げ加工を施し
た後、その端部に軸方向の切欠きを設け、次いで切欠き
を設けた管の端部を該切欠き部より扇状に展開してか
ら、その展開部を押圧して偏平化する工程によって、上
記自動車ドア用インパクトビ−ムを製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、自動車のドア内部に
装着され、側方衝突の際にドアの内方への破損を防止し
て乗員を保護するための自動車ドア用インパクトビ−
ム、及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来技術とその課題】近年、交通事故の多発傾向を背
景に、側方からの衝突等により自動車のドアが内方に変
形する事故に備えるための鋼製の補強材、即ち“自動車
ドア用インパクトビ−ム”が注目を集めている。
【0003】例えば実開昭52−112025号公報に
は上記自動車ドア用インパクトビ−ムの1例が示されて
いるが、これは、図11に示される如く、軽量で比較的大
きな衝撃エネルギ−を吸収することができるように形状
をパイプ状となしたビ−ム部1が主体となり、その両端
にブラケット2, 2が溶接接合されて構成されたものであ
る。そして、このインパクトビ−ムは自動車のドアの図
12に示す部位に装着されるが、装着に当っては図13で示
す如くドアの外板3と内板4との間の空所にブラケット
を介して溶接(スポット溶接)により固着される。
【0004】しかしながら、上記図11からも分かるよう
に、上述のような自動車ドア用インパクトビ−ムは、製
作に際しブラケット2を溶接によりビ−ム部1に取付け
ねばならないため生産性が悪く、また溶接部の存在によ
る重量増加や材料特性の劣化も問題であった。
【0005】一方、特開平4−238725号公報,特
開平4−238726号公報,特開平4−238727
号公報並びに特開平4−260815号公報を見ると、
帯鋼から細長いブランクを採取し、その長手方向両端部
をブラケット部としてほぼ平板状に残すと共にそれ以外
の中央部を管状にプレス加工した後、その管状部の継目
の一部を溶接接合して製造した自動車ドア用インパクト
ビ−ムが提案されている。
【0006】しかし、これらのインパクトビ−ムには次
の問題が指摘された。 a) インパクトビ−ム製造のために予め素材鋼板を所定
の寸法に切断した上でプレス加工と溶接を施す工程が必
要であり、生産性が悪い。 b) インパクトビ−ムを自動車用ドア内に溶接取付けす
るのが容易となるようにブラケット部の幅を大きくしよ
うとすると、素材鋼板から採取するブランクの形状を図
14で示したように変えねばならず、そのためブランク取
りの関係で材料歩留りが悪くなる。 c) 鋼板から作成した製品は肉厚が一定なので、更に軽
量化しようとすると全体を薄肉化した上で部分的に補強
材を取付ける必要があり、生産性はより悪くなる。 d) 管状に加工した鋼板の継目部を溶接するので、元々
有している材料の強度が溶接部において低下する。
【0007】また、これらとは別に、管を素材とし、そ
の両端部の軸方向と周方向とに逆T字状の切欠きを設け
てからこれを展開してから、その展開部を偏平状にプレ
スして平板状のブラケットとした自動車ドア用インパク
トビ−ムも知られている(実開昭62−78519号公
報参照)。
【0008】この実開昭62−78519号に係るイン
パクトビ−ムは、素材管の端部を展開してブラケットと
しているので管状ビ−ム部に続いて素材管と一体の比較
的幅広ブラケットを有したものとなっており、そのため
自動車ドア内へ装着する際のスポット溶接領域を広く採
れることが特徴であるとされているが、それでもブラケ
ット幅の最大寸法は素材管の直径の約3倍(即ち素材管
の円周長)に止まるものでしかなく、スポット溶接作業
は自ずと制限されざるを得なかった。しかも、インパク
トビ−ムの全部位で肉厚は一定であり、ビ−ム部を管状
化した以外には軽量化に関する思想が見受けられないも
のであった。
【0009】このようなことから、本発明が目的とした
のは、強度的に十分満足できることは勿論、軽量化が図
れる上にドアとの接合面積を広く取ることが可能で、し
かも材料歩留や生産性の点でも優れた自動車ドア用イン
パクトビ−ムを提供すると共に、その好適な製造手段を
確立することであった。
【0010】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者等は上
記目的を達成すべく鋭意研究を行ったところ、次のよう
な知見を得ることができた。 (a) 鋼管を自動車ドア用インパクトビ−ムの製造素材と
し、その端部にブラケット部を形成する際、一旦、管の
端部に口拡げ加工(管端の拡管)を施してやると拡管さ
れた管端部は直径が大きくなると同時に肉厚が薄くなる
ので、これを展開して偏平化した場合には、その偏平化
部の幅は素材管の円周長よりも大きくなって十分なスポ
ット溶接領域が確保される上、拡管された部位は薄肉と
なるのでその分だけ軽量化することも可能である。 (b) また、偏平化部を含む“拡管された部位”が薄肉化
していても、これを自動車ドア用インパクトビ−ムとし
た場合の“補強材としての性能”に格別な悪影響はな
い。 (c) 鋼管を素材とし、口拡げ加工と該部分の展開・偏平
化のみによって製品が得られるので生産性が良い上に材
料特性の劣化を招くこともなく、そして製造コストも非
常に低くて済む。
【0010】本発明は、上記知見事項等を基にした研究
によって完成されたものであり、「管状のビ−ム部の両
端に板状のブラケット部を有した鋼製の自動車ドア用イ
ンパクトビ−ムを、 図1に示すように、 前記ブラケット
部の少なくとも一方は接合されることなく管状ビ−ム部
から一体成形されて成り、 かつ該ブラケット部は幅が管
状ビ−ム部の円周長より大きく、 肉厚が管状ビ−ム部の
それよりも薄い寸法に形成した点」に大きな特徴を有
し、更には、「図2で示したように、 鋼管の少なくとも
一方の端部に口拡げ加工を施した後、その端部に軸方向
の切欠きを設け、 次いで切欠きを設けた管の端部を該切
欠き部より扇状に展開してから、 その展開部を押圧して
偏平化する工程によって、 性能の優れた自動車ドア用イ
ンパクトビ−ムを生産性良く製造し得るようにした点」
をも特徴とするものである。
【0011】ここで、口拡げ加工してブラケット部を形
成する管端の部位を「鋼管の少なくとも一方の端部」と
したのは、鋼管の両端を本発明法に従って加工しブラケ
ット部を形成するのが最良ではあるものの、事情によっ
ては管端の一方のみに本発明法に従ったブラケット部形
成を行い、他端については別の手段(例えば別部材を溶
接接合する等の手段)でブラケット部を形成した場合に
も相応の効果を得ることができるからである。
【0012】以下、本発明に係る自動車ドア用インパク
トビ−ムを、その製造手順例に従ってより詳細に説明す
る。 [A] 素材鋼管の準備 鋼種を問わず、また強度を問わず種々の鋼管が自動車ド
ア用インパクトビ−ムを製造するための素材として使用
し得るが、適用鋼管の代表例を強度レベル別に示すと次
の通りである。
【0013】〔引張強さが100kgf/mm2 以上のもの〕 a) 鋼管を高周波加熱又は炉加熱で焼入れし(焼入れ後
に焼鈍をする場合もある)、引張強さ100kgf/mm2
上を確保したもの。 b) 引張強さ100kgf/mm2 以上の高張力鋼帯を造管し
たもの。 〔引張強さが100kgf/mm2 未満のもの〕 a) 熱延鋼帯をそのまま造管したもの。 b) 熱延鋼帯を冷間圧延した後に造管したもの。 c) 継目無製管したもの。 d) 上記a),b)で造管したものを冷間抽伸又は冷間圧延
したもの。
【0014】[B] 口拡げ加工(管端拡管加工) 1) 前処理 素材鋼管の口拡げ加工する部分は、加工性を向上させる
ため前処理として焼鈍又は焼準熱処理を施した方が良
い。なお、鋼管を高周波加熱で焼入れして強度を高める
場合には、焼入れ前に焼鈍又は焼準を施しておき、口拡
げ加工部以外の部分のみを焼入れして口拡げ加工部の加
工性を確保することもできる。
【0015】2) 口拡げ加工の手法 パンチを用いたプレス加工法を適用するのが一般的であ
るが、液圧バルジ加工法やゴムバルジ加工法等によって
も構わない。また、要求されるブラケット部の形状によ
り、テ−パ加工{図3の (a)あるいは(b) 等},段付加
工{図4},偏心口拡げ加工{図5}等が選ばれる。そ
して、口拡げ加工では、素材の強度や拡管量に応じて冷
間加工,温間加工あるいは熱間加工が選ばれる。
【0016】[C] 管端の展開・偏平化 1) 管端への切欠き敷設の方法 図6で示したように、管端拡管部に形成する切欠きは管
軸方向へ管軸と平行に(図6のイ)又はある程度の角度
を付けて(図6のロ)設けるが、その敷設の仕方として
はバイトや鋸等による切削切断法,バイトや鋸等での切
削によって切込み溝を入れた後にロ−ルを押し込む押し
込み切断法,レ−ザ−切断法,プラズマ切断法等が適用
できる。
【0017】2) 展開の仕方 管端を切欠き部より扇状に展開する方法としては、切欠
きを敷設した後の管端から円錐コ−ン,先端付近に傾斜
部を有する平板(例えば将棋駒形状の板,舟形状の板,
これらの先鋭端をカットした形状の板)等を押し込んで
管端壁を周方向外側に展開させる方法が好ましい。な
お、図7で示すように、切欠き端には加工時に割れ等が
進展しないように丸み部(R部:キリ孔等)を設けるこ
とも推奨される。そして、展開後の管端はプレス加工で
偏平に仕上げてブラケット部とする。
【0018】[D] ブラケット部の形状 管端に形成するブラケット部の形状については、切欠き
敷設時あるいは展開後に管端部を切断・プレス成形する
ことにより各種形状とすることができ、装着する自動車
ドア部の形状やドアへの装着の容易さ等を考慮して決定
すれば良い。なお、図8の (a), (b), (c)及び(d) はブ
ラケット部形状の代表例を示している。これらは基本的
なブラケット部の形状であるが、ドア部材との取り付け
に際し、取り合い等のために更なる成形を施して良いこ
とは言うまでもない。また、図9で示したように、ブラ
ケット部にビ−ド(補強リブ,突起等)付けを行って補
強(反り等の防止)を図るのも好ましい手段である。
【0019】以上のような手順を経て製造された自動車
ドア用インパクトビ−ムは、成形後の溶接部を有してお
らず、またブラケット部の幅は管状ビ−ム部の円周長
(素材管の円周長)よりも大きくなり、更にブラケット
部の肉厚は管状ビ−ム部のそれ(素材管の肉厚)よりも
薄くなっている。従って、このような本発明に係る自動
車ドア用インパクトビ−ムの主要な利点を挙げると次の
通りになる。
【0020】ア) ブラケットと管状ビ−ムとを溶接接合
する必要がないので生産性が高い。イ ) ブラケット幅が素材管の外周長よりも大きいので、
ドアパネルとの接合面積を広く取ることができる。ウ ) ブラケット部の大幅化が薄肉化によって達成されて
いるので、製造に際して材料歩留が低下することがな
い。エ ) ブラケット部が薄肉化されているので軽量化が図れ
る。オ ) 管状ビ−ム部に成形後の溶接部位が無く、そのため
の強度低下がない。カ ) 素材として鋼管が使用されるので板素材からの成形
が不要であり、この点でも非常に高い生産性を確保でき
る。
【0021】続いて、本発明に係る自動車ドア用インパ
クトビ−ムの製造例を実施例により説明する。
【実施例】まず、次に示す電縫鋼管を準備した。 〈化学組成〉 C:0.22%, Si:0.33%, Mn:1.18%, P:0.015
%,S:0.001%, B:0.0016%,Ti:0.012%, sol.
Al:0.037%,残部:Fe及び不可避不純物。 〈造管方法〉高周波電縫溶接。 〈焼準〉 焼準条件…900℃×5分保持。 焼準後特性…引張強さ:55kgf/mm2,降伏点:43kgf/mm2
伸び:30%。 〈サイズ〉外径31.8mm×厚さ2.1mm で、800mm 長に切断
したもの。
【0022】次に、前記電縫鋼管に対し、前処理として
両端部を除く中央部の部分焼入れを施した。なお、焼入
れ条件は次の通りであった。 焼入れ法:高周波誘導加熱で鋼管の中央部位を900℃
に加熱した後、水焼入れする。 焼入れ部:両管端部の 115mmを残した中央部位。
【0023】ここで、部分焼入れ後の鋼管の特性を調査
したが、その結果は下記の通りであった。 焼入れ部の引張強さ: 158kgf/mm2 , 焼入れ部の降伏点: 118kgf/mm2 , 焼入れ部の伸び:14%。
【0024】そして、上述のような前処理を施した鋼管
の両端部(各 115mm)にプレス加工により口拡げ加工を
施して管端の拡管を行った。なお、拡管率は1.40D(D
は管の外径)とした。
【0025】次いで、拡管部を900℃で焼鈍した後、
管端から 115mmの位置に割れ進展防止用R部をドリルで
開孔し、丸鋸を使って管端からこの部位にまで管軸と平
行の切欠きを入れた。続いて、管端部から先端付近に傾
斜部を有する平板(将棋駒形状の板)を押し込んで管端
部を扇状に展開した後、プレスで押し潰して展開部の形
状を平らに整え、自動車ドア用インパクトビ−ムとし
た。
【0026】このように形成された自動車ドア用インパ
クトビ−ムの寸法と形状は図10に示す通りであったが、
実用品として申し分の無い性能を示すことが確認され
た。
【0027】
【効果の総括】以上に示した如く、この発明によれば、
軽量でかつ強度的にも十分満足できる上、ドア内への装
着性,生産性,経済性等にも優れた自動車ドア用インパ
クトビ−ムを手軽に提供することが可能となるなど、産
業上極めて有用な効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る自動車ドア用インパクトビ−ムの
1例に関する説明図である。
【図2】本発明に係る自動車ドア用インパクトビ−ムの
製造工程例の説明図である。
【図3】口拡げ加工のうちのテ−パ−加工に関する説明
図である。
【図4】口拡げ加工のうちの段付加工に関する説明図で
ある。
【図5】口拡げ加工のうちの偏心口拡げ加工に関する説
明図である。
【図6】切欠きの敷設形態に関する説明図である。
【図7】割れの進展を防止するため切欠き端に設ける丸
み部(R部:キリ孔等)の説明図である。
【図8】ブラケット部の形状例に関する説明図である。
【図9】ブラケット部に設けるビ−ドの説明図である。
【図10】実施例で制作された自動車ドア用インパクト
ビ−ムの要部形状及び寸法に関する説明図である。
【図11】従来の自動車ドア用インパクトビ−ムに関す
る説明図である。
【図12】インパクトビ−ムの自動車ドアへの装着位置
に関する説明図である。
【図13】自動車ドア内のインパクトビ−ム取付け状況
の説明図である。
【図14】従来の自動車ドア用インパクトビ−ムを制作
する際の、素材板からのブランク取りに関する説明図で
ある。
【符号の説明】
1 ビ−ム部 2 ブラケット 3 ドア外板 4 ドア内板

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 管状のビ−ム部の両端に板状のブラケッ
    ト部を有した鋼製の自動車ドア用インパクトビ−ムであ
    って、前記ブラケット部の少なくとも一方は接合される
    ことなく管状ビ−ム部から一体成形されて成り、かつ該
    ブラケット部は幅が管状ビ−ム部の円周長より大きく、
    肉厚が管状ビ−ム部のそれよりも薄い寸法に形成されて
    いることを特徴とする、自動車ドア用インパクトビ−
    ム。
  2. 【請求項2】 鋼管の少なくとも一方の端部に口拡げ加
    工を施した後、その端部に軸方向の切欠きを設け、次い
    で切欠きを設けた管の端部を該切欠き部より扇状に展開
    してから、その展開部を押圧して偏平化することを特徴
    とする、自動車ドア用インパクトビ−ムの製造方法。
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