JPH07313384A - 金属製真空保温容器の真空封止構造 - Google Patents

金属製真空保温容器の真空封止構造

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JPH07313384A
JPH07313384A JP10986594A JP10986594A JPH07313384A JP H07313384 A JPH07313384 A JP H07313384A JP 10986594 A JP10986594 A JP 10986594A JP 10986594 A JP10986594 A JP 10986594A JP H07313384 A JPH07313384 A JP H07313384A
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exhaust port
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vacuum
sealing
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 排気口部への封孔材の付着性能を高めて、封
止機能の信頼性を向上させる。 【構成】 金属製の内容器と外容器とを空隙部を介して
二重構造とし、外容器の所定位置に溶融封孔材の導入充
填が可能な排気口を設けてなる金属製真空保温容器にお
いて、上記排気口に溶融封孔材との接合が良好な銅メッ
キ層などの非不働態面又は接合面積、接合度を大きくす
るサンドブラスト層、エッチング層などの凹凸加工面を
形成した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本願発明は、ステンレスボトル等
の金属製真空保温容器の真空封止構造に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】例えばステンレスボトル等金属製魔法瓶
などの真空保温容器として、金属製の内瓶と外瓶とを口
部にて接合して二重構造とし、これら内外金属瓶間の空
隙部を真空封止してなるものが一般に知られている。
【0003】先ず図12は、同真空保温容器1の真空封
止前の全体構造を示しており、該真空保温容器1は、例
えばステンレス等金属製の内容器1Aと外容器1Bとを
口部2側で相互に接合して二重構造とし、それらの間に
形成される空隙部3を排気した後に真空封止することに
よって断熱構造体を実現するようになっている。
【0004】内容器1Aは、図示のように有底の瓶形形
状をなし、上記口部2側で上記外容器1Bにより支持さ
れている。また、外容器1Bは、その所定寸法縮径され
た底部4側開口縁部50内に対し、底板60を一体的に
嵌合(内嵌)した有底筒状体に形成されている。
【0005】底板60は、その周縁部60aを鉤状に折
り曲げるとともに中央部を同周縁部60aとの間にリン
グ状の溝部を残した上で筒状に外側に膨出させている。
【0006】そして、上記底板60の膨出部底面には、
図示のように軸方向内側に所定の深さだけ凹まされた大
径の凹部60bが形成されている。該凹部60bの内底面
には大径の排気口60cが形成されている。
【0007】そして、真空封止に際しては、先ず真空室
で上記内容器1Aと外容器1B内空隙部3の排気を行っ
た後、上記排気口60cに対し、図示容器倒立状態にお
いて、図示のように封止板61が上記排気口60cの開
口縁部との間にろう材を介して載置され、その後同ろう
材の融点以上の温度で加熱することにより、当該ろう材
を溶融して上記封止板61と底板60とを接合一体化し
て真空封止を行う構成となっている(例えば特開平3−
267023号公報の第11図又は実開平4−7026
号公報の第5図等参照)。
【0008】ところで、このような従来の排気構造の場
合、上記排気口60cの口径を十分に大きくすることが
できるので、排気時のトニタルコンダクタンスを高くす
ることができる反面、別に封止板61が必要となる問題
がある。また封止板61の排気口60cに対する位置決
めや排気口60cの開口縁部に対するろう材の均一配置
が困難なことに加え、排気口60c自体の口径が大きく
融着面積が広いだけ、ろう材による融着精度の確保が難
しくなることなどから、封止精度の信頼性にも問題があ
る。
【0009】そこで、例えば図13、図14〜図16に
示すように、上記底板60の膨出部を平面60dとし、
その中央部に封止時溶融ろう材43がその表面張力によ
って停留し得る程度の極めて小さな口径の円弧状の凹部
64又は漏斗状の凹部65を設けて、その底部に各々排
気口63を形成し、該排気口63の上部側開口縁部にペ
ースト状のろう材43を載置した後、排気室内に導入し
てろう材43を溶融させることによって当該排気口63
を封止するようにしたもの(特開平3−66332号公
報の第1図〜第3図および実開平4−7026号公報の
第1図〜第3図参照)や、また例えば図17〜図19、
図20〜図22に示すように、同じように上記底板60
の膨出部を平面65dとする一方、その中央部に比較的
大径の半球状の凹部66又は底面が傾斜した長溝67を
設け、該半球状の凹部66の中央部又は長溝67の最低
部位置に封止時溶融ろう材43がその表面張力によって
停留し得る程度の小さな口径の排気口63を形成し、上
記半球状凹部66の周縁部又は長溝67の他端部に各々
ペースト上のろう材43を載置した後、排気室に導入し
て溶融させ、それらのアール面又は傾斜面を利用して溶
融ろう材を排気口63部分にガイドすることによって確
実に当該排気口63を封止するようにした排気構造も提
案されている(例えば特開平3−119342号公報の
第1図〜第3図、第4図〜第5図参照)。
【0010】このうような構成によれば、上記凹部66
および長溝67内に正確にろう材43を配置することに
より、確実な真空封止を実現することができる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記のよう
な金属製真空保温容器は、一般にステンレス鋼によって
形成されているために、その表面に不働態皮膜が存在す
る。該不働態皮膜は、高温状態では消失するが、上記4
00℃〜600℃程度の低融点ろう材の溶融状態下では
消失しない。
【0012】そのために、特に上記ろう材にAl,Sn,N
i系等の低融点の金属系ろう材を採用した場合、当該ろ
う材と排気口部面とのぬれ性が悪く、排気口部でのろう
材の接合強度が低い難点がある。また、そのために、例
えば落下時の衝撃などで真空封止機能が害される恐れを
生じる。
【0013】一方、上記ろう材に例えばホウケイ酸鉛ガ
ラス等のガラス系低融点ろう材を採用した場合には、酸
化結合であるために上記酸化皮膜の一種である不働態皮
膜の存在は好都合であるが、該場合であっても当該ろう
材とその接合面との接合力を可及的に向上させることが
望まれる。
【0014】本願発明は、このような事情に鑑みてなさ
れたもので、排気口部面の低融点ろう材とのぬれ性を向
上させることにより、また接合力を増大させることによ
り、排気口部面におけるろう材の接合強度を高くして、
信頼性の高い金属製真空保温容器の真空封止構造を提供
することを目的とするものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】本願発明は、上記従来の
問題を解決することを目的としてなされたものであっ
て、次のような課題解決手段を備えて構成されている。
【0016】すなわち、本願発明の金属製真空保温容器
の真空封止構造は、金属製の内容器と外容器との二重構
造とし、外容器の所定位置に溶融封孔材により溶融封孔
される排気口を設けてなる金属製真空保温容器におい
て、上記排気口の口縁部に溶融封孔材との接合面をなす
非不働態面を形成して構成されている。
【0017】そして、該構成における上記非不働態面
は、例えば上記使用される溶融封孔材に対応したぬれ性
の良い金属材料よりなるメッキ層などによって形成され
る。
【0018】また、本願発明の金属製真空保温容器の真
空封止構造は、金属製の内容器と外容器との二重構造と
し、外容器の所定位置に溶融封孔材により溶融封孔され
る排気口を設けてなる金属製真空保温容器において、上
記排気口の口縁部に溶融封孔材との接合面をなす凹凸加
工面を形成して構成されている。
【0019】そして、該構成における上記凹凸加工面
は、例えば砂粒等を吹き付けることによって実現したサ
ンドブラスト層、エッチング液を塗布することによって
実現したエッチング層などによって形成される。
【0020】さらに、本願発明の金属製真空保温容器の
真空封止構造は、金属製の内容器と外容器との二重構造
とし、外容器の所定位置に溶融封孔材により溶融封孔さ
れる排気口を設けてなる金属製真空保温容器において、
上記排気口が設けられる外容器部分をクラッド鋼で形成
するとともに、該クラッド鋼の外側を上記使用される溶
融封孔材に対応したぬれ性の良い金属で形成して構成さ
れている。
【0021】
【作用】本願発明は、上記の構成に対応して次のような
作用を奏する。
【0022】すなわち、上述の如く、本願発明の金属製
真空保温容器の真空封止構造では、金属製の内容器と外
容器との二重構造とし、外容器の所定位置に溶融封孔材
により溶融封孔される排気口を設けてなる金属製真空保
温容器において、上記排気口の口縁部に溶融封孔材との
接合面をなす非不働態面を形成しており、該非不働態面
に金属系の溶融ろう材を流して排気口が充填止されるの
で、ぬれ性が良好で排気口に対するろう材の導入がスム
ーズになるとともに充填封止後の接合強度が向上する。
【0023】そして、上記非不働態面を使用される封孔
材に対応してぬれ性の良好な金属材料、例えば銅などの
メッキ層によって形成するようにすると、特にAl,Sn,
Ni系ろう材等低融点の金属系ろう材よりなる封孔材と
のぬれ性が良くなって、接合強度が大きく向上する。
【0024】また、本願発明の金属製真空保温容器の真
空封止構造では、上述のように、金属製の内容器と外容
器との二重構造とし、外容器の所定位置に溶融封孔材に
より溶融封孔される排気口を設けてなる金属製真空保温
容器において、上記排気口の口縁部に溶融封孔材との接
合面をなす凹凸加工面を形成しているので、接合部にお
ける封孔材との接合面積および結合度が増大されて接合
強度が大きく向上する。従って、該構成によれば、上述
のような金属系ろう材だけでなく、例えばホウケイ酸鉛
ガラス封孔材などのガラス系低融点ろう材の場合にも有
効となる。
【0025】そして、上記凹凸加工面を例えばサンドブ
ラスト層やエッチング層により形成するようにすると、
比較的容易に均一な凹凸加工面を実現することができ
る。
【0026】さらに、本願発明の金属製真空保温容器の
真空封止構造では、金属製の内容器と外容器との二重構
造とし、外容器の所定位置に溶融封孔材により溶融封孔
される排気口を設けてなる金属製真空保温容器におい
て、上記排気口が設けられる外容器部分をクラッド鋼で
形成するとともに、該クラッド鋼の外側を上記使用され
る溶融封孔材に対応したぬれ性の良い金属で形成してい
るので、上記金属メッキ層の場合同様、金属系ろう材等
の溶融封孔材とのぬれ性を良好にすることができ、封止
部の封孔材の接合強度を大きく向上させることができ
る。
【0027】また、最初から容器板材として形成されて
いるので、2次加工の手間が不要で、作業能率が良くな
る。
【0028】
【発明の効果】以上の結果、本願発明の金属製真空保温
容器の真空封止構造によると、例えばAl,Sn,Ni系ろ
う材等の金属系封孔材又はホウケイ酸鉛ガラス等のガラ
ス系封孔材などの低融点タイプのろう材による確実で信
頼性の高い真空封止方法の採用を可能にすることができ
る。その結果、また高温作業を要する従来の真空ブレー
ジング法による場合に比べて、より低温下での真空封止
作業が可能となり、容器母材の抗張力低下の度合も小さ
く、可及的に容器母材の厚さを薄くすることができ、製
品の軽量化およびコストダウンをも図ることができるよ
うになる。
【0029】
【実施例】
(実施例1)図1〜図5は、本願発明の実施例1に係る金
属製真空保温容器の真空封止構造を示している。
【0030】先ず図1は、同真空保温容器1の真空封止
前の容器倒立状態における全体構造を示しており、該保
温容器1は、例えばステンレス鋼等その表面に不働態皮
膜が形成された金属製の内容器1Aと外容器1Bを口部
2側で相互に接合して二重構造とし、それらの間に形成
される空隙部3を真空封止することによって内容器1A
内の真空保温が可能な断熱構造体を実現するようになっ
ている。
【0031】内容器1Aは、図示のように有底の瓶形形
状をなし、上記口部2側で上記外容器1Bにより支持さ
れている。また、外容器1Bは、その所定寸法縮径され
た底部4側開口縁部5内に対し、外容器の一部を構成す
る同じくステンレス鋼等の不働態皮膜を有する金属より
なる底板6を一体的に嵌合(内嵌)溶着した有底筒状体に
形成されている。
【0032】底板6は、その周縁部6aを鉤状に折り曲
げて上記外容器1Bの開口縁部5との接合部を形成して
いるとともに同周縁部6aの内側にリング状の凸条部(リ
ブ)7を形成している。
【0033】そして、上記底板6の中央部には、図示の
ように内容器1A側に所定の深さだけ凹まされた平面円
形状の排気口部8が設けられている。該排気口部8は、
その内側に上記図1の容器倒立状態において各々上端側
から底部にかけて所定の傾斜角で次第に下降するテーパ
面を有した断面摺鉢形状となっており、その小径の底部
9の中央には排気口10が形成されている。そして、該
排気口10は、上記内容器1Aと外容器1Bとの間の空
隙3内に連通している。
【0034】一方、上記排気口部8の内面部には、その
全面に亘って酸化層9が形成されており、該酸化層9に
よって上記ステンレス鋼等の金属よりなる底板6表面上
の不働態皮膜層が増大されて酸素量の豊富な不働態面を
実現している。
【0035】このように構成された真空封止前の金属製
真空保温容器1底部の上記排気口部8には、例えば図2
及び図3に示すように、真空封止用の例えば円柱体形状
の固形ろう材(固形封孔材)11が嵌合設置される。
【0036】該固形ろう材11には、例えばホウケイ酸
鉛ガラス等の低融点(400〜600℃)のガラス系ろう
材が使用される。
【0037】そして、以上のようにして固形ろう材11
が嵌合設置された金属製真空保温容器1は、さらに真空
炉内に移送されて、先ず上記固形ろう材11の融点より
も低い所定温度で脱気(ベーキング工程)された後、さら
に上記固形ろう材11の融点よりも高い温度で加熱され
る(封止工程)。その結果、上記固形ろう材11が溶けて
下方に向けて流れ出し、上記排気口部8内周のテーパ面
によりガイドされて、その底部8a中央に形成された排
気口10内に到達して停留し、該状態で冷却硬化される
ことにより図4に示すように同排気口10を十分な接合
強度で確実に充填封止することになる。
【0038】すなわち、本実施例の金属製真空保温容器
の真空封止構造では、底板6の中央部に下降するテーパ
面を備えた排気口部8を形成するとともに該排気口部8
のテーパ面が下降合流した小径の底部8a中央に排気口
10を形成し、上記テーパ面によって溶融ろう材11を
確実に排気口10部分に導くようになっている。従っ
て、上記所定深さの排気口部8内に上述のような低融点
金属材料よりなる円柱体形状の固形ろう材11を嵌合す
るだけで容易に、低融点下での真空封止を行うことがで
きる。
【0039】また、その結果、従来の真空ブレージング
法による場合に比べて、より低温下での真空封止作業が
可能となり、容器母材の抗張力低下の度合も小さく、可
及的に容器母材の厚さを薄くすることができ、製品の軽
量化およびコストダウンを図ることができるようにな
る。
【0040】しかも、上記のように排気口部8の内面部
は、酸化層9によって酸素を有する不働態皮膜を十分に
増大させているので、酸素結合する上記低融点のガラス
系ろう材11との結合性が良く、接合強度が高いので、
封止機能の信頼性が向上する。
【0041】さらに、上記の場合、ろう材11は円柱体
状の固形物であり、溶融前の状態では十分な深さの排気
口部8中に確実に嵌合されているので、仮に真空炉内へ
の移送中にキャリアフレームが揺れたとしても、落下す
るような恐れはなく、保持状態が確実になる。
【0042】なお、上記酸化層9は、上述のように排気
口部8の内面部だけでなく、例えば図5のように排気口
10を通して、その裏面側にも連続して形成すると、溶
融ろう材11の回り込みが良くなって、より接合強度が
向上する。
【0043】(実施例2)次に図6および図7は、本願
発明の実施例2に係る金属製真空保温容器の真空封止構
造を示している。
【0044】該実施例においても、当該保温容器1自体
は、例えば図1のようにステンレス鋼等その表面に不働
態皮膜が形成された金属製の内容器1Aと外容器1Bを
口部2側で相互に接合して二重構造とし、それらの間に
形成される空隙部3を真空封止することによって内容器
1A内の真空保温が可能な断熱構造体を実現するように
なっている。
【0045】そして、内容器1Aは、図示のように有底
の瓶形形状をなし、上記口部2側で上記外容器1Bによ
り支持されている。また、外容器1Bは、その所定寸法
縮径された底部4側開口縁部5内に対し、外容器の一部
を構成する同じくステンレス鋼等の不働態皮膜を有する
金属よりなる底板6を一体的に嵌合(内嵌)溶着した有
底筒状体に形成されている。
【0046】底板6は、その周縁部6aを鉤状に折り曲
げて上記外容器1Bの開口縁部5との接合部を形成して
いるとともに同周縁部6aの内側にリング状の凸条部(リ
ブ)7を形成している。
【0047】一方、上記底板6の中央部には、図6に示
すように実施例1とは異って内容器1A側に各々所定の
深さだけ2段階に凹まされた平面円形状の排気口部8が
設けられている。すなわち、該排気口部8は、上記底板
6中央のフラットな底面に図に示すように内容器1A側
に先ず所定の深さだけ一段階筒状に凹せることによって
固形ろう材嵌合用の等径の凹部21を形成するととも
に、さらにその底部21aを内容器1A側に2段階凹ま
せることによって漏斗部8bを形成している。該漏斗部
8bは、上記図1の容器倒立状態において各々上端側か
ら底部にかけて所定の傾斜角で次第に下降するテーパ面
を有した断面摺鉢形状となっており、その小径の底部8
aの中央には排気口10が形成されている。該排気口1
0は、上記内容器1Aと外容器1Bとの間の空隙3内に
連通している。
【0048】そして、該排気口部8の上記漏斗部8b内
面部には、その内面部全体に、上記酸化層9に代えて当
該使用ろう材11に対応した金属メッキ層12を形成
し、該金属メッキ層12によって溶融ろう材11とのぬ
れ性の良い非不働態面を実現している。
【0049】このように構成された真空封止前の金属製
真空保温容器1底部の上記排気口部8の上方側凹部21
には、図に示すように、真空封止用の例えば円柱体形状
の固形ろう材(固形封孔材)11が嵌合設置される。そし
て、該固形ろう材11が、上記実施例1の場合と同様に
して真空炉内で脱気完了後に加熱溶融される。
【0050】該固形ろう材11には、例えばAl,Sn,N
i系ろう材等の低融点(400〜600℃)の金属系ろう
材が使用される。
【0051】該実施例の構成によれば、上記漏斗部8b
の内面部に対して使用する各種の金属系ろう材11に対
応した適切な金属のメッキを施すことにより、上記金属
系ろう材11とのぬれ性が特に良好となるので、排気口
封止部の封止機能、信頼性が更に向上する。
【0052】上記金属メッキ層12は、例えば使用する
上記固形ろう材11が、Al,Sn,Ni系等の金属ろう材
である場合には、銅メッキ層が適している。
【0053】そして、該金属メッキ層12は、また上記
図6のような排気口部8の内面部側だけでなく、例えば
図7のように排気口10を通して、その裏面部(底板内
面部)側にも連続させるようにすると、同排気口10を
通って同排気口部8の裏面側半径方向にも溶融ろう材1
1が所定量適切かつスムーズに回り込んで導入されるよ
うになるので、接合強度がさらに大きく向上する。
【0054】(実施例3)次に、図8は、本願発明の実
施例3に係る金属製真空封止容器の真空封止構造を示し
ている。
【0055】該実施例では、図示のように上記実施例1
と同様の断面構造の排気口部8の内面部全体に、上記実
施例1の酸化層9、又は上記実施例2の金属メッキ層1
2に代えて、上記ろう材11との接着面積が拡大され、
かつ接合時の係合力が高くなるサンドブラスト層13よ
りなる凹凸加工面を形成し、該サンドブラスト層13の
多数の凹凸面によってろう材11の接着面積を拡大する
とともに接合時の係合力を大きくし、上記実施例1およ
び実施例2と同様の溶融ろう材11との高い接合強度を
実現するようにしたものである。
【0056】該実施例の構成によれば、サンドブラスト
層13の凹凸面によって冷却硬化後のろう材11との機
械的な接着状態が良好となるので、接合強度が増大し、
排気口封止部の封止機能、信頼性が十分に向上する。そ
して、該構成の場合、金属系ろう材およびガラス系ろう
材の両方に採用できる。
【0057】(実施例4)次に、図9は、本願発明の実
施例4に係る金属製真空保温容器の真空封止構造を示し
ている。
【0058】該実施例では、図示のように上記実施例1
と同様の断面構造の排気口部8の内面部全体に、機械加
工面である上記実施例3のサンドブラスト層13に代え
て化学加工面であるエッチング層14を形成し、該エッ
チング層14によって実施例3と同様のろう材11との
接着面積が広く、接合時の係合力が大きい凹凸加工面を
実現したものである。該エッチング層の形成は、例えば
シュウ酸、塩酸、王水等を使用してなされる。
【0059】該実施例の構成によっても、やはり上記実
施例3同様に金属系、ガラス系両溶融ろう材11との接
合強度が十分に高くなるので、排気口封止部の封止機
能、信頼性が十分に向上する。
【0060】(実施例5)図10は、本願発明の実施例5
に係る金属製真空保温容器の真空封止構造を示してい
る。
【0061】本実施例においても、対象となる真空保温
容器1自体は、例えば図1のようにステンレス等金属製
の内容器1Aと外容器1Bを口部2側で相互に接合して
二重構造とし、それらの間に形成される空隙部3を真空
封止することによって内容器1A内の真空保温が可能な
断熱構造体を実現するようになっている。
【0062】そして、内容器1Aは、同じく図1のよう
に有底の瓶形形状をなし、上記口部2側で上記外容器1
Bにより支持されている。また、外容器1Bは、その所
定寸法縮径された底部4側開口縁部5内に対し、底板6
を一体的に嵌合(内嵌)した有底筒状体に形成されてい
る。
【0063】しかし、本実施例の場合、上記底板6は、
図10に示すように、上記外容器1Bと同様のステンレ
ス鋼板61の外側に例えば金属系ろう材とのぬれ性の良
い銅板62を張り合わせたクラッド鋼板によって形成さ
れている。
【0064】そして、該クラッド鋼板よりなる底板6の
中央部には、図10に示すように内容器1A側に所定の
深さだけ断面摺鉢形状に凹まされた上記実施例1と全く
同様の排気口部8が設けられている。
【0065】したがって、該実施例の構成によれば、上
記排気口部10の内面部は銅板面となり、実施例2の場
合と同様に金属系の溶融ろう材11とのぬれ性が良好と
なるので、排気口封止部の封止機能、信頼性が同様に向
上する。
【0066】上記銅板62は、例えば使用する上記固形
ろう材11が、Al又はSn,Ni系の金属ろう材である場
合に、適している。
【0067】そして、上記クラッド鋼板の上記銅板62
は、何ら銅板に限定されるものではなく、使用するろう
材11の種類に対応して適切なものが選ばれる。
【0068】(実施例6)図11は、本願発明の実施例6
に係る金属製真空保温容器の真空封止構造を示してい
る。
【0069】本実施例においても、対象となる真空保温
容器1自体は、例えば図1のようにステンレス等金属製
の内容器1Aと外容器1Bを口部2側で相互に接合して
二重構造とし、それらの間に形成される空隙部3を真空
封止することによって内容器1A内の真空保温が可能な
断熱構造体を実現するようになっている。
【0070】そして、内容器1Aは、同図のように有底
の瓶形形状をなし、上記口部2側で上記外容器1Bによ
り支持されている。また、外容器1Bは、その所定寸法
縮径された底部4側開口縁部5内に対し、底板6を一体
的に嵌合(内嵌)した有底筒状体に形成されている。
【0071】一方、上記底板6は、その周縁部6aを鉤
状に折り曲げることによって上記外容器1の開口縁部5
との接合部を形成しているとともに該周縁部6aより所
定距離半径方向内側には断面逆U字状に外側に膨出した
衝撃吸収用のリブ7が形成されている。
【0072】そして、上記底板6の上記リブ7内側の中
央部には、略上記実施例2と同様の排気口部20が設け
られている。すなわち該排気口部20は、上記底板6中
央のフラットな底面を図に示すように内容器1A側に先
ず所定の深さだけ一段階筒状に凹せることによって等径
の凹部21を形成するとともに、さらにその底部21a
を内容器1A側に断面逆台形状に凹ませることによって
容器倒立状態において上端から底部22a部分にかけて
所定の傾斜角で次第に口径が小さくなるように下降する
テーパ面を有した漏斗部22を形成している。そして、
当該漏斗部22の小径の底部22aの中央に排気口10
が形成されている。上記漏斗部22上端の開口径は、上
記上方側等径の凹部22の内径よりも小さく形成されて
いる。そして、上記漏斗部22内面には上記実施例2と
同様の使用ろう材11に対応した金属メッキ層9が形成
されている。また、上記排気口10は、上記金属製真空
保温容器1の内容器1Aと外容器1Bとの間の空隙3内
に連通している。
【0073】このように構成された真空封止前の金属製
真空保温容器1の上記排気口部20の凹部21には、例
えばその底部21a両端間(直径線部分)に位置して例え
ば上記実施例1と同様の真空封止用の円柱体状(棒状)の
固形ろう材11が嵌合設置される。
【0074】そして、以上のようにして固形ろう材11
が嵌合設置された金属製真空保温容器1は、さらに真空
炉内に移送されて、先ず排気口10を通し上記固形ろう
材11の融点よりも低い所定温度で脱気(ベーキング工
程)された後、さらに上記固形ろう材11の融点よりも
高い温度で加熱される(封止工程)。その結果、上記円柱
体状の固形ろう材11が溶けて下方に向けて流れ出し、
上記漏斗部22のテーパ面によりガイドされて底部22
a中央に形成された排気口10に達して貯留され、図1
1に仮想線で示すように当該排気口10を確実に充填封
止する。
【0075】そして、その後、冷却硬化されて真空封止
が完了する。
【0076】以上の構成によれば、上記実施例2の場合
と同様に排気口部20内面に金属メッキ層9よりなる非
不働態面が形成されていることにより、金属系ろう材1
1の接合強度が高くなると同時に、当該排気口部20の
外周側底板周縁部6aとの間に衝撃吸収用の断面U字状
のリブ7が設けられていることから、例えば容器落下時
に外容器底部4に作用する衝撃力は当該リブ7の曲成部
分でダンピングされ、排気口部20部分に対しては大き
く作用しなくなる。従って、排気口10部分の硬化ろう
材11の剥離も生じにくくなり、封止部の耐久性、信頼
性が大きく向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本願発明の実施例1に係る金属製真空
保温容器全体の断面図である。
【図2】図2は、同底部の平面図である。
【図3】図3は、同底部の排気口部の断面図である。
【図4】図4は、同排気口部の真空封止状態の断面図で
ある。
【図5】図5は、同排気口部の変形例の断面図である。
【図6】図6は、本願発明の実施例2に係る金属製真空
保温容器底部の排気口部の拡大断面図である。
【図7】図7は、同金属製真空保温容器底部の排気口部
の変形例の拡大断面図である。
【図8】図8は、本願発明の実施例3に係る金属製真空
保温容器底部の排気口部の拡大断面図である。
【図9】図9は、本願発明の実施例4に係る金属製真空
保温容器底部の排気口部の拡大断面図である。
【図10】図10は、本願発明の実施例5に係る金属製
真空保温容器底部の拡大断面図である。
【図11】図11は、本願発明の実施例6に係る金属製
真空保温容器底部の拡大断面図である。
【図12】図12は、第1の従来例による金属製真空保
温容器の排気構造を示す断面図である。
【図13】図13は、第2の従来例による金属製真空保
温容器の排気構造を示す断面図である。
【図14】図14は、第3の従来例に係る金属製真空保
温容器の排気構造を示す断面図である。
【図15】図15は、同排気口部の平面図である。
【図16】図16は、同排気口部の断面図である。
【図17】図17は、第4の従来例による金属製真空保
温容器の排気構造を示す断面図である。
【図18】図18は、同金属製真空保温容器の底部の排
気口部の構成を示す平面図である。
【図19】図19は、同排気口部の断面図である。
【図20】図20は、第5の従来例による金属製真空保
温容器の排気構造を示す断面図である。
【図21】図21は、同金属製真空保温容器底部の排気
口部の構成を示す平面図である。
【図22】図22は、同排気口部の断面図である。
【符号の説明】
1は金属製真空保温容器、2は口部、3は空隙、4は外
容器底部、6は底板、8,20は排気口部、9は酸化
層、10は排気口、11は固形ろう材、12は金属メッ
キ層、13はサンドブラスト層、14はエッチング層で
ある。
【手続補正書】
【提出日】平成7年7月27日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正内容】
【0008】ところで、このような従来の排気構造の場
合、上記排気口60cの口径を十分に大きくすることが
できるので、排気時のトータルコンダクタンスを高くす
ることができる反面、別に封止板61が必要となる問題
がある。また封止板61の排気口60cに対する位置決
めや排気口60cの開口縁部に対するろう材の均一配置
が困難なことに加え、排気口60c自体の口径が大きく
融着面積が広いだけ、ろう材による融着精度の確保が難
しくなることなどから、封止精度の信頼性にも問題があ
る。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属製の内容器と外容器との二重構造と
    し、外容器の所定位置に溶融封孔材により溶融封孔され
    る排気口を設けてなる金属製真空保温容器において、上
    記排気口の口縁部に、溶融封孔材との接合面をなす非不
    働態面を形成したことを特徴とする金属製真空保温容器
    の真空封止構造。
  2. 【請求項2】 非不働態面が、使用される溶融封孔材に
    対応したぬれ性の良い金属材料よりなるメッキ層により
    形成されていることを特徴とする請求項1記載の金属製
    真空保温容器の真空封止構造。
  3. 【請求項3】 金属製の内容器と外容器との二重構造と
    し、外容器の所定位置に溶融封孔材により溶融封孔され
    る排気口を設けてなる金属製真空保温容器において、上
    記排気口の口縁部に溶融封孔材との接合面をなす凹凸加
    工面を形成したことを特徴とする金属製真空保温容器の
    真空封止構造。
  4. 【請求項4】 凹凸加工面が、サンドブラスト層により
    形成されていることを特徴とする請求項3記載の金属製
    真空保温容器の真空封止構造。
  5. 【請求項5】 凹凸加工面が、エッチング層により形成
    されていることを特徴とする請求項3記載の金属製真空
    保温容器の真空封止構造。
  6. 【請求項6】 金属製の内容器と外容器との二重構造と
    し、外容器の所定位置に溶融封孔材により溶融封孔され
    る排気口を設けてなる金属製真空保温容器において、上
    記排気口が設けられる外容器部分をクラッド鋼で形成す
    るとともに、該クラッド鋼の外側を上記使用される溶融
    封孔材に対応したぬれ性の良い金属で形成したことを特
    徴とする金属製真空保温容器の真空封止構造。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN109431194A (zh) * 2018-10-19 2019-03-08 浙江飞剑工贸有限公司 一种双口真空保温杯的制造工艺

Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS61106119A (ja) * 1984-10-29 1986-05-24 象印マホービン株式会社 ステンレス鋼製真空二重容器の製造方法

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