JPH07317651A - 斜板式可変ピストンポンプまたはモータ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 小型かつ部品数が少なくて駆動開始を容易か
つ円滑に行い得る斜板式可変ピストンポンプまたはモー
タを提供する。 【構成】 この発明の斜板式可変ピストンポンプまたは
モータは、斜板の円曲背面とケーシング面との間でかつ
ピストン機構が高圧となる域に曲面形静圧軸受機構を設
置し、この曲面形静圧軸受機へは斜板を貫通した通路を
介して前記静圧軸受機構からの高圧液が導入されるよう
に構成したもの。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、各種の流体機器（油
圧機器）分野等において利用可能な斜板式可変ピストン
形のポンプまたはモータに関する。

【０００２】

【従来の技術】主として流体機器分野で使用されるポン
プまたはモータ（回転動力を与えるとポンプとして機能
し高圧液を入力するとモータとして機能する流体機械で
あるが以下においてはポンプの例で説明する）には、ギ
ヤ形、ベーン形のものもあるが、最近では高圧用に適し
効率の良いピストン形が好んで使用されている。特にそ
の中でも高効率で調節可能な斜板式可変ピストンポンプ
が注目を集めている。

【０００３】この斜板式可変ピストンポンプは軸受を介
してケーシングに支持された回転軸に対して、垂直なケ
ーシング面と、背面が円曲面をなし傾斜角度が調節可能
に設置された斜板との間に、回転軸の周囲に配置され回
転軸とともに回転可能な複数個のピストン機構が配設さ
れ、各ピストンの外方端はピストン機構からの高圧液が
ピストンの中空孔を介して導入される静圧軸受機構を介
して前記斜板に枢支されるように構成されている。具体
的にはこの斜板式可変ピストンポンプは、図６あるいは
図７に示すような構成である。なお、回転軸Ｓの中心を
含む水平面で斜板（スワッシュプレート）Ｔを切断した
水平断面を上面から見た図で、したがって、図７の場合
斜板Ｔの背面は直線で示されている。

【０００４】これら図面に示すように、回転軸Ｓの周囲
にはシリンダブロックＹが回転軸Ｓと一体的に設置され
ているが、このシリンダブロックＹの左方は、図示され
てはいないが斜板Ｔの背面側と同様ケーシングの内面に
接合されている。このシリンダブロックＹの各シリンダ
孔にはピストンＰが往復動自在に挿入されている。さら
に各ピストンＰの外方端は球座Ｋに掴持され、かつこの
球座Ｋを介して斜板Ｔに枢支されている。特に各ピスト
ンＰには中空孔が形成され、球座Ｋにも通孔が形成さ
れ、球座ＫはピストンＰ側からの圧液が導入されて構成
される静圧軸受機構ＳＢを介して斜板Ｔに枢支されてい
る。図面上では回転軸Ｓより上側が高圧域であり、下側
が低圧域である。したがって回転軸が回転すると、下側
ピストン機構はピストンＰが伸長して入口Ｐ１から液
（油）が流入する。そして上側ピストン機構はピストン
Ｐが収縮して高圧液（高圧油）が出口Ｐ２から吐出され
る。このようにしてポンプ機能が遂行されるのであり、
斜板Ｔの傾き角度の調節によって圧液の吐出量が調節さ
れるようになっている。

【０００５】ところで、この斜板Ｔの傾斜角度は調節可
能になっているが、スラスト力による摩擦力を小さくし
て円滑な調節を保障するために、斜板Ｔは具体的には図
６あるいは図７に示すような機構が採用されている。す
なわち、図６の場合は斜板Ｔはその両側の支軸ＴＳが軸
受Ｂに支承されている。したがって、斜板Ｔはその背面
が円曲面でケーシングＣに沿って支軸ＴＳを中心に傾斜
することになる。また、図７の場合は、斜板Ｔの背面に
も静圧軸受機構ＨＢが設置され、両静圧軸受機構が配管
ＲＰで接続された方式で斜板Ｔが両静圧軸受機構ＳＢ，
ＨＢで挟持されている。したがって、斜板Ｔは円滑にそ
の傾斜角度が調節可能になっている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図６の
方式では、斜板の支軸軸受機構が別個に必要であって部
品点数が多くなる。図７の方式では、両静圧軸受機構を
配管で接続することで配管により全体が大型かつ複雑化
する。そのためこれら従来の方式では、組立やコストに
負担がかかるなどの問題を有している。

【０００７】この発明は、上述の問題点を解決するピス
トンポンプまたはモータを提供するものである。

【０００８】

【課題を解決するための手段】この発明が提供する斜板
式可変ピストンポンプまたはモータは、回転軸に対し
て、垂直なケーシング面と、背面が円曲面をなし傾斜角
度が調節可能に設置された斜板との間に、回転軸の周囲
に配置され回転軸とともに回転可能な複数個のピストン
機構が配設され、各ピストンの外方端はピストン機構か
らの高圧液がピストンの中空孔を介して導入される静圧
軸受機構を介して前記斜板に枢支されるように構成され
たピストンポンプまたはモータであって、斜板の円曲背
面とケーシング面との間でかつピストン機構が高圧とな
る域に曲面形静圧軸受機構を設置し、この曲面形静圧軸
受機へは斜板を貫通した通路を介して前記静圧軸受機構
からの高圧液が導入されるように構成したものである。

【０００９】

【作用】この発明が提供する斜板式可変ピストンポンプ
またはモータによれば、斜板を貫通した通路を介してピ
ストン機構からの高圧液が曲面形静圧軸受機構に供給さ
れることになり、斜板以外に他の手段を付設する必要が
ない。

【００１０】

【実施例】以下、この発明を図面に示す実施例にしたが
って説明する。この発明が提供する斜板式可変ピストン
ポンプまたはモータの構成は、図１に示すとおりであ
る。図１はこの発明が提供する斜板式可変ピストンポン
プを図６と同様の断面で切断した断面図であるが、以下
油圧による斜板式可変ピストンポンプを例にとってこの
発明を説明する。

【００１１】回転軸３は図示していないケーシング（６
はケーシングに一体の支持板）に軸受（図示せず）を介
して回転自在に支持されているものである。そして、１
はこの回転軸３の周囲に回転軸３と回転を共にして設置
されたシリンダブロックで、それぞれのシリンダ孔には
ピストン２が往復動可能に挿入されている。４はこのピ
ストン２の外方端に球面座を介して傾動自在に固定され
たピストンシューで、更にこのピストンシュー４は斜板
５に対して静圧軸受機構４Ｓを介して支持板６に接合さ
れる。この場合、ピストン２の回転によってピトンシュ
ー４の外方端は斜板５に対して摺接する。また静圧軸受
機構４Ｓへの油圧はピストンシュー４に穿設された通孔
４Ｈを介して行われる。なお、斜板５はケーシングに一
体の支持板６に支持され回転軸３に対して傾斜可能に設
置されているものである。

【００１２】さて、この発明は以上の構成において、斜
板５の蒲鉾形の円曲背面５Ｋとケーシングに一体の支持
板６の面との間でかつピストン機構が高圧となる域に曲
面形静圧軸受機構５Ｓを設置し、この曲面形静圧軸受機
５Ｓへは斜板５を貫通した通路５Ｈを介し、前記静圧軸
受機構４Ｓからの油圧を導入するように構成した点に特
徴がある。斜板５に通路５Ｈを貫通したことによって、
静圧軸受機構４Ｓと曲面形静圧軸受機構５Ｓは、簡単な
構成で連通され、ピストン機構からの油圧が容易に導入
される。したがって、油圧はピストンシュー４を介して
斜板５に作用するが、曲面形静圧軸受機構５Ｓからの力
も逆方向に作用してバランスし、ピストン機構の回転が
円滑に行われることになる。

【００１３】曲面形静圧軸受機構５Ｓによる力は、ピス
トン機構が高圧となる域全域において均等に付勢するこ
とが望ましいが、各ピストンごとにその油圧が供給（導
入）される形をとらざるを得ず、したがって、曲面形静
圧軸受機構５Ｓは高圧となる域全域に複数個配設される
ことになる。その場合は油圧の供給は瞬時的には中断す
ることになるので、その中断時間を最小限にするべく図
３に示すように、ピストン機構の配設個数を増やしピス
トンシュー４が連接するようにする。あるいは、曲面形
静圧軸受機構の凹部を高圧となる域全域を覆う形５Ｌに
し、この曲面形静圧軸受機構５Ｌへの油圧の導入は、斜
板５に多数の通路５Ｈを並設し各通路５Ｈに逆止弁７を
介設するようにしてもよい。或いは通路５Ｈをより細い
径路としてもよい。

【００１４】さて、この発明の基本的な構成は以上説明
したとおりであるが、図４と図５は上記基本的な構成に
基づいて具体化した実施例を示すものである。図４は図
１と同様の断面から節短した断面図であり、図５は図４
を紙面と垂直方向に断面した状態を示す図である。これ
らの図において図１、図２と同一の符号は同一ないし同
一の機能を有する部品であり、基本的な作動についての
説明は省略する。

【００１５】これらの図に示すように、回転軸３はケー
シング８とカバー９に対して軸受１７，１８を介して回
転自在に支持されている。そして、１はこの回転軸３の
周囲に回転軸３と回転を共にして設置されたシリンダブ
ロックであるが、このシリンダブロック１は、バネ１９
の介挿によりカバー９の方向に、そしてシリンダ孔に挿
入されているピストン２は斜板５の方向に付勢されてい
る。斜板５の背面側には蒲鉾形の円曲背面５Ｋが一体的
に形成され、さらにこの円曲背面５Ｋには支持板６の面
との接合面でガイド溝５Ｍが形成されている。この溝５
Ｍは図５に示すように円弧状に形成されている。したが
って、斜板５は図５に示す円弧の中心を中心として傾動
し、回転軸３に対して傾斜可能に設置されているもので
ある。そして、この斜板５の傾動は、駆動スプール１２
が斜板５の上端部（図５）を押圧することにより行わ
れ、図５の状態は最大角度傾斜した位置にある。駆動ス
プール１２は固定部との間に圧縮バネ２０が介挿されて
おり、またシリンダ１３には常時高圧油が導入されてい
るので、この高圧油による油圧にて斜板５の上端部（図
５）を押圧する。９Ｈはカバー９に穿設され、高圧油を
導入する流路である。この状態から傾斜角度を調節する
ときは、入口１５からの制御圧油が通路１５を介して導
入し調節杆１１を右方に作動させる。この調節杆１１の
作動量により傾斜角度が所定の値に調節される。２１は
支持板６を面とケーシング８に固定するねじである。

【００１６】この発明が提供する斜板式可変ピストンポ
ンプまたはモータは以上説明したとおりであるが、上記
ならびに図示例に限定されずいくつかの変形例を包含す
るものである。たとえば、上記においては、流体機器と
して油圧機器を例にあげたが、利用する流体としては油
以外に特殊な水を使用する場合があり、油に限定される
ものではない。また、支持板６とケーシング８とは一体
的に形成でき、図示例のように別個の部材として構成す
ることに限定されるものではない。また、斜板の傾動駆
動機構についても制御圧による自動的な方式以外にも手
動で傾動させるようにすることも可能である。上記はポ
ンプで説明したがモータとしても使用可能である。この
発明はこれら全ての変形例を包含するものである。

【００１７】この発明が提供する斜板式可変ピストンポ
ンプまたはモータは以上説明したとおりであるが、これ
を整理するとつぎの付記のとおりである。

【００１８】付記１ 回転軸に対して、垂直なケーシング面と、背面が円曲面
をなし傾斜角度が調節可能に設置された斜板との間に、
回転軸の周囲に配置され回転軸とともに回転可能な複数
個のピストン機構が配設され、各ピストンの外方端はピ
ストン機構からの高圧液がピストンの中空孔を介して導
入される静圧軸受機構を介して前記斜板に枢支されるよ
うに構成されたピストンポンプまたはモータであって、
斜板の円曲背面とケーシング面との間でかつピストン機
構が高圧となる域に曲面形静圧軸受機構を設置し、この
曲面形静圧軸受機へは斜板を貫通した通路を介して前記
静圧軸受機構からの高圧液が導入されるように構成した
斜板式可変ピストンポンプまたはモータ。

【００１９】付記２ 回転軸に対して、垂直なケーシング面と、背面が円曲面
をなし傾斜角度が調節可能に設置された斜板との間に、
回転軸の周囲に配置され回転軸とともに回転可能な複数
個のピストン機構が配設され、各ピストンの外方端はピ
ストン機構からの高圧液がピストンの中空孔を介して導
入される静圧軸受機構を介して前記斜板に枢支されるよ
うに構成されたピストンポンプまたはモータであって、
斜板の円曲背面とケーシング面との間でかつピストン機
構が高圧となる域に曲面形静圧軸受機構を設置し、この
曲面形静圧軸受機へは斜板を貫通した通路を介して前記
静圧軸受機構からの高圧液が導入されるように構成する
とともにピストン機構はそのピストンシュー４が連接す
るよう配設した斜板式可変ピストンポンプまたはモー
タ。

【００２０】付記３ 回転軸に対して、垂直なケーシング面と、背面が円曲面
をなし傾斜角度が調節可能に設置された斜板との間に、
回転軸の周囲に配置され回転軸とともに回転可能な複数
個のピストン機構が配設され、各ピストンの外方端はピ
ストン機構からの高圧液がピストンの中空孔を介して導
入される静圧軸受機構を介して前記斜板に枢支されるよ
うに構成されたピストンポンプまたはモータであって、
斜板の円曲背面とケーシング面との間でかつピストン機
構が高圧となる域全域の大きさを有する曲面形静圧軸受
機構を設置し、この曲面形静圧軸受機へは斜板を貫通し
た複数の通路を介して前記静圧軸受機構からの高圧液が
導入されるようにしかつこの通路には曲面形静圧軸受機
構から静圧軸受機構への高圧液の導入を阻止する逆止弁
を設置した斜板式可変ピストンポンプまたはモータ。

【００２１】

【発明の効果】この発明が提供する斜板式可変ピストン
ポンプまたはモータは以上説明したとおりであるから、
余分な部品が省略され、しかも小形化も図られて駆動が
極めて容易なポンプまたはモータを提供することができ
る。特に実施例図面に示すようにピストン機構の近接で
高圧液の低下を防止できる。更に実施例図面に示すよう
に逆止弁を介在することにより、曲面形静圧軸受機構の
液圧を維持でき駆動が円滑となる利点がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明による斜板式可変ピストンポンプまた
はモータを示す面図である。

【図２】この発明の変形実施例を示す図である。

【図３】この発明における要部の構成を示す図である。

【図４】この発明による斜板式可変ピストンポンプまた
はモータの具体的な実施例を示す面図である。

【図５】この発明による斜板式可変ピストンポンプまた
はモータの具体的な実施例を示す面図である。

【図６】この発明に関する従来の構成を示す図である。

【図７】この発明に関する従来の構成を示す図である。

【符号の説明】

１…シリンダブロック ２…ピストン ３…回転軸 ４…ピストンシュー ５…斜板 ５Ｈ…通路 ６…支持板 ７…逆止弁

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山村 眞也 京都市中京区西ノ京桑原町１番地 株式会 社島津製作所三条工場内

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】回転軸に対して、垂直なケーシング面と、
   背面が円曲面をなし傾斜角度が調節可能に設置された斜
   板との間に、回転軸の周囲に配置され回転軸とともに回
   転可能な複数個のピストン機構が配設され、各ピストン
   の外方端はピストン機構からの高圧液がピストンの中空
   孔を介して導入される静圧軸受機構を介して前記斜板に
   枢支されるように構成されたピストンポンプまたはモー
   タであって、斜板の円曲背面とケーシング面との間でか
   つピストン機構が高圧となる域に曲面形静圧軸受機構を
   設置し、この曲面形静圧軸受機へは斜板を貫通した通路
   を介して前記静圧軸受機構からの高圧液が導入されるよ
   うに構成したことを特徴とする斜板式可変ピストンポン
   プまたはモータ。