JP3830240B2 - 磁気ディスク用アルミニウム合金基板 - Google Patents

磁気ディスク用アルミニウム合金基板 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はハードディスク装置(以下、HDDという)等に組み込まれる磁気ディスク用のアルミニウム合金基板に関し、特に、表面平滑性を得るために下地処理層としてメッキ層を形成し、このメッキ層表面を研磨した後、磁性膜を付着形成して構成される磁気ディスクの製造に使用されるメッキ性が優れたアルミニウム合金基板に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、コンピュータ等の記録媒体として使用される磁気ディスク等の基盤材として、▲1▼軽量であること、▲2▼非磁性であること、▲3▼高速回転に耐える剛性を有すること、▲4▼精密加工又は研磨により良好な表面粗度が容易に得られること、等の特性が要求される。従来、これらの特性が優れているJIS5000系のAl−Mg合金が磁気ディスク用基板として使用されてきた。例えば、このような特性を満足する磁気ディスク用基板として、Mg:3.5〜4.5重量%、Fe:0.50重量%以下、Si:0.40重量%以下、Mn:0.20〜0.7重量%、Cr:0.05〜0.25重量%、Cu:0.10重量%以下、Ti:0.15重量%以下、Zn:0.25重量%以下であり、残部がAlである組成を有するJIS A5086合金がある。
【0003】
磁気ディスクの製造方法としては、先ず、アルミニウム合金板を所定の板厚に加工した後、これを円盤状に打ち抜いて、所謂ディスクブランクを作成する。その後、このディスクブランクを平坦な定盤間に挟み込み、加圧しつつ300℃以上の温度で焼鈍することにより、所謂フラットベーキングを行い、ディスクブランクの歪みを除去する。このフラットベーキングは、後工程で行われる磁性膜のスパッタリング時に、アルミニウム合金基板が熱的に安定であるようにするためにも必要な工程である。
【0004】
フラットベーキングの後、ディスクブランクにサブストレート加工を施す。このサブストレート加工は、一般的に、アルミニウム合金基板を#3000番程度の砥石で研磨する工程(グラインド加工)であり、▲1▼所定の寸法(板厚)に仕上げること、▲2▼後工程で行われるメッキ・研磨工程のために、ディスクブランク表面の酸化皮膜を除去し、またメッキ前のアルミニウム合金基板の表面の粗度を低減させることを目的として行われる。このサブストレート加工によりアルミニウム合金基板の表面粗さ(中心線平均粗さRa)は300Å程度となる。このサブストレート加工が施されたアルミニウム合金基板をサブストレートという。
【0005】
次いで、このサブストレートに20μm以下の膜厚でNi−Pメッキを施す。こうすることにより、磁気ディスクは強度及び硬度を付与され、ディスクの損傷によるデータエラーの発生が防止される。更に、このNi−Pメッキ層には所謂メッキ欠陥が生じているため、このようなメッキ欠陥を除去すると共に、Ni−Pメッキ膜を平滑化するために、Ni−Pメッキ層の研磨を行う。このメッキ層の研磨により、磁気ヘッドの低浮上化が可能となり、高密度記録が可能となる。その後、磁性膜をNi−Pメッキ膜上にスパッタリングにより形成する。このようにして、磁気ディスクが製造される。
【0006】
ところで、近時、磁気ディスクは大容量化及び高密度化が要求されている。そして、磁気ディスクの1ビット当たりの磁気領域は益々微小化されつつある。通常、HDDにおいては、その動作時に、磁気ディスクの回転により、磁気ディスクと磁気ヘッドとの間に空気が入り、磁気ヘッドが磁気ディスクとの間に0.1〜0.05μm程度の間隔を保持して浮上する。このようにして、磁気ヘッドが磁気ディスクから所定の高さで浮上した状態で、磁気ディスクに対するデータの読み書きがなされるので、磁気ディスクを高速回転することが可能となり、高速のアクセス及びデータ転送が可能となる。
【0007】
この隙間、即ちヘッドの浮上高さが低いほど、強磁性及び高磁気記録密度が得られる。このため、磁気ヘッドの浮上高さが年々低下しているが、この浮上高さを低くするためには、Ni−Pメッキ層の表面が平滑である必要がある。しかしながら、このNi−Pメッキ層の研磨工程は、基板をグラインド加工する場合と異なり、加工時間が長くかかり、このため、Ni−Pメッキ層の所要研磨量の低減が要請されている。
【0008】
このメッキ層の研磨量を低減するためには、基板の表面粗度を低減して、基板をより一層平滑化する必要がある。従来、基板表面が、中心線平均粗さ(Ra)250〜3000μmで規定される粗面状に形成されてなる磁気ディスク用アルミニウム合金基板が公知である(特開昭62−22236号公報)。この程度の表面粗さであるならば、基板表面の表面粗度を低減していくと、それに伴い、メッキ後の表面粗度も低下していく。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この表面粗度が100Å未満になると、基板表面を平滑化しても、メッキ後の表面粗度が低減されず、逆にメッキ後に表面粗度が上昇し、粗面化してしまう。
【0010】
従って、基板表面の表面粗さRaが100Å未満になると、メッキ層の表面を平滑にするために、基板表面をより一層平滑化しても、メッキ層の表面粗さRaを低減できないという問題点がある。また、基板の組成によっては、メッキ層が被覆された基板の強度が低下することがある。
【0011】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、基板表面の表面粗さRaを100Å未満としても、メッキ後のメッキ層の表面が粗くなることを防止することができ、これにより、メッキ層表面を平滑化して磁気ヘッドの浮上高さを低くし、磁気ディスクの高記録密度化を可能とする磁気ディスク用アルミニウム合金基板を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る磁気ディスク用アルミニウム合金基板は、Cu:0.03乃至0.2重量%、Mg:3.0乃至6.0重量%、Cr:0.03乃至0.2重量%及びZn:0.4乃至1.0重量%を含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなり、前記不可避的不純物のうち、Feが0.05重量%以下、Siが0.05重量%以下、その他の元素が、夫々、0.01重量%以下に規制されていることを特徴とする。
【0013】
この磁気ディスク用アルミニウム合金基板は、中心線平均粗さRaを100Å未満とすることができ、磁性膜の下地処理層としてメッキ層を被覆形成すると、このメッキ層の表面粗さを極めて小さいものにすることができ、メッキ層の表面が極めて平滑な磁気ディスク用基板を得ることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本願発明者等が前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、基板の中心線平均粗さRaが100Å未満であると、以下の2つの理由で、基板の表面粗さよりメッキ層の表面粗さRaの方が高くなることを見出した。
【0015】
即ち、第1に、グラインド加工等による研磨目のバリが基板表面の表面粗さの低下に伴って減少していくため、使用するアルミニウム合金基板の純度が低く、Fe量及びSi量の総和が0.04重量%を超えた場合に顕著になる現象として、Ni−Pメッキ層の表面に半球形状の凸型のメッキ欠陥であるノジュールが急激に増加する。これは、メッキの前処理として、Znを含むジンケート浴中に基板を浸漬したときに、Zn粒子の析出起点となる表面の粗い部分、即ちバリが減少したため、Zn粒子がアルミニウム合金基板表面に粗大に析出し、これによりメッキ表面にノジュールが増加してしまうことに起因する。
【0016】
第2に、使用するアルミニウム合金基板の純度が高く、Fe量及びSi量の総和が0.04重量%以下である場合には、メッキの前処理工程における酸エッチング工程及びジンケート浴浸漬工程で、アルミニウム合金基板の結晶粒の面方位によりエッチングの程度が異なる。その結果、基板表面に段差が生じ、メッキを施した後でも、この粒間段差は消失せずにそのまま残存する。この現象もエッチング起点となっていた表面のバリが減少したために起こるものであり、エッチング感受性の高い結晶面が優先的に溶けることにより、粒間段差が生じる。
【0017】
このように、アルミニウム合金の純度により異なった現象が生じるが、この組成的な境界は明瞭なものではなく、Fe量及びSi量の総和が0.04重量%となる場合を境にしていずれかの現象が支配的になる。いずれにしても、アルミニウム合金基板の中心線平均粗さRaが100Å未満になると、メッキ後に、メッキ層表面の平滑化のためにかえって多量のメッキ層研磨が必要となる。
【0018】
そこで、本発明者等は更に種々実験研究した結果、メッキ層の表面粗さの増大を抑制するためには、メッキ層表面のノジュールの増加を抑制すると共に、結晶粒間に生じる段差を抑制することが必要であることを見出した。本願発明者等は、このようなメッキ層表面のノジュールの増加及び結晶粒間の段差を抑制できるアルミニウム合金として、本発明の特許請求の範囲に規定した組成を知見した。
【0019】
即ち、アルミニウム合金基板がCu、Mg、Cr及びZnを所定値の範囲で含有すると共に、Fe及びSiの含有量を所定値以下に規制することにより、基板表面の表面粗さRaを100Å未満に低下させた場合でも、基板表面を平滑化するにつれてメッキ層表面が平滑となっていく。これにより、表面粗さRaが100Å未満の極めて平滑化されたメッキ層を有する磁気ディスク用基板を得ることができる。
【0020】
以下、本発明に係る磁気ディスク用アルミニウム合金基板の成分添加理由及び組成限定理由について説明する。
【0021】
Mg:3.0乃至6.0重量%
Mgはアルミニウム合金基板の強度向上に有効な元素であり、磁気ディスク材には、一般的に、Mgが4.0重量%程度添加されている。Mgの含有量が3.0重量%未満では、十分な強度を得ることができない。一方、Mgの含有量が6.0重量%を超えると、Al−Mg系金属間化合物が生成し、このAl−Mg系金属間化合物はアルミニウム合金基板にピットを発生させる要因となると共に、アルミニウム合金の熱間圧延時に圧延割れを引き起こし、アルミニウム合金の圧延加工性を低下させる。従って、Mgの含有量は3.0乃至6.0重量%とする。
【0022】
Cr:0.03乃至0.2重量%
Crは、アルミニウム合金の再結晶粒を微細化する効果を有し、アルミニウム合金の強度向上に有効な元素である。このような効果を得るためには、0.03重量%以上のCrの添加が必要である。しかし、Crが0.2重量%を超えて含有されると、晶出物が粗大化しやすくなる。従って、Crの含有量は0.03乃至0.2重量%とする。
【0023】
Cu:0.03乃至0.2重量%
Cuはアルミニウム合金基板上にメッキ層を形成する場合のメッキ性を向上させるために有効な元素である。Cuはアルミニウム合金中に均一に固溶し、メッキの前処理工程のジンケート処理時に、ジンケート浴中のZnイオンを基板表面に均一に微細析出させる作用を有している。これにより、メッキ層の表面にノジュールが発生することを抑制することができる。この作用効果を得るためには、Cuを0.03重量%以上添加することが必要である。しかし、Cuが0.2重量%を超えて添加されると、結晶粒界にCuが析出し、メッキの前処理工程における酸エッチングの際に、結晶粒界が過剰にエッチングされ、ノジュールの発生が多大となる。従って、Cuの含有量は0.03乃至0.2重量%とする。
【0024】
Zn:0.4乃至1.0重量%
ZnもCuと同様に、アルミニウム合金のメッキ性の改善に有効な元素である。即ち、ZnはCuと同様に、Al合金中に均一に固溶し、ジンケート処理時に、ジンケート浴中のZnイオンを基板表面に均一に微細析出させる効果を有している。これにより、メッキ層のノジュールの発生を抑制することができる。また、Znの添加量が増すにつれて、Znがアルミニウム合金中に均一に析出するので、この析出Znが、メッキの前処理工程における酸エッチング工程の際にエッチング起点となり、またジンケート処理工程においてZnイオンの析出起点となる。
【0025】
このようにZnは、結晶粒のエッチング感受性の強い部分が酸エッチングにより溶けることがないようにして、結晶粒による段差を抑制する効果がある。メッキ性の改善効果は、Znを0.02重量%以上添加すれば有効であるが、結晶粒の粒間段差を抑制するためには0.4重量%以上添加することが必要である。しかし、Znを1.0重量%を超えて添加すると、Znの析出核が粗大化するのに伴って、メッキの前処理時に形成されるエッチングピットも粗大化し、この粗い基板表面にメッキ層を形成すると、メッキ層表面にピットが発生する原因となる。従って、Znの含有量は0.4乃至1.0重量%とする。
【0026】
Fe:0.05重量%以下
Feは、通常、アルミニウム合金地金に不純物として混入し、アルミニウム合金の鋳造工程等においてAl−Fe系の金属間化合物を発生させやすい。Al−Fe系金属間化合物はディスク用基板としての加工工程、即ちサブストレート加工時の切削又は研磨・研削等の加工工程において脱落したり、窪みが生じる原因となる。また、Al−Fe系金属間化合物はメッキの前処理工程で脱落してメッキ層表面のピットの原因となる。従って、不可避的不純物としてのFeの含有量は0.05重量%以下とする。
【0027】
Feの下限値は特に定めるものではないが、Fe含有量を0.002重量%以下にするためには、純度99.99%等の極めて高価なアルミニウム地金を必要とするため、無駄であるばかりでなく、このようにFe含有量が極めて低い場合には、アルミニウム合金の打ち抜き性及びサブストレート加工性が低下し、更に、メッキ欠陥抑制を目的とした金属間化合物微細化の効果も飽和しており、メッキの密着性が低下する虞れがある。従って、Feは不可避的不純物として0.05重量%以下に規制するが、必要に応じて、Fe含有量が0.002乃至0.05重量%となるように、アルミニウム合金地金を選択することも有効である。
【0028】
Si:0.05重量%以下
Siも、通常、アルミニウム合金地金に不純物として混入し、アルミニウム合金の鋳造工程等においてMg−Si系金属間化合物を生じる。このMg−Si系金属間化合物はメッキの前処理工程において基板表面から脱落するため、メッキ層表面のピットの原因となる。このようなSiによるピットの生成を防止するために、不可避的不純物としてのSiの含有量は0.05重量%以下に規制する。
【0029】
Siの下限値は特に定めるものではないが、Si含有量を0.002重量%以下とすると、Feと同様に、純度99.99%等の極めて高価なアルミニウム地金を必要とするため、無駄であるのに加え、アルミニウム合金の打ち抜き性及びサブストレート加工性が低下し、更に、メッキ欠陥抑制を目的とした金属間化合物の微細化効果も飽和しており、メッキの密着性にも問題が生じる。従って、Siは不可避的不純物として0.05重量%以下に規制するが、必要に応じて、Si含有量が0.002乃至0.05重量%の範囲内となるように、アルミニウム合金地金を選択する。
【0030】
他の不可避的不純物元素:夫々0.01重量%以下
他の不可避的不純物元素、例えばTi、V及びB等は夫々0.01重量%以下であれば、本発明の特性に影響することはない。このため、この程度の不純物の含有は許容される。
【0031】
上述の組成を有する磁気ディスク用アルミニウム合金基板は、例えば、#3000〜#8000の砥石によるグラインド加工方法、#3000〜#8000のフィルムを使用したテープポリッシュ加工方法、又はクロスパッドと遊離砥粒による研磨方法として知られるポリッシング加工法等の研磨方法により、研磨して、サブストレート加工し、この研磨後の基板表面に、所定の前処理を施した後、メッキ処理して、基板上にメッキ層を形成する。
【0032】
この場合に、サブストレート加工時に、中心線表面粗さRaが100Å未満となるように基板の表面粗さを調節することにより、極めて平滑且つ平坦なメッキ面を得ることができる。
【0033】
なお、中心線表面粗さRaが100Å以上では、ノジュールの増加又は粒間段差が発生しないため、現在市販されているディスク用アルミニウム合金基板を使用すれば足り、本発明の利点が少ない。
【0034】
【実施例】
以下、本発明の実施例について、その特許請求の範囲から外れる比較例と比較して具体的に説明する。
【0035】
第1実施例
先ず、本発明に係る磁気ディスク用アルミニウム合金基板のメッキ性について調査した。先ず、供試材としては、下記表1に示す化学成分を有するアルミニウム合金を使用した。なお、Fe及びSi以外の不可避的不純物の含有量は実施例及び比較例のいずれも夫々0.01重量%以下である。
【0036】
【表1】
Figure 0003830240
【0037】
このアルミニウム合金鋳塊を厚さ400mmに造塊し、その後、510℃で6時間の均熱処理をし、熱間圧延を施し、次いで冷間圧延により1.3mmの板厚とした。その後、得られたアルミニウム合金板を外径95mm、内径25mmのディスクの形状に打ち抜き加工を施し、次いで、350℃で3時間の歪み取り焼鈍を行い、ディスクブランクを作成した。このディスクブランク材は、その後、表面をグラインド加工して表面粗さRa(中心線平均粗さ)が90Åのサブストレートとした。
【0038】
サブストレート加工後、これらのサブストレートを市販のメッキ浴を使用してメッキ試験を実施した。メッキの前処理工程、メッキ工程及びそれらに使用した浴の種類を下記表2に示す。
【0039】
【表2】
Figure 0003830240
【0040】
メッキ性の評価のために、先ず、メッキ後のメッキ層の表面粗さ(中心線平均粗さRa)をタリサーフにより測定し、次いで、光学顕微鏡でメッキ層の表面を200倍に拡大して観察した。その結果を下記表3に示す。なお、表3の総合評価の基準としては、メッキ層の中心線平均粗さRaが80Å以下であり、粒間段差及びピットがなく、基板の耐力が100N/mm2以上であるものを○(良)、中心線平均粗さRaが80Åを超えるもの、粒間段差若しくはピットが発生したもの又は基板の耐力が100N/mm2未満であるものを×(劣)とした。
【0041】
【表3】
Figure 0003830240
【0042】
上記表3に示すように、実施例1乃至5は、アルミニウム合金基板の組成が本発明の範囲であるので、基板の表面粗さが90Åというように100Å未満であっても、基板表面上に形成されたメッキ層の表面粗さが基板表面の表面粗さ90Åよりも低下した。また、メッキ層には結晶粒の粒間段差及びピットは認められず、更に基板の強度に100N/mm2の耐力を付与することができ、総合評価としてメッキ性は極めて良好であった。
【0043】
これに対し、Cuの含有量が本発明の範囲未満である比較例6においては、メッキ層表面にノジュールが発生し、メッキ層の表面粗さを低下させることができなかった。また、Cuの含有量が本発明の範囲を超えている比較例7においても、メッキ層表面にノジュールが発生したため、メッキ層の表面粗さが高くなってしまった。
【0044】
また、比較例8においては、Mgの含有量が本発明の範囲未満であるので、メッキ層の表面粗さが低く、粒間段差及びピットが認められなかったが、十分な強度を得ることができなかった。また、Mgの含有量が本発明の範囲を超えている比較例9においては、メッキ層の表面にピットが発生した。
【0045】
更に、Crの含有量が本発明の範囲未満である比較例10においては、十分な強度を得ることができなかった。また、Crの含有量が本発明の範囲を超えている比較例11においては、メッキ層表面にピットが発生した。これは、結晶粒が粗大化してメッキ欠陥が発生したためと考えられる。
【0046】
更に、Znの含有量が本発明の範囲未満である比較例12においては、結晶粒の粒間段差を抑制することができずメッキ層表面も粒間段差が認められた。また、Znの含有量が本発明の範囲を超えている比較例13においては、ピットが発生した。
【0047】
更に、比較例14においては、Fe及びSiの含有量が本発明の範囲を超えているため、メッキの前処理段階でピットが発生し、メッキ層にそのまま反映され、メッキ表面にピットが認められた。
【0048】
第2実施例
次に、基板表面の表面粗さとメッキ層の表面粗さとの関連を示す第2実施例について説明する。供試材としては、下記表4に示す組成を有する2種類のアルミニウム合金を使用した。同様に、Fe及びSi以外の不可避的不純物の量は、いずれも0.01重量%以下である。
【0049】
【表4】
Figure 0003830240
【0050】
このアルミニウム合金鋳塊を厚さ400mmに造塊し、その後、510℃で6時間の均熱処理をし、熱間圧延を施し、次いで冷間圧延により1.3mmの板厚とした。その後、得られたアルミニウム合金板を外径95mm、内径25mmのディスク形状に打ち抜き加工を施し、次いで、歪取りのために350℃で3時間の焼鈍を行い、ディスクブランクとした。このディスクブランク材は、その後、下記表5に示す種々の研磨条件(砥石、研磨剤、研磨圧力)により表面にサブストレート(グラインド、テープポリッシュ、クロスポリッシュ)加工を施して種々の表面粗さRa(中心線平均粗さ)を得た。この基板の表面粗さRaを表5に示す。
【0051】
【表5】
Figure 0003830240
【0052】
その後、各サブストレート加工後、供試材を市販のメッキ浴を使用してメッキ試験を実施した。メッキの前処理工程、メッキ工程及びそれらに使用した浴の種類は第1の実施例と同様である。
【0053】
メッキ性の評価は、先ず、メッキ層の表面粗さをタリサーフにより測定し、次いで、光学顕微鏡(200倍)でメッキ層の表面を観察することによって行った。そのメッキ後のメッキ層の表面粗さを、前述の基板の表面粗さと合わせて下記表6に示す。なお、メッキ性の総合評価の基準としては、メッキ層の中心線平均粗さRaが80Å以下であり、粒間段差がないものを○(良)、中心線平均粗さRaが80Åを超えるもの又は粒間段差が発生したものを×(劣)とした。この総合評価結果を下記表6に示す。
【0054】
【表6】
Figure 0003830240
【0055】
上記表6に示すように、実施例15乃至18においては、アルミニウム合金基板の組成(合金A)が本発明の範囲内であるので、基板表面上に形成されたメッキ層の表面粗さが基板表面の表面粗さよりも低下しており、また、メッキ層には結晶粒の粒間段差が認められず、総合評価としてメッキ性は極めて良好であった。また、基板表面の表面粗度Raを100Å未満としたので、メッキ層の表面粗さRaが80Å以下となり、極めて平滑なメッキ面が得られた。
【0056】
一方、比較例19乃至22においては、基板の組成(合金B)が本発明の範囲を外れているので、基板表面の表面粗度Raが100Å未満の場合に、メッキ後のメッキ層の表面は基板表面よりも粗くなった。また、メッキ層表面に結晶粒の粒間段差が発生し、そのため、メッキ層の表面粗さが粗くなった。
【0057】
なお、基板に合金Bを使用した比較例23及び24であっても、基板表面の表面粗度Raが100Å以上であるので、メッキ後のメッキ面の表面粗さが、基板表面の表面粗さよりも低下していたが、このメッキ層の表面粗さRaを80Å以下にすることはできなかった。
【0058】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、アルミニウム合金基板の組成を適切に規定し、即ちMg、Cr、Cu及びZnを適切な範囲内で含有していると共に、不純物であるFe、Si及びその他不可避的元素の含有量を所定値以下に規制しているので、基板表面の表面粗さRaが100Å以下であっても、メッキ層の表面粗さをそれよりも更に低くして、平滑性を高めることができ、更に密着性が良好なメッキ層を基板表面に形成することができる。このため、磁気ヘッドの浮上高さをより一層低くすることを可能とし、高密度記録化に有効な磁気ディスク用アルミニウム合金基板を提供することができる。

Claims (3)

  1. Cu:0.03乃至0.2重量%、Mg:3.0乃至6.0重量%、Cr:0.03乃至0.2重量%及びZn:0.4乃至1.0重量%を含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなり、前記不可避的不純物のうち、Feが0.05重量%以下、Siが0.05重量%以下、その他の元素が、夫々、0.01重量%以下に規制されていることを特徴とする磁気ディスク用アルミニウム合金基板。
  2. 中心線平均粗さRaが100Å未満であることを特徴とする請求項1に記載の磁気ディスク用アルミニウム合金基板。
  3. 磁性膜の下地処理層としてメッキ層が被覆形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の磁気ディスク用アルミニウム合金基板。
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