JPH0732841B2 - 有機溶剤の廃液処理システム - Google Patents

有機溶剤の廃液処理システム

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JPH0732841B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、塗料、シンナー、印刷
インク等といった有機溶剤を含んだ廃液から、再利用可
能な揮発成分を抽出し、更にその揮発成分を分留するこ
とによって、所望の沸点に対応した成分を段階的に回収
する有機溶剤の廃液処理システムに関する。
【0002】
【従来の技術】溶剤を含んだ廃液から再利用可能な成分
を回収する方法としては、従来例えば図3に示す如く、
規定量を一つの蒸留釜25に封じ込め、加熱して残渣と
揮発分とに分け、更にその揮発成分を冷却し、再度蒸留
釜26で加熱して蒸留塔27を利用して低沸点と高沸点
に分離する技術が知られている。尚図3において28、
30はコンデンサー、29、31はクーラー、32は一
時貯蔵タンクを示す。
【0003】しかしそのような回収技術では、規定量ず
つしか処理できずに時間がかかるばかりか、規定量ずつ
処理するバッチ方式の為、再利用可能な成分の回収が終
了する毎に、蒸留釜から寒天状の粕を残溜物として取り
出さなければならず効率が極めて悪かった。又再利用可
能な成分は、低沸点から高沸点まで一括して回収した
後、更に分離作業を必要とし、加えて沸点の低い順に必
要な段階毎に分けて回収したものでも、分離度が悪く、
品質に問題があった。
【0004】そこで出願人は、図4に示す如く有機溶剤
の廃液から揮発成分のみを分離蒸発させる薄膜型蒸発装
置1と、その分離された揮発成分を液化する冷却装置3
3と、液化された揮発成分から、所定の温度以下の沸点
を有する成分を留出、液化すると共に、残りの成分を送
り出す複数(例えば2基)の蒸留装置34、34とを上
記順に接続した有機溶剤の廃液処理システムを開発し
た。尚図4において35はコンデンサー、36はリボイ
ラー、37は廃溶剤タンク、38は余熱タンク、39は
一時貯蔵タンクを示すものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記有機溶剤の廃液処
理システムが開発されたことにより、廃液処理の効率は
飛躍的に向上し、分留精度も高めることにも成功した。
しかし前記システムは、蒸留装置が常圧式であるため、
薄膜型蒸発装置で分離蒸発させた揮発成分は、一旦液化
させなければ蒸留装置へ送り出すことができず、冷却、
貯蔵の設備が必要であった。又液化させたものを再度蒸
留装置で蒸発させるのであるから、エネルギーに無駄が
生じていることは明らかであるので、そのエネルギーロ
スを少なくする改良が必要であることを痛感している。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、エネルギーロ
スを最小限に押え、而も設備の省略化を目的とした有機
溶剤の廃液処理システムであって、その構成は、有機溶
剤の廃液から揮発成分のみを分離蒸発させる薄膜型蒸発
装置と、その分離された揮発成分から不純物を取り除い
た揮発成分を送り出す減圧式蒸留装置と、その送り出さ
れた成分を、高沸点と低沸点の成分に分けて個々に留出
する常圧式蒸留装置とを上記の順に接続し、又薄膜型蒸
発装置を複数利用し、それら薄膜型蒸発装置における各
揮発成分排出孔と減圧式蒸留装置とをダイレクトに接続
することにある。
【0007】
【作用】有機溶剤の廃液を上記システムに連続して送り
込めば、先ず薄膜型蒸発装置で揮発成分のみが分離蒸発
され、続いてその分離蒸発された成分が冷却されずに減
圧式蒸留装置へ投入され、そこで不純物が取り除かれた
成分は、続く常圧式蒸留装置で高沸点製品と低沸点製品
とに分けられる。
【0008】
【実施例】本発明に係る有機溶剤の廃液処理システム
を、図面に基いて説明すると、図1において1、1は夫
々薄膜型蒸発装置であり、この薄膜型蒸発装置1は、図
2に示す如く、加熱ジャケット2を外装した減圧室3の
上端に揮発成分排出孔4を有し、その下部に廃液供給口
5が設けられていおり、減圧室3は円筒状を呈し、その
中心に回転軸6が貫装されている。回転軸6には複数段
に亘って夫々放射状に薄膜化ブレード7、7・・が取り
付けられている。減圧室3の下端には、開閉弁8を介し
て気密室9が連設されており、その気密室9はホッパー
形状になっていて、その下端が、同じく開閉弁8aを介
し、外部に対して開放されるようになっている。気密室
9の下方には、開放された気密室内に対し、傘状頭部1
0aを挿脱作動させ、気密室内に堆積したスラッジを破
砕するブレーカー機構10が設けられている。
【0009】11は減圧式蒸留装置、12は常圧式蒸留
装置であり、各蒸留装置11、12は、両者とも多段式
の塔に構成され、送り込まれた揮発或は液化成分を、夫
々設定された沸点温度の低いものを塔の上端より取り出
し、高いものは下方から送り出すといったように分離さ
せるものであって、減圧式蒸留装置11は減圧室13を
備えている。
【0010】前記薄膜型蒸発装置1には、図示しない廃
溶剤タンクから送り出された廃溶剤が、同じく図示しな
い余熱タンクを経て送り込まれるようになっており、各
薄膜型蒸発装置1、1の揮発成分排出孔4、4と第一塔
である減圧式蒸留装置11の減圧室13とがパイプ14
でダイレクトに接続され、蒸発した揮発成分を減圧式蒸
留装置11の減圧室13へ直接送り込むようになってい
る。
【0011】減圧式蒸留装置11は不純物を取り除くた
めのもので、前記揮発成分から分離された不純物の一部
は、リボイラー15によって加熱して減圧式蒸留装置1
1へフィードバックされ、他は残液Aとして取り出され
る。一方製品となる揮発成分は、コンデンサー16で凝
縮して送り出すと共に、一部を前記減圧式蒸留装置13
へ還流し、それによって留分の精度アップが図られるよ
うになっている。第二塔に相当する常圧式蒸留装置14
へ送られた成分は、沸点温度の違いにより分留し、沸点
が低いものは上から製品Bとして、高いものは下から製
品Cとして取り出され、ここでも各留出分の一部は、コ
ンデンサー17、リボイラー18を介して常圧式蒸留装
置14へフィードバックされる。尚図面に示す19はベ
ントンコンデンサー、20はクッションタンク、21、
22は夫々クーラー、23、24は夫々流量計である。
【0012】このように形成された有機溶剤の廃液処理
システムによれば、先ず廃溶剤タンク内にある有機溶剤
の廃液が、余熱タンクで熱せられてポンプにより定量ず
つ薄膜型蒸発装置1内へ送り込まれ、その薄膜型蒸発装
置1で揮発成分とスラッジとに分離される。そこでスラ
ッジは連続的に気密室9にためられ、定期的にその気密
室から外に排出し、廃プラスチックとして処理される、
一方揮発成分はそのまま前記減圧蒸留装置11の減圧室
13へ送り込まれる。このときの温度は90℃〜95℃
である。
【0013】蒸留装置11の減圧室13における留出温
度は85℃〜90℃に設定されており、不純物が残液A
として下から排出され、製品となる揮発成分は、その全
量が上から留出される。このように先ず不純物を取り除
くことで、最終温度を一定に保つことができるといった
メリットがある。
【0014】留出された揮発成分は更に常圧式蒸留装置
12で分留される。因に本実施例では、分留温度を10
4℃〜107℃に設定し、自動車のボディ塗装時におけ
る色替え洗浄の廃液から、メタノール、アセトン、酢酸
エチル、トルエンを主成分とする留分と、メチルイソブ
チルケトン、キシレン、n−ブタノール、酢酸ブチル及
び高沸点の芳香族系混合溶剤を主成分とする留分とが留
出された。
【0015】本発明の廃液処理システムにおいて、廃液
10キロリットルを処理するに要する総エネルギーは、
170万キロカロリー(灯油に換算すると150リット
ル)であって、それと同じ処理を従来装置で行なうとす
ると、実に1.6倍の270万キロカロリーを必要とす
る。これは薄膜型蒸発装置から揮発成分が、大量の熱エ
ネルギーを含んだ気体の状態で蒸留装置へ送り込まれる
から、蒸留装置で消費される熱エネルギーが僅かで済む
ことに外ならない。又冷却、貯蔵装置の必要が無いの
で、設置スペースも少なくなる利点もある。
【0016】尚上記実施例は薄膜型蒸発装置を二基用
い、それらの薄膜型蒸発装置から送り出された揮発成分
を、先ず減圧式蒸留装置で分留し、更に常圧式蒸留装置
で分留するものを説明したが、薄膜型蒸発装置は二基に
限定するものでなく、又蒸留装置も三塔或はそれ以上を
用いて留出成分系を更に細分化することもできる。
【0017】
【考案の効果】本発明によれば、廃液を先ず薄膜型蒸発
装置で揮発成分と、溶剤含有量の少ないスラッジとに分
離され、その分離された揮発成分は先ず減圧蒸留装置で
不純物が除去され、次に分留する工程が連続して行なわ
れるので、作業効率が極めて高く、又前記薄膜型蒸発装
置から減圧蒸留装置へ送られる段階でのエネルギー損失
が少ない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る廃液処理システム全体の説明図で
ある。
【図2】薄膜型蒸発装置の内部構造を示す説明図であ
る。
【図3】従来例の説明図である。
【図4】改良された従来例の説明図である。
【符合の説明】1・・薄膜型蒸発装置、2・・加熱ジャ
ケット、3・・減圧室、4・・揮発成分排出孔、5・・
廃液供給口、6・・回転軸、7・・薄膜化ブレード、8
・・開閉弁、9・・気密室、10・・ブレーカー機構、
10a・・傘状頭部、11・・減圧蒸留装置、12・・
常状圧蒸留装置、13・・減圧室、14・・パイプ、
15・・リボイラー、16、17・・コンデンサー、1
8・・リボイラー、19・・ベントンコンデンサー、2
0・・クッションタンク、21、22・・クーラー、2
3、24・・流量計、25、26・・蒸留釜、27・・
蒸留塔、28、30・・コンデンサー、29、31・・
クーラー、32・・一時貯蔵タンク、33・・冷却装
置、34・・蒸留装置、35・・コンデンサー、36・
・リボイラー、37・・廃溶剤タンク、38・・余熱タ
ンク、39・・一時貯蔵タンク、A・・残液、B、C・
・製品。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機溶剤の廃液から揮発成分のみを分離
    蒸発させる薄膜型蒸発装置と、その分離された揮発成分
    から不純物を取り除いた揮発成分を送り出す減圧式蒸留
    装置と、その送り出された成分を、高沸点と低沸点の成
    分に分けて個々に留出する常圧式蒸留装置とを上記の順
    に接続して成る有機溶剤の廃液処理システム。
  2. 【請求項2】 複数の薄膜型蒸発装置における各揮発成
    分排出孔と減圧式蒸留装置の減圧室とをダイレクトに接
    続した請求項1の有機溶剤の廃液処理システム。
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