JPH07315939A - 窒化珪素/炭化珪素複合焼結体及び複合粉末並びにそれらの製造方法 - Google Patents

窒化珪素/炭化珪素複合焼結体及び複合粉末並びにそれらの製造方法

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JPH07315939A
JPH07315939A JP7098064A JP9806495A JPH07315939A JP H07315939 A JPH07315939 A JP H07315939A JP 7098064 A JP7098064 A JP 7098064A JP 9806495 A JP9806495 A JP 9806495A JP H07315939 A JPH07315939 A JP H07315939A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 室温強度、高温強度、硬度、靭性、耐熱衝撃
性、耐腐食性、耐静疲労特性、耐摩耗性等に優れた複合
焼結体を低コストで製造する方法を提供する。 【構成】 珪素粉末に炭素質粉末と焼結助剤とを混合
し、得られた混合粉末を窒素ガス含有雰囲気中で熱処理
して、珪素の窒化/炭化反応を起こすことにより窒化珪
素/炭化珪素の複合粉末を製造する。また混合粉末から
成形体を形成して、それを窒素ガス含有雰囲気中で熱処
理し、珪素の窒化反応と炭化反応とを起こし、その後窒
素ガス雰囲気中で焼結することにより複合焼結体を製造
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は窒化珪素/炭化珪素複合
焼結体及び複合粉末の製造方法に関し、特にナノコンポ
ジット構造を有するために室温強度、高温強度、硬度、
靭性、耐熱衝撃性、耐腐食性、耐静疲労特性及び耐摩耗
性等に優れ、また安価な原料も利用できて製造プロセス
も簡単であるので、ガスタービン、自動車エンジン等の
高温用構造材料あるいはロッカーアーム等の摺動材料の
低コストな製造方法として好適な方法を提供することで
ある。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】窒化珪
素系セラミック焼結体は、高強度、高耐熱性、高耐熱衝
撃性、高耐摩耗性、耐酸化性などの点から、高温での使
用条件が苛酷な構造用セラミックスとしての利用が期待
されている。またその機械的強度を向上する目的で、種
々の成分が添加されている。なかでも炭化珪素は良好な
機械的強度を発揮し得るセラミックス成分であり、窒化
珪素に炭化珪素を配合したセラミックス焼結体が提案さ
れいてる。しかし単に窒化珪素粉末と炭化珪素粉末とを
混合して得た焼結体では、炭化珪素粒子(ミクロンオー
ダの大きさ)は窒化珪素の粒界に存在するにとどまる
か、あるいはナノコンポジット構造を有するとしても、
窒化珪素粒子内に複合する炭化珪素粒子の割合が小さ
く、十分な複合効果が得られない。そのため窒化珪素中
に炭化珪素が微細に分散したナノコンポジット構造を有
する焼結体を得るために、種々の方法が提案されてい
る。
【0003】特開平2-160669号は、平均粒径1μm以下
の炭化珪素が粒界に分散し、かつ数ナノメータから数百
ナノメータの大きさの炭化珪素の微細粒子が窒化珪素粒
子内に分散した微細構造を有する窒化珪素−炭化珪素複
合焼結体を開示している。この複合焼結体は、液相焼結
系において平均粒径が0.5 μm以下の微細な炭化珪素を
生成する非晶質窒化珪素−炭化珪素複合粉末又は窒化珪
素−炭化珪素混合粉末を使用し、焼結助剤の存在下で15
00〜2300℃の温度で焼結することにより製造される。し
かし、非晶質窒化珪素−炭化珪素複合粉末は、有機珪素
化合物の気相反応法により得られるもので、非常にコス
ト高であり、かつ量産性に劣る。また、非晶質粉末は成
形性に劣るという問題がある。
【0004】また特開平3-103361号は、窒化珪素粉末を
母材とし、強化材として大きさが1μm以下及び5〜20
μmの両範囲にわたる炭化珪素粒子を含む複合焼結体を
開示しているが、この複合焼結体は窒化珪素粉末と炭化
珪素粉末を混合して得た焼結体であり、炭化珪素が微細
に分散したナノコンポジット構造を有するには至らず、
複合効果が十分に得られないという問題がある。
【0005】また特開平3-261611号は、窒化珪素/炭化
珪素複合焼結体を製造するための窒化珪素複合粉末を製
造する方法であって、金属Si粉末と炭素質粉末とを混
合し、得られた混合物を窒素含有不活性ガス雰囲気中、
1400℃以下の温度で加熱して、金属Si粉末の炭化反応
と窒化反応とを同時に行うことを特徴とする方法を開示
している。しかし、この複合粉末は反応中に粒成長する
ので得られる粉末は粒径が大きく、また出発原料に焼結
助剤を含まないため熱処理により生成する窒化珪素はβ
型になりやすく、焼結性に劣るという問題がある。
【0006】したがって本発明の目的は、良好な強度、
耐静疲労特性、耐摩耗性及び硬度を有する窒化珪素/炭
化珪素複合焼結体を低コストで製造する方法を提供する
ことである。
【0007】
【課題を解決するための手段】以上の目的に鑑み鋭意研
究の結果、本発明者等は、出発材料として珪素粉末と炭
素質粉末と焼結助剤とを使用し、熱処理により珪素の窒
化反応と炭化反応を起こせば、窒化珪素と炭化珪素とか
らなる焼結性に優れた複合粉末及び複合焼結体を得るこ
とができることを発見し、本発明を完成した。
【0008】すなわち、窒化珪素と炭化珪素との複合焼
結体を製造する本発明の方法は、珪素粉末に炭素質粉末
と焼結助剤とを混合し、得られた混合粉末或いはそれか
ら形成した成形体を窒素ガス含有雰囲気中で熱処理し
て、珪素の窒化反応と炭化反応とを起こし、その後窒素
ガス含有雰囲気中で焼結することを特徴とする。また窒
化珪素と炭化珪素との複合粉末を製造する本発明の方法
は、珪素粉末に炭素質粉末と焼結助剤とを混合し、得ら
れた混合粉末を窒素ガス含有雰囲気中で熱処理して、珪
素の窒化反応と炭化反応とを起こすことを特徴とする。
【0009】以下、本発明を詳細に説明する。 [1] 出発原料 (a) 珪素粉末 本発明に使用する珪素粉末は、平均粒径が0.2 〜20μ
m、特に0.3 〜10μmであるのが好ましい。平均粒径が
0.2 μmより小さいと、粉末表面の酸化が大であり、ま
た20μmより大きいと均一な分散が困難となるとともに
反応性に乏しくなる。
【0010】なお、珪素粉末としては、JIS G 2312 に
規定されているような比較的低純度で安価なものから、
半導体のシリコンウェーハの破材を粉砕したような高純
度のものまで、広い範囲のものを使用することができ
る。また高純度の珪素粉末を使用した場合、Fe、Cr、Co
等の化合物あるいは単体を添加し、反応を促進すること
もできる。
【0011】出発原料中の珪素粉末と炭素質粉末の合計
量を100 重量%としたとき、珪素粉末の含有量は、81.2
〜97.6重量%が好ましく、84.2〜93.2重量%がより好ま
しい。珪素粉末が81.2重量%より少ないと焼結体が緻密
化しずらくなり、所望の複合焼結体が得られない。また
97.6重量%より多いと炭化珪素の複合効果が十分でなく
なる。
【0012】(b) 炭素質粉末 本発明に使用する炭素質粉末は、微細であれば特に限定
されないが、グラファイト粉末もしくはアセチレンブラ
ック、ケッチェンブラック等のカーボンブラック粉末が
好ましい。炭素質粉末は、平均粒径が20μm以下、特に
10μm以下であるのが好ましい。平均粒径が20μmより
大きいと均一な分散が困難となる。
【0013】出発原料中の珪素粉末と炭素質粉末の合計
量を100 重量%としたとき、炭素質粉末の含有量は、2.
4 〜18.8重量%が好ましく、6.8 〜15.8重量%がより好
ましい。炭素質粉末が2.4 重量%より少ないと複合効果
が得られず、また18.8重量%より多いと焼結体が緻密化
しない。
【0014】(c) 窒化珪素粉末 混合粉末の成形性を良くするとともに、窒化珪素生成の
核とするために、0.1〜5μm、好ましくは0.1 〜3μ
mの平均粒径を有する窒化珪素粉末を添加してもよい。
窒化珪素粉末の添加量は、熱処理により生成する窒化珪
素と添加する窒化珪素の合計を100 重量%として、0〜
10重量%とするのが好ましく、より好ましくは0〜5重
量%とする。窒化珪素粉末の添加量が多すぎると(珪素
粉末に対する窒化珪素粉末の割合が高すぎると)、Si
の反応焼結が不十分であり、複合効果が得られない。
【0015】(d) 炭化珪素粉末 炭化珪素粉末は、窒化珪素粉末と同様の目的、つまり珪
素粉末混合物の成形性を良くするとともにして炭化珪素
生成の核とするために少量添加してもよい。好ましい炭
化珪素粉末の添加量は、熱処理により生成する炭化珪素
と添加する炭化珪素との合計量を100 重量%として、0
〜10重量%であり、より好ましくは0〜5重量%であ
る。炭化珪素の添加量が多すぎると珪素の反応焼結が不
十分となり、複合効果が得られない。
【0016】(e) 焼結助剤粉末 焼結助剤粉末としてAl2 3 、MgO、HfO2 、Al
N、及びY2 3 、Yb2 3 、Lu2 3 、Tm2
3 等の希土類元素の化合物から選ばれた少なくとも1種
を添加する。中でも、Y2 3 が好ましく、Y2 3
前出の焼結助剤粉末を組み合わせて使用してもよい。
【0017】焼結助剤粉末の含有量は、熱処理により生
成した複合粉末の全量を100 重量%として、5〜20重量
%とするのが好ましく、より好ましくは7〜15重量%と
する。焼結助剤粉末が5重量%より少ないと焼結性が不
十分であり、また20重量%より多いと焼結体の高温強度
が低い。
【0018】[2] 複合焼結体の製造方法 (1) 成形体の作製 まず、各成分を上記配合比となるように配合し、ボール
ミル、ニーダー等で十分に混合する。混合は乾式でも湿
式でも良い。湿式混合の場合には、粉末混合物に水、エ
タノール、ブタノール等の分散媒体を加える。得られた
混合粉末を所望の形状に成形するが、成形方法としては
プレス成形、スリップキャスティング成形、射出成形等
を使用することができる。
【0019】プレス成形の場合には、分散媒体を除去後
に所望のプレス型を用いて成形を行う。スリップキャス
ティング成形の場合には、分散媒体とともに吸湿性の型
に流し込む。射出成形の場合には適当な有機又は無機バ
インダーを添加して、型内に射出する。有機バインダー
としては、例えばエチルシリケート、ポリエチレングリ
コール、ポリビニルアルコール(PVA)、アクリルエ
マルジョン、ポリウレタンエマルジョン等が挙げられ
る。また無機バインダーも添加することができる。複雑
な形状の成形体を作製するにはスリップキャスティング
成形や射出成形が好ましい。
【0020】(2) 窒化/炭化処理 成形体を窒素含有雰囲気下で加熱し、成形体中の珪素粉
末の窒化反応と炭化反応を行う。窒化率と炭化率は出発
原料中の炭素質粉末の添加量により決まる。すなわち、
実質的に全ての炭素は珪素と結合して炭化珪素となるの
で、未反応の珪素が実質的に全て窒化珪素に転化するこ
とになる。例えば、珪素と炭素とが100:7のモル比で
混合されているとすると、窒化珪素と炭化珪素とのモル
比は31:7となる。
【0021】窒化/炭化処理の諸条件は、成形体の厚
さ、出発原料粉末の粒径等により多少変更する必要があ
るが、温度は1450℃以下とする。1450℃を超える温度に
加熱すると、珪素が溶出するので好ましくない。窒化/
炭化処理温度の下限は1000℃とするのが好ましい。1000
℃未満であると、窒化/炭化反応が起こらないか、起こ
っても反応速度が低すぎる。より好ましい反応温度は12
00〜1400℃である。
【0022】窒素含有雰囲気の圧力は1kg/cm2 以上と
するのが好ましく、より好ましくは5〜2000kg/cm2
する。窒素含有雰囲気の圧力が1kg/cm2 未満であると
窒化が良好に進まない。窒化/炭化処理の時間は、成形
体の厚さ、出発原料粉末の粒径、窒化処理温度等により
多少変化するが、一般に1〜10時間程度とするのが好ま
しい。なお、窒素含有雰囲気とは窒素含有ガスの雰囲気
で、窒素含有ガスとしては窒素ガス、窒素と水素の混合
ガスあるいは窒素とアンモニアの混合ガス等が挙げられ
る。
【0023】以上の条件で窒化/炭化処理を行うと、成
形体中の珪素粒子は窒化されて出発原料の珪素粒子より
も微細なα−窒化珪素を含む窒化珪素が生成されるとと
もに、炭素と反応して出発原料の珪素粒子及び炭素粒子
よりも微細な炭化珪素粒子を生成する。
【0024】なお上記工程(1) と(2) は逆転してもよ
い。すなわち、まず窒化/炭化処理を行って複合粉末を
作製し、次いで複合粉末を粉砕後成形・焼結をしてもよ
い。この場合に作製する複合粉末については、以下の
[3] で詳述する。
【0025】(3) 焼結 窒化処理後の成形体を1600〜2200℃の温度で、好ましく
は1800〜2000℃の温度で焼結する。焼結温度が1600℃未
満であると、焼結体の緻密化が不十分になり、所望の特
性が得られない。また焼結温度が2200℃を超えると窒化
珪素の分解が始まるので好ましくない。焼結は窒素ガス
含有雰囲気中で行う。このとき、雰囲気ガス圧は5〜20
00kg/cm2 程度とするのが好ましい。また、焼結時間は
1〜5時間程度とするのが好ましい。良好な焼結体密度
を達成するためにはホットプレス又はHIPが好まし
い。
【0026】(4) 窒化珪素/炭化珪素複合焼結体 上記方法で得られた窒化珪素/炭化珪素複合焼結体は、
窒化珪素粒子内に微細な炭化珪素粒子が分散したいわゆ
るナノコンポジット構造を有する。炭化珪素粒子は窒化
珪素粒子より熱膨張率が大きいため、窒化珪素粒子に残
留応力が働くと考えられる。また窒化珪素の粒界に分散
した微細な炭化珪素粒子は、窒化珪素の粒界すべりを抑
制するくさびのような作用をすると考えられる。
【0027】従って、炭化珪素/窒化珪素の比が小さい
場合、上記効果が十分に得られない。一方、炭化珪素/
窒化珪素の比が大きすぎると、分散する炭化珪素粒子が
多すぎて窒化珪素の粒成長が抑制されてしまい、焼結体
密度が十分に増大しない。以上の点から炭化珪素/窒化
珪素の重量比は5/95〜50/50が好ましく、15/85〜40
/60がより好ましい。
【0028】[3] 複合粉末の製造方法 上記[2] 複合焼結体の製造方法の欄で記載したのと同じ
材料及び方法で各成分を混合した後で、成形することな
く窒化/炭化処理を行う。窒化/炭化処理の条件は上記
[2] (2) の欄に記載したのと同じでよいが、粉末の場合
には成形体の熱処理よりもやや低温で窒化/炭化反応が
起こる傾向がある。従って、窒化/炭化反応の温度は11
00〜1380℃とするのがより好ましい。
【0029】窒化/炭化反応の後粉砕して複合粉末を得
る。複合粉末の平均粒径は0.1 〜5μm程度であるのが
好ましい。複合粉末は上記[2] (1) 及び(3) の欄に記載
したものと同じ方法で成形し、焼結することができる。
【0030】
【実施例】以下、本発明を具体的実施例によりさらに詳
細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではな
い。
【0031】実施例1 平均粒径が0.5 μmの珪素粉末(JIS MSi 1 )71.7重量
%と、平均粒径が0.2μmのカーボンブラック粉末11.9
重量%と、平均粒径が0.1 μmの窒化珪素粉末3.9 重量
%と、平均粒径が0.2 μmの炭化珪素粉末2.1 重量%
と、平均粒径が1.4 μmのY2 3 粉末10.4重量%と
を、100 %反応が進行した時に合計300 gとなるように
秤量し、ボールミルによりエタノールを溶媒として18
時間混合し、乾燥した。
【0032】得られた原料粉末1を、図1に示すような
直径50mmの黒鉛ダイス2に充填し、9気圧の窒素ガス
含有雰囲気中で1400℃に4時間保持して窒化/炭化反応
を起こさせ、次いで窒素ガス雰囲気中で5tの荷重で最
高1800℃まで昇温して4時間ホットプレス焼結を行っ
た。得られた焼結体の組織を電子顕微鏡で観察したとこ
ろ、図2に概略的に示すナノコンポジット構造を有する
ことが分かった。図中Aは窒化珪素粒子を示し、Bは炭
化珪素粒子を示し、CはSi−Y−Oからなる相を示
す。また焼結体の密度をアルキメデス法で測定後、炭化
珪素含有量及び硬度をそれぞれ測定した。結果は以下の
通りである。
【0033】焼結体密度: 3.3 g/cm3 炭化珪素含有量* :35重量% 硬度(Hv)**:2197kg/mm2 注*:焼結体中のSi、C及びN元素の定量分析結果か
ら計算で求めた。 〔SiC/(SiC+Si3 4 )〕×100 % **:試料の表面をダイヤモンド研磨し、ビッカース硬
度試験機により500 g×10秒で測定した。
【0034】また、焼結体を3mm×4mm×40mmの
大きさに切断して試験片とし、3点曲げ強度試験(室温
及び1400℃)、及び静疲労試験を以下の条件で行った。
結果は以下の表1に示す通りである。 (1) 3点曲げ強度試験:室温の場合にはスパン30mm及
びクロスヘッドスピード0.5 mm/分の条件で行い、ま
た1400℃の場合には1400℃に昇温し、1時間保持した後
上記条件で行った。 (2) 静疲労試験:試験片をスパン30mmの3点曲げ治具
にセットし、1300℃に昇温した後1時間保持し、所定の
応力を負荷して破断するまでの時間を計測した。なお一
定時間経過しても破断しない場合は試験を停止した。試
験中は試験片の変位を高分解能CCDカメラで観測し
た。
【0035】 表1 3点曲げ強度 室温: 580 MPa 1400℃: 591 MPa 静疲労試験(負荷応力 396 MPa、160 時間) 破断せず、最大変位0.15mm以下
【0036】実施例2〜3、比較例1 平均粒径が0.5 μmの珪素粉末(JIS MSi 1 )と、平均
粒径が0.2 μmのカーボンブラック粉末と、平均粒径が
0.1 μmの窒化珪素粉末と、平均粒径が0.2 μmの炭化
珪素粉末と、平均粒径が1.4 μmのY2 3 粉末と、平
均粒径が2μmのAlN粉末とを、表2に示す割合で
(ただし100 %反応が進行した時に全量が300 gとな
る)秤量し、ボールミルによりエタノールを溶媒として
18時間混合し、乾燥した。得られた原料粉末を実施例1
と同条件でホットプレス焼結した後特性を評価した。結
果を表2に示す。
【0037】 表2原料粉末組成(重量%) 実施例2 実施例3 比較例1 珪素粉末 72.9 69.9 80.6 カーボンブラック粉末 10.4 11.3 − 窒化珪素粉末 4.3 3.9 7.1 炭化珪素粉末 1.8 2.0 − Y2 3 粉末 10.6 9.0 12.3 AlN粉末 − 3.9 − 特性 焼結体密度(g/cm3 ) 3.2 3.2 3.0 炭化珪素含有量(重量%)(1) 30 34 0 硬度(Hv)(2) 2012 − 1062 3点曲げ強度 室温 570 328 170 (MPa) 1400℃ 584 252 −* 静疲労特性 破断せず(3) 破断せず(4) * 最大変位(mm)(5) 0.14以下 0.21以下 − 注:(1) 実施例1と同じ方法で算出した。 (2) 実施例1と同じ方法で測定した。 (3) 負荷応力368 MPaで140 時間経過しても試験片は
破断せず、試験を停止した。 (4) 負荷応力190 MPaで90時間経過しても試験片は破
断せず、試験を停止した。 (5) 各静疲労試験条件での最大変位量。 * 珪素の溶出のため高温特性の測定は行わなかった。
【0038】比較例2、3 平均粒径が1.2 μmの窒化珪素粉末(直接窒化法、α/
α+β=92%)と、平均粒径が1.2 μmの炭化珪素粉末
と、平均粒径が1.4 μmのY2 3 粉末とを、表2に示
す割合で(全量は300 g)秤量し、ボールミルによりエ
タノールを溶媒として18時間混合し、乾燥した。得ら
れた原料粉末を図1に示すような直径50mmの黒鉛ダイ
スに充填し、窒素ガス中で5tの荷重で最高1800℃まで
昇温して4時間ホットプレス焼結を行った。得られた焼
結体の特性を実施例1と同様に評価した。結果を表3に
示す。
【0039】 表3原料粉末組成(重量%) 比較例比較例3 窒化珪素粉末 92.0 64.4 炭化珪素粉末 − 27.6 Y2 3 粉末 8.0 8.0 特性 焼結体密度(g/cm3 ) 3.2 3.0 炭化珪素含有量(重量%)(1) 0 30 硬度(Hv)(2) 1698 1194 3点曲げ強度 室温 775 408 (MPa) 1400℃ 139 123 静疲労特性 破断(3) 破断(4) 注:(1) 実施例1と同じ方法で算出した。 (2) 実施例1と同じ方法で測定した。 (3) 負荷応力83MPa、36秒で破断。 (4) 負荷応力83MPa、1秒で破断。
【0040】以上の通り、珪素粉末の反応焼結により形
成された焼結体でない比較例2及び3の焼結体は十分な
機械的強度及び耐熱性を有しない。これは、窒化珪素粒
子中に炭化珪素微粒子が存在するナノコンポジット構造
を有しないからであると考えられる。
【0041】実施例4 平均粒径が3.4 μmの珪素粉末(JIS MSi 1 )78.0重量
%と、平均粒径が5μmのグラファイト粉末11.2重量%
と、平均粒径が1.4 μmのY2 3 粉末10.8重量%と
を、100 %反応した時に合計300 gとなるように秤量
し、ボールミルによりエタノールを溶媒として18時間
混合し、乾燥した。得られた粉末を9気圧の窒素ガス雰
囲気中で1380℃で熱処理した後、200 重量部の窒化珪素
ボールと200重量部のエタノールとともに500 mlのポ
ットに入れて7日間粉砕し、目開き355 μmのふるいで
パスしたものを集めて、複合粉末を得た。この複合粉末
を図1に示すような直径42mmの黒鉛ダイス2に充填
し、9気圧の窒素ガス雰囲気中、5トンの荷重で最高18
50℃まで昇温して4時間ホットプレス焼結した。得られ
た焼結体の密度をアルキメデス法で測定後、JIS R 1601
に従って室温及び高温(1300℃及び1400℃)で3点曲げ
試験を行った。結果は以下の通りである。
【0042】焼結体密度:3.32g/cm3 炭化珪素含有量:30重量% 3点曲げ強度 室温:1084MPa 1300℃:1000MPa 1400℃:830 MPa
【0043】実施例5 実施例4で得られた複合粉末を金型に入れてプレス成形
し、さらにCIP装置で4t/cm2 の等方圧をかけ、55
mm×35mm×6mmの成形体とした。この成形体を9
気圧の窒素ガス雰囲気中2000℃で4時間常圧焼結し、次
いで1000気圧の窒素ガス雰囲気中1850℃で1時間HIP
焼結した。得られた焼結体の密度をアルキメデス法で測
定後、JIS R 1601に従って室温及び高温(1400℃)で3
点曲げ試験及び静疲労試験を行った。結果は以下の通り
である。
【0044】焼結体密度:3.29g/cm3 炭化珪素含有量:30重量% 3点曲げ強度 室温:958 MPa 1400℃:756 MPa 静疲労試験(負荷応力 592 MPa、90時間) 破断せず、最大変位0.07mm以下
【0045】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明では珪素粉
末と炭素粉末と焼結助剤を含有する混合粉末を出発材料
として用い、窒素ガス含有雰囲気中での熱処理により珪
素の窒化反応と炭化反応とを起こさせるので、得られる
複合焼結体中の窒化珪素粒子内には炭化珪素粒子が微細
に分散し、ナノコンポジット構造を有する。このため本
発明の方法により得られた複合焼結体は室温強度、高温
強度、硬度、靭性、耐熱衝撃性、耐腐食性、耐静疲労特
性及び耐摩耗性等に優れている。また本発明の複合焼結
体及び複合粉末の製造方法は、安価な原料を利用できて
製造プロセスも簡単であるので、ガスタービン、自動車
エンジン等の高温用構造材料あるいはロッカーアーム等
の摺動材料の低コストな製造方法として好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の複合焼結体用成形体の製造に用いるホ
ットプレス用黒鉛ダイスを概略的に示す断面図である。
【図2】実施例1で得られた複合焼結体の組織を表す概
略図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C04B 35/573 35/591 F01D 5/28 F01L 1/18 M F02C 7/00 C C04B 35/56 101 U 35/58 102 V (72)発明者 樋口 義勝 埼玉県和光市中央一丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 窒化珪素と炭化珪素との複合焼結体の製
    造方法であって、珪素粉末に炭素質粉末と焼結助剤とを
    混合し、得られた混合粉末から形成した成形体を窒素ガ
    ス含有雰囲気中で熱処理して、珪素の窒化反応と炭化反
    応とを起こし、その後窒素ガス含有雰囲気中で焼結する
    ことを特徴とする方法。
  2. 【請求項2】 窒化珪素と炭化珪素との複合粉末の製造
    方法であって、珪素粉末に炭素質粉末と焼結助剤とを混
    合し、得られた混合粉末を窒素ガス含有雰囲気中で熱処
    理して、珪素の窒化反応と炭化反応とを起こすことを特
    徴とする方法。
  3. 【請求項3】 窒化珪素と炭化珪素との複合焼結体の製
    造方法であって、請求項2に記載の窒化珪素と炭化珪素
    との複合粉末から形成した成形体を窒素ガス含有雰囲気
    中で焼結することを特徴とする方法。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載の窒化珪素/炭化珪素複
    合焼結体の製造方法において、前記窒素ガス含有雰囲気
    中における熱処理を1450℃以下の温度で行うことを特徴
    とする方法。
  5. 【請求項5】 請求項2に記載の窒化珪素/炭化珪素複
    合粉末の製造方法において、前記窒素ガス含有雰囲気中
    における熱処理を1450℃以下の温度で行うことを特徴と
    する方法。
  6. 【請求項6】 請求項1又は3に記載の窒化珪素/炭化
    珪素複合焼結体の製造方法において、前記成形体を窒素
    ガス含有雰囲気中において1600℃〜2200℃で焼結するこ
    とを特徴とする方法。
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JPH03261611A (ja) * 1990-03-09 1991-11-21 Nippon Cement Co Ltd 窒化けい素複合粉末の製造方法

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