JPH11106857A - 磁気ディスク用アルミニウム合金基板 - Google Patents

磁気ディスク用アルミニウム合金基板

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JPH11106857A
JPH11106857A JP26467797A JP26467797A JPH11106857A JP H11106857 A JPH11106857 A JP H11106857A JP 26467797 A JP26467797 A JP 26467797A JP 26467797 A JP26467797 A JP 26467797A JP H11106857 A JPH11106857 A JP H11106857A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 基板表面の表面粗さRaを100Å未満とし
ても、メッキ後のメッキ層の表面が粗くなることを防止
することができ、これにより、メッキ層表面を平滑化し
て磁気ヘッドの浮上高さを低くし、磁気ディスクの高記
録密度化を可能とする磁気ディスク用アルミニウム合金
基板を提供する。 【解決手段】 磁気ディスク用アルミニウム合金基板
は、Cu:0.02乃至0.2重量%、Mg:3.0乃
至6.0重量%、Cr:0.02乃至0.2重量%及び
Zn:0.4乃至1.0重量%を含有し、残部がAl及
び不可避的不純物からなり、前記不可避的不純物のう
ち、Feが0.05重量%以下、Siが0.05重量%
以下、その他の元素が、夫々、0.01重量%以下に規
制されている。この基板の中心線平均粗さRaが100
Å未満であり、この基板上に磁性膜の下地処理層として
メッキ層が被覆形成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はハードディスク装置
(以下、HDDという)等に組み込まれる磁気ディスク
用のアルミニウム合金基板に関し、特に、表面平滑性を
得るために下地処理層としてメッキ層を形成し、このメ
ッキ層表面を研磨した後、磁性膜を付着形成して構成さ
れる磁気ディスクの製造に使用されるメッキ性が優れた
アルミニウム合金基板に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、コンピュータ等の記録媒体とし
て使用される磁気ディスク等の基盤材として、軽量で
あること、非磁性であること、高速回転に耐える剛
性を有すること、精密加工又は研磨により良好な表面
粗度が容易に得られること、等の特性が要求される。従
来、これらの特性が優れているJIS5000系のAl
−Mg合金が磁気ディスク用基板として使用されてき
た。例えば、このような特性を満足する磁気ディスク用
基板として、Mg:3.5〜4.5重量%、Fe:0.
50重量%以下、Si:0.40重量%以下、Mn:
0.20〜0.7重量%、Cr:0.05〜0.25重
量%、Cu:0.10重量%以下、Ti:0.15重量
%以下、Zn:0.25重量%以下であり、残部がAl
である組成を有するJIS A5086合金がある。
【0003】磁気ディスクの製造方法としては、先ず、
アルミニウム合金板を所定の板厚に加工した後、これを
円盤状に打ち抜いて、所謂ディスクブランクを作成す
る。その後、このディスクブランクを平坦な定盤間に挟
み込み、加圧しつつ300℃以上の温度で焼鈍すること
により、所謂フラットベーキングを行い、ディスクブラ
ンクの歪みを除去する。このフラットベーキングは、後
工程で行われる磁性膜のスパッタリング時に、アルミニ
ウム合金基板が熱的に安定であるようにするためにも必
要な工程である。
【0004】フラットベーキングの後、ディスクブラン
クにサブストレート加工を施す。このサブストレート加
工は、一般的に、アルミニウム合金基板を#3000番
程度の砥石で研磨する工程(グラインド加工)であり、
所定の寸法(板厚)に仕上げること、後工程で行わ
れるメッキ・研磨工程のために、ディスクブランク表面
の酸化皮膜を除去し、またメッキ前のアルミニウム合金
基板の表面の粗度を低減させることを目的として行われ
る。このサブストレート加工によりアルミニウム合金基
板の表面粗さ(中心線平均粗さRa)は300Å程度と
なる。このサブストレート加工が施されたアルミニウム
合金基板をサブストレートという。
【0005】次いで、このサブストレートに20μm以
下の膜厚でNi−Pメッキを施す。こうすることによ
り、磁気ディスクは強度及び硬度を付与され、ディスク
の損傷によるデータエラーの発生が防止される。更に、
このNi−Pメッキ層には所謂メッキ欠陥が生じている
ため、このようなメッキ欠陥を除去すると共に、Ni−
Pメッキ膜を平滑化するために、Ni−Pメッキ層の研
磨を行う。このメッキ層の研磨により、磁気ヘッドの低
浮上化が可能となり、高密度記録が可能となる。その
後、磁性膜をNi−Pメッキ膜上にスパッタリングによ
り形成する。このようにして、磁気ディスクが製造され
る。
【0006】ところで、近時、磁気ディスクは大容量化
及び高密度化が要求されている。そして、磁気ディスク
の1ビット当たりの磁気領域は益々微小化されつつあ
る。通常、HDDにおいては、その動作時に、磁気ディ
スクの回転により、磁気ディスクと磁気ヘッドとの間に
空気が入り、磁気ヘッドが磁気ディスクとの間に0.1
〜0.05μm程度の間隔を保持して浮上する。このよ
うにして、磁気ヘッドが磁気ディスクから所定の高さで
浮上した状態で、磁気ディスクに対するデータの読み書
きがなされるので、磁気ディスクを高速回転することが
可能となり、高速のアクセス及びデータ転送が可能とな
る。
【0007】この隙間、即ちヘッドの浮上高さが低いほ
ど、強磁性及び高磁気記録密度が得られる。このため、
磁気ヘッドの浮上高さが年々低下しているが、この浮上
高さを低くするためには、Ni−Pメッキ層の表面が平
滑である必要がある。しかしながら、このNi−Pメッ
キ層の研磨工程は、基板をグラインド加工する場合と異
なり、加工時間が長くかかり、このため、Ni−Pメッ
キ層の所要研磨量の低減が要請されている。
【0008】このメッキ層の研磨量を低減するために
は、基板の表面粗度を低減して、基板をより一層平滑化
する必要がある。従来、基板表面が、中心線平均粗さ
(Ra)250〜3000μmで規定される粗面状に形
成されてなる磁気ディスク用アルミニウム合金基板が公
知である(特開昭62−22236号公報)。この程度
の表面粗さであるならば、基板表面の表面粗度を低減し
ていくと、それに伴い、メッキ後の表面粗度も低下して
いく。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この表
面粗度が100Å未満になると、基板表面を平滑化して
も、メッキ後の表面粗度が低減されず、逆にメッキ後に
表面粗度が上昇し、粗面化してしまう。
【0010】従って、基板表面の表面粗さRaが100
Å未満になると、メッキ層の表面を平滑にするために、
基板表面をより一層平滑化しても、メッキ層の表面粗さ
Raを低減できないという問題点がある。また、基板の
組成によっては、メッキ層が被覆された基板の強度が低
下することがある。
【0011】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
のであって、基板表面の表面粗さRaを100Å未満と
しても、メッキ後のメッキ層の表面が粗くなることを防
止することができ、これにより、メッキ層表面を平滑化
して磁気ヘッドの浮上高さを低くし、磁気ディスクの高
記録密度化を可能とする磁気ディスク用アルミニウム合
金基板を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明に係る磁気ディス
ク用アルミニウム合金基板は、Cu:0.02乃至0.
2重量%、Mg:3.0乃至6.0重量%、Cr:0.
02乃至0.2重量%及びZn:0.4乃至1.0重量
%を含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなり、
前記不可避的不純物のうち、Feが0.05重量%以
下、Siが0.05重量%以下、その他の元素が、夫
々、0.01重量%以下に規制されていることを特徴と
する。
【0013】この磁気ディスク用アルミニウム合金基板
は、中心線平均粗さRaを100Å未満とすることがで
き、磁性膜の下地処理層としてメッキ層を被覆形成する
と、このメッキ層の表面粗さを極めて小さいものにする
ことができ、メッキ層の表面が極めて平滑な磁気ディス
ク用基板を得ることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】本願発明者等が前記課題を解決す
べく鋭意研究を重ねた結果、基板の中心線平均粗さRa
が100Å未満であると、以下の2つの理由で、基板の
表面粗さよりメッキ層の表面粗さRaの方が高くなるこ
とを見出した。
【0015】即ち、第1に、グラインド加工等による研
磨目のバリが基板表面の表面粗さの低下に伴って減少し
ていくため、使用するアルミニウム合金基板の純度が低
く、Fe量及びSi量の総和が0.04重量%を超えた
場合に顕著になる現象として、Ni−Pメッキ層の表面
に半球形状の凸型のメッキ欠陥であるノジュールが急激
に増加する。これは、メッキの前処理として、Znを含
むジンケート浴中に基板を浸漬したときに、Zn粒子の
析出起点となる表面の粗い部分、即ちバリが減少したた
め、Zn粒子がアルミニウム合金基板表面に粗大に析出
し、これによりメッキ表面にノジュールが増加してしま
うことに起因する。
【0016】第2に、使用するアルミニウム合金基板の
純度が高く、Fe量及びSi量の総和が0.04重量%
以下である場合には、メッキの前処理工程における酸エ
ッチング工程及びジンケート浴浸漬工程で、アルミニウ
ム合金基板の結晶粒の面方位によりエッチングの程度が
異なる。その結果、基板表面に段差が生じ、メッキを施
した後でも、この粒間段差は消失せずにそのまま残存す
る。この現象もエッチング起点となっていた表面のバリ
が減少したために起こるものであり、エッチング感受性
の高い結晶面が優先的に溶けることにより、粒間段差が
生じる。
【0017】このように、アルミニウム合金の純度によ
り異なった現象が生じるが、この組成的な境界は明瞭な
ものではなく、Fe量及びSi量の総和が0.04重量
%となる場合を境にしていずれかの現象が支配的にな
る。いずれにしても、アルミニウム合金基板の中心線平
均粗さRaが100Å未満になると、メッキ後に、メッ
キ層表面の平滑化のためにかえって多量のメッキ層研磨
が必要となる。
【0018】そこで、本発明者等は更に種々実験研究し
た結果、メッキ層の表面粗さの増大を抑制するために
は、メッキ層表面のノジュールの増加を抑制すると共
に、結晶粒間に生じる段差を抑制することが必要である
ことを見出した。本願発明者等は、このようなメッキ層
表面のノジュールの増加及び結晶粒間の段差を抑制でき
るアルミニウム合金として、本発明の特許請求の範囲に
規定した組成を知見した。
【0019】即ち、アルミニウム合金基板がCu、M
g、Cr及びZnを所定値の範囲で含有すると共に、F
e及びSiの含有量を所定値以下に規制することによ
り、基板表面の表面粗さRaを100Å未満に低下させ
た場合でも、基板表面を平滑化するにつれてメッキ層表
面が平滑となっていく。これにより、表面粗さRaが1
00Å未満の極めて平滑化されたメッキ層を有する磁気
ディスク用基板を得ることができる。
【0020】以下、本発明に係る磁気ディスク用アルミ
ニウム合金基板の成分添加理由及び組成限定理由につい
て説明する。
【0021】Mg:3.0乃至6.0重量% Mgはアルミニウム合金基板の強度向上に有効な元素で
あり、磁気ディスク材には、一般的に、Mgが4.0重
量%程度添加されている。Mgの含有量が3.0重量%
未満では、十分な強度を得ることができない。一方、M
gの含有量が6.0重量%を超えると、Al−Mg系金
属間化合物が生成し、このAl−Mg系金属間化合物は
アルミニウム合金基板にピットを発生させる要因となる
と共に、アルミニウム合金の熱間圧延時に圧延割れを引
き起こし、アルミニウム合金の圧延加工性を低下させ
る。従って、Mgの含有量は3.0乃至6.0重量%と
する。
【0022】Cr:0.02乃至0.2重量% Crは、アルミニウム合金の再結晶粒を微細化する効果
を有し、アルミニウム合金の強度向上に有効な元素であ
る。このような効果を得るためには、0.02重量%以
上のCrの添加が必要である。しかし、Crが0.2重
量%を超えて含有されると、晶出物が粗大化しやすくな
る。従って、Crの含有量は0.02乃至0.2重量%
とする。
【0023】Cu:0.02乃至0.2重量% Cuはアルミニウム合金基板上にメッキ層を形成する場
合のメッキ性を向上させるために有効な元素である。C
uはアルミニウム合金中に均一に固溶し、メッキの前処
理工程のジンケート処理時に、ジンケート浴中のZnイ
オンを基板表面に均一に微細析出させる作用を有してい
る。これにより、メッキ層の表面にノジュールが発生す
ることを抑制することができる。この作用効果を得るた
めには、Cuを0.02重量%以上添加することが必要
である。しかし、Cuが0.2重量%を超えて添加され
ると、結晶粒界にCuが析出し、メッキの前処理工程に
おける酸エッチングの際に、結晶粒界が過剰にエッチン
グされ、ノジュールの発生が多大となる。従って、Cu
の含有量は0.02乃至0.2重量%とする。
【0024】Zn:0.4乃至1.0重量% ZnもCuと同様に、アルミニウム合金のメッキ性の改
善に有効な元素である。即ち、ZnはCuと同様に、A
l合金中に均一に固溶し、ジンケート処理時に、ジンケ
ート浴中のZnイオンを基板表面に均一に微細析出させ
る効果を有している。これにより、メッキ層のノジュー
ルの発生を抑制することができる。また、Znの添加量
が増すにつれて、Znがアルミニウム合金中に均一に析
出するので、この析出Znが、メッキの前処理工程にお
ける酸エッチング工程の際にエッチング起点となり、ま
たジンケート処理工程においてZnイオンの析出起点と
なる。
【0025】このようにZnは、結晶粒のエッチング感
受性の強い部分が酸エッチングにより溶けることがない
ようにして、結晶粒による段差を抑制する効果がある。
メッキ性の改善効果は、Znを0.02重量%以上添加
すれば有効であるが、結晶粒の粒間段差を抑制するため
には0.4重量%以上添加することが必要である。しか
し、Znを1.0重量%を超えて添加すると、Znの析
出核が粗大化するのに伴って、メッキの前処理時に形成
されるエッチングピットも粗大化し、この粗い基板表面
にメッキ層を形成すると、メッキ層表面にピットが発生
する原因となる。従って、Znの含有量は0.4乃至
1.0重量%とする。
【0026】Fe:0.05重量%以下 Feは、通常、アルミニウム合金地金に不純物として混
入し、アルミニウム合金の鋳造工程等においてAl−F
e系の金属間化合物を発生させやすい。Al−Fe系金
属間化合物はディスク用基板としての加工工程、即ちサ
ブストレート加工時の切削又は研磨・研削等の加工工程
において脱落したり、窪みが生じる原因となる。また、
Al−Fe系金属間化合物はメッキの前処理工程で脱落
してメッキ層表面のピットの原因となる。従って、不可
避的不純物としてのFeの含有量は0.05重量%以下
とする。
【0027】Feの下限値は特に定めるものではない
が、Fe含有量を0.002重量%以下にするために
は、純度99.99%等の極めて高価なアルミニウム地
金を必要とするため、無駄であるばかりでなく、このよ
うにFe含有量が極めて低い場合には、アルミニウム合
金の打ち抜き性及びサブストレート加工性が低下し、更
に、メッキ欠陥抑制を目的とした金属間化合物微細化の
効果も飽和しており、メッキの密着性が低下する虞れが
ある。従って、Feは不可避的不純物として0.05重
量%以下に規制するが、必要に応じて、Fe含有量が
0.002乃至0.05重量%となるように、アルミニ
ウム合金地金を選択することも有効である。
【0028】Si:0.05重量%以下 Siも、通常、アルミニウム合金地金に不純物として混
入し、アルミニウム合金の鋳造工程等においてMg−S
i系金属間化合物を生じる。このMg−Si系金属間化
合物はメッキの前処理工程において基板表面から脱落す
るため、メッキ層表面のピットの原因となる。このよう
なSiによるピットの生成を防止するために、不可避的
不純物としてのSiの含有量は0.05重量%以下に規
制する。
【0029】Siの下限値は特に定めるものではない
が、Si含有量を0.002重量%以下とすると、Fe
と同様に、純度99.99%等の極めて高価なアルミニ
ウム地金を必要とするため、無駄であるのに加え、アル
ミニウム合金の打ち抜き性及びサブストレート加工性が
低下し、更に、メッキ欠陥抑制を目的とした金属間化合
物の微細化効果も飽和しており、メッキの密着性にも問
題が生じる。従って、Siは不可避的不純物として0.
05重量%以下に規制するが、必要に応じて、Si含有
量が0.002乃至0.05重量%の範囲内となるよう
に、アルミニウム合金地金を選択する。
【0030】他の不可避的不純物元素:夫々0.01重
量%以下 他の不可避的不純物元素、例えばTi、V及びB等は夫
々0.01重量%以下であれば、本発明の特性に影響す
ることはない。このため、この程度の不純物の含有は許
容される。
【0031】上述の組成を有する磁気ディスク用アルミ
ニウム合金基板は、例えば、#3000〜#8000の
砥石によるグラインド加工方法、#3000〜#800
0のフィルムを使用したテープポリッシュ加工方法、又
はクロスパッドと遊離砥粒による研磨方法として知られ
るポリッシング加工法等の研磨方法により、研磨して、
サブストレート加工し、この研磨後の基板表面に、所定
の前処理を施した後、メッキ処理して、基板上にメッキ
層を形成する。
【0032】この場合に、サブストレート加工時に、中
心線表面粗さRaが100Å未満となるように基板の表
面粗さを調節することにより、極めて平滑且つ平坦なメ
ッキ面を得ることができる。
【0033】なお、中心線表面粗さRaが100Å以上
では、ノジュールの増加又は粒間段差が発生しないた
め、現在市販されているディスク用アルミニウム合金基
板を使用すれば足り、本発明の利点が少ない。
【0034】
【実施例】以下、本発明の実施例について、その特許請
求の範囲から外れる比較例と比較して具体的に説明す
る。
【0035】第1実施例 先ず、本発明に係る磁気ディスク用アルミニウム合金基
板のメッキ性について調査した。先ず、供試材として
は、下記表1に示す化学成分を有するアルミニウム合金
を使用した。なお、Fe及びSi以外の不可避的不純物
の含有量は実施例及び比較例のいずれも夫々0.01重
量%以下である。
【0036】
【表1】
【0037】このアルミニウム合金鋳塊を厚さ400m
mに造塊し、その後、510℃で6時間の均熱処理を
し、熱間圧延を施し、次いで冷間圧延により1.3mm
の板厚とした。その後、得られたアルミニウム合金板を
外径95mm、内径25mmのディスクの形状に打ち抜
き加工を施し、次いで、350℃で3時間の歪み取り焼
鈍を行い、ディスクブランクを作成した。このディスク
ブランク材は、その後、表面をグラインド加工して表面
粗さRa(中心線平均粗さ)が90Åのサブストレート
とした。
【0038】サブストレート加工後、これらのサブスト
レートを市販のメッキ浴を使用してメッキ試験を実施し
た。メッキの前処理工程、メッキ工程及びそれらに使用
した浴の種類を下記表2に示す。
【0039】
【表2】
【0040】メッキ性の評価のために、先ず、メッキ後
のメッキ層の表面粗さ(中心線平均粗さRa)をタリサ
ーフにより測定し、次いで、光学顕微鏡でメッキ層の表
面を200倍に拡大して観察した。その結果を下記表3
に示す。なお、表3の総合評価の基準としては、メッキ
層の中心線平均粗さRaが80Å以下であり、粒間段差
及びピットがなく、基板の耐力が100N/mm2以上
であるものを○(良)、中心線平均粗さRaが80Åを
超えるもの、粒間段差若しくはピットが発生したもの又
は基板の耐力が100N/mm2未満であるものを×
(劣)とした。
【0041】
【表3】
【0042】上記表3に示すように、実施例1乃至5
は、アルミニウム合金基板の組成が本発明の範囲である
ので、基板の表面粗さが90Åというように100Å未
満であっても、基板表面上に形成されたメッキ層の表面
粗さが基板表面の表面粗さ90Åよりも低下した。ま
た、メッキ層には結晶粒の粒間段差及びピットは認めら
れず、更に基板の強度に100N/mm2の耐力を付与
することができ、総合評価としてメッキ性は極めて良好
であった。
【0043】これに対し、Cuの含有量が本発明の範囲
未満である比較例6においては、メッキ層表面にノジュ
ールが発生し、メッキ層の表面粗さを低下させることが
できなかった。また、Cuの含有量が本発明の範囲を超
えている比較例7においても、メッキ層表面にノジュー
ルが発生したため、メッキ層の表面粗さが高くなってし
まった。
【0044】また、比較例8においては、Mgの含有量
が本発明の範囲未満であるので、メッキ層の表面粗さが
低く、粒間段差及びピットが認められなかったが、十分
な強度を得ることができなかった。また、Mgの含有量
が本発明の範囲を超えている比較例9においては、メッ
キ層の表面にピットが発生した。
【0045】更に、Crの含有量が本発明の範囲未満で
ある比較例10においては、十分な強度を得ることがで
きなかった。また、Crの含有量が本発明の範囲を超え
ている比較例11においては、メッキ層表面にピットが
発生した。これは、結晶粒が粗大化してメッキ欠陥が発
生したためと考えられる。
【0046】更に、Znの含有量が本発明の範囲未満で
ある比較例12においては、結晶粒の粒間段差を抑制す
ることができずメッキ層表面も粒間段差が認められた。
また、Znの含有量が本発明の範囲を超えている比較例
13においては、ピットが発生した。
【0047】更に、比較例14においては、Fe及びS
iの含有量が本発明の範囲を超えているため、メッキの
前処理段階でピットが発生し、メッキ層にそのまま反映
され、メッキ表面にピットが認められた。
【0048】第2実施例 次に、基板表面の表面粗さとメッキ層の表面粗さとの関
連を示す第2実施例について説明する。供試材として
は、下記表4に示す組成を有する2種類のアルミニウム
合金を使用した。同様に、Fe及びSi以外の不可避的
不純物の量は、いずれも0.01重量%以下である。
【0049】
【表4】
【0050】このアルミニウム合金鋳塊を厚さ400m
mに造塊し、その後、510℃で6時間の均熱処理を
し、熱間圧延を施し、次いで冷間圧延により1.3mm
の板厚とした。その後、得られたアルミニウム合金板を
外径95mm、内径25mmのディスク形状に打ち抜き
加工を施し、次いで、歪取りのために350℃で3時間
の焼鈍を行い、ディスクブランクとした。このディスク
ブランク材は、その後、下記表5に示す種々の研磨条件
(砥石、研磨剤、研磨圧力)により表面にサブストレー
ト(グラインド、テープポリッシュ、クロスポリッシ
ュ)加工を施して種々の表面粗さRa(中心線平均粗
さ)を得た。この基板の表面粗さRaを表5に示す。
【0051】
【表5】
【0052】その後、各サブストレート加工後、供試材
を市販のメッキ浴を使用してメッキ試験を実施した。メ
ッキの前処理工程、メッキ工程及びそれらに使用した浴
の種類は第1の実施例と同様である。
【0053】メッキ性の評価は、先ず、メッキ層の表面
粗さをタリサーフにより測定し、次いで、光学顕微鏡
(200倍)でメッキ層の表面を観察することによって
行った。そのメッキ後のメッキ層の表面粗さを、前述の
基板の表面粗さと合わせて下記表6に示す。なお、メッ
キ性の総合評価の基準としては、メッキ層の中心線平均
粗さRaが80Å以下であり、粒間段差がないものを○
(良)、中心線平均粗さRaが80Åを超えるもの又は
粒間段差が発生したものを×(劣)とした。この総合評
価結果を下記表6に示す。
【0054】
【表6】
【0055】上記表6に示すように、実施例15乃至1
8においては、アルミニウム合金基板の組成(合金A)
が本発明の範囲内であるので、基板表面上に形成された
メッキ層の表面粗さが基板表面の表面粗さよりも低下し
ており、また、メッキ層には結晶粒の粒間段差が認めら
れず、総合評価としてメッキ性は極めて良好であった。
また、基板表面の表面粗度Raを100Å未満としたの
で、メッキ層の表面粗さRaが80Å以下となり、極め
て平滑なメッキ面が得られた。
【0056】一方、比較例19乃至22においては、基
板の組成(合金B)が本発明の範囲を外れているので、
基板表面の表面粗度Raが100Å未満の場合に、メッ
キ後のメッキ層の表面は基板表面よりも粗くなった。ま
た、メッキ層表面に結晶粒の粒間段差が発生し、そのた
め、メッキ層の表面粗さが粗くなった。
【0057】なお、基板に合金Bを使用した比較例23
及び24であっても、基板表面の表面粗度Raが100
Å以上であるので、メッキ後のメッキ面の表面粗さが、
基板表面の表面粗さよりも低下していたが、このメッキ
層の表面粗さRaを80Å以下にすることはできなかっ
た。
【0058】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
アルミニウム合金基板の組成を適切に規定し、即ちM
g、Cr、Cu及びZnを適切な範囲内で含有している
と共に、不純物であるFe、Si及びその他不可避的元
素の含有量を所定値以下に規制しているので、基板表面
の表面粗さRaが100Å以下であっても、メッキ層の
表面粗さをそれよりも更に低くして、平滑性を高めるこ
とができ、更に密着性が良好なメッキ層を基板表面に形
成することができる。このため、磁気ヘッドの浮上高さ
をより一層低くすることを可能とし、高密度記録化に有
効な磁気ディスク用アルミニウム合金基板を提供するこ
とができる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Cu:0.02乃至0.2重量%、M
    g:3.0乃至6.0重量%、Cr:0.02乃至0.
    2重量%及びZn:0.4乃至1.0重量%を含有し、
    残部がAl及び不可避的不純物からなり、前記不可避的
    不純物のうち、Feが0.05重量%以下、Siが0.
    05重量%以下、その他の元素が、夫々、0.01重量
    %以下に規制されていることを特徴とする磁気ディスク
    用アルミニウム合金基板。
  2. 【請求項2】 中心線平均粗さRaが100Å未満であ
    ることを特徴とする請求項1に記載の磁気ディスク用ア
    ルミニウム合金基板。
  3. 【請求項3】 磁性膜の下地処理層としてメッキ層が被
    覆形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記
    載の磁気ディスク用アルミニウム合金基板。
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