JPH0731301U - 電気マルノコにおける騒音防止構造 - Google Patents

電気マルノコにおける騒音防止構造

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JPH0731301U
JPH0731301U JP6162693U JP6162693U JPH0731301U JP H0731301 U JPH0731301 U JP H0731301U JP 6162693 U JP6162693 U JP 6162693U JP 6162693 U JP6162693 U JP 6162693U JP H0731301 U JPH0731301 U JP H0731301U
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 モータ冷却用のファンにより発生した風がモ
ータハウジングの側部を経て直接外部に排出されると、
風切り音等が発生してうるさく感じる。そこで、ファン
により発生した風を外部に排気する際の騒音を低減し
て、電気マルノコの静粛性を高め、ひいてはその使用感
を改善する。 【構成】 駆動モータの出力軸76aに、該駆動モータ
冷却用のファン73が付設された電気マルノコにおい
て、前記ファン73の風下側となる通風方向前方を閉塞
する壁部には複数のスリットを形成し、このスリット7
1cを経て前記ファン73により発生した風がブレード
ケース71内に吹き出される構成とする。

Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、携帯用の電気マルノコあるいは卓上型のマルノコ盤に付設される電 気マルノコ等の電気マルノコにおける騒音防止構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、電気マルノコの駆動モータには冷却のファンが付設されており、こ のファンは駆動モータの出力軸に取り付けられ、駆動モータの起動・停止に伴っ て回転・停止する。このファンが回転すると、モータハウジングの後面に設けら れた吸気口を経てモータハウジング内に冷却風が吸入され、この冷却風がアーマ チュアやフィールド等を冷却しつつモータハウジングの前方に向けて流れること により駆動モータの冷却がなされる。そして、通常駆動モータのハウジングの側 部には吹き出し口が設けられており、この吹き出し口を経て駆動モータを冷却し た風が外部へ吹き出される。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
このように、従来はモータハウジングの側部に、ファンによりモータハウジン グ内に吸入された冷却風の吹き出し口が設けられ、この吹き出し口を経て冷却風 を直接外部に排気するようになっていた。このため、冷却風が吹き出し口から排 気される時には風切り音が発生し、場合によっては笛を吹くことと同じ状態とな って非常に大きな風切り音が発生していた。このような騒音のため作業者は不快 な思いをしながら作業を行わなければならず、電気マルノコの使用感を著しく損 なっていた。
【0004】 本考案は上記従来の問題を解決するためになされたもので、電気マルノコの静 粛性を高めてその良好な使用感を達成できる騒音防止構造を提供することを目的 とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
このため請求項1記載の考案では、駆動モータの出力軸に、該駆動モータ冷却 用のファンが付設された電気マルノコにおいて、前記ファンの風下側となる通風 方向前方を閉塞する壁部には複数のスリットを形成し、このスリットを経て前記 ファンにより発生した風がブレードケース内に吹き出される構成としたことを特 徴とする騒音防止構造を案出した。
【0006】 また、請求項2記載の考案では、上記請求項1記載の構成に加えて、前記ファ ンにより発生した風の通風路には、前記ファンの回転方向と同じ方向に旋回しつ つ前記スリットに向かって下傾する傾斜部を設けた構成としたことを特徴とする 騒音防止構造を案出した。
【0007】 さらに、請求項3記載の考案では、請求項1または2記載の構成において、ス リットを区画形成する仕切り壁は、駆動モータの出力軸の軸線に対して平行に形 成したことを特徴とする騒音防止構造を案出した。
【0008】
【作用】
請求項1記載の構成によれば、ファンが回転することによりモータハウジング の後面に設けられた吸気口を経て冷却風がモータハウジング内に吸入される。吸 入された冷却風は駆動モータを冷却しつつモータハウジングの前方に流れる。こ うして前方に流れた冷却風は、ファンの前方を閉塞するブレードケースの仕切り 壁に形成されたスリットを経てブレードケース内に吹き出される。このスリット を経てブレードケース内に吹き出される時点において、風切り音はブレードケー ス内であるためこもってしまい、従って従来のように直接外部に吹き出す構成に 比して騒音は大幅に低減される。ブレードケース内に吹き出された風は、ここで 風力を弱められ、然る後外部に排気される。このように、吸入された冷却風はブ レードケース内に吹き出されるので、従来のようにモータハウジングの側部を経 て直接外部に吹き出すよう構成する必要はなく、しかも上記したようにブレード ケース内に吹き出される際の風切り音はこもってしまうことからマルノコの静粛 性は高められ、またその使用感が改善される。
【0009】 請求項2記載の構成によれば、スリットに至る冷却風の通風路には、ファンの 回転方向と同じ方向に旋回しつつスリットに向かって下傾する傾斜部が形成され ているため、冷却風はスリットに向かってその流れを阻害されることなくすなわ ち乱流を発生することなく誘導され、この点においてさらにマルノコの静粛性が 高められる。
【0010】 さらに、請求項3記載の構成によれば、スリットを区画形成する仕切り壁は駆 動モータの出力軸の軸心に対して平行に形成されているため、スリットにまで流 れてきた冷却風は、この仕切り壁に吹き当たってその流れに抵抗を受ける。この ため、通風路内の風圧は適度に高められ、この風圧によって冷却風がスリットを 経てブレードケース内にスムーズに吹き出される。このように、風圧により積極 的に風が吹き出されるため、通風路内において冷却風の乱流は低減され、これに よってもマルノコの静粛性が高められる。
【0011】
【実施例】
次に、本考案の実施例を図1〜図20に基づいて説明する。なお、通例に従い 、以下の説明においては特に断らない限り、切削方向に沿った方向を「前後方向 」といい、切削方向に対して左右を「左右方向」という。
【0012】 図1は、以下説明する本例の騒音防止構造が適用された電気マルノコの右側面 を示している。 図中12は当該マルノコのベースであり、このベース12にはブレードケース 71が、ピン44,34を中心にして当該マルノコの左右方向(図1において紙 面に直交する方向)傾動可能、かつピン41を中心にして当該マルノコの前後方 向に回動可能に支持されている。後述するようにこのブレードケース71を当該 マルノコの左右方向に傾動させることにより鋸刃56の傾斜角度を調整でき(鋸 刃56の切込み角度調整機構)、またブレードケース71を当該マルノコの前後 方向に回動させることにより鋸刃56の切込み深さを調整できる(鋸刃56の切 込み深さ調整機構)。
【0013】 ベース12には、鋸刃56およびこの鋸刃56の下半分の主として歯部をカバ ーするセーフティカバー50を突き出すための切欠き窓12cが形成されている 。
【0014】 また、このベース12の前部には、主として平行な切断を繰り返す際に用いら れる平行定規(図示せず)を当該マルノコの左右方向に沿って装備しておくため の定規装着部13が設けられている。この定規装着部13は、図3または図6〜 図9に示すようにベース12の前部上面において左右方向に沿って形成された溝 部13aと、この溝部13aの前後において溝部13a内に向けてねじ込み可能 に取付けられたつまみねじ13b,13b(図3では省略してある)とから構成 されている。この定規装着部13によれば、平行定規を溝部13a内に嵌め込ん で両つまみねじ13b,13bを締込んでおくことにより、この平行定規は所定 の位置に固定される。ここで、従来は、例えば実開平4−45701号公報等に 開示されているようにつまみねじが一か所にしか設けられていなかったので、定 規のガタつきは大きくなって使いづらいばかりでなく、正確な測定が困難である 問題があった。この点、本例の定規装着部13によれば、平行定規は一定の間隔 をおいて設けられた二箇所のつまみねじ13b,13bにより固定されるので、 ガタつきなく強固に固定しておくことができる。また、つまみねじ13b,13 bが溝部13aの左右両端寄りに設けられているので、いずれか一方のみのつま みねじ13bを用いることにより、従来のように一箇所に設けた構成に比して平 行定規をベース12の前後両方向へより大きく突き出した状態で固定できるよう になり、平行定規の計測可能な範囲が広がる。
【0015】 次に、ブレードケース71は、鋸刃56の背面側(当該マルノコの左方)にお いてそのほぼ上半分を覆うように半円状に形成されている。このブレードケース 71の右側には略円弧状のブレードケースカバー70が取り付けられ、このブレ ードケースカバー70およびブレードケース71によって鋸刃56の上半分の特 に歯部が左右両側方から覆われている。
【0016】 以下、このブレードケース71の支持構造について詳細に説明する。上記ベー ス12の切欠き窓12cの前後両側部、すなわち図1において、ベース12の前 端部寄りと後端部の上面には支持縁12a,12bが立ち上がり状に形成されて おり、前側の支持縁12aには前記ピン44を介してアンギュラプレート7が当 該マルノコの左右方向(図1において紙面に直交する方向)に回動可能に支持さ れている。
【0017】 このアンギュラプレート7は、図9に示すように円弧状の長溝孔7bと二股支 持部7aとを有している。長溝孔7bにはつまみねじ4が挿通され、このつまみ ねじ4はグリップ1にねじ込まれている。グリップ1は、当該マルノコを持ち運 ぶ際にあるいは作業中に当該マルノコを所定の経路に沿って移動させる際に作業 者が把持するための把持部として装備されたもので、ベース12の上面に立ち上 がり状に直接固定されている。上記構成によれば、つまみねじ4を緩めるとアン ギュラプレート7はピン44を中心にしてマルノコの左右方向に回動可能となり 、ひいては後述する支持縁12bとにより鋸刃56を切削方向に対して左右に傾 動させてその傾斜角度を調整できる。逆に、つまみねじ4を締め込むとアンギュ ラプレート4は回動不能に固定され、鋸刃56を一定の傾斜角度に固定できる。 図示するように長溝孔7bの側部には角度目盛り7fが表示されているとともに 、グリップ1には指針7gが設けられており、この指針7gが指し示す角度表示 によって鋸刃56の傾斜角度を正確に設定できるようになっている。
【0018】 次に、アンギュラプレート7の二股支持部7aには二股部をなす左右の支持縁 7d,7eが設けられており、両支持縁7d,7e間には、図3および図9によ く示されているようにブレードケース71の前下端部に形成された支持縁71i が挿入され、この三つの支持縁7d,7e,71i間にはピン41が跨がって挿 入されている。これにより、ブレードケース71はピン41を中心としてアンギ ュラプレート7に対し、マルノコの前後方向(図9において紙面に直交する方向 )に回動可能に支持されている。なお、ピン41の長さは、上記挿入状態におい て右側の支持縁7dの右側面から若干突き出るように設定されている。
【0019】 ここで、上記ピン41には平行ピンが用いられており、また図示するようにこ のピン41を挿入するために二股支持部7aの両支持縁7d,7eには同心の孔 7cが形成され、この孔7cは左側(図9において右側)の支持縁7eにおいて 有底に形成されている。このため、ブレードケース71をアンギュラプレート7 に組付ける際にはこのピン41は当該マルノコの右方(図9において左方)から のみ孔7cに挿入可能となっている。そして、このピン41を挿入した後、ブレ ードケースカバー70がビス70a〜70aによりブレードケース71に右方か ら重ね合わせ状に固定される。この際、ブレードケースカバー70の前下端部に 形成された張出し縁70bが、ピン41の突出し部端面に押し付けられる。これ により、ピン41は孔7cに挿入された後、ブレードケースカバー70を取付け るだけで、ボルトあるいはクリップ等の特別の手段を施すことなくその抜け止め がなされるようになっている。
【0020】 次に、図1に示すように後側の支持縁12bには、前記前側の支持縁12aの ピン44と同軸に配置されたピン34を介して、鋸刃56の切込み深さ調整機構 を構成するデプスガイド2が切削方向に対して左右に傾動可能に支持されている 。支持縁12bには円弧状の長溝孔12d(図20参照)およびピン34を支持 するための支持孔12fが形成され、デプスガイド2の、この支持縁12bに当 接される端部2eには孔2bおよびピン34を支持するための支持孔2dが形成 されている。この孔2bおよび上記長溝孔12dには、つまみねじ31のねじ部 31aが回り止めされた状態で挿通されている。これによれば、つまみねじ31 を締め込むとデプスガイド2は支持縁12bに対して固定される一方、つまみね じ31を緩めるとデプスガイド2はピン34を中心にして左右方向に傾動可能と なる。
【0021】 ここで、図20に示すように支持縁12bの、デプスガイド2の端部2eが当 接される内側面であって、長溝孔12dの周囲には、円錐形状部12eが形成さ れている。分図(a) ではこの円錐形状部12eを格子状のハッチングを付して示 した。この円錐形状部12eは、支持孔12fの中心を頂点とする円錐の内周面 の一部をなすもので、分図(b) に示すようにその下部から上部に至って下傾する 凹曲面に形成されている。
【0022】 一方、図19に示すようにデプスガイド2の端部2eの、上記支持縁12bが 当接される外側面であって、孔2bの周囲にも円錐形状部2cが形成されている 。この円錐形状部2cも分図(a) において格子状のハッチングを付して示されて いる。この円錐形状部2cは、支持孔2dの中心を頂点とする円錐の外周面の一 部をなすもので、分図(b) に示すようにその下部から上部に至って上傾する凸曲 面に形成されて、端部2eを上記支持縁12bに当接した状態において円錐形状 部12eに面当たりするように形成されている。
【0023】 このように支持縁12bと、この支持縁12bにピン34を介して支持される デプスガイド2の端部2eの対向面にはそれぞれ円錐形状部12e,2cが形成 され、両円錐形状部12e,2cが相互に面当たりした状態でデプスガイド2が 支持縁12bに支持されている。このため、デプスガイド2を傾動させると両円 錐形状部12e,2cは常に面当たりの状態で摺接され、しかも両円錐形状部1 2e,2cがピン34の中心を頂点とする同一の円錐の側面をなすものであるの で、デプスガイド2はピン34を中心にしてスムーズに傾動する。
【0024】 ここで、一般的にマルノコのベースはダイキャスト部品である場合が多く、こ のため上記支持縁12bに相当する部分には所定の抜き勾配を設定しておく必要 がある。ところが、この抜き勾配のために支持縁に支持されるデプスガイドが傾 いてしまうという問題があるため、これを解決するための手段として従来例えば 実開平4−76403号公報に開示されているように抜き勾配を相殺するための 突起を設けておく方法があった。しかしながら、この方法によると支持縁とデプ スガイドとが点当たりで支持されるため、デプスガイドがガタつき、また突起の 先端によって支持縁が損傷を受けるという問題があった。この点、本例の構成に よれば、上記したように支持縁12bの円錐形状部12eがその下部から先端部 に至って下傾して形成されていることで抜き勾配が設定されており、しかもデプ スガイド2が支持縁12bに支持された状態において両者の円錐形状部12e, 2cは面当たりの状態となる。
【0025】 このことから、ベース12をダイキャスト部品とした場合の抜き勾配を確保し た上でデプスガイド2をガタつきなく強固に支持することができ、しかもつまみ ねじ31による締め込み力は分散されるので支持縁12bあるいはデプスガイド 2の端部2eが損傷を受けることはなく、従って従来の点当たりの場合のような 問題はない。
【0026】 次に、上記デプスガイド2は、図8によく示されているように略L字形に形成 されており、その先端側はブレードケース71の裏側に回り込んでいる。この先 端側には図示するように長溝孔2aが形成されており、この長溝孔2aには固定 レバー3のシャフト部3aが挿通されている。
【0027】 すなわち、図3および図5に示すようにこの固定レバー3のシャフト部3aは 、前記ハンドル部74の下部に支持されたスリーブ81に挿通され、さらにその 先端は上記デプスガイド2の長溝孔2a、ブレードケース71に形成された孔7 1aおよび後述するライビングナイフホルダ29に形成された長溝孔29aに挿 通されている。このように各部を挿通されたシャフト部3aの先端にはフランジ 部3bと面取り部3cが形成されており、フランジ部3bはライビングナイフホ ルダ29に当接され、また面取り部3cはライビングナイフホルダ29の長溝孔 29a内に位置されている。このため、このシャフト部3aは図3において下方 (図5において右方)に抜け不能かつ回転不能に装着されている。一方、このシ ャフト部3aの後端部にはねじ部3dが形成されており、このねじ部3dに六角 ナット3eがねじ込まれ、この六角ナット3eに固定レバー3が取付けられてい る。
【0028】 固定レバー3と六角ナット3eとの固定にはUリング3fが用いられている。 すなわち、固定レバー3に設けられた六角孔3gに六角ナット3eが回転不能に 嵌め込まれ、然る後固定レバー3に形成された切込み溝3hおよび六角ナット3 eに形成された切込み溝3i内にUリング3fを差し込むようにして装着するこ とにより固定レバー3と六角ナット3eが相互に回転不能かつ抜け不能に固定さ れている。このため、このUリング3fを切込み溝3h,3i内から外すだけで 固定レバー3をシャフト部3aから取り外すことができる。すなわち、固定レバ ー3は、シャフト部3aに取付けられた状態においては、モータハウジング67 またはベース12に当接するため一定角度以上回転させることができず、このた め、固定レバー3をシャフト部3aから取り外すにあたり、六角ナット3eと一 体としては取り外すことができない。この点、固定レバー3と六角ナット3eは Uリング3fによって固定されているので、このUリング3fを切込み溝3h, 3i内から外すだけで固定レバー3をシャフト部3aから簡単に取り外すことが でき、逆に、六角ナット3eを固定レバー3の六角孔3g内に挿入した後このU リング3fを双方の切込み溝3h,3i内に差し込むようにして装着すれば固定 レバー3の装着は完了する。このことから、従来のように例えばリーフスプリン グあるいは固定ビス等を用いた場合に比して当該マルノコの構造を簡略化してそ の分解・組付け性を向上させることができる。
【0029】 このように、Uリング3fによって固定された六角ナット3eを介して固定レ バー3はシャフト部3aにねじ込まれている。このため、固定レバー3を回転さ せると、シャフト部3aは回転しないのでこの固定レバー3はシャフト部3aに 対してねじ込まれ、しかもシャフト部3aはフランジ部3bによって抜け不能で あるので、結果的にスリーブ81がデプスガイド2に押し付けられ、これにより デプスガイド2とブレードケース71が相互に固定され、またライビングナイフ ホルダ29も固定される。
【0030】 一方、固定レバー3を緩めるとシャフト部3aのフランジ部3bとスリーブ8 1との間隔が広がるのでデプスガイド2とブレードケース71との固定が解除さ れ、これによりブレードケース71は前記したようにピン41を中心にして当該 マルノコの前後方向に回動可能であり、これによれば鋸刃56のベース12の下 方への突出し寸法を変更することによりその切込み深さを調整できる。
【0031】 以上のようにしてベース12に支持されたブレードケース71の背面には、図 3と図4によく示されているように略円筒状の台座部71bが一体形成されてお り、この台座部71bにはモータハウジング67が取り付けられている。このモ ータハウジング67の側部には前記したD字型のハンドル部74が一体に形成さ れている。
【0032】 図4に示すようにモータハウジング67の内部には、アーマチュア76および フィールド66等を主体とする当該マルノコの駆動モータが構成されている。こ の駆動モータの出力軸76aすなわちアーマチュア76の軸部はベアリング76 b,76cによってモータハウジング67に回転自在に支持されている。なお、 前側のベアリング76bは、台座部71bの底部に形成されたホルダ部71fに 収容されているのであるが、図13に示すようにこのホルダ部71fには弾性ゴ ムを素材とするラバーピン71gが一部内周側にはみ出して装着されているため 、このラバーピン71gによってベアリング76bの抜け出しが防止されるよう になっている。
【0033】 図4に戻って、出力軸76aの前端寄りであって上記前側のベアリング76b とアーマチュア76の間には遠心式のファン73が取り付けられている。従って 、このファン73は駆動モータの起動とともに回転し、これにより回転速度に見 合った風量の風が、モーターハウジング67の後面に設けられた吸気口67aを 経てモーターハウジング67内に吸い込まれる。吸い込まれた風の経路を図にお いて矢印で示した。すなわち、モーターハウジング67内に吸い込まれた風は、 モーターハウジング67の後部から全部に至って流れ、その間においてアーマチ ュア76やフィールド66等を冷却する。なお、例示した遠心式のファン73の 他に軸流式のファンが装備された機種もあるが、主たる機能は同じである。
【0034】 次に、上記ファン73と駆動モータすなわちアーマチュア76との間に張り出 すようにしてモータハウジング67の内周側にはバッフルプレート64が取付け られている。このバッフルプレート64は略リング状をなしているため、出力軸 76aとの間には十分な隙間があり、この隙間を経て、上記モーターハウジング 67内に吸い込まれてその前部に至った風が絞り込まれ、然る後、この風はファ ン73の前方(図示左方)に吹き出される。
【0035】 上記バッフルプレート64は緩いすり鉢状をなしているため、絞り込まれた後 、乱流を発生することなく滑らかな流れにより前方へ吹き出される。こうしてフ ァン73の前方に吹き出された風は、台座部71bの底部に形成された複数のス リット71c〜71cを経てブレードケース71内に吹き込む。ここで、図13 に示すようにこのスリット71c〜71cおよび各スリット71cを形成する仕 切り壁71e〜71eは、底部71bの図示ほぼ上半周の範囲において、スピン ドル60の軸心を中心とした放射状に形成されている。また、各仕切り壁71e 〜71eは、駆動モータの出力軸76aにほぼ平行すなわち通風方向に対してほ ぼ直角に形成されている。
【0036】 さらに、台座部71bの底部には、図13においてスピンドル60の近傍から 反時計回りにスリット71c〜71cに向かって下る、滑らかな曲面形状の傾斜 部71dが形成されている。また、この傾斜部71dおよびスリット71c〜7 1cに沿った、台座部71bの内周壁面71hは、乱流の原因となるエッヂある いは段付き部のほぼない滑らかな周面とされている。この内周壁面71hと上記 傾斜部71dとからなる通風路に、上記バッフルプレート64によって絞り込ま れた後ファン73の前方に吹き出された風が流れ込むようになっている。
【0037】 ブレードケース71の内部には、図6または図7によく示されているように上 部周縁に沿って仕切り壁82aが形成されて集塵路82が設けられている。この 集塵路82の図示右端部がブレードケース71の内部に開口されて切削屑の流入 口82bとされ、左端部は閉塞されて終端部82cとされ、この終端部82cに 対応してブレードケースカバー70には、図1に示すように排出口83が設けら れている。この排出口83には、図示は省略したが集塵袋が取付けられるように なっている。このように形成された集塵路82によれば、図6において反時計回 り方向に回転する鋸刃56により発生した切削屑が、鋸刃56の排出力(遠心力 )およびこれにより発生する風によって流入口82bに向かって吹き付けられ、 然る後この流入口82bから集塵路82、排出口83を経て集塵袋に収容される 。ここで、上記仕切り壁82aは、スリット71c〜71cを経て吹き出された 風が集塵路82a内に吹き込まないようこの風を集塵路82内から分離する機能 を有しているため、スリット71c〜71cを経てブレードケース71内に風を 吹き出すことによって切削屑の排出効率に悪影響を及ぼすことはないようになっ ている。
【0038】 次に、図4に戻って駆動モータの動力伝達部について説明する。すなわち、駆 動モータの出力軸76aの先端部にはギヤ部76dが形成され、このギヤ部76 dは従動ギヤ59に噛み合わされている。この従動ギヤ59は、前記したスピン ドル60に固定され、このスピンドル60はベアリング61,57によって出力 軸76aと平行に配置されて回転自在に支持されている。後側(図示右側)のベ アリング61は、前記台座部71bの底部に支持され、前側(図示左側)のベア リング57は同じく台座部71bの底部に取付けられた、リング状をなすベアリ ングボックス49の内周側に支持されている。このように支持されたスピンドル 60の先端部はブレードケース71内に突き出され、この先端突出し部には、ボ ルト53によって固定されたアウタおよびインナの両フランジ54,55を介し て円盤状の鋸刃56が着脱可能に固定されている。
【0039】 上記スピンドル60の後端部(図示右端部)には、例えば鋸刃56を交換すべ く上記ボルト53を緩めたりあるいは締め付けたりする際の便宜を図るために、 このスピンドル60を回転不能にロックするためのスピンドルロック機構が構成 されている。このスピンドルロック機構によれば、別途所定の工具等を用意する ことなくその場で鋸刃56の交換作業を簡単に行うことができる。
【0040】 すなわち、図4、図13および図14に示すようにスピンドル60の後端部に は二面幅部60aが形成されており、この二面幅部60aに対して回転方向につ いて係脱する係止部63aを有するロックプレート63が、台座部71bとモー タハウジング67との接合部においてスライド可能に支持されている。
【0041】 図13によく示されているようにこのロックプレート63は、台座部71bの 周縁壁部に切込み形成された溝部63b,63b間に跨がった状態に挿入支持さ れ、その先端部(図示左端部)は台座部71bの側方に突き出されている。一方 、前記したバッフルプレート64の周縁には、図14および図15に示すように 上記両溝部63b,63bに対応して突起部64a,64aが突出し形成されて おり、この両突起部64a,64aがそれぞれ溝部63b,63b内に挿入され ている。これにより、ロックプレート63の溝部63b,63bからの脱落が防 止され、ひいてはこのロックプレート63がガタつきなくスムーズにスライドす るよう支持されている。従って、当該スピンドルロック機構の組付けにあたり、 台座部71bの両溝部63b,63bにロックプレート63を跨がって挿入し、 次に、突起部64a,64aが両溝部63b,63bに挿入される状態でバッフ ルプレート64を台座部71bに被せるようにして配置し、然る後、台座部71 bにモータハウジング67を固定することにより、上記ロックプレート63およ びバッフルプレート64が所定の状態に支持される。
【0042】 さて、このロックプレート63の中央部に上記した係止部63aが形成されて おり、この係止部63aはスピンドル60を挿通可能な径の円形孔63cと、こ の円形孔63cに連続して形成された係止溝63dからなる。係止溝63dの幅 は、スピンドル60の二面幅部60aの幅よりも大きく、スピンドル60の径よ りも小さくなっている。
【0043】 また、ロックプレート63の下面には、図14および図15によく示されてい るように係止片63eが下方へ突き出した状態に切起し形成されている。一方、 台座部71bの底部には長溝形状かつ段付きの凹部62aが形成されている。こ の凹部62a内には圧縮コイルバネ62がその底面から浮いた状態に収容され、 この圧縮コイルバネ62の図示左端面と凹部62aの左側壁との間に上記係止片 63eが挿入されている。
【0044】 以上のように構成されたロック機構によれば、スピンドル60のロックが次の ようにして行われる。すなわち、スピンドル60の二面幅部60aを図示するよ うにほぼ水平に位置させた状態において、作業者がロックプレート63の先端突 出し部を圧縮コイルバネ62に抗して押せば、ロックプレート63は図示右方に スライドされて二面幅部60aは相対的に円形孔63c内から係止溝63d内に 挿入され、これによりスピンドル60が回転不能にロックされる。
【0045】 一方、作業者がロックプレート63から指を離せば、このロックプレート63 は圧縮コイルバネ62によって図示左方に戻され、従って二面幅部60aは相対 的に係止溝63d内から脱して円形孔63c内に移動され、これによりスピンド ル60は再び回転自在の状態に復帰する。
【0046】 次に、スピンドル60の先端に取付けられて、ブレードケース71内において 回転自在に配置された鋸刃56の周囲には、前記したセーフティカバー50およ びライビングナイフ30が配置されている。
【0047】 セーフティカバー50は、図3または図4から明らかなように鋸刃56を表裏 両側からカバーすべく裏カバー50aと表カバー50bとから構成されている。 裏カバー50aは鋸刃56のほぼ下半分を裏側から覆うべく半円状をなし、以下 説明するようにしてブレードケース71の台座部71bに、スピンドル60を中 心にして当該マルノコの前後方向に回転可能に支持されている。一方、表カバー 50bは、鋸刃56のほぼ下半周の周縁を表側から覆うべく円弧状に形成されて いる。このように形成された裏カバー50aと表カバー50bとがその両端部に おいて一体に接合されて、両カバー50a,50b間に一定の隙間をあけて重ね 合わせてなるセーフティカバー50が構成されている。鋸刃56は、両カバー5 0a,50b間の隙間にその周縁部を挿入した状態に配置されている。
【0048】 一方、ライビングナイフ30は、切削直後における切削片間の隙間を適正に保 持して鋸刃56の切削抵抗を低減させ、また鋸刃56の通称キックバックを防止 する目的で装備されたもので、図1、図6および図7に示すように略三日月状の 湾曲形状をなし、鋸刃56とほぼ同じ板厚を有している。このライビングナイフ 30はライビングナイフホルダ29の先端に取り付けられ、このライビングナイ フホルダ29は以下説明するようにしてブレードケース71の台座部71bに、 上記セーフティカバー50と同様にスピンドル60を中心にして回転可能に支持 されている。このライビングナイフホルダ29を回転させることによりライビン グナイフ30は鋸刃56の外周に沿って移動可能となっている。
【0049】 さて、セーフティカバー50およびライビングナイフホルダ29は以下のよう にしてブレードケース71の台座部71bに支持されている。図3または図4に 示すように、ブレードケース71の台座部71bの内面側には、前記したベアリ ングボックス49が取付けられており、このベアリングボックス49はリング状 をなしてその内周側にはベアリング57が支持され、このベアリング57により スピンドル60が支持されていることは前記したとおりであるが、このベアリン グボックス49の外周側は、図3および図4に示すように先端側の小径部49a と中央の大径部49bとに段付き形成されるとともに、図6および図7に示すよ うに二平面49c,49cが平行に面取りされている。この面取りについてはさ らに後述する。
【0050】 これに対して、図3によく示されているようにセーフティカバー50の裏カバ ー50aの上部中央には、裏面側に若干突き出してボス部50cが設けられ、こ のボス部50cには上記ベアリングボックス49の小径部49aを挿入可能な径 の支持孔50dが形成されている。また、ライビングナイフホルダ29の基端部 には同じくベアリングボックス49の大径部49bを挿入可能な径の支持孔29 bが形成されている。なお、この支持孔29bは、図示するように互いに一定の 間隔をおいて平行な張出し縁29d,29dが内周側に張り出して形成されてい るが、これについてはさらに後述する。そして、先ずライビングナイフホルダ2 9がその支持孔29bを介して大径部49bに嵌め付けられ、次にセーフティカ バー50がその支持孔50dを介して小径部49aに嵌め付けられ、然る後、当 該ベアリングボックス49の先端面にベアリングリテーナ51をビス52,52 により固定することで、セーフティカバー50およびライビングナイフホルダ2 9がそれぞれ回転可能に支持されている。
【0051】 上記のように支持されたセーフティカバー50の上端部とブレードケース71 の上部(集塵路82の終端部82c近傍)との間には、図1、図6および図7に 示すように引張りコイルバネ27が引き掛けられている。このため、このセーフ ティカバー50は同図において反時計回り方向に付勢されており、この付勢力に 抗して時計回り方向(鋸刃56を露出する方向)に回動可能であり、この方向に 回動させる外力が除去されると引張りコイルバネ27によって反時計回り方向に 回転して鋸刃56を覆う状態に戻されるようになっている。
【0052】 また、ブレードケース71の内面下部には、セーフティカバー50の反時計回 り方向の回転を規制するためのストッパとして、円筒形に形成されたストッパゴ ム37が取付けられている。すなわち、ブレードケース71の内側面の下部には 、図11の分図(a) によく示されているようにストッパゴム37の内径よりもわ ずかに大きな外径の円柱形をなす円柱突起38が立設状に一体形成され、またこ の円柱突起38の外周には、上記円柱突起38と同心でかつストッパゴム37の 外径よりもわずかに小さな内径の円弧面を有する円弧突起39が一体に形成され ている。従って、両突起38,39間の間隔はストッパゴム37の肉厚よりもわ ずかに小さくなっている。
【0053】 これによればストッパゴム37は、図示するようにその内周側に円柱突起38 を挿入しつつこの円柱突起38と円弧突起39との間に当該ストッパゴム37の 一部を圧入することにより所定の位置に固定される。このようにして取付けられ たストッパゴム37によれば、セーフティカバー50は、図1または図6に示す ように鋸刃56の、ベース12の下方へ突き出た部分のほぼ全体を覆うこととな る位置で、それ以上の反時計回り方向への回転が阻止される。
【0054】 さらに、このセーフティカバー50の先端にはローラ47が取付けられており 、切削作業にあたってこのローラ47を被切削材に軽く押し付けるとこれに伴っ てセーフティカバー50が時計回り方向に回転して鋸刃56の下部が適度に露出 されて被切削材にあてがわれる。切削作業中、ローラ47は前記引張りコイルバ ネ27によって常時被切削材に押し付けられているため、鋸刃56の露出部分は 極力少なくされ、これにより切削作業の安全が図られるようになっている。また 、ローラ47は常時被切削材に押し付けられているので、鋸刃56の切込み深さ が増すにつれてセーフティカバー50は相対的に時計回り方向に回転され、従っ て鋸刃56の露出部分はスムーズに増大する。さらに、切削作業の進行に伴って マルノコはスミ線に沿って移動されるのであるが、この場合にもローラ47が被 切削材の上面を転動するため、マルノコを抵抗なくスムーズに移動できる。
【0055】 次に、上記セーフティカバー50と同様ベアリングボックス49に支持された ライビングナイフホルダ29の後端部には前記したようにライビングナイフ30 が取付けられている。すなわち、このライビングナイフホルダ29の先端部前面 には、図1、図6、図7、図17に示すように二つの円盤状の突起29c,29 cが、前記支持孔29bに形成された張出し縁29dの先端線に対して一定角度 を有する軸線上に所定の間隔をおいて固定されている。一方、ライビングナイフ 30の上部には、上記突起29cをほぼガタなく挿入可能な幅の長溝孔30aが 形成されている。
【0056】 これによれば、長溝孔30a内に突起29c,29cを挿入してライビングナ イフ30の上部をライビングナイフホルダ29の先端部に重ね合わせた後、ボル ト28を締込めばこのライビングナイフ30はライビングナイフホルダ29に固 定される。ここで、例えば実公昭62−34725号公報に開示されているよう に二本のボルトだけで固定した場合には、当該ボルトと長溝孔との間の隙間があ る程度大きくなってしまうため、結果的にライビングナイフのガタつきが大きく なり、ひいては鋸刃等に接触するおそれがある。この点、本例の取付け構造によ ればボルト28を一本締め付けるだけでライビングナイフ30は固定されるので 部品点数は減少し、またライビングナイフ30の取付け作業が簡単になる。しか も長溝孔30a内には二つの突起29c,29cがほぼ隙間のない状態に挿入さ れるため、このライビングナイフ30をライビングナイフホルダ29に対して位 置決めしてガタつきのない状態に固定しておくことができる。
【0057】 また、ライビングナイフ30の中央には前記した長溝孔29aが形成されてお り、この長溝孔29aには固定レバー3のシャフト部3aが挿通され、かつこの 長溝孔29aの側縁にはシャフト部3aのフランジ部3bが当接されて、このシ ャフト部3aの抜け止めがなされている。この点は前記したとおりである。
【0058】 次に、このライビングナイフホルダ29の支持構造について説明する。このラ イビングナイフホルダ29は、ブレードケース17のベース12に対する回動に 連動して回転するように支持されている。すなわち、上述したようにこのライビ ングナイフホルダ29の基端部には支持孔29bが形成され、この支持孔29b を介してライビングナイフホルダ29がベアリングボックス49の大径部49b に回転可能に支持されているのであるが、これとは別にこのライビングナイフホ ルダ29と前記したアンギュラプレート7との間には、図6および図7に示すよ うにリンクアーム40が装着されている。
【0059】 このリンクアーム40の先端部にはピン40aが立設状に固定されており、こ のピン40aはライビングナイフホルダ29の基端部の下部に設けられた結合孔 29eに回転可能に挿入され、これによりリンクアーム40の先端部がライビン グナイフホルダ29の基端部にピン結合されている。一方、リンクアーム40の 後端部はアンギュラプレート7の二股支持部7aの下部にピン40bを介して回 転可能に結合されている。なお、図4および図18に示すようにこのリンクアー ム40の先端の一部は、ライビングナイフホルダ29の張出し縁29dとともに 後述する円弧溝部49d内に挿入されている。この点についてはさらに詳述する 。
【0060】 このようにライビングナイフホルダ29と、ブレードケース71が支持される アンギュラプレート7との間にリンクアーム40が装着されていることにより、 前記したように鋸刃56の切込み深さを調整すべくブレードケース71をピン4 1を中心にして図6から図7に示すように図示上方に回動させると、当然のこと ながらライビングナイフホルダ29、鋸刃56およびセーフティカバー50の回 転中心(すなわち、スピンドル60)がピン41を中心とする円周上を上方へ円 弧移動するので、鋸刃56およびセーフティカバー50はブレードケースカバー 71と一体となって上方へ移動するのであるが、ライビングナイフホルダ29は その回転中心(すなわちスピンドル60)は上方へ円弧移動する一方、リンクア ーム40の作用により相対的に下方へ回転される。すなわち、このライビングナ イフホルダ29は、その回転中心が上方へ移動しつつ鋸刃56に対して反時計回 り方向に回転される。
【0061】 このようなライビングナイフホルダ30の支持構造よれば、このライビングナ イフホルダ29の先端に取付けられたライビングナイフ30は、上方へ移動しつ つある鋸刃56の周囲に沿って反対に下方へ移動され、ひいては鋸刃56とライ ビングナイフ30との上下方向の相対位置関係を、常にライビングナイフ30の 先端より鋸刃56の下端部の方がわずかに下方へ突き出ている状態に維持でき、 これによりこのライビングナイフ30のくさび作用が、鋸刃56の位置(回転中 心としてのスピンドル60の位置)に関係なく常に良好に発揮される。
【0062】 なお、ブレードケース71の上方への移動は、図7に示すように前記デプスガ イド2の長溝孔2aの上端に前記固定レバー3のシャフト部3aが当接すること により規制される。一方、図6に示すように長溝孔2aの下端にシャフト部3a が当接することによりブレードケース71の下方への移動が規制される。ブレー ドケース71の上方または下方への移動が規制されると、鋸刃56、セーフティ カバー50およびライビングナイフホルダ29も当然にこの時点で上方または下 方へ移動不能となる。
【0063】 ところで、前記したようにライビングナイフホルダ29の支持孔29bには、 対向する二箇所に張出し縁29d,29dが互いに一定の間隔をおいて平行に内 周側に張出して形成されているのであるが、図6、図7および図17に示すよう にこの支持孔29bの内周側に挿入されるベアリングボックス49の大径部49 bには、所定深さの円弧溝部49d,49dが切込み形成されている。すなわち 、ベアリングボックス49の小径部49aおよび大径部49bは、前記したよう に二平面49c,49cが平行に面取りされているのであるが、図示するように この二平面49c,49cの中程からそれぞれ時計回り方向に一定の範囲で円弧 溝部49d,49dが形成されており、両円弧溝部49dの深さは、上記ライビ ングナイフホルダ29の張出し縁29dの張出し寸法にほぼ一致している。
【0064】 そして、図6に示すようにブレードケース71が下端位置にある状態にあって は、張出し縁29dの大部分がそれぞれ円弧溝部49d内に入り込んだ状態とな り、また、図7に示すようにブレードケース71が上端位置にある状態にあって は、張出し縁29dのごく僅かな部分が円弧溝部49d内に入り込んだ状態とな る。このようにブレードケース71を、図6に示す下端位置から図7に示す上端 位置にまで回動させる過程において、ライビングナイフホルダ29は相対的に下 方(反時計回り方向)に回動するのであり、また、その間において張出し縁29 d,29dは常に円弧溝部49d,49d内に入り込んだ状態となるようになっ ている。
【0065】 また、前記したようにライビングナイフホルダ29の基端部の下部すなわち図 示下側の張出し縁29dの近傍には結合孔29eが形成され、この結合孔29e にリンクアーム40のピン40aが挿入されてこのリンクアーム40の先端部が ライビングナイフホルダ29の基端部に結合され、しかもこのリンクアーム40 の先端の一部は図4および図18に示すように上記張出し縁29dと、円弧溝部 49dの図18において下側の側壁との間に挟まれた状態となっている。そして 、この挟まれた状態が、ブレードケース71を図6に示す下端位置から図7に示 す上端位置にまで回動させる過程において、常に維持されるようにリンクアーム 40の先端部の形状あるいは円弧溝部49dの側壁の形状が設定されている。
【0066】 このように、リンクアーム40の先端部およびライビングナイフホルダ29の 張出し縁29dがともに円弧溝部49d内に挿入された状態となるため、両部材 40,29の、ピン40aの軸方向への移動が規制され、これによりピン40a は結合孔29eから抜け不能であり、従ってリンクアーム40はピン結合が外れ ない状態でライビングナイフホルダ29に取付けられている。
【0067】 上記のように形成された大径部49bの円弧溝部49d,49dと支持孔29 bの張出し縁29d,29dによれば、ライビングナイフホルダ29をベアリン グボックス49から取り外すためには、大径部49bに対するライビングナイフ ホルダ29の周方向の相対位置を調整して、図17に示すように支持孔29bの 張出し縁29d,29dを大径部49bの平面49cにそれぞれ平行に一致させ 、これにより両張出し縁29d,29dが円弧溝部49d,49dから外れた状 態とする必要がある。以下、この状態における、ライビングナイフホルダ29の 大径部49bに対する周方向の位置を、ライビングナイフホルダ29の「組付け 位置」という。
【0068】 そして、上記したようにリンクアーム40の先端部は、張出し縁29dと円弧 溝部49dの側壁との間に挟まれているので、ライビングナイフホルダ29を「 組付け位置」に位置させた後ベアリングボックス49の大径部49bから取り外 した状態においてのみその先端側のピン40aによる結合を外す、すなわちピン 40aを結合孔29eが抜くことができるようになっている。
【0069】 このことから、ライビングナイフホルダ29をベアリングボックス49に組付 ける際に、ライビングナイフホルダ29を「組付け位置」とした状態において、 このライビングナイフホルダ29の結合孔29eにリンクアーム40のピン40 aを挿入してこのリンクアーム40をライビングナイフホルダ29にピン結合し 、かつ支持孔29b内に大径部49bを挿入した後、ブレードケース71を下方 へ回動させてライビングナイフホルダ29をその「組付け位置」からずらすと、 張出し縁29d,29dの一部が円弧溝部49d,49d内に入り込むこととな り、これによりライビングナイフホルダ29は軸方向の移動が規制されて大径部 49bから抜け不能に組付けられるとともに、リンクアーム40のピン40aは 結合孔29eから抜け不能となるためこのリンクアーム40のピン結合が外れ不 能に組付けられる。
【0070】 そして、この状態のままブレードケース71を下方に回動させることにより、 ライビングナイフホルダ29の長溝孔29a、ブレードケース71の孔71aお よびデプスガイド2の長溝孔2aを一致させればこの三つの孔29a,71a, 2aに固定レバー3のシャフト部3aを挿通可能となり、最早この時点では上記 したようにライビングナイフホルダ29はベアリングボックス49の大径部49 bから抜け不能であり、またリンクアーム40のピン結合も外れ不能に組付けら れた状態となっている。
【0071】 このように、当該マルノコの組付け状態、換言すれば固定レバー3のシャフト 部3aが、ライビングナイフホルダ29の長溝孔29a、ブレードケース71の 孔71aおよびデプスガイド2の長溝孔2a内に挿通された状態において、ブレ ードケース71は前記したようにシャフト部3aが長溝孔29a,2a内を移動 可能な範囲で上下に回動可能であるが、このブレードケース71の回動可能な範 囲においてはライビングナイフ29は「組付け位置」に至ことはなく、上記三つ の孔29a,71a,2aからシャフト部3aを引き抜いた状態でブレードケー ス71をさらに上方へ回動させてライビングナイフホルダ29を相対的に反時計 回り方向にさらに回動させた時にのみこのライビングナイフホルダ29が「組付 け位置」に位置することとなるよう、長溝孔29a,2aの長さ、孔71aの位 置あるいはベアリングボックス49の二平面49c,49cに対する張出し縁2 9d,29dの位置関係等が設定されている。
【0072】 以上のように構成さたれたライビングナイフホルダ29の支持構造によれば、 当該マルノコの組付け時においてライビングナイフホルダ29をベアリングボッ クス49に組付ける際には、前記したようにブレードケース71を図7に示す位 置よりもさらに上方に回動させて、ベアリングボックス49の大径部49bに対 してライビングナイフホルダ29を「組付け位置」に位置させ、かつこの「組付 け位置」でリンクアーム40の先端部をピン40aを介して結合しておく。そし て、この状態のまま支持孔29b内に大径部49bを挿入してライビングナイフ ホルダ29をベアリングボックス49に嵌め付け、次に、この状態のままブレー ドケース71を下方に回動させて前記三つの孔29a,71a,2aを一致させ 、然る後この三つの孔29a,71a,2aに固定レバー3のシャフト部3aを 前記した向きで挿入すればよい。
【0073】 すなわち、ブレードケース71を下方に回動させると、スピンドル60の中心 、ピン40a,40bの中心およびピン41の中心の合計4点による四節リンク 構造により、ライビングナイフホルダ29は相対的に上方すなわち時計回り方向 に回動する。すると、支持孔29bに形成された張出し縁29d,29dおよび リンクアーム40の先端部がベアリングボックス49の円弧溝部49d内に入り 込み、これによりライビングナイフホルダ29とリンクアーム40の、ピン40 aの軸方向(すなわちスピンドル60の軸方向)への移動が規制される。このた め、ライビングナイフホルダ29の結合孔29eに挿入されていたピン40aは 抜け出し不能となり、これによりリンクアーム40のライビングナイフホルダ2 0に対する組付けが完了する。
【0074】 以上のように構成された本例の電気マルノコによれば、次のような種々作用効 果を奏する。
【0075】 (1)ベース12の側部には定規装着部13が設けられており、この上記装着部 13は二箇所のつまみねじ13b,13bを備えている。このため、平行定規は 二箇所のつまみねじ13b,13bによって固定されるので、ガタつきなく強固 に固定しておくことができる。また、つまみねじ13b,13bが溝部13aの 前後両端寄りに設けられているので、いずれか一方のつまみねじ13bを用いる ことにより、従来のように一箇所に設けた構成に比して平行定規をベース12の 前後両方向へより大きく突き出した状態で固定できるようになり、平行定規の計 測可能な範囲が広がる。
【0076】 (2)グリップ1は作業者が把持するための把持部としての機能の他に、鋸刃5 6の切込み角度調整機構の固定部すなわちつまみねじ4を締込むための部材とし ての機能を併せ持つ構成であるので、従来別個の部材によりそれぞれの機能を達 成していた場合に比して部品点数の削減を図ることができる。
【0077】 (3)ブレードケース71をベース12に対してピン結合するためのピン41は 平行ピンであるので、スプリングピンを用いた場合のように抜き出す場合に特殊 な工具を要することなく簡単に抜き出すことができ、しかもブレードケースカバ ー70をブレードケース71に取付けるだけでこのピン41の孔7cからの抜け 止めがなされるので、この抜け止めのために別途ボルトあるいは止め輪等の手段 を要しない。このことから、当該ブレードケース71の取付け構造は簡略化され 、ひいては当該マルノコの部品点数の削減あるいはその組付け性、分解性の向上 が図られている。
【0078】 また、ブレードケース71は、二股支持部7aの前側の支持縁7dをブレード ケースカバー70の張出し縁70bとの間に挟み込んだ状態でアンギュラプレー ト7に支持される。このため、二股支持部7aの両支持縁7d,7e間の間隔を 、ブレードケース71の支持縁71iの幅より大きく形成しても、ブレードケー ス71の支持縁71iは二股支持部7aの前側の支持縁7dに押し付けられる。 このことから、両支持縁7d,7e間の間隔を比較的大きくしてブレードケース 71の支持縁71iを挿入する際の組付け性を確保した上で、なおかつブレード ケース71をガタつきなくアンギュラプレート7すなわちベース12に支持する ことができる。
【0079】 なお、本例ではベース12側に二股支持部7aを設けて平行ピン41を両端支 持する構成としたが、例えばベース12側の支持縁を上記二股支持部7aの前側 の支持縁7dのみとして平行ピン41を片持ち支持する構成とすることも可能で ある。この場合には、ブレードケース71の支持縁71iに形成される孔が有底 孔とされる。
【0080】 また、以上説明した実施例では、支持孔7cを有底孔に形成してピン41の先 端部が支持縁7dの側面から突き出されるように構成したが、これに限らず例え ば図10に示すように構成してもよい。すなわち、同図に示すように二股部7a ′の両支持縁7d,7e′には支持孔7c′を貫通して形成し、この支持孔7c ′にはツバ付きピン41′を挿入することとしてもよい。この構成によれば、ピ ン41′は、そのツバ部41aを支持縁7dの図示左側面に当接させた状態で支 持孔7c′に挿入され、かつ、このツバ部41aはブレードケースカバー70の 張出し縁70bによって上記当接状態に押し付けられる。従って、この構成によ っても、ブレードケースカバー70をブレードケース71に取付けることにより ピン41′の抜け止めがなされ、かつブレードケース71がアンギュラプレート 7すなわちベース12に対してガタつきなく支持することができる。なお、この 構成を上記片持ち支持する構成に適用することも可能である。
【0081】 (4)ベース12の支持縁12bと、この支持縁12bにピン34を介して支持 されるデプスガイド2の端部2eの対向面にはそれぞれ円錐形状部12e,2c が形成され、両円錐形状部12e,2cが相互に面当たりした状態でデプスガイ ド2が支持縁12bに支持されている。このため、当該ベース12をダイキャス ト部品とした場合の抜き勾配を確保した上で、デプスガイド2を左右方向に傾く ことなく正規の姿勢に支持できる。しかも、両円錐形状部12e,2cは相互に 面当たり状態に接触されるため、従来の点当たりの場合に発生する不具合は発生 せず、支持縁12bあるいはデプスガイド2の端部2eに損傷を受けることなく 、かつデプスガイド2をガタつきなく強固に固定できる。
【0082】 (5)鋸刃56の切込み深さ調整機構における固定レバー3と六角ナット3eは Uリング3fによって固定されているので、従来のように例えばリーフスプリン グあるいは固定ビス等を用いた場合に比して当該マルノコの構造を簡略化してそ の分解・組付け性を向上させることができる。
【0083】 (6)ファン73の回転によりモーターハウジング67内に吸い込まれた風はバ ッフルプレート64を経た後ファン73の前方に吹き出され、然る後スリット7 1c〜71cを経てブレードケース71内に吹き出される。ここで、従来、モー タ冷却用のファンによりモーターハウジング内に吸い込まれた風を排出するため の吹き出し口は、ファン73の放射方向に吹き出すため例えば台座部71bとモ ータハウジング67との合わせ面に設けられていたため、マルノコの側部から風 が直接吹き出されるようになっており、このため、風が吹き出し口から排気され る時には風切り音が発生し、場合によっては笛を吹くことと同じ状態となって非 常に大きな風切り音が発生し、作業者は不快な思いをしながら作業を行わなけれ ばならず、電気マルノコの使用感を著しく損なっていた。この点、上記したよう に本例の構成によれば、モーターの冷却に供せられた風はブレードケース71内 に吹き出される構成であるので、風切り音はブレードケース内でこもってしまい 、従って従来のように直接外部に吹き出す構成に比して騒音は大幅に低減され、 当該マルノコの静粛性を高めることができる。
【0084】 しかも、バッフルプレート64を経てファン73の前方に吹き出された風が流 入する台座部71bの底部には滑らかな曲面形状をなす傾斜部71dが形成され 、またこの台座部71bの内周壁面71hは滑らかな周面とされている。このた め、ファン73の前方に吹き出された風はなんら流れを阻害されることなく滑ら かに、また異音(風切り音)を発生することなくスリット71c〜71cに向か って導かれ、また、スリット71c〜71cにまで至った風は、通風方向に対し てほぼ直交して設けられた仕切り壁71e〜71eに吹き当たり、これにより通 風路内の風圧が適度に高められる。この通風路内の風圧が適度に高められること により吹き返された風は各スリット71cを経てスムーズにかつ分散してブレー ドケース71内に吹き出される。以上のことからも当該マルノコの静粛性を高め ることができる。
【0085】 また、ブレードケース71内に設けられた仕切り壁82aによって、スリット 71c〜71cを経てブレードケース71内に吹き出された風が集塵路82内に 吹き込まないようになっているので、ブレードケース71内に風を吹き出すこと によって切削屑の排出効率が低下するといった問題は発生しない。
【0086】 なお、携帯用の電気マルノコを例示して本例の騒音防止構造を説明したが、前 記したようにこの騒音防止構造は携帯用の電気マルノコに限らず、例えば卓上型 のマルノコ盤に付設される電気マルノコ等にも広く適用可能なものである。
【0087】 (7)スピンドル60のロック機構において、圧縮コイルバネ62は凹部62a 内に収容される構成であるので、圧縮コイルバネ62の組付けにあたって作業者 はこの圧縮コイルバネ62を凹部62a内に横たえて装入すれば足りる。すなわ ち、圧縮コイルバネ62を凹部62a内に横たえて装入した後、係止部材として のロックプレート63が、その係止片63eをこの圧縮コイルバネ62の前端と 凹部62aの前壁(図示左側の壁)との間に挿入して凹部62aを閉塞する状態 に支持されると、圧縮コイルバネ62は、ロックプレート63とこのロックプレ ート63を支持する側すなわち凹部62aが形成された台座部71bとの間に介 装され、これによりロックプレート63を一定方向に付勢する状態に組付けられ る。このことから、従来のようにコイルばねをビス止め等する必要はなくなるの で、その組付け作業をだれでも簡単に行えるようになる。
【0088】 また、ロックプレート63は、台座部71bの両溝部63b,63bに跨がっ て挿入した後に、突起部64a,64aを両溝部63b,63bに挿入する状態 でバッフルプレート64を台座部71bに被せるようにして配置し、然る後、台 座部71bにモータハウジング67を固定することにより装着が完了され、しか も以上によりバッフルプレート64も所定の状態に装着されるようになっている 。このため、このロックプレート63およびバッフルプレート64をそれぞれを 個々に支持または固定する必要はなく、この点でこの周辺の組付け性が大変よく なっている。
【0089】 なお、例示した実施例ではスピンドル60に二面幅部60aを設けてこのスピ ンドル60の回転を直接ロックする構成を例示したが、これに限らず例えば小型 機種の場合にあってはスピンドルがより小径となるため、強度の点からスピンド ルに二面幅部を形成することが適当でない場合があり、この場合には例えば図1 6に示すようにスピンドル(図示省略)よりも大径に設定される駆動モータの出 力軸176aに二面幅部160aを形成してこの出力軸176aの回転をロック することでスピンドルの回転を間接的にロックする構成としてもよい。
【0090】 すなわち、出力軸176aに取付けられるファン73と、出力軸176aを支 持するベアリング76bとの間にはロックプレート163を挿通可能な隙間を設 け、この隙間を利用してロックプレート163を台座部171bに形成した溝部 63b,63bを介してスライド可能に支持する。このロックプレート163の ほぼ中央には同様にして円形孔163cとこの円形孔163cに連続して形成さ れた係止溝163dからなる係止部163aを設ける。円形孔163cは、ベア リング76bの組付け手順の都合上、このベアリング76bを挿通可能な径で形 成され、係止溝163dは上記二面幅部160aの幅よりも大きく、出力軸17 6aの径よりも小さい幅で形成されている。一方、同図の分図(a) に示すように 上記ロックプレート163の下面には係止片163eを下方へ切起し形成し、台 座部171bの底部には前記と同様の凹部162aを設け、この凹部162a内 には圧縮コイルバネ162を収容して、この圧縮コイルバネ162の図示左端部 と凹部162aの左側壁との間に上記係止片163eが挿入された状態にロック プレート163が支持されている。
【0091】 このように構成されたロック機構によれば、出力軸176aの二面幅部160 aを図示するように係止溝163dに沿った向きにした後、ロックプレート16 3を図において右方へスライドさせれば、係止溝163d内にこの二面幅部16 0aが嵌まり込み、これにより出力軸176aは回転不能にロックされる。出力 軸176aが回転不能にロックされれば、この出力軸176aとは、ギヤ部76 dおよび従動ギヤ59を介して一体で回転するスピンドル60が回転不能にロッ クされる。
【0092】 なお、前記した同様の作用によりロックプレート163およびバッフルプレー ト64をそれぞれを個々に支持または固定する必要はなく、このロック機構周辺 の組付け性がよくなっている点は同様である。
【0093】 以上、本例では電気マルノコにおけるスピンドルのロック機構を例示して説明 したが、このロック機構は電気マルノコに限らず、例えばディスクグラインダー 等の他の回転工具にも広く適用可能である。
【0094】 (8)セーフティカバー50の反時計回り方向の回転を規制するためのストッパ としてのストッパゴム37は、その内周側に円柱突起38を挿入しつつ当該スト ッパゴム37の一部を円柱突起38と円弧突起39との間に圧入するだけで固定 される。この点、従来はビス止め等により固定していたため、ストッパゴムの取 付けにあたってドライバー等の工具を用いてねじ締め作業を行う必要があったの で手間がかかった。しかしながら、本例の取付け構造によればビス等が不要であ るので部品点数を少なくできるばかりでなく、両突起38,39間に圧入すれば 足りるのでその組付け性が向上し、また分解修理時においても簡単に取り外すこ とができる。
【0095】 ここで、図11の分図(b) に示すように上記円弧突起39は、内周面を凹凸形 状に形成した円弧突起139とすることも可能である。すなわち、この円弧突起 139の内周面にはその軸方向に沿った溝部139aを周方向適宜間隔をおいて 複数箇所に形成しておくのである。なお、円柱突起38およびストッパゴム37 は変更を要しない。
【0096】 この円弧突起139によれば、次のような作用効果を得ることができる。すな わち、内周面が凹凸のない周面である円弧突起39にあっては、ブレードケース 71を鋳物品あるいは樹脂成形品とした場合にこの円弧突起39の内周面には図 12の分図(a) に示すように一定の抜き勾配39aを設定する必要があるため、 その分ストッパゴム37に対する保持力が低下してこのストッパゴム37が抜け やすくなるという問題があるのに対して、内周面に溝部139a〜139aが形 成された円弧突起139によれば、同図の分図(b) に示すように溝部139aに 十分な抜き勾配を設定しておけばストッパゴム37との当たり面139b〜13 9bにはほとんど抜き勾配を設定する必要がなくなりほぼ直角に形成しておくこ とができる。このことから、ストッパゴム37の保持力を低下させることはなく 、しかも当たり面となる内周面の凹凸形状によりいわゆるスパイク作用を奏する ため一層強固にストッパゴム37を固定できる。
【0097】 また、円弧突起39の場合にはストッパゴム37に対する当たり面が大きいた めその抵抗によってストッパゴム37を圧入しにくいという問題があるが、円弧 突起139によれば当たり面139bの合計面積はより小さいので圧入しやすい という利点がある。なお、当たり面139bの面積が小さいため圧入しやすいの であるが、上記スパイク作用によりストッパゴム37は円弧突起39による場合 よりもより強固に固定される。
【0098】 さらに、上記二態様のゴムストッパ37の取付け構造によれば、ストッパゴム 37は円柱突起38と円弧突起39または139の双方で固定され、セーフティ カバー50の回転を阻止した際に受ける衝撃は、この両突起38,38または1 39で受けられる。このことから、従来のビス止めに比して衝撃に対するゴムス トッパ37の取付け強度が向上し、その耐久性を高めることができる。
【0099】 (9)ライビングナイフ30は、ボルト28を一本締め付けるだけで固定される ので部品点数を削減でき、またライビングナイフ30の取付け作業が簡単になる 。しかも長溝孔30a内には二つの突起29c,29cがほぼ隙間のない状態に 挿入されるため、このライビングナイフ30をライビングナイフホルダ29に対 して位置決めしてガタつきのない状態に固定しておくことができる。
【0100】 (10)ライビングナイフホルダ29をその「組付け位置」からずらすと、ライ ビングナイフホルダ29の張出し縁29dおよびリンクアーム40の先端部がと もに円弧溝部49d内に挿入されるため、両部材29,40の、ピン40aの軸 方向への移動が規制され、よってピン結合が外れ不能な状態でリンクアーム40 はライビングナイフホルダ29に組付けられる。
【0101】 このように、従来のような例えばリベットあるいは止め輪等の特別の手段を用 いることなくリンクアーム40は確実にピン結合されるので、リンクアーム40 の取付け作業は簡単になり、ひいては電気マルノコの組付け性の向上あるいは部 品点数の削減を図ることができる。
【0102】 また、固定レバー3のシャフト部3aを挿入すべく、ブレードケース71を下 方に回動して三つの孔29a,71a,2aを一致させた時点では、上記したよ うにリンクアーム40のピン結合が外れることはないので、作業者が片手でピン 結合の外れを阻止しつつもう一方の手で例えばシャフト部3aを挿入するといっ た二つの作業を並行して行う必要がなく、この点においても組付け性の向上が図 られている。
【0103】
【考案の効果】
請求項1記載の考案によれば、マルノコの側方へ風が吹き出されることはない ので、作業者に風が吹き付けられることはなく、従ってマルノコの静粛性が高め られ、またその使用感が改善される。
【0104】 請求項2記載の考案によれば、バッフルプレートによって前方に吹き返された 風は、ファンの回転方向と同じ方向に旋回しつつ傾斜部を下って流れるので、乱 流を発生することなく滑らかにスリットに流れ込み、これによってもマルノコの 静粛性をさらに高めることができる。
【0105】 請求項3記載の考案によれば、吹き返された風の通風路内が適度な圧力に高め られるため、吹き返された風は乱流を発生することなくブレードケース内に吹き 出され、これによってもマルノコの静粛性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の実施例であって、マルノコの一部破断
右側面図である。
【図2】マルノコの一部破断左側面図である。
【図3】マルノコの一部破断平面図である。
【図4】マルノコの縦断面図である。
【図5】図2のA−A線断面図である。
【図6】ブレードケースカバー、鋸刃およびセーフティ
カバーの一部を透視して示した、鋸刃の最大切込み時に
おけるマルノコの一部破断右側面図である。
【図7】ブレードケースカバー、鋸刃およびセーフティ
カバーの一部を透視して示した、鋸刃の最小切込み時に
おけるマルノコの一部破断右側面図である。
【図8】マルノコの一部破断左側面図であって、ハンド
ル部を一部透視して示してデプスガイドの全体を示した
図である。
【図9】マルノコの一部破断正面図である。
【図10】ブレードケースの支持構造の別例を示す正面
図である。
【図11】ストッパゴムの取付け構造を示し、分図(a)
は図6のB−B線断面図であり、分図(b) はその別例を
示す平面図である。
【図12】二態様の円弧突起を比較して示した図であ
り、分図(a) は内周面に凹凸のない円弧突起の縦断面図
であり、分図(b) は内周面に凹凸が形成された恵那子突
起の縦断面図である。
【図13】図4のC−C線断面図であって、ブレードケ
ースの台座部の底面およびスピンドルロック機構の平面
図である。
【図14】図13のD−D線断面図である。
【図15】図13のE−E線断面図である。
【図16】スピンドルロック機構の別例を示し、分図
(a) はその平面図であり、分図(b)は分図(a) のI−I
線断面図である。
【図17】ライビングナイフホルダの、ベアリングボッ
クスへの取付け状態を示す平面図である。
【図18】図6のF−F線断面図であって、ライビング
ナイフホルダおよびリンクアームの取付け状態を示す縦
断面図である。
【図19】ベースの左側の支持縁を示し、分図(a) はそ
の正面図、分図(b) は分図(a) のG−G線断面図であ
る。
【図20】デプスガイドの端部を示し、分図(a) はその
正面図、分図(b) は分図(a) のH−H線断面図である。
【符号の説明】
1…グリップ 2…デプスガイド 7…アンギュラプレート 12…ベース 13…定規装着部 29…ライビングナイフホルダ 37…ストッパゴム 38…円柱突起、39…円弧突起 40…リンクアーム 49…ベアリングボックス 50…セーフティカバー 56…鋸刃 60…スピンドル 63…ロックプレート 64…バッフルプレート 67…モータハウジング 71…ブレードケース 71b…台座部、71c…スリット、71d…傾斜部 71g…ラバーピン 73…ファン 76a…出力軸 82…集塵路 83…排出口
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 野田 有谷 愛知県安城市住吉町3丁目11番8号 株式 会社マキタ内

Claims (3)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 駆動モータの出力軸に、該駆動モータ冷
    却用のファンが付設された電気マルノコにおいて、前記
    ファンの風下側となる通風方向前方を閉塞する壁部には
    複数のスリットを形成し、このスリットを経て前記ファ
    ンにより発生した風がブレードケース内に吹き出される
    構成としたことを特徴とする騒音防止構造。
  2. 【請求項2】 前記ファンにより発生した風の通風路に
    は、前記ファンの回転方向と同じ方向に旋回しつつ前記
    スリットに向かって下傾する傾斜部を設けた構成とした
    ことを特徴とする請求項1記載の騒音防止構造。
  3. 【請求項3】 前記スリットを区画形成する仕切り壁
    は、駆動モータの出力軸の軸線に対して平行に形成した
    ことを特徴とする請求項1または2記載の騒音防止構
    造。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010082737A (ja) * 2008-09-30 2010-04-15 Hitachi Koki Co Ltd 卓上切断機

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