JPH07310757A - 多板クラッチ - Google Patents

多板クラッチ

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Publication number
JPH07310757A
JPH07310757A JP10250294A JP10250294A JPH07310757A JP H07310757 A JPH07310757 A JP H07310757A JP 10250294 A JP10250294 A JP 10250294A JP 10250294 A JP10250294 A JP 10250294A JP H07310757 A JPH07310757 A JP H07310757A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
tubular portion
positioning member
plate
mounting hole
rotating body
Prior art date
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Pending
Application number
JP10250294A
Other languages
English (en)
Inventor
Yuji Mizukami
裕司 水上
Norihisa Uenohara
範久 植之原
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Exedy Corp
Original Assignee
Daikin Manufacturing Co Ltd
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Publication date
Application filed by Daikin Manufacturing Co Ltd filed Critical Daikin Manufacturing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 多板クラッチにおいて、位置決め部材による
ハブフランジの慣性モーメント増加を抑える。 【構成】 乾式多板クラッチ1において、ハブフランジ
6は、トランスミッションの入力軸3に相対回転不能に
かつ軸方向に移動可能に係合するボス11と、ボス11
から外周側に広がるフランジ12と、フランジ12の外
周に設けられ、フライホイールリング5の内周側に配置
された第2筒状部13とを含んでいる。第2筒状部13
には半径方向に延びて第2筒状部13の内周面から外周
面に通じる取付け孔52が形成されている。ドライブプ
レート7とドリブンプレートとは、それぞれフライホイ
ールリング5とハブフランジ6の第2筒状部13とに軸
方向に所定範囲内で相対移動可能にかつ相対回転不能に
連結されている。位置決めピン51は取付け孔52に挿
入固定され、半径方向外側の端部がドリブンプレート8
の内周部に当接可能である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は多板クラッチに関し、特
に、出力側回転体に対して軸方向に移動可能に係合する
出力側部材を有する多板クラッチに関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、レース用自動車などに使用され
る多板クラッチは、フライホイールに連結される第1筒
状部と、第1筒状部の内周側に配置された第2筒状部を
有し、出力側シャフトに連結されるハブフランジと、前
記第1筒状部および第2筒状部にそれぞれ係合するドラ
イブプレートおよびドリブンプレートとを備えている。
ハブフランジは、内周部に出力側シャフトのスプライン
歯に係合するスプライン溝を有している。そのため、ハ
ブフランジは出力側シャフトに対して軸方向に移動自在
である。このハブフランジの軸方向の移動を規制するた
めに、次のような構造が採用される。
【0003】ハブフランジの第2筒状部は外周面に軸方
向に延びる外歯を有し、その外歯間の溝にドリブンプレ
ートの内周に設けた放射状の突起が係合している。従来
構造では、第2筒状部の複数個(例えば2個)の外歯
に、ハブフランジの外周面の接線方向に延びる位置決め
ピン取付孔が設けてあり、その孔にロールピンからなる
位置決めピンが装着されている。位置決めピンの前記係
合溝に露出した部分が、隣接する2個のドリブンプレー
トの突起の間に入り込んでいる。
【0004】ドリブンプレートは複数のドライブプレー
トに対して交互の位置関係で配置されている。両プレー
トは、フライホイールとプレッシャプレートとの間に挟
まれている。従って、両プレートは、軸方向において移
動範囲がフライホイールとプレッシャプレートで限定さ
れている。このように移動範囲の制限されたドリブンプ
レートに対し、ハブフランジが位置決めピンを介して軸
方向に係合し、ハブフランジの軸方向の位置が所定範囲
内に制限される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】一般に、レース用自動
車などに使用されるクラッチでは、動作特性を向上させ
るために、ハブフランジの慣性モーメントを小さくする
ことが望ましい。ところが、従来構造では、位置決めピ
ンがハブフランジの最も外周側の部分を接線方向に延び
ている。すなわち、位置決めピン全体がハブフランジの
最も外周側の部分に位置している。従って、位置決めピ
ンが、ハブフランジの慣性モーメントを増加させる要因
となっている。
【0006】本発明の目的は、多板クラッチにおいて、
位置決め部材による出力側部材の慣性モーメント増加を
抑えることにある。本発明の他の目的は、前記多板クラ
ッチにおいて、位置決め部材を取付け孔から外れにくく
することにある。
【0007】
【諜題を解決するための手段】多板クラッチは、入力側
回転体から出力側回転体にトルクを伝達および遮断する
ためのものであり、入力側部材と出力側部材と複数の環
状摩擦部材と位置決め部材とクラッチ操作機構とを備え
ている。入力側部材は、入力側回転体に連結される第1
筒状部を含む。出力側部材は、第1筒状部の内周側に配
置されて内周面から外周面に通じる取付け孔が形成され
ている第2筒状部を含み、出力側回転体に相対回転不能
にかつ軸方向に移動可能に係合する。複数の環状摩擦板
は、第1筒状部と第2筒状部との間で軸方向に配置さ
れ、第1筒状部と第2筒状部とに交互に係合し、両筒状
部には軸方向に所定範囲内で相対移動可能にかつ相対回
転不能に係合する。位置決め部材は、取付け孔に挿入固
定され、半径方向外側の端部が環状摩擦板の内周部に当
接可能である。クラッチ操作機構は、環状摩擦板を圧接
および両者の圧接解除する。
【0008】位置決め部材がロールピンであり、取付け
孔内で圧縮された状態で固定されているのが好ましい。
位置決め部材は取付け孔にネジ止めされているのが好ま
しい。位置決め部材は一端に前記第2筒状部の内周面側
に配置された抜け止め部を有しているのが好ましい。
【0009】
【作用】クラッチ操作機構により、複数の摩擦板が圧接
されると、入力側回転体から入力側部材に入力されたト
ルクが、両プレートを介して出力側部材に伝達される。
トルクは、出力側部材から出力側回転体に出力される。
以上の動作中には、出力側部材に取付けた位置決め部材
の半径方向外側端が軸方向に移動を制限された摩擦板に
当接することにより、出力側部材の軸方向への移動が制
限される。
【0010】位置決め部材は、半径方向外側端のみが第
2筒状部の外周から突出している。残りの部分、すなわ
ち取付け孔に取付けられる部分は、第2筒状部の外周面
より半径方向内側に位置している。従って、位置決め部
材の重心は、従来構造と比べて半径方向内側に位置する
ことになり、位置決め部材による出力側部材の慣性モー
メントの増加が抑えられている。
【0011】位置決め部材がロールピンであり取付け孔
内で圧縮された状態で固定されている場合は、位置決め
部材が取付け孔から外れにくい。位置決め部材が取付け
孔にネジ止めされている場合は、位置決め部材が取付け
孔から外れにくい。位置決め部材が一端に第2筒状部の
内周面側に配置された抜け止め部を有している場合は、
位置決め部材が取付け孔から外れにくい。
【0012】
【実施例】図1は本発明実施例の自動車用乾式多板クラ
ッチ1の断面図、図2は図1の一部切り欠きII矢視部分
図である。乾式多板クラッチ1は、エンジン(図示せ
ず)のフライホイール2からトランスミッションの入力
軸3(中心線のみ図示)にトルクを伝達および遮断する
ための装置である。この乾式多板クラッチ1は、主に、
入力側部材であるフライホイールリング5(第1筒状
部)と、出力側部材であるハブフランジ6と、フライホ
イールリング5とハブフランジ6との間に配置された複
数のドライブプレート7および複数のドリブンプレート
8からなる摩擦板群9と、両プレート7,8を圧接およ
び圧接解除するためのクラッチカバー組立体10とを備
えている。
【0013】ハブフランジ6は、中心に配置されたボス
11と、ボス11から一体に外周側に広がるフランジ1
2と、フランジ12の外周に一体に設けられた第2筒状
部13とを有している。ボス11の中心には、トランス
ミッションの入力軸3のスプライン歯に噛み合うスプラ
イン孔11aが形成されている。これにより、ハブフラ
ンジ6はトランスミッションの入力軸3に対して軸方向
に移動自在になっている。ハブフランジ6のフランジ1
2には、円周方向に間隔を隔てて複数の空気通路開口1
4が設けてある。図1から明らかなように、空気通路開
口14により、フランジ12の両側のクラッチ内部空間
56,57が導通している。第2筒状部13はフランジ
12から軸方向両側に突出している。第2筒状部13の
外周には軸方向に延びる外歯が形成されている。換言す
れば、第2筒状部13は軸方向に延びる多数の係合溝1
8を円周方向に間隔を隔てて備えている。第2筒状部1
3の軸方向両側に突出している部分には、それぞれ複数
の空気通路孔19,20が設けてある。空気通路孔1
9,20は、それぞれ、第2筒状部13をほぼ半径方向
に貫通しており、半径方向外側の端部が係合溝18の底
部に開口している。図2から明らかなように、空気通路
孔19は第2筒状部13の円周方向に間隔を隔てた複数
箇所で設けてある。
【0014】第2筒状部13の半径方向外側にはフライ
ホイールリング5が同心に配置されている。フライホイ
ールリング5は、図1において左側の端部がエンジンの
フライホイール2に複数のボルト22(中心線のみ図
示)で固定される。フライホイールリング5は内歯を備
え、換言すれば、軸方向に延びる多数の係合溝23を円
周方向に間隔を隔てて備えている。図4は図1のIV矢視
図である。図1及び図4に示すように、フライホイール
リング5の外周面の軸方向に間隔を隔てた複数箇所(例
えば3箇所)には、空気通路溝24が設けてある。図1
に示すように、空気通路溝24はドリブンプレート8の
半径方向外側に設けてある。図4から明らかなように、
空気通路溝24は、フライホイールリング5の軸方向に
間隔を隔てた各位置において(すなわち同一円周上にお
いて)、円周方向に間隔を隔てた複数箇所に設けてあ
る。個々の空気通路溝24はフライホイールリング5の
円周方向に沿って円弧状に延びており、その底部は複数
の係合溝23の底面に開口している。すなわち、個々の
空気通路溝24はフライホイールリング5の外周面に開
口するとともに、複数の係合溝23の底部空間に連通し
ている。空気通路溝24が円周方向に延びていること
で、フライホイールリング5が軽くなっている。
【0015】フライホイールリング5の内側とハブフラ
ンジ6の第2筒状部13との間には、摩擦板群9が配置
されている。摩擦板群9は、軸方向にはフライホイール
2の摩擦面と環状のプレッシャープレート(後述)との
間に配置されている。摩擦板群9は、互いに軸方向に交
互に並ぶ状態で配置されている4枚のドライブプレート
7と3枚のドリブンプレート8とからなる。ドライブプ
レート7及びドリブンプレート8は乾式の環状摩擦板で
あり、いずれも、トランスミッションの入力軸3と同心
に配置されている。ドライブプレート7は外周部に放射
状の突起26を備え、突起26はフライホイールリング
5の係合溝23に相対回転不能にかつ軸方向に摺動自在
に係合している。ドリブンプレート8は放射状の突起2
7を内周部に備えており、突起27は第2筒状部13の
係合溝18に相対回転不能にかつ軸方向に摺動自在に係
合している。ドリブンプレート8の表面には、複数の浅
い溝8aが放射状に設けてある。各溝8aはドリブンプ
レート8の内周から外周まで延びており、空気通路孔1
9,20とほぼ一直線状になるように配置されている。
【0016】クラッチカバー組立体10は、クラッチカ
バー28と、クラッチカバー28内に配置された環状の
プレッシャープレート29と、プレッシャープレート2
9をフライホイール2側に付勢するためのダイヤフラム
スプリング30と、ダイヤフラムスプリング30をクラ
ッチカバー28に支持させる支持機構31とを主に備え
ている。
【0017】クラッチカバー28は前述のボルト22に
よりフライホイールリング5の端面に固定されている。
クラッチカバー28は、アルミニウムを主とした金属製
であり、軽量化されている。プレッシャープレート29
は、最もクラッチカバー28側に配置されたドライブプ
レート7の図1右側に配置されている。プレッシャープ
レート29は、放射状の突起32を外周部に備え、突起
32が係合溝23に相対回転不能にかつ軸方向に摺動自
在に係合している。プレッシャープレート29の背面
(ドリブンプレート8と反対側の面)の内周寄りの部分
には、半円形断面を有する隆起部33が一体に設けてあ
る。
【0018】図2に示す如く、ダイヤフラムスプリング
30は、環状部30aと環状部30aの内周から半径方
向内方へ延びる複数のレバー部30bとから構成されて
いる。レバー部30bは円周方向に等間隔を隔てて設け
てあり、隣接するレバー部30bの間にスリットが形成
されるとともに、各スリットの半径方向外側の部分に、
円周方向幅が比較的広い切り欠き30cが形成されてい
る。
【0019】支持機構31は、ダイヤフラムスプリング
30の環状部30aの内周部を支持する1対の第1ワイ
ヤリング35,第2ワイヤリング36と、ワイヤリング
35,36をクラッチカバー28に固定する複数のボル
ト37とを主に備えている。1対のワイヤリング35,
36は、鋼製である。ワイヤリング35,36はダイヤ
フラムスプリング30に沿って延びており、それぞれ外
周部にリング本体38、39を備えている。リング本体
38,39は、それぞれ、ダイヤフラムスプリング30
に当接する部分が半円形等の凸形断面を有している。第
1ワイヤリング35のリング本体38がダイヤフラムス
プリング30に対してクラッチカバー28側(図1の右
側)から当接し、第2ワイヤリング36のリング本体3
9がダイヤフラムスプリング30に対してハブフランジ
6側(図1の左側)から当接している。リング本体38
の内周側で図1の右側には環状に延びる薄い着座部40
が一体に形成されている。着座部40には、軸方向に延
びる複数の脚部41が円周方向に間隔を隔てて一体に形
成されている。また、リング本体39の内周側で図1の
左側には環状に延びる薄い環状部42が一体に形成され
ている。環状部42には、軸方向に延びる複数の突部4
3が円周方向に間隔を隔てて一体に設けてある。突部4
3はリング本体39の内周にも連続している。脚部41
と突部43とは互いに接近する方に突出しており、図1
に示す組立状態では、脚部41はダイヤフラムスプリン
グ30の切り欠き30cを通って先端面が突部43に着
座している。
【0020】前述のクラッチカバー28の内側端面に
は、第1ワイヤリング35の着座部40背面ならびに内
周面及び外周面が着座する切り欠きが設けてあり、ワイ
ヤリング35はこの切り欠きに着座した状態で、ボルト
37により固定されている。第1ワイヤリング35にお
いて各脚部41とそれに連続する着座部40の部分に
は、ボルト37が通されるボルト挿通孔(ねじを備えて
いない孔)が設けてあり、これと同心のボルト挿通孔が
クラッチカバー28にも設けてある。第2ワイヤリング
36の突部43とそれに連続する環状部42の部分には
ねじ孔が設けてあり、このねじ孔にボルト37のねじ部
が固定されている。
【0021】以上に説明したように、複数のボルト37
によりワイヤリング35,36はクラッチカバー28に
固定されている。そして、これらのワイヤリング35,
36に支持されたダイヤフラスプリング30はその環状
部30aの外周部がプレッシャープレート29の隆起部
33に当接し、プレッシャープレート29をフライホイ
ール2側(図1の左側)に付勢する。
【0022】ダイヤフラムスプリング30の内周部に隣
接させてレリーズベアリング50が配置してある。レリ
ーズベアリング50が、ダイヤフラムスプリング30の
レバー部30b先端をフライホイール2側に押すと、ダ
イヤフラムスプリング30の環状部30a外周がプレッ
シャープレート29から離れる。この結果、クラッチ連
結が解除される。
【0023】上述の構造では、ハブフランジ6はトラン
スミッションの入力軸3に対して軸方向に移動自在であ
り、従って、ハブフランジ6を軸方向に位置決めする必
要がある。そのために、図1に示すように、ハブフラン
ジ6の第2筒状部13にはその半径方向に延びる位置決
めピン51が取付けてある。位置決めピン51は、スリ
ットが形成されたロールピンである。第2筒状部13の
フランジ12からフライホイール2側へ突出した部分に
は半径方向に延びる取付け孔52が設けてあり、位置決
めピン51はその取付け孔52に圧縮状態で固定されて
いる。位置決めピン51は長手方向中間部が取付け孔5
2に嵌合し、一端部だけが係合溝18に入り込んで2個
のドリブンプレート8の突起27の間に位置している。
【0024】前述のフライホイール2及びプレッシャー
プレート29は、ドライブプレート7及びドリブンプレ
ート8の軸方向の移動範囲を制限している。このように
軸方向位置の制限された2枚のドリブンプレート8の突
起27の間に位置決めピン51が位置することにより、
ハブフランジ6の軸方向の位置も所定範囲内に限定され
る。
【0025】次に動作を説明する。クラッチ接続状態で
は、レリーズベアリング50はダイヤフラムスプリング
30をフライホイール2側に押圧しておらず、ダイヤフ
ラムスプリング30自らの弾性力がプレッシャープレー
ト29を摩擦板群9側に押し付けている。これにより、
ドライブプレート7とドリブンプレート8が互いに圧接
し、フライホイール2からフライホイールリング5に入
力されたトルクが、ドライブプレート7及びドリブンプ
レート8を介してハブフランジ6に伝達され、さらに、
ハブフランジ6からトランスミッションの入力軸3へ出
力される。
【0026】クラッチを遮断する場合、レリーズベアリ
ング50によりダイヤフラムスプリング30のレバー部
30bの先端をフライホイール2側へ押し、ダイヤフラ
ムスプリング30の環状部30a外周部をプレッシャー
プレート29から離れる方向に移動させる。これによ
り、ドライブプレート7とドリブンプレート8の圧接力
が解放され、クラッチが遮断される。
【0027】上述の動作において、ダイヤフラムスプリ
ング30はワイヤリング35、36に支持された状態で
変形する。その変形によってワイヤリング35,36は
クラッチカバー28に対して移動しようとする。ところ
が、クラッチカバー28に対しては第1ワイヤリング3
5の着座部40が当接している。すなわち、第1ワイヤ
リング35のクラッチカバー28に対する着座面の面積
は従来より広く、したがってその面圧は小さい。その結
果、従来構造と同様にワイヤリング35,36が鋼で作
られ、クラッチカバー28がアルミニウムを主体とする
材料で作られている場合でも、ワイヤリング35による
クラッチカバー28の磨耗が効果的に防止される。
【0028】さらに、クラッチカバー28の内側端面
に、第1ワイヤリング35の着座部40背面ならびに内
周面及び外周面が着座する切り欠きが設けてあるため、
第1ワイヤリング35がクラッチカバー28に対して摺
動しにくい。その結果、クラッチカバー28の磨耗が生
じにくい。さらに、第2ワイヤリング36はクラッチカ
バー28に接触していないため、クラッチカバー28の
磨耗はより少なくなる。
【0029】また、第1ワイヤリング35と第2ワイヤ
リング36は相対的に移動しようとするが、両者は一般
に鋼で作られているので磨耗が生じにくい。上述のクラ
ッチの接続遮断動作では、摩擦による熱がドライブプレ
ート7及びドリブンプレート8に生じるが、下記の如く
ドライブプレート7及びドリブンプレート8は空気によ
り効果的に冷却され、それらの異常な温度上昇は防止さ
れる。
【0030】フランジ12とダイヤフラムスプリング3
0との間の内部空間56にはクラッチの外部空間58か
ら低温の空気が流入する。この空気の一部は、空気通路
開口14を通って内部空間57に流入する。内部空間5
6、57内の空気は、遠心力等によって空気通路孔1
9、20を通って係合溝18に流れ、係合溝18からド
ライブプレート7及びドリブンプレート8の表面に沿っ
て係合溝23まで流れ、その間にドライブプレート7及
びドリブンプレート8を冷却する。この空気は係合溝2
3から空気通路溝24を通ってフライホイールリング5
の外側へ流出する。その結果、全てのドライブプレート
7及びドリブンプレート8がほぼ均等かつ充分に冷却さ
れる。なお、ドリブンプレート8に形成された溝8aが
空気通路孔19,20と半径方向に一直線になっている
ため、空気の流れがスムーズになり、より効果的にドラ
イブプレート7及びドリブンプレート8の冷却が行われ
る。
【0031】又、ドライブプレート7及びドリブンプレ
ート8の表面には、それらの磨耗粉が生じるが、磨耗粉
も係合溝23から空気通路溝24を通ってフライホイー
ルリング5の外側へ流出する。特に、空気通路溝24は
円周方向に延びて形成されているため、開口面積が大き
く、プレート8,9の冷却と磨耗粉の排出の効果を高め
る。
【0032】上述の構造では、ハブフランジ6に位置決
めピン51が取付けてあるが、位置決めピン51の一端
部だけが係合溝18内に位置しており、その他の部分
は、係合溝18よりも半径方向内側に位置している。従
って、接線方向の位置決めピン60(図2、ピン60の
み従来例を示す)を備えた従来構造に比べ、位置決めピ
ン51によるハブフランジ6の慣性モーメントの増加を
抑えている。ハブフランジ6の慣性モーメントが小さく
なることによって、接続操作や遮断操作に対するクラッ
チの応答性が高くなる。 〔変形例〕 (a)図5に示す変形例では位置決めピン51が中空ボ
ルトで構成されており、ねじ部が第2筒状部13のねじ
孔(取付孔52)に取付けられ、非ねじ部が係合溝18
に入り込んでいる。
【0033】(b)図6に示す変形例では、位置決めピ
ン51は取付け孔52内に圧入されている。位置決めピ
ン51の一端部に大径フランジ61が設けてあり、大径
フランジ61が第2筒状部13の内周面に係合すること
により、位置決めピン51が遠心力で半径方向外方へ脱
落することを防止している。
【0034】
【発明の効果】本発明に係る多板クラッチでは、位置決
め部材は、半径方向外側端のみが第2筒状部の外周から
突出している。残りの部分、すなわち取付け孔に取付け
られる部分は、第2筒状部の外周面より半径方向内側に
位置している。従って、位置決め部材の重心は、従来構
造と比べて半径方向内側に位置することになり、位置決
め部材による出力側部材の慣性モーメントの増加が抑え
られている。
【0035】位置決め部材がロールピンであり取付け孔
内で圧縮された状態で固定されている場合は、位置決め
部材が取付け孔から外れにくい。位置決め部材が取付け
孔にネジ止めされている場合は、位置決め部材が取付け
孔から外れにくい。位置決め部材が一端に第2筒状部の
内周面側に配置された抜け止め部を有している場合は、
位置決め部材が取付け孔から外れにくい。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明実施例の自動車用乾式多板クラッ
チの断面図。
【図2】図1の一部切り欠きII矢視部分図。
【図3】ワイヤリングの分解斜視部分図。
【図4】図4は図1のIV矢視図。
【図5】別の実施例の位置決めピンを示す断面部分図。
【図6】更に別の実施例の位置決めピンを示す断面部分
図。
【符号の説明】
1 乾式多板クラッチ 2 フライホイール 3 トランスミッションの入力軸 5 フライホイールリング 6 ハブフランジ 7 ドライブプレート 8 ドリブンプレート 10 クラッチカバー組立体 13 第2筒状部 51 位置決めピン 52 取付け孔

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】入力側回転体から出力側回転体にトルクを
    伝達および遮断するための多板クラッチであって、 前記入力側回転体に連結される第1筒状部を含む入力側
    部材と、 前記第1筒状部の内周側に配置されて内周面から外周面
    に通じる取付け孔が形成されている第2筒状部を含み、
    前記出力側回転体に相対回転不能にかつ軸方向に移動可
    能に係合する出力側部材と、 前記第1筒状部と前記第2筒状部との間で軸方向に配置
    され、前記第1筒状部と前記第2筒状部とに交互に係合
    し、前記両筒状部には軸方向に所定範囲内で相対移動可
    能にかつ相対回転不能に係合する複数の環状摩擦板と、 前記取付け孔に挿入固定され、半径方向外側の端部が前
    記環状摩擦板の内周部に当接可能である位置決め部材
    と、 前記環状摩擦板を圧接および両者の圧接解除するための
    クラッチ操作機構と、を備えた多板クラッチ。
  2. 【請求項2】前記位置決め部材はスリットが形成された
    ロールピンであり、前記取付け孔内で圧縮された状態で
    固定されている、請求項1に記載の多板クラッチ。
  3. 【請求項3】前記位置決め部材は前記取付け孔にネジ止
    めされている、請求項1に記載の多板クラッチ。
  4. 【請求項4】前記位置決め部材は、一端に前記第2筒状
    部の内周面側に配置された抜け止め部を有している、請
    求項1に記載の多板クラッチ。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6145643A (en) * 1998-06-19 2000-11-14 Sachs Race Engineering Gmbh Housing for a multiple-disc clutch

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