JPH07310135A - 磁気ディスク基板用アルミニウム合金 - Google Patents
磁気ディスク基板用アルミニウム合金Info
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- JPH07310135A JPH07310135A JP12426194A JP12426194A JPH07310135A JP H07310135 A JPH07310135 A JP H07310135A JP 12426194 A JP12426194 A JP 12426194A JP 12426194 A JP12426194 A JP 12426194A JP H07310135 A JPH07310135 A JP H07310135A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 平面性およびメッキ層の密着性が一層向上
し、しかもピット欠陥がなく、耐食性に優れた、磁気デ
イスク基板用アルミニウム合金を提供する。 【構成】 この発明による磁気デイスク基板用アルミニ
ウム合金は、Mg:3.0〜5.0wt%、Zn:0.
10〜0.30wt%、Cu:0.05〜0.20wt
%、Cr:0.05〜0.15wt%、Zr:0.05
〜0.15wt%およびFe:0.01〜0.10wt
%を含有し、更に、不純物としてのSi、TiおよびB
の含有量は、Si:0.02wt%以下、Ti:0.0
1wt%以下およびB:10ppm以下に限定され、残
部がAlおよびその他の不可避不純物からなる。
し、しかもピット欠陥がなく、耐食性に優れた、磁気デ
イスク基板用アルミニウム合金を提供する。 【構成】 この発明による磁気デイスク基板用アルミニ
ウム合金は、Mg:3.0〜5.0wt%、Zn:0.
10〜0.30wt%、Cu:0.05〜0.20wt
%、Cr:0.05〜0.15wt%、Zr:0.05
〜0.15wt%およびFe:0.01〜0.10wt
%を含有し、更に、不純物としてのSi、TiおよびB
の含有量は、Si:0.02wt%以下、Ti:0.0
1wt%以下およびB:10ppm以下に限定され、残
部がAlおよびその他の不可避不純物からなる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、磁気デイスク基板用
Al合金に関し、特に磁性体薄膜の下地としてのメッキ
を施して使用される磁気デイスクに適し、平面度、メッ
キの密着性および耐食性に優れ、そしてピットや突起等
表面欠陥のない磁気デイスク基板用アルミニウム合金に
関するものである。
Al合金に関し、特に磁性体薄膜の下地としてのメッキ
を施して使用される磁気デイスクに適し、平面度、メッ
キの密着性および耐食性に優れ、そしてピットや突起等
表面欠陥のない磁気デイスク基板用アルミニウム合金に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】磁気デイスクは、その基板表面に磁性体
薄膜を被覆したものであり、この磁性体薄膜を磁化させ
ることにより情報を記憶するものである。このような磁
気デイスクの基板用材料としては、軽量、非磁性で、か
つ基板製作時の機械加工やデイスク使用時の高速回転に
耐えるに十分な強度を有し、更に、耐食性も良好である
こと等が必要なため、一般にAl−Mg系のJIS50
86合金やその改良合金が使用されている。
薄膜を被覆したものであり、この磁性体薄膜を磁化させ
ることにより情報を記憶するものである。このような磁
気デイスクの基板用材料としては、軽量、非磁性で、か
つ基板製作時の機械加工やデイスク使用時の高速回転に
耐えるに十分な強度を有し、更に、耐食性も良好である
こと等が必要なため、一般にAl−Mg系のJIS50
86合金やその改良合金が使用されている。
【0003】しかしながら、最近、磁気デイスクに対す
る記憶容量の増大、高密度化および薄肉軽量化の要請が
強まり、1ビット当たりの磁気領域の微小化、磁気ヘッ
ドと磁気デイスクとの間隙の減少、および磁性体薄膜の
一層の薄膜化が必要になった。このため、従来は、磁性
体を基板の表面に直接塗布した磁気デイスクが主流であ
ったが、最近ではスパッタリングあるいはメッキにより
磁性体を被覆した磁気デイスクが著しく増加している。
そして、このような磁気デイスク基板としては、下地処
理としてNi−Pを無電解メッキしたものが主として使
用されている。
る記憶容量の増大、高密度化および薄肉軽量化の要請が
強まり、1ビット当たりの磁気領域の微小化、磁気ヘッ
ドと磁気デイスクとの間隙の減少、および磁性体薄膜の
一層の薄膜化が必要になった。このため、従来は、磁性
体を基板の表面に直接塗布した磁気デイスクが主流であ
ったが、最近ではスパッタリングあるいはメッキにより
磁性体を被覆した磁気デイスクが著しく増加している。
そして、このような磁気デイスク基板としては、下地処
理としてNi−Pを無電解メッキしたものが主として使
用されている。
【0004】上記Ni−Pメッキ基板の基本的製造工程
は、所定厚さの冷間圧延されたAl合金板からのド−ナ
ツ状円板の打抜き、加圧焼鈍、表面の切削および研削・
研磨、ジンケ−ト処理、Ni−Pの無電解メッキおよび
仕上げ研磨からなっている。従って、Ni−Pメッキ用
基板に対して、下記性能を備えていることが要求され
る。研削・研磨後のAl合金基板は、平面性に優れて
いること、Ni−Pメッキ層との密着性に優れてお
り、且つメッキ後の表面にピット等の欠陥が発生しない
こと、耐食性に優れていること。
は、所定厚さの冷間圧延されたAl合金板からのド−ナ
ツ状円板の打抜き、加圧焼鈍、表面の切削および研削・
研磨、ジンケ−ト処理、Ni−Pの無電解メッキおよび
仕上げ研磨からなっている。従って、Ni−Pメッキ用
基板に対して、下記性能を備えていることが要求され
る。研削・研磨後のAl合金基板は、平面性に優れて
いること、Ni−Pメッキ層との密着性に優れてお
り、且つメッキ後の表面にピット等の欠陥が発生しない
こと、耐食性に優れていること。
【0005】このような要求に対して前記JIS508
6合金では十分満足することができず、その改良合金が
提案され、開発されている。そのようなものとして、N
i−Pメッキ層のAl合金基板への密着性向上を目的と
して、JIS5086合金を基本とし、これにZnおよ
びCuが複合添加されたAl合金が、例えば特公昭62
−2018号公報(以下、先行技術1という)および特
公平5−45659号公報(以下、先行技術2という)
に開示されている。一方、同じ目的で、JIS5086
合金を基本としこれにCuおよび/またはZnが添加さ
れたAl合金が、特公平5−40016号公報(以下、
先行技術3という)に、Cuのみが添加されたAl合金
が、特公平5−57347号公報(以下、先行技術4と
いう)に開示されている。
6合金では十分満足することができず、その改良合金が
提案され、開発されている。そのようなものとして、N
i−Pメッキ層のAl合金基板への密着性向上を目的と
して、JIS5086合金を基本とし、これにZnおよ
びCuが複合添加されたAl合金が、例えば特公昭62
−2018号公報(以下、先行技術1という)および特
公平5−45659号公報(以下、先行技術2という)
に開示されている。一方、同じ目的で、JIS5086
合金を基本としこれにCuおよび/またはZnが添加さ
れたAl合金が、特公平5−40016号公報(以下、
先行技術3という)に、Cuのみが添加されたAl合金
が、特公平5−57347号公報(以下、先行技術4と
いう)に開示されている。
【0006】先行技術1には、メッキ性に優れたデイス
ク用アルミニウム合金板として、Mg:2〜6wt%、
Zn:0.1〜1.5wt%、Cu:0.03〜0.4
0wt%およびFe:0.01〜0.30wt%を含有
するものが記載されており、また合金の溶製から基板の
製作を経てその表面に磁性体皮膜を形成する前まで、即
ち、基板表面の下地処理メッキ皮膜を仕上げ研磨するま
での製造法について記載されている。そして、メッキ皮
膜の密着性およびメッキ厚さの薄膜化の重要性に鑑み、
仕上げ研磨後のメッキ表面を顕微鏡観察し、特に、ピッ
ト欠陥がなく表面精度(表面平滑性ともいう)に優れた
磁気デイスク基板用アルミニウム合金板が開示されてい
る。
ク用アルミニウム合金板として、Mg:2〜6wt%、
Zn:0.1〜1.5wt%、Cu:0.03〜0.4
0wt%およびFe:0.01〜0.30wt%を含有
するものが記載されており、また合金の溶製から基板の
製作を経てその表面に磁性体皮膜を形成する前まで、即
ち、基板表面の下地処理メッキ皮膜を仕上げ研磨するま
での製造法について記載されている。そして、メッキ皮
膜の密着性およびメッキ厚さの薄膜化の重要性に鑑み、
仕上げ研磨後のメッキ表面を顕微鏡観察し、特に、ピッ
ト欠陥がなく表面精度(表面平滑性ともいう)に優れた
磁気デイスク基板用アルミニウム合金板が開示されてい
る。
【0007】先行技術2には、メッキ性に優れたデイス
ク用アルミニウム合金板として、Mg:2〜6wt%未
満、Zn:0.05〜2.0wt%およびCu:0.0
10〜0.03wt%未満を含有し、さらにMn:0.
01wt%超〜0.05wt%未満およびCr:0.0
1wt%超〜0.05wt%未満のうち1種以上を含有
し、そして不純物としてSi、Fe、Tiを所定値以下
に限定したものが記載されており、また先行技術1と同
様、基板表面のメッキ皮膜を仕上げ研磨するまでの製造
法について記載されている。特に、上記化学成分組成中
の微量添加元素の相互作用により得られる、メッキ皮膜
の密着性および表面平滑性の優れた磁気デイスク基板用
アルミニウム合金板が開示されている。
ク用アルミニウム合金板として、Mg:2〜6wt%未
満、Zn:0.05〜2.0wt%およびCu:0.0
10〜0.03wt%未満を含有し、さらにMn:0.
01wt%超〜0.05wt%未満およびCr:0.0
1wt%超〜0.05wt%未満のうち1種以上を含有
し、そして不純物としてSi、Fe、Tiを所定値以下
に限定したものが記載されており、また先行技術1と同
様、基板表面のメッキ皮膜を仕上げ研磨するまでの製造
法について記載されている。特に、上記化学成分組成中
の微量添加元素の相互作用により得られる、メッキ皮膜
の密着性および表面平滑性の優れた磁気デイスク基板用
アルミニウム合金板が開示されている。
【0008】先行技術3には、メッキ性に優れたデイス
ク用アルミニウム合金として、Mg:3.0〜6.0w
t%、Ti:0.03〜0.15wt%を含有し、か
つ、Zn:0.1〜2.0wt%およびCu:0.01
〜ら0.5wt%のうちの1種または2種を含有し、更
に、不純物としてFe、Si、B、ZrおよびCrを所
定値以下に限定したものが記載されている。上記化学成
分組成中、特に、Tiを適量添加することにより得られ
る、FeおよびSi系金属間化合物の量および大きさを
増大させることなく結晶粒が微細化し、研削・研磨後の
基板の表面粗さおよびうねり周期に優れ、且つメッキ性
に優れた磁気デイスク基板用アルミニウム合金が開示さ
れている。
ク用アルミニウム合金として、Mg:3.0〜6.0w
t%、Ti:0.03〜0.15wt%を含有し、か
つ、Zn:0.1〜2.0wt%およびCu:0.01
〜ら0.5wt%のうちの1種または2種を含有し、更
に、不純物としてFe、Si、B、ZrおよびCrを所
定値以下に限定したものが記載されている。上記化学成
分組成中、特に、Tiを適量添加することにより得られ
る、FeおよびSi系金属間化合物の量および大きさを
増大させることなく結晶粒が微細化し、研削・研磨後の
基板の表面粗さおよびうねり周期に優れ、且つメッキ性
に優れた磁気デイスク基板用アルミニウム合金が開示さ
れている。
【0009】先行技術4には、メッキ性に優れたデイス
ク用アルミニウム合金として、Mg:3.0〜5.0w
t%、Cu:0.01〜0.20wt%、Si:0.0
2〜0.10wt%、Fe:0.03〜0.10wt
%、Ga:50〜400ppm、Zn:0.05wt%
未満およびBe:0.5〜100ppmを含有し、更
に、7μm 以上の金属間化合物が10個/mm2 以下に
限定されたものが記載されている。上記化学成分組成
中、特に、Cu、SiおよびFe含有量を適切な範囲内
に限定することにより得られる、粗大な金属間化合物の
生成を抑制し、ピット欠陥がなく表面精度に優れた磁気
デイスク基板用アルミニウム合金板が開示されている。
ク用アルミニウム合金として、Mg:3.0〜5.0w
t%、Cu:0.01〜0.20wt%、Si:0.0
2〜0.10wt%、Fe:0.03〜0.10wt
%、Ga:50〜400ppm、Zn:0.05wt%
未満およびBe:0.5〜100ppmを含有し、更
に、7μm 以上の金属間化合物が10個/mm2 以下に
限定されたものが記載されている。上記化学成分組成
中、特に、Cu、SiおよびFe含有量を適切な範囲内
に限定することにより得られる、粗大な金属間化合物の
生成を抑制し、ピット欠陥がなく表面精度に優れた磁気
デイスク基板用アルミニウム合金板が開示されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、先行技
術1または2では、ZnおよびCuの含有量の上限値が
高いため、基板を研磨後の工程でワ−クの停滞が発生す
ると、極めて短時間のうちに基板の表面に斑点状腐食が
生じ、また基板を洗浄後の乾燥むらによるシミやジンケ
−ト処理時における粒界腐食などを生じ易く、そしてこ
れらはいずれもメッキ後にピット欠陥等表面欠陥の原因
となり易い。また、フロンによる基板の洗浄が環境汚染
防止上禁止されたために、より一層の耐食性が基板に要
求されている現状においては、先行技術1および2では
耐食性において問題を生じる場合がある。更に、基板の
薄肉化に伴ってZnおよびCuの固溶析出による寸法変
化を生じ易くなっており、最近のより厳しい平面性の要
求を満たすことができない場合も発生している。一方、
先行技術3または4では、基板に対するNi−Pメッキ
の密着性が未だ不十分である。
術1または2では、ZnおよびCuの含有量の上限値が
高いため、基板を研磨後の工程でワ−クの停滞が発生す
ると、極めて短時間のうちに基板の表面に斑点状腐食が
生じ、また基板を洗浄後の乾燥むらによるシミやジンケ
−ト処理時における粒界腐食などを生じ易く、そしてこ
れらはいずれもメッキ後にピット欠陥等表面欠陥の原因
となり易い。また、フロンによる基板の洗浄が環境汚染
防止上禁止されたために、より一層の耐食性が基板に要
求されている現状においては、先行技術1および2では
耐食性において問題を生じる場合がある。更に、基板の
薄肉化に伴ってZnおよびCuの固溶析出による寸法変
化を生じ易くなっており、最近のより厳しい平面性の要
求を満たすことができない場合も発生している。一方、
先行技術3または4では、基板に対するNi−Pメッキ
の密着性が未だ不十分である。
【0011】また、FeおよびSiの両方について、そ
の含有量を厳しく規定したものはない。Al合金中にこ
れらの元素が多量に含まれると、Al−Fe、Al−F
e−Si、Mg2 Si等の金属間化合物が形成され、基
板の研削・研磨後あるいはメッキ前処理後に、それが基
板表面の突起の原因となったり、あるいは脱落して窪み
の原因となったりする。一方、Feの含有量が少なすぎ
ると、基板の研削時に砥石が目詰まりを起こし易く、生
産性が低下する。従って、Feについては、表面の突起
や窪みに起因する表面欠陥がメッキ後に発生しない範囲
内で基板に含有されていることが必要である。また、S
iはMg2 Siを形成するので、Mg2Siがメッキ前
処理により基板表面から脱落し、メッキ後ピット欠陥を
発生させることのないよう、Siの含有量を極力少なく
抑える必要がある。更に、先行技術1〜4では、いずれ
においても、基板の平面性が十分とはいえず、より一層
優れていることが望まれる。
の含有量を厳しく規定したものはない。Al合金中にこ
れらの元素が多量に含まれると、Al−Fe、Al−F
e−Si、Mg2 Si等の金属間化合物が形成され、基
板の研削・研磨後あるいはメッキ前処理後に、それが基
板表面の突起の原因となったり、あるいは脱落して窪み
の原因となったりする。一方、Feの含有量が少なすぎ
ると、基板の研削時に砥石が目詰まりを起こし易く、生
産性が低下する。従って、Feについては、表面の突起
や窪みに起因する表面欠陥がメッキ後に発生しない範囲
内で基板に含有されていることが必要である。また、S
iはMg2 Siを形成するので、Mg2Siがメッキ前
処理により基板表面から脱落し、メッキ後ピット欠陥を
発生させることのないよう、Siの含有量を極力少なく
抑える必要がある。更に、先行技術1〜4では、いずれ
においても、基板の平面性が十分とはいえず、より一層
優れていることが望まれる。
【0012】従って、この発明の目的は、上述した問題
を解決し、これまで以上の平面性およびNi−Pメッキ
層の密着性の向上、並びにピット欠陥がなくしかも耐食
性に優れた、磁気デイスク基板用アルミニウム合金を提
供することにある。
を解決し、これまで以上の平面性およびNi−Pメッキ
層の密着性の向上、並びにピット欠陥がなくしかも耐食
性に優れた、磁気デイスク基板用アルミニウム合金を提
供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記目的
を達成するために、磁気デイスク基板用アルミニウム合
金を構成する化学成分組成について鋭意研究を重ねた結
果、下記知見を得た。即ち、Ni−Pのメッキ性向上
のために、ZnおよびCuを共存させることが重要であ
る。一方、特に、ZnおよびCuの各々の含有量が適切
な範囲内に規定されて過多とならないようにすること、
しかも、CrおよびZrを共存させ、しかもCrおよ
びZrの各々の含有量を適切な範囲内に限定することに
よって、特に、平面性に優れた基板を得ることができる
こと、並びに、従来一般的には不純物とされていたFe
およびSiの含有量について、Feに関しては、適切
な範囲内で微量添加することによって、基板切削時の砥
石の目詰まり防止およびメッキ層の微細均一析出に効果
があること、更に、Siに関しては、従来不純物とし
て規制していた上限値または微量添加されていた含有量
より一層低く規定することにより、Mg2 Siの晶出を
一段と抑制することができ、メッキ後のピット欠陥の発
生防止に著しい効果がある。
を達成するために、磁気デイスク基板用アルミニウム合
金を構成する化学成分組成について鋭意研究を重ねた結
果、下記知見を得た。即ち、Ni−Pのメッキ性向上
のために、ZnおよびCuを共存させることが重要であ
る。一方、特に、ZnおよびCuの各々の含有量が適切
な範囲内に規定されて過多とならないようにすること、
しかも、CrおよびZrを共存させ、しかもCrおよ
びZrの各々の含有量を適切な範囲内に限定することに
よって、特に、平面性に優れた基板を得ることができる
こと、並びに、従来一般的には不純物とされていたFe
およびSiの含有量について、Feに関しては、適切
な範囲内で微量添加することによって、基板切削時の砥
石の目詰まり防止およびメッキ層の微細均一析出に効果
があること、更に、Siに関しては、従来不純物とし
て規制していた上限値または微量添加されていた含有量
より一層低く規定することにより、Mg2 Siの晶出を
一段と抑制することができ、メッキ後のピット欠陥の発
生防止に著しい効果がある。
【0014】この発明は上記知見に基づいてなされたも
のであり、Mg:3.0〜5.0wt%、Zn:0.1
0〜0.30wt%、Cu:0.05〜0.20wt
%、Cr:0.05〜0.15wt%、Zr:0.05
〜0.15wt%およびFe:0.01〜0.10wt
%を含有し、更に、不純物としてのSi、TiおよびB
としての含有量は、Si:0.02wt%以下、Ti:
0.01wt%以下およびB:10ppm以下に限定さ
れ、残部がAlおよび不可避不純物からなることに特徴
を有するものである。
のであり、Mg:3.0〜5.0wt%、Zn:0.1
0〜0.30wt%、Cu:0.05〜0.20wt
%、Cr:0.05〜0.15wt%、Zr:0.05
〜0.15wt%およびFe:0.01〜0.10wt
%を含有し、更に、不純物としてのSi、TiおよびB
としての含有量は、Si:0.02wt%以下、Ti:
0.01wt%以下およびB:10ppm以下に限定さ
れ、残部がAlおよび不可避不純物からなることに特徴
を有するものである。
【0015】
【作用】この発明の磁気デイスク基板用アルミニウム合
金の化学成分組成を上述した範囲内に限定した理由につ
いて述べる。 Mg:Mgは、磁気デイスク基板に所定の強度を付与す
るために有効な元素である。しかしながら、その含有量
が3.0wt%未満では所望の強度が得られず、一方、
5.0wt%超ではAl合金板の熱間圧延性が著しく低
下する。従って、Mg含有量は、3.0〜5.0wt%
の範囲内に限定すべきである。
金の化学成分組成を上述した範囲内に限定した理由につ
いて述べる。 Mg:Mgは、磁気デイスク基板に所定の強度を付与す
るために有効な元素である。しかしながら、その含有量
が3.0wt%未満では所望の強度が得られず、一方、
5.0wt%超ではAl合金板の熱間圧延性が著しく低
下する。従って、Mg含有量は、3.0〜5.0wt%
の範囲内に限定すべきである。
【0016】ZnおよびCu:ZnおよびCuは、Al
合金中に均一に固溶し、メッキ前処理のジンケ−ト処理
時に、均一微細で且つ緻密な処理皮膜を形成させる。こ
のため、ZnおよびCuは、地であるAl合金との密着
性に優れ、微小欠陥が少ない、健全なNi−Pメッキ層
を均一にデイスク基板の表面に形成させる効果を有す
る。このような効果を得るためには、ZnとCuとがA
l合金中に共存することが必須条件である。しかしなが
ら、Znの含有量が0.10wt%未満、Cuの含有量
が0.05wt%未満では上記効果は得られない。一
方、Znの含有量が0.30wt%超、Cuの含有量が
0.20wt%超では耐食性が著しく劣化し、更に、A
l−Cu−Mg系等の析出物が生成し、ド−ナツ状円板
の打抜き後に行なう加圧焼鈍時に、それらの固溶・析出
による応力を発生せしめ、基板の平面性を劣化させる。
従って、基板の平面性を確保するために、ZnおよびC
u含有量が上記値を超えないことが特に重要である。以
上より、Zn含有量は0.10〜0.30wt%、Cu
含有量は0.05〜0.20wt%の範囲内とすべきで
ある。上述した効果を一層発揮し、しかも上述した弊害
の防止を一層確実なものにするため、Zn+Cuの含有
量は0.3〜0.4wt%の範囲内とするのが望まし
い。
合金中に均一に固溶し、メッキ前処理のジンケ−ト処理
時に、均一微細で且つ緻密な処理皮膜を形成させる。こ
のため、ZnおよびCuは、地であるAl合金との密着
性に優れ、微小欠陥が少ない、健全なNi−Pメッキ層
を均一にデイスク基板の表面に形成させる効果を有す
る。このような効果を得るためには、ZnとCuとがA
l合金中に共存することが必須条件である。しかしなが
ら、Znの含有量が0.10wt%未満、Cuの含有量
が0.05wt%未満では上記効果は得られない。一
方、Znの含有量が0.30wt%超、Cuの含有量が
0.20wt%超では耐食性が著しく劣化し、更に、A
l−Cu−Mg系等の析出物が生成し、ド−ナツ状円板
の打抜き後に行なう加圧焼鈍時に、それらの固溶・析出
による応力を発生せしめ、基板の平面性を劣化させる。
従って、基板の平面性を確保するために、ZnおよびC
u含有量が上記値を超えないことが特に重要である。以
上より、Zn含有量は0.10〜0.30wt%、Cu
含有量は0.05〜0.20wt%の範囲内とすべきで
ある。上述した効果を一層発揮し、しかも上述した弊害
の防止を一層確実なものにするため、Zn+Cuの含有
量は0.3〜0.4wt%の範囲内とするのが望まし
い。
【0017】CrおよびZr:CrおよびZrは、Al
−Fe系金属間化合物およびMg2 Siを晶出させるこ
となく、しかも均一な再結晶粒組織を形成することによ
って基板の平面性を向上させる。また、強度を向上させ
る作用・効果をも有する。更に、Zrには突起あるいは
脱落窪みを生じメッキ欠陥の原因となる各種金属間化合
物を微細にし、その害を軽減する作用・効果がある。し
かしながら、CrおよびZrの各々の含有量が0.05
wt%未満では上記作用・効果を発揮しない。一方、各
々の含有量が0.15wt%超では、Al7Cr、Al
3 Zr等の粗大な金属間化合物を生成し、基板表面に突
起あるいは窪みを生じ、メッキ欠陥の原因となる。従っ
て、その効果を少量で一層発揮させるには、単独で添加
するよりも複合添加することが必須となる。従って、C
rおよびZrの各々の含有量は、0.05〜0.15w
t%の範囲内とすべきである。
−Fe系金属間化合物およびMg2 Siを晶出させるこ
となく、しかも均一な再結晶粒組織を形成することによ
って基板の平面性を向上させる。また、強度を向上させ
る作用・効果をも有する。更に、Zrには突起あるいは
脱落窪みを生じメッキ欠陥の原因となる各種金属間化合
物を微細にし、その害を軽減する作用・効果がある。し
かしながら、CrおよびZrの各々の含有量が0.05
wt%未満では上記作用・効果を発揮しない。一方、各
々の含有量が0.15wt%超では、Al7Cr、Al
3 Zr等の粗大な金属間化合物を生成し、基板表面に突
起あるいは窪みを生じ、メッキ欠陥の原因となる。従っ
て、その効果を少量で一層発揮させるには、単独で添加
するよりも複合添加することが必須となる。従って、C
rおよびZrの各々の含有量は、0.05〜0.15w
t%の範囲内とすべきである。
【0018】Fe:Feは、Al合金中に含有されてい
ると、その切削性が良好となる。更に、Feは、Al−
Fe系金属間化合物を生成し、メッキ前処理およびNi
−Pメッキ処理において皮膜形成の核となり、メッキ層
の微細均一析出に有効である。しかしながら、Fe含有
量が0.01wt%未満では、基板の研削時に砥石の目
詰まりが生じ易く、生産性が大幅に低下する。一方、そ
の含有量が0.10wt%超では、Al−Fe系の粗大
な金属間化合物が生成し、基板の表面に突起あるいは窪
みを生じ、メッキ欠陥の原因となる。従って、Fe含有
量は、0.01〜0.10wt%の範囲内とすべきであ
る。
ると、その切削性が良好となる。更に、Feは、Al−
Fe系金属間化合物を生成し、メッキ前処理およびNi
−Pメッキ処理において皮膜形成の核となり、メッキ層
の微細均一析出に有効である。しかしながら、Fe含有
量が0.01wt%未満では、基板の研削時に砥石の目
詰まりが生じ易く、生産性が大幅に低下する。一方、そ
の含有量が0.10wt%超では、Al−Fe系の粗大
な金属間化合物が生成し、基板の表面に突起あるいは窪
みを生じ、メッキ欠陥の原因となる。従って、Fe含有
量は、0.01〜0.10wt%の範囲内とすべきであ
る。
【0019】Si:Siは、Al合金中に殆ど固溶せ
ず、Mg2 Siとして晶出する。そしてメッキ前処理に
より、Mg2 Siは基板表面から溶解・脱落し、メッキ
後のピット欠陥の原因となり易い。従って、Si含有量
は極力低くすることが必要である。しかしながら、Si
含有量を低くするほどコストが上昇するので、上記両者
を考慮してSi含有量は0.02wt%以下とする。
ず、Mg2 Siとして晶出する。そしてメッキ前処理に
より、Mg2 Siは基板表面から溶解・脱落し、メッキ
後のピット欠陥の原因となり易い。従って、Si含有量
は極力低くすることが必要である。しかしながら、Si
含有量を低くするほどコストが上昇するので、上記両者
を考慮してSi含有量は0.02wt%以下とする。
【0020】Ti:Tiは、Al−Ti系金属間化合物
を生成し、基板の切削・研磨あるいはメッキ前処理によ
り脱落してピット欠陥となる。従って、Ti含有量は、
0.01wt%以下に限定する。
を生成し、基板の切削・研磨あるいはメッキ前処理によ
り脱落してピット欠陥となる。従って、Ti含有量は、
0.01wt%以下に限定する。
【0021】B:Bは、Tiと結合してTiB2 を生成
し、ストリンガ−欠陥を生ぜしめる。従って、B含有量
は10ppm以下に限定する。
し、ストリンガ−欠陥を生ぜしめる。従って、B含有量
は10ppm以下に限定する。
【0022】
【実施例】次に、本発明を実施例により説明する。表1
に示す、本発明の範囲内の化学成分組成を有する本発明
供試体、および1つでも本発明の範囲外の化学成分組成
を有する比較用供試体の各々を、厚さ500mmの鋳塊
に連続鋳造し、各々の鋳塊を片面10mmずつ面削後、
これに540°Cで8時間保持の均質化処理を施した。
次に、常法に従ってこれに熱間圧延および冷間圧延を施
し、厚さ0.85mmの板材を調製した。
に示す、本発明の範囲内の化学成分組成を有する本発明
供試体、および1つでも本発明の範囲外の化学成分組成
を有する比較用供試体の各々を、厚さ500mmの鋳塊
に連続鋳造し、各々の鋳塊を片面10mmずつ面削後、
これに540°Cで8時間保持の均質化処理を施した。
次に、常法に従ってこれに熱間圧延および冷間圧延を施
し、厚さ0.85mmの板材を調製した。
【0023】
【表1】
【0024】前記板材の各々を打抜き加工し、直径89
mmのド−ナツ状円板を調製し、次いでこれに350°
Cで2時間の加圧焼鈍を施した後、切削および研削・研
磨により表面を鏡面に仕上げた。このように鏡面仕上げ
されたド−ナツ状円板を、トリクロルエタンで表面を脱
脂した後、10wt%硫酸水溶液でエッチングし、30
wt%硝酸水溶液でスマット除去し、そしてダブルシン
ジケ−ト処理した。そして、その表面に、片面あたり約
15μm の無電解Ni−Pメッキを施した。
mmのド−ナツ状円板を調製し、次いでこれに350°
Cで2時間の加圧焼鈍を施した後、切削および研削・研
磨により表面を鏡面に仕上げた。このように鏡面仕上げ
されたド−ナツ状円板を、トリクロルエタンで表面を脱
脂した後、10wt%硫酸水溶液でエッチングし、30
wt%硝酸水溶液でスマット除去し、そしてダブルシン
ジケ−ト処理した。そして、その表面に、片面あたり約
15μm の無電解Ni−Pメッキを施した。
【0025】このようにして得られた各供試体につい
て、下記の評価試験を行い、その結果を、表2に示し
た。
て、下記の評価試験を行い、その結果を、表2に示し
た。
【0026】
【表2】
【0027】実施した評価試験は、下記の通りである。
即ち、板表面の光学顕微鏡観察によるMg2 Si金属
間化合物の分布測定、基板を研削中の砥石の目詰まり
状況調査、研磨後の基板の平面度測定、Ni−Pメ
ッキされた基板の仕上げ研磨後のメッキ皮膜の密着性試
験、仕上げ研磨後のメッキ表面のピット欠陥の発生状
況調査、およびメッキ基板の耐食性評価試験を行っ
た。
即ち、板表面の光学顕微鏡観察によるMg2 Si金属
間化合物の分布測定、基板を研削中の砥石の目詰まり
状況調査、研磨後の基板の平面度測定、Ni−Pメ
ッキされた基板の仕上げ研磨後のメッキ皮膜の密着性試
験、仕上げ研磨後のメッキ表面のピット欠陥の発生状
況調査、およびメッキ基板の耐食性評価試験を行っ
た。
【0028】平面度測定は、レ−ザ−干渉計を用い、干
渉縞を解析することによって求めた。
渉縞を解析することによって求めた。
【0029】密着性の評価については、曲げ試験用サン
プルを切出し、380°Cで1時間加熱後、室温で18
0°曲げを行ない、メッキ皮膜の剥離発生の有無を観察
し、剥離が認められなかったものを○印、僅かに剥離が
認められたものを△印、そして多数の剥離が認められた
ものを×印で表わした。
プルを切出し、380°Cで1時間加熱後、室温で18
0°曲げを行ない、メッキ皮膜の剥離発生の有無を観察
し、剥離が認められなかったものを○印、僅かに剥離が
認められたものを△印、そして多数の剥離が認められた
ものを×印で表わした。
【0030】ピット欠陥発生の評価については、微分干
渉顕微鏡により仕上げ研磨後のメッキ表面を観察し、径
が3μm 以上のピットが存在しないものを○印、それが
1〜5個の範囲で存在するものを△印、そして6個以上
存在するものを×印で表わした。なお、○印のみを合格
とした。
渉顕微鏡により仕上げ研磨後のメッキ表面を観察し、径
が3μm 以上のピットが存在しないものを○印、それが
1〜5個の範囲で存在するものを△印、そして6個以上
存在するものを×印で表わした。なお、○印のみを合格
とした。
【0031】耐食性の評価については、耐硫酸性試験、
即ち、30°Cの10wt%硫酸水溶液中に24時間、
メッキ処理後の基板を浸漬する試験を行ない、メッキ皮
膜に膨れが発生しなかったものを○印、1〜5mmの膨
れが発生したものを△印、そして5mm超の膨れが発生
したものを×印で表わした。
即ち、30°Cの10wt%硫酸水溶液中に24時間、
メッキ処理後の基板を浸漬する試験を行ない、メッキ皮
膜に膨れが発生しなかったものを○印、1〜5mmの膨
れが発生したものを△印、そして5mm超の膨れが発生
したものを×印で表わした。
【0032】表1および表2より、下記事項が明らかで
ある。
ある。
【0033】比較用供試体NO.1および3は、それぞれ
ZnおよびCuの含有量が本発明の範囲外に少なかった
ため、メッキ前処理のジンケ−ト処理時に、十分に均一
微細で緻密な処理皮膜が形成されなかったため、地であ
るAl合金との十分な密着性が得られず、また微小欠陥
が若干発生し、ピット欠陥となった。
ZnおよびCuの含有量が本発明の範囲外に少なかった
ため、メッキ前処理のジンケ−ト処理時に、十分に均一
微細で緻密な処理皮膜が形成されなかったため、地であ
るAl合金との十分な密着性が得られず、また微小欠陥
が若干発生し、ピット欠陥となった。
【0034】一方、比較用供試体NO.2および4は、そ
れぞれZnおよびCu含有量が本発明の範囲を超えて多
かったため、基板用Al合金板の耐食性が劣り、また加
圧焼鈍時にAl−Cu−Mg系等の析出物の生成による
応力発生によって基板の平面度がそれぞれ8.6μm お
よび9.3μm と劣化し、ピット欠陥も発生した。
れぞれZnおよびCu含有量が本発明の範囲を超えて多
かったため、基板用Al合金板の耐食性が劣り、また加
圧焼鈍時にAl−Cu−Mg系等の析出物の生成による
応力発生によって基板の平面度がそれぞれ8.6μm お
よび9.3μm と劣化し、ピット欠陥も発生した。
【0035】比較用供試体NO.5および7は、それぞれ
CrおよびZr含有量が本発明の範囲外に少なかったた
め、Al−Fe系金属間化合物およびMg2 Siが若干
晶出し、均一な再結晶組織が形成されなかったため、メ
ッキの密着性がやや劣り、また基板の平面度が劣ってい
た。
CrおよびZr含有量が本発明の範囲外に少なかったた
め、Al−Fe系金属間化合物およびMg2 Siが若干
晶出し、均一な再結晶組織が形成されなかったため、メ
ッキの密着性がやや劣り、また基板の平面度が劣ってい
た。
【0036】一方、比較用供試体NO.6および8は、そ
れぞれCrおよびZr含有量が本発明の範囲を超えて多
かったため、Al7 Cr等の粗大な金属間化合物が生成
し、基板表面に突起や窪みが生じたため、メッキ表面に
ピット欠陥が発生した。
れぞれCrおよびZr含有量が本発明の範囲を超えて多
かったため、Al7 Cr等の粗大な金属間化合物が生成
し、基板表面に突起や窪みが生じたため、メッキ表面に
ピット欠陥が発生した。
【0037】比較用供試体NO.9は、Fe含有量が本発
明の範囲外に少なく無添加であったため、Al合金基板
の研削時に砥石の目詰まりが発生し、研削性が著しく劣
化した。
明の範囲外に少なく無添加であったため、Al合金基板
の研削時に砥石の目詰まりが発生し、研削性が著しく劣
化した。
【0038】一方、比較用供試体NO.10は、Fe含有
量が本発明の範囲を超えて多かったため、Al−Fe系
の粗大な金属間化合物が生成し、Al合金基板の表面に
突起や窪みが生じたため、メッキ表面にピット欠陥が発
生した。
量が本発明の範囲を超えて多かったため、Al−Fe系
の粗大な金属間化合物が生成し、Al合金基板の表面に
突起や窪みが生じたため、メッキ表面にピット欠陥が発
生した。
【0039】比較用供試体NO.11は、Fe含有量が本
発明の範囲を超えて多かったため、NO.10と同様、A
l−Fe系の粗大な金属間化合物が生成し、Al合金基
板の表面に突起や窪みが生じたため、メッキ表面にピッ
ト欠陥が発生した。更に、不純物元素であるSi含有量
が本発明の範囲を超えて多かったため、粗大なMg2S
iが晶出し、メッキ前処理による溶解・脱落によりメッ
キ後のピット欠陥が発生した。
発明の範囲を超えて多かったため、NO.10と同様、A
l−Fe系の粗大な金属間化合物が生成し、Al合金基
板の表面に突起や窪みが生じたため、メッキ表面にピッ
ト欠陥が発生した。更に、不純物元素であるSi含有量
が本発明の範囲を超えて多かったため、粗大なMg2S
iが晶出し、メッキ前処理による溶解・脱落によりメッ
キ後のピット欠陥が発生した。
【0040】以上のように、比較用供試体には、磁気デ
イスク用のAl合金基板として、所望の特性をすべて備
えたものはなかった。これに対して、本発明供試体は、
その化学成分組成が本発明の範囲内にあったので、Ni
−Pメッキ磁気デイスク基板として用いた結果、NO.1
〜8のすべての供試体について、ピット欠陥の原因とな
るようなMg2 Si等の大きな金属間化合物が存在せ
ず、平面度は8μm 未満と平面性に優れ、Ni−Pメッ
キ皮膜の密着性に優れ、ピット欠陥も発生せず、耐食性
に優れ、また、研削性も良好であった。
イスク用のAl合金基板として、所望の特性をすべて備
えたものはなかった。これに対して、本発明供試体は、
その化学成分組成が本発明の範囲内にあったので、Ni
−Pメッキ磁気デイスク基板として用いた結果、NO.1
〜8のすべての供試体について、ピット欠陥の原因とな
るようなMg2 Si等の大きな金属間化合物が存在せ
ず、平面度は8μm 未満と平面性に優れ、Ni−Pメッ
キ皮膜の密着性に優れ、ピット欠陥も発生せず、耐食性
に優れ、また、研削性も良好であった。
【0041】
【発明の効果】この発明は、上述したように構成されて
おり、特にZnおよびCuを同時に含有し、しかも各々
の含有量が従来よりも一層適切な値に限定されているの
で、従来得られなかったような優れた平面性が得られ、
しかもメッキ皮膜の密着性、基板の研削性および耐食性
にも優れ、そしてピット欠陥の抑制された、優れた磁気
デイスク基板用アルミニウム合金を提供することができ
る、工業上、有益な効果をもたらす。
おり、特にZnおよびCuを同時に含有し、しかも各々
の含有量が従来よりも一層適切な値に限定されているの
で、従来得られなかったような優れた平面性が得られ、
しかもメッキ皮膜の密着性、基板の研削性および耐食性
にも優れ、そしてピット欠陥の抑制された、優れた磁気
デイスク基板用アルミニウム合金を提供することができ
る、工業上、有益な効果をもたらす。
Claims (1)
- 【請求項1】 マグネシウム(Mg):3.0 〜5.
0wt%、 亜鉛(Zn) :0.10〜0.30wt%、 銅(Cu) :0.05〜0.20wt%、 クロム(Cr) :0.05〜0.15wt%、 ジルコニウム(Zr):0.05〜0.15wt%、お
よび鉄(Fe) :0.01〜0.10wt%
を含有し、更に、不純物としてのシリコン、チタンおよ
びボロンの含有量は、 シリコン(Si) :0.02wt%以下、 チタン(Ti) :0.01wt%以下、およびボ
ロン(B) :10ppm以下に限定され、残部
がアルミニウム(Al)およびその他の不可避不純物か
らなることを特徴とする、磁気デイスク基板用アルミニ
ウム合金。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP12426194A JPH07310135A (ja) | 1994-05-13 | 1994-05-13 | 磁気ディスク基板用アルミニウム合金 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP12426194A JPH07310135A (ja) | 1994-05-13 | 1994-05-13 | 磁気ディスク基板用アルミニウム合金 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07310135A true JPH07310135A (ja) | 1995-11-28 |
Family
ID=14880958
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP12426194A Pending JPH07310135A (ja) | 1994-05-13 | 1994-05-13 | 磁気ディスク基板用アルミニウム合金 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH07310135A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH09235640A (ja) * | 1996-02-28 | 1997-09-09 | Furukawa Electric Co Ltd:The | 磁気ディスク基板用アルミニウム合金板及びその製造方法 |
JP2010033697A (ja) * | 2008-06-27 | 2010-02-12 | Furukawa Electric Co Ltd:The | 磁気ディスク用ブランク材およびその製造方法 |
-
1994
- 1994-05-13 JP JP12426194A patent/JPH07310135A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH09235640A (ja) * | 1996-02-28 | 1997-09-09 | Furukawa Electric Co Ltd:The | 磁気ディスク基板用アルミニウム合金板及びその製造方法 |
JP2010033697A (ja) * | 2008-06-27 | 2010-02-12 | Furukawa Electric Co Ltd:The | 磁気ディスク用ブランク材およびその製造方法 |
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