JPH07327673A - 培養皮膚の担体 - Google Patents
培養皮膚の担体Info
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Abstract
皮膚の担体。 【効果】 培養皮膚の培養、移動、保存等の際に、培養
皮膚を破損せず、容易に移植が行える。また、担体を培
養皮膚と同時に患部へ適用した際、患部からの滲出液は
担体に吸収され、患部に貯留することがない。さらに、
担体自体が抗菌性を有し、また抗菌剤の抗菌性を増強す
る作用を有するので、細菌の繁殖を抑えることが可能で
ある。
Description
るものであり、さらに詳しくは、培養皮膚の培養時、移
植時等に用いられる担体に関するものである。
する患部などに移植するためには、培養皮膚を支持する
ための担体が必要とされる。例えば、グリーン(Green)
は皮膚移植に際して、木綿のガーゼにワセリンを含有さ
せたいわゆるワセリンガーゼを担体として用いている
〔プロシーディング・オブ・ザ・ナショナル・アカデミ
ー・オブ・サイエンス・オブ・ザ・ユナイティッド・ス
テイツ・オブ・アメリカ,76, 5665-68, 1979 (Proceed
ing of the National Academy of Sciences of theUnit
ed States of America, 76, 5665-68, 1979)〕。
ンは吸水性がなく、疎水性であるため、ワセリンガーゼ
は患部からの滲出液を吸収できず、このために滲出液が
患部に貯留し、細菌繁殖の場を提供する結果となる。さ
らに、ワセリンガーゼは変形し易いため、保存、移動等
の際、ワセリンガーゼに支持されたシート状の培養皮膚
が破損するおそれがある。本発明は、抗菌性を有し、培
養皮膚の培養、移動、保存等の際に、培養皮膚を破損せ
ず、容易に移植を行うことができ、さらに担体を培養皮
膚と同時に患部へ適用した際に、患部からの滲出液を効
果的に吸収することができる培養皮膚の担体を提供する
ことを目的とするものである。
な課題を解決するために鋭意検討を行なった結果、キチ
ン成形体を培養皮膚の担体に用いれば、培養皮膚の損傷
を防止し、滲出液が患部に貯留することがなく、培養皮
膚の患部への生着性を向上させうることを見出し、本発
明に到達した。
ることを特徴とする培養皮膚の担体を要旨とするもので
ある。
類等の外骨格等を、塩酸処理等の酸処理、並びに苛性ソ
ーダ等のアルカリ処理等を行なって、蛋白およびカルシ
ウム分を分離精製することにより得られるポリ−N−ア
セチル−D−グルコサミンあるいはその誘導体をいう。
そのようなものとして、例えば6−O−ヒドロキシエチ
ル化キチン、カルボキシメチル化キチン、エーテル化キ
チン、アセチル基の一部が脱アセチル化されたキチン、
脱アセチル化されたキチンのアミノ基がアシル化された
キチン等が挙げられる。
キチン成形体の形状は特に限定されるものではなく、培
養皮膚と一体化することが可能であるもの、例えば、キ
チン成形体上で細胞の培養が可能なもの、培養皮膚を移
植時にキチン成形体と貼り合わせることが可能なもの、
移植後培養皮膚の被覆材として用いることが可能なもの
等、何らかの形で培養皮膚をキチン成形体と接触させた
状態で用いることが可能なものであればよく、また、培
養皮膚と同時に患部へ適用した際、患部からの滲出液を
吸収できるものであれば、いかなるものでもよい。例え
ば、スポンジ状、不織布状、織編物、綿状物等が挙げら
れる。
て製造される。まず、キチン粉末を100メッシュに粉砕
し、塩酸および苛性ソーダ水溶液によりキチン粉末中に
含まれる無機質およびタンパク質を除去し、水洗した
後、乾燥する。次いで得られた精製キチンをアミド系溶
剤に溶解させ、ドープを作製し、得られたドープを湿式
紡糸してフィラメントを得る。このフィラメントを所定
の長さにカットしてバインダーとともに水に分散させて
分散液を得る。この分散液をシートマシンに入れた後、
水を濾過除去する。次いで、シートマシン底部に残存す
るシート状キチンの両面を定性濾紙ではさんだ後、ロー
ル間にはさんで水を除去する。さらにプレス機で押圧
し、高温で乾燥する。上記の操作で得られたシート状の
キチン成形体は、例えば培養皮膚の移動用担体として使
用することができる。
よって得ることができる。例えば以下のようにして得ら
れたものを用いることができる。まず、ヒトの皮膚をバ
イオプシ(生検用試料採取)して、皮膚組織の断片を準
備する。採取部位としては、足の裏やかかとの皮膚はほ
とんど角質化しているので、これらの部位は避けた方が
好ましい。例えば、腋の下や腹部、大腿内側の皮膚が好
ましく用いられる。
散液により8〜24時間、好ましくは12時間処理して表皮
細胞の浮遊液を得る。この細胞をマイトマイシンCや放
射線等で処理することにより分裂能を弱めた3T3セル
フィーダレイヤー(細胞支持層)上に、1×104 〜1×
105 個/cm2 、好ましくは4×104 個/cm2 の濃度で播
種する。
清(FCS)を含むダルベッコ改変イーグル(DME
(H))培地などの表皮細胞培養用培地に生育促進物質
を加えたものを使用する。生育促進物質としては、 2.5
〜10mg/ml、好ましくは5mg/mlのトランスフェリン、
2〜15mg/ml、好ましくは5mg/mlのインシュリン、
1.3×10-11 〜 3.7×10-11 モル、好ましくは2×10
-11 モルのヨードチロニン、 0.1〜 0.6mg/ml、好まし
くは 0.4mg/mlのコルチゾール、 0.3×10-10 〜 2.2×
10-10 モル、好ましくは 1.0×10-10 モルのコレラトキ
シン、 0.7×10〜 3.2×10ng/ml、好ましくは 1.0×10
ng/mlの上皮成長因子(EGF)等が挙げられる。
の温度で行われる。炭酸ガスの濃度は5%以下が望まし
い。培養後、2〜3日して表皮細胞が容器に接着したの
を確認して、培地の交換を行う。培地の交換に際して
は、培養液としてカルシウムイオンを含まないDMEお
よびchelex-100等のキレート試薬で処理してカルシウム
イオンを除去したFCS等を用い、培地のカルシウムイ
オン濃度が 0.1mMとなるようにカルシウムイオンを添加
する。さらにこの培地に上記の生育促進物質と共に、新
たに5〜20ng/ml、好ましくは10ng/mlのヒト表皮成長
因子(human epidermal growth factor)を添加する。
この条件で培養すると、10日前後で表皮細胞は融合性
(細胞数が充分に増えて密集化し、それ以上細胞が増え
ない状態)を示すようになる。
ウムイオン濃度を 1.0〜 2.5mM、好ましくは 1.8mMに維
持する。移植に先立って、上記のようにして増殖させた
培養皮膚を容器から剥離させるため、酵素処理を行う。
酵素としては、細胞同士の結合力を低下させることなく
細胞と容器面との接着力を弱めることのできるものであ
ればいかなるものでも用いることができるが、一般にデ
ィスパーゼが広く用いられる。培養皮膚を 100〜 300P.
U./ml、好ましくは 200P.U./mlのディスパーゼ(酵
素)溶液に5〜 120分間、好ましくは30〜60分間、より
好ましくは40分間浸す。
ャーレの辺縁より剥がれてくるので、液を除去した後
に、キチン成形体を皮膚全面に押し当てて培養皮膚をキ
チン成形体に接着させ、ピンセット等で持ち上げると培
養皮膚がキチン成形体に接着した状態で1枚のシートと
して容器から剥離される。
たキチン成形体は、移動用担体として用いることができ
る。この場合、キチン成形体ごと培養皮膚を適用部位、
保存場所へ移動させればよい。
を、キチン成形体の面を上にして創面の上に配置して、
創面に付着させる。このようにして、培養皮膚を移植し
た後、その上層を被覆材にて被覆する。被覆材として
は、脱脂綿、滅菌ガーゼ又は不織布状やスポンジ状のキ
チン成形体を用いることができるが、一般的には滅菌ガ
ーゼが用いられる。さらに、この上から包帯を巻いて、
移植作業が完了する。
うにして使用することもできる。上記と同様の操作でキ
チン成形体に培養皮膚を付着させ、創面に配置させた
後、キチン成形体のみを静かに剥離除去すると、培養皮
膚のみが創面に残留する。しかる後に、移植された培養
皮膚を滅菌ガーゼ等で被覆し、包帯を巻いて作業は完了
する。こうした場合にも培養皮膚は創面に対して良好な
生着性を示す。
皮膚の保存用基材として用いることができる。この場合
には、融合性を示すようになるまで培養した培養皮膚
を、冷凍保存する。冷凍するに際しては、まず、培養皮
膚とキチン成形体とが一体化したシートを端部から円筒
状になるように巻き、この円筒をBME(basal mediumo
f Eagle:イーグルの基本培地) +30%FBS(fetal bo
vine serum :ウシ胎児血清) +15%グリセリン、BM
E+10%FBS+10%グリセリン、BME+10%FBS
+15%DMSO(dimethylsulfoxide) 等の溶液に浸漬し
た後に、冷凍室に入れる。冷凍室の温度を室温から-135
℃まで徐々に、例えば1分間あたり1℃ずつ低下させ
る。温度を徐々に低下させることによって氷の生成を防
止し得る。このようにして冷凍された培養皮膚は、数日
から数年の間保存でき、必要な際に新鮮な状態で解凍す
ることができる。解凍には通常37℃の温水を用いるが、
30℃から40℃の空気または水によるインキュベータを使
用してもよい。
せて冷凍保存した場合、このものを使用に際して解凍し
たときに、溶け出したワセリンが培養皮膚に付着するお
それがある。そのため作業性が悪くなるだけでなく、移
植後の創面に悪影響をもたらす。
は、移植された皮膚の被覆材として用いることもでき
る。このものの原料であるキチンには生体親和性があ
る、抗原性がない、表皮形成に優れる、損傷を受けた生
体に適用すると特殊な細胞を誘発して傷の修復を早め
る、抗菌性がある等の性質を有する。そのため、被覆後
創面への細菌感染を防ぎ、治癒をスムーズにする。
るが、培養皮膚の保存時ならびに移植後の細菌感染の防
止をより効果的にする目的で、抗菌剤を用いることもで
きる。そのような抗菌剤として、例えばアミノ多糖類、
第四アンモニウム塩、両性界面活性剤等が挙げられる。
そのようなものとして、ゲンタマイシン、ヨードチン
キ、カナマイシン、ファンギゾン、3−(トリメトキシ
シリル)プロピルジメチルオクタデシルアンモニウムク
ロリド、塩化ベンザルコニウム、ポリオキシエチレント
リメチルアンモニウムクロリド、塩化ベンゼトニウム、
アルキルトリメチルアンモニウム塩、p−イソオクチル
フェノキシエトキシエチルジメチルベンジルアンモニウ
ムクロリド、臭化フェノドデシウム(臭化ドミフェ
ン)、セチルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、
(3,4−ジクロルベンジル)ドデシルジメチルアンモ
ニウムクロリド、アルキルジメチルエチルアンモニウム
塩、アルキルキノリニウム塩、アルキルアミドプロピル
ジメチルベンジルアンモニウム塩、ジイソブチルクレゾ
キシエトキシエチルベンジルアンモニウム塩、ウンデシ
レン酸、アルキルポリアミノエチルグリシン、クロルヘ
キシジン、ドデシルグアニジン塩酸塩、ポリヘキサメチ
レンビグアニジン塩酸塩、アクリロニトリル−硫化銅複
合体、α−ブロムシンナムアルデヒド、2−(3,5−
ジメチルピラゾリル)−4−ヒドロキシ−6−フェニル
ピリミジン等がある。
しては、キチン成形体を抗菌剤を含む水溶液等で処理し
たり、キチン成形体を製造するためのキチンドープ中に
予め抗菌剤を混入した上で成形したりする方法がある。
例えば、ヨウ化カリ水溶液中にヨードを溶解して、その
溶液にキチンを浸漬することによって簡単に行なうこと
ができる。
する。
00メッシュに粉砕し、1N-HClにて4℃で1時間処理し、
さらに3%NaOH水溶液中で3時間、90℃で処理し、キチ
ン粉末中に含まれる無機質およびタンパク質を除去し、
水洗を繰り返し乾燥した。得られたキチンは、塩化リチ
ウムを8重量%含むジメチルアセトアミド溶液に、 0.2
重量%の濃度になるよう溶解した溶液の粘度が30℃にお
いて 265センチポイズの値を表すものであった。得られ
たドープをタンクに入れ、加圧下でギヤーポンプにて輸
送し、口径0.06mm、孔数 200ホールのノズルより吐出量
2.2g/minの割合で60℃のブタノール液中に押し出して凝
固し、10m/min の速度でローラーに引き取った。得られ
た糸条を水で十分に洗浄した後乾燥して、単糸デニール
が0.68デニール、強度3.1g/dのフィラメントを得た。次
いで、このフィラメントを長さ8mmにカットした。
ンダー(1デニールの水溶性ビニロン繊維を3mmにカッ
トしたもの) 0.05gを1Lの水に分散させた。次いで、
その分散液に水を加えて全量6Lとし、均一に繊維を分
散させ、シートマシンに入れた後、水を濾過除去した。
次いで、シートマシン底部に残存するシートの両面を定
性濾紙ではさんだ後、ロール間にはさんで水を除去し
た。さらにプレス機を用いて3kg/cm2の圧力で30秒間押
圧した後、それらを 120〜 130℃で6分間乾燥して不織
布を得た。
プシンで12時間処理して表皮細胞の浮遊液を得た。この
細胞をマイトマイシンCで処理した3T3セルフィーダ
レイヤー上に、4 ×104 個/cm2の濃度で播種した。20%
のウシ胎児血清( FCS) を含むダルベッコ改変イーグ
ル(DME( H) )培地に 0.5μg/mlのハイドロコーチ
ゾンおよび 10ng/mlのコレラトキシンを加え、37℃で5
%の炭酸ガスの存在下で培養した。培養後、2〜3日し
て表皮細胞がシャーレに接着したのを確認して、培地の
交換を行なった。培地の交換に際しては、培養液として
カルシウムイオンを含まないDMEおよびchlex-100 で
処理したFCSを用い、培地のカルシウムイオン濃度が
0.1mMとなるようカルシウムイオンを添加した。さらに
この培地に上記の増殖因子と共に、新たに 10ng/ml濃度
のヒト表皮成長因子(human epidermal growth factor)
を加えた。この条件で培養すると、10日前後で表皮細胞
は融合性を示すようになった。その後は移植までの3日
間、培地のカルシウムイオン濃度を 1.8mMに維持した。
このように培養してシート状の培養皮膚を得た。
体に用いた。参考例2で得られた培養皮膚に200P.U./ml
のディスパーゼ酵素溶液を40分間作用させた。酵素処理
を行なって、表皮細胞がシャーレの辺縁より剥がれてき
たところで、液を除去し、次いで参考例1で得られたキ
チン不織布を培養皮膚全面に押し当てて培養皮膚をキチ
ン不織布に接着させた。しかる後に、ピンセットで持ち
上げて、培養皮膚がキチン不織布に接着した状態で、1
枚のシートとして容器から剥離した。このようにしてキ
チン不織布を担体とする培養皮膚を得た。上記のごとく
得られたキチン不織布を担体とする培養皮膚を下腿採皮
創面に移植し、キチン不織布の上からガーゼで被覆し
た。1週間後に創面は理想的な治癒を見た。
培養皮膚を10%FCS、10%グリセロールを含む培地で
担体と共に4℃、1時間冷却後、−80℃のフリーザーに
一晩置き、次いで−135 ℃の冷凍室に移植日まで保存し
た。次いで、37℃の温水中で凍結培養皮膚を急速解凍
し、リン酸緩衝液で洗浄してから、この表皮を移植に供
した。移植当日、熱傷II度を右上腕部に受けた患者に対
して、熱傷面の肉芽創の壊死組織を除去してから培養皮
膚を移植した。培養皮膚を創面に貼付後、担体であるキ
チン不織布を取り除き、滅菌ガーゼ3枚で移植片を覆っ
た。4日目にガーゼを剥がし、以後2日毎にガーゼを交
換した。10日目に表皮は生着していた。
る培養皮膚を、必要に応じて適宜使用できるように凍結
保存した。すなわち、キチン不織布を担体とする培養皮
膚を円筒状に巻き、冷凍操作を行なった。使用に際して
解凍操作を行なったとき、培養皮膚は破損することがな
く、キチン不織布は優れた保護作用を有していた。比較
のため、キチン不織布の代わりにワセリンガーゼを用い
た以外は実施例1と同様にして得られたもので同様の操
作を行ったが、解凍操作の際、ワセリンが溶け出して培
養皮膚と分離してしまい、移植操作を行うことができな
かった。この結果より、本発明の担体はワセリンガーゼ
と比較して丈夫であり、培養皮膚を破損しないことが明
らかである。
いた)キチン不織布の性質を調べた。 〔抗菌性〕抗菌剤ゲンタマイシンを含有した水溶液10ml
に参考例1で得られたキチン不織布を浸漬した。このよ
うにして得られたキチン不織布、抗菌剤に浸漬しないキ
チン不織布、抗菌剤含有ガーゼ( 比較例1) および抗菌
剤を含まないガーゼ( 比較例2) について、緑膿菌の培
養試験を行なった。直径90mmのシャーレに20mlの寒天溶
液を注入して作製した培地上に1×105 個/cm2の緑膿菌
を播種し、上記の4試料(いずれも直径20mmの円形)を
置き、37℃のインキュベータに入れた。2日後、寒天上
に形成された緑膿菌発育阻止円を計測した。1種類の材
料につき5枚ずつ供試した。1つの阻止円につき4箇所
で直径を計測し、その平均値を求めた。緑膿菌発育阻止
円の直径は抗菌剤に浸漬したキチン不織布で28mmであ
り、顕著な阻止円が観察された。抗菌剤に浸漬しないキ
チン不織布では22mmであり、比較例1、2ではそれぞれ
26mm、0mm であった。以上から明らかなように、キチン
不織布は抗菌剤の抗菌性を増強し、またキチン単独でも
ガーゼ単独より高い抗菌性を有していた。
リンガーゼ( 比較例3) について、剛軟度をKES-F2純曲
げ試験機により測定した。KES システムでは、曲率K =
0.5 と1.5(cm-1) の間の傾斜を曲げ剛性とするが、キチ
ン不織布の場合曲率K が0.5 以下で折れが発生するた
め、K =0 から折れるまでの間の傾斜で表した。結果を
表1に示す。
キチン不織布はワセリンガーゼと比較して約15倍の曲げ
剛性をもつ。この結果より、本発明に用いるキチン不織
布は培養皮膚の移動、移植、保存に用いた際、培養皮膚
の破損、変形がなく、皮膚の移植を容易に行うことがで
きることが明らかである。
130cm3/cm2・ sec )および一般のワセリンガーゼ( 比較
例4,通気度476cm3/cm2・ sec )について、臨床におけ
る滲出液蒸泄効果を比較した。深達性II度熱傷をキチン
不織布およびワセリンガーゼで被覆し、創面の湿潤の程
度を比較した。ワセリンガーゼで被覆した創面は滲出液
が貯留して湿潤していたのに対し、キチン成形体で被覆
した創面は滲出液の貯留もなく乾燥状態を呈していた。
この結果より、キチン成形体はワセリンガーゼと比較し
て、患部からの滲出液の吸収、排出性に優れていること
が明らかである。
粉末(ユニチカケミカル株式会社製,UF−170G
S)を添加し、均一に分散させた。この分散液をガラス
板上に2mmの厚みに流延し、その上に木綿ガーゼを載せ
て十分に圧着させた後、約25℃の流水中に浸漬した。一
夜放置後、凝固物をガラス板から剥離し、沸騰水中で5
時間処理した後、凍結乾燥して、ガーゼと一体化したキ
チンスポンジを得た。このスポンジ上で、ヒトの大腿内
側より採取した皮膚由来の表皮細胞を参考例2に示した
方法で培養した。表皮細胞は一週間で融合性になった。
このようにしてできた培養皮膚をキチンスポンジごと容
器より剥した後、さらに培養皮膚の上にキチンスポンジ
をかぶせ、培養皮膚の上下をキチンスポンジで挟んだ状
態のものを得た。次に下側のキチンスポンジを剥した。
そして上側のキチンスポンジと一体化した培養皮膚で採
皮創を被覆した。その上から包帯を巻いて作業を完了し
た。10日後、滲出液の貯留はみられず、創面は乾燥し、
理想的な状態であった。以上の結果より、本発明の担体
は、患部からの滲出液を吸収し、排出することができる
ことが明らかである。
ーゼと比較して、曲げ剛性が大きく、かつ丈夫であるの
で、培養皮膚の培養、移動、保存等の際に、培養皮膚を
破損せず、容易に移植が行える。また、担体を培養皮膚
と同時に患部へ適用した際、患部からの滲出液は担体に
吸収され、患部に貯留することがない。特に、担体とし
て不織布等の通気性のあるものを適用すると、効率よく
滲出液を患部から吸収して、排出することができる。さ
らに、本発明の培養皮膚の担体は、担体自体が抗菌性を
有し、また抗菌剤の抗菌性を増強する作用を有するの
で、細菌の繁殖を抑えることが可能である。
Claims (1)
- 【請求項1】 キチン成形体からなることを特徴とする
培養皮膚の担体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP15523294A JP3773274B2 (ja) | 1994-06-13 | 1994-06-13 | 培養皮膚の担体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP15523294A JP3773274B2 (ja) | 1994-06-13 | 1994-06-13 | 培養皮膚の担体 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07327673A true JPH07327673A (ja) | 1995-12-19 |
JP3773274B2 JP3773274B2 (ja) | 2006-05-10 |
Family
ID=15601428
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP15523294A Expired - Fee Related JP3773274B2 (ja) | 1994-06-13 | 1994-06-13 | 培養皮膚の担体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3773274B2 (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007174931A (ja) * | 2005-12-27 | 2007-07-12 | Pola Chem Ind Inc | 表皮角化細胞層膜及び該表皮角化細胞層膜の利用 |
JP2007176830A (ja) * | 2005-12-27 | 2007-07-12 | Pola Chem Ind Inc | 皮膚バリア機能を向上させるための皮膚外用剤とその製造法 |
-
1994
- 1994-06-13 JP JP15523294A patent/JP3773274B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007174931A (ja) * | 2005-12-27 | 2007-07-12 | Pola Chem Ind Inc | 表皮角化細胞層膜及び該表皮角化細胞層膜の利用 |
JP2007176830A (ja) * | 2005-12-27 | 2007-07-12 | Pola Chem Ind Inc | 皮膚バリア機能を向上させるための皮膚外用剤とその製造法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP3773274B2 (ja) | 2006-05-10 |
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