JPH07316097A - プロピレングリコールモノメチルエーテルブチラート及びその異性体及びその製造方法 - Google Patents

プロピレングリコールモノメチルエーテルブチラート及びその異性体及びその製造方法

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JPH07316097A
JPH07316097A JP11087994A JP11087994A JPH07316097A JP H07316097 A JPH07316097 A JP H07316097A JP 11087994 A JP11087994 A JP 11087994A JP 11087994 A JP11087994 A JP 11087994A JP H07316097 A JPH07316097 A JP H07316097A
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SHIYOUICHI KAKO KOFUN YUUGENKO
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SHIYOUICHI KAKO KOFUN YUUGENKO
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Abstract

(57)【要約】 【目的】プロピレングリコールモノメチルエーテルブチ
ラートとその異性体とその製造方法を提供すること。 【構成】プロピレングリコールモノメチルエーテルブチ
ラートとその異性体は、酸性触媒と共沸剤の存在下で8
0℃以上の高温でプロピレングリコールモノメチルエー
テルを iso−酪酸又は n−酪酸でエステル化することに
よって得られる。これらの化合物は精留されて酸残留物
と水分が除去され高純度の所望の生成物が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、出発物質としてのプロ
ピレングリコールモノメチルエーテルと iso−酪酸又は
n−酪酸の反応によって得られるプロピレングリコール
モノメチルエーテルブチラートに関する。ここで言うプ
ロピレングリコールモノメチルエーテルブチラートには
下記の式(I)を有する iso−酪酸
【化1】 及び下記の式(II)を有する前記 iso−酪酸の異性体
【化2】 並びに下記の式(III)を有する n−酪酸
【化3】 及び下記の式(IV)を有する前記 n−酪酸の異性体が含
まれる。
【化4】
【0002】
【従来の技術】有機エステル化合物は、例えば塗料、イ
ンキ、接着剤及び洗浄剤として合成樹脂工業において広
く使用されている優れた溶剤である。今日、エーテル化
合物は、主に二種類に、即ちEシリーズとPシリーズに
分類される。Eシリーズのエーテル化合物はアルコール
とエチレンオキシドから合成され、一方Pシリーズのエ
ーテル化合物はアルコールとプロピレンオキシドから合
成される。例えば、メタノールとプロピレンオキシドか
ら合成されるPシリーズのエーテル化合物には二つの異
性体が存在し、その一つは、下記の構造式の1−メトキ
シ−2−プロパノールであり、
【化5】 もう一つの異性体は下記の構造式の2−メトキシ−1−
プロパノールである。
【化6】 ここで前者と後者の比は98:2である。前者は優勢な
ものであり、それ故普通、プロピレングリコールモノメ
チルエーテルと呼ばれている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、新規なプロ
ピレングリコールモノメチルエーテルブチラート化合物
を提供することである。さらに、本発明は、高圧、高温
下でメタノールとプロピレンオキシドを反応させること
によって得られるプロピレングリコールモノメチルエー
テル(以下PGMと称する)を酸性触媒の存在下で iso
−酪酸又は n−酪酸と反応させることを含む、プロピレ
ングリコールモノメチルエーテル iso−ブチラート(以
下PMIBと称する)とその異性体、又はプロピレング
リコールモノメチルエーテル n−ブチラート( 以下PM
Bと称する)とその異性体のいずれかのプロピレングリ
コールモノメチルエーテルブチラートの製造方法を提供
することである。本発明の別の目的は、特に塗料、イン
キ、接着剤及び洗浄剤の工業の分野における、溶剤とし
てのPMIB及びPMBの利用を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明によるPMIB又
はPMBの製造方法はバッチ工程及び連続工程からな
る。概して、反応中に生ずる水分が除去されないとき、
反応系は平衡状態に達し易く、それによって生産性の向
上は妨げられ、従って工業生産において都合が悪い。そ
れ故、本発明の製造方法において、バッチ工程が採用さ
れるか、連続工程が採用されるかにかかわらず、反応系
には共沸剤として、例えばベンゼン、トルエン、キシレ
ン及びシクロヘキサン等の芳香族化合物が添加される。
添加される共沸剤は水と不相溶性のものでなければなら
ず、また水と共沸効果を示すものである。芳香族化合物
は上記の要求を満たす点において適当なものである。前
記共沸剤は、プロピレングリコールモノメチルエーテル
及び iso−酪酸又はn−酪酸の容量和に対して6容量%
乃至30容量%の量で使用されるとよい。
【0005】バッチ工程において、反応物と共沸溶剤は
反応器の中に配置され、水を除去し共沸溶剤を循環させ
ながら共沸点で反応せしめられる。反応の終了後、生成
物と共沸溶剤は分別蒸留によって分離され、高純度の生
成物が得られる。
【0006】連続工程において、出発物質は所定の流量
で供給され、一方水は反応工程中分留塔の上から連続的
に回収される。共沸溶剤は循環され、一方ある限度の濃
度で反応器内にある生成物PMIB又はPMBを含む反
応系は精留塔に移されて、分別蒸留が行われ、少量の未
反応のエーテル、酸及びPMIB又はPMBに分別さ
れ、それによって高純度の生成物が得られる。
【0007】本発明のPMIB又はPMBの製造方法に
よれば、PGM及び iso−酪酸又はn−酪酸からなる出
発物質を80℃以上の高温で酸性触媒及び共沸剤の存在
下で反応させエステル化して粗PMIB又はPMBを製
造する。次いで生成物は精留によって分離され、未反応
の酸と生じた水が除かれて、高純度のPMIB又はPM
Bが得られる。
【0008】出発物質におけるPGM対 iso−酪酸又は
n−酪酸のモル比は、一般的に0.6乃至3.0であ
り、好ましいモル比は、PGMが iso−酪酸又は n−酪
酸に対し過剰に存在する1.1乃至1.5である。モル
比が0.6より小さいか或いは3.0よりも大きいとき
は、反応終了後、反応系の両成分が未反応の残留物を過
剰に残し、精留工程中多量のエネルギーが消費されるの
みならず、必要とされる精留時間が長くなり、生産量が
減少せしめられる。 iso−酪酸又は n−酪酸があまりに
も過剰のとき、即ちモル比が0.6より低いとき、反応
速度は著しく低下する。その理由は明らかでないが酸性
触媒が緩衝作用を受けるためと思われる。
【0009】本発明において使用する触媒としては、硫
酸、塩化水素酸及びリン酸等の無機酸、及び酢酸、シュ
ウ酸、クエン酸、p−トルエンスルホン酸及びメタンス
ルホン酸等の有機酸があり、特に硫酸、p−トルエンス
ルホン酸及びメタンスルホン酸等の強酸が好ましい。本
発明により得られるプロピレングリコールモノメチルエ
ーテル iso−酪酸及びプロピレングリコールモノメチル
エーテル n−酪酸の沸点はそれぞれ167.2℃及び1
80.5℃であり、一方、その他の反応物及び生成物に
ついては、PGMの沸点は120℃であり、 iso−酪酸
の沸点は154.4℃であり、 n−酪酸の沸点は164
℃であり、また水の沸点は100℃である。この溶液を
精留することは、プロピレングリコールモノメチルエー
テルアセテートの沸点は146℃、酢酸の沸点は118
℃、PGMの沸点は120℃である従来の場合に比べて
明らかに容易である。これは本発明によって達成される
一つの効果である。
【0010】本発明により達成されるもう一つの効果は
代謝器官に対するPMIB及びPMBの毒性が低いこと
である。Eシリーズ及びPシリーズのエステルの、ラビ
ットについて求めた、米国の環境保護局によって公表さ
れたNOEL(NO観察効果レベル)は、夫々30 ppm
及び3000 ppmである。本発明のPMIB及びPMB
はPシリーズに属し、生殖器官に対して非常に低い毒性
を有する。
【0011】さらに、PMIB及びPMBは種々の樹脂
に対して高い溶解度を有する。例えば、プロピレングリ
コールモノメチルエーテルアセテートのアルキド樹脂に
対する最終溶剤パーセントは70%であり、一方本発明
のプロピレングリコールモノメチルエーテルブチラート
とその異性体の最終溶剤パーセントは90%を越え、こ
れにより優れた溶剤であることが証明される。
【0012】本発明の製造方法において、反応が完了し
たとき、反応系は二重精留によって処理しなければなら
ない。一次精留は脱水及び脱酸処理である。効率を高
め、エネルギーを節約するために、ベンゼン、トルエ
ン、キシレン及びシクロヘキサン等の芳香族有機溶剤か
ら選択された共沸剤を出発材料全体に対して8乃至20
%の量で添加し、精留中の共沸点を低下せしめる。二次
精留のとき、エーテルとエステルの二つの成分のみが残
り、それらは二成分の沸点の差に基づき完全に分別蒸留
され、それによって高純度の生成物が得られる。
【0013】
【実施例】次に、単に例示の目的のための下記の例によ
って本発明を更に説明するが、これによって本発明は限
定されるものではない。 (実施例1)容積3 lの反応器中にプロピレングリコー
ルモノメチルエーテル1056.5g及び iso−酪酸6
88.5 gを入れた。混合後、キシレン200ml及びp
−トルエンスルホン酸10 gを添加した。次いで温度を
92℃の還流温度にして5時間反応させた。この間反応
を有効に促進させるように、同時に脱水を行った。反応
液をガスクロマトグラフィーで分析の結果、組成は下記
の通りであることが分かった。 反応液の組成: プロピレングリコールモノメチルエーテル iso−ブチラート 67.45% プロピレングリコールモノメチルエーテル 18.66% iso−酪酸 4.33% キシレン 8.97% 水 0.59% この溶液は更に二重精留によって処理され、99.9%
以上の純度のプロピレングリコールモノメチルエーテル
iso−ブチラート化合物を得た。
【0014】このプロピレングリコールモノメチルエー
テル iso−ブチラート化合物は図1に示すNMR1 Hス
ペクトルによって、また図2に示すように質量スペクト
ルによって特徴付けられ、それによってその化学構造は
【化7】 であると決定される。また下記の構造式:
【化8】 を有する痕跡量の異性体をスペクトルで決定することは
容易ではない。
【0015】(実施例2)容積3 lの反応器中にプロピ
レングリコールモノメチルエーテル1056.5g及び
n−酪酸688.5 gを入れた。混合後、キシレン20
0ml及びp−トルエンスルホン酸10 gを添加した。次
いで温度を105℃の還流温度にして5時間反応させ
た。この間反応を有効に促進させるように、同時に脱水
を行った。反応液をガスクロマトグラフィーで分析の結
果、組成は下記の通りであることが分かった。 反応液の組成: プロピレングリコールモノメチルエーテル n−ブチラート 68.20% プロピレングリコールモノメチルエーテル 18.46% n−酪酸 4.20% キシレン 8.55% 水 0.59% この溶液は更に二重精留によって処理され、99.9%
以上の純度のプロピレングリコールモノメチルエーテル
n−ブチラート化合物を得た。このプロピレングリコー
ルモノメチルエーテル n−ブチラート化合物は図3に示
すNMR1 Hスペクトルによって、また図4に示すよう
に質量スペクトルによって特徴付けられ、それによって
その化学構造は
【化9】 であると決定される。また下記の構造式:
【化10】 を有する痕跡量の異性体をスペクトルで決定することは
容易ではない。
【0016】(実施例3)容積3 lの反応器中にプロピ
レングリコールモノメチルエーテル1056.5g及び
iso−酪酸688.5 gを入れた。混合後、p−トルエ
ンスルホン酸10gを添加した。次いで温度を水と iso
−酪酸の共沸点99.3℃にして5時間還流反応させ
た。共沸溶剤を添加しないので水性層は分離せず、平衡
状態に達した。この反応液はガスクロマトグラフィーに
よって分析され、下記の組成であることが分かった。 反応液の組成: プロピレングリコールモノメチルエーテル iso−ブチラート 41.1 % プロピレングリコールモノメチルエーテル 38.4 % iso−酪酸 13.9 % 水 6.6 %
【0017】(実施例4)容積3 lの反応器中にプロピ
レングリコールモノメチルエーテル1056.5g及び
n−酪酸688.5 gを入れた。混合後、p−トルエン
スルホン酸10 gを添加した。次いで温度を水と n−酪
酸の共沸点99.3℃にして5時間還流反応させた。共
沸溶剤を添加しないので水性層は分離せず、平衡状態に
達した。この反応液はガスクロマトグラフィーによって
分析され、下記の組成であることが分かった。 反応液の組成: プロピレングリコールモノメチルエーテル n−ブチラート 41.8 % プロピレングリコールモノメチルエーテル 38.0 % n−酪酸 13.4 % 水 6.8 %
【0018】比較例 容積3 lの反応器中にプロピレングリコールモノメチル
エーテル1172ml及び酢酸572mlを入れた。混合
後、p−トルエンスルホン酸10 gを添加した。次いで
温度を97.5℃の還流温度にして5時間反応させた。
この反応液はガスクロマトグラフィーによって分析さ
れ、下記の組成であることが分かった。 反応液の組成: プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 44.0 % 酢酸 20.1 % プロピレングリコールモノメチルエーテル 29.7 % 水 5.8 % この溶液は二重精留によって処理し、純度99%のプロ
ピレングリコールモノメチルエーテルアセタートを得
た。収率が低すぎて工業の要求に合致しなかった。
【0019】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明によ
れば優れた溶解性を有するのみならず毒性の比較的低い
プロピレングリコールモノメチルエーテルブチラート化
合物を提供することができる。また本発明の方法によ
り、芳香族化合物を共沸剤として反応系に加えることに
より、高収率で、しかも省エネルギーでプロピレングリ
コールモノメチルエーテルブチラート化合物を製造する
ことが出来る。また本発明によれば、塗料、インキ、接
着剤及び洗浄剤の工業の分野におけるプロピレングリコ
ールモノメチルエーテルプチラートの利用を提供するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明により製造されたプロピレングリコール
モノメチルエーテル iso−ブチラートのNMR1 Hスペ
クトルを示す図である。
【図2】本発明により製造されたプロピレングリコール
モノメチルエーテル iso−ブチラートの質量スペクトル
を示す図である。
【図3】本発明により製造されたプロピレングリコール
モノメチルエーテル n−ブチラートのNMR1 Hスペク
トルを示す図である。
【図4】本発明により製造されたプロピレングリコール
モノメチルエーテル n−ブチラートの質量スペクトルを
示す図である。

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プロピレングリコールモノメチルエーテ
    ル iso−ブチラート及びその異性体。
  2. 【請求項2】 プロピレングリコールモノメチルエーテ
    ル n−ブチラート及びその異性体。
  3. 【請求項3】 プロピレングリコールモノメチルエーテ
    ルと iso−酪酸の反応により製造される、請求項1に記
    載のプロピレングリコールモノメチルエーテル iso−ブ
    チラート及びその異性体。
  4. 【請求項4】 プロピレングリコールモノメチルエーテ
    ルと n−酪酸の反応により製造される、請求項2に記載
    のプロピレングリコールモノメチルエーテルn−ブチラ
    ート及びその異性体。
  5. 【請求項5】 酸性触媒と共沸剤の存在下で80℃以上
    の高温でプロピレングリコールモノメチルエーテルと i
    so−酪酸又は n−酪酸を反応させエステル化して粗プロ
    ピレングリコールモノメチルエーテル iso−ブチラート
    又は粗プロピレングリコールモノメチルエーテル n−ブ
    チラートを製造し、蒸留により未反応の酸と水を除去し
    て高純度のプロピレングリコールモノメチルエーテル i
    so−ブチラートとその異性体又はプロピレングリコール
    モノメチルエーテル n−ブチラートとその異性体を得る
    ことを特徴とするプロピレングリコールモノメチルエー
    テル iso−ブチラート及びその異性体又はプロピレング
    リコールモノメチルエーテル n−ブチラート及びその異
    性体の製造方法。
  6. 【請求項6】 プロピレングリコールモノメチルエーテ
    ルと iso−酪酸又はn−酪酸のモル比が0.6乃至3.
    0であることを特徴とする請求項5に記載の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記触媒が、硫酸、 p−トルエンスルホ
    ン酸及びメタンスルホン酸からなる群から選択される強
    酸であることを特徴とする請求項5に記載の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記共沸剤が、ベンゼン、トルエン、キ
    シレン及びシクロヘキサンからなる群から選択されるこ
    とを特徴とする請求項5に記載の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記共沸剤が、プロピレングリコールモ
    ノメチルエーテル及び iso−酪酸又は n−酪酸の容量和
    に対して6容量%乃至30容量%の量で使用されること
    を特徴とする請求項8に記載の方法。
  10. 【請求項10】プロピレングリコールモノメチルエーテ
    ル iso−ブチラート又はプロピレングリコールモノメチ
    ルエーテル n−ブチラートの溶剤としての利用。
  11. 【請求項11】塗料、インキ、接着剤、又は洗浄剤等の
    溶剤としての請求項10に記載の利用。
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