JPH07316565A - 重質油の水素化処理方法 - Google Patents

重質油の水素化処理方法

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JPH07316565A
JPH07316565A JP6130860A JP13086094A JPH07316565A JP H07316565 A JPH07316565 A JP H07316565A JP 6130860 A JP6130860 A JP 6130860A JP 13086094 A JP13086094 A JP 13086094A JP H07316565 A JPH07316565 A JP H07316565A
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JP
Japan
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catalyst
oil
heavy
powder
heavy metal
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JP6130860A
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Takashi Ino
隆 井野
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Eneos Corp
Original Assignee
Nippon Oil Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 重金属分を多量に含む重質油を水素化精製す
る際に、重金属分が固定床式水素化処理装置の触媒層に
堆積することによる触媒の活性低下を抑制し、更に触媒
層における原料油の偏流を引き起こすコークの生成を抑
制する方法を提供すること。 【構成】 平均粒径0.1〜200μmで強磁性物質粒
子を含む粉末触媒と、重金属分としてニッケル及びバナ
ジウムを合計量で10ppm以上含む重質油とからなる
スラリー重質油を水素存在下で温度300〜500℃、
圧力10〜250Kg/cm2 で水素化処理して重金属
分を粉末触媒に堆積させる水素化脱金属処理工程と、該
水素化脱金属処理工程から得られた、重金属分を堆積し
た粉末触媒を含むスラリー生成油の全量あるいは一部を
触媒分離装置に供給して重金属分が堆積した粉末触媒の
大部分を分離した後、磁気分離機に供給して該生成油中
に残存する少量の粉末触媒を分離する触媒分離工程とか
らなることを特徴とする重質油の水素化脱金属処理方
法、並びに該水素化脱金属処理方法を含む水素化処理方
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、重金属分を多量に含む
重質油の水素化脱金属処理方法、並びに該水素化脱金属
処理方法を含む水素化処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】常圧蒸留あるいは減圧蒸留より得られる
蒸留残渣を含む重質油中には窒素分、硫黄分の他に多量
のニッケル、バナジウム、鉄、銅、ナトリウム等の金属
類が含まれている。したがって、このような重質油を水
素化精製して燃料油を得ようとする場合、重質油に含ま
れるこれらの金属類が水素化脱硫触媒上に堆積して触媒
活性を低下させるばかりでなく、コークの生成を促進し
て触媒床における原料油の偏流を引き起こすことにもな
る。なお、ここでいう水素化精製とは、水素加圧下で原
料油を接触的に触媒により処理し、原料油中の硫黄分、
窒素分を硫化水素やアンモニアとして除去する方法、す
なわちいわゆる水素化脱硫処理である。
【0003】通常このような汚染金属の影響を軽減する
ため、触媒床において水素化脱硫触媒の前段に脱金属選
択性が高く金属保持容量の大きな水素化脱金属触媒を充
填する。これにより水素化脱硫触媒の寿命は延びるが、
水素化脱金属触媒で原料油中の金属を全量捕捉できるわ
けではないので、水素化脱金属触媒をスリップした金属
が水素化脱硫触媒に堆積し、水素化脱硫触媒の活性を徐
々に低下させる。また金属類を高濃度に含んだ重質油を
水素化処理する場合、短期間に水素化脱金属触媒の金属
保持容量を越えてしまうため頻繁に触媒交換をする必要
がある。
【0004】また重質油から汚染金属を取り除く方法と
して、粉末触媒を用いたスラリー床で水素化脱金属反応
を行わせ、使用済み粉末触媒を装置から連続的に抜き出
すという方法も考えられる。ただしこの場合、生成油と
粉末触媒を分離するのが一般に困難である。
【0005】特公昭61−44916号公報にはこのよ
うなスラリー床で反応させた生成油から粉末触媒を分離
する方法として高勾配磁気分離機を用いることが報告さ
れている。この場合、粉末触媒として用いているのは、
アルミナのような多孔性の担体に水素化活性を有するN
i,Co,Mo,W等の硫化物を担持したいわゆる水素
化処理触媒を粉末にしたもの、あるいは磁鉄鉱のような
強磁性の粉末物質である。前者の粉末触媒はいわゆる水
素化処理触媒であるから脱金属活性は高いが、この粉末
触媒は常磁性であるため350〜500℃の反応温度条
件下では極めて磁性が弱く、たとえ高勾配磁気分離機を
用いても完全に粉末触媒を分離することは困難である。
したがって、かかる粉末触媒を生成油から完全に分離す
るためには磁気分離の温度を低くしなければならない
が、後段の水素化脱硫処理の際に再び昇温しなければな
らないため経済的観点から不利である。また磁鉄鉱のよ
うな強磁性体を粉末触媒として使用すれば上記反応温度
条件下においても容易に粉末触媒を生成油から分離する
ことができるが、このような物質は表面積が極めて小さ
いため水素化脱金属活性をほとんど有していない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、重金
属分を多量に含む重質油を水素化精製する際に、重金属
分が固定床式水素化処理装置の触媒層に堆積することに
よる触媒の活性低下を抑制し、更に触媒層における原料
油の偏流を引き起こすコークの生成を抑制する方法を提
供する。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは前記の問題
を解決するため鋭意研究した結果、水素化脱硫処理に先
立って重金属分を多量に含む重質油を脱金属処理する際
に、特定の成分を含む触媒および特定の脱金属処理装置
を用いることにより、その後の水素化脱硫処理において
重金属分が固定床式水素化処理装置の触媒層に堆積する
ことによる触媒の活性低下が抑制され、更に触媒層にお
ける原料油の偏流を引き起こすコークの生成が抑制され
ることを知見し本発明を完成するに至った。
【0008】すなわち、本発明は、平均粒径0.1〜2
00μmで強磁性物質粒子を含む粉末触媒と、重金属分
としてニッケル及びバナジウムを合計量で10ppm以
上含む重質油とからなるスラリー重質油を水素存在下で
温度300〜500℃、圧力10〜250Kg/cm2
で水素化処理して重金属分を粉末触媒に堆積させる水素
化脱金属処理工程と、該水素化脱金属処理工程から得ら
れた、重金属分を堆積した粉末触媒を含むスラリー生成
油の全量あるいは一部を触媒分離装置に供給して重金属
分が堆積した粉末触媒の大部分を分離した後、磁気分離
機に供給して該生成油中に残存する少量の粉末触媒を分
離する触媒分離工程とからなることを特徴とする重質油
の水素化脱金属処理方法に関する。
【0009】また、本発明は、平均粒径0.1〜200
μmで強磁性物質粒子を含む粉末触媒と、重金属分とし
てニッケル及びバナジウムを合計量で10ppm以上含
む重質油とからなるスラリー重質油を水素存在下で温度
300〜500℃、圧力10〜250Kg/cm2 で水
素化処理して重金属分を粉末触媒に堆積させる水素化脱
金属処理工程と、該水素化脱金属処理工程から得られ
た、重金属分を堆積した粉末触媒を含むスラリー生成油
の全量あるいは一部を触媒分離装置に供給して重金属分
が堆積した粉末触媒の大部分を分離した後、磁気分離機
に供給して該生成油中に残存する少量の粉末触媒を分離
する触媒分離工程と、該粉末触媒を分離した脱金属油を
固定床式水素化処理装置に供給して水素化処理する水素
化脱硫処理工程とからなることを特徴とする重質油の水
素化処理方法に関する。
【0010】以下、本発明を更に詳細に説明する。
【0011】本発明で用いる重質油とは、沸点565℃
以上の留分を10vol%以上含み15℃における密度
が0.89g/cm3 以上である炭化水素油であって、
硫黄分、窒素分とともに鉄、ニッケル、バナジウム、銅
等の重金属を含み、これら重金属のうちニッケルおよび
バナジウムを両者の合計量で10ppm以上含む炭化水
素油である。例えば、常圧蒸留残油、減圧蒸留残油、シ
ェールオイル、タールサンドビチューメン、オリノコタ
ール、石炭液化油、等が例示できる。また直留軽油ある
いは減圧軽油等の比較的軽質な油と上記重質油の混合物
も本発明に使用される重質油に含まれる。本発明では常
圧蒸留残油および減圧蒸留残油が特に好ましく用いられ
る。また本発明の方法による経済的メリットを大きくす
るためには、重質油中に含まれるニッケルとバナジウム
との合計量は50ppm以上が好ましく、100ppm
以上がさらに好ましい。
【0012】本発明の水素化脱金属処理において用いる
触媒は平均粒径が0.1〜200μm、好ましくは1〜
100μmの粉末触媒であり、該粉末触媒中に強磁性物
質粒子を含むものである。該粉末触媒の平均粒径は細か
いほど水素化脱金属活性が高いが、平均粒径が0.1μ
m未満であると磁気分離機を用いても生成油から触媒を
分離するのが困難になる。他方、平均粒径が200μm
を越える場合は水素化脱金属活性が低下する。
【0013】本発明において、上記粉末触媒としては多
孔性担体、水素化活性金属、および強磁性化合物よりな
るものが好ましく採用される。該多孔性担体とは表面積
が10m2 /g以上、好ましくは50m2 /g以上、さ
らに好ましくは200m2 /g以上であり、かつ細孔容
積が0.1cc/g以上、好ましくは0.5cc/g以
上の耐熱性のある担体であり、このようなものとして多
孔性無機酸化物および炭素質担体を例示することができ
る。多孔性無機酸化物としては、アルミナ、シリカ、シ
リカ・アルミナ、シリカ・マグネシア、アルミナ・マグ
ネシア、アルミナ・ボリア、シリカ・チタニア、シリカ
・ジルコニア、合成ゼオライト等の合成物、あるいはセ
ピオライト、天然ゼオライト等の天然物が挙げられる
が、アルミナが特に好ましく用いられる。また炭素質担
体としては活性炭、カーボンブラック等が挙げられる。
【0014】該多孔性担体に担持される水素化活性金属
としては、W,V,Mo,Ni,CoおよびFeの中か
ら選ばれた少なくとも1種が好ましく、Ni−Mo,C
o−Mo,Ni−Co−Moの組合せが特に好ましい。
該水素化活性金属は酸化物、硫化物、あるいは酸化物若
しくは硫化物の前駆体として多孔性担体、好ましくは多
孔性無機酸化物に担持されていることが好ましい。該粉
末触媒中の水素化活性金属の濃度は、金属酸化物として
5〜40wt%が好ましく、10〜30wt%がさらに
好ましい。
【0015】本発明に用いられる粉末触媒に含まれる強
磁性物質としては、スピネル型フェライト、六方晶系ア
ルカリ土類フェライト、イットリウムおよび希土類フェ
ライト等の各種フェライト、並びに金属状の鉄、ニッケ
ル、コバルトおよびこれらの金属を主体とした合金等を
例示することができる。ただし、かかる強磁性物質は磁
気分離を行う温度において強磁性であることが必要であ
るため、強磁性から常磁性に変わるキューリー点が30
0℃以上、好ましくは500℃以上の物質が用いられ
る。また、該強磁性物質は本発明における水素化処理条
件において、化学的に安定であり、強磁性を保ち続ける
ものである必要がある。さらに、本発明にかかる強磁性
物質としては、飽和磁化が10〜150emu/gのも
のが好ましい。本発明においては、Ba系フェライト、
Zn系フェライト、Mn系フェライト、Zn−Mn系フ
ェライトが好ましく用いられる。本発明に用いられる強
磁性物質の平均粒径は0.05〜50μmの範囲のもの
が好ましく、0.1〜25μmの範囲のものがさらに好
ましい。さらに、上記強磁性物質の平均粒径は前記粉末
触媒の平均粒径の4分の1以下であることが好ましい。
該強磁性物質と粉末触媒は別々の粒子の物理的混合物と
して用いられるのではなく、強磁性物質が粉末触媒中に
分散された一体化された状態で用いられる。粉末触媒中
の該強磁性物質の含有割合は0.01〜50wt%の範
囲が好ましく、0.05〜10wt%の範囲がさらに好
ましい。
【0016】本発明に用いられる粉末触媒中への強磁性
物質の分散方法は特に限定されないが、次のような方法
が好ましく採用される。例えば、すでに多孔性を有して
いる無機酸化物担体あるいは炭素質担体に強磁性物質あ
るいは強磁性物質の前駆体を担持する方法、あるいはゲ
ル状の金属水酸化物に強磁性物質の微粒子を分散させた
後にそれを乾燥・焼成する方法である。また、上記の方
法によって得られた触媒を粉末に成型する方法として
は、乾燥あるいは焼成した触媒を湿式あるいは乾式で粉
砕する方法、あるいはゲル状あるいはゾル状金属水酸化
物を噴霧乾燥する方法が好ましく用いられる。
【0017】本発明における水素化脱金属処理工程にお
いて、原料油(重質油)中に含まれるニッケル、バナジ
ウム等の重金属の少なくとも40wt%、好ましくは6
0wt%以上を上記粉末触媒上に堆積させる。この水素
化脱金属処理の条件は非常に広い範囲に及ぶが、反応温
度は300〜500℃の範囲であることが必要であり、
好ましくは350〜450℃の範囲である。反応温度が
300℃より低い場合、水素化脱金属の反応速度が遅
く、十分な脱金属率を得ることができない。他方、反応
温度が500℃を越える場合、熱分解により多量のスラ
ッジが生成し好ましくない。また、上記水素化脱金属処
理における圧力は水素分圧で10〜250Kg/cm
2 、好ましくは50〜150Kg/cm2 である。その
他の条件としては、一般的には、水素/原料油比が10
0〜2000Nl/lであり、装置内の油の滞留時間が
10〜200分、好ましくは20〜100分である。リ
アクターのタイプとしてはチューブラータイプあるいは
アップフローの沸騰床タイプが好ましく採用される。
【0018】本発明における水素化脱金属処理工程に供
給される、原料油と粉末触媒よりなるスラリー中の粉末
触媒の濃度は0.1〜500g/lの範囲が好ましく、
50〜300g/lの範囲がさらに好ましい。
【0019】この水素化脱金属処理工程において、原料
油中に含まれるニッケルとバナジウムの合計量の脱金属
率が40wt%以上、好ましくは60wt%以上となる
ように反応条件を設定する。
【0020】本発明の重質油の脱金属方法において、水
素化脱金属処理工程を出たスラリーの全量あるいは一部
は次の触媒分離装置へ送られ、そこでスラリー中の粉末
触媒の好ましくは50%以上、特に好ましくは90%以
上が分離される。分離された粉末触媒はそのまま水素化
脱金属処理工程へリサイクルしてもよいし、再生してか
ら再使用してもよい。また、分離された粉末触媒の一部
を廃棄してその分新しい粉末触媒を残りのリサイクル粉
末触媒に添加してもよい。前記の触媒分離装置として
は、液体と固体を分離するのに用いられる通常の装置、
例えば液体と固体の比重差を利用した分離器、が挙げら
れる。
【0021】本発明の方法においては、上記触媒分離装
置を出た生成油および上記触媒分離装置をバイパスした
生成油は、以下に説明する磁気分離機を用いた触媒分離
装置へ送られ、そこで磁気分離機により水素化脱金属油
と粉末触媒とに分離される。前記の磁気分離機として
は、例えば均一な高磁場空間内に強磁性の充填物を置
き、充填物の周囲に少なくとも200ガウス/cm以上
の磁場勾配を生じさせ、その充填物の表面に強磁性ある
いは常磁性微小粒子を着磁させ、弱常磁性あるいは反磁
性微小粒子を非着磁物として分離できるように設計され
た磁気分離機であり、好ましくは100×103 〜20
000×103 ガウス/cmの高い磁場勾配を有する高
勾配磁気分離機が挙げられる。高勾配磁気分離機として
は、励磁コイルにより均一な高磁場を発生させる電磁石
型と、永久磁石により均一な高磁場を発生させる永久磁
石型とがある。該磁気分離機を用いた触媒分離装置で処
理された水素化脱金属油中に残存する粉末触媒の濃度は
通常0.004g/l以下であり、好ましくは0.00
1g/l以下となるように上記磁気分離機は運転され
る。
【0022】該磁気分離機に用いられる上記強磁性充填
物としては、通常1〜1000μmの径を持つスチール
ウールあるいはスチールネットのごとき強磁性細線の集
合体あるいはエキスパンドメタルあるいはスチールビー
ズが用いられる。好ましくは、エキスパンドメタルある
いはスチールビーズが用いられる。
【0023】上記磁気分離機で前記生成油を水素化脱金
属油とニッケル、バナジウム等の重金属の堆積した粉末
触媒とに分離する方法は、該生成油を該磁気分離機の磁
場空間内に導入し、磁場空間に置かれた強磁性充填物に
該粉末触媒を着磁させることにより行う。
【0024】磁気分離機を運転する際のプロセス変数と
しては、通常、磁場強度、磁場勾配、線速度、粒子濃
度、処理温度があり、着磁させる粉末触媒の種類、大き
さ、濃度等により最適条件が選ばれる。
【0025】磁場強度とは充填物が置かれている空間内
の磁場の強さであり、少なくとも200ガウス以上、通
常500〜25000ガウス、好ましくは1000〜2
0000ガウスの範囲である。
【0026】磁場勾配とは充填物の周囲に生じる磁場強
度の距離による変化量で、磁場強度あるいは充填物の種
類および径を変えることにより変化させることができ、
少なくとも200ガウス/cm以上、通常100×10
3 〜25000×103 ガウス/cm、好ましくは20
00×103 〜20000×103 ガウス/cmの範囲
が用いられる。
【0027】粒子濃度とは、水素化脱金属油中に分散し
ている磁気分離の対象となる粉末触媒の濃度を意味し、
通常0.001g/l〜10g/l、好ましくは0.0
1g/l〜1g/lの範囲で運転される。
【0028】処理温度とは、磁気分離機に導入される際
の水素化脱金属油(生成油)の温度を指し、水素化脱金
属の反応温度以下であり、通常常温〜500℃、好まし
くは300〜500℃、さらに好ましくは350〜45
0℃の範囲である。またかかる処理温度は粉末触媒に含
まれる強磁性物質粒子のキューリー温度以下が好まし
い。
【0029】また、線速度とは磁場内を通過する際の油
の線速度であり、通常0.1〜50cm/秒の範囲であ
り、好ましくは0.2〜20cm/秒の範囲である。分
離する粉末触媒の磁性が小さいほど、また粒径が小さい
ほど線速度を小さくする必要がある。
【0030】本発明において、磁気分離機内の強磁性充
填物に着磁した粉末触媒は、磁場強度を低下させて油
(洗浄用油)を流すことにより洗い流すことができる。
かかる洗浄用油としては、水素化脱金属処理工程に張り
込まれる原料重質油、水素化脱金属処理工程で脱金属さ
れた水素化脱金属油、あるいは該脱金属油をさらに水素
化脱硫処理した製品重質油等を用いることができる。磁
気分離機より洗い流された粉末触媒は、全量を水素化脱
金属処理工程に戻して再使用してもかまわないし、一部
を製品重質油に落とし(混入させて)て残りを再使用し
てもかまわないし、また全量を製品重質油に落としても
かまわない。
【0031】上記触媒分離工程で粉末触媒が取り除かれ
た水素化脱金属油は、さらに固定床式水素化処理装置に
供給して固定床式水素化処理することができる。固定床
式水素化処理とは、触媒の存在下に原料油と水素を高温
高圧で反応させ、分解、脱硫、脱窒素、脱金属反応を行
い、製品として有効な油に転化する方法、すなわちいわ
ゆる水素化脱硫処理である。
【0032】固定床式水素化処理に用いられる触媒とし
ては、アルミナ、シリカ・アルミナ、アルミナ・ボリア
等の多孔性担体にコバルト、ニッケル、モリブデン、タ
ングステン、白金等の周期律表第VI族および/または第
VIII族金属もしくは金属化合物よりなる水素化金属成分
を担持した触媒が好ましく用いられる。
【0033】固定床式水素化処理工程における反応条件
としては、反応温度300〜480℃、反応圧力50〜
200Kg/cm2 (ゲージ)、好ましくは75〜15
0Kg/cm2 (ゲージ)、液空間速度0.1〜10h
-1、好ましくは0.2〜4hr-1、また水素/油比1
00〜2000Nl/lの各領域の値がそれぞれ好まし
く採用される。
【0034】
【実施例】次に本発明の実施例等について説明するが、
本発明はこれに限定されるものではない。実施例1 アルミン酸ソーダ680gと50%グルコン酸水溶液2
0ccを5リットルの純水に溶解し、50℃に加熱し
た。これとは別に725gの硫酸アルミニウムを5リッ
トルの純水に溶解し、50℃に加熱した。上記アルミン
酸ソーダ溶液へ硫酸アルミニウム溶液を激しく撹拌しな
がら加え、アルミナヒドロゲルを生成させた。このとき
のpHは9.5であった。このヒドロゲルを1時間熟成
した後、濾過、洗浄して擬ベーマイトのケーキを得た。
これに50gのMn・Zn系フェライト(平均粒径1.
75μm、飽和磁化59.2emu/g)を混練し、次
に純水を加えて粘度を調整した後、250℃の熱風で噴
霧乾燥した。そして、得られた粉体をさらに500℃で
1時間空気焼成した。焼成された粉体の平均粒径は55
μmであり、表面積は243m2 /gであった。また組
成は、γ−アルミナが95wt%、フェライトが5wt
%であった。
【0035】このようにして得られた強磁性物質粒子を
含む粉体に、通常の方法でコバルトとモリブデンを担持
して本発明にかかる粉末触媒を得た。それらの担持量は
それぞれ、CoOが5wt%、MoO3 が15wt%で
あった。
【0036】この粉末触媒を用いて、中東系減圧残油の
水素化脱金属処理を以下のようにして行った。ただし反
応を行う前に、上記粉末触媒を5%硫化水素/水素気流
中、400℃で1時間予備硫化した。使用した原料油
(重質油)の性状を表1に示す。
【0037】撹拌式ステンレス製オートクレーブに表1
に記載の原料油1リットルと上記粉末触媒250gを張
り込み、以下の条件で反応を行った。
【0038】水素分圧:100Kg/cm2 反応温度:400℃ 反応時間:0.5時間 反応終了後撹拌を中止し、10分間静置した。この間に
生成油中に懸濁している粉末触媒の大部分は沈降した。
こうして得られた生成油の上澄みを電磁石型高勾配磁気
分離機を用いて、以下の条件で処理した。
【0039】磁場強度:20キロガウス 磁場勾配:20キロガウス/cm 線速度 :3.0cm/秒 温度 :400℃ 充填物 :スチールウール 上記の生成油の上澄み中に含まれる粉末触媒の濃度は
0.1wt%であったが、上記の磁気分離機による処理
によって生成油中の粉末触媒の濃度は5ppmにまで低
下した。また、上記の磁気分離機により粉末触媒を除去
した後の処理油(脱金属処理油)の性状を表1に示す。
【0040】
【表1】 表1に示す結果から明らかなように、本発明の水素化脱
金属処理方法によれば、続いての固定床式水素化処理装
置の触媒層に堆積して触媒の活性低下をもたらし、また
触媒層における原料油の偏流を引き起こすコークの生成
を促進する重金属分(バナジウムおよびニッケル)が充
分に低減された。また、本発明の水素化脱金属処理方法
においては、400℃という高温で粉末触媒の磁気分離
を行ったにも拘らず、粉末触媒はほぼ完全に除去され
た。
【0041】続いて、表1に示す脱金属処理油を用い
て、固定床式水素化処理を行った。固定床式水素化処理
に使用した触媒は、アルミナ担体にCoOを3wt%、
MoO3 を13wt%それぞれ担持した触媒であり、1
/32インチのシリンダー型押し出し成形品である。固
定床式水素化処理における反応条件は次のとおりであ
る。
【0042】水素分圧:100Kg/cm2 反応温度:400℃ LHSV:0.3hr-1 反応開始から50時間後の製品(脱硫処理油)の分析結
果を表2に示す。
【0043】
【表2】 表2に示す結果から明らかなように、本発明の水素化処
理方法によれば、固定床式水素化処理装置による水素化
脱硫処理によって硫黄分、バナジウムおよびニッケルが
充分に低減された製品が得られた。なお、本発明におい
ては上記のように高温で粉末触媒の磁気分離を行ってい
るため、水素化脱硫処理の際に重質油を再び昇温する必
要がなく、経済的観点からも有利である。比較例1 表1に示す原料油を脱金属処理することなくそのまま用
いた以外は実施例1と同様にして固定床式水素化処理を
行った。反応開始から50時間後の製品(脱硫処理油)
の分析結果を表2に示す。
【0044】表2に示す結果から明らかなように、原料
油を事前に脱金属処理することなくそのまま用いた場
合、固定床式水素化処理装置を出た製品中の硫黄分、バ
ナジウムおよびニッケルの含有量はいずれも実施例1で
得られた製品より高いものであった。
【0045】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の水素化脱
金属処理方法によれば、続いての固定床式水素化処理装
置の触媒層に堆積して触媒の活性低下をもたらし、また
触媒層における原料油の偏流を引き起こすコークの生成
を促進する重金属分(バナジウムおよびニッケル)が充
分に低減される。また、本発明の水素化脱金属処理方法
においては、続いて行なわれる水素化脱硫処理の処理温
度と同程度の高温で粉末触媒の磁気分離を行っても脱金
属用の粉末触媒はほぼ完全に除去される。
【0046】従って、上記本発明の水素化脱金属処理方
法を含む水素化処理方法によれば、重金属分を多量に含
む重質油を水素化精製しても重金属分が固定床式水素化
処理装置の触媒層に堆積することによる触媒の活性低下
は充分に抑制され、更に触媒層における原料油の偏流を
引き起こすコークの生成も抑制される。また、本発明の
水素化処理方法においては、水素化脱金属処理を施した
重質油を水素化脱硫処理の際に再加熱する必要がなく、
経済的観点からも有利である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平均粒径0.1〜200μmで強磁性物
    質粒子を含む粉末触媒と、重金属分としてニッケル及び
    バナジウムを合計量で10ppm以上含む重質油とから
    なるスラリー重質油を水素存在下で温度300〜500
    ℃、圧力10〜250Kg/cm2 で水素化処理して重
    金属分を粉末触媒に堆積させる水素化脱金属処理工程
    と、該水素化脱金属処理工程から得られた、重金属分を
    堆積した粉末触媒を含むスラリー生成油の全量あるいは
    一部を触媒分離装置に供給して重金属分が堆積した粉末
    触媒の大部分を分離した後、磁気分離機に供給して該生
    成油中に残存する少量の粉末触媒を分離する触媒分離工
    程とからなることを特徴とする重質油の水素化脱金属処
    理方法。
  2. 【請求項2】 平均粒径0.1〜200μmで強磁性物
    質粒子を含む粉末触媒と、重金属分としてニッケル及び
    バナジウムを合計量で10ppm以上含む重質油とから
    なるスラリー重質油を水素存在下で温度300〜500
    ℃、圧力10〜250Kg/cm2 で水素化処理して重
    金属分を粉末触媒に堆積させる水素化脱金属処理工程
    と、該水素化脱金属処理工程から得られた、重金属分を
    堆積した粉末触媒を含むスラリー生成油の全量あるいは
    一部を触媒分離装置に供給して重金属分が堆積した粉末
    触媒の大部分を分離した後、磁気分離機に供給して該生
    成油中に残存する少量の粉末触媒を分離する触媒分離工
    程と、該粉末触媒を分離した脱金属油を固定床式水素化
    処理装置に供給して水素化処理する水素化脱硫処理工程
    とからなることを特徴とする重質油の水素化処理方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101158924B1 (ko) * 2004-04-14 2012-06-21 닛키 쇼쿠바이카세이 가부시키가이샤 탄화수소유의 수소화 처리 촉매 조성물 및 상기 촉매조성물을 사용한 탄화수소유의 수소화 처리 방법
CN103540348A (zh) * 2012-07-12 2014-01-29 中国石油天然气股份有限公司 一种高效的劣质重油、渣油加氢处理工艺
CN103540350A (zh) * 2012-07-12 2014-01-29 中国石油天然气股份有限公司 一种劣质重油、加氢处理组合工艺

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CN103540348B (zh) * 2012-07-12 2015-09-23 中国石油天然气股份有限公司 一种高效的劣质重油、渣油加氢处理工艺
CN103540350B (zh) * 2012-07-12 2015-10-28 中国石油天然气股份有限公司 一种劣质重油、加氢处理组合工艺

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