JPH07316660A - 曲げ成形性が優れ、かつ幅方向の曲げ成形性の変動の少ない超高強度冷延鋼板の製造方法 - Google Patents
曲げ成形性が優れ、かつ幅方向の曲げ成形性の変動の少ない超高強度冷延鋼板の製造方法Info
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- JPH07316660A JPH07316660A JP10878494A JP10878494A JPH07316660A JP H07316660 A JPH07316660 A JP H07316660A JP 10878494 A JP10878494 A JP 10878494A JP 10878494 A JP10878494 A JP 10878494A JP H07316660 A JPH07316660 A JP H07316660A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 曲げ成形性が優れ、かつ幅方向の曲げ成形性
の変動の少ない超高強度冷延鋼板の製造方法を提供す
る。 【構成】 C:0.1〜0.2%、Si:1%以下、M
n:2〜4%、P:0.02%以下、S:0.1%以
下、Al:0.1%以下、B:0.0010〜0.00
30%を含有し、残部鉄および不可避的不純物よりなる
鋼を、スラブとした後、直ちにあるいは1150〜13
00℃に加熱後、熱間圧延し、800〜950℃で圧延
を終了し、続いて冷却速度30〜100℃/sで冷却
し、500〜750℃で巻取って熱延鋼帯とした後、酸
洗を行い、冷延して冷延鋼帯とし、続いて気水冷却設備
を有する連続焼鈍ラインにて、焼鈍温度750〜900
℃で焼鈍し、冷却速度50℃/s以上で300℃以下ま
で冷却し、1%以下のスキンパスを行うことを特徴とす
る曲げ成形性が優れ、かつ幅方向の曲げ成形性の変動の
少ない引張強度1290MPa以上の超高強度冷延鋼板
の製造方法。出発材は必要に応じてMo、Cr、Caの
1種以上を含み得る。
の変動の少ない超高強度冷延鋼板の製造方法を提供す
る。 【構成】 C:0.1〜0.2%、Si:1%以下、M
n:2〜4%、P:0.02%以下、S:0.1%以
下、Al:0.1%以下、B:0.0010〜0.00
30%を含有し、残部鉄および不可避的不純物よりなる
鋼を、スラブとした後、直ちにあるいは1150〜13
00℃に加熱後、熱間圧延し、800〜950℃で圧延
を終了し、続いて冷却速度30〜100℃/sで冷却
し、500〜750℃で巻取って熱延鋼帯とした後、酸
洗を行い、冷延して冷延鋼帯とし、続いて気水冷却設備
を有する連続焼鈍ラインにて、焼鈍温度750〜900
℃で焼鈍し、冷却速度50℃/s以上で300℃以下ま
で冷却し、1%以下のスキンパスを行うことを特徴とす
る曲げ成形性が優れ、かつ幅方向の曲げ成形性の変動の
少ない引張強度1290MPa以上の超高強度冷延鋼板
の製造方法。出発材は必要に応じてMo、Cr、Caの
1種以上を含み得る。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車の事故時等の運
転者の安全を確保する補強部品として使用される超高強
度冷延鋼板の製造方法に関するものである。
転者の安全を確保する補強部品として使用される超高強
度冷延鋼板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】自動車の補強部材として使用される冷延
鋼板の高強度化は省エネルギーおよび安全の観点から益
々進み、引張強度980MPa級以上のものまで実用化
されている。この鋼板に要求される特性は、高い引張強
度と優れた曲げ成形性である。さらに、自動車の製造コ
スト低減のために一体成形が指向され、広幅の冷延鋼板
が要求されている。特に曲げ成形性の変動を最低限にす
ることが求められている。
鋼板の高強度化は省エネルギーおよび安全の観点から益
々進み、引張強度980MPa級以上のものまで実用化
されている。この鋼板に要求される特性は、高い引張強
度と優れた曲げ成形性である。さらに、自動車の製造コ
スト低減のために一体成形が指向され、広幅の冷延鋼板
が要求されている。特に曲げ成形性の変動を最低限にす
ることが求められている。
【0003】従来の技術の代表例としては、特公平2−
35013号公報記載の技術がある。この技術は水焼入
れタイプの連続焼鈍設備による高強度冷延鋼板の製造技
術で、(α+γ)2相域から水焼入れし、300℃以下
で焼戻しを行うことにより、引張強度790MPa級以
上の高強度冷延鋼板を得るものである。しかし、水焼入
れを行うと冷却が不均一になりやすく、鋼板の形状制御
が困難で、しわ、耳波等を生じやすい。また、この技術
で得られる引張強度は、実施例よりせいぜい1190M
Pa級であり、それ以上の引張強度を有する冷延鋼板を
形状を制御して安定して製造するのは難しい。さらに、
曲げ成形性の幅方向の変動については何等示唆するとこ
ろがない。
35013号公報記載の技術がある。この技術は水焼入
れタイプの連続焼鈍設備による高強度冷延鋼板の製造技
術で、(α+γ)2相域から水焼入れし、300℃以下
で焼戻しを行うことにより、引張強度790MPa級以
上の高強度冷延鋼板を得るものである。しかし、水焼入
れを行うと冷却が不均一になりやすく、鋼板の形状制御
が困難で、しわ、耳波等を生じやすい。また、この技術
で得られる引張強度は、実施例よりせいぜい1190M
Pa級であり、それ以上の引張強度を有する冷延鋼板を
形状を制御して安定して製造するのは難しい。さらに、
曲げ成形性の幅方向の変動については何等示唆するとこ
ろがない。
【0004】自動車の補強材としてはパイプを用いる場
合もあり、対応する技術としては特開平4−26801
6号公報記載の技術がある。この技術では引張強度は1
490MPa級のものであるが、冷延鋼板の曲げによる
プレス成形に比べてパイプ成形の方が生産性が低く、コ
スト高になるのは否めない。以上のような背景のもと
に、曲げによるプレス成形が可能で、かつ幅方向の曲げ
成形性の変動の少ない広幅の引張強度が1290MPa
以上の超高強度冷延鋼板が求められている。
合もあり、対応する技術としては特開平4−26801
6号公報記載の技術がある。この技術では引張強度は1
490MPa級のものであるが、冷延鋼板の曲げによる
プレス成形に比べてパイプ成形の方が生産性が低く、コ
スト高になるのは否めない。以上のような背景のもと
に、曲げによるプレス成形が可能で、かつ幅方向の曲げ
成形性の変動の少ない広幅の引張強度が1290MPa
以上の超高強度冷延鋼板が求められている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、曲げによる
プレス成形が可能で、幅方向の曲げ成形性の変動の少な
い広幅の引張強度が1290MPa以上の超高強度冷延
鋼板の製造方法を提供することを目的とするものであ
る。
プレス成形が可能で、幅方向の曲げ成形性の変動の少な
い広幅の引張強度が1290MPa以上の超高強度冷延
鋼板の製造方法を提供することを目的とするものであ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨とするとこ
ろは以下のとおりである。 (1)mass%でC:0.1〜0.2%、Si:1%
以下、Mn:2〜4%、P:0.02%以下、S:0.
1%以下、Al:0.1%以下、B:0.001〜0.
003%を含有し、残部鉄および不可避的不純物よりな
る鋼を、スラブとした後、直ちにあるいは1150〜1
300℃に加熱後、800〜950℃で圧延を終了し、
続いて冷却速度30〜100℃/sで冷却し、500〜
750℃で巻取って熱延鋼帯とした後、酸洗を行い、冷
延して冷延鋼帯とし、続いて気水冷却設備を有する連続
焼鈍ラインにて、焼鈍温度750〜900℃で焼鈍し、
冷却速度50℃/s以上で300℃以下まで冷却し、1
%以下のスキンパスを行うことを特徴とする曲げ成形性
が優れ、かつ幅方向の曲げ成形性の変動の少ない引張強
度1290MPa以上の超高強度冷延鋼板の製造方法。
ろは以下のとおりである。 (1)mass%でC:0.1〜0.2%、Si:1%
以下、Mn:2〜4%、P:0.02%以下、S:0.
1%以下、Al:0.1%以下、B:0.001〜0.
003%を含有し、残部鉄および不可避的不純物よりな
る鋼を、スラブとした後、直ちにあるいは1150〜1
300℃に加熱後、800〜950℃で圧延を終了し、
続いて冷却速度30〜100℃/sで冷却し、500〜
750℃で巻取って熱延鋼帯とした後、酸洗を行い、冷
延して冷延鋼帯とし、続いて気水冷却設備を有する連続
焼鈍ラインにて、焼鈍温度750〜900℃で焼鈍し、
冷却速度50℃/s以上で300℃以下まで冷却し、1
%以下のスキンパスを行うことを特徴とする曲げ成形性
が優れ、かつ幅方向の曲げ成形性の変動の少ない引張強
度1290MPa以上の超高強度冷延鋼板の製造方法。
【0007】(2)mass%でC:0.1〜0.2
%、Si:1%以下、Mn:2〜4%、P:0.02%
以下、S:0.1%以下、Al:0.1%以下、B:
0.001〜0.003%を含有し、さらにMo:0.
2%以下、Cr:1%以下、Ca:0.0005〜0.
005%のうち1種または2種以上を含有し、残部鉄お
よび不可避的不純物よりなる鋼を、スラブとした後、直
ちにあるいは1150〜1300℃に加熱後、800〜
950℃で圧延を終了し、続いて冷却速度30〜100
℃/sで冷却し、500〜750℃で巻取って熱延鋼帯
とした後、酸洗を行い、冷延して冷延鋼帯とし、続いて
気水冷却設備を有する連続焼鈍ラインにて、焼鈍温度7
50〜900℃で焼鈍し、冷却速度50℃/s以上で3
00℃以下まで冷却し、1%以下のスキンパスを行うこ
とを特徴とする曲げ成形性が優れ、かつ幅方向の曲げ成
形性の変動の少ない引張強度1290MPa以上の超高
強度冷延鋼板の製造方法。
%、Si:1%以下、Mn:2〜4%、P:0.02%
以下、S:0.1%以下、Al:0.1%以下、B:
0.001〜0.003%を含有し、さらにMo:0.
2%以下、Cr:1%以下、Ca:0.0005〜0.
005%のうち1種または2種以上を含有し、残部鉄お
よび不可避的不純物よりなる鋼を、スラブとした後、直
ちにあるいは1150〜1300℃に加熱後、800〜
950℃で圧延を終了し、続いて冷却速度30〜100
℃/sで冷却し、500〜750℃で巻取って熱延鋼帯
とした後、酸洗を行い、冷延して冷延鋼帯とし、続いて
気水冷却設備を有する連続焼鈍ラインにて、焼鈍温度7
50〜900℃で焼鈍し、冷却速度50℃/s以上で3
00℃以下まで冷却し、1%以下のスキンパスを行うこ
とを特徴とする曲げ成形性が優れ、かつ幅方向の曲げ成
形性の変動の少ない引張強度1290MPa以上の超高
強度冷延鋼板の製造方法。
【0008】
【作用】以下に本発明の条件の限定理由について説明す
る。Cは0.1〜0.2%とする。下限値未満では引張
強度1290MPa以上を確保するのが困難である。上
限値を超えるとスポット溶接性が低下する。安定して良
好なスポット溶接性を得るためにはCを0.16%以下
とするのが好ましい。
る。Cは0.1〜0.2%とする。下限値未満では引張
強度1290MPa以上を確保するのが困難である。上
限値を超えるとスポット溶接性が低下する。安定して良
好なスポット溶接性を得るためにはCを0.16%以下
とするのが好ましい。
【0009】Siは1%以下とする。Siは固溶体強化
の効果を有するので強度確保の観点では重要であるが、
上限値を超えるとSi酸化物のスケールが大量に発生
し、外観およびスポット溶接性が低下する。Mnは2〜
4%とする。Mnは本発明にあっては重要な元素であ
る。すなわち、Mnは鋼のAc3 変態点を下げ、連続焼
鈍ラインの焼鈍で均一なγ相を得やすくし、また鋼の焼
入れ性を高め、適度な一次冷却速度にて粗大パーライト
等の組織生成を防ぐ効果がある。下限値未満ではこの効
果が得られず、上限値を超えると効果が飽和し、過剰な
添加は経済性を損ねる。
の効果を有するので強度確保の観点では重要であるが、
上限値を超えるとSi酸化物のスケールが大量に発生
し、外観およびスポット溶接性が低下する。Mnは2〜
4%とする。Mnは本発明にあっては重要な元素であ
る。すなわち、Mnは鋼のAc3 変態点を下げ、連続焼
鈍ラインの焼鈍で均一なγ相を得やすくし、また鋼の焼
入れ性を高め、適度な一次冷却速度にて粗大パーライト
等の組織生成を防ぐ効果がある。下限値未満ではこの効
果が得られず、上限値を超えると効果が飽和し、過剰な
添加は経済性を損ねる。
【0010】Pは0.02%以下とする。上限値を超え
ると鋼が脆化し、曲げ性が低下する。Sは0.1%以下
とする。上限値を超えると硫化物系介在物を形成し、鋼
の成形性阻害因子となる。Alは0.1%以下とする。
Alは鋼の脱酸材として必要である。しかし、上限値を
超えると介在物が増加し、成形性が低下する。
ると鋼が脆化し、曲げ性が低下する。Sは0.1%以下
とする。上限値を超えると硫化物系介在物を形成し、鋼
の成形性阻害因子となる。Alは0.1%以下とする。
Alは鋼の脱酸材として必要である。しかし、上限値を
超えると介在物が増加し、成形性が低下する。
【0011】Bは0.001〜0.003%とする。B
は本発明では重要な元素であり、鋼の焼入れ性を高め、
必要強度を確保するものである。下限値未満では効果が
得られず、上限値を超えると効果が飽和する。さらに本
発明では以下の元素を添加してもよい。Moは0.2%
以下とする。Moは鋼のスポット溶接による熱影響部の
軟化を防ぐ働きがある。しかし、上限値を超えると効果
が飽和するばかりでなく、経済性を損ねる。
は本発明では重要な元素であり、鋼の焼入れ性を高め、
必要強度を確保するものである。下限値未満では効果が
得られず、上限値を超えると効果が飽和する。さらに本
発明では以下の元素を添加してもよい。Moは0.2%
以下とする。Moは鋼のスポット溶接による熱影響部の
軟化を防ぐ働きがある。しかし、上限値を超えると効果
が飽和するばかりでなく、経済性を損ねる。
【0012】Crは1%以下とする。Crも鋼のスポッ
ト溶接による熱影響部の軟化を防ぐ働きがあるが、上限
値を超えると効果が飽和するばかりでなく、経済性を損
ねる。Caは0.0005〜0.005%とする。Ca
は介在物の形態を球状化する働きがあるので、必要に応
じて添加するのが好ましい。下限値未満では効果がな
く、上限値を超えると効果が飽和する。
ト溶接による熱影響部の軟化を防ぐ働きがあるが、上限
値を超えると効果が飽和するばかりでなく、経済性を損
ねる。Caは0.0005〜0.005%とする。Ca
は介在物の形態を球状化する働きがあるので、必要に応
じて添加するのが好ましい。下限値未満では効果がな
く、上限値を超えると効果が飽和する。
【0013】次に製造条件について説明する。鋼は通
常、連続鋳造にてスラブとされ、直接あるいは加熱後熱
延される。加熱する場合は1150〜1300℃とす
る。本発明対象鋼は比較的高成分系であるので、偏析を
低減するために高温で加熱するのが望ましい。下限値未
満ではその効果がなく、上限値は現状の実設備でとり得
る値である。
常、連続鋳造にてスラブとされ、直接あるいは加熱後熱
延される。加熱する場合は1150〜1300℃とす
る。本発明対象鋼は比較的高成分系であるので、偏析を
低減するために高温で加熱するのが望ましい。下限値未
満ではその効果がなく、上限値は現状の実設備でとり得
る値である。
【0014】熱延終了温度は800〜950℃とする。
下限値未満では熱延板で層状組織を形成し、鋼の曲げ成
形性を阻害する。上限値は加熱温度との関係で現状の設
備で可能な値とした。熱延後、冷却速度30〜100℃
/sで冷却する。下限値未満では熱延組織でパーライト
が発生しやすく、曲げ成形性が低下する。上限値を超え
ると鋼板の形状制御が不安定になる。
下限値未満では熱延板で層状組織を形成し、鋼の曲げ成
形性を阻害する。上限値は加熱温度との関係で現状の設
備で可能な値とした。熱延後、冷却速度30〜100℃
/sで冷却する。下限値未満では熱延組織でパーライト
が発生しやすく、曲げ成形性が低下する。上限値を超え
ると鋼板の形状制御が不安定になる。
【0015】巻取温度は500〜750℃とする。上限
値を超えると粗大なパーライトが生成し、冷延−焼鈍
後、適正な金属組織が得られない。下限値未満では熱延
鋼板の引張強度が高くなり、巻取り、冷延等の作業性を
低下させる。得られた熱延鋼板は酸洗によるスケール除
去後、冷延されるが、冷延率は通常とられる40〜80
%でよい。
値を超えると粗大なパーライトが生成し、冷延−焼鈍
後、適正な金属組織が得られない。下限値未満では熱延
鋼板の引張強度が高くなり、巻取り、冷延等の作業性を
低下させる。得られた熱延鋼板は酸洗によるスケール除
去後、冷延されるが、冷延率は通常とられる40〜80
%でよい。
【0016】得られた冷延鋼帯は気水冷却設備を有する
連続焼鈍ラインで焼鈍する。焼鈍温度は750〜900
℃とする。焼鈍は、鋼の再結晶焼鈍、炭化物の十分な溶
体化、組織の均一化、オーステナイト粒度の適正化を担
っている。下限値未満では効果が得られず、上限値を超
えるとオーステナイト粒が粗大化し、目標の材質が得ら
れない。
連続焼鈍ラインで焼鈍する。焼鈍温度は750〜900
℃とする。焼鈍は、鋼の再結晶焼鈍、炭化物の十分な溶
体化、組織の均一化、オーステナイト粒度の適正化を担
っている。下限値未満では効果が得られず、上限値を超
えるとオーステナイト粒が粗大化し、目標の材質が得ら
れない。
【0017】続いて、鋼板は気水冷却により冷却され
る。冷却方法と冷却速度は本発明では重要である。冷却
速度は50℃/s以上とする。下限値未満では冷却中に
フェライト・パーライト変態が生じ、強度低下のみなら
ず、成形性も損なう。上限値は特に規制するところでは
ないが、現状の設備で通板性を阻害しない100℃/s
以下が好ましい。
る。冷却方法と冷却速度は本発明では重要である。冷却
速度は50℃/s以上とする。下限値未満では冷却中に
フェライト・パーライト変態が生じ、強度低下のみなら
ず、成形性も損なう。上限値は特に規制するところでは
ないが、現状の設備で通板性を阻害しない100℃/s
以下が好ましい。
【0018】また、気水冷却設備以外では、幅方向の曲
げ性の変動が小さい良好な形状の鋼板を安価に製造する
のは難しい。冷却は300℃以下まで行う。上限値を超
えるとパーライトないしベイナイトを生じ、組織の均一
性が低下し、曲げ性が低下する。本発明にあっては主た
る金属組織は均一なマルテンサイト組織である。均一な
組織を有することにより曲げ性が向上する。
げ性の変動が小さい良好な形状の鋼板を安価に製造する
のは難しい。冷却は300℃以下まで行う。上限値を超
えるとパーライトないしベイナイトを生じ、組織の均一
性が低下し、曲げ性が低下する。本発明にあっては主た
る金属組織は均一なマルテンサイト組織である。均一な
組織を有することにより曲げ性が向上する。
【0019】スキンパスの伸び率は1%以下とする。上
限値を超えると鋼板が硬化し、曲げ成形性が劣化する。
限値を超えると鋼板が硬化し、曲げ成形性が劣化する。
【0020】
【実施例】本発明者らは、1290MPa以上の引張強
度と優れた曲げ性を両立させ、かつ幅方向の曲げ性の変
動を最小限にするために、熱延鋼板の組織と連続焼鈍ラ
インでの冷却方法に注目して実験を行った。表1に示す
成分の鋼を用いた。さらに表2に示すように、熱延での
冷却速度、巻取温度を変化させて、熱延鋼板の組織を変
化させた。
度と優れた曲げ性を両立させ、かつ幅方向の曲げ性の変
動を最小限にするために、熱延鋼板の組織と連続焼鈍ラ
インでの冷却方法に注目して実験を行った。表1に示す
成分の鋼を用いた。さらに表2に示すように、熱延での
冷却速度、巻取温度を変化させて、熱延鋼板の組織を変
化させた。
【0021】この熱延鋼板を酸洗後、冷延して板厚1.
2mmとした。続いて、表3に示すような冷却設備を有
する連続焼鈍ラインで、同表に示すような条件で焼鈍〜
スキンパスを行った。これらの引張特性と曲げ性(板幅
中央部)を表4に示す。本発明と異なる部分には下線を
記した。また、幅方向の曲げ性の分布を図1に示す。引
張試験はJIS Z 2201 5号試験片を用い、同
2241記載の方法に従った。また、曲げ試験はJIS
2204 3号試験片を用い、同2248記載のVブ
ロック法によって行った。曲げ角度は90°、内側半径
は0.5、1.0、1.5、2.0、3.0mmで行
い、割れが生じない最小の内側半径を記した。
2mmとした。続いて、表3に示すような冷却設備を有
する連続焼鈍ラインで、同表に示すような条件で焼鈍〜
スキンパスを行った。これらの引張特性と曲げ性(板幅
中央部)を表4に示す。本発明と異なる部分には下線を
記した。また、幅方向の曲げ性の分布を図1に示す。引
張試験はJIS Z 2201 5号試験片を用い、同
2241記載の方法に従った。また、曲げ試験はJIS
2204 3号試験片を用い、同2248記載のVブ
ロック法によって行った。曲げ角度は90°、内側半径
は0.5、1.0、1.5、2.0、3.0mmで行
い、割れが生じない最小の内側半径を記した。
【0022】
【表1】
【0023】
【表2】
【0024】
【表3】
【0025】
【表4】
【0026】表4に示すように、本発明に従った鋼板は
1290MPa以上の引張強度と最小曲げ半径1.0m
m以下の優れた曲げ成形性を有する。また、図1に示す
ように幅方向の曲げ性の変動も少ない。符号2のIII の
鋼では、巻取温度が上限値を超えたために、熱延組織で
パーライトを生成し、曲げ性が低下した。
1290MPa以上の引張強度と最小曲げ半径1.0m
m以下の優れた曲げ成形性を有する。また、図1に示す
ように幅方向の曲げ性の変動も少ない。符号2のIII の
鋼では、巻取温度が上限値を超えたために、熱延組織で
パーライトを生成し、曲げ性が低下した。
【0027】符号2のVの鋼では、冷却設備がGAS冷
却であったので、所定の冷却速度および所定の引張強度
が得られず、また曲げ性も低下した。符号2のVIの鋼で
は、冷却設備がロール冷却であったので、鋼板と幅方向
の均一な接触が難しく、幅方向の曲げ性の変動が大きか
った。符号2のVII 、VIIIの鋼では、成分が本発明と異
なるので、所定の引張強度、曲げ性が得られなかった。
却であったので、所定の冷却速度および所定の引張強度
が得られず、また曲げ性も低下した。符号2のVIの鋼で
は、冷却設備がロール冷却であったので、鋼板と幅方向
の均一な接触が難しく、幅方向の曲げ性の変動が大きか
った。符号2のVII 、VIIIの鋼では、成分が本発明と異
なるので、所定の引張強度、曲げ性が得られなかった。
【0028】
【発明の効果】本発明によれば、曲げ成形性に優れ、幅
方向の曲げ成形性の変動の少ない引張強度が1290M
Pa以上の超高強度冷延鋼板を安定して製造することが
できる。これは、自動車補強部材の生産性向上を可能に
するものである。また、自動車の安全性の向上および軽
量化に大きく貢献するものであり、本発明の意義は極め
て大きい。
方向の曲げ成形性の変動の少ない引張強度が1290M
Pa以上の超高強度冷延鋼板を安定して製造することが
できる。これは、自動車補強部材の生産性向上を可能に
するものである。また、自動車の安全性の向上および軽
量化に大きく貢献するものであり、本発明の意義は極め
て大きい。
【図1】異なる冷却設備を有する連続焼鈍ラインで製造
した鋼板の板幅方向の曲げ性の分布を示す図である。
した鋼板の板幅方向の曲げ性の分布を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C22C 38/38 (72)発明者 佐久間 康治 千葉県君津市君津1番地 新日本製鐵株式 会社君津製鐵所内
Claims (2)
- 【請求項1】 mass%で C :0.1〜0.2%、 Si:1%以下、 Mn:2〜4%、 P :0.02%以下、 S :0.1%以下、 Al:0.1%以下、 B :0.001〜0.003% を含有し、残部鉄および不可避的不純物よりなる鋼を、
スラブとした後、直ちにあるいは1150〜1300℃
に加熱後、800〜950℃で圧延を終了し、続いて冷
却速度30〜100℃/sで冷却し、500〜750℃
で巻取って熱延鋼帯とした後、酸洗を行い、冷延して冷
延鋼帯とし、続いて気水冷却設備を有する連続焼鈍ライ
ンにて、焼鈍温度750〜900℃で焼鈍し、冷却速度
50℃/s以上で300℃以下まで冷却し、1%以下の
スキンパスを行うことを特徴とする曲げ成形性が優れ、
かつ幅方向の曲げ成形性の変動の少ない引張強度129
0MPa以上の超高強度冷延鋼板の製造方法。 - 【請求項2】 mass%で C :0.1〜0.2%、 Si:1%以下、 Mn:2〜4%、 P :0.02%以下、 S :0.1%以下、 Al:0.1%以下、 B :0.001〜0.003% を含有し、さらに Mo:0.2%以下、 Cr:1%以下、 Ca:0.0005〜0.005% のうち1種または2種以上を含有し、残部鉄および不可
避的不純物よりなる鋼を、スラブとした後、直ちにある
いは1150〜1300℃に加熱後、800〜950℃
で圧延を終了し、続いて冷却速度30〜100℃/sで
冷却し、500〜750℃で巻取って熱延鋼帯とした
後、酸洗を行い、冷延して冷延鋼帯とし、続いて気水冷
却設備を有する連続焼鈍ラインにて、焼鈍温度750〜
900℃で焼鈍し、冷却速度50℃/s以上で300℃
以下まで冷却し、1%以下のスキンパスを行うことを特
徴とする曲げ成形性が優れ、かつ幅方向の曲げ成形性の
変動の少ない引張強度1290MPa以上の超高強度冷
延鋼板の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10878494A JPH07316660A (ja) | 1994-05-23 | 1994-05-23 | 曲げ成形性が優れ、かつ幅方向の曲げ成形性の変動の少ない超高強度冷延鋼板の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10878494A JPH07316660A (ja) | 1994-05-23 | 1994-05-23 | 曲げ成形性が優れ、かつ幅方向の曲げ成形性の変動の少ない超高強度冷延鋼板の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07316660A true JPH07316660A (ja) | 1995-12-05 |
Family
ID=14493399
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP10878494A Withdrawn JPH07316660A (ja) | 1994-05-23 | 1994-05-23 | 曲げ成形性が優れ、かつ幅方向の曲げ成形性の変動の少ない超高強度冷延鋼板の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH07316660A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100544575B1 (ko) * | 2001-12-21 | 2006-01-24 | 주식회사 포스코 | 성형성이 우수한 비시효 소부경화형 냉연고장력강판과 그제조방법 |
CN103990649A (zh) * | 2014-06-05 | 2014-08-20 | 济钢集团有限公司 | 一种灭火器用冷轧钢带生产方法 |
-
1994
- 1994-05-23 JP JP10878494A patent/JPH07316660A/ja not_active Withdrawn
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100544575B1 (ko) * | 2001-12-21 | 2006-01-24 | 주식회사 포스코 | 성형성이 우수한 비시효 소부경화형 냉연고장력강판과 그제조방법 |
CN103990649A (zh) * | 2014-06-05 | 2014-08-20 | 济钢集团有限公司 | 一种灭火器用冷轧钢带生产方法 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
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Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20010731 |