JPH07327379A - 超音波モータ - Google Patents

超音波モータ

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Publication number
JPH07327379A
JPH07327379A JP6116752A JP11675294A JPH07327379A JP H07327379 A JPH07327379 A JP H07327379A JP 6116752 A JP6116752 A JP 6116752A JP 11675294 A JP11675294 A JP 11675294A JP H07327379 A JPH07327379 A JP H07327379A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
elastic body
driving force
ultrasonic motor
antinode
bending vibration
Prior art date
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Application number
JP6116752A
Other languages
English (en)
Inventor
Mitsuhiro Okazaki
光宏 岡崎
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Nikon Corp
Original Assignee
Nikon Corp
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Filing date
Publication date
Application filed by Nikon Corp filed Critical Nikon Corp
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Publication of JPH07327379A publication Critical patent/JPH07327379A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 電気機械変換素子と突起部とを弾性体の第1
面に設けた場合に、突起部の楕円運動の軌跡が傾かない
ようにして駆動効率の向上を図る。 【構成】 弾性体1、圧電素子、駆動力取り出し部4,
5を備える超音波モータに適用され、弾性体1の一方の
面に圧電素子を接着し、圧電素子に高周波電圧を印加す
ることによって弾性体1に縦振動と屈曲振動を起こす。
屈曲振動の腹の位置より外側で、かつ圧電素子が接着さ
れている面に駆動力取り出し部4,5を取り付ける。駆
動力取り出し部4,5の先端は、縦振動および屈曲振動
の合成による楕円運動をするとともに、x方向に揺動運
動を行う。これにより、楕円運動の傾きが抑えられ、超
音波モータの駆動効率が向上する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、超音波振動を利用した
超音波モータに関する。
【0002】
【従来の技術】従来この種の超音波モータとして、例え
ば「第5回電磁力関連のダイナミックスシンポジウム講
演論文集」に記載されている「異形縮退縦L1−屈曲B
4モード・平板モータ」が知られている。図16は上記
文献に記載されている超音波モータの構造を示す図であ
り、図16(a)はこの超音波モータを真上から見た
図、図16(b)はこの超音波モータを図16(a)に
示すP方向から見た断面図、図16(c)は図16
(a)に示すQ方向から見た断面図である。図16にお
いて、1は弾性体であり、その上面には圧電素子2,3
が接着され、圧電素子2,3の上面には不図示の電極が
それぞれ接着されている。また、弾性体1の下面には突
起部4,5が取り付けられており、この突起部4,5に
よって弾性体1の振動による駆動力が取り出される。以
下、この突起部4,5を駆動力取り出し部と呼ぶ。圧電
素子2,3は同一方向に分極しており、各圧電素子2,
3には電極を介して互いに90度(π/2)位相の異な
る高周波電圧が印加される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】まず、本発明者の解析
した結果に基づいて、図16の超音波モータの動作を説
明し、あわせてその問題点に言及する。なお以下では、
図16の圧電素子2に印加される高周波電圧を高周波電
圧A、圧電素子3に印加される高周波電圧を高周波電圧
Bと呼ぶ。また図16では、各圧電素子2,3が同一方
向に分極している例を示すが、逆方向に分極していても
よい。
【0004】図16の超音波モータでは、各圧電素子
2,3に高周波電圧が印加されると、各圧電素子2,3
は高周波電圧の周波数に応じて振動する。この振動は弾
性体1に伝達され、弾性体1は屈曲振動と縦振動を行
う。ここで屈曲振動とは、図16(b)と同一方向から
見た場合に弾性体1が図17(b)のように振動するこ
とをいい、一方縦振動とは、図16(a)と同一方向か
ら見た場合に弾性体1が図17(c)のように振動する
ことをいう。弾性体1に発生した屈曲振動と縦振動は弾
性体1内部で合成され、弾性体の下面に取り付けられた
駆動力取り出し部4,5は楕円振動を行う。
【0005】図17は弾性体1の形状の変化と駆動力取
り出し部4,5の楕円運動を示す図であり、図示の時間
t1〜t9はそれぞれπ/4ずつ異なる時間を示す。図
17(a)の横軸は高周波電圧の振幅値を示し、図17
(a)の角度θは高周波電圧の位相を示す。一方、図1
7(b)は弾性体1に発生する屈曲振動の波形図、図1
7(c)は弾性体1に発生する縦振動の波形図、図17
(d)は弾性体1の駆動力取り出し部4,5の楕円振動
の波形図である。図17(a)〜図17(d)はいずれ
も時間t1〜t9に対応して描かれている。
【0006】まず時間t1では、図17(a)に示すよ
うに、ともに正の電圧である高周波電圧A,Bを圧電素
子2,3に印加する。高周波電圧Aによって弾性体1に
発生する屈曲振動と、高周波電圧Bによって弾性体1に
発生する屈曲振動の位相は互いにπ/2相違するため、
これら屈曲振動は互いに打ち消し合い、弾性体1には屈
曲振動は起こらない。
【0007】図17(b)では、弾性体1の駆動力取り
出し部4,5での屈曲振動の振幅をそれぞれ質点Y1,
Z1で示しており、この質点Y1,Z1の振幅はいずれ
も0になる。また時間t1において弾性体1に働く縦振
動は、図17(c)のように弾性体1を縦方向に縮める
方向に働く。図17(c)では、駆動力取り出し部4,
5での縦振動の振幅を質点Y2,Z2で示している。駆
動力取り出し部4には質点Y1とY2を合成した質点Y
で示す振動が発生し、駆動力取り出し部5には質点Z1
とZ2を合成した質点Zで示す振動が発生する(図17
(d)参照)。
【0008】時間t2では、図17(a)に示すよう
に、高周波電圧Aは最大になり、高周波電圧Bは0にな
る。このため、弾性体1に発生する屈曲振動は図17
(b)のようになり、質点Y1は負方向に屈曲し、質点
Z1は正方向に屈曲する。また時間t2では、質点Y2
は弾性体1を縦方向に縮める方向に振動し、質点Z2は
縦振動せず(図17(c)参照)、質点YとZはともに
時間t1から右回りに楕円状に移動する(図17(d)
参照)。時間t3では、図17(a)に示すように、高
周波電圧Aは正の電圧に、高周波電圧Bは負の電圧にな
る。このため、弾性体1に発生する屈曲振動は図17
(b)のようになり、質点Y1の屈曲量は負方向に最大
になり、質点Z1の屈曲量は正方向に最大になる。ま
た、この時間t3では、質点Y2は弾性体1を縮める方
向に、質点Z2は伸ばす方向に縦振動する。したがっ
て、質点YとZはともに時間t2から右回りに楕円状に
移動する(図17(d)参照)。
【0009】時間t4では、図17(a)に示すよう
に、高周波電圧Aは0になり、高周波電圧Bは負の最大
値になる。このため、弾性体1に発生する屈曲振動は図
17(b)のようになり、質点Y1は負方向に屈曲し、
質点Z1は正方向に屈曲する。また、時間t4では、質
点Y2は縦振動せず、質点Z2は弾性体1を伸ばす方向
に縦振動する。したがって、質点YとZはともに時間t
3から右回りに楕円状に移動する(図17(d)参
照)。時間t5では、図17(a)に示すように、高周
波電圧A,Bはともに負の電圧になるため、図17
(b)に示すように弾性体1は屈曲振動を起こさない。
またこの時間t5では、質点Y2とZ2はいずれも弾性
体1を伸ばす方向に縦振動するため、質点YとZはとも
に時間t4から右回りに楕円状に移動する(図17
(d)参照)。以下同様に、時間t6〜t9の場合にも
弾性体1に屈曲振動と縦振動が発生し、この結果、質点
Y,Zは右回りに楕円を描くように移動する。
【0010】このように、図4の超音波モータでは、弾
性体1に発生する屈曲振動と縦振動との合成によって、
駆動力取り出し部4,5を楕円運動させている。したが
って、駆動力取り出し部4,5に接する位置に例えば図
18に示すようなロータ6を設ければ、このロータ6を
図示の矢印の向きに駆動することができる。
【0011】ところで、従来の超音波モータは、図16
に示すように、弾性体1上の圧電素子2,3が接着され
る面と反対側の面に駆動力取り出し部4,5を取り付け
るのが一般的である。また、駆動力取り出し部4,5と
ロータ6との間に隙間が生じると、ロータ6を効率よく
駆動できなくなるため、通常は加圧部材等によって加圧
して、駆動力取り出し部4,5とロータ6との間に隙間
ができないようにする。ところが、例えば圧電素子2,
3が接着されている面方向から加圧すると、加圧部材に
よって圧電素子2,3を破損するおそれがある。
【0012】一方、圧電素子2,3には高周波電圧を印
加するための電極を接着する必要があるが、電極を接着
した面と同一面に加圧部材を設けると、電極への配線が
やりにくくなる。逆に、ロータ6を弾性体1の上に置い
て、すなわち駆動力取り出し部4,5を上に向けてロー
タ6を駆動する場合、弾性体1に接着された圧電素子
2,3は床側を向くため、圧電素子2,3が床に接触し
てショートする等の問題が生じる。上記の問題を解決す
るためには、圧電素子2,3と駆動力取り出し部4,5
を弾性体1の同一面に設けるのが望ましい。
【0013】一方、超音波モータの駆動効率を上げるた
めには、最も大きく楕円運動する箇所に駆動力取り出し
部4,5を取り付けるのが望ましい。楕円運動は屈曲振
動と縦振動との合成によって生じるため、一般には最も
大きく屈曲する位置(以下、この位置を屈曲振動の腹と
呼ぶ)に駆動力取り出し部4,5が取り付けられる。と
ころが、屈曲振動の腹の位置に駆動力取り出し部4,5
を取り付けた場合の楕円運動の軌跡は、図19のような
理想的な形にならず、図20のように傾いた軌跡を描
く。このため、図20のx方向にロータを駆動する場
合、楕円運動C1を行う駆動力取り出し部はロータ6を
常にx方向に押すのに対し、楕円運動C2を行う駆動力
取り出し部はロータ6をx方向と逆方向に押す箇所があ
る。したがって、この楕円運動C2によってロータ6を
x方向に押す力が相殺され、超音波モータの駆動効率が
低下する。
【0014】本発明の目的は、電気機械変換素子と突起
部とを弾性体の同一面に設けた場合に、突起部の楕円運
動の軌跡が傾かないようにして駆動効率の向上を図った
超音波モータを提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】実施例を示す図1に対応
づけて本発明を説明すると、本発明は、第1面および該
第1面と対抗配置される第2面を有する弾性体1と、こ
の弾性体1の第1面側に結合される電気機械変換素子
2,3と、弾性体1の第1面側の所定箇所に取り付けら
れる突起部4,5とを備え、電気機械変換素子2,3に
より弾性体1に縦振動および屈曲振動を発生させ、これ
ら振動の合成によって突起部4,5を楕円運動させて駆
動力を取り出す超音波モータに適用され、突起部4,5
が第1面に直交する方向を軸として楕円運動するよう
に、突起部4,5の取り付け位置を定めることにより、
上記目的は達成される。請求項2に記載の発明は、請求
項1に記載された超音波モータにおいて、弾性体1に発
生される屈曲振動の腹のうち、基準となる腹の位置より
も外側に突起部4,5を取り付けたものである。請求項
3に記載の発明は、請求項2に記載された超音波モータ
において、弾性体1に発生される最も外側の腹を基準と
なる腹としたものである。請求項4に記載の発明は、請
求項2または3に記載された超音波モータにおいて、弾
性体1に発生される屈曲振動の腹の数がn個(nは1以
上の整数)で、かつ屈曲振動の波長がλの場合には、基
準となる腹の位置よりも外側に最大λ/4ずらして突起
部4,5を取り付けたものである。請求項5に記載の発
明は、請求項4に記載された超音波モータにおいて、弾
性体1に発生される4次の屈曲振動の最も外側の腹より
も外側に最大λ/4ずらして突起部4,5を取り付けた
ものである。請求項6に記載の発明は、請求項5に記載
された超音波モータにおいて、屈曲振動の腹における縦
振動の振幅をa、屈曲振動の波長をλ、屈曲振動の振幅
をb、突起部4,5の突起長をhとした場合に、基準と
なる腹の位置を原点とする突起部4,5の取り付け位置
Qを、 xQ=±(λ/2π)・sin-1{21/2・λa/(4π
b・h)} ただし、21/2・λa/(4πb・h)≦1 としたものである。
【0016】
【作用】請求項1に記載の発明では、電気機械変換素子
2,3と同じ第1面側に突起部4,5を取り付ける際
に、第1面に直交する方向を軸として突起部4,5が楕
円運動するような位置に、突起部4,5を取り付ける。
請求項2に記載の発明では、弾性体1に発生される屈曲
振動の腹のうち、基準となる腹の位置よりも外側に突起
部4,5を取り付けるため、突起部4,5は第1面に直
交する方向を軸として楕円運動する。請求項3に記載の
発明では、弾性体1に発生される最も外側の腹を基準と
なる腹とするため、楕円運動の軌跡が最大になる。請求
項4に記載の発明では、弾性体1に発生される屈曲振動
の腹の数がn個で、屈曲振動の波長がλの場合には、基
準となる腹よりも外側に最大λ/4ずらして突起部4,
5を配置するため、弾性体1に発生される屈曲振動の腹
の数に関係なく、常に楕円運動の傾きを減少させること
ができる。請求項5に記載の発明では、弾性体1に4次
の屈曲振動を発生させる場合には、最も外側の腹よりも
外側に最大λ/4ずらして突起部4,5を取り付けるた
め、楕円運動の傾きを減少させることができる。請求項
6に記載の発明では、最も外側の腹よりも外側に、 xQ=±(λ/2π)・sin-1{21/2・λa/(4π
b・h)} ただし、21/2・λa/(4πb・h)≦1 離れた位置に突起部4,5を設けるため、理論演算に基
づいて突起部4,5の位置を設定でき、楕円運動の傾き
を確実に減少できる。
【0017】なお、本発明の構成を説明する上記課題を
解決するための手段と作用の項では、本発明を分かり易
くするために実施例の図を用いたが、これにより本発明
が実施例に限定されるものではない。
【0018】
【実施例】以下、図1を用いて本発明による超音波モー
タの一実施例を説明する。図1(a)は本発明による超
音波モータの一実施例の断面図であり、図16に示す従
来の超音波モータと共通する構成部分には同一符号を付
している。図1(a)の1は弾性体であり、その下面に
は圧電素子2,3が接着され、圧電素子2,3の下面に
はそれぞれ不図示の電極が接着されている。また、弾性
体1の下面には突起部4,5が取り付けられており、こ
の突起部4,5の楕円運動を利用して超音波モータの駆
動力が取り出される。以下、この突起部4,5を駆動力
取り出し部と呼ぶ。この駆動力取り出し部4,5は、弾
性体1に発生する屈曲振動の腹の位置よりも外側に取り
付けられている。対比のため、図1(b)に腹の位置に
駆動力取り出し部4,5を取り付けた例を示す。
【0019】図1(a)の弾性体1の材料としては、ス
テンレス、アルミニウム、インバー等の金属、樹脂、炭
素繊維もしくはガラス繊維等を含有する金属、または樹
脂等が用いられる。また、圧電素子2,3は同一方向に
分極しており、各圧電素子2,3には電極を介して互い
に90度(π/2)位相の異なる高周波電圧が印加され
る。この高周波電圧が印加されると各圧電素子2,3は
励振し、それに応じて弾性体1は縦振動および屈曲振動
を行う。そして、これらの振動が弾性体1内部で合成さ
れて、駆動力取り出し部4,5は楕円運動を行う。
【0020】図2(a)は屈曲振動の腹の位置に駆動力
取り出し部4,5を取り付けた場合の駆動力取り出し部
4,5付近の形状変化を示し、図2(b)は腹の位置よ
り外側に駆動力取り出し部4,5を取り付けた場合の駆
動力取り出し部4,5付近の形状変化を示す。腹の位置
に駆動力取り出し部4,5を取り付けると、駆動力取り
出し部4,5の先端と付け根のx方向(図2の矢印方
向)の位置は一致する。一方、腹の位置より外側に駆動
力取り出し部4,5を取り付けると、駆動力取り出し部
4,5の先端と付け根のx方向の位置は一致しない。こ
れは、駆動力取り出し部4,5の先端は楕円運動ととも
にx方向に揺動運動を行うためである。実際には、y方
向(紙面の上下方向)にも揺動運動を行うが、x方向の
揺動運動に比べて無視できるほど小さい。
【0021】このように、屈曲振動の腹の位置より外側
に駆動力取り出し部4,5を取り付けると、駆動力取り
出し部4,5の先端は、縦振動および屈曲振動の合成に
よる楕円運動と、揺動運動とを足し合わせた軌跡を描く
と考えられる。これにより、駆動力取り出し部4,5
は、図1(c)に示すように、駆動力取り出し部4,5
の長手方向を軸とした楕円運動を描く。対比のため、図
1(d)には、屈曲振動の腹の位置に駆動力取り出し部
4,5を取り付けた場合の楕円運動を示す。
【0022】上述した揺動運動の運動軌跡は、駆動力取
り出し部4,5の取り付け位置を腹から遠くにずらすほ
ど大きくなり、節の位置に駆動力取り出し部4,5を取
り付けたときに最も大きくなる。一方、駆動力取り出し
部4,5の付け根に発生する縦振動は弾性体1の両端で
最も大きく、弾性体1の中央付近に近づくほど小さくな
る。
【0023】以上の振動特性を考慮に入れて後述する理
論演算を行った結果、腹の位置より外側に駆動力取り出
し部4,5を設けると、従来問題であった駆動力取り出
し部4,5での楕円運動の傾きが、図1(c)に示すよ
うにほとんどなくなることがわかった。
【0024】本実施例では、前述のような結果が得られ
たが、弾性体1の形状、材質、駆動力取り出し部4,5
の形状などが変わると、駆動力取り出し部4,5の最適
な取り付け位置も変化するため、これらの条件を考慮に
入れて駆動力取り出し部4,5の取り付け位置を定める
のが望ましい。ただし、駆動力取り出し部4,5を腹よ
りも内側に設けると、駆動力取り出し部4,5が行う楕
円運動は図1(d)よりもさらに傾くため、駆動効率が
さらに低下する。したがって、駆動力取り出し部4,5
は腹よりも外側に取り付けた方がよい。
【0025】一方、腹よりλ/4(λは屈曲振動の波
長)外側にずらした位置に駆動力取り出し部4,5を取
り付けると、この位置は屈曲振動の節の位置に相当する
ため、屈曲振動振幅が極端に低下し、所望の駆動力、駆
動速度が得られない。したがって、駆動力取り出し部
4,5を取り付ける位置は、図3に示すように腹から外
側にλ/4の範囲内が望ましい。また、取り付け位置
は、屈曲振動の腹に近い方がより大きな駆動力、駆動速
度が得られるため、なるべく腹に近い位置で、2つの駆
動力取り出し部4,5の運動軌跡が等しくなるような位
置を、弾性体1の形状、材質や、駆動力取り出し部4,
5の形状などを考慮に入れて選択するのが望ましい。
【0026】次に、図4を用いて、駆動力取り出し部
4,5の取り付け位置を理論的に解析する。なお、以後
の説明では、弾性体1に1次の縦振動(L1モードと呼
ぶこともある)と、4次の屈曲振動(B4モードと呼ぶ
こともある)を発生させる場合について説明する。図4
(a)では弾性体1の中央部Pを固定した状態を仮定
し、駆動力取り出し部4,5の付け根を点Q、先端を点
Rで示している。以下、弾性体1に発生するL1−B4
モード振動を、L1モードとB4モードに分けて考察す
る。また、L1モードの振幅をa、B4モードの波長を
λ、振幅をbとする。このときの運動軌跡は図4(b)
のようになる。
【0027】まず、点Qの振動を考えると、縦振動は図
4(a)のx方向に、屈曲振動はy方向に発生するた
め、点Qの軌跡はそれぞれ(1),(2)式によって表
される。
【数1】 x=a・sin(ωt−π/4) ・・・(1) y=b・sinωt ・・・(2) (1)式を展開すると、(3)式のようになる。
【数2】 x=(21/2/2)・a・sinωt−(21/2/2)cosωt ・・・(3) (3)式において、例えば第1項成分がゼロであるとす
ると、x方向成分とy軸方向成分との位相差はπ/2と
なり、楕円は傾かなくなる。逆に言えば、(3)式の第
1項成分がゼロでない限り、楕円は傾いてしまう。図4
(b)に示すように、点Qは、y軸の負方向に最も大き
く変位するときに、x軸の負方向に変位する。このた
め、この場合にx軸の正方向に力を加えてやれば、楕円
の傾きを抑えることができる。
【0028】図5は、駆動力取り出し部4,5の位置を
変化させた場合に、点Qと点Rがどのように変位するか
を示す図である。図5(a)はB4モードの腹の位置に
点Qを設けた場合であり、この場合は点Qと点Rを結ぶ
方向はy軸に平行になる。一方、図5(b)は腹の位置
より内側に点Qを設けた場合、図5(c)は腹の位置よ
り外側に点Qを設けた場合を示し、いずれも点Qと点R
を結ぶ方向はy軸に平行にならない。しかし、腹の位置
より外側に点Qを設けると、点Rはx軸の正方向に変位
することがわかる。
【0029】ここで、図6(a)に示すように、駆動力
取り出し部4,5の長さ(線分QR)をhとし、点Qか
ら鉛直に距離h離れた点をR0とすると、直線QRの方
向を示すベクトルと、直線RR0の方向を示すベクトル
は、それぞれ(4),(5)式のようになる。
【数3】
【0030】また、直線QRと直線QR0のなす角θ
は、屈曲振動による角速度をωとすると、(6)式で示
される。
【数4】θ=θ0・sinωt ・・・(6) 弾性体1が最も屈曲したときの形状は図6(b)のよう
になり、この場合の波形は(7)式で示される。
【数5】 y=b・cos{2π・(x/λ)} ・・・(7) この場合の点Qでの傾きtQは、(8)式で示される。
【数6】 tQ=dy/dx=−b・(2π/λ)・sin{2π(xQ/λ)} ・・・(8)
【0031】弾性体が最も屈曲したときに、図6(a)
に示す角度θは最大値θ0になると考えられ、このθ0
(9)式で示される。
【数7】θ0=tan-1Q≒tQ ・・・(9) 上記、(6),(8)式より、角度θは(10)式のよ
うになる。
【数8】 θ=tQ・sinωt =−b・(2π/λ)・sin{2π(xQ/λ)}・sinωt ・・・(10) (10)式を(5)式に代入すると、ベクトルR0Rは
(11)式のようになる。
【数9】
【0032】ベクトルR0Rで示す揺動運動によって
(3)式の第1項を打ち消すためには、(12)式の関
係を満たす位置に点Qを定めればよい。
【数10】 (21/2/2)・a−h・b・(2π/λ)・sin{2π(xQ/λ)}=0 ・・・(12) (12)式を変形すると、(13)式のようになる。
【数11】 sin{2π(xQ/λ)}=21/2・λa/(4πb・h) ・・・(13)
【0033】(13)式をさらに変形すると、点Qの位
置xQは(14)式のようになる。
【数12】 xQ=(λ/2π)・sin-1{21/2・λa/(4πb・h)} ・・・(14) ただし、(13)式より、以下の(15)式の条件を満
たす必要がある。
【数13】 21/2・λa/(4πb・h)≦1 ・・・(15) (14),(15)式の条件を満たす位置xQに駆動力
取り出し部4,5を取り付けると、駆動力取り出し部
4,5の先端の楕円運動の傾きを図7に示すようになく
すことができる。
【0034】ここで、駆動取り出し部4,5の長さhを
λ/5、L1モードの振動振幅aとB4モードの振動振
幅bをいずれもλ/20000とすると、点Qの位置x
Qは(16)式で示される。
【数14】xQ=0.095λ ・・・(16) この場合、x方向の原点を屈曲振動の腹の位置に定めて
いるため、腹の位置から外側に0.095λずらした点
に点Qを定めれば、楕円の傾きを抑えることができるの
がわかる。
【0035】図8〜12は、屈曲振動の腹の位置から点
Qをずらした場合に、点Rの楕円運動がどのように変化
するかを示す図である。具体的には、図8は点Qが腹よ
り内側にある場合(図13の)、図9は点Qが腹の位
置にある場合(図13の)、図10は点Qが腹と(1
5)式で示す位置xQとの間にある場合(図13の
)、図11は点QがxQにある場合(図13の)、
図12は点QがxQより外側にある場合(図13の)
をそれぞれ示す。これらの結果より、以下の2つのこと
がわかる。 (a)点Qは腹より外側にあるのが望ましい。 (b)点Qは(15)式で示すxQの位置が最も望まし
い。
【0036】以上の理論計算に基づいて駆動力取り出し
部4,5の取り付け位置を定めると、ロータを効率的に
駆動できるが、駆動効率をより向上させるためには、図
14のように加圧ローラ11と加圧バネ12によってロ
ータ13を加圧するのが望ましい。これによりロータ1
3が駆動力取り出し部4,5に押しつけられるため、駆
動力取り出し部4,5の楕円運動による力を損失なくロ
ータ13に伝達できる。また、弾性体1に発生する縦振
動と屈曲振動を弱めないように、弾性体1とベース板の
間にフェルトなどの緩衝材をはさんで弾性体1を支持す
るのが望ましい。さらに、図14に示すように、弾性体
1の中央部を固定部材15によって固定すると、弾性体
1のブレ等が抑制され、弾性体1に所望の縦振動と屈曲
振動を発生することができる。
【0037】なお、弾性体1を固定部材15によって固
定するためには、弾性体1の形状を例えば図15のよう
にするのが望ましい。図15(a)は弾性体1の中央部
に切り欠き部16を設けた例を示し、一方、図15
(b)は弾性体1の中央部に突起部17を設けた例を示
す。図15(a)の場合、切り欠き部16に固定部材1
5をはめ込むことによって弾性体1を固定することがで
き、一方、図15(b)の場合、突起部17を固定部材
15に差し込むことによって弾性体1を安定に固定する
ことができる。
【0038】上記実施例では、弾性体1に接着される電
気機械変換素子として圧電素子を用いたが、電気信号を
機械的な振動に変換できる部材であれば圧電素子に限定
されず、例えば電歪素子などを用いてもよい。上記実施
例では、1次の縦振動と4次の屈曲振動を弾性体1に発
生させる例を示したが、振動モードは実施例に限定され
ず、n次の縦振動とm次の屈曲振動(nおよびmは0以
上の整数)のあらゆる組み合わせについて本実施例を適
用できる。上記実施例では、4次の屈曲振動の最も外側
にある腹を基準の腹として、この腹より外側に駆動力取
り出し部4,5を取り付ける例を説明したが、基準の腹
は最も外側の腹でなくてもよい。例えば、外側から2番
目にある腹を基準の腹として、この腹の外側λ/4以内
に駆動力取り出し部4,5を取り付けてもよい。上記実
施例では、弾性体1を固定させてロータを移動させる超
音波モータについて説明したが、逆にロータを固定させ
て弾性体1を移動させてもよい。また、本実施例の超音
波モータはロータを直線上に駆動させるものであって
も、あるいは回転させるものであってもよい。上記実施
例では、弾性体1に2個の駆動力取り出し部4,5を設
けているが、駆動力取り出し部4,5の個数は実施例に
限定されない。また、弾性体1上に設けられる圧電素子
の数も実施例に限定されない。さらに、弾性体1および
圧電素子の形状などは実施例に限定されない。
【0039】このように構成した実施例にあっては、圧
電素子2,3が電気機械変換素子に、駆動力取り出し部
4,5が突起部に、それぞれ対応する。
【0040】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明によ
れば、電気機械変換素子と同じ第1面側に突起部を取り
付ける場合に、突起部が第1面に直交する方向を軸とし
て楕円運動するような位置に突起部を取り付けるように
したため、超音波モータの駆動効率を向上できる。請求
項2〜6に記載の発明によれば、腹よりも外側に突起部
を取り付けるようにしたため、突起部は第1面に直交す
る方向を軸として楕円運動するようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による超音波モータの構造を示す図であ
る。
【図2】駆動力取り出し部付近の弾性体の形状の変化を
示す図である。
【図3】駆動力取り出し部の取り付け範囲を示す図であ
る。
【図4】弾性体各部の座標位置と駆動力取り出し部の楕
円運動を示す図である。
【図5】駆動力取り出し部の取り付け位置を変化させた
場合の駆動力取り出し部の先端と付け根の位置関係を示
す図である。
【図6】駆動力取り出し部の取り付け位置を説明する図
である。
【図7】楕円運動の運動軌跡の変化を示す図である。
【図8】図13のに駆動力取り出し部を取り付けた場
合に駆動力取り出し部が行う楕円運動の運動軌跡を示す
図である。
【図9】図13のに駆動力取り出し部を取り付けた場
合に駆動力取り出し部が行う楕円運動の運動軌跡を示す
図である。
【図10】図13のに駆動力取り出し部を取り付けた
場合に駆動力取り出し部が行う楕円運動の運動軌跡を示
す図である。
【図11】図13のに駆動力取り出し部を取り付けた
場合に駆動力取り出し部が行う楕円運動の運動軌跡を示
す図である。
【図12】図13のに駆動力取り出し部を取り付けた
場合に駆動力取り出し部が行う楕円運動の運動軌跡を示
す図である。
【図13】駆動力取り出し部を取り付ける位置を示す図
である。
【図14】ロータの加圧方法の一例を示す図である。
【図15】弾性体の一部に切り欠き部または突起部を形
成した例を示す図である。
【図16】従来の超音波モータの構造を示す図である。
【図17】図16の超音波モータの弾性体の振動を説明
する図である。
【図18】ロータの移動を説明する図である。
【図19】駆動力取り出し部が理想的な楕円運動を行な
う例を示す図である。
【図20】駆動力取り出し部が傾いた楕円運動を行なう
例を示す図である。
【符号の説明】
1 弾性体 2,3 圧電素子 4,5 駆動力取り出し部

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1面および該第1面と対抗配置される
    第2面を有する弾性体と、 この弾性体の前記第1面側に結合される電気機械変換素
    子と、 前記弾性体の前記第1面側の所定箇所に取り付けられる
    突起部とを備え、 前記電気機械変換素子により前記弾性体に縦振動および
    屈曲振動を発生させ、 これら振動の合成によって前記突起部を楕円運動させて
    駆動力を取り出す超音波モータであって、 前記突起部が前記第1面に直交する方向を軸として楕円
    運動するように、前記突起部の取り付け位置を定めるこ
    とを特徴とする超音波モータ。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載された超音波モータにお
    いて、 前記突起部は、前記弾性体に発生される前記屈曲振動の
    腹のうち、基準となる腹の位置よりも外側に取り付けら
    れることを特徴とする超音波モータ。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載された超音波モータにお
    いて、 前記基準となる腹は、前記弾性体に発生される最も外側
    の腹であることを特徴とする超音波モータ。
  4. 【請求項4】 請求項2または3に記載された超音波モ
    ータにおいて、 前記突起部は、前記弾性体に発生される前記屈曲振動の
    腹の数がn個(nは1以上の整数)で、かつ前記屈曲振
    動の波長がλの場合には、前記基準となる腹の位置より
    も外側に最大λ/4ずらして取り付けられることを特徴
    とする超音波モータ。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載された超音波モータにお
    いて、 前記突起部は、前記弾性体に発生される4次の屈曲振動
    の最も外側の腹よりも外側に最大λ/4ずらして取り付
    けられることを特徴とする超音波モータ。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載された超音波モータにお
    いて、 前記屈曲振動の腹における前記縦振動の振幅をa、前記
    屈曲振動の波長をλ、前記屈曲振動の振幅をb、前記突
    起部の突起長をhとした場合に、前記基準となる腹の位
    置を原点とする前記突起部の取り付け位置xQは、 xQ=±(λ/2π)・sin-1{21/2・λa/(4π
    b・h)} ただし、21/2・λa/(4πb・h)≦1 であることを特徴とする超音波モータ。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102780417A (zh) * 2012-06-25 2012-11-14 南京航空航天大学 微小型减摩驱动式直线超声电机及其激励方式
JP2018125431A (ja) * 2017-02-01 2018-08-09 Tdk株式会社 圧電アクチュエータ

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